JP4722601B2 - 電磁操作機構およびこれを使用する電力用開閉器、電力用開閉装置 - Google Patents
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また、電力用開閉装置では、電流値が零となる点でしか電流を遮断することができないので、直流成分が非常に大きいと電流が電流零点を交差することがない場合も想定される。このようなときに敢えて接点対を開極しようとすると、半サイクルを経過しても電流が遮断されないので、接点間に1サイクル以上の長時間に亘ってアークが発生することになり、著しい接点消耗、電力用開閉装置の劣化、汚損、遮断不能を引き起こす可能性がある。
また、安価に動作速度を低減させるために、可動鉄心、固定鉄心、駆動コイル、永久磁石からなる磁気回路の一部に、磁束と鎖交するように配置された逆起電流発生コイルを備え、可動鉄心の移動によって発生した磁束変化を逆起電流発生コイルに起電力として誘起させることで可動鉄心に対して制動力を作用させることが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
また、電磁形過電流継電器に電磁コイルの他に短絡コイルを付加し、電磁コイルの入力電流が急に断となる場合、短絡コイルに発生する誘起電圧による電流により磁束が発生し、動作を短時間継続させることも提案されている(例えば、特許文献4参照)。
また、短絡コイルや逆起電流コイルを駆動コイルとは別に追加配置し、動作開始時間を遅らせようとすると、電磁操作機構が大型化するため、高コスト、高重量であるという問題がある。
図1は、この発明の実施の形態1に係わる電磁操作機構の構成を示す図である。図2(a)、図2(b)は、実施の形態1の電磁操作機構を用いた電力用開閉装置の断面図を示す。図3は、実施の形態1の電磁操作機構の動作を説明するための説明図である。図1において、機構部分は断面図で示してある。
なお、永久磁石3、4は、磁極9、10と可動子2との間に配置されているが、例えば可動子2の内部や継鉄11の内部に配置しても良いことは言うまでもない。また、往駆動コイル7と復駆動コイル8は、継鉄11の内側に配置されているが、例えば継鉄11の外側に配置しても良いことは言うまでもない。
例えば、可動子2が継鉄下部11bに近接したとき、第1の隙間27の磁気抵抗は、第2の隙間28の磁気抵抗より非常に小さいので、磁気回路S1の磁束Φ1は、磁気回路S2の磁束Φ2より大きい。そのため、第1の隙間27に働く磁気吸引力は、第2の隙間28に働く磁気吸引力より大きいので、足し合わされた磁気吸引力は可動子2を継鉄下部11b方向に加圧する。
逆に、可動子2が継鉄上部11cに近接したとき、第2の隙間28の磁気抵抗は、第1の隙間27の磁気抵抗より非常に小さいので、磁気回路S2の磁束Φ2は、磁気回路S1の磁束Φ1より大きい。そのため、第2の隙間28に働く磁気吸引力は、第1の隙間27に働く磁気吸引力より大きいので、足し合わされた可動子2に働く磁気吸引力は可動子2を継鉄上部11c方向に加圧する。
可動子2を第1の安定点から第2の安定点に移動させるために、往駆動コイル7に励磁電流を流し、第1の隙間27の磁束と逆方向に磁束を発生させ保持状態にある可動子2の保持力を低下し、第2の隙間28の磁束を増加させて第1の隙間27の磁気吸引力より大きくなるようにする。
例えば、図3に示すように、可動子2が第1の安定点に保持されているとき、永久磁石3、4による磁束と同一方向の磁束を磁気回路T2に発生するように、駆動電源15により往駆動コイル7に電流を流すと、磁気回路U2に第1の隙間27における永久磁石3、4による磁束と反対方向の磁束を発生する。
しかし、抵抗体14を介して両端子が接続されている復駆動コイル8の閉回路に、往駆動コイル7の励磁により発生する磁束を打ち消すように、誘導電流が誘導され、その結果、磁気回路V2に第1の隙間27における永久磁石3、4による磁束と同一方向の磁束が発生するので、可動子2は移動を開始しない。
復駆動コイル8に誘導される誘導起電力Uの大きさは、式(1)によって与えられる。
そして、復駆動コイル8に誘導される誘導電流は、誘導起電力U、抵抗体14および復駆動コイル8の抵抗分の和(R)およびインダクタンス(L)によって決まる回路定数から算出できる。誘導された誘導電流は、時定数τ=L/Rに従って減衰していく。
その結果、誘導電流がある値以下まで低下すると、第1の隙間27の磁気吸引力が減少し、第2の隙間28の磁気吸引力が大きくなるので、第2の隙間28の磁気吸引力が主に可動子2に働き、可動子2は、対向する磁極9、10の間を通過して、往駆動コイル7の角形の内周部内へ移動する。
つまり、抵抗体14の抵抗値を適当に選定することにより、遅延時間を自由に設定できることを意味している。
このように可動子2は移動し、移動後の可動子2は第2の安定点で保持される。
例えば、図2(a)に示すように可動子2が第2の安定点に保持されているとき、永久磁石3、4による磁界と同一方向の磁界を磁気回路S1に発生するように、駆動電源15により復駆動コイル8に電流を流す。そうすると、可動子2は、第1の安定点、即ち図2(b)に示す位置まで移動し、保持される。
また、既存の復駆動コイル8も抵抗体を追加するだけでそのまま利用することができる。
また、継鉄11、永久磁石3、4、往駆動コイル7および復駆動コイル8から構成される電磁操作機構であれば、その形状に関わりなく適用することができる。
また、実施の形態1において電磁操作機構1Aを電力用開閉装置に使用する例について説明したが、電力用開閉器にも同様に電磁操作機構1Aを適用することができる。
図4は、この発明の実施の形態2に係わる電磁操作機構の断面図である。
この発明の実施の形態2に係わる電磁操作機構1Bは、図4に示すように、実施の形態1に係わる電磁操作機構1Aと往駆動コイル7が配設されている位置が異なっており、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記して説明は省略する。
実施の形態2に係わる往駆動コイル7は、復駆動コイル8と磁極9、10との可動子2の移動方向の隙間に配設されている。
そして、駆動電源15は、永久磁石3、4により励磁され、復駆動コイル8を貫通する磁束を打ち消すように、往駆動コイル7に励磁電流を流す。往駆動コイル7に励磁電流が流されると、可動子2の端面と継鉄11との隙間27を貫通する磁束は減少するが、逆に、この磁束の減少により抵抗体14に形成されている復駆動コイル8の閉回路にこの隙間を貫通する磁束を増加する電流が流れるので、磁束の減少する速度は遅くなる。そして、可動子2と継鉄11とを第1の隙間27の間隔を小さくする方向に吸引する吸引力がスプリングにより付勢されている可動子2への押圧力以下に達するまでの時間が、閉回路が形成されていないときと比べて長くなる。
図5は、この発明の実施の形態3に係わる電磁操作機構の断面図である。
この発明の実施の形態3に係わる電磁操作機構1Cは、図5に示すように、実施の形態1に係わる電磁操作機構1Aと閉回路が抵抗体14とダイオード33とを介して復駆動コイル8の両端子が接続されていることが異なっており、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記して説明は省略する。
実施の形態3に係わる復駆動コイル8の両端子は、直列に接続された抵抗体14とダイオード33とを介して接続されている。
このような電磁操作機構1Cは、ダイオード33を抵抗体14に対して直列に挿入されているので、抵抗体14の抵抗値を、復駆動コイル8の抵抗値よりも小さくする必要がなくなり、設計自由度が増大できる。
なお、図6に示すように、電磁操作機構1Dの復駆動コイル8の抵抗値を大きくすることにより、抵抗体14を省略することも可能である。
図7は、この発明の実施の形態4に係わる電磁操作機構の断面図である。
この発明の実施の形態4に係わる電磁操作機構1Eは、実施の形態3に係わる電磁操作機構1Cと閉回路が抵抗体14、ダイオード33および抵抗変化素子としてのツェナーダイオード35を介して復駆動コイル8の両端子が接続されていることが異なっており、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記して説明は省略する。
実施の形態4に係わる復駆動コイル8の両端子は、直列に接続された抵抗体14、ダイオード33およびツェナーダイオード35を介して接続されている。
図8は、この発明の実施の形態5に係わる電磁操作機構の断面図である。
実施の形態5に係わる電磁操作機構1Fは、実施の形態1に係わる電磁操作機構1Aと復駆動コイル8に抵抗体が接続されていないことと往駆動コイル7に流される励磁電流の方向が逆であることとが異なっており、これ以外は同様であるので同様な部分に同じ符号を付記して説明は省略する。
そして、実施の形態5に係わる往駆動コイル7により励磁される磁気回路は、図8に示すように、第3の磁気回路と第4の磁気回路からなる。第3の磁気回路T2の磁束Φ3の向きは、第2の隙間28において可動子2から継鉄上部11cに向いている。また、第4の磁気回路U2の磁束Φ4の向きは、第1の隙間27において継鉄下部11bから可動子2に向いている。
Claims (6)
- 軸を有し、軸方向に往復運動可能な可動子と、
上記軸方向に平行な上記可動子の側面および上記軸方向の上記可動子の両端面に相対する面を有する継鉄と、
上記継鉄および上記可動子で構成される閉磁気回路中に配置される永久磁石と、
上記継鉄または上記可動子の周囲に配置される2つ以上の駆動コイルと、
上記駆動コイルに励磁電流を流す電源と、
を備え、
上記永久磁石から上記継鉄を介し、上記可動子の一方の端面を経由して上記可動子に至る第1の磁気回路および、上記永久磁石から上記継鉄を介し、上記可動子の他方の端面を経由して上記可動子に至る第2の磁気回路が構成される電磁操作機構において、
上記駆動コイルは、
上記可動子を往運動させるために励磁される少なくとも1つの往駆動コイルと、
両端子が常に電気的に接続されて閉回路が構成されるとともに、上記往駆動コイルが励磁されるとき誘導電流が誘導されて上記可動子の移動開始を遅らせる少なくとも1つの復駆動コイルと、を備えることを特徴とする電磁操作機構。 - 上記復駆動コイルの両端子が抵抗体またはダイオードの少なくとも1つを介して接続されていることを特徴とする請求項1に記載する電磁操作機構。
- 上記復駆動コイルの両端子がツェナーダイオードを介して接続されていることを特徴とする請求項1または2に記載する電磁操作機構。
- 上記復駆動コイルの両端子が抵抗変化素子を介して接続されていることを特徴とする請求項1または2に記載する電磁操作機構。
- 軸を有し、軸方向に往復運動可能な可動子と、
上記軸方向に平行な上記可動子の側面および上記軸方向の上記可動子の両端面に相対する面を有する継鉄と、
上記継鉄および上記可動子の間に配置される永久磁石と、
上記可動子の側面に相対し、上記永久磁石の上記軸方向の両側に位置する上記継鉄の面に固着される往駆動コイルおよび復駆動コイルと、
上記往駆動コイルまたは上記復駆動コイルの一方に励磁電流を流す電源と、
を備え、
上記永久磁石から上記継鉄を介し、上記可動子の一方の端面を経由して上記復駆動コイルの中心を通過して上記可動子に至る第1の磁気回路および上記永久磁石から上記継鉄を介し、上記可動子の他方の端面を経由して上記往駆動コイルの中心を通過して上記可動子に至る第2の磁気回路が構成される電磁操作機構において、
上記可動子の移動開始を遅らせるために上記永久磁石により上記第2の磁気回路に発生する磁束と反対向きの磁束が上記可動子の他方の端面を通過し、且つ上記永久磁石により上記第1の磁気回路に発生する磁束と同じ向きの磁束が上記可動子の一方の端面を通過するように上記往駆動コイルの励磁電流を制御し、その後上記第1の磁気回路の上記可動子の一方の端面を通過する磁束が上記継鉄の飽和磁束を超える磁束となるように上記往駆動コイルの励磁電流を制御することを特徴とする電磁操作機構。 - 請求項1乃至5のいずれか一項に記載する電磁操作機構を使用することを特徴とする電力用開閉器または電力用開閉装置。
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