JP4722238B2 - プライマー組成物 - Google Patents

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JP4722238B2
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幸雄 村井
直樹 内田
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機ガラスとハードコートとの間にプライマー層を形成するためのプライマー組成物及び該プライマー層を有する光学要素に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、眼鏡用レンズの材料としては、無機ガラスに比して、軽くかつ割れにくい有機ガラスが普及してきている。しかし、一般的に有機ガラスは、無機ガラスに比して耐擦傷性が格段に低い。そこで、通常、レンズの表面に、シリコーン系ハードコートが形成されている。更に眼鏡レンズの場合美観上等の理由から、シリコーン系ハードコート上に、無機物質の蒸着等の乾式メッキによる無機反射防止膜が形成されていることが多い。
【0003】
しかし、上記のように有機ガラス基材上に、ハードコートと無機反射防止膜の双方を設けたレンズは、耐衝撃性に劣るという不具合があった。そこで、ハードコートの耐衝撃性を向上させるために、基材とハードコートの間にポリウレタン系塗料からなるプライマー層を介在させる技術的思想が種々提案されている(特開昭63−87223、63−141001号、特開平3−109502号等)。
【0004】
他方、近年有機ガラス基材の材料が、脂肪族ポリアリルカーボネート系(CR−39、屈折率1.50)に代わって、より高屈折率の、芳香族ポリアリルカーボネート系(屈折率1.57)、ポリチオウレタン系(屈折率1.60〜1.70)等に代わりつつある。
【0005】
この場合、プライマー層及びハードコートの屈折率も光による干渉を防ぐため、基材と同等の屈折率を有するものとする必要がある。
【0006】
そこで、本発明者らは、ウレタンエラストマー、無機微粒子及びオルガノアルコキシシランの加水分解物よりなり、基材が高屈折率であっても、光干渉を発生させないプライマー組成物を提案した(特開平6−82694号)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、当該プライマー層は、層内が不均一性になり易く、そのため光の乱反射による曇りが認められるという不具合があった。
【0008】
本発明は、上記にかんがみて、屈折率を調整でき、かつ光の乱反射による曇りの少ないプライマー組成物を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を下記構成により解決するものである。
【0010】
本発明のプライマー組成物は、有機ガラスとハードコートとの間にプライマー層を形成するためのプライマー組成物であって、
ポリイソシアナート成分とポリチオール成分とを必須成分とするチオウレタン樹脂を塗膜形成要素とするプライマー組成物において、
前記チオウレタン樹脂を、
前記ポリイソシアナート成分とポリチオール成分の比率が、官能基モル比でNCO/SH=0.5〜3.0であり、
前記ポリチオール成分中における分子量300〜4000のポリチオールが10wt%以上であり、かつ、
硫黄(S)原子含有率が15wt%以上であるものとすることを特徴とする。
【0011】
ここで、ポリチオールとして、両末端がチオール基である液体ポリスルフィドを含むことが望ましい。
【0012】
該プライマー組成物には、さらに金属酸化物微粒子を含有させて屈折率の調整をすることも可能である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の各構成について詳細に説明する。以下の説明で配合比・単位は特に断らない限り、重量比・単位である。
【0014】
A.本発明のプライマー組成物は、有機ガラスとハードコートとの間にプライマー層を形成するためのものを前提的要件とする。
【0015】
(1) 上記有機ガラスとしては、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、脂肪族ポリアリルカーボネート、芳香族ポリアリルカーボネート、ポリスルホン、ポリチオウレタン等を挙げることができる。これらの内で、高屈折率のものが得易い、芳香族ポリアリルカーボネート、ポリスルフホン、ポリチオウレタンが望ましい。
【0016】
また、無機ガラスとしては、屈折率(nD )として、1.55以上のものが得易い、バリウムクラウンガラス(BaK)1.54〜1.60、重クラウンガラス(SK)>1.54、特重クラウンガラス(SSK)>1.60、軽バリウムフリント(BaLF)>1.55、バリウムフリント(BaF)>1.56、重バリウムフリント(BaSF)>1.585等が好適である。なお、各無機ガラス略号の後の数字は、各ガラスのnD を示す。
【0017】
(2) 上記ハードコートは、ガラス表面に耐擦傷性等を付与できるものなら特に限定されないが下記シリコーン系又はアクリル系のものが、好適に使用できる。
【0018】
(i) シリコーン系ハードコート;例えば、オルガノアルコキシシランの加水分解物に、触媒、金属酸化物微粒子(複合微粒子を含む)を加え、希釈溶剤にて塗布可能な粘度になるように調節する。さらに、このハードコート液には、適宜界面活性剤、紫外線吸収剤等の添加も可能である。
【0019】
1)上記オルガノアルコキシシランとしては、下記一般式にて示されるものが使用可能である。
【0020】
1 a2 bSi(OR34-(a+b)
(但し、R1 は炭素数1〜6のアルキル基、ビニル基、エポキシ基、メタクリルオキシ基、フェニル基であり、R2 は炭素数1〜3の炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、アリール基、R3 は炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシアルキル基である。また、a=0または1、b=0、1または2である)。
【0021】
具体的には、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリメチルクロロシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等を挙げることができる。これらは、単独使用の他に、2種以上を併用することも可能である。
【0022】
2)上記触媒としては、トリメリト酸、無水トリメリト酸、イタコン酸、ピロメリト酸、無水ピロメリト酸等の有機カルボン酸、メチルイミダゾール、ジシアンジアミド等の窒素含有有機化合物、チタンアルコキシド、ジルコアルコキシド等の金属アルコキシド、アセチルアセトンアルミニウム、アセチルアセトン鉄等の金属錯体、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等のアルカリ金属有機カルボン酸塩を使用できる。
【0023】
3)金属酸化物微粒子としては、平均粒径が5〜50mμ(nm)のコロイダルシリカ、コロイダルチタニア、コロイダルジルコニア、コロイダル酸化セリウム(IV)、コロイダル酸化タンタル(V)、コロイダル酸化スズ(IV)、コロイダル酸化アンチモン(III )、コロイダルアルミナ、コロイダル酸化鉄(III )等を使用でき、これらは、単一使用の他に、2種以上を併用、または複合微粒子として使用することも可能である。
【0024】
4)希釈溶剤としては、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類及びセロソルブ類等の極性溶剤を好適に使用できる。
【0025】
5)コーティング方法としては、ディッピング法、スピンコート法等の公知の方法から選ばれる。硬化条件は、80〜120℃で1〜4時間である。
【0026】
(ii)アクリル系ハードコート;
例えば、1分子中に3個以上のアクリロイルオキシ基を有する多官能アクリル系オリゴマー、モノマーに、目的機能を有するモノマー、オリゴマー、及び光重合開始剤を加えたものを必須成分とする。必要に応じて、重合禁止剤、レベリング剤及び紫外線吸収剤等の添加剤、熱可塑性樹脂や酸化金属微粒子等の改質剤の添加も可能である。
【0027】
1)上記多官能アクリル系オリゴマー、モノマーとは、1分子中に3個以上のアクリロイルオキシ基を有する化合物で、下記のものを例示できる。
【0028】
ポリオールアクリレート(多価アルコールまたはポリエーテル型多価アルコールの(メタ)アクリレート):トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、ペンタエリトリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリトリトールペンタアクリレート等
ポリエステルアクリレート(多塩基酸と多価アルコールとアクリル酸の三成分を反応させて得られるポリエステルの(メタ)アクリレート):例えば多塩基酸としてはフタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸等、多価アルコールとしてはトリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール等をそれぞれ代表的に使用できる。
【0029】
ウレタンアクリレート(3価以上のポリオール成分、3価以上のポリイソシアナートまたはポリオールポリイソシアナートと水酸基含有多官能(メタ)アクリレートの三成分を反応させて得られる。):例えば、ポリオール成分としてはトリメチロールプロパン等、ポリイソシアナートとしてはHMDIのビューレット又は三量体、水酸基含有多官能(メタ)アクリレートとしてはペンタエリトリトールトリアクリレート等の前記ポリオールアクリレートを、それぞれ代表的に使用できる。
【0030】
エポキシアクリレート(エポキシ化合物に(メタ)アクリル酸、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを反応させて得られる):グリセリントリグリシジルエーテルトリアクリレート、トリス(グリシジルエーテルエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、ペンタエリトリトールテトラグリシジルエーテルテトラアクリレート、フェノールノボラックポリグリシジルエーテルポリアクリレート、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルポリアクリレート等。
【0031】
その他:トリスアクリロイルオキシイソシアヌレート、アミノポリアクリレート、ヘキサキスメタクリロイルオキシエチルホスファゼン、トリスアクリロイルオキシエチルイソシアヌレート等。
2)上記光重合開始剤としては、下記例示のものを使用できる。
【0032】
アセトフェノン系:4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、混合光開始剤(アリルケトン類起源)、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、アリルケトン含有光開始剤、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1等
ベンゾイン系:ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルメチルケタール等
ベンゾフェノン系:ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等
チオキサンソン系:チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジクロロチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等
特殊グループ:α−アシロキシムエステル、アシルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、ジベンゾスベロン、2−エチルアンスラキノン、4’,4”−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等
このときトリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−ジメチルアミノエチル安息香酸、等の光重合開始助剤を併用することもできる。
【0033】
重合開始剤の濃度としては、硬化性樹脂に対して0.5〜10wt%、好ましくは1〜7wt%である。
【0034】
3)上記重合禁止剤としては、下記例示ものを使用できる。
【0035】
ヒドロキノン、メトキノン、p−ベンゾキノン、フェノチアジン、モノ−t−ブチルヒドロキノン、カテコール、p−t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、アントラキノン、2,6−ジ−t−ブチルヒドロキシトルエン等。
4)上記レベリング剤としては、炭化水素系、シリコーン系、フッ素系が使用できる。
【0036】
5)上記紫外線吸収剤としては、ヒドロキシベンゾフェノン系、サルチレート系、ベンゾトリアゾール系、ヒンダードアミン系等を挙げることができる。
【0037】
6)上記熱可塑性樹脂としては、ポリウレタンエラストマー、ポリブタジエンエラストマー、アクリルニトリル/ブタジエンエラストマー等を挙げることができる。
【0038】
7)上記酸化金属微粒子及び希釈溶剤としては、上記シリコーン系で例示したものと同様のものが使用できる。
【0039】
コーティング方法も、シリコーン系の場合と同様である。
【0040】
硬化条件は、管壁負荷80〜160W/cmの高圧水銀ランプ系またはメタルハライドランプ系紫外線光源下にて2〜180秒とする。
(3) 上記ハードコートの上には、反射防止膜を形成することもできる。該反射防止膜の形成は、通常、金属、金属酸化物、金属フッ化物等の無機微粒子を、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の乾式メッキ法により行う。
【0041】
反射防止膜を形成する無機物としては、シリカ、チタニア(IV)、酸化タンタル(V)、酸化アンチモン(III )、ジルコニア、アルミナ等の金属酸化物や、フッ化マグネシウム等の金属フッ化物を好適に使用できる。
【0042】
B.本発明のプライマー組成物は、ポリイソシアナート成分とポリチオール成分を必須成分とし、かつ、硫黄含有率が15wt%以上であるチオウレタン樹脂を塗膜形成要素とすることを特徴的要件とする。
【0043】
(1) ここで、ポリイソシアナート成分としては、ポリウレタンに一般的に使用する脂肪族系及び芳香族系のものの他、下記硫黄含有ポリイソシアナートも好適に使用できる。これらの内で、耐候性の見地からは、脂肪族・脂環式系のものが望ましい。これらの内で、ヘキサメチレンジイソシアナート、水添XDIが更に望ましい。他方、屈折率向上の見地からは、XDI等の芳香族系のものが望ましい。但し、紫外線により黄変のおそれがあるので、紫外線吸収剤をプライマー層やハードコートに含有させる必要がある。
【0044】
1)脂肪族・脂環式系イソシアナート:
本来の脂肪族イソシアナートの他に脂環式イソシアナートも含み、ヘキサメチレンジイソシアナート(HMDI)、水添キシリレンジイソシアナート(水添XDI)、4,4´−メチレンビスジシクロヘキシルジイソシアナート(H12MDI)、メチルシクロヘキシルジイソシアナート(水添TDI)、及びイソホロンジイソシアナート(IPDI)等、さらには、取扱上の見地から、それらを高分子化させたダイマー、トリマー、トリメチロールプロパン付加体、プレポリマーなど、いわゆる非黄変性のものを挙げることができる。
【0045】
2)芳香族系イソシアナート:
メタキシリレンジイソシアナート(XDI)、4,4´−ジフエニルメタンジイソシアナート(MDI)、クルードMDI、液状MDI、トリレンジイソシアナート、及びフエニレンジイソシアナート等、さらには取扱上の見地から、これらのを高分子化させたダイマー、トリマー、トリメチロールプロパン、プレポリマーなどを挙げることができる。
【0046】
3)硫黄原子を含有するポリイソシアナート:
硫黄原子含有脂肪族ポリイソシアナート:チオジエチレンジイソシアナート、チオジプロピルジイソシアナート、チオジヘキシルジイソシアナート、ジメチルスルホンジイソシアナート、ジチオジメチルジイソシアナート、ジチオジエチルジイソシアナート、ジチオジプロピルジイソシアナート等。
4)スルフィド結合を有する芳香族イソシアナート:ジフェニルスルフィド−2,4’−ジイソシアナート、ジフェニルスルフィド−4,4’−ジイソシアナート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジイソシアナート=ジベンジルチオエーテル、ビス(4−イソシアナートメチルフェニル)スルフィド、4,4’−メトキシフェニルチオエチレングリコール−3,3’−イソシアナート等。
5)ジスルフィド結合を有する芳香族イソシアナート:ジフェニルジスルフィド−4,4’−ジイソシアナート、2,2’−ジメチルジフェニルジスルフィド−5,5’−ジイソシアナート、3,3’−ジメチルジフェニルジスルフィド−5,5’−ジイソシアナート、4,4’−ジメチルジフェニルジスルフィド−5,5’−ジイソシアナート、3,3’−ジメトキシジフェニルジスルフィド−4,4’−ジイソシアナート、4,4’−ジメトキシジフェニルジスルフィド−3,3’−ジイソシアナート等。
6)スルホン結合を有する芳香族イソシアナート:ジフェニルスルホン−4,4’−ジイソシアナート、ジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアナート、ベンジディンスルホン−4,4’−ジイソシアナート、ジフェニルメタンスルホン−4,4’−ジイソシアナート、4−メチルジフェニルスルホン−2,4’−ジイソシアナート、4,4’−ジメトキシジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアナート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジイソシアナートベンジルジスルホン、4,4’−ジメチルジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアナート、4,4’−ジ−tert−ブチルジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアナート、4,4’−メトキシフェニルエチレンスルホン−3,3’−ジイソシアナート、4,4’−ジシクロジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアナート等。
7)スルホン酸エステル結合を有する芳香族イソシアナート:4−メチル−3−イソシアナートフェニルスルホニル−4’−イソシアナートフェノールエステル、4−メトキシ−3−イソシアナートフェニルスルホニル−4’−イソシアナートフェノールエステル等
スルホン酸アミド結合を有する芳香族イソシアナート:4−メチル−3−イソシアナートフェニルスルホニルアニリド−3’−メチル−4’−イソシアナート、ジフェニルスルホニル−エチレンジアミン−3,3’−ジイソシアナート、4−メチル−3−イソシアナートフェニルスルホニルアニリド−4′−メチル−3’−イソシアナート等
(2) 上記ポリチオール成分としては、下記各種ポリチオール(液体ポリスルフィドを含む)を使用できるが、耐候性の見地から脂肪族・脂環式ポリチオールを使用することが望ましい。これらの内で、液体ポリスルフィド、エチレングリコールジチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、ビス(メルカプトプロピル)スルフィド、ビス(3−メルカプトプロピルチオ)メタン、1,2−ビス(3−メルカプトプロピルチオ)エタン、1,3−ビス(3−メルカプトプロピルチオ)プロパン、1,2,3−ビス(3−メルカプトプロピルチオ)プロパンが特に望ましい。
【0047】
また、ポリチオール成分としては、分子量300〜4,000、好ましくは500〜2,000のポリチオールを10%以上、好ましくは20%以上含有するものを使用する。
【0048】
分子量が300以上のものを10%以上含まない場合は、プライマー塗膜に十分な耐衝撃性を付与することが困難となる。また、分子量が4,000を越すと、プライマー塗膜の硬化が不十分になり易い。
【0049】
1)メルカプト基以外に硫黄を含有しないポリチオール:ジ(2−メルカプトエチル)エーテル、1,2−エタンジチオール、1,4−ブタンジチオール、エチレングリコールジチオグリコレート、トリメチロールプロパントリス(チオグリコレート)、ペンタエリトリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリトリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリトリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリトリトールヘキサキス(2−メルカプトアセテート)、1,2−ジメルカプトベンゼン、4−メチル−1,2−ジメルカプトベンゼン、3,6−ジクロロ−1,2−ジメルカプトベンゼン、3,4,5,6−テトラクロロ−1,2−ジメルカプトベンゼン、o−キシリレンジチオール、m−キシリレンジチオール、p−キシリレンジチオール、1,3,5−トリス(3−メルカプトプロピル)イソシアヌレート、チオテレフタル酸等。
2)メルカプト基以外に硫黄原子を含有する芳香族ポリチオール:1,2−ビス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2−ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトエチルチオ)ベンゼンチオテレフタル酸等。
3)メルカプト基以外に硫黄原子を含有する脂肪族ポリチオール:ジ(2−メルカプトエチル)スルフィド、ビス(メルカプトメチル)スルフィド、ビス(メルカプトエチル)スルフィド、ビス(メルカプトプロピル)スルフィド、ビス(メルカプトメチルチオ)メタン、ビス(2−メルカプトエチルチオ)メタン、ビス(3−メルカプトプロピルチオ)メタン、1,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エタン、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)エタン、1,2−ビス(3−メルカプトプロピルチオ)エタン、1,3−ビス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,3−ビス(2−メルカプトエチルチオ)プロパン、1,3−ビス(3−メルカプトプロピルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(2−メルカプトエチルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(3−メルカプトプロピルチオ)プロパン、テトラキス(メルカプトメチルチオメチル)メタン、テトラキス(2−メルカプトエチルチオメチル)メタン、テトラキス(3−メルカプトプロピルチオメチル)メタン、ビス(2,3−ジメルカプトプロピル)スルフィド、ビス(メルカプトメチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトエチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトプロピル)ジスルフィド等、及びこれらのチオグリコール酸及びメルカプトプロピオン酸のエステル。
4)チオグリコール酸及びメルカプトプロピオン酸のエステル:ヒドロキシメチルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシプロピルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシプロピルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシプロピルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシプロピルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、2−メルカプトエチルエーテルビス(2ーメルカプトアセテート)、2−メルカプトエチルエーテルビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,4−ジチアン−2,5−ジオールビス(2−メルカプトアセテート)、チオグリコール酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、チオジプロピオン酸(2−メルカプトエチルエステル)、4,4’−チオジブチル酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、ジチオジグリコール酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、ジチオジプロピオン酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、4,4’−ジチオジブチル酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、チオジグリコール酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、ジチオジグリコール酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、ジチオジプロピオン酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、4−メルカプト−3,6−ジチア−1,8−オクタンジチオール等。
5)メルカプト基以外に硫黄原子を含有する複素環化合物:3,4−チオフェンジチオール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ジメルカプト−1,4−ジチアン等。
6)液体ポリスルフィド:可撓性付与を兼ねたエポキシの硬化剤としても知られており、下記構造式で示されて、n=3〜12のものが好適に使用できるが、上位の構造式HS−[R−Sxn −R−SH(但しR:有機基)で示される他の液体ポリスルフィドでもよい。
【0050】
【化1】
Figure 0004722238
【0051】
また、これらの末端チオール基(SH)である液体ポリスルフィドに対し、予め1分子中に2個以上エポキシ基を有する化合物を反応させ、ポリスルフィド変性エポキシ樹脂として使用することも可能である。この際、SH基とエポキシ基との反応により生成する−OH基がイソシアナートと反応するとともに、未反応エポキシ基は、上層に来るハードコートとの密着性向上の作用を奏する。
【0052】
このようなエポキシ化合物としては、下記の各種タイプものを使用可能であるが、ポリグリシジルエーテル型が望ましい。
【0053】
1)ポリグリシジルエーテル型:多価フェノール又はグリセリンやポリエチレングリコール等の多価アルコールと反応させて得られるもので、具体的には、ビスフェノールA(p,p′−イソプロピリデンフェノール)、ビスフェノールF(p,p′−メチレンジフェノール)等を挙げることができる。
【0054】
2)ポリグリシジルエステル型:フタル酸のようなポリカルボン酸とエピクロロヒドリンとの反応によって得られるもの。
【0055】
3)ポリグリシジルエーテルエステル型:オキシ安息香酸のようなヒドロキシカルボン酸とエピクロロヒドリンとの反応によって得られるもの。
【0056】
(3) チオウレタン樹脂の硫黄含有率は、15wt%以上、通常15〜30wt%、望ましくは18〜25wt%とする。15wt%未満では目的としている屈折率をプライマー層に得難い。この硫黄含有率の調整は、通常、ポリチオール成分で行うが、硫黄を含むポリイソシアナート成分を併用して調整してもよい。
【0057】
ポリイソシアナート成分とポリチオール成分の比率は、官能基モル比でNCO/SH=0.5〜3.0が好ましく、より好ましくは0.75〜2.0である。官能基モル比が0.5未満では未反応のチオールのために塗膜が十分に硬化しない。また、官能基モル比が3.0を越えると未反応のイソシアナートが存在し、空気中の水分や上層のハードコートの成分と反応し、ハードコートに性能的または外観的な欠陥を生じる原因となり易い。
【0058】
これらのチオウレタン樹脂の製造は、ポリウレタン樹脂の慣用の方法で製造可能であり、ジブチルスズジラウラート等の金属系化合物やトリエチレンジアミン等のアミン系化合物を添加することにより短時間にて硬化させることも可能である。
【0059】
また、これらのチオウレタン樹脂は、水分散エマルションの形態にして使用することが、ポットライフが伸びて望ましい。この水分散エマルションの調製方法としては、強制乳化法、自己乳化法等の慣用の方法で製造可能であるが、自己乳化法による調製が、良好な分散安定性が得易くて望ましい。その際使用する自己乳化剤(内部乳化剤)としては、6−アミノ−n−カプロン酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸等が好適に使用可能である。
【0060】
ここで強制乳化法とは、チオウレタン樹脂を界面活性剤の存在下、高い機械的剪断力をかけて強制的に乳化する方法である。また、自己乳化法とは、チオウレタン樹脂中にイオン性の親水基を導入させて、チオウレタン樹脂自体に界面活性を付与して、乳化剤の助力なしで、水中にチオウレタン樹脂を安定分散させる方法である。
【0061】
なお、鎖延長剤として、1)エチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール等のグリコール類、2)エチレンジアミン、プロピレンジアミンイソホロンジアミン、キシレンジアミン、ピペラジン等のジアミン類、3)ジエタノールアミン等のアミノアルコール、4)1,2−エタンジチオール、1,4−ブタンジチオール、エチレングリコールジチオグリコレート及び水等を好適に使用できる。
【0062】
(4) 本発明のプライマー組成物には、耐熱性の向上や屈折率調整のために金属酸化物微粒子(複合微粒子を含む。)を添加することができる。
【0063】
当該金属酸化物微粒子は、取扱性の見地から金属酸化物微粒子(コロイド粒子)のコロイド溶液(ゾル)を好適に使用可能である。このコロイド溶液は、適宜、その分散媒を後述のプライマーに使用する極性溶剤に置換して使用することが好ましい。
【0064】
例えば、平均粒径が5〜50mμ(nm)のコロイダルシリカ、コロイダルチタニア、コロイダルジルコニア、コロイダル酸化セリウム(IV)、コロイダル酸化タンタル(V)、コロイダル酸化スズ(IV)、コロイダル酸化アンチモン(III )、コロイダルアルミナ、コロイダル酸化鉄(III )等を使用でき、これらは、単一使用の他に、2種以上を併用、または複合微粒子として使用することも可能である。
【0065】
金属酸化物微粒子の配合量は、樹脂成分(液体ポリスルフィド及び未架橋エポキシ樹脂)100部に対して、通常1〜60部、望ましくは2〜50部、更に望ましくは4〜40部とする。金属酸化物微粒子の配合量が1部未満では耐熱性向上が屈折率調製作用を奏し難く、他方、60部を越えると耐衝撃性に劣り、また、光の散乱により曇りが目立つようになる。
【0066】
(5) そして、これらの各成分からなる本発明のプライマー組成物は、通常、前記ハードコート用塗料に使用したのと同様の極性溶剤、即ち、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類及びセロソルブ類等の1種または2種以上を併用して希釈して使用する。
【0067】
また、本発明のプライマー組成物は、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系及びフェノール系等の紫外線吸収剤の配合や塗膜の平滑性を向上させるためにシリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等を含むレベリング剤の配合も可能である。
【0068】
塗布(コーティング)方法としては、ディッピング法、スピンコート法等の公知の方法から選ばれる。硬化条件は、室温〜150℃で3分〜24時間、好ましくは80〜130℃で5分〜2時間の範囲にて硬化を行う。
【0069】
このプライマー層の膜厚は、0.01〜20μm、望ましくは、0.1〜10μmである。0.01μm未満であると耐衝撃性の効果が望めず、20μmを越えると面精度に問題を生じ易い。
【0070】
【発明の作用・効果】
本発明のプライマー組成物は、屈折率の高い硫黄原子を含有しているチオウレタン樹脂を塗膜形成成分としているため、従来のポリウレタン系プライマーでは得られなかった高屈折率を、耐衝撃性を損ねることなくプライマー塗膜に得ることができる。
【0071】
従って、従来では金属酸化物微粒子の添加により屈折率の向上が図られてきたためにプライマー層内が不均一になり易く、光の乱反射による曇りが認められるという不具合を改善することができる。
【0072】
また、ハードコートとして、紫外線硬化形(アクリル系)のものを用いた場合、後述の実施例で支持される如く、密着性において、格段に優れたものとなる。
【0073】
さらに、金属酸化物微粒子を添加することで、より高屈折率のプライマー層を得ることができる。
【0074】
【実施例】
以下、本発明の効果を確認するために、比較例とともに行った実施例について説明をする。
【0075】
A.プライマー・ハードコート塗料の調製
各塗料の調製に際して使用した、各薬剤及びその代表的物性は下記の通りである。
【0076】
液体ポリスルフィド…「チオコールLP−3」東レチオコール株式会社製商品名:粘度(25℃)12P、平均分子量1000(n≒5)、架橋率2.0 %、比重1.27(「チオコールLP」商品カタログより)。
【0077】
レベリング剤…「フロラードFC−430」住友3M社製、フッ素系界面活性剤。
【0078】
水性エマルションポリウレタン…「スーパーフレックス150」第一工業製薬株式会社製商品名:固形分濃度:30%、無黄変型、エステル/エーテル混合系。
【0079】
チタニア系複合微粒子(a) …「オプトレイク1120Z(S−7,G)」触媒化成株式会社製商品名:ZrO2 /TiO2 =0.02、SiO2 /TiO2 =0.22、粒径:10mμ、固形分濃度:20%、分散溶媒:メチルアルコール、表面改質剤:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン。
【0080】
チタニア系複合微粒子(b) …「オプトレイク1130F−2(A−8)」触媒化成株式会社製商品名:Fe2 O3 /TiO2 =0.02、SiO2 /TiO2 =0.11、粒径:10mμ、固形分濃度:30%、分散溶媒:メチルアルコール、表面改質剤:テトラメトキシシラン。
【0081】
ポリスルフィド変性エポキシ樹脂…「FLEP−50」東レチオコール株式会社製商品名:平均分子量=640
<実施例1>
m−キシリレンジイソシアナート9.4部、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート7.0部、液体ポリスルフィド10部、酢酸エチル50部、エチルセロソルブ20部、ジ−n−ブチル錫ジラウレート0.03部、レベリング剤0.1部の混合物を、室温で約1.5時間、攪拌して溶剤形のプライマー組成物を調製した。
【0082】
<実施例2>
実施例1において、チタニア系複合微粒子(a) とエチルセロソルブとの容量比10/8の混合物を、温度90℃×4hの条件で蒸留を行い、分散溶媒の置換を行った。このチタニア系複合微粒子のコロイド溶液14.6部を加える以外は、実施例1と同様にして溶剤形のプライマー組成物を調製した。
【0083】
<実施例3>
1L容量のセパラブルフラスコにm−キシリレンジイソシアナート18.8部、液体ポリスルフィド30部、ジ−n−ブチル錫ジラウレート0.06部を入れ、100℃にて1時間攪拌を行って反応させた。この反応生成物を50℃に冷却した後、1,4−ブタンジオール4.5部、N−メチル−2−ピロリドン20部、ジメチルプロピオン酸3.23、メチルエチルケトン(MEK)140部を加え、約80℃にて3時間の還流を行う。この溶液を室温まで冷却した後、攪拌を行いながらトリエチルアミン2.5gを加えて中和させ、純水270gを30分かけて滴下後、室温で24時間攪拌して反応を終了させた。最後に、減圧蒸留によりMEKの除去を行い、水分散エマルションを調製した。この分散液300部にメチルアルコール200部、レベリング剤0.1部を加え、室温で約1.5時間攪拌して、エマルション形のプライマー組成物とした。
【0084】
<実施例4>
1L容量のセパラブルフラスコにm−キシリレンジイソシアナート18.8部、液体ポリスルフィド15部、ジ−n−ブチル錫ジラウレート0.06部を入れ、100℃にて1時間攪拌を行って反応させた。この反応生成物を50℃に冷却した後、ポリスルフィド変性エポキシ樹脂16部、1,4−ブタンジオール3.6部、N−メチル−2−ピロリドン20部、ジメチルプロピオン酸2.68、MEK140部を加え、約80℃にて3時間の還流を行う。この溶液を室温まで冷却した後、攪拌を行いながらトリエチルアミン2.0gを加えて中和させ、純水270gを30分間かけて滴下後、室温で24時間攪拌して反応を終了させた。最後に、減圧蒸留によりMEKの除去を行い、水分散エマルションを調製した。この分散液300部にメチルアルコール200部、レベリング剤0.1部を加え、室温で約1.5時間攪拌して、エマルション形のプライマー組成物とした。
【0085】
<比較例1>
水性エマルションポリウレタン125部、チタニア系複合微粒子(a) 100部、メチルアルコール330部、純水225部及びにレベリング剤0.4部を加え、室温で24時間攪拌してエマルション形のプライマー組成物を調製した。
【0086】
<比較例2>
比較例1において上記チタニア系複合微粒子(a) を180部にする以外は、同様にしてエマルション形のプライマー組成物を調製した。
【0087】
B.ハードコート液の調製
<ハードコート液1)>
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン320部、テトラエトキシシラン50部及びメチルアルコール230部からなる混合物を、攪拌して均一化後、攪拌を続けながら10-2N塩酸水溶液60部をゆっくり滴下した後、室温にて一昼夜の加水分解を行った。
【0088】
この加水分解液にチタニア系複合微粒子(b) 360部、イタコン酸40部、ジシアンアミド20部、レベリング剤1部を添加し、室温で約24時間攪拌して調製した。
【0089】
<ハードコート液2)>
ハードコート液1)において、チタニア系複合微粒子(b) 700部とした以外は、同様にして調製した。
【0090】
<ハードコート液3)>
チタニア系複合微粒子(a) とジアセトンアルコールとの容量比10/8の混合物を、温度90℃×4hの条件で蒸留を行い、分散溶媒の置換を行った。このチタニア系複合微粒子のコロイド溶液30部にテトラメチロールメタントリアクリレート10部、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン0.5部、及びメチルエチルケトン5部を添加した混合物を、暗所にて24時間、攪拌を行い調製した。
【0091】
C.試験片の作成
(1) プライマー層の形成
屈折率1.60又は1.66の各レンズ基材(いずれもポリチオウレタン製)を、40℃のNaOH水溶液(10wt%)に浸漬してエッチング処理を行った。該エッチング処理後、水洗・乾燥させた各レンズ基材を、表1に示す各実施例・比較例のプライマー組成物をスピンコート法(回転速度:3000rpm ×10s)により塗布し、130℃×30分の条件で硬化させた。なお、試験No. 6〜8は、プライマー層を形成しなかった。
【0092】
(2) ハードコートの形成
上記プライマー層を形成した基材の上に、表1に示す組み合わせにてハードコート液1)又は2)をディッピング法(引き上げ速度:105mm/min )で塗布し、100℃×2hの条件で硬化させた。
【0093】
また、ハードコート液3)は、スピンコート法(回転速度:2500rpm ×10s)により塗布し、管壁負荷80W/cmの高圧水銀ランプの紫外線光源下にて10秒間照射して、硬化させた。
【0094】
(3) 反射防止膜の形成
上記ハードコートを形成した基材の上に、無機物質を以下に示す構成で真空蒸着法によって蒸着膜を形成した。
【0095】
SiO2 /ZrO2 :1/4λ、ZrO2 :1/4λ、SiO2 :1/4λ
D.物性試験及び評価
<試験項目>
前記のごとく調製した各試験片について、以下各項目の試験を行った。
【0096】
(1) 外観
背景を黒くした中に蛍光灯「商品名:メロウ5N」(東芝ライテック株式会社製、三波長型昼白色蛍光灯)を置き、蛍光灯の光を試験片の反射防止膜表面で反射させ、対象物表面にできる光干渉色(虹模様)の有無により判定した。また、試験片を蛍光灯下にかざし、曇りの判定を行った。
【0097】
(2) 耐擦傷性試験
スチールウール(#0000)に600gの荷重を加え、各試験片の反射防止膜の表面を30回/15sにて擦り、傷の入り具合にて判定した。
【0098】
○:傷の入った面積が10%以内
△:傷の入った面積が10%を越えて30%以内
Χ:傷の入った面積が30%を越える
(3) 密着性試験試験片に1cm四方に1mm間隔で100個のマス目を形成し、セロハン製粘着テープを強く押しつけた後、90°方向に急激に剥がし、剥離しないマス目の数を数えた。
【0099】
(4) 耐温水性試験
80℃の湯中に試験片を10分間浸漬させ、外観(クラックの有無)と密着性試験(前述)を行った。
【0100】
(5) 耐衝撃性試験
鋼球(150g)を127cmの高さから試験片の中心部に落下させ、割れるか否かで判定をした。
【0101】
<試験結果の評価>
試験結果を示す表1・2から、実施例1のプライマーを用いた試験片No. 1と、ウレタン系のプライマーである比較例1を用いた試験片No. 4に比べ、曇りがなく非常に透明であることが分かる。
【0102】
また、実施例2を用いた試験片No. 3は、略同じ屈折率の比較例2を用いた試験片No. 5に比して、曇りが少ないことが分かる。
【0103】
耐衝撃性では、本発明の実施例1〜3のプライマーを用いた試験片No. 1〜3は、プライマーを用いない試験片No. 6〜8に比べ、著しい向上が見られる。
【0104】
更に、紫外線硬化形(アクリル系)ハードコートを用いた場合の密着性において、実施例2を用いた試験No. 2は、プライマー用いない試験No. 8に比して、優れていることが分かる。
【0105】
また、水分散エマルション形のプライマーである実施例3・4を用いた試験No. 9・10は、溶剤形のプライマーである実施例1を用いた試験No.1と、外観物性及び機械的物性において変わらず良好であることが分かる。
【0106】
水分散エマルション形が溶剤形に比して塗膜物性が劣る理由は下記の如くである。
【0107】
エマルション形の場合、分散粒子の凝集融着によるため均一な成膜が困難で、粒子界面が残存して塗膜物性の低下の一因となる。溶剤形の場合、溶剤の揮散のみであり、均一な成膜が容易である。また、水分散エマルション形の場合、粒子安定化のために水和相が必要であり、該水和相が、素地と塗膜界面又は塗膜表面に残存して、塗膜の耐水性・耐薬品性・密着性低下の一因となる。
【0108】
【表1】
Figure 0004722238
【0109】
【表2】
Figure 0004722238

Claims (8)

  1. 有機ガラスとハードコートとの間にプライマー層を形成するためのプライマー組成物であって、
    ポリイソシアナート成分とポリチオール成分とを必須成分とするチオウレタン樹脂を塗膜形成要素とするプライマー組成物において、
    前記チオウレタン樹脂を、
    前記ポリイソシアナート成分とポリチオール成分の比率が、官能基モル比でNCO/SH=0.5〜3.0であり、
    前記ポリチオール成分中における分子量300〜4000のポリチオールが10wt%以上であり、かつ、
    硫黄(S)原子含有率が15wt%以上である、
    ものとすることを特徴とするプライマー組成物。
  2. 前記チオウレタン樹脂を、
    ポリイソシアナート成分とポリチオール成分との比率が、官能基モル比でNCO/SH=0.75〜2.0であり、
    前記ポリチオール成分中における分子量500〜2000のポリチオールが20wt%以上であり、かつ、
    硫黄(S)原子含有率が18〜25wt%以上であるものとすることを特徴とする請求項1記載のプライマー組成物。
  3. 前記ポリチオールが、両末端がチオール基である液体ポリスルフィドを含むことを特徴とする請求項2記載のプライマー組成物。
  4. 有機ガラスとハードコートとの間にプライマー層を形成するためのプライマー組成物において、さらに金属酸化物微粒子を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプライマー組成物。
  5. 有機ガラスの表面に、ハードコート及び無機反射防止膜が積層されてなるとともに、前記有機ガラスとハードコートとの間に、ポリイソシアナート成分とポリチオール成分とを必須成分とするチオウレタン樹脂を塗膜形成要素とするプライマー組成物で形成されてなるプライマー層が介在されている光学要素において、
    前記チオウレタン樹脂を、
    前記ポリイソシアナート成分とポリチオール成分との比率が、官能基モル比でNCO/SH=0.5〜3.0であり、
    前記ポリチオール成分が、分子量300〜4000のポリチオールを10wt%以上含み、さらに、硫黄(S)原子含有率が15wt%以上であるものとすることを特徴とする光学要素。
  6. 前記チオウレタン樹脂を、ポリイソシアナート成分とポリチオール成分との比率が、官能基モル比でNCO/SH=0.75〜2.0であり、
    前記ポリチオール成分中における分子量500〜2000のポリチオールが20wt%以上であり、かつ、
    硫黄(S)原子含有率が18〜25wt%以上であるものとすることを特徴とする請求項5記載の光学要素。
  7. 前記ポリチオールが、ジチオールとして、末端がチオール基である液体ポリスルフィドを含むことを特徴とする請求項6記載の光学要素。
  8. 前記プライマー組成物がさらに金属酸化物微粒子を含有することを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の光学要素。
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