JP4721633B2 - 血小板凝集促進活性を有する物質 - Google Patents

血小板凝集促進活性を有する物質 Download PDF

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Description

本発明は、血小板凝集に関連する因子を利用した血小板凝集に関連する化合物のスクリーニング方法、活性測定方法、該方法により取得された化合物、該方法に用いるキット、血小板凝集活性を喪失した変異体ポリペプチド、並びに、血小板凝集に関連する疾患の、モデル、治療または予防のための医薬組成物等に関する。
血小板凝集とは、外傷などにより損傷を受けた血管や血管壁に露出したコラーゲンとフォンヴィレブラント因子が血小板と結合し、さらにコラーゲンやフォンヴィレブラント因子と結合して内部構造が壊れて活性化した血小板より遊離されたトロンボキサンとADPが新しい血小板の活性化を引き起こして外傷部位への粘着を誘導して血小板の止血栓を形成して血流を止める作用をいい、傷からの失血を防止するために重要な役割を果たしている。
血小板が関与していると考えられている疾患は多数存在し、例えば、肺血栓塞栓症(例えば、非特許文献1参照。)、脳梗塞(例えば、非特許文献2及び3参照。)、虚血性心疾患、静脈血栓症、末梢動脈血栓症、播種性血管内凝固(DIC)、抗リン脂質抗体症候群、高脂血症、糖尿病性慢性合併症、糸球体腎炎、肝疾患、移植、川崎病および血小板凝集能亢進症等に関連することが知られている(例えば、非特許文献4〜6参照。)。
また、血小板数の先天的または後天的減少や機能障害により、出血傾向、血液凝固障害、血友病、尿毒症、慢性骨髄増殖性疾患等を引き起こすことが知られている(例えば、非特許文献7参照。)。
癌細胞は、種々の血小板凝集物質を放出し、癌細胞内の血栓形成や過凝固状態を促進し、血小板と相互作用して血栓を形成することにより血行性転移を助長するので、癌の転移において、癌細胞と血小板の相互作用が重要な役割をしていることが知られている(例えば、非特許文献8参照。)。特に、骨肉腫(乳幼児に多い)は、血小板凝集を起こすことが知られており、肺転移と相関することが知られている(例えば、非特許文献9参照。)。
マウス末梢リンパ節のT細胞依存領域のI型胸腺上皮細胞と間質細胞に、gp38という膜タンパクが発現することが知られている(例えば、非特許文献10参照。)。またgp38のマウスのホモログとしてgp38Pもクローニングされている(例えば、非特許文献11参照。)。gp38のラットホモログである、E11 antigenは骨芽細胞系の新しいマーカーとして報告されている(例えば、非特許文献12参照。)。また、gp38のラットホモログであるT1αは、肺のI型肺胞上皮細胞上に発現しており、これはII型の肺胞上皮細胞には発現していないことが示されている(例えば、非特許文献13参照。)。また、gp38のラットホモログであるT1αは肺胞上皮幹細胞からI型肺胞上皮細胞への分化とともに発現されてくることが知られている。更に、gp38のラットホモログであるpodoplaninは、43kDaの糖タンパク質(T1αと99%ホモロジー)で、腎の糸球体上皮細胞(podocyte)に発現しており、ヒトの微小変化群(ネフローゼ症候群のひとつの病理組織型)のラットモデルで、発現が落ちることも報告されている(例えば、非特許文献14参照。)。
gp38のイヌホモログであるgp40は、type-I Madin-Darby canine kidney (MDCK) 細胞に発現していることが報告されており(例えば、非特許文献15参照。)、分子量40kDaのシアロ糖タンパク質(sialoglycoprotein)であり、O-結合型糖鎖が豊富で、N-結合型糖鎖の付加部位はない。gp40はイヌの肺、腸、腎、脳、心臓に発現している。
gp38のヒトホモログとして、gp36が発見されている(例えば、非特許文献16参照。)。gp36はヒト肺、胎盤、骨格筋に高発現(脳、腎、肝に低発現)している。
このようにgp38(あるいはgp38P)に関しては、ホモログも含め、多くの研究がなされてきているにも関わらず、gp38(あるいはgp38P)の機能に関しては、これまで明らかになっていない。
一方、マウスの結腸癌細胞株colon adenocarcinoma 26を繰り返し実験的肺転移させることにより、高転移性株であるNL-17細胞と低転移性株であるNL-14細胞が取得されている(例えば、非特許文献17参照。)。このNL-17細胞表面に発現する血小板凝集因子gp44はマウスの血小板を凝集させ、その結果肺転移を起こすことが示唆されている(例えば、非特許文献18参照。)。
しかし、血小板凝集因子gp44の遺伝子配列およびアミノ酸配列については、これまでに報告されていなかった。
「臨床成人病」、1990年、第20巻、p.1995−2001 「ストローク(Stroke)」、1985年、第16巻、p.524−526 「ストローク(Stroke)」、1989年、第20巻、p.1271−1272 山中学、山崎博男編、「血小板」、医学書院、1991年1月、p.251−253 斎藤英彦編、「高血栓薬の基礎と臨床」、医薬ジャーナル社、p.123−230 藤田稠清、「血小板凝集能亢進症と疾患」、金原出版、2001年6月 松田保、「止血・血栓の臨床」、新興医学出版社、1996年4月、p.65−84 「ジャーナル・オブ・ナショナル・キャンサー・インスティテュート(Journal of National Cancer Institute)」、1999年、第91巻、p.22−36 「キャンサー・リサーチ(Cancer Research)」、1987年、第47巻、p.3115−31177 「ジャーナル・オブ・エクスペリメンタル・メディスン(The Journal of Experimental Medicine)」、1992年、第176巻、p.1477−1482 「ネフロロジー・ダイアリシス・トランスプランテーション(Nephrology Dialysis Transplantation)」、2002年、第17巻、p.978−984 「ボーン(Bone)」、1996年、第18巻、p.125−132 「アメリカン・ジャーナル・オブ・レスピラトリー・セル・アンド・モレキュラー・バイオロジー(American Journal of Respiratory cell and Molecular Biology)」、1990年、第19巻、p.143−149 「ザ・アメリカン・ジャーナル・オブ・パソロジー(The American Journal of Pathology)」、 1997年、第151巻、p.1141−1152 「バイオケミカル・ジャーナル(Biochemical Journal)」、1997年、第326巻、p.99−108 「バイオケミカル・ジャーナル(Biochemical Journal)」、1999年、第341巻、p.277−284 「キャンサー・リサーチ(Cancer Research)」、1983年、第43巻、p.5437−5442 「キャンサーリサーチ(Cancer Research)」、1991年、第51巻、p.921−925
本発明の課題は、血小板凝集に関連する新規遺伝子を見出し、血小板凝集に関連する新規物質、血小板凝集または血小板機能低下に関連する疾患の治療剤および予防剤、該治療剤および予防剤として有用な物質を得る方法、物質の血小板凝集促進・阻害活性を測定する方法、血小板凝集に関連するポリペプチドの機能の解明、並びに、血小板凝集または血小板機能低下の解析方法を提供することである。
本発明者らは、血小板凝集に関連する遺伝子を探索する目的で、血小板凝集作用を有する事が知られていたgp44の遺伝子配列を特定すべく鋭意努力した結果、gp38Pとして知られているタンパク質の遺伝子配列がgp44をコードしていることを見出した。また、本発明者らは、この配列にコードされたタンパク質(gp38P)またはこの配列にコードされたタンパク質の発現に関与する物質が血小板凝集促進剤または血小板凝集抑制剤として使用できること、またgp38Pのホモログタンパク質またはこのホモログタンパク質の発現に関与する物質が血小板凝集促進剤または血小板凝集抑制剤として使用できること、そして、該蛋白質が血小板凝集作用を有するために必須のアミノ酸を特定し、並びに、これら配列にコードされるポリヌクレオチドまたはポリペプチドの発現を測定することにより、血小板凝集に関連する物質の探索および評価並びに血小板凝集または血小板機能低下の解析に利用できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、
(1) 血小板凝集促進または抑制活性を有する物質のスクリーニング方法であって、以下の工程を含む方法:
(i)gp44を発現する細胞を被験物質の存在下または非存在下で培養する;
(ii)上記(i)で得られた培養細胞における、下記(a)乃至(l)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列を含むmRNAの発現を検出する:
(a)配列表の配列番号1のヌクレオチド番号1から519に示されるヌクレオチド配列;
(b)配列表の配列番号3のヌクレオチド番号1から501に示されるヌクレオチド配列;
(c)配列表の配列番号5のヌクレオチド番号1から510に示されるヌクレオチド配列;
(d)配列表の配列番号7のヌクレオチド番号1から489に示されるヌクレオチド配列;
(e)配列表の配列番号13のヌクレオチド番号1から540に示されるヌクレオチド配列;
(f)上記(a)乃至(e)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、血小板凝集促進活性を有するポリペプチドをコードする、ヌクレオチド配列
(g)配列表の配列番号2のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(h)配列表の配列番号4のアミノ酸番号1から166に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(i)配列表の配列番号6のアミノ酸番号1から169に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(j)配列表の配列番号8のアミノ酸番号1から162に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(k)配列表の配列番号14のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(l)上記(g)乃至(k)のいずれか一つに記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、血小板凝集促進活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列。
(iii)上記(ii)で検出したmRNAの発現量を、被験物質の存在下で培養した細胞と、被験物質の非存在下で培養した細胞とで比較する;
(iv)被験物質の非存在下で培養した細胞と比較して、mRNAの発現量が少ない物質を血小板凝集抑制活性を有する物質として選択しまたはmRNAの発現量が多い物質を血小板凝集促進活性を有する物質として選択する、
(2) mRNAの発現の検出手段が、ノーザンブロット法、ドットブロット法、スロットブロット法、RT−PCR、リボヌクレアーゼ保護アッセイ法またはランオン・アッセイ法であることを特徴とする、(1)に記載のスクリーニング方法、
(3) 血小板凝集促進または抑制活性を有する物質のスクリーニング方法であって、以下の工程を含む方法:
(a)gp44を発現する細胞を被験物質の存在下または非存在下で培養する;
(b)上記(a)で得られた培養細胞における、下記(i)乃至(viii)のいずれか一つに記載のポリペプチドの発現を検出する:
(i)下記(i−1)乃至(i−5)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列にコードされるアミノ酸配列、または、その一部からなり、かつ、血小板凝集促進活性を有するポリペプチド:
(i−1)配列表の配列番号1のヌクレオチド番号1から519に示されるヌクレオチド配列;
(i−2)配列表の配列番号3のヌクレオチド番号1から501に示されるヌクレオチド配列;
(i−3)配列表の配列番号5のヌクレオチド番号1から510に示されるヌクレオチド配列;
(i−4)配列表の配列番号7のヌクレオチド番号1から489に示されるヌクレオチド配列;
(i−5)配列表の配列番号13のヌクレオチド番号1から540に示されるヌクレオチド配列;
(ii)上記(i−1)乃至(i−5)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドにコードされるアミノ酸配列からなり、かつ、血小板凝集促進活性を有するポリペプチド:
(iii)配列表の配列番号2のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(iv)配列表の配列番号4のアミノ酸番号1から166に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(v)配列表の配列番号6のアミノ酸番号1から169に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(vi)配列表の配列番号8のアミノ酸番号1から162に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(vii)配列表の配列番号14のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(viii)上記(iii)乃至(vii)のいずれか一つに記載のポリペプチドのアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、血小板凝集促進活性を有するポリペプチド。
(c)上記(b)で検出したペプチドの発現量を、被験物質の存在下で培養した細胞と、被験物質の非存在下で培養した細胞とで比較する;
(d)被験物質の非存在下で培養した細胞と比較して、ペプチドの発現量が少ない物質を血小板凝集抑制活性を有する物質として選択しまたはペプチドの発現量が多い物質を血小板凝集促進活性を有する物質として選択する、
(4) ポリペプチドの発現量の測定方法が、ウエスタンブロット法、ドットブロット法、スロットブロット法または固相酵素免疫定量法(ELISA法)であることを特徴とする、(3)に記載のスクリーニング方法、
(5) 物質の、血小板凝集促進または抑制活性を判定する方法であって、以下の工程を含む方法:
(i)gp44を発現する細胞を被験物質の存在下または非存在下で培養する;
(ii)上記(i)で得られた培養細胞における、下記(a)乃至(l)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列を有するmRNAの発現を検出する:
(a)配列表の配列番号1のヌクレオチド番号1から519に示されるヌクレオチド配列;
(b)配列表の配列番号3のヌクレオチド番号1から501に示されるヌクレオチド配列;
(c)配列表の配列番号5のヌクレオチド番号1から510に示されるヌクレオチド配列;
(d)配列表の配列番号7のヌクレオチド番号1から489に示されるヌクレオチド配列;
(e)配列表の配列番号13のヌクレオチド番号1から540に示されるヌクレオチド配列;
(f)上記(a)乃至(e)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、血小板凝集促進活性を有するポリペプチドをコードする、ポリペプチドのヌクレオチド配列(g)配列表の配列番号2のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(h)配列表の配列番号4のアミノ酸番号1から166に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(i)配列表の配列番号6のアミノ酸番号1から169に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(j)配列表の配列番号8のアミノ酸番号1から162に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(k)配列表の配列番号14のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(l)上記(g)乃至(k)のいずれか一つに記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、血小板凝集促進活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(c)上記(b)で検出したmRNAの発現量を、被験物質の存在下で培養した細胞と、被験物質の非存在下で培養した細胞とで比較する;
(d)被験物質の非存在下で培養した細胞と比較して、mRNAの発現量が少ない場合は血小板凝集抑制活性を有しまたはmRNAの発現量が多い場合は血小板凝集促進活性を有すると判定する、
(6) mRNAの発現の検出手段が、ノーザンブロット法、ドットブロット法、スロットブロット法、PT−PCR、リボヌクレアーゼ保護アッセイ法またはランオン・アッセイ法であることを特徴とする、(5)に記載の方法、
(7) 物質の、血小板凝集促進または抑制活性を判定する方法であって、以下の工程を含む方法:
(a)gp44を発現する細胞を被験物質の存在下または非存在下で培養する;
(b)上記(a)で得られた培養細胞における、下記(i)乃至(viii)のいずれか一つに記載のポリペプチドの発現を検出する:
(i)下記(i−1)乃至(i−5)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列にコードされるアミノ酸配列、または、その一部からなり、かつ、血小板凝集促進活性を有するポリペプチド:
(i−1)配列表の配列番号1のヌクレオチド番号1から519に示されるヌクレオチド配列;
(i−2)配列表の配列番号3のヌクレオチド番号1から501に示されるヌクレオチド配列;
(i−3)配列表の配列番号5のヌクレオチド番号1から510に示されるヌクレオチド配列;
(i−4)配列表の配列番号7のヌクレオチド番号1から489に示されるヌクレオチド配列;
(i−5)配列表の配列番号13のヌクレオチド番号1から540に示されるヌクレオチド配列;
(ii)上記(i−1)乃至(i−5)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドにコードされるアミノ酸配列からなり、かつ、血小板凝集促進活性を有するポリペプチド:
(iii)配列表の配列番号2のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(iv)配列表の配列番号4のアミノ酸番号1から166に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(v)配列表の配列番号6のアミノ酸番号1から169に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(vi)配列表の配列番号8のアミノ酸番号1から162に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(vii)配列表の配列番号14のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(viii)上記(iii)乃至(vii)のいずれか一つに記載のポリペプチドのアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、血小板凝集促進活性を有するポリペプチド。
(c)上記(b)で検出したペプチドの発現量を、被験物質の存在下で培養した細胞と、被験物質の非存在下で培養した細胞とで比較する;
(d)被験物質の非存在下で培養した細胞と比較して、ペプチドの発現量が少ない場合は血小板凝集抑制活性を有しまたはペプチドの発現量が多い場合は血小板凝集促進活性を有すると判定する、
(8) ポリペプチドの発現量の測定方法が、ウエスタンブロット法、ドットブロット法、スロットブロット法または固相酵素免疫定量法(ELISA法)であることを特徴とする、(7)に記載の方法、
(9) 血小板凝集抑制活性が、癌、癌の転移、肺血栓、脳梗塞、心筋梗塞もしくは動脈硬化または血管手術の際の血小板凝集の治療効果または予防効果である(1)乃至(8)のいずれか1項に記載の方法、
(10) 血小板凝集促進活性が、出血傾向、血液凝固障害、血友病、尿毒症または慢性骨髄増殖性疾患の治療効果または予防効果である(1)乃至(8)のいずれか1項に記載の方法。
(11) 血小板凝集促進に関連する疾患のモデルであって、下記の(a)乃至(l)のいずれか1項に記載のヌクレオチド配列を含む遺伝子が、該遺伝子を高発現することができるように導入されている非ヒトトランスジェニック動物であるモデル
(a)配列表の配列番号1のヌクレオチド番号1から519に示されるヌクレオチド配列;
(b)配列表の配列番号3のヌクレオチド番号1から501に示されるヌクレオチド配列;
(c)配列表の配列番号5のヌクレオチド番号1から510に示されるヌクレオチド配列;
(d)配列表の配列番号7のヌクレオチド番号1から489に示されるヌクレオチド配列;
(e)配列表の配列番号13のヌクレオチド番号1から540に示されるヌクレオチド配列;
(f)上記(a)乃至(e)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、血小板凝集促進活性を有するポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列
(g)配列表の配列番号2のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(h)配列表の配列番号4のアミノ酸番号1から166に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(i)配列表の配列番号6のアミノ酸番号1から169に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(j)配列表の配列番号8のアミノ酸番号1から162に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(k)配列表の配列番号14のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(l)上記(g)乃至(k)のいずれか一つに記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、血小板凝集促進活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、
(12) 血小板凝集促進に関連する疾患が、癌、癌の転移、肺血栓、脳梗塞、心筋梗塞もしくは動脈硬化または血管手術の際の血小板凝集である、(11)に記載のモデル
(13) 物質の、血小板凝集促進活性または血小板凝集促進に関連する疾患の治療剤若しくは予防剤としての効果を試験する方法であって、下記の工程を含む方法:
(a)(11)又は(12)に記載のモデルに被験物質を投与する;および
(b)(a)のモデルの血小板凝集能を測定する。
(14) 血小板凝集抑制に関連する疾患のモデルであって、下記の(a)乃至(l)のいずれか1項に記載のヌクレオチド配列を含む遺伝子が、ノックアウトされている非ヒト動物であるモデル
(a)配列表の配列番号1のヌクレオチド番号1から519に示されるヌクレオチド配列;
(b)配列表の配列番号3のヌクレオチド番号1から501に示されるヌクレオチド配列;
(c)配列表の配列番号5のヌクレオチド番号1から510に示されるヌクレオチド配列;
(d)配列表の配列番号7のヌクレオチド番号1から489に示されるヌクレオチド配列;
(e)配列表の配列番号13のヌクレオチド番号1から540に示されるヌクレオチド配列;
(f)上記(a)乃至(e)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、血小板凝集促進活性を有するポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列
(g)配列表の配列番号2のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(h)配列表の配列番号4のアミノ酸番号1から166に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(i)配列表の配列番号6のアミノ酸番号1から169に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(j)配列表の配列番号8のアミノ酸番号1から162に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(k)配列表の配列番号14のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(l)上記(g)乃至(k)のいずれか一つに記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、血小板凝集促進活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、
(15) 血小板凝集抑制に関連する疾患が、出血傾向、血液凝固障害、血友病、尿毒症または慢性骨髄増殖性疾患である、(14)に記載のモデル
(16) 物質の、血小板凝集抑制活性または血小板凝集抑制に関連する疾患の治療剤若しくは予防剤としての効果を試験する方法であって、下記の工程を含む方法:
(a)(14)または(15)に記載のモデルに被験物質を投与する;および
(b)(a)のモデルの血小板凝集能を測定する。
(17) 検体中の、下記(a)乃至(l)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列からなるmRNAの発現量を解析することによる、該検体提供者または該検体提供動物の血小板凝集または血小板機能障害の解析方法
(a)配列表の配列番号1のヌクレオチド番号1から519に示されるヌクレオチド配列;
(b)配列表の配列番号3のヌクレオチド番号1から501に示されるヌクレオチド配列;
(c)配列表の配列番号5のヌクレオチド番号1から510に示されるヌクレオチド配列;
(d)配列表の配列番号7のヌクレオチド番号1から489に示されるヌクレオチド配列;
(e)配列表の配列番号13のヌクレオチド番号1から540に示されるヌクレオチド配列;
(f)上記(a)乃至(e)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、血小板凝集促進活性を有するポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列
(g)配列表の配列番号2のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(h)配列表の配列番号4のアミノ酸番号1から166に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(i)配列表の配列番号6のアミノ酸番号1から169に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(j)配列表の配列番号8のアミノ酸番号1から162に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(k)配列表の配列番号14のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(l)上記(g)乃至(k)のいずれか一つに記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、血小板凝集促進活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、
(18) mRNAの発現の検出手段が、ノーザンブロット法、ドットブロット法、スロットブロット法、PT−PCR、リボヌクレアーゼ保護アッセイ法またはランオン・アッセイ法であることを特徴とする、(17)に記載の方法、
(19) 検体中の、下記(i)乃至(viii)のいずれか一つに記載のポリペプチドの発現量を解析することによる、該検体提供者または該検体提供動物の血小板凝集または血小板機能障害の解析方法
(i)下記(i−1)乃至(i−5)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列にコードされるアミノ酸配列、または、その一部からなり、かつ、血小板凝集促進活性を有するポリペプチド:
(i−1)配列表の配列番号1のヌクレオチド番号1から519に示されるヌクレオチド配列;
(i−2)配列表の配列番号3のヌクレオチド番号1から501に示されるヌクレオチド配列;
(i−3)配列表の配列番号5のヌクレオチド番号1から510に示されるヌクレオチド配列;
(i−4)配列表の配列番号7のヌクレオチド番号1から489に示されるヌクレオチド配列;
(i−5)配列表の配列番号13のヌクレオチド番号1から540に示されるヌクレオチド配列;
(ii)上記(i−1)乃至(i−5)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、血小板凝集促進活性を有するポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列:
(iii)配列表の配列番号2のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(iv)配列表の配列番号4のアミノ酸番号1から166に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(v)配列表の配列番号6のアミノ酸番号1から169に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(vi)配列表の配列番号8のアミノ酸番号1から162に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(vii)配列表の配列番号14のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(viii)上記(iii)乃至(vii)のいずれか一つに記載のポリペプチドのアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、血小板凝集促進活性を有するポリペプチド。
(20) ポリペプチドの発現量の検出手段が、ウエスタンブロット法、ドットブロット法、スロットブロット法または固相酵素免疫定量法であることを特徴とする、(19)に記載の方法、
21) 下記(i)乃至(XI)のいずれか一つに記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドに被験物質を含む試料を接触させ、次いで、該ポリペプチドの下記(i)乃至(XI)のいずれか一つに記載のアミノ酸配列部位に結合した物質を分離することを特徴とする、血小板凝集抑制活性を有する物質の単離方法。
(i)配列表の配列番号2に示されるアミノ酸配列において、アミノ酸番号34のアミノ酸を含み、連続した6個のアミノ酸配列;
(ii)配列表の配列番号4に示されるアミノ酸配列において、アミノ酸番号34のアミノ酸を含み、連続した6個のアミノ酸配列;
(iii)配列表の配列番号6に示されるアミノ酸配列において、アミノ酸番号41のアミノ酸を含み、連続した6個のアミノ酸配列;
(iv)配列表の配列番号6に示されるアミノ酸配列において、アミノ酸番号50のアミノ酸を含み、連続した6個のアミノ酸配列;
(v)配列表の配列番号8に示されるアミノ酸配列において、アミノ酸番号52のアミノ酸を含み、連続した6個のアミノ酸配列;
(vi)配列表の配列番号14に示されるアミノ酸配列において、アミノ酸番号34のアミノ酸を含み、連続した6個のアミノ酸配列;
(vii)配列表の配列番号2に示されるアミノ酸配列において、アミノ酸番号39から44のアミノ酸配列;
(viii)配列表の配列番号4に示されるアミノ酸配列において、アミノ酸番号39から44のアミノ酸配列;
(IX)配列表の配列番号6に示されるアミノ酸配列において、アミノ酸番号46から51のアミノ酸配列;
(X)配列表の配列番号8に示されるアミノ酸配列において、アミノ酸番号57から62のアミノ酸配列;
(XI)配列表の配列番号14に示されるアミノ酸配列において、アミノ酸番号39から44のアミノ酸配列。
22) 下記の(a)乃至(c)のいずれか一項に記載の物質を少なくとも一つ含むことからなる、血小板凝集促進または抑制活性を有する物質を検出するためのキット:
(a)配列表の配列番号1、3、5、7または13に記載のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドにストリンジェントな条件でハイブリダイズする、該ポリヌクレオチドの一部乃至全部を特異的に増幅するための15乃至30塩基長の連続したオリゴヌクレオチドプライマー;
(b)配列表の配列番号1、3、5、7または13に記載のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドにストリンジェントな条件でハイブリダイズする、該ポリヌクレオチドを検出するための15ヌクレオチド以上の連続したポリヌクレオチドプローブ;
(c)(a)又は(b)のいずれか一つに記載の物質が固定された固相化試料。
23) 下記の(a)乃至(c)のいずれか一項に記載の物質を少なくとも一つ含むことからなる、血小板凝集促進または抑制活性を有する物質を検出するためのキット:
(a)配列表の配列番号2、4、6、8または14に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドに特異的に結合する抗体;
(b)(a)に記載の抗体に結合し得る二次抗体;
(c)(a)又は(b)のいずれか一つに記載の物質が固定された固相化試料。
24) 下記の(a)乃至(c)のいずれか一項に記載の物質を少なくとも一つ含むことからなる、血小板凝集に関連する疾患を検出するためのキット:
(a)配列表の配列番号1、3、5、7または13に記載のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドにストリンジェントな条件でハイブリダイズする、該ポリヌクレオチドの一部乃至全部を特異的に増幅するための15乃至30塩基長の連続したオリゴヌクレオチドプライマー;
(b)配列表の配列番号1、3、5、7または13に記載のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドにストリンジェントな条件でハイブリダイズする、該ポリヌクレオチドを検出するための15ヌクレオチド以上の連続したポリヌクレオチドプローブ;
(c)(a)又は(b)のいずれか一つに記載の物質が固定された固相化試料、
25) 下記の(a)乃至(c)のいずれか一項に記載の物質を少なくとも一つ含むことからなる、血小板凝集に関連する疾患を検出するためのキット:
(a)配列表の配列番号2、4、6、8または14に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドに特異的に結合する抗体;
(b)(a)に記載の抗体に結合し得る二次抗体;
(c)(a)又は(b)のいずれか一つに記載の物質が固定された固相化試料、
26) 血小板凝集に関連する疾患が癌、癌の転移、肺血栓、脳梗塞、心筋梗塞または動脈硬化であることを特徴とする、(24)または(25)に記載のキット、
27) 血小板凝集に関連する疾患が結腸癌、直腸癌、小腸癌、精巣癌、セミノーマ(Seminoma)、扁平上皮癌であることを特徴とする、(24)または(25)に記載のキット、
28) 下記(i)乃至(XIV)のいずれか一つに記載のポリペプチドに特異的に結合し、血小板凝集阻害活性を有する抗体:
(i)下記(i−1)乃至(i−5)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列にコードされるアミノ酸配列、またはその一部からなるポリペプチド:
(i−1)配列表の配列番号1のヌクレオチド番号67から132に示されるヌクレオチド配列;
(i−2)配列表の配列番号3のヌクレオチド番号67から132に示されるヌクレオチド配列;
(i−3)配列表の配列番号5のヌクレオチド番号103から198に示されるヌクレオチド配列;
(i−4)配列表の配列番号7のヌクレオチド番号88から186に示されるヌクレオチド配列;
(i−5)配列表の配列番号13のヌクレオチド番号82から186に示されるヌクレオチド配列;
(ii)上記(i−1)乃至(i−5)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドにコードされるアミノ酸配列からなるポリペプチド:
(iii)配列表の配列番号2に示されるアミノ酸配列において、アミノ酸番号34のアミノ酸を含み、連続した6個以上のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(iv)配列表の配列番号4に示されるアミノ酸配列において、アミノ酸番号34のアミノ酸を含み、連続した6個以上のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(v)配列表の配列番号6に示されるアミノ酸配列において、アミノ酸番号41のアミノ酸を含み、連続した6個以上のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(vi)配列表の配列番号6に示されるアミノ酸配列において、アミノ酸番号50のアミノ酸を含み、連続した6個以上のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(vii)配列表の配列番号8に示されるアミノ酸配列において、アミノ酸番号52のアミノ酸を含み、連続した6個以上のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(viii)配列表の配列番号14に示されるアミノ酸配列において、アミノ酸番号34のアミノ酸を含み、連続した6個以上のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(IX)配列表の配列番号2に示されるアミノ酸配列において、アミノ酸番号39から44のアミノ酸配列を含むことからなるポリペプチド;
(X)配列表の配列番号4に示されるアミノ酸配列において、アミノ酸番号39から44のアミノ酸配列を含むことからなるポリペプチド;
(XI)配列表の配列番号6に示されるアミノ酸配列において、アミノ酸番号46から51のアミノ酸配列を含むことからなるポリペプチド;
(XII)配列表の配列番号8に示されるアミノ酸配列において、アミノ酸番号57から62のアミノ酸配列を含むことからなるポリペプチド;
(XIII)配列表の配列番号14に示されるアミノ酸配列において、アミノ酸番号39から44のアミノ酸配列を含むことからなるポリペプチド;
(XIV)上記(iii)乃至(XIII)のいずれか一つに記載のポリペプチドのアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチド、
29) 下記の(a)乃至(f)のいずれか一つに記載の血小板凝集活性を有さない変異体ポリペプチド:
(a)配列表の配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドの変異体であって、アミノ酸番号34のアミノ酸が他のアミノ酸に変換されていることを特徴とする、変異体ポリペプチド;
(b)配列表の配列番号4に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドの変異体であって、アミノ酸番号34のアミノ酸が他のアミノ酸に変換されていることを特徴とする、変異体ポリペプチド;
(c)配列表の配列番号6に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドの変異体であって、アミノ酸番号41のアミノ酸が他のアミノ酸に変換されていることを特徴とする、変異体ポリペプチド;
(d)配列表の配列番号6に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドの変異体であって、アミノ酸番号50のアミノ酸が他のアミノ酸に変換されていることを特徴とする、変異体ポリペプチド;
(e)配列表の配列番号8に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドの変異体であって、アミノ酸番号52のアミノ酸が他のアミノ酸に変換されていることを特徴とする、変異体ポリペプチド;
(f)配列表の配列番号14に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドの変異体であって、アミノ酸番号34のアミノ酸が他のアミノ酸に変換されていることを特徴とする、変異体ポリペプチド、
30) 他のアミノ酸がアラニンであることを特徴とする、(29)に記載の変異体ポリペプチド、
31) (29)又は(30)に記載の変異体ポリペプチドをコードしているDNA、
32) 下記の(a)乃至(l)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドを有効成分として含有する血小板凝集促進のための医薬組成物:
(a)配列表の配列番号1のヌクレオチド番号1から519に示されるヌクレオチド配列;
(b)配列表の配列番号3のヌクレオチド番号1から501に示されるヌクレオチド配列;
(c)配列表の配列番号5のヌクレオチド番号1から510に示されるヌクレオチド配列;
(d)配列表の配列番号7のヌクレオチド番号1から489に示されるヌクレオチド配列;
(e)配列表の配列番号13のヌクレオチド番号1から540に示されるヌクレオチド配列;
(f)上記(a)乃至(e)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、血小板凝集促進活性を有するポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列
(g)配列表の配列番号2のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(h)配列表の配列番号4のアミノ酸番号1から166に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(i)配列表の配列番号6のアミノ酸番号1から169に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(j)配列表の配列番号8のアミノ酸番号1から162に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(k)配列表の配列番号14のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(l)上記(g)乃至(k)のいずれか一つに記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、血小板凝集促進活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、
33) 下記の(a)乃至(l)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列のアンチセンス配列からなるポリヌクレオチドを含有する血小板凝集抑制のための医薬組成物。
(a)配列表の配列番号1のヌクレオチド番号1から519に示されるヌクレオチド配列;
(b)配列表の配列番号3のヌクレオチド番号1から501に示されるヌクレオチド配列;
(c)配列表の配列番号5のヌクレオチド番号1から510に示されるヌクレオチド配列;
(d)配列表の配列番号7のヌクレオチド番号1から489に示されるヌクレオチド配列;
(e)配列表の配列番号13のヌクレオチド番号1から540に示されるヌクレオチド配列;
(f)上記(a)乃至(e)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、血小板凝集促進活性を有するポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列
(g)配列表の配列番号2のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(h)配列表の配列番号4のアミノ酸番号1から166に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(i)配列表の配列番号6のアミノ酸番号1から169に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(j)配列表の配列番号8のアミノ酸番号1から162に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(k)配列表の配列番号14のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(l)上記(g)乃至(k)のいずれか一つに記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、血小板凝集促進活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、
34) 下記の(a)乃至(l)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドが組み込まれているベクターを含む、血小板凝集促進のための医薬組成物:
(a)配列表の配列番号1のヌクレオチド番号1から519に示されるヌクレオチド配列;
(b)配列表の配列番号3のヌクレオチド番号1から501に示されるヌクレオチド配列;
(c)配列表の配列番号5のヌクレオチド番号1から510に示されるヌクレオチド配列;
(d)配列表の配列番号7のヌクレオチド番号1から489に示されるヌクレオチド配列;
(e)配列表の配列番号13のヌクレオチド番号1から540に示されるヌクレオチド配列;
(f)上記(a)乃至(e)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、血小板凝集促進活性を有するポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列
(g)配列表の配列番号2のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(h)配列表の配列番号4のアミノ酸番号1から166に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(i)配列表の配列番号6のアミノ酸番号1から169に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(j)配列表の配列番号8のアミノ酸番号1から162に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(k)配列表の配列番号14のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(l)上記(g)乃至(k)のいずれか一つに記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、血小板凝集促進活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、
35) 下記の(a)乃至(l)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列のアンチセンス配列からなるポリヌクレオチドが組み込まれているベクターを含む、血小板凝集抑制のための医薬組成物:
(a)配列表の配列番号1のヌクレオチド番号1から519に示されるヌクレオチド配列;
(b)配列表の配列番号3のヌクレオチド番号1から501に示されるヌクレオチド配列;
(c)配列表の配列番号5のヌクレオチド番号1から510に示されるヌクレオチド配列;
(d)配列表の配列番号7のヌクレオチド番号1から489に示されるヌクレオチド配列;
(e)配列表の配列番号13のヌクレオチド番号1から540に示されるヌクレオチド配列;
(f)上記(a)乃至(e)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、血小板凝集促進活性を有するポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列
(g)配列表の配列番号2のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(h)配列表の配列番号4のアミノ酸番号1から166に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(i)配列表の配列番号6のアミノ酸番号1から169に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(j)配列表の配列番号8のアミノ酸番号1から162に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(k)配列表の配列番号14のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(l)上記(g)乃至(k)のいずれか一つに記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、血小板凝集促進活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列。
36) 下記の(i)乃至(viii)のいずれか一つに記載のポリペプチドを含有する血小板凝集促進のための医薬組成物:
(i)下記(i−1)乃至(i−5)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列にコードされるアミノ酸配列、または、その一部からなり、かつ、血小板凝集促進活性を有するポリペプチド:
(i−1)配列表の配列番号1のヌクレオチド番号1から519に示されるヌクレオチド配列;
(i−2)配列表の配列番号3のヌクレオチド番号1から501に示されるヌクレオチド配列;
(i−3)配列表の配列番号5のヌクレオチド番号1から510に示されるヌクレオチド配列;
(i−4)配列表の配列番号7のヌクレオチド番号1から489に示されるヌクレオチド配列;
(i−5)配列表の配列番号13のヌクレオチド番号1から540に示されるヌクレオチド配列;
(ii)上記(i−1)乃至(i−5)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドにコードされるアミノ酸配列からなり、かつ、血小板凝集促進活性を有するポリペプチド:
(iii)配列表の配列番号2のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(iv)配列表の配列番号4のアミノ酸番号1から166に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(v)配列表の配列番号6のアミノ酸番号1から169に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(vi)配列表の配列番号8のアミノ酸番号1から162に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(vii)配列表の配列番号14のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(viii)上記(iii)乃至(vii)のいずれか一つに記載のポリペプチドのアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、血小板凝集促進活性を有するポリペプチド、
37) 下記の(i)乃至(viii)のいずれか一つに記載のポリペプチドと特異的に結合する抗体を含有する血小板凝集抑制のための医薬組成物:
(i)下記(i−1)乃至(i−5)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列にコードされるアミノ酸配列、または、その一部からなり、かつ、血小板凝集促進活性を有するポリペプチド:
(i−1)配列表の配列番号1のヌクレオチド番号1から519に示されるヌクレオチド配列;
(i−2)配列表の配列番号3のヌクレオチド番号1から501に示されるヌクレオチド配列;
(i−3)配列表の配列番号5のヌクレオチド番号1から510に示されるヌクレオチド配列;
(i−4)配列表の配列番号7のヌクレオチド番号1から489に示されるヌクレオチド配列;
(i−5)配列表の配列番号13のヌクレオチド番号1から540に示されるヌクレオチド配列;
(ii)上記(i−1)乃至(i−5)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドにコードされるアミノ酸配列からなり、かつ、血小板凝集促進活性を有するポリペプチド:
(iii)配列表の配列番号2のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(iv)配列表の配列番号4のアミノ酸番号1から166に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(v)配列表の配列番号6のアミノ酸番号1から169に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(vi)配列表の配列番号8のアミノ酸番号1から162に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(vii)配列表の配列番号14のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(viii)上記(iii)乃至(vii)のいずれか一つに記載のポリペプチドのアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、血小板凝集促進活性を有するポリペプチド、
38) 血小板凝集抑制のための、(28)に記載の血小板凝集阻害活性を有する抗体を含有する医薬組成物、
39) 結腸癌、直腸癌、小腸癌、精巣癌、セミノーマ(Seminoma)、扁平上皮癌、癌の転移、肺血栓、脳梗塞、心筋梗塞、動脈硬化、出血傾向、血液凝固障害、血友病、もしくは慢性骨髄増殖性疾患の治療もしくは予防のためまたは血管手術の際の血小板凝集を抑制するための、(33)、(35)、(37)及び(38)から選択されるいずれか1項に記載の医薬組成物に関する。
本発明のポリペプチドは血小板凝集活性を有し、従って、本発明のポリペプチドおよび該ポリペプチドをコードする遺伝子は、血小板凝集促進剤として有用であり、血小板機能障害に関連する疾患の治療剤として有用である。また、本発明のポリペプチドおよび遺伝子は、血小板凝集または血小板機能障害に関連する疾患の治療剤および予防剤として有用な物質を得る方法、物質の血小板凝集促進・阻害活性を測定する方法、並びに、血小板凝集または血小板機能低下の解析方法に使用することができる。更に、本発明の血小板凝集活性または抑制活性を有する物質は、血小板凝集促進剤または抑制剤として有用である。
本明細書において、「血小板凝集に関連する疾患」とは、上記疾患を含む血小板凝集に起因または間接的に関与する疾患のことである。
本明細書において、「血小板機能低下に関連する疾患」とは、上記疾患を含む血小板数の減少または血小板機能低下に起因または間接的に関与する疾患のことである。
従って、本発明の「血小板凝集抑制活性を有する物質」は、血小板凝集に起因または間接的に関与する疾患、例えば、癌(特に、癌の転移)、肺血栓・脳梗塞・虚血性心疾患(心筋梗塞)(特に交通事故など外傷の激しい症状の際におきる肺血栓の抑制)、動脈硬化、静脈血栓症、末梢動脈血栓症、播種性血管内凝固(DIC)、抗リン脂質抗体症候群、高脂血症、糖尿病性慢性合併症、糸球体腎炎、肝疾患、移植、川崎病および血小板凝集能亢進症等の治療または予防あるいはバイパス手術または血管形成手術の後の閉塞または最狭窄の防止に有用である。
また、「血小板凝集促進活性を有する物質」は、血小板数の減少または血小板機能低下に起因または間接的に関与する疾患、例えば、出血傾向、血液凝固障害、血友病、尿毒症、慢性骨髄増殖性疾患等の治療または予防に有用である。
本明細書において、「gp44」とは、下記(i)乃至(viii)からなる群から選択されるいずれか一つに記載のポリペプチドのことである。
(i)下記(i−1)乃至(i−5)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列にコードされるアミノ酸配列、または、その一部からなり、かつ、血小板凝集促進活性を有するポリペプチド:
(i−1)配列表の配列番号1のヌクレオチド番号1から519に示されるヌクレオチド配列;
(i−2)配列表の配列番号3のヌクレオチド番号1から501に示されるヌクレオチド配列;
(i−3)配列表の配列番号5のヌクレオチド番号1から510に示されるヌクレオチド配列;
(i−4)配列表の配列番号7のヌクレオチド番号1から489に示されるヌクレオチド配列;
(i−5)配列表の配列番号13のヌクレオチド番号1から540に示されるヌクレオチド配列;
(ii)上記(i−1)乃至(i−5)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドにコードされるアミノ酸配列からなり、かつ、血小板凝集促進活性を有するポリペプチド:
(iii)配列表の配列番号2のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(iv)配列表の配列番号4のアミノ酸番号1から166に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(v)配列表の配列番号6のアミノ酸番号1から169に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(vi)配列表の配列番号8のアミノ酸番号1から162に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(vii)配列表の配列番号14のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(viii)上記(iii)乃至(vii)のいずれか一つに記載のポリペプチドのアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、血小板凝集促進活性を有するポリペプチド。
なお、糖鎖等により修飾されたペプチドも本発明のgp44に包含される。
また、「gp44を発現する細胞」とは、内在的にgp44を発現しまたは人為的操作によりgp44をコードした遺伝子を導入して発現した細胞のことである。細胞としては、動物細胞、昆虫細胞等を用いることができるが、好適には動物細胞であり、より好適にはマウス、ラット、イヌまたはヒトの細胞であり、特に好適には、マウス骨芽細胞株MC3T3−E1細胞、マウスリンパ節ストローマCA−12細胞、マウス脳毛細血管MBEC−4細胞、CHO細胞またはヒト293T細胞である。内在的にgp44を発現する細胞としては、動物細胞のうち、骨芽細胞、または、肺、脳、皮膚、骨、腸、腎、心臓、胎盤、骨格筋由来の細胞を挙げることができる。人為的に遺伝子を導入した細胞としては、例えば、一時的(一過性:transient)に遺伝子を形質発現させた細胞または定常的に遺伝子を形質発現させた(ステーブル)細胞を挙げることができる。
「物質」とは、単一の化合物の他、混合物をも含み、例えば、人工的に合成された有機化合物、天然に存在する有機化合物、抗体、ペプチドまたは遺伝子が挙げられる。
「検体」とは、被験者(患者、臨床試験の被験者を含む)または被験動物等から得られた、血液、生体組織または排泄物等の試料のことであり、好適には、骨芽細胞、肺、脳、皮膚、骨、腸、腎、心臓、胎盤または骨格筋の組織であり、より好適には、肺または骨格筋の組織である。
本明細書において、「ポリペプチド」は、糖鎖等により修飾されていてもよい。
「ストリンジェントな条件でハイブリダイズする」とは、市販のハイブリダイゼーション溶液ExpressHyb Hybridization Solution(クローンテック社)中、68℃でハイブリダイズすることである。また、DNAを固定したフィルターを用いた場合には、0.7−1.0MのNaCl存在下、68℃でハイブリダイゼーションを行った後、0.1−2倍濃度のSSC溶液(1倍濃度SSCとは、150mM NaCl、15mM クエン酸ナトリウムからなる)を用い68℃で洗浄することにより同定することができる条件またはそれと同等の条件でハイブリダイズすることである。
本発明の、血小板凝集抑制活性または血小板凝集促進活性を有する物質は、医薬として使用することができ、その投与形態としては、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤若しくはシロップ剤等による経口投与又は注射剤若しくは坐剤等による非経口投与を挙げることができる。
1.培養細胞を用いたスクリーニング方法
本発明の方法は、具体的には、配列表の配列番号1、3、5、7または13に示されるヌクレオチド配列、または、それがコードするポリペプチドと同じ活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列からなるmRNAの発現を、当該mRNAの特異的検出によって測定し、該mRNAの発現量を低下又は上昇させるような被験物質を血小板凝集抑制又は促進剤として選択する方法である。
なお、配列表の配列番号1に示されるヌクレオチド配列を含む配列は、Mouse glycoprotein 38 mRNA, complete cdsとして、GenBankにアクセッション番号M96645として登録されており、配列表の配列番号3に示されるヌクレオチド配列を含む配列はRattus norvegicus Sprague-Dawley (T1-alpha) mRNA, complete cdsとして、GenBankにアクセッション番号U07797として登録されており、配列表の配列番号5に示されるヌクレオチド配列を含む配列は、C.familiaris mucin-type membrane protein gp40として、GenBankにアクセッション番号Z81018として登録されており、配列表の配列番号7に示されるヌクレオチド配列を含む配列は、Homo sapiens lung type-I cell membrane-associated protein hT1a-2 (hT1a-2) mRNA, complete cdsとしてGenBankにアクセッション番号AF030428として登録されており、配列表の配列番号13に示されるヌクレオチド配列を含む配列はMus musculus mRNA for glycoprotein 38 podoplanin homologue (Gp38P gene)として、GenBankにアクセッション番号AJ297944として登録されている。
また、本発明の方法は、具体的には、配列表の配列番号2、4、6、8または14のアミノ酸配列、または、これらと同じ活性を有するポリペプチドをコードするアミノ酸配列からなるポリペプチドの発現を、当該ポリペプチドの特異的検出によって測定し、該ポリペプチドの発現量を低下/上昇させるような被験物質を血小板凝集抑制/促進剤として選択する方法である。
なお、配列表の配列番号2、4、6、8または14に示されるアミノ酸配列は、GenBankのアクセッション番号M96645、U07797、Z81018、AF030428またはAJ297944に登録されている。
(1)gp44を発現する細胞の調製
コロニーハイブリダイゼーション等の公知の方法により、マウス、ラット、イヌまたはヒトの組織由来のcDNAライブラリーから完全長cDNAを取得し、該cDNAを細胞に導入することにより、gp44を発現する細胞を得ることができる。
cDNAライブラリーから完全長cDNAを取得する際に使用されるプローブとしては、配列表の配列番号1、3、5、7または13に記載されたヌクレオチド配列の一部からなる、15乃至30塩基長の連続したオリゴヌクレオチド断片のプローブを使用することができる。プローブの長さは、好適には、15乃至20塩基長である。
導入する細胞としては、動物細胞、昆虫細胞等を用いることができるが、好適には動物細胞であり、より好適には、霊長類、げっ歯類またはイヌであり、より更に好適にはマウス、ラット、イヌまたはヒトの細胞である。
細胞に導入する方法としては、ウイルスベクターを用いる方法、発現プラスミドを直接投与する方法、リポソーム法、リポフェクション法、マイクロインジェクション法、カルシウムホスフェート法またはエレクトロポレーション法等が挙げられる。
ウイルスベクターを用いる場合、使用されるウイルスとしては、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス、ポリオウイルス等のDNAウイルス、または、RNAウイルスを挙げることができる。これらのうち、好適には、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルスまたはワクシニアウイルスであり、更に好適には、レトロウイルスまたはアデノウイルスである。
(2)gp44を発現する細胞の培養および被験物質の添加
gp44を発現する細胞は、gp44を発現可能な条件であれば、通常用いられる培養方法で培養することができる。例えば、新生化学実験講座(日本生化学会編 東京化学同人 1990)記載の方法により培養することができる。
被験物質は、培地、燐酸バッファー等で所望の濃度に調製した後、培養培地に添加して一定期間培養する。
被験物質としては、特に限定されず、微生物の培養液や動植物の組織からの抽出物、培養細胞の培養液からの抽出物、人工的に合成された無機または有機化合物、組換えタンパク質、抗体またはその断片、アンチセンス核酸、siRNA等の核酸、それらの塩、それらの誘導体、もしくはそれらの中の複数種類の物質を混合した組成物などがいずれも用いられ得る。
被験物質の添加量および濃度は、適宜設定するかまたは希釈系列を作成する等により複数種の添加量を設定することができる。
被験物質添加後の培養時間は、適宜設定することができるが、通常30分から24時間である。
上記により培養した細胞は、所望により、以下の(3)の方法を用いてそのmRNAの発現を検出することにより、または、以下の(4)の方法を用いてそのポリペプチドの発現を検出することにより、被験物質のスクリーニングを行うことができる。
(3)mRNAを用いたスクリーニング方法
(3−1)mRNA試料の調製
RNA(mRNAを含む。以下同じ。)は、培養を終了した細胞を直ちにRNA抽出用の溶媒(例えば、フェノール等リボヌクレアーゼを不活性化する作用を有する成分を含むもの)で直接溶解するのが好ましい。
また、RNAは、細胞を破壊しないようにスクレーパーで慎重に掻きとる方法またはトリプシンなどのタンパク質分解酵素を用いて穏やかに培養基材から分離させる方法等により細胞を回収した後、抽出することもできる。
RNAの抽出方法としては、チオシアン酸グアジニン・塩化セシウム超遠心法、チオシアン酸グアジニン・ホットフェノール法、グアニジン塩酸法、酸性チオシアン酸グアニジン・フェノール・クロロホルム法(Chomczynski, P. and Sacchi, N., (1987) Anal. Biochem., 162, 156-159)等が挙げられるが、酸性チオシアン酸グアニジン・フェノール・クロロホルム法が好適である。また、市販のRNA抽出用試薬(例えば、ISOGEN(ニッポンジーン(株)製)TRIZOL試薬(ギブコ・ビーアールエル社)等)を試薬に添付のプロトコールに従って用いることもできる。
mRNAは、上記方法により得られたRNA抽出物を更に精製することにより得ることができる。真核細胞の細胞質に存在するmRNAの多くは、その3’末端にポリ(A)配列を持つことが知られており、mRNAは、この特徴を利用して精製することができる。例えば、mRNAをビオチン化したオリゴ(dT)プローブに吸着させて複合体を生成させ、次いで、この複合体をビオチン/ストレプトアビジン間の結合を利用して、ストレプトアビジンを固定化した常磁性粒子に捕捉し、洗浄した後、溶出することにより、mRNAを精製することができる。また、オリゴ(dT)セルロースカラムにmRNAを吸着させて、次にこれを溶出することにより、mRNAを精製することもできる。
ただし、本発明の方法には、これらmRNAの精製工程は必須ではなく、配列表の配列番号1、3、5、7及び13に示されるヌクレオチド配列、並びに、それがコードするポリペプチドと同じ活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列からなるmRNAの発現の検出が可能である限り、RNA抽出物をそのまま検出工程に用いることができる。
(3−2)mRNA発現の検出・評価
抽出されたmRNAは、RT−PCR法、ノーザンハイブリダイゼーション法、リボヌクレアーゼ保護アッセイ、ランオン・アッセイ、DNAチップ解析、DNAマイクロアレイ解析、メンブレンフィルター解析またはその他の解析法を用いることにより、検出することができる。
(3−2−1)RT−PCR法
上記(a)乃至(l)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列からなるmRNAを鋳型とする逆転写酵素反応を行い、次いで、PCRを実施して特異的にDNA断片を増幅する。
逆転写酵素反応に使用するプライマーは、対象となるmRNAの特定の部分配列に相補的な、連続した15乃至40塩基長のアンチセンスプライマーである。プライマーの長さは、好適には18乃至30塩基長であり、更に好適には21乃至30塩基長である。
逆転写酵素反応により精製されるcDNAをPCRにより増幅する際に使用するプライマーは、該cDNAの特定の部分配列に相補的な、連続した15乃至40塩基長のセンスプライマーである。プライマーの長さは、好適には18乃至30塩基長であり、更に好適には21乃至30塩基長である。
RT−PCR反応は、常法に従って行うことができる。なお、RT−PCRに用いる試料は、精製されたmRNAでなくても良い。
増幅されたmRNAは、PCR終了後、反応液を電気泳動にかけて目的の長さの核酸が示すバンドを測定することにより検出することができる。定量的な検出を行うためには、あらかじめ段階希釈したcDNAクローンを標準の鋳型DNAとして同条件でPCRにより増幅し、定量的検出が可能な温度サイクル数を定めておくか、または、例えば5サイクル毎に一部反応液をサンプリングしてそれぞれ電気泳動を行う。また、例えば、PCR反応時に放射標識dCTPを用いることにより、バンド中に取り込まれた放射能の量を指標に定量を行うこともできる。更に、ポリヌクレオチド定量の信頼性を高めた方法として、上記RT−PCRを改良した競合RT−PCR法(Souaze et al. (1996) BioTechniques 21, 280-285)や、Taqman PCR法(Heid et al. (1996) Genom. Res. 6, 986-994)等も利用することができる。
被験物質の存在下で培養した細胞から抽出したmRNAの量が、被験物質の非存在下で培養した細胞から抽出したmRNAの量と比べて、増加している場合は血小板凝集促進活性を有する物質として選択し、減少している場合には血小板凝集抑制活性を有する物質として選択することができる。
(3−2−2)ノーザンハイブリダイゼーション
本方法は、本発明が属する技術分野において周知の方法で行うことができる(例えば、バイオ実験イラストレイテッド4, p148, 秀潤社)。
物質の選択は上記(3−2−1)と同様に行うことができる。
(3−2−3)リボヌクレアーゼ保護アッセイ
RNA試料中の目的のmRNAのみを、相補的な標識プローブとハイブリダイズさせ、二本鎖ポリヌクレオチドを形成させた後、リボヌクレアーゼを添加してインキュベーションを行う。これにより、二本鎖を形成しているポリヌクレオチドはリボヌクレアーゼにより消化されず、二本鎖を形成していないRNAはリボヌクレアーゼにより消化される。よって、上記インキュベーション後の二本鎖ポリヌクレオチドを定量することにより、目的のmRNAの発現量を測定することができる。なお、好適には、二本鎖を形成しなかった標識プローブを、二本鎖ポリヌクレオチドから分離して定量する。
本方法において、標識プローブとしては、DNAまたはRNAを使用することができ、好適には、RNAである。プローブの長さは、好適には、50乃至500塩基長である。標識プローブは5×10pmol相当の量を用いるのが好ましい。
RNAプローブは、例えば、以下の方法によって調製することができる。鋳型DNAをバクテリオファージのプロモーター(T7、SP6、T3プロモーター等)を有するプラスミドベクター(例えば、pGEM−T(プロメガ製)等)に挿入して組換えプラスミドベクターを作製する。該プラスミドベクターを制限酵素で消化し、挿入断片のすぐ下流の一箇所で切断する。得られた直鎖DNAを鋳型とし、プロモーターに対応したポリメラーゼを用いて、放射能標識されたリボヌクレオチド存在下、インビトロ転写反応を行う。本反応は、例えば、リボプローブシステム−T7、リボプローブシステム−SP6またはリボプローブシステム−T3(いずれもプロメガ社)を用いて行うこともできる。
リボヌクレアーゼとしては、所望のものを使用することができるが、標識プローブとしてDNAを使用する場合には、一本鎖DNAも消化できるものが好ましい。
RNA試料としては、精製されたmRNAを使用することが好ましい。また、RNA試料は10乃至20μg相当の量を用いることが好ましい。
なお、本方法は、市販のキット(HybSpeed RPA Kit, アンビオン社)を用いて行うことができる。
得られたリボヌクレアーゼ消化後の試料は、8M尿素を含む4乃至12%ポリアクリルアミドゲルで電気泳動した後、ゲルを乾燥させ、X線フィルムでオートラジオグラフィーを行うことにより検出することができる。検出したバンドの定量は、常法に従って行うことができる。また、各試料間のRNA量の差などに起因するばらつきは、ベータ−アクチン遺伝子の発現量を同時に測定することにより補正することができる。
物質の選択は上記(3−2−1)と同様に行うことができる。
(3−2−4)ランオン・アッセイ(Run-on assay, Greenberg, M.E. and Ziff, E.B.B. (1984) Nature 311, 433-438, Groudine, M. et al. (1981) Mol. Cell Biol. 1, 281-288)
本方法は、細胞内のmRNAの量を直接検出するのではなく、細胞から単離した核の中にある目的の遺伝子の転写活性を測定する方法であり、本発明の、「ポリヌクレオチドの発現量を測定する方法」は、本方法を包含する。
細胞核を単離して、試験管内で転写反応を行うことにより、核を単離する前に既に転写が開始され、mRNA鎖が生成されている途中のものを伸張させる反応を進行させることができる。本転写反応において、放射標識したリボヌクレオチドを添加することにより、伸張するmRNAを標識することができる。非標識のプローブにハイブリダイズするmRNAを検出することにより、核を単離した時点における目的のポリヌクレオチドの転写活性を測定することができる。
被験物質の存在下で培養した細胞の核の転写活性が、被験物質の非存在下で培養した細胞の核の転写活性と比べて、強い場合は血小板凝集促進活性を有する物質として選択し、弱い場合には血小板凝集抑制活性を有する物質として選択することができる。
(3−2−5)DNAチップ解析、DNAマイクロアレイ解析、メンブレンフィルター解析
(プローブの標識)
前記、(3−1)で得られたmRNAをプローブ用試料として標識する。標識する試料は、精製されたmRNAが好ましい。
アフィメトリクス社製DNAチップにより解析する場合、使用するプローブは、該チップに添付されたプロトコールに従い、ビオチンで標識する。
DNAマイクロアレイにより解析する場合、使用するプローブは、逆転写酵素反応でポリ(A)RNAからcDNAを作製する際に、蛍光色素(例えば、Cy3、Cy5など)で標識されたd−UTPなどを加えておくことによりcDNAを蛍光標識する。この際、被験物質存在下で培養した細胞由来の試料と、被験物質非存在下で培養した細胞由来の試料をそれぞれ異なる色素で標識した場合には、後のハイブリダイゼーション操作において、両者を混合して用いることができる。
メンブレンフィルターを用いて解析する場合、逆転写酵素反応でポリ(A)+RNAからcDNAを作製する際に、放射性同位元素(例えば、32P、33Pなど)で標識されたd−CTPなどを加えておくことによりプローブを標識することができる。
(固相化試料の作製)
(a) DNAチップ解析
固相化試料としては、例えば、データベース上のEST(expressed sequence tag)配列若しくはmRNA配列を基に合成したアンチセンスオリゴヌクレオチドが固相化された遺伝子チップ(例えば、アフィメトリックス社製(Lipshuts, R. J. et al. (1999) Nature genet. 21, suppliment, 20-24)等)を使用することができる。
固相化するオリゴヌクレオチドのEST配列またはmRNA配列の由来は、本発明のポリペプチドを検出しうるものであれば特に限定は無いが、好適には、近縁種の動物由来であり、更に好適には、プローブの調製に用いた動物と同種の動物由来である。
(b) DNAマイクロアレイ解析・メンブレンフィルター解析
また、固相化試料としてプローブ調製に用いた細胞と同種若しくは近縁の動物の臓器組織から単離若しくは株化された細胞から得られたmRNAより作製されたcDNA若しくはRT−PCR産物が固相化されたDNAマイクロアレイ若しくはメンブレンフィルターを使用することができる。
固相化するcDNAまたはRT−PCR産物としては、例えば、mRNAの材料とした動物のESTデータベースなどの配列情報を基に作製されたプライマーで逆転写酵素反応やPCRを実施することによりクローン化されたものを使用することができる。試料を調製するための材料としては、配列表の配列番号1、3、5、7または13に示されるヌクレオチド配列、または、それがコードするポリペプチドと同じ活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を有する遺伝子の少なくともいずれか一つを発現している細胞を使用する。該細胞として、好ましくは、プローブ調製に用いた細胞と同種若しくは近縁の動物の臓器組織から単離若しくは株化された細胞である。cDNAまたはRT−PCR産物としては、予め発現量の異なるmRNAを、サブトラクション法(Diatchenko, L. et al. (1996) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 93, 6025-6030)、ディファレンシャルディスプレイ法(Kato, K. (1995) Nucleic Acids Res. 23, 3685-3690)等を利用して選択しながら作製されたものを使用することもできる。DNAマイクロアレイまたはメンブレンフィルターは、検出対象となる遺伝子を含むものでれば市販品を利用することもでき、または、市販のスポッター(例えば、GMS417アレイヤー:宝酒造社)を用いて固相化して作製することもできる。
(ハイブリダイゼーション・解析)
上記で得られたプローブ、固相化試料を用いて、ハイブリダイゼーション操作を行う。(Brown, P. O. et al. (1999) Nature genet. 21, suppliment, 33-37)
(a) DNAチップ解析
例えば、アフィメトリックス社製遺伝子チップに添付のプロトコール(発現解析技術マニュアル)に従って、アフィメトリックス社製の解析装置(GeneChip Fluidics Station 400)を用いてハイブリダイゼーションおよび解析を行い、アビジンによる発光を検出、解析を行う。
(b) DNAマイクロアレイ解析
常法によりハイブリダイゼーションを行ない、洗浄した後、蛍光検出器を用いて蛍光強度を検出する。例えば、アレイとして例えば、宝酒造(株)社の市販アレイを用いる場合、同社のプロトコールに従いハイブリダイゼーションおよび洗浄を行って、蛍光シグナル検出機(例えばGMS418アレイスキャナー(宝酒造(株)社)等)で蛍光シグナルを検出後、解析を行う。
(c) メンブレンフィルター解析
常法によりハイブリダイゼーションを行ない、例えば、市販のフィルター製マイクロアレーである、アトラスシステム(クローンテック社)を用いてハイブリダイゼーションおよび洗浄を行った後、解析装置(例えば、アトラスイメージ:クローンテック社等)を用いて検出を行う。
前記(a)乃至(c)のいずれに記載の方法も、同一ロットの固相化試料に被験物質存在下で培養した細胞由来のプローブと、被験物質非存在下で培養した細胞由来のプローブをそれぞれハイブリダイズさせる。このとき、使用するプローブ以外のハイブリダイゼーション以外の条件は同じとする。蛍光標識プローブを用いる場合には、それぞれのプローブを異なる蛍光色素で標識しておけば一つの固相化試料に両プローブの混合物を一度にハイブリダイズさせて蛍光強度を読み取ることができる(Brown, P. O. et al. (1999) Nature genet, 21, supplement, 33-37)。
(判定)
物質の選択は上記(3−2−1)と同様に行うことができる。
(3−2−6)その他の解析法
本発明の方法は、上記以外にも被験物質存在下または非存在下で培養した細胞由来のmRNAを検出することができる方法であれば、特に限定されない。上記以外の検出方法としては、例えば、サブトラクションクローニング法、ディファレンシャルディスプレイ法、単一の反応においてPCRとハイブリダイゼーションプロービング(以下、「プロービング」という。)を組み合わせて行う「Taqman」として知られる技術(Holland, P. M. et al. (1991) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88, 7276-7280)、単一の反応においてPCRをプロービングと組み合わせた方法(Higuchi et al. Biotechnology,10, 413-417(1992))、ライトサイクラーシステム(ロシュ・ダイアグノスティクス社、日本特許公開2000−312600号公報参照)等を挙げることができる。
(4)ポリペプチドを用いたスクリーニング方法
(4−1)ポリペプチド試料の調製
(a) ウエスタンブロット法
ウエスタンブロット法に用いる試料は、例えば、培養上清をトリクロロ酢酸処理してタンパク質を沈殿させ、遠心分離により沈殿物を回収し、回収した沈殿物を氷冷したアセトンで洗浄し、風乾後、SDS−ポリアクリルアミド電気泳動用の2−メルカプトエタノールを含むサンプル緩衝液(バイオラッド社等)に溶解することにより作製することができる。
(b) ドットブロット法、スロットブロット法、固相酵素免疫定量法
ドットブロット法、スロットブロット法または固相酵素免疫定量法に用いる試料は、例えば、培養上清そのものまたは緩衝液で適宜希釈することにより得られる。
(4−2)ポリペプチド試料の固相化
上記により得られた試料中のポリペプチドを特異的に検出するため、該試料を固相化する。
(a) ウエスタンブロット法、ドットブロット法、スロットブロット法
ウエスタンブロット法、ドットブロット法またはスロットブロット法では、試料を電気泳動した後、ゲルからメンブレンにポリペプチドを移す(ブロッティング)ことにより固相化することができる。
使用されるメンブレンとしては、例えば、ニトロセルロースメンブレン(バイオラッド社等)、ナイロンメンブレン(ハイボンド−ECL(アマシャム・ファルマシア社)等)、コットンメンブレン(ブロットアブソーベントフィルター(バイオラッド社)等)またはポリビニリデン・ジフルオリド(PVDF)(バイオラッド社等)を挙げることができる。
ブロッティング方法としては、ウェット式ブロッティング法、セミドライ式ブロッティング法(ともにCURRENT PROTOCOLS IN IMMUNOLOGY volume2 ed. by J. E. Coligan, A. M. Kruisbeek, D. H. Margulies, E. M. Shevach, W. Strober参照)等を挙げることができる。また、ウエスタンブロット法、ドットブロット法またはスロットブロット法のための市販のキットを使用することもできる(例えば、バイオラッド社等)。
(b) 固相酵素免疫定量法(EIA法、ELISA法)
固相酵素免疫定量法では、試料またはその希釈液を専用の96穴プレート(例えば、イムノプレート・マキシソープ(ヌンク社)等)に加え、4℃乃至室温で一晩または37℃で1乃至3時間静置することによりウェル内底面にポリペプチドを吸着させて固相化することができる。
(4−3)抗体の調製
本方法に用いる抗体は、本発明のgp44またはその一部を特異的に認識するものである。具体的には、本方法に用いる抗体は、下記(i)乃至(viii)に記載のポリペプチドまたはその一部を特異的に認識するものである。
(i)下記(i−1)乃至(i−5)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列にコードされるアミノ酸配列、または、その一部からなり、かつ、血小板凝集促進活性を有するポリペプチド:
(i−1)配列表の配列番号1のヌクレオチド番号1から519に示されるヌクレオチド配列;
(i−2)配列表の配列番号3のヌクレオチド番号1から501に示されるヌクレオチド配列;
(i−3)配列表の配列番号5のヌクレオチド番号1から510に示されるヌクレオチド配列;
(i−4)配列表の配列番号7のヌクレオチド番号1から489に示されるヌクレオチド配列;
(i−5)配列表の配列番号13のヌクレオチド番号1から540に示されるヌクレオチド配列;
(ii)上記(i−1)乃至(i−5)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、血小板凝集促進活性を有するポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチドがコードするポリペプチド:
(iii)配列表の配列番号2のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(iv)配列表の配列番号4のアミノ酸番号1から166に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(v)配列表の配列番号6のアミノ酸番号1から169に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(vi)配列表の配列番号8のアミノ酸番号1から162に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(vii)配列表の配列番号14のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(viii)上記(iii)乃至(vii)のいずれか一つに記載のポリペプチドのアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、血小板凝集促進活性を有するポリペプチド。
本発明の方法に使用する抗体として、好適には、上記(i)乃至(viii)のいずれか一つのポリペプチドと結合することができ、かつ、他のいかなるマウス又はヒト由来のタンパク質とも結合しないような抗体である。
本発明の方法に使用する抗体は、常法により(例えば、新生化学実験講座1, タンパク質1, p389-397, (1992))、抗原となるポリペプチドまたはその一部を動物に免疫し、生体内に産生される抗体を採取、精製することによって得ることができる。また、公知の方法(例えば、Kohler and Milstein, Nature 256, 495-497 (1975), Kennet, R. ed., Monoclonal Antibody p.365-367 (1980), Prenum press, N.Y.)に従って、本発明のポリペプチドに対する抗体を産生する抗体産生細胞とミエローマ細胞とを融合させることによりハイブリドーマを樹立し、モノクローナル抗体を得ることもできる。
抗原としては、上記(i)乃至(viii)のいずれか一つに記載のポリペプチドもしくはその少なくとも6個連続した部分アミノ酸配列からなるポリペプチドまたはそのポリペプチドに任意のアミノ酸配列や単体が付加された誘導体を使用することができる。
抗原となるポリペプチドは、in vitroにて合成し、または、遺伝子操作した宿主細胞に産生させることにより得ることができる。具体的には、発現ベクターに抗原となるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを組み込み、該ベクターを転写と翻訳に必要な酵素、基質およびエネルギー物質を含む溶液中で反応させることにより得ることができる。または、形質転換させた、原核生物若しくは真核生物の宿主細胞に、該ヌクレオチドを発現させることにより、目的のポリヌクレオチドを得ることができる。
ポリペプチドのin vitroでの合成方法としては、例えば、ラピッドトランスレーションシステム(RTS)(ロシュ・ダイアゴノスティックス社)を用いた方法を挙げることができる。本方法は、目的の遺伝子をT7プロモーターにより制御される発現ベクターにクローニングし、該ベクターとT7RNAポリメラ−ゼをin vitroの反応系に添加して、鋳型DNAよりmRNAを転写させ、次いで、大腸菌溶解液中のリボソーム等を加えることにより、mRNAが翻訳されて目的のポリペプチドが反応液中に合成させる方法である(Biochemica, 1, 20-23 (2001), Biochemica, 2, 28-29 (2001))。
ポリペプチドを遺伝子操作した宿主細胞に産生させることにより得る場合、宿主として使用することができる原核細胞は、本方法に使用することができる原核細胞であれば特に限定はなく、例えば、大腸菌(Escherichia coli)、枯草菌(Bacillus subtilis)等を挙げることができる。
大腸菌としては、例えば、K12株を使用することができる。
枯草菌としては、例えば、207−25株を使用することができる。
ベクターとしては、本方法に使用することができるベクターであれば特に限定はなく、例えば、宿主として大腸菌を用いた場合には、pBR322やpUC系のプラスミドが用いられ、宿主として枯草菌を用いた場合には、pTUB288(Ohmura, K. et al. (1984) J. Biochem. 95, 87-93)が用いられる。宿主として枯草菌を用いた場合、枯草菌のα−アミラーゼのシグナルペプチド配列をコードするDNA配列を連結させることにより、発現したポリペプチドを菌体外へ分泌させることができる。
宿主として原核細胞を使用する場合、プロモーターとしては、目的のポリペプチドの産生に使用することができるプロモーターであれば特に限定はないが、例えば、大腸菌においては、トリプトファン(trp)プロモーター、ラクトース(lac)プロモーター、トリプトファン・ラクト−ス(tac)プロモーター、リポプロテイン(lpp)プロモーター、ポリペプチド鎖伸張因子Tu(tufB)プロモーター等が挙げられる。
また、宿主として使用することができる真核細胞は、本方法に使用することができる真核細胞であれば特に限定はなく、例えば、脊椎動物細胞、昆虫細胞、酵母等を挙げることができる。脊椎動物細胞としては、例えば、サルの細胞であるCOS細胞(Gluzman, Y. (1981) Cell 23, 175-182, ATCC CRL-1650)、チャイニーズ・ハムスター卵巣細胞(CHO細胞)(ATCC CCL-61)のジヒドロ葉酸還元酵素欠損株(Urlaub, G. and Chasin, L.A. (1980) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77, 4 126-4220)を挙げることができる。
宿主として真核細胞を使用する場合、プロモーターとしては、発現しようとする遺伝子の上流に位置するプロモーター、RNAのスプライス部位、ポリアデニル化部位および転写終結配列等を有するものを使用することができ、必要に応じて複製起点を有するプロモーターも使用することができる。該プロモーターを有する発現ベクターとしては、例えば、サイトメガロウイルス初期プロモーターを有するpCR3.1(Invitrogen社)、SV40の初期プロモーターを有するpSV2dhfr(Subramani, S. et al. (1981) Mol. Cell. Biol. 1, 854-864)等を挙げることができる。
例えば、宿主細胞としてCOS細胞を用いる場合、発現ベクターとしては、SV40複製起点を有し、COS細胞において自立増殖が可能であり、転写プロモーター、転写終結シグナル、および、RNAスプライス部位を備えたものを用いることができる。
該発現ベクターを、ジエチルアミノエチル(DEAE)−デキストラン法(Luthman, H. and Magnusson, G. (1983) Nucleic Acids Res, 11, 1295-1308)、リン酸カルシウム−DNA共沈殿法(Graham, F. L. and van der Eb, A. J. (1973) Virology 52, 456-457)またはエレクトロポレーション法(Neumann, E. et al. (1982) EMBO J. 1, 841-845)等によりCOS細胞に取り込ませることにより、所望の形質転換細胞を得ることができる。
また、宿主細胞としてCHO細胞を用いる場合、発現ベクターと共に、抗生物質G418耐性マーカーとして機能するneo遺伝子を発現し得るベクター、例えばpRSVneo(Sambrook, J. et al. (1989) : “Molecular Cloning A Laboratory Manual“ Cold Spring Harbor Laboratory, NY)またはpSV2neo(Southern, P. J. and Berg, P. (1982) J. Mol. Appl. Genet. 1, 327-341)等をコ・トランスフェクトし、G418耐性のコロニーを選択することにより、目的のポリペプチドを安定に産生する形質転換細胞を得ることができる。
宿主細胞として昆虫細胞を用いる場合、そのような昆虫細胞としては、例えば、鱗翅類ヤガ科のSpodoptera frugi perdaの卵巣細胞由来株化細胞(Sf−9またはSf−21)やTrichoplusia niの卵細胞由来High Five細胞(Wickham, T. J. et al, (1992) Biotechnol. Prog. I: 391-396)等を用いることができる。
宿主細胞として昆虫細胞を用いる場合、使用されるベクターとしては、バキュロウイルストランスファーベクター、特に、オートグラファ核多角体ウイルス(AcNPV)のポリヘドリンタンパク質のプロモーターを利用したpVL1392/1393(Kidd, I. M. and V.C. Emery (1993) The use of baculoviruses as expression vectors. Applied Biochemistry and Biotechnology 42, 137-159)、または、バキュロウイルスのP10若しくは同塩基性タンパク質のプロモーターを利用したベクター等を挙げることができる。また、AcNPVのエンベロープ表面タンパク質GP67の分泌シグナル配列を目的タンパク質のN末端側に繋げることにより、組換えタンパク質を分泌タンパク質として発現させることもできる。
宿主細胞として酵母を用いる場合、そのような酵母としては、サッカロミセス属酵母(例えば、パン酵母Saccharomyces cerevisiae、石油酵母Pichia pastoris等)が好適である。
宿主細胞として酵母を用いる場合、使用されるベクターとしては、例えば、アルコール脱水素酵素遺伝子のプロモーター(Bennetzen, J. L. and Hall, B. D. (1982) J. Biol. Chem. 257, 3018-3025)または酸性フォスファターゼ遺伝子のプロモーター(Miyanohara, A. et al. (1983) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80, 1-5)等が好適である。また、分泌シグナル配列および宿主細胞の持つ内在性プロテアーゼもしくは既知のプロテアーゼの切断部位を目的タンパク質のN末端側に繋げることにより、組換えタンパク質を分泌タンパク質として発現させることもできる。例えば、石油酵母でトリプシン型セリンプロテアーゼであるヒトマスト細胞トリプターゼを発現させる場合、目的タンパク質のN末端側に、酵母のαファクターの分泌シグナル配列および石油酵母の持つKEX2プロテアーゼの切断部位を繋ぎ、目的タンパク質を発現させることにより、活性型トリプターゼが培地中に分泌されることが知られている(Andrew, L. Niles,et al. (1998) Biotechnol.Appl. Biochem. 28, 125-131)。
目的のポリペプチドは、上記で得られる形質転換体を常法に従い培養することにより、細胞内または細胞外に産生させることができる。培養に使用する培地としては、採用した宿主細胞に応じて慣用される各種培地を適宜選択できる。例えば、上記COS細胞の培養には、RPMI1640培地、ダルベッコ変法イーグル培地(以下、「DMEM」という。)等に、必要に応じてウシ胎児血清等の血清成分を添加した培地を使用することができる。
上記培養により、形質転換体の細胞内または細胞外に産生される組換えタンパク質は、該タンパク質の物理的性質や化学的性質などを利用した公知の分離操作法により、分離・精製することができる。該方法としては、例えば、通常のタンパク質沈殿剤による処理;限外濾過;分子ふるいクロマトグラフィー(ゲル濾過)、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー若しくは高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等の各種液体クロマトグラフィー;透析法;またはこれらの組み合わせを挙げることができる。また、発現させる目的の組換えタンパク質に6残基からなるヒスチジンを繋げることにより、ニッケルアフィニティーカラムで効率的に精製することができる。好適には、上記方法を組み合わせることにより分離・精製を行う。
本発明の方法に用いることができる抗体としては上記方法によって取得された抗体の他に、gp44に特異的に結合していることが既に知られている抗体を用いることもできる。そのような抗体としては例えば、モノクローナル抗体8F11(M. Watanabe et al, Cancer Res., 1988, 48, 6411-6416)を挙げることができる。
(4−4)抗体の標識
上記により得られたポリペプチドを抗原として取得した抗体は、以下の検出工程において、直接標識して使用するか、または、該抗体を一次抗体とし、該抗体を特異的に認識する標識二次抗体と共同で使用することができる。
標識の方法としては、通常使用される方法であれば特に限定はなく、好適には、酵素(例えば、アルカリフォスファターゼまたは西洋ワサビペルオキシダーゼ等)またはビオチン(ストレプトアビジンと共に使用する)である。標識二次抗体(または標識ストレプトアビジン)としては、種々の市販品を使用することができる。RIAの場合、例えば、I125等の放射性同位元素で標識することができる。
(4−5)ポリペプチドの検出
抗体の標識に使用した酵素の活性等を検出することにより、抗原であるポリペプチドの量を測定することができる。例えば、標識として、アルカリフォスファターゼまたは西洋ワサビペルオキシダーゼを使用した場合、それらの酵素と市販されている基質を反応させ、生じた発色または発光を測定することにより、ポリペプチドの量を測定することができる。また、抗体を放射性同位元素で標識した場合、液体シンチレーションカウンター等を用いて測定することにより、ポリペプチドの量を測定することができる。
基質として、発色を生じさせる基質を使用した場合、ウエスタンブロット法、ドットブロット法またはスロットブロット法においては、目視で検出することができる。ELISA法においては、好適には、市販のマイクロプレートリーダーを用いて各ウェルの吸光度(測定波長は基質により異なる)を測定することにより定量する。また、好適には、上記(4−3)で抗体作製のために使用した抗原の希釈系列を調製し、これを標準抗原試料として目的の試料と同時に検出操作を行って、標準抗原濃度と測定値をプロットした標準曲線を作成することにより、目的の試料中の抗原濃度を定量することができる。
基質として、発光する基質を使用した場合、ウエスタンブロット法、ドットブロット法またはスロットブロット法においては、X線フィルム若しくはイメージングプレートを用いたオートラジオグラフィーまたはインスタントカメラを用いた写真撮影により検出することができる。また、デンシトメトリーまたはモレキュラー・イメージャーFxシステム(バイオラッド社)等を利用して定量することもできる。ELISA法においては、発光マイクロプレートリーダー(バイオラッド社等)を利用して定量することもできる。
(4−6)測定操作
(a) ウエスタンブロット法、ドットブロット法またはスロットブロット法
抗体の非特異的吸着を阻止するため、メンブレンを、非特異的吸着を阻害する物質(スキムミルク、カゼイン、ウシ血清アルブミン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン等)を含む緩衝液(以下、「ブロッキング溶液」という。)中に一定時間浸しておく(以下、「ブロッキング」という。)。
ブロッキング溶液の組成としては、例えば、5%スキムミルクおよび0.05%乃至0.1%ツイーン20を含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、または、トリス緩衝生理食塩水(TBS)が挙げられる。スキムミルクの代わりに、ブロックエース(大日本製薬)、1乃至10%のウシ血清アルブミン、0.5乃至3%のゼラチンまたは1%のポリビニルピロリドン等を使用することもできる。
ブロッキングの温度および時間は、4℃で16乃至24時間または室温で1乃至3時間である。
次にメンブレンを0.05%乃至0.1%ツイーン20を含むPBSまたはTBS(以下、「洗浄液」という。)で洗浄して余分なブロッキング溶液を除去した後、上記(4−3)、(4−4)記載の方法で作製された抗体をブロッキング溶液で適宜希釈した溶液に一定時間浸して、抗体をメンブレン上の抗原に結合させる。抗体の希釈倍率は、例えば上記(4−3)記載の組換え抗原を段階希釈したものを試料として予備のウエスタンブロッティング実験を行うことにより決定することができる。
抗体反応操作は、好ましくは室温で2時間行う。
抗体反応操作終了後、メンブレンを洗浄液で洗浄して抗体を除去する。
標識した抗体を使用する場合、標識方法に合わせた検出操作を行う。
標識しない抗体を使用する場合、次いで二次抗体反応を行う。標識二次抗体は、例えば、市販のものを使用することができ、その場合はブロッキング溶液で2000乃至20000倍に希釈して使用する(市販の二次抗体に添付された指示書に好適な希釈倍率が記載されている場合は、その記載に従う。)。一次抗体を洗浄除去した後のメンブレンを、室温で45分乃至1時間二次抗体溶液に浸し、洗浄液で洗浄する。洗浄操作は、例えば、まずメンブレンを洗浄液中で15分間振盪してから洗浄液を新しいものに交換し、更に5分振盪した後、再度洗浄液を交換して5分間振盪することにより行う。次いで、標識方法に合わせた検出操作を行う。
(b) 固相酵素免疫定量法(ELISA法/RIA法)
上記(4−2)において試料を固相化させたプレートのウェル内底面への抗体の非特異的吸着を阻止するため、上記(a)と同様にブロッキングを行う。
ウェル内を洗浄液で洗浄して余分なブロッキング溶液を除去した後、上記(4−3)、(4−4)記載の方法で作製された抗体をブロッキング溶液で適宜希釈した溶液を分注して一定時間インキュベーションし、抗体を抗原に結合させる。抗体の希釈倍率は、例えば上記(4−3)記載の組換え抗原を段階希釈したものを試料として予備のELISA実験を行うことにより決定することができる。
抗体反応操作は、好ましくは室温で1時間程度行う。
抗体反応操作終了後、ウェル内を洗浄液で洗浄して抗体を除去する。
標識した抗体を使用する場合、標識方法に合わせた検出操作を行う。
標識しない抗体を使用する場合、次いで二次抗体反応を行う。標識二次抗体は、例えば、市販のものを使用することができ、その場合はブロッキング溶液で2000乃至20000倍に希釈して使用する(市販の二次抗体に添付された指示書に好適な希釈倍率が記載されている場合は、その記載に従う。)。一次抗体を洗浄除去した後のウェルに二次抗体溶液を分注して、室温で1乃至3時間インキュベーションし、洗浄液で洗浄する。洗浄操作は、例えば、まずウェル内に洗浄液を分注して5分間振盪してから洗浄液を新しいものに交換し、更に5分振盪した後、再度洗浄液を交換して5分間振盪することにより行う。次いで、標識方法に合わせた検出操作を行う。
また、いわゆるサンドイッチ法のELISAは、例えば、以下に記載する方法により実施することができる。本発明のポリペプチドのアミノ酸配列のいずれか一つにおいて、親水性に富む領域を2箇所選び、それぞれの領域に含まれる6残基以上のアミノ酸からなる部分ペプチドを合成し、該部分ペプチドを抗原とした2種類の抗体を取得する。このうち一方の抗体を上記(4−4)記載の方法に準じて標識する。標識しない方の抗体は、上記(4−2)記載の方法に準じて96穴ELISA用プレートのウェル内底面に固相化する。ブロッキングの後、試料液をウェル内に加えて室温で1時間インキュベーションする。ウェル内を洗浄後、標識した方の抗体希釈液を各ウェルに分注してインキュベーションする。再びウェルを洗浄した後、標識方法に合わせた検出操作を行う。
(4−7)リガンド
抗体の他に、本発明のポリペプチドに特異的に結合する基質、補酵素、調節因子などのリガンドを用いることによっても、本発明のポリペプチドを定量することができる。
(4−8)判定
被験物質の存在下で培養した細胞から抽出した本発明のポリペプチドの量が、被験物質の非存在下で培養した細胞から抽出した本発明のポリペプチドの量と比べて、増加している場合は血小板凝集促進活性を有する物質として選択し、減少している場合には血小板凝集抑制活性を有する物質として選択することができる。
また、上記方法の他、プロテインチップ法またはプロテインアレイ法等も、本発明の方法として使用することができる。
2.動物個体を用いたスクリーニング方法
本発明のスクリーニング方法は、哺乳動物個体に被験物質を投与し、その後該動物個体から摘出された臓器または組織細胞における本発明のmRNAまたは本発明のポリペプチドの量を検出する方法も含まれる。
被験物質としては、人工的に合成した化合物、微生物の代謝産物、植物もしくは動物等の組織の抽出物、それらの塩もしくは誘導体またはそれらの混合物等を挙げることができる。
動物個体への被験物質の投与は、被験物質の物性などにより、経口投与、静脈注射、腹腔内注射、経皮投与または皮下注射などの投与形態を使い分けることができる。
被験物質の投与量および濃度は、適宜設定するかまたは希釈系列を作成する等により複数種の投与量を設定することができる。
被験物質投与後の飼育期間は、適宜設定することができるが、通常一週間から一年間である。
被験物質投与後、一定期間飼育した動物個体よりgp44を発現する臓器または組織細胞を取り出し、該臓器または組織細胞中の本発明のmRNAまたは本発明のポリペプチドの量を上記培養細胞における測定と同様に測定する。gp44を発現する臓器または組織細胞としては、例えば、骨芽細胞、または、肺、脳、皮膚、骨、腸、腎、心臓、胎盤、骨格筋等が挙げられる。
被験物質を投与した動物個体の臓器または組織細胞から抽出した本発明のmRNAまたはポリペプチドの量が、被験物質を投与しない動物個体の臓器または組織細胞から抽出した本発明のmRNAまたはポリペプチドの量と比べて、増加している場合は血小板凝集促進活性を有する物質として選択し、減少している場合には血小板凝集抑制活性を有する物質として選択することができる。
3.被験物質の血小板凝集促進または抑制活性測定方法
被験物質の血小板凝集促進または抑制活性は、上記1.または2.に記載の方法に準じて検出し、発現したmRNAまたはポリペプチドの量を比較する。例えば、非投与のものと比べて多い場合には血小板凝集促進活性を有し、少ない場合には血小板凝集抑制活性を有すると判定することができる。好ましくは、既知の血小板凝集促進物質または抑制物質を対照群として同時に測定することにより、対象群と比較して被験物質の血小板凝集促進または抑制活性の強さを判定する。
4.トランスジェニック動物/ノックアウト動物を用いた試験方法
遺伝子操作により、正常動物において本発明に係る遺伝子を高発現若しくは低発現させたトランスジェニック動物または本発明に係る遺伝子を破壊したノックアウト動物を作成し、血小板凝集を調整する機能に異常のある動物モデルを提供することができる。該モデル動物は、血小板凝集を調整する機能に異常のある疾患を対象とした医薬の評価等に使用することができる。
トランスジェニック動物は、動物から受精卵を取得し、遺伝子導入の後、偽妊娠動物に移植し発生させることにより得ることができる。その手順については、既に確立されている方法に従うことができる(発生工学実験マニュアル, 野村達次 監修, 勝木元也 編, (1987)、マウス胚の操作マニュアル("Manipulating the Mouse Embryo, A Laboratory Manual") B. Hogan, F. Costantini and E. Lacy著、山内一也、豊田裕、森庸厚、岩倉洋一郎 訳, (1989)、特公平5−48093号公報等参照)。具体的には、例えばマウスの場合、まず雌マウスに排卵誘起剤を投与後、同系統の雄と交配し、翌日雌マウスの卵管より前核受精卵を採取する。次いで、導入するDNA断片溶液を微小ガラス管を用いて受精卵の前核に注入する。なお、導入する遺伝子を動物細胞内で発現させるための、プロモーターやエンハンサー等の調節遺伝子としては、導入された動物の細胞内で機能するものであればいずれも使用することができる。また、導入遺伝子の所望の発現量に応じて、プロモーター、エンハンサー等の調節因子を選択することができる。DNAを注入した受精卵は、偽妊娠仮親雌マウス(Slc:ICR等)の卵管に移植し、約20日後に自然分娩又は帝王切開により出生させる。このようにして得られた動物が導入した遺伝子を保持していることを確認する方法としては、該動物の尾等からDNAを抽出し、該DNAを鋳型として導入遺伝子に特異的なセンスおよびアンチセンスプライマーを用いたPCRを行う方法、該DNAを数種の制限酵素で消化後ゲル電気泳動し、ゲル中のDNAをニトロセルロース膜やナイロン膜等にブロッティングしたものについて導入遺伝子の全部または一部を標識したものをプローブとしたサザンブロット解析を行なう方法等を挙げることができる。また、導入された遺伝子が実際に動物体内で発現しているか否かは、下記5.に記載の方法により血小板凝集能を測定することにより確認することができる。導入された遺伝子が実際に動物体内で高発現している場合は、遺伝子を導入しない動物よりも血小板凝集能が高くなり、低発現している場合は、遺伝子を導入しない動物よりも血小板凝集能が低くなる。
また、トランスジェニック動物は上記の他、胚幹細胞にDNAを導入した後キメラを作成する方法、レトロウイルスベクターを初期発生胚に感染させ導入する方法等によっても得ることができる(Kanegae Y.ら、Nucleic Acids Res. 23: 3816-3821 (1995)、Kanegae Y.ら、Gene. 181: 207-212、Wakita T.ら、J. Biol. Chem. 273: 9001-9006参照)。
ノックアウト動物は、遺伝子導入し相同組換え体を得た後、その組換え体を胚盤胞の時期の胚に注入してキメラ動物を作成し、該キメラ動物を組み合わせることにより得ることができる。具体的には、例えば、まず、ゲノムライブラリーより目的の遺伝子をクローニングし、削除するエキソンの周りの遺伝子地図を作成する。その地図をもとに相同組換えを起こすのに必要な領域のDNAをサブクロ−ニングし削除したい部分をネオマイシン耐性遺伝子若しくは他の薬剤耐性遺伝子で置き換え、遺伝子ターゲティング用DNA組換え体を作製する。組換えの効率を更に上げるためには、その遺伝子が発現すると細胞が死滅するネガティブ選択を起こす遺伝子をつないでおくことができる。次いで、胚幹細胞にエレクトロポレーションなどにより遺伝子を導入し、胚幹細胞トランスフォーマントを作製する。ここで使用する胚幹細胞は、ゲノムシステム社またはレキシコンジェネティック社から購入することができる。
雌マウスに排卵誘起剤を投与後、同系統の雄と交配し、4日後雌マウスの卵管より前核受精卵を採取する。次いで、導入する胚幹細胞トランスフォーマント15乃至20個を、微小ガラス管を用いて、胚盤胞の内部細胞塊に接触するように注入する。DNAを注入した受精卵は、偽妊娠4日目の仮親雌動物(マウスの場合、Slc:ICR等)の卵管に移植し、約20日後に自然分娩又は帝王切開により出生させる。得られたキメラ動物を正常動物とかけ合わせヘテロ接合型動物を作成し、更に、このヘテロ接合型動物を掛け合わせることによりホモ接合型動物を作成することができる。
なお、Cre-loxPシステムを使用することにより、不要な薬剤耐性遺伝子を消失させたり、発現時期特異的なノックアウト動物を作成することもできる。
このようにして得られた動物が導入した遺伝子を消失していることを確認する方法としては、該動物の尾等からDNAを抽出し、該DNAを鋳型として導入遺伝子に特異的なセンスおよびアンチセンスプライマーを用いたPCRを行う方法、該DNAを数種の制限酵素で消化後ゲル電気泳動し、ゲル中のDNAをニトロセルロース膜やナイロン膜等にブロッティングしたものについて導入遺伝子の全部または一部を標識したものをプローブとしたサザンブロット解析を行なう方法等を挙げることができる。また、消失した遺伝子が実際に動物体内で発現しているか否かは、下記5.に記載の方法により血小板凝集能を測定することにより確認することができる。導入された遺伝子が実際に動物体内で消失している場合は、遺伝子を消失しない動物よりも血小板凝集能が低くなる。
そのようにして得られた遺伝子導入動物に被検物質を投与して、血小板凝集を促進または抑制する活性を測定する(好ましくは、遺伝子導入しない動物にも被検物質を投与して結果を比較し、遺伝子導入した動物で顕著に血小板凝集を促進または抑制する活性を測定する)。また、遺伝子導入動物に被験物質を投与して、対象となる病体の治療または予防効果を試験することもできる。
この方法では、導入された遺伝子の発現を抑制または阻害する物質のみならず、該遺伝子にコードされるポリペプチド自体の機能や、該ポリペプチドと相互作用して該ポリペプチドの機能発現に寄与する因子(例えば、レセプター)等、該ポリペプチドの作用による血小板凝集に関わる生体反応のいずれかを阻害する物質を見出すことができる。そのような物質も血小板凝集促進又は抑制に関連する疾患の治療または予防剤となり得る。
5.血小板凝集活性を利用した血小板凝集促進活性または血小板凝集抑制活性を有する物質のスクリーニング方法
血小板凝集促進活性または血小板凝集抑制活性を有する物質は被験物質の血小板凝集活性を測定することによって、取得することができる。具体的には、以下のAまたはBのスクリーニング方法によって血小板凝集促進活性または血小板凝集抑制活性を有する物質を取得することができる。
A.血小板凝集促進活性または抑制活性を有する物質のスクリーニング方法であって、以下の工程を含む方法:
(1)被験物質の存在下でgp44を発現する細胞と血小板を接触させる:
(2)血小板凝集活性を測定する:
(3)(2)の測定結果に基づいて、被験物質が血小板凝集促進活性又は抑制活性を有するか否かを判定する。
B.血小板凝集促進活性または抑制活性を有する物質のスクリーニング方法であって、以下の工程を含む方法:
(1)被験物質の存在下でgp44と血小板を接触させる:
(2)血小板凝集活性を測定する:
(3)(2)の測定結果に基づいて、被験物質が血小板凝集促進活性又は抑制活性を有するか否かを判定する。
以下、上記、A及びBのスクリーニング方法について、順次説明する。
A.血小板凝集促進活性または抑制活性を有する物質のスクリーニング方法であって、以下の工程を含む方法:
(1)被験物質の存在下でgp44を発現する細胞と血小板を接触させる工程
「被験物質」は既に上記「1.」の項で示したように、人工的に合成した化合物、微生物の代謝産物、植物もしくは動物等の組織の抽出物、それらの塩もしくは誘導体またはそれらの混合物等を挙げることができる。被験物質の添加量および濃度は、適宜設定するかまたは希釈系列を作成する等により複数種の添加量を設定することができる。
「gp44を発現する細胞」も、上記「1.」の項に説明した細胞を用いることができる。
「血小板」としては、血小板凝集活性を測定することができる限りにおいてどのような形態でもよく、例えば、血小板を含む溶液を用いることができる。溶液中の血小板濃度も血小板凝集活性を測定できる限りにおいて特に制限はない。血小板を含む溶液としては、血液をそのまま、血球を除いた血漿、血漿をPBS等の溶液で適当量(例えば、3倍)に希釈した溶液等を用いることができるが、血小板凝集活性を測定できる限りにおいて特に制限はない。血小板は発現しているgp44がどの生物由来のものかによって適当な生物由来のものを用いることができ、例えば、ヒト由来のgp44を発現している細胞を用いるときには、ヒト由来の血小板を用いることができ、マウス由来のgp44を発現している細胞を用いるときには、マウス由来の血小板を用いることができ、ラット由来のgp44を発現している細胞を用いるときには、ラット由来の血小板を用いることができ、イヌ由来のgp44を発現している細胞を用いるときには、イヌ由来の血小板を用いることができる。
gp44を発現する細胞と血小板を接触させる方法としては、例えば、gp44を発現する細胞溶液に血小板を含む溶液を添加すればよい。
(2)血小板凝集活性を測定する工程
血小板凝集活性は、血小板の凝集活性を測定することができる限りにおいて得に制限はないが、例えば、血小板凝集に伴う光の透過度上昇を利用した血小板凝集のアッセイ法(Watanabe M, Okochi E, Sugimoto Y, Tsuruo T. Cancer Res. 1988; 48: 6411-6およびKato Y, Fujita N, Yano H, Tsuruo T. Cancer Res. 1997; 57: 3040-5)、カルシウム感受性蛍光物質(Quin2, Fura2)を用いた、血小板内カルシウム濃度の上昇を利用した血小板凝集のアッセイ法(Sage SO, Merritt JE, Hallam TJ, Rink TJ. Biochem J. 1989; 258: 923-6、Rink TJ, Sage SO. J Physiol. 1987; 393: 513-24およびSoslau G, Class R, Morgan DA, Foster C, Lord ST, Marchese P, Ruggeri ZM. J Biol Chem. 2001; 276: 21173-83)、カルシウム感受性発光蛋白(Aequorin)を用いた、血小板内カルシウム濃度の上昇を利用した血小板活性化のアッセイ法(Johnson PC, Ware JA, Cliveden PB, Smith M, Dvorak AM, Salzman EW. J Biol Chem. 1985; 260: 2069-76)、または、45Caを利用した血小板内カルシウム濃度の上昇を利用した血小板活性化のアッセイ法(Feinstein MB, Fraser C. J Gen Physiol. 1975; 66: 561-81)等を用いて測定することができる。
(3)(2)の測定結果に基づいて、被験物質が血小板凝集促進活性又は抑制活性を有するか否かを判定する工程
上記測定結果に基づいて、血小板凝集促進活性も血小板凝集抑制活性も示さないコントロールに比べて、高い血小板凝集活性を示す被験物質は、血小板凝集促進活性を有する物質であると判定することができ、一方、コントロールに比べて、低い血小板凝集活性を示すか、あるいは血小板凝集活性を全く示さない被験物質は、血小板凝集抑制活性を有する物質であると判定することができる。
上記スクリーニング方法によって血小板凝集抑制活性を有する物質として、抗gp44モノクローナル抗体である8F11が取得できる。
B.血小板凝集促進活性または抑制活性を有する物質のスクリーニング方法であって、以下の工程を含む方法:
(1)被験物質の存在下でgp44と血小板を接触させる工程
「被験物質」及び「血小板」は上記「A.」と同様である。「gp44」はgp44を発現している生物の細胞から精製することもできるし、上記「1.」の項に記載した方法によって取得することもできる。
「(2)血小板凝集活性を測定する工程」及び「(3)(2)の測定結果に基づいて、被験物質が血小板凝集促進活性又は抑制活性を有するか否かを判定する工程」については、上記「A.」と同様である。
6.抗体結合部位の同定
gp44に対する抗gp44抗体の結合部位は、当業者が通常用いる方法によって決定することができる(Fujita N, Sato S, Katayama K, Tsuruo T. J. Biol. Chem. 2002; 277: 28706-13)が、例えば、gp44のcDNAの種々の遺伝子断片をpET-21a(Novagen社)のような発現ベクターに組み込み、大腸菌で発現させ、発現したポリペプチドと抗gp44抗体との反応性を調べ、反応性を示した断片と示さなかった断片とを比較することによって決定することができる。また、gp44のcDNAに部位特異的変異を導入した遺伝子をpcDNAベクター(Invitrogen社)のような発現ベクターに組み込み、哺乳動物細胞で発現させ、発現した変異タンパク質と抗gp44抗体との反応性を調べ、反応性を示さない変異部位を特定することによってもgp44に対する抗gp44抗体の結合部位を決定することができる。
例えば、抗gp44モノクローナル抗体である8F11について、上記方法によって抗体結合部位を調べると、配列表の配列番号2あるいは配列番号14のアミノ酸番号39乃至44に示されるアミノ酸配列を認識することが明らかとなる。すなわち、配列表の配列番号2あるいは配列番号14のアミノ酸番号39乃至44に示されるアミノ酸配列を認識する抗体はgp44の血小板凝集活性を阻害することが明らかとなる。同様に、配列表の配列番号4に示されるアミノ酸配列において、アミノ酸番号アミノ酸番号39から44のアミノ酸配列からなるポリペプチド、配列表の配列番号6に示されるアミノ酸配列において、アミノ酸番号46から51のアミノ酸配列からなるポリペプチド、配列表の配列番号8に示されるアミノ酸配列において、アミノ酸番号57から62のアミノ酸配列からなるポリペプチドを特異的に認識する抗体もgp44の血小板凝集活性を阻害する抗体となる。
7.gp44の血小板凝集に必須な部位の同定
gp44のアミノ酸配列上で血小板凝集に必須な部位は、当業者が通常行う方法によって決定することができるが、例えば、gp44のcDNAがコードする特定の箇所のアミノ酸を他のアミノ酸に置換した各種変異体の遺伝子を作製し、pCDNA3ベクターに導入し、CHO細胞表面に発現させ、血小板が豊富な血漿画分(Platelet-rich plasma:PRP)を添加して、血小板の凝集活性を観察することによって、決定することができる。
このような実験によって、例えば、配列表の配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質についてはアミノ酸番号34のスレオニンが、配列番号4に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質についてはアミノ酸番号34のスレオニンが、配列番号6に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質についてはアミノ酸番号41とアミノ酸番号50のスレオニンが、配列番号8に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質についてはアミノ酸番号52のスレオニンが、配列番号14に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質についてはアミノ酸番号34のスレオニンが血小板凝集活性に必須であることが分かる。
従って、上記血小板凝集活性に必須のアミノ酸を他のアミノ酸に置換したアミノ酸配列からなる変異タンパク質は血小板凝集活性を有さない変異タンパク質となり、例えば、血小板凝集活性を有する天然型のタンパク質との比較により、血小板凝集機構の解明に利用することができ、血小板凝集促進物質や血小板凝集阻害物質の研究にも利用することができる。
8.直接相互作用する物質の探索
本発明の他の一つの態様としては、gp44の活性を抑制するような物質を得ることを目的とした、該蛋白質の立体構造をベースとしたドラッグデザインの手法を含む。このような手法は、ラショナルドラッグデザイン法として知られており、酵素活性などの機能や、リガンド、コファクター、またはDNAへの結合などを効率よく阻害もしくは活性化させるような化合物の探索に利用されている。この例として、すでに上市されている抗HIV剤であるプロテアーゼの阻害剤がよく知られている。gp44の三次元構造解析においても、X―線結晶解析や核磁気共鳴法といった一般的によく知られている手法が利用できると考えられる。さらに、gp44の機能を抑制する物質の探索には、コンピュータードラッグデザイン(CADD)を活用した設計も可能である。なお、gp44の活性に必須なアミノ酸として、配列表の配列番号2に示されるアミノ酸配列において、アミノ酸番号34のアミノ酸、配列表の配列番号4に示されるアミノ酸配列において、アミノ酸番号34のアミノ酸、配列表の配列番号6に示されるアミノ酸配列において、アミノ酸番号41のアミノ酸あるいはアミノ酸番号50のアミノ酸、配列表の配列番号8に示されるアミノ酸配列において、アミノ酸番号52のアミノ酸、配列表の配列番号14に示されるアミノ酸配列において、アミノ酸番号34に示されるアミノ酸が明らかとなり、また抗gp44モノクローナル抗体である8F11はアミノ酸番号39から44のアミノ酸配列を認識し、血小板凝集活性を阻害することが明らかとなったので、かかる領域付近の立体構造を利用することもできる。
この例としては、慢性関節リウマチ治療の新たなゲノム新薬として期待されているAP−1の働きを阻害する低分子化合物(国際特許出願公開WO99/58515号)などが知られている。このような方法により、gp44に直接結合し、あるいはgp44と他の因子との相互作用を阻害することにより、gp44の機能を抑制するような物質を得ることができる。
さらに、他の一つの態様は、gp44が会合するポリペプチド、すなわちgp44のパートナー蛋白質あるいはgp44と結合する化合物等に関する。すなわち、本発明は、gp44の活性を調節するパートナー蛋白質や結合する化合物等のスクリーニング方法に関する。
このスクリーニング方法の一つの態様は、gp44に被験物質を接触させ、gp44に結合する被験物質を選択する工程を含む。このような方法としては、例えば、精製したgp44を用いて、これに結合する蛋白質のアフィニティー精製を行う方法が挙げられる。また、gp44の血小板凝集に必須のアミノ酸を含むアミノ酸配列からなる部分ポリペプチドを用いることもできる。このような部分ポリペプチドとしては、例えば、配列表の配列番号2に示されるアミノ酸配列において、アミノ酸番号34のアミノ酸を含み、連続した6個以上のアミノ酸配列からなるポリペプチド、配列表の配列番号4に示されるアミノ酸配列において、アミノ酸番号34のアミノ酸を含み、連続した6個以上のアミノ酸配列からなるポリペプチド、配列表の配列番号6に示されるアミノ酸配列において、アミノ酸番号41ないしアミノ酸番号50のアミノ酸を含み、連続した6個以上のアミノ酸配列からなるポリペプチド、配列表の配列番号8に示されるアミノ酸配列において、アミノ酸番号52のアミノ酸を含み、連続した6個以上のアミノ酸配列からなるポリペプチド、配列表の配列番号14に示されるアミノ酸配列において、アミノ酸番号34のアミノ酸を含み、連続した6個以上のアミノ酸配列からなるポリペプチド、配列表の配列番号2に示されるアミノ酸配列において、アミノ酸番号39から44のアミノ酸配列を含むことからなるポリペプチドを挙げることができる。
具体的な方法の一例を示せば、gp44または上記部分ポリペプチドにヒスチジン6個よりなる配列をアフィニティータグとして融合したものを作製して、これを細胞の抽出液(予めニッケル−アガロースカラムにチャージして、このカラムを素通りした画分)と4℃で12時間インキュベートし、次いで、この混合物に別途ニッケル−アガロース担体を加えて4℃で1時間インキュベートする。ニッケル−アガロース担体を洗浄バッファーで十分洗浄した後、100mMイミダゾールを加えることにより、gp44または部分ポリペプチドと特異的に結合する細胞抽出液中の蛋白質を溶出させて精製し、この構造を決定する。このようにして、gp44またはその部分ペプチドと直接結合する蛋白質、及びgp44または部分ペプチドとの結合活性は持たないが、サブユニットとしてgp44に直接結合する蛋白質と複合体を形成することにより間接的にgp44に結合する蛋白質が精製できる[実験医学別冊、バイオマニュアルシリーズ5「転写因子研究法」pp215−219(羊土社刊)]。
別の方法としては、ファーウエスタンブロット法[実験医学別冊、「新遺伝子工学ハンドブック」pp76−81(羊土社刊)]や、酵母や哺乳類動物細胞を用いたツーハイブリッドシステム法[実験医学別冊、「新遺伝子工学ハンドブック」pp66−75(羊土社刊)、「チェックメイト・マンマリアン・ツーハイブリッドシステム」(プロメガ社)]によるクローニングも可能であるが、これらの方法に限定されない。
また、被験物質として化合物等を用いるときは、上記細胞の抽出液の代わりに被験物質を含む溶液を用いることができる。
このようにして、gp44と直接もしくは間接的に相互作用するパートナー蛋白質のcDNAが得られれば、gp44と該パートナー蛋白質との相互作用を阻害する物質の機能的スクリーニングに利用することができる。具体的には、例えば、gp44とグルタチオンS−トランスフェラーゼとの融合蛋白質を調製して、抗グルタチオンS−トランスフェラーゼ抗体で覆ったマイクロプレートに結合させた後、ビオチン化した該パートナー蛋白質をこの融合蛋白質と接触させ、該融合蛋白質との結合をストレプトアビジン化アルカリフォスファターゼで検出する。ビオチン化した該パートナー蛋白質添加の際、被験物質も添加し、融合蛋白質と該パートナー蛋白質との結合を促進あるいは阻害する物質を選択する。この方法では、融合蛋白質に直接作用する物質または該パートナー蛋白質に直接作用する物質が得られる。
融合蛋白質と該パートナー蛋白質との結合が間接的であり、何らかの別の因子を介しているような場合には、例えば該因子を含むような細胞抽出液存在下で、同様に上記アッセイを行う。この場合には、該因子に対して作用するような物質も選択される可能性がある。
また、得られたパートナー蛋白質が、gp44の機能を抑制する活性を有している場合には、既に記載したgp44遺伝子の発現ベクターを応用した試験方法に従って、血小板凝集抑制活性を持つ有用な候補物質のスクリーニングを行うことができる。また、得られたパートナー蛋白質が、gp44の機能を抑制する活性を有している場合には、このような抑制因子をコードするヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドは、血小板凝集に起因する疾患の遺伝子治療に用いることができる。
そのようなポリヌクレオチドは、例えば同定された阻害因子のアミノ酸配列を解析し、該アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列からなるオリゴヌクレオチドプローブを合成してcDNAライブラリーやゲノムライブラリーのスクリーニングを行うことにより取得できる。また、gp44の機能の阻害活性を有するぺプチドが、ランダムに合成された人工ペプチドライブラリー由来である場合は、該ペプチドのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列からなるDNAを化学合成する。
また、gp44またはその部分ポリペプチドと結合する被験物質は上記、「5.」の項目で示したスクリーニング方法で血小板凝集促進活性または阻害活性を有するか否かを判定することができる。
9.gp44遺伝子の癌特異的発現
gp44遺伝子が癌特異的に発現している遺伝子であるか否かは、癌組織と正常組織、あるいは、癌患者の癌部と非癌部におけるgp44遺伝子の発現量を比較することによって決定することができる。例えば、様々な癌患者の癌部と非癌部のmRNAを固相化したCancer Profiling Array II(BD Bioscience社)についてヒトホモログgp36遺伝子の発現量を比較すると、Colon(結腸)、Rectum(直腸)、Small intestine(小腸)、精巣の癌部において非癌部に比べgp36の発現量が上昇している傾向が観察される。すなわち、gp44及びgp44遺伝子は腸及び精巣の癌(例えばSeminoma)診断用マーカーとして用いることができる。
また、同様に癌患者の癌部と非癌部、更に転移部についてgp44の発現量の比較をすると、大腸癌の癌部で非癌部より発現量が増加していることが観察され、転移部ではさらに発現量が増加している傾向が観察される。すなわち、gp44遺伝子の発現が大腸癌の転移促進に関与していると考えられる。
gp44の発現量を指標にした、腸癌及び/又は精巣癌の診断用キットとして、具体的には、以下の(1)乃至(6)から選択される少なくともいずれか一つを含むものを使用することができる。なお、これらのキットは組織における、癌の有無を検出することができるに止まらず、組織中の癌部と非癌部、さらに,転移部についても検出することができる。
(1)配列表の配列番号1、3、5、7または13に記載のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドの一部乃至全部を特異的に増幅するための15乃至30塩基長の連続したオリゴヌクレオチドプライマー;
(2)配列表の配列番号1、3、5、7または13に記載のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドにストリンジェントな条件でハイブリダイズする、該ポリヌクレオチドを検出するための15ヌクレオチド以上の連続したポリヌクレオチドプローブ;
(3)(1)又は(2)のいずれか一つに記載の物質が固定された固相化試料。
(4)配列表の配列番号2、4、6、8または14に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドに特異的に結合する抗体;
(5)(4)に記載の抗体に結合し得る二次抗体;
(6)(4)又は(5)のいずれか一つに記載の物質が固定された固相化試料。
10.gp44遺伝子及びgp44の癌組織型による発現量の差
(1)gp44遺伝子の発現量
上記、「9.gp44遺伝子の癌特異的発現」に記載の方法と同様の方法で、Cancer Profiling Array II(BD Biosciences社)及びCancer Profiling Array(BD Biosciences社)メンブレンを用いて肺癌における組織型とヒトホモログgp36遺伝子の発現レベルとの関係を調べると、扁平上皮癌では腺癌よりもgp36の発現が上昇している症例が多いことが確認できる。
すなわち、gp44遺伝子は、癌の組織型によって発現量に差があり、扁平上皮癌で発現量が上昇し、腺癌では発現量の上昇は認められない。したがって、gp44遺伝子の発現量を調べることで、発現量が上昇していれば、扁平上皮癌であると判断でき、発現量が上昇していなければ、扁平上皮癌ではないと判断することができる。すなわち、gp44遺伝子は扁平上皮癌のマーカーとして用いることもできる。
(2)gp44の発現量
ヒト肺癌組織及び正常肺組織における、ヒトホモログgp36の発現を免疫組織染色で調べると、扁平上皮癌ではgp36が発現していることが確認できるが、腺癌や正常な肺ではgp36の発現は確認できない。このことは、扁平上皮癌ではgp36の発現量が増加していることを示す。
すなわち、gp44は、癌の組織型によって発現量に差があり、扁平上皮癌で発現量が上昇し、腺癌では発現量の上昇は認められない。したがって、gp44の発現量を調べることで、発現量が上昇していれば、扁平上皮癌であると判断でき、発現量が上昇していなければ扁平上皮癌ではないと判断することができる。すなわち、gp44は扁平上皮癌のマーカーとして用いることができる。
(3)扁平上皮癌検出用キット
gp44及びgp44遺伝子は癌の組織型のうち,扁平上皮癌で発現量が上昇している。したがって、gp44及び/又はgp44遺伝子の発現量を測定すれば,癌組織型が扁平上皮癌であるかどうかを判定することができる。
扁平上皮癌検出用キットとしては、具体的には,以下の(a)乃至(f)から選択される少なくともいずれか一つを有するものを挙げることができる。
(a)配列表の配列番号1、3、5、7または13に記載のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドの一部乃至全部を特異的に増幅するための15乃至30塩基長の連続したオリゴヌクレオチドプライマー;
(b)配列表の配列番号1、3、5、7または13に記載のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドにストリンジェントな条件でハイブリダイズする、該ポリヌクレオチドを検出するための15ヌクレオチド以上の連続したポリヌクレオチドプローブ;
(c)(a)又は(b)のいずれか一つに記載の物質が固定された固相化試料。
(d)配列表の配列番号2、4、6、8または14に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドに特異的に結合する抗体;
(e)(d)に記載の抗体に結合し得る二次抗体;
(f)(d)又は(e)のいずれか一つに記載の物質が固定された固相化試料
11.gp44の癌転移促進効果
gp44は血小板の凝集を促進する機能を有する。gp44を発現する細胞を非ヒト哺乳動物の血管に投与すると、gp44の血小板凝集能により、投与した細胞は凝集塊を形成する。この凝集塊は毛細血管を詰まらせ、そこで結節(腫瘍)を生成する。このようにして形成される結節を転移結節という。
すなわち、gp44を発現する細胞を投与することで、非ヒト哺乳動物に結節を生成させることができる。
例えば、gp44のヒトホモログであるgp36遺伝子を発現するCHO細胞をマウスの尾静脈より静脈注射によリ投与すると、gp36を発現しない細胞を投与した場合に比べ、有意に結節の生成数が増加する。
転移結節は、ヒトホモログgp36を発現する細胞を投与した非ヒト哺乳動物の肺、肝臓、リンパ節など各種組織で観察することができるが、例えば、gp36を発現するCHO細胞を静脈から投与した場合には、肺を用いた目視観察により結節の生成を確認することができる。
12.転移結節の生成数の測定を利用した血小板凝集促進活性または血小板凝集抑制活性を有する物質のスクリーニング方法
gp44を大量に発現している細胞を非ヒト哺乳動物に投与すると血小板凝集に伴う細胞の凝集を原因とする結節が確認される。したがって、結節を測定することによって被験物質が血小板凝集促進活性または血小板凝集抑制活性を有するか否かを判定することができる。また、結節数を測定することで被験物質が癌の転移を抑制する物質か又は促進する物質か否かを判定することもできる。
このような性質を有する物質は具体的には、以下のスクリーニング方法によって取得することができる。
A.以下の工程(1)乃至(3)を含むスクリーニング方法:
(1)被験物質の存在下でgp44を発現する細胞を非ヒト哺乳動物に投与する:
(2)(1)の非ヒト哺乳動物由来の組織における結節数を測定する:
(3)(2)の測定結果に基づいて、被験物質が血小板凝集促進活性又は血小板凝集抑制活性を有するか否かを判定する。
B.以下の工程(1)乃至(3)を含むスクリーニング方法:
(1)被験物質の存在下でgp44を発現する細胞を非ヒト哺乳動物に投与する:
(2)(1)の非ヒト哺乳動物由来の組織における結節数を測定する:
(3)(2)の測定結果に基づいて、被験物質が癌の転移抑制活性又は癌の転移促進活性を有するか否かを判定する。
上記スクリーニング方法で用いることができる被験物質及びgp44を発現する細胞は、上記、「1.培養細胞を用いたスクリーニング方法」の項に記載したものと同様のものを用いることができる。
gp44を発現している細胞を被験物質存在下で非ヒト哺乳動物に投与した場合に,被験物質を投与しない場合に比べ結節数が低下していた場合、被験物質は血小板の凝集抑制活性を有すると判断することができる。また、転移結節数が低下していた場合には被験物質は、癌の転移抑制物質であると判断することもできる。
また、gp44を発現している細胞を被験物質存在下で非ヒト哺乳動物に投与した場合に、被験物質を投与しない場合に比べ結節数が増加していた場合、被験物質は血小板の凝集促進活性を有すると判断することができる。また、結節数が増加していた場合には、被験物質は、癌の転移促進物質であると判断することもできる。
13.血小板凝集または血小板機能障害に関連する疾患の判定方法
患者および正常人より得られた検体から抽出したmRNAまたはポリペプチドを試料として、上記「3.」または「4.」の項に記載の方法により、本発明に係るmRNAまたは本発明に係るポリペプチドの発現量を測定し、該発現量を患者由来の検体と正常人由来の検体とで比較することにより、血小板凝集または血小板機能障害に関連する疾患を判定することができる。
すなわち、患者より得られた検体中の本発明に係るmRNAまたは本発明に係るポリペプチドの発現量が、正常人より得られた検体中の該mRNAまたはポリペプチドの発現量と比べて多い場合には、血小板凝集促進に関連する疾患であるかまたは該疾患にかかる可能性が高いと判定することができる。また、患者より得られた検体中の本発明に係るmRNAまたは本発明に係るポリペプチドの発現量が、正常人より得られた検体中の該mRNAまたはポリペプチドの発現量と比べて少ない場合には、血小板凝集抑制に関連する疾患であるかまたは該疾患になる可能性が高いと判定することができる。更に、本発明に係るmRNAまたは本発明に係るポリペプチドの発現量を経時的に観察することにより患者の予後を観察し、予測することもできる。
本発明の判定方法は、被験動物および正常動物から得られた検体を用いることにより、哺乳動物についても適用することができる。
上記において、「正常人」または「正常動物」とは、血小板凝集活性に異常がない人または動物を意味する。
14.血小板凝集促進または血小板凝集抑制活性を有する物質を測定するためのキット
血小板凝集促進または血小板凝集抑制を有する物質は、下記(1)乃至(5)の少なくとも一つに記載の物質を含むキットを用いて検出することができる。
(1)配列表の配列番号1、3、5、7または13に記載のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドの一部乃至全部を特異的に増幅するための15乃至30塩基長の連続したオリゴヌクレオチドプライマー;
(2)配列表の配列番号1、3、5、7または13に記載のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドにストリンジェントな条件でハイブリダイズし、該ポリヌクレオチドを検出するための15ヌクレオチド以上の連続したポリヌクレオチドプローブ;
(3)配列表の配列番号2、4、6、8または14に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドに特異的に結合し、該タンパク質を検出するための抗体;
(4)(3)に記載の抗体に結合し得る二次抗体;
(5)(1)乃至(4)のいずれか一つに記載の物質が固定された固相化試料。
上記(1)に記載されたプライマーは、本発明に係るポリヌクレオチドの塩基配列に基づき市販のプライマー設計ソフト(例えば、Wisconsin GCG package Version 10.2)を用いる等、情報により設計し、増幅することができる。
上記(2)に記載されたプローブは、本発明に係るポリヌクレオチドに特異的にハイブリダイズするポリヌクレオチドであれば限定されない。このようなプローブとしては、好適には、100乃至1500塩基長であり、さらに好適には、300乃至600塩基長である。
これらのプライマーやプローブは、適当な標識によりラベル(例えば、酵素標識、放射性標識または蛍光標識等)されていてもよく、また、リンカーが付加されていても良い。
上記(5)の固相化試料のうち、(1)に記載のプライマーまたは(2)に記載のプローブを固相化した試料は、該プライマーまたはプローブをガラス板、ナイロンメンブレンなどの固相に固定することにより作製される。試料の固相化方法は、上記1.の(3−2−5)欄の(固相化試料の作製)に記載の方法と同様に行うことができる。
また、上記(3)および(4)に記載の抗体は、上記1.の(4−3)に記載の方法と同様にして行うことができる。該抗体は、上記1.の(4−4)に記載の方法と同様にして、適宜標識(例えば、酵素標識、放射性標識、蛍光標識)されていてもよい。また、(5)の固相化試料のうち、該抗体を固相化した試料は、上記1.の(4−2)に記載の方法に準じて行うことができる。
本キットは、上述の方法に準じて使用することにより、本発明に係るポリヌクレオチドまたは本発明に係るポリペプチドの検出、血小板凝集促進または抑制活性を有する物質のスクリーニング、物質の血小板凝集促進活性または抑制活性の測定あるいは血小板凝集促進または抑制に関連する疾患の診断に使用することができる。
15.医薬組成物
本発明の医薬組成物の有効成分である、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、常法により得ることができるが、例えば、該ポリヌクレオチドまたはポリペプチドを産生する細胞を培養し、該細胞より抽出・精製するか、または、試験管内で該ポリヌクレオチドを増幅させ、若しくは、該ポリペプチドを発現させることにより得ることができる。
得られた抗体をヒトに対する医薬として用いる場合、抗原性の問題からヒト型抗ヒトgp44抗体を作製することが望ましい。ヒト型抗ヒトgp44抗体の作製は、以下の方法により得ることができる。
(1)ヒト末梢血あるいは脾臓から採取したヒトリンパ球をin vitroでIL−4存在下、抗原であるgp44で感作し、感作したヒトリンパ球をマウスとヒトとのヘテロハイブリドーマであるK6H6/B5(ATCC CRL1823)と細胞融合させることにより、ヒト型抗gp44モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを作製する。これらのハイブリドーマの産生する抗体の中からヒトgp44の活性を中和する抗体を選別することによりヒト型抗ヒトgp44抗体を得ることができる。
上記のようにして得られたヒト型抗ヒトgp44モノクローナル抗体は、以下の方法により高親和化することができる。上記の方法により得られたヒト型抗ヒトgp44モノクローナル抗体は、そのCDR領域(特にCDR−3)にランダム変異を導入する。変異を導入した抗体をファージで発現させて、ヒトgp44を固相化したプレートを用いてファージディスプレー法を行い、抗原であるヒトgp44に強力に結合するファージを選択する。該ファージを大腸菌で増やし、その塩基配列から高親和性を有するCDRのアミノ酸配列を決定する。得られたヒト型抗gp44モノクローナル抗体をコードする遺伝子を、一般的に使用されている哺乳動物細胞用発現ベクターに組み込んで、発現させることにより、ヒト型抗ヒトgp44モノクローナル抗体を得ることができる。これらの抗体の中から、ヒトgp44の生物活性を中和し、かつ高親和性であるヒト型抗gp44モノクローナル抗体を選別することにより、所望の高親和性の抗体を得ることができる。
(2)Balb/cマウスを用いて、常法(Kohler et al.: Nature 256, p.495-497, 1975)に従いマウス型抗ヒトgp44モノクローナル抗体を作製し、ヒトgp44の生物活性を中和し、かつ高親和性を有するモノクローナル抗体を選択する。この高親和性マウス型抗ヒトgp44モノクローナル抗体のCDR−領域(CDR−1、2および3)をCDR−grafting法(Winter and Milstein: Nature 349, p293-299, 1991)によりヒトIgGのCDR領域に移植することにより、高親和性の抗体を得ることができる。
(3)ヒト抹消血リンパ球をSevere combined immune deficiency(SCID)マウスに移植する。SCIDマウスはヒト型抗体を生産する(Mosier D. E. et al.: Nature 335, p256-259, 1988; Duchosal M. A. et al.: Nature 355, p258-262, 1992)ため、ヒトgp44を抗原として該マウスを感作し、スクリーニングすることにより、ヒトgp44に特異的なヒト型モノクローナル抗体を生産するリンパ球を採取することができる。得られたリンパ球を、上記(1)と同様の方法により、マウスとヒトとのヘテロハイブリドーマであるK6H6/B5(ATCC CRL1823)と細胞融合させ、得られたハイブリドーマをスクリーニングすることにより、目的のヒト型モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを得ることができる。
以上により得られたハイブリドーマを培養することにより、目的のヒト型モノクローナル抗体を大量に製造できる。
また、目的のヒト型モノクローナル抗体をコードする遺伝子(cDNA)をクローニングし、この遺伝子を遺伝子工学的手法により適当なベクターに組み込み、各種動物細胞、昆虫細胞、あるいは大腸菌などを宿主として発現させることにより、遺伝子組換えヒト型モノクローナル抗体を大量に製造することができる。更に、本方法で得られた抗gp44モノクローナル抗体より、gp44の生物活性を中和する抗体を得ることもできる。
このようにして得られたgp44の生物活性を中和する抗体は、生体内でのgp44の生物活性、即ち、細胞の血小板凝集を阻害することから、医薬として、特に血小板凝集に関連する疾患の治療及び/または予防剤として使用することができる。in vitroでの抗gp44抗体によるgp44の生物活性の中和活性は例えば、上記5.記載の方法に従いgp44を過剰発現している細胞の血小板凝集の抑制活性を測定することにより確認することができる。in vivoでの実験動物を利用した抗gp44抗体の血小板凝集に関連する疾患に対する治療及び/または予防効果は、例えば、gp44を過剰に発現しているトランスジェニック動物に同gp44抗体を投与し、血小板凝集に関連する疾患の変化を測定することにより確認することができる。
更に、上記方法に準じて、gp44の活性を促進する抗体も得ることができる。該抗体は、血小板凝集を促進することから、医薬として、特に血小板機能障害に関連する疾患の治療及び/または予防剤として使用することができる。in vitroでの抗gp44抗体によるgp44の促進活性は例えば、上記5.記載の方法に従いgp44を過剰発現している細胞の血小板凝集の促進活性を測定することにより確認することができる。in vivoでの実験動物を利用した抗gp44抗体の血小板機能障害に関連する疾患に対する治療及び/または予防効果は、例えば、gp44を低発現しているトランスジェニック動物に同gp44抗体を投与し、血小板機能障害に関連する疾患の変化を測定することにより確認することができる。
有効成分として、ポリヌクレオチドを使用する場合、通常遺伝子治療剤を細胞内に導入する方法として知られる方法で投与することができる。例えば、このような方法としては、ウイルスベクターを利用した方法または非ウイルス性の導入方法(日経サイエンス, 1994年4月号,20-45頁、実験医学増刊, 12 (15) (1994)、実験医学別冊「遺伝子治療の基礎技術」, 羊土社(1996))などを挙げることができる。
ウイルスベクターによる遺伝子導入方法としては、例えば、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス、ポリオウイルス、シンビスウイルス等のDNAウイルスまたはRNAウイルスに、TR4または変異TR4をコードするDNAを組み込んで導入する方法を挙げることができる。このうち、好適には、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルスまたはワクシニアウイルスを使用する。
非ウイルス性の遺伝子導入方法としては、発現プラスミドを直接組織内に投与する方法(DNAワクチン法)、リポソーム法、リポフェクション法、マイクロインジェクション法、燐酸カルシウム法またはエレクトロポレーション法などが挙げられ、好適には、DNAワクチン法またはリポソーム法である。
また、遺伝子治療剤を実際に医薬として作用させるには、DNAを直接体内に導入するインビボ(in vivo)法または人等から臓器若しくは組織の細胞を取り出して体外でDNAを該細胞に導入し、その細胞を体内に戻すエクスビボ(ex vivo)法がある(日経サイエンス, 1994年4月号, 20-45頁、月間薬事, 36 (1), 23-48 (1994)、実験医学増刊, 12 (15) (1994))。
例えば、該遺伝子治療剤がインビボ法により投与される場合は、疾患、症状等に応じ、静脈、動脈、皮下、皮内、組織(筋肉を含む)内等、適当な投与経路により投与される。またインビボ法により投与する場合は、該遺伝子治療剤は一般的には注射剤等とされるが、必要に応じて慣用の担体を加えてもよい。また、リポソームまたは膜融合リポソーム(センダイウイルス−リポソーム等)の形態にした場合は、懸濁剤、凍結剤、遠心分離濃縮凍結剤等のリポソーム製剤とすることができる。
配列表の配列番号1、3、5、7または13のヌクレオチド配列またはその部分配列に相補的なヌクレオチド配列は、いわゆるアンチセンス治療に用いることができる。アンチセンス分子としては、通常15乃至30merからなるDNA、もしくはそのホスホロチオエート、メチルホスホネートまたはモルフォリノ誘導体などの安定なDNA誘導体、2’−O−アルキルRNAなどの安定なRNA誘導体を用いることができる。そのようなアンチセンス分子は、例えば、微量注入、リポソームカプセル化またはアンチセンス配列を有するベクターの利用等、本発明の技術分野において周知の方法で細胞に導入することができる。このようなアンチセンス療法は、配列表の配列番号1、3、5、7または13に示されるヌクレオチド配列がコードするタンパク質の活性を減少させることができ、血小板凝集促進に関連する疾患の治療に有用である。
上記アンチセンスオリゴヌクレオチドを含む医薬組成物は、医薬として許容できる担体と混合する等、公知の方法によって製造することができる(例えば、レミントンのPharmaceutical Sciences)。配列番号1、3、5、7または13に示されるヌクレオチド配列を含む遺伝子の発現やその遺伝子産物の活性に異常の認められる血小板凝集促進活性に関連する疾患の治療には、上記アンチセンスオリゴヌクレオチドを含む医薬組成物の十分な量を投与する。その有効量は、患者の状態、体重、性別、及び年齢などの種々の因子や、皮下、局所、経口、及び組織(筋肉を含む)内といった投与方法の違いによって変化する。例えば、静脈注射する場合には、0.02乃至0.2mg/kg/時間で2時間、また、皮下投与の場合には、1乃至200mg/m2/日を投与することができる。
有効成分としてポリペプチドを使用する場合、その投与形態としては、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤若しくはシロップ剤等による経口投与又は注射剤若しくは坐剤等による非経口投与を挙げることができる。これらの製剤は、賦形剤(例えば、乳糖、白糖、葡萄糖、マンニトール、ソルビトールのような糖誘導体;トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、α澱粉、デキストリンのような澱粉誘導体;結晶セルロースのようなセルロース誘導体;アラビアゴム;デキストラン;プルランのような有機系賦形剤:及び、軽質無水珪酸、合成珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、メタ珪酸アルミン酸マグネシウムのような珪酸塩誘導体;燐酸水素カルシウムのような燐酸塩;炭酸カルシウムのような炭酸塩;硫酸カルシウムのような硫酸塩等の無機系賦形剤を挙げることができる。)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムのようなステアリン酸金属塩;タルク;コロイドシリカ;ビーガム、ゲイ蝋のようなワックス類;硼酸;アジピン酸;硫酸ナトリウムのような硫酸塩;グリコール;フマル酸;安息香酸ナトリウム;DLロイシン;脂肪酸ナトリウム塩;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウムのようなラウリル硫酸塩;無水珪酸、珪酸水和物のような珪酸類;及び、上記澱粉誘導体を挙げることができる。)、結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、マクロゴール、及び、前記賦形剤と同様の化合物を挙げることができる。)、崩壊剤(例えば、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、内部架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムのようなセルロース誘導体;カルボキシメチルスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウム、架橋ポリビニルピロリドンのような化学修飾されたデンプン・セルロース類を挙げることができる。)、安定剤(メチルパラベン、プロピルパラベンのようなパラオキシ安息香酸エステル類;クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコールのようなアルコール類;塩化ベンザルコニウム;フェノール、クレゾールのようなフェノール類;チメロサール;デヒドロ酢酸;及び、ソルビン酸を挙げることができる。)、矯味矯臭剤(例えば、通常使用される、甘味料、酸味料、香料等を挙げることができる。)、希釈剤等の添加剤を用いて周知の方法で製造される。
その使用量は症状、年齢、投与方法等により異なるが、例えば、経口投与の場合には、1回当り、下限として、0.01mg/kg体重(好ましくは、0.1mg/kg体重)、上限として、100mg/kg体重(好ましくは、10mg/kg体重)を、静脈内投与の場合には、1回当り、下限として、0.001mg/kg体重(好ましくは、0.01mg/kg体重)、上限として、10mg/kg体重(好ましくは、1mg/kg体重)を1日当り1乃至数回症状に応じて投与することが望ましい。
また、有効成分として抗体を使用する場合、製剤化して経口的あるいは非経口的に投与することができる。医薬組成物の形態としては、点滴を含む注射剤、坐剤、経鼻剤、舌下剤、経皮吸収剤などが挙げられる。モノクローナル抗体は高分子蛋白質であることから、バイアル瓶などのガラス容器や注射筒などへの吸着が著しい上に不安定であり、種々の物理化学的因子、例えば、熱、pH及び湿度等により容易に失活するため、安定化剤、pH調整剤、緩衝剤、可溶化剤、界面活性剤等を添加することにより安定な形で製剤化することができる。安定化剤としてはグリシン、アラニン等のアミノ酸類、デキストラン40及びマンノース等の糖類、ソルビトール、マンニトール、キシリトール等の糖アルコール等が挙げられる。またこれらの二種以上を併用してもよい。これらの安定化剤の添加量は、抗体の重量に対して0.01〜100倍、特に0.1〜10倍添加するのが好ましい。緩衝剤としては、例えばリン酸バッファー、クエン酸バッファー等が挙げられる。緩衝剤の添加量としては、例えば液状製剤あるいは凍結乾燥製剤を採用解した後の水量に対し、1〜10mMとするのが好ましい。界面活性剤としては、好ましくはポリソルベート20、プルロニックF−68、ポリエチレングリコール等、特に好ましくはポリソルベート80が挙げられ、またこれらの2種以上を併用してもよい。界面活性剤の添加量としては、液状製剤あるいは凍結乾燥製剤の再溶解後の水重量に対して0.001〜1.0%添加することが好ましい。
特に医療用または動物用注射剤として用いる場合は、浸透圧として許容される浸透圧比は1〜2が好ましい。浸透圧比は、製剤化に際して塩化ナトリウムの増減により調製することができる。製剤中の抗体含量は、適用疾患、適用投与経路などに応じて適宜調整することができ、ヒトに対するヒト型抗体の投与量は、抗体のヒトgp44に対する親和性、即ち、ヒトgp44に対する解離定数(Kd値)に対し、親和性が高い(Kd値が低い)ほど、ヒトへの投与量を少なく薬効を発揮することができる。ヒト型抗gp44抗体をヒトに対して投与する際には、約0.1〜100mg/kgを1〜30日間に1回投与すればよい。
以下、実施例を示してこの発明を詳細かつ具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、下記実施例において遺伝子操作に関する各操作は特に明示がない限り、「モレキュラークローニング(Molecular Cloning)」(Sambrook, J., Fritsch, E.F.およびManiatis, T.著, Cold SpringHarbor Laboratory Pressより1989年に発刊)に記載の方法により行うか、または、市販の試薬やキットを用いる場合には市販品の指示書に従って使用した。
(実施例1)血小板凝集を引き起こす癌細胞でのgp38Pの発現検討
(1)細胞培養
マウス脳毛細血管内皮細胞MBEC−4(Tatsuta T, Naito M, Oh-hara T, Sugawara I, Tsuruo T. J Biol Chem. 1992; 267: 20383-91)、マウスリンパ節ストローマ細胞CA−12(Fujita N, Kataoka S, Naito M, Heike Y, Boku N, Nakajima M, Tsuruo T. Cancer Res. 1993; 53: 5022-7)、マウス結腸癌細胞colon26とそのサブラインであるNL−14、NL−17、NL−44(Watanabe M, Okochi E, Sugimoto Y, Tsuruo T. Cancer Res. 1988; 48: 6411-6)、マウスB16メラノーマ細胞のサブラインであるB16/F1とB16/F10(Watanabe M, Sugimoto Y, Tsuruo T. Cancer Res. 1990; 50: 6657-62)、および、チャイニーズハムスター卵巣繊維芽細胞(CHO)は、2mMのL-グルタミン、100μg/mlのカナマイシンおよび10%のheat-inactivated FBSを加えたRPMI1640培地で、37℃、湿度95% 、5%CO2の条件下で培養した。マウス骨芽細胞MC3T3−E1(Sakamoto, S. and Sakamoto, M. Biochem. Int., 9, 51−58, 1984)、ヒト胎児腎臓細胞293Tは、2mMのL−グルタミン、100μg/mlのカナマイシンおよび10%のheat-inactivated FBSを加えたダルベッコ改変イーグル培地で、37℃、湿度95%、5%CO2の条件下で培養した。
マウスの正常腹腔内マクロファージは、以下の方法により取得した。8週齢のBALB/c雌マウスに1mLの3%チオグリコレート溶液を腹腔に注射した。4日後に5mLのPBSを注射して、腹部を軽くもんでから腹腔液を吸い取り、細胞を遠心した後、PBSで2回洗い細胞を得た。(Gallily R, Feldman M. Immunology. 1967 Feb;12(2):197-206参照)
(2)ウエスタンブロッティング(MBEC−4、CA−12、MC3T3−E1細胞)
(1)に記載の方法により培養したMBEC−4、CA−12およびMC3T3−E1の各細胞を1×10個ずつ回収し、500μlのlysis B(25mMTris (pH7.4)、50mM NaCl、0.5% Na deoxycholate、2% Nonidet P-40、0.2% SDS)に懸濁させ、10分に1回攪拌しながら、氷上で1時間放置した。BCA-Protein Assay法(Pierce社)にて蛋白定量後、SDSサンプルバッファー(2−メルカプトエタノール入り)を20μlずつ加え、5分間煮沸したあと、10%ポリアクリルアミドゲルを用いて電気泳動を行った。PVDFメンブレンに転写し、ブロッキングの後gp44特異的に反応するモノクローナル抗体である8F11抗体(10μg/ml)(Watanabe et al, Cancer Res, 1991), βアクチン抗体(シグマ社)を室温で1時間反応させた。0.05% Tween20入りのPBSで10分3回洗い、HRP標識2次抗体を反応させた。同様に洗浄後、ECL-detectionを行った。
結果を図1のAに示す。図1Aから明らかなように、8F11抗体はMC3T3-E1上の約44kDaの蛋白を認識することが明らかとなった。また、8F11抗体で認識される抗原はマウス脳毛細血管内皮細胞MBEC-4、マウスリンパ節ストローマ細胞CA-12、マウスの正常腹腔内マクロファージにも認められた。
(3)RT−PCR(NL−17、NL−14、NL−44、B16F1、B16F10細胞)
(1)記載の方法により培養したNL-17, NL-14, NL-44, B16F1, B16F10の各細胞を1×10個調製し、RNA PCR Kit (AMV) Ver.2.1(宝酒造)を用いてRNAを調製した。RT-PCRは常法に従い行なった(Morinaga Y, Fujita N, Ohishi K, Tsuruo T. Int J Cancer, 1997, 71; 422-8)。mRNA量の補正の為のコントロールとしてβアクチンの発現量を検出した。検出に用いたプライマーは、βアクチンのセンスプライマーとして、
5’−gatatcgctgcgctggtcgtcgac−3’ (配列表の配列番号15)
に示されるヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド、アンチセンスプライマーとして、
5’−caagaaggaaggctggaaaagagc−3’(配列表の配列番号16)
に示されるヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド、gp38Pのセンスプライマーとして、
5’−tcaagatgtg gaccgtgcca gtg−3’(配列表の配列番号9)
に示されるヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド(図1B)または、
5’−ctcaagcttc aagatgtgga ccgtgccagt g−3’(配列表の配列番号11)
に示されるヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド(図1C)、アンチセンスプライマーとして、
5’−cgccatgggt catcttcctc cac−3’(配列表の配列番号10)
に示されるヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド(図1B)または、
5’−gaggaattcg ggcgagaacc ttccagaaat c−3’(配列表の配列番号12)
に示されるヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド(図1C)を用いた。
結果を図1のB及びCに示す。
図1のBに示すように、8F11抗体の認識するgp44(マウス大腸癌細胞(Colon 26)とそのサブラインの場合)とgp40(マウスメラノーマ細胞の場合)を発現している細胞株では全てgp38PのmRNA発現が認められた。また、正常マウス大腸ではgp38PのmRNA発現が癌細胞より低いことが明らかとなった。さらに、図1Cに示すように、NL−17細胞と比べて、血小板凝集能が低くgp44の発現量が少ないNL−14細胞では、8F11抗体によるウエスタンブロッティングにより、gp38P mRNA発現量も少ないことが、RT−PCR法にて確認された。つまり、8F11抗体はgp38P(またはgp38)として知られる分子を認識することが示された。
(実施例2)フローサイトメトリー
配列番号13に示されるヌクレオチド配列からなるgp38PのcDNAを取得するため、NL−17細胞のmRNAを鋳型にセンスプライマーとして、
5’-ctcaagcttcaagatgtggaccgtgccagtg-3’(配列表の配列番号17)
に示されるヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド、アンチセンスプライマーとして、
5’−ttacttgtcgtcatcgtctttgtagtcgggcgagaaccttccagaaatc−3’(配列表の配列番号18)
に示されるヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドを用いてPCRを行った。取得したPCR産物を、Concert Rapid PCR Purification System (Gibco社)を用いて精製し、Xcm Iにより切断したp3Tベクター(MoBiTec社)にligationし、p3T/gp38Pを作製した。さらにp3T/gp38PをHindIIIとNotIで末端を切断し、pcDNA3ベクター(Invitrogen社)のEcoRI-NotIサイトにつなぎかえ、pcDNA3-gp38Pを作製した。作製したpcDNA3-gp38PプラスミドをCHO細胞に遺伝子導入し、G418(1mg/mL)で選択することにより、gp38Pをステーブルに発現しているCHO/gp38P細胞株を樹立した。CHO細胞及びCHO/gp38P細胞を実施例1に記載の方法で培養した後、トリプシン処理し、PBSで洗って、遠心にて回収した。1サンプルあたり1×10個の細胞に対し、8F11抗体を1μgずつ加え、氷上で1時間反応させた。PBSにて洗浄後、抗ラットIgG−FITC(Cappel社)を100倍に希釈し、50μl/サンプルで加え、氷上で30分間反応させた。PBSで洗浄後、FACS Caliber (Becton Dickinson)により測定した。
結果を図2のAに示す。8F11抗体はCHO/gp38P細胞由来のサンプルにのみに反応し、親株のCHO由来のサンプルには反応しないことが明らかとなり、8F11抗体は、gp44およびgp38Pのいずれとも反応することが明らかとなった。これより、gp38Pは、gp44に対応する物質であることが示唆された。
(実施例3)ウエスタンブロッティング
CHO細胞に遺伝子導入し、G418(1 mg/mL)で選択することにより、空遺伝子をステーブルに導入したトランスフェクタント(CHO/Mock)を得た。また、配列番号7に示されるヌクレオチド配列からなるヒトホモログgp36をコードする遺伝子を、ヒト肺のcDNA library(コスモバイオ社)を鋳型に、センスプライマーとして、
5’-ctcaagcttgaacgatgtggaaggtgtcagc-3’(配列表の配列番号19)
に示されるヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド、アンチセンスプライマーとして、
5’−gaggaattcgggcgagtaccttcccgaca−3’(配列表の配列番号20)
に示されるヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドを用いてPCRを行った。取得したPCR産物を、Concert Rapid PCR Purification System (Gibco社)を用いて精製し、HindIIIとEcoRIで末端を切断して、Eco RIとHind IIIであらかじめ切断しておいたpcDNA3-FLAG(pcDNA3ベクター(Invitrogen社)のEcoRI-NotIサイトにあらかじめFLAGタグの配列を挿入したもの)ベクターにligationし、pcDNA3-gp36を作製した。作製されたpcDNA3-gp36をステーブルに導入したトランスフェクタント(CHO/gp36)を樹立した。また、ヒト胎児腎細胞293T細胞に一過性にpcDNA3-gp38P、pcDNA3-gp36、pFLAG-CMV-2-gp38P(pcDNA3-gp38Pを鋳型にPCRを行ない、SIGMA社より入手したpFLAG-CMV-2ベクターのEco RIサイトにPCR産物をligationして作製した、N末にFLAGタグがつくgp38P発現プラスミド)の各プラスミドを遺伝子導入した。CHO細胞、CHO/gp38P細胞、CHO/gp36細胞、CHO/Mock細胞、配列番号13に示されるヌクレオチド配列からなるgp38Pをコードする遺伝子を一過性に発現させた293T細胞および配列番号7に示されるヌクレオチド配列からなるgp36をコードする遺伝子を一過性に発現させた293T細胞を実施例1の方法で培養した後、各細胞を1×10個ずつ回収し、500μlのlysis B(25mMTris (pH7.4、50mM NaCl、0.5% デオキシコール酸ナトリウム(Na deoxycholate)、2% ノニデット(Nonidet) P-40、0.2%SDS)に懸濁させ、10分に1回攪拌しながら、氷上で1時間放置した。BCA-プロテインアッセイ法(Pierce社)にてタンパク質の定量後、SDSサンプルバッファー(2−メルカプトエタノール入り)を20μlずつ加え、5分間煮沸したあと、10%ポリアクリルアミドゲルを用いて電気泳動を行った。PVDFメンブレンに転写し、ブロッキングの後8F11抗体(10μg/ml)、βアクチン抗体(シグマ社)を室温で1時間反応させた。0.05%Tween 20入りのPBSで10分3回洗い、HRP標識2次抗体を反応させた。同様に洗浄後、ECL-detectionを行った。
結果を図2のBに示す。8F11抗体はCHO/gp38P細胞の約44kDaの蛋白を認識し、親株やモックトランスフェクタント、ヒトホモログgp36遺伝子発現株とは反応しなかった。さらに、ヒト293T細胞に一過性にgp38Pを遺伝子導入した細胞の約44kDa蛋白質と反応することも確認された。一方、ヒトホモログgp36を遺伝子導入したものでは反応しないことから、トランスフェクトされたgp38Pが8F11抗体の抗原であることが確認され、gp38P発現にともなう2次的な蛋白発現ではないことが示唆された。
(実施例4)免沈-ウエスタンブロッティング
CHO細胞およびCHO/gp38P細胞を実施例1の方法で培養した後、各細胞を1×10個ずつ回収し、500μlのlysis B(25mM Tris-HCl (pH7.4)、50mM NaCl、0.5% Na deoxycholate、2% Nonidet P-40、0.2%SDS)に懸濁させ、10分に1回攪拌しながら、氷上で1時間放置した。CHO親株とFLAGのタグ付きであるCHO/gp38P細胞の細胞溶解液から8F11抗体、抗FLAG抗体、正常ラット抗体(コントロール用)を用いて免疫沈降し、8F11抗体またはgp44を認識するもう一つの抗gp44モノクローナル抗体である20A11抗体(Watanabe M, Okochi E, Sugimoto Y, Tsuruo T. Cancer Res. 1988; 48: 6411-6参照。)を用いて、以下の方法によりウエスタンブロッティングを行った。8F11抗体、抗FLAG−M2抗体(シグマ社)、コントロール用正常ラットIgG抗体(NR IgG;シグマ社)を10μgずつ、プロテインG−セファロース4Bゲル(Zymed社)10μlと氷上で1時間反応させたあと、PBSで洗い、各細胞のライセートを100μlずつ加え、氷上で1時間反応させた。PBSで洗浄後、SDSサンプルバッファー(2−メルカプトエタノール入り)を20μlずつ加え、5分間煮沸したあと、10%ポリアクリルアミドゲルを用いて電気泳動を行った。PVDFメンブレンに転写し、ブロッキングの後8F11抗体(10μg/ml)、20A11抗体(培養上清)を室温で1時間反応させた。PVDFメンブレンを0.05%Tween 20入りのPBSで10分×3回洗い、抗ラットIgG−HRP(DAKO社)を反応させた。同様に洗浄後、ECL-検出(detection)を行った。
結果を図2のCに示す。それぞれ、ウエスタンブロッティングに8F11抗体を用いたものを図2C左に、モノクローナル抗体20A11を用いたものを図2C右に示す。抗FLAG抗体で免疫沈降されるgp38Pが、8F11抗体と20A11抗体で認識されることから、gp44として見つけていた分子はgp38Pと同一であることが証明された。
(実施例5)血小板凝集実験
マウスよりヘパリンを用いて血液を採取し、900rpmで10分遠心を行い、血小板が豊富な血漿画分(Platelet-rich plasma:PRP)を集めた。このPRPをPBSで3倍の体積に希釈し、血小板凝集用のPRPとした。血小板凝集に用いる細胞は、トリプシンで処理し回収した後、セルバンカーで一晩凍結したものを使用した。実際にはマウスPRPを200μlずつ分注し、2x10cells/mlのCHO親株、CHO/gp38P細胞をそれぞれ10μlずつ加え、ヘマトレーサー(NKK HEMA TRACER I MODEL PAT-4M; Niko Bioscientific CO, Tokyo, Japan)を用いて血小板凝集の様子を記録した(参考文献:Watanabe M, Okochi E, Sugimoto Y, Tsuruo T. Cancer Res. 1988; 48: 6411-6)。また8F11抗体による血小板凝集抑制効果を検討する場合には、CHO/gp38P細胞をコントロール用Normal Rat IgG(コントロール抗体;Sigma社)または8F11抗体(500μg)と20分氷浴上で反応させた後に上記の血小板凝集実験を行なった。
結果を図3のAおよびBに示す。図3AにあるようにCHO/gp38P細胞のみで血小板凝集が確認され、gp38Pが血小板を凝集させる活性を持つことが確認された。また図3Bより、このCHO/gp38P細胞による凝集は、細胞をあらかじめ8F11抗体と反応させることにより抑制されることから、本結果の示す血小板凝集はgp38遺伝子産物の発現によることが確認された。
(実施例6)抗ヒトgp36ポリクローナル抗体(TT679)の作製
Japanese White Rabbitに以下のアミノ酸配列からなるペプチドにキャリアーとしてKeyhole Limpet Hemocyanin (KLH)を共有結合させたペプチド:
Cys Glu Gly Gly Val Ala Met Pro Gly Ala Glu Asp Asp Val Val(配列表の配列番号21)
を6回免疫し、血清を回収した。血清を上記ペプチドをセファロースゲルに固相化したカラムにてaffinity精製を行なった。
(実施例7)ウエスタン・ブロッティング
CHO細胞に発現する遺伝子を含んでいない空のpcDNA3(Mock)、pcDNA3-gp38P、pcDNA3-gp36、またはgp38Pの点変異体のgp38P-M41A cDNAを含んだpcDNA3プラスミド(pcDNA3-gp38P-M41A)を遺伝子導入し、24時間後に1x107個ずつ回収し、500μlのlysis B(25 mM Tris (pH 7.4, 50 mM NaCl, 0.5% デオキシコール酸ナトリウム(sodium deoxycholate)、2% ノニデット(Nonidet)P-40、0.2% SDS) に懸濁させ、10分に1回ボルテックス(vortex)しながら、氷上で1時間放置した。Pierce社のBCA-Protein Assay法にて蛋白定量後、SDS sample buffer(2−メルカプトエタノール入り)を20μlずつ加え、5分間煮沸したあと、10% ポリアクリルアミド・ゲル(polyacrylamide gel)を用いて電気泳動を行った。PVDFメンブレンに転写し、ブロッキングの後、抗gp36ポリクローナル抗体(TT679)、8F11抗体(10μg/ml)を室温で1時間反応させた。0.05% Tween 20入りのPBSで10分3回洗い、HRP標識2次抗体を反応させた。同様に洗浄後、ECL-検出(detection)を行った。
結果を図4Aに示す。抗gp36ポリクローナル抗体(TT679)はCHO/gp36細胞由来のサンプルのみに反応し、CHO/Mock、CHO/gp38P、CHO/gp38P-M41Aには反応せず、一方8F11抗体はCHO/gp38P細胞由来のサンプルのみに反応し、CHO/Mock、CHO/gp38P-M41A、CHO/gp36には反応せず、作製された抗gp36ポリクローナル抗体(TT679)は特異的にヒトホモログgp36に反応することが確認された。
(実施例8)マウス・ヒト血小板凝集実験
マウスまたはヒト健常人よりヘパリンを用いて血液を採取し、900rpmで10分間遠心を行い、血小板が豊富な血漿画分(Platelet-rich plasma:PRP)を集めた。このPRPをPBSで3倍の体積に希釈し、血小板凝集用のPRPとした。血小板凝集に用いる細胞は、トリプシンで処理し回収した後、使用した。実際にはマウスまたはヒトPRPを200μlずつ分注し、2x107cells/mlのCHO親株、CHO/gp38P、CHO/gp36、をそれぞれ10μlずつ加え、ヘマトレーサー(NKK HEMA TRACER I MODEL PAT-4M; Niko Bioscientific CO, Tokyo, Japan)を用いて血小板凝集の様子を記録した(参考文献:Watanabe, M., Okochi, E., Sugimoto, Y., and Tsuruo, T. Cancer Res. 48: 6411-6416, 1988)。
結果を図4のB、C、Dに示す。図4Bに示すように、マウスのgp38P遺伝子が発現しているCHO/gp38P細胞だけでなく、gp38Pのヒトホモログであるgp36遺伝子が発現しているCHO/gp36細胞にもマウス血小板凝集を誘導する活性があることが確認された。また図4Cに示すように、マウスのgp38P遺伝子が発現しているCHO/gp38P細胞にはヒト血小板を凝集させる活性を持つことが確認された。さらに図4Dに示すように、ヒトのgp36遺伝子が発現しているCHO/gp36細胞にはヒト血小板を凝集させる活性を持つことが確認された。本結果より、gp38Pとヒトホモログであるgp36には、マウス・ヒトといった種を超えた血小板凝集誘導活性を持つことが確認された。
(実施例9)8F11抗体による血小板凝集阻害
マウスよりヘパリンを用いて血液を採取し、900rpmで10分間遠心を行い、血小板が豊富な血漿画分(Platelet-rich plasma:PRP)を集めた。このPRPをPBSで3倍の体積に希釈し、血小板凝集用のPRPとした。血小板凝集に用いたCHO/gp38P細胞は、トリプシンで処理し回収した後、使用した。実際にはマウスPRPを200μlずつ分注し、8F11抗体またはコントロール用Normal Rat IgG(コントロール抗体;Sigma社)を1 mg添加し37℃で30分反応させた。その後、2x107cells/mlのCHO/gp38Pを10μlずつ加え、ヘマトレーサー(NKK HEMA TRACER I MODEL PAT-4M; Niko Bioscientific CO, Tokyo, Japan)を用いて血小板凝集の様子を記録した(参考文献:Watanabe, M., Okochi, E., Sugimoto, Y., and Tsuruo, T. Cancer Res. 48: 6411-6416, 1988)。
結果を図5Aに示す。8F11抗体はgp38Pを恒常的に発現させたCHO/gp38P細胞によるgp38P依存的な血小板凝集を抑制することが分かり、コントロール用Normal Rat IgG(コントロール抗体)添加では血小板凝集が抑制されないことから、8F11抗体はgp38Pを認識して結合することにより血小板凝集を中和する活性を示す抗体であることが明らかとなった。
(実施例10)gp38Pフラグメントを用いた8F11抗体結合部位の同定
全長gp38P遺伝子を含むプラスミドを鋳型にPCRを行ない、PCR産物をEcoRIとNheIで処理した後、pET-21a vector(Novagen社)にFLAGタグをコードする遺伝子をあらかじめ組み込んだプラスミドにligationした。このプラスミドで形質転換した大腸菌を培養しIPTG添加により発現誘導を行なった。この大腸菌の菌体を遠心により集め、直接SDS sample buffer(2−メルカプトエタノール入り)を50μlずつ加え、5分間煮沸したあと、10% ポリアクリルアミド・ゲルを用いて電気泳動を行った。PVDFメンブレンに転写し、ブロッキングの後、抗FLAG-M2抗体(シグマ社)、8F11抗体(10μg/ml)を室温で1時間反応させた。0.05% Tween 20入りのPBSで10分間×3回洗浄し、HRP標識2次抗体を反応させた。同様に洗浄後、ECL検出を行った。
結果を図5のB及びCに示す。図5Bに示すように、8F11抗体はgp38PのN末から46番(配列表の配列番号14のアミノ酸番号46番)目以降をコードするgp38Pの遺伝子断片から生成されたポリペプチドには強く反応するが配列表の配列番号14のアミノ酸番号1乃至43に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドとは、弱い反応性しか示さなかった。なお、配列表の配列番号14のアミノ酸番号1乃至43に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドが発現していることは抗FLAG抗体で確認した。また、8F11抗体は配列表の配列番号2のアミノ酸番号1乃至40に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドには全く反応しないという結果が得られた。また図5Cに示すように、N末を削った配列表の配列番号14のアミノ酸番号41乃至172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドには全く反応しないが、配列表の配列番号14のアミノ酸番号39乃至172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドには強く反応した。gp38Pの遺伝子断片から生成されたポリペプチドに対する8F11抗体の反応性をまとめると図5Dのようになる。8F11抗体のgp38P上の認識部位は配列表の配列番号14のアミノ酸番号39乃至44に示されるアミノ酸配列からなるペプチドであることが推測された。
(実施例11)gp38Pの点変異体を用いた8F11抗体結合部位の確認
gp38P cDNA(WT)を用いて、配列表の配列番号14のアミノ酸番号38のグリシンをコードする遺伝子をアラニンをコードする遺伝子に置換したG38A(配列表の配列番号22にヌクレオチド配列を示し、配列番号23にアミノ酸配列を示す。)、配列番号14のアミノ酸番号40のグリシンをコードする遺伝子をアラニンをコードする遺伝子に置換したG40A(配列表の配列番号24にヌクレオチド配列を示し、25にアミノ酸配列を示す。)、配列番号14のアミノ酸番号41のメチオニンをコードする遺伝子をアラニンをコードする遺伝子に置換したM41A(配列表の配列番号26にヌクレオチド配列を示し、27にアミノ酸配列を示す。)、配列番号14のアミノ酸番号42のバリンをコードする遺伝子をアラニンをコードする遺伝子に置換したV42A(配列表の配列番号28にヌクレオチド配列を示し、29にアミノ酸配列を示す。)、配列番号14のアミノ酸番号43のプロリンをコードする遺伝子をアラニンをコードする遺伝子に置換したP43A(配列表の配列番号30にヌクレオチド配列を示し、31にアミノ酸配列を示す。)、配列番号14のアミノ酸番号45のグリシンをコードする遺伝子をアラニンをコードする遺伝子に置換したG45A(配列表の配列番号32にヌクレオチド配列を示し、33にアミノ酸配列を示す。)、配列番号14のアミノ酸番号49のリジンをコードする遺伝子をアラニンをコードする遺伝子に置換したK49A(配列表の配列番号34にヌクレオチド配列を示し、35にアミノ酸配列を示す。)、配列番号14のアミノ酸番号34のスレオニンをコードする遺伝子をアラニンをコードする遺伝子に置換したT34A(配列表の配列番号36にヌクレオチド配列を示し、37にアミノ酸配列を示す。)、配列番号14のアミノ酸番号37のスレオニンをコードする遺伝子をアラニンをコードする遺伝子に置換したT37A(配列表の配列番号38にヌクレオチド配列を示し、39にアミノ酸配列を示す。)、配列番号14のアミノ酸番号51のスレオニンをコードする遺伝子をアラニンをコードする遺伝子に置換したT51A(配列表の配列番号40にヌクレオチド配列を示し、41にアミノ酸配列を示す。)、配列番号14のアミノ酸番号52のスレオニンをコードする遺伝子をアラニンをコードする遺伝子に置換したT52A(配列表の配列番号42にヌクレオチド配列を示し、43にアミノ酸配列を示す。)の各変異体をQuickChange Mutagenesis Kit (Stratagene社)を用いて作製した。これら変異体に変異が導入されていることをシーケンスにて確認後、pcDNA3ベクターに組み込み、CHO細胞に遺伝子導入した。遺伝子導入24時間後にCHO細胞を1x107個ずつ回収し、500μlのlysis B(25 mM Tris (pH 7.4, 50 mM NaCl, 0.5% デオキシコール酸ナトリウム、 2% Nonidet P-40, 0.2% SDS) に懸濁し、10分に1回vortexしながら、氷上で1時間放置した。Pierce社のBCA-Protein Assay法にて蛋白定量後、SDS sample buffer(2−メルカプトエタノール入り)を20μlずつ加え、5分間煮沸したあと、10% ポリアクリルアミド・ゲルを用いて電気泳動を行った。PVDFメンブレンに転写し、ブロッキングの後、抗FLAG-M2抗体(Sigma社)、8F11抗体(10μg/ml)を室温で1時間反応させた。0.05% Tween 20入りのPBSで10分3回洗い、HRP標識2次抗体を反応させた。同様に洗浄後、ECL検出を行った。
結果を図6Aに示す。8F11抗体はG40A、M41A、V42A、P43Aの各変異体には反応せず、G38Aの変異体に対しては弱い反応性しか示さなかった。その他の変異体に対して8F11抗体は強く反応した。よって、先の図5の結果と合わせ、8F11抗体はgp38Pのアミノ酸番号39から44番目(配列表の配列番号14のアミノ酸番号39乃至44)のペプチド配列を認識することが明らかになった。
(実施例12)ELISAによる8F11抗体の反応部位の確認
gp38P蛋白の39番目から47番目(配列表の配列番号14のアミノ酸番号39乃至47)のアミノ酸配列のC末にシステイン(C)を加えたアミノ酸配列:
Asp Gly Met Val Pro Pro Gly Ile Glu Cys(配列表の配列番号44)からなるペプチド(WT)と、
アミノ酸番号41のメチオニンをアラニンにしたアミノ酸配列:
Asp Gly Ala Val Pro Pro Gly Ile Glu Cys(配列表の配列番号45)からなるペプチド(M41Apt)、アミノ酸番号42のバリンをアラニンにしたアミノ酸配列:
Asp Gly Met Ala Pro Pro Gly Ile Glu Cys(配列表の配列番号46)からなるペプチド(V42Apt)、アミノ酸番号43のプロリンをアラニンにしたアミノ酸配列:
Asp Gly Met Val Ala Pro Gly Ile Glu Cys(配列表の配列番号47)からなるペプチド(P43Apt)、アミノ酸番号44のプロリンをアラニンにしたアミノ酸配列:
Asp Gly Met Val Pro Ala Gly Ile Glu Cys(配列表の配列番号48)からなるペプチド(P44Apt)をペプチド合成機にて合成し、96-well plateに固相化した。常法に従い(参考文献: Kato, Y., Fujita, N., Yano, H., and Tsuruo, T. Cancer Res., 57, 3040-3045, 1997)8F11抗体とコントロールラット抗体(Sigma社)のペプチドに対する反応性をELISA法にて検討した。
結果を図6Bに示す。図6Bに示すように、8F11抗体はWTペプチドには反応するが、他の変異ペプチドには反応性を示さず、図6Aの結果が別の実験で再現でき、確かに8F11抗体はgp38Pのアミノ酸39から44番目(配列表の配列番号14のアミノ酸番号39乃至44)を認識することが明らかになった。
(実施例13)8F11抗体によるgp38Pの血小板凝集阻害機構の検討
8F11抗体により認識されるペプチド配列がgp38Pの血小板凝集活性に必須であるなら、この部位のアミノ酸配列に変異を入れた変異gp38Pには血小板凝集活性が認められない可能性がある。そこで、マウスよりヘパリンを用いて血液を採取し、900rpmで10分間遠心を行い、血小板が豊富な血漿画分(Platelet-rich plasma:PRP)を集めた。このPRPをPBSで3倍の体積に希釈し、血小板凝集用のPRPとした。血小板凝集に用いる細胞は、トリプシンで処理し回収した後、使用した。実際にはマウスPRPを200μlずつ分注し、2x107cells/mlのCHO親株、CHO/gp38P、gp38Pの41番目のメチオニンをアラニンに置換したM41A-gp38P(配列表の配列番号27)をステーブルに発現するCHO/M41Aをそれぞれ10μlずつ加え、ヘマトレーサー(NKK HEMA TRACER I MODEL PAT-4M; Niko Bioscientific CO, Tokyo, Japan)を用いて血小板凝集の様子を記録した(参考文献:Watanabe, M., Okochi, E., Sugimoto, Y., and Tsuruo, T. Cancer Res. 48: 6411-6416, 1988)。
結果を図6C及びDに示す。図6Cに示すように、マウスのgp38P遺伝子が発現しているCHO/gp38P細胞だけでなく、gp38Pの41番目(配列表の配列番号14のアミノ酸番号41)のメチオニンをアラニンに置換したM41A-gp38Pをステーブルに導入したCHO/M41A細胞もマウスの血小板凝集を誘導する活性を持つことが確認された。このことは図6Dに示すように、8F11抗体が8F11認識部位近傍に存在するgp38Pの糖鎖を立体的に障害することにより、糖鎖依存的な血小板凝集を阻害している可能性を示すものである。
(実施例14)gp38P蛋白質上の血小板凝集に必須な部位の同定
配列表の配列番号14に示されるアミノ酸配列からなる、野生型gp38P のアミノ酸番号41のメチオニンをコードする遺伝子をアラニンをコードする遺伝子に置換した変異体タンパク質M41A、アミノ酸番号34のスレオニンをコードする遺伝子をアラニンをコードする遺伝子に置換した変異体タンパク質T34A(配列表の配列番号37)、アミノ酸番号37のスレオニンをコードする遺伝子をアラニンをコードする遺伝子に置換した変異体タンパク質T37A(配列表の配列番号39)、アミノ酸番号51のスレオニンをコードする遺伝子をアラニンをコードする遺伝子に置換した変異体タンパク質T51A(配列表の配列番号41)、及び、アミノ酸番号52のスレオニンをコードする遺伝子をアラニンをコードする遺伝子に置換した変異体タンパク質T52A(配列表の配列番号43)の各変異体タンパク質をコードするcDNAを含んだpcDNA3ベクターをCHO細胞に一過性に遺伝子導入しそれぞれの蛋白を膜表面上に発現させ、24時間後にトリプシンで処理し回収した。マウスよりヘパリンを用いて血液を採取し、900rpmで10分遠心を行い、血小板が豊富な血漿画分(Platelet-rich plasma:PRP)を集めた。このPRPをPBSで3倍の体積に希釈し、血小板凝集用のPRPとした。実際にはマウスPRPを200μlずつ分注し、2x107cells/ml濃度の、変異体タンパク質M41Aを一過性に発現させたCHO/M41A、変異体タンパク質T34Aを一過性に発現させたCHO/T34A、変異体タンパク質T37Aを一過性に発現させたCHO/T37A、変異体タンパク質T51Aを一過性に発現させたCHO/T51A、及び変異体タンパク質T52Aを一過性に発現させたCHO/T52Aをそれぞれ10μlずつ加え、ヘマトレーサー(NKK HEMA TRACER I MODEL PAT-4M; Niko Bioscientific CO, Tokyo, Japan)を用いて血小板凝集の様子を記録した(参考文献:Watanabe, M., Okochi, E., Sugimoto, Y., and Tsuruo, T. Cancer Res. 48: 6411-6416, 1988)。
結果を図7Aに示す。図7Aに示すように、変異体タンパク質T34Aを一過性に発現させたCHO/T34A細胞にはマウスの血小板凝集を誘導する活性が全くないことが分かり、34番目(配列表の配列番号14のアミノ酸番号34)のスレオニンが血小板凝集に必須な部位であることが明らかになった。この部位は図7Bに示すように、スレオニンの次にプロリンが続く部位であり、糖鎖がつきやすい部位であることが知られている(参考文献:Yoshida, A., Suzuki, M., Ikenaga, H., and Takeuchi, M. J. Biol. Chem. 272: 16884-16888, 1997)。この部位(図7Bの*マークの部位)はマウスのgp38Pだけでなく、他のヒト(配列表の配列番号8のアミノ酸番号52)・ラット(配列表の配列番号4のアミノ酸番号34)・イヌ(配列表の配列番号6のアミノ酸番号41あるいはアミノ酸番号50)のホモログにも保存されていることが、それぞれのアミノ酸配列を比較した図7Bより分かり、血小板凝集活性に重要な部位であることが示唆された。
(実施例15)ヒトホモログgp36蛋白質上の血小板凝集に必須な部位の同定
野生型gp36 cDNA(WT)とその52番目(配列表の配列番号8のアミノ酸番号52)のスレオニンをコードする遺伝子をアラニンをコードする遺伝子に置換したgp36-T52A(配列表の配列番号49にヌクレオチド配列を示し、50にアミノ酸配列を示す。)、配列表の配列番号8のアミノ酸番号55のスレオニンをコードする遺伝子をアラニンをコードする遺伝子に置換したgp36-T55A(配列表の配列番号51にヌクレオチド配列を示し、52にアミノ酸配列を示す。)の各変異体をコードするcDNAを含んだpcDNA3ベクターをCHO細胞に一過性に遺伝子導入しそれぞれの蛋白を膜表面上に発現させ、24時間後にトリプシンで処理し回収した。マウスよりヘパリンを用いて血液を採取し、900rpmで10分遠心を行い、血小板が豊富な血漿画分(Platelet-rich plasma:PRP)を集めた。このPRPをPBSで3倍の体積に希釈し、血小板凝集用のPRPとした。実際にはマウスPRPを200μlずつ分注し、2x107cells/mlの野生型gp36を一過性に発現させたCHO/gp36、gp36の52番目(配列表の配列番号8のアミノ酸番号52)のスレオニンをアラニンに置換したgp36-T52Aを一過性に発現させたCHO/gp36-T52A、gp36の55番目(配列表の配列番号8のアミノ酸番号55)のスレオニンをアラニンに置換したgp36-T55Aを一過性に発現させたCHO/gp36-T55Aをそれぞれ10μlずつ加え、ヘマトレーサー(NKK HEMA TRACER I MODEL PAT-4M; Niko Bioscientific CO, Tokyo, Japan)を用いて血小板凝集の様子を記録した(参考文献:Watanabe, M., Okochi, E., Sugimoto, Y., and Tsuruo, T. Cancer Res. 48: 6411-6416, 1988)。
結果を図7Cに示す。図7Cに示すように、gp36-T52Aを一過性に発現させたCHO/gp36-T52A細胞にはマウスの血小板凝集を誘導する活性が全くないことが分かり、配列番号8のアミノ酸番号52のスレオニンが血小板凝集に必須な部位であることが明らかとなった。この部位は図7Bに示すように、gp38Pとホモロジーの極めて高い部位であり、かつgp38P同様にスレオニンの次にプロリンが続く部位で糖鎖がついている可能性が高い部位であることが知られている(参考文献:Yoshida, A., Suzuki, M., Ikenaga, H., and Takeuchi, M. J. Biol. Chem. 272: 16884-16888, 1997)。また、犬のホモログに関しては、このスレオニンに糖鎖が結合している可能性をEdman分解後のシーケンスの際に読めないことから示唆している(参考文献:Zimmer, G., Lottspeich, F., Maisner, A., Klenk, H. D., and Herrler, G. Biochem. J. 326: 99-108, 1997)。よって、種を超えて保存されているこの部位(図7Bの*マークの部位)が血小板凝集誘導活性に極めて大事な部位であることが示唆された。
(実施例16)ヒトホモログgp36遺伝子の腸癌における発現上昇
Cancer Profiling Array II(BD Biosciences社)は、様々な癌患者(160症例)の癌部(T)と非癌部(N)からmRNAを抽出し、cDNAに変換し、4種類のhouse-keeping遺伝子でcDNAの量を各々補正した後にナイロンメンブレン上に固相化したものである。このCancer Profiling Array IIメンブレンに32Pラベルしたヒトホモログgp36遺伝子をプローブとしてハイブリダイズし、各々のdotにおける放射比活性をBAS1000 phosphoimage analyzer(フジフィルム社)にて可視化・定量化し、gp36遺伝子の癌における発現レベルの検討を行なった。基本的な方法はBD Biosciences社のプロトコールに従った(参考文献:Wiechen, K., Diatchenko, L., Agoulnik, A., Scharff, K. M., Schober, H., Arlt, K., Zhumabayeva, B., Siebert, P. D., Dietel, M., Schafer, R., and Sers, C. Am. J. Pathol. 159, 1635-1643, 2001)。また癌部(T)と非癌部(N)での発現の差異は、Cancer Profiling Array IIメンブレンに32Pラベルしたヒトユビキチン遺伝子をコントロールプローブとしてハイブリダイズし、BAS1000 phospho-image analyzerにて可視化・定量化してgp36遺伝子の放射比活性を補正し、各々の患者の癌部(T)と非癌部(N)の発現の比率を計算した。また、Cancer Profiling Array II に固相化されている大腸癌患者No.5と小腸癌患者No.2のcDNAをBD Biosciences社より購入し、これをtemplateとしてgp36遺伝子を増幅するプライマー:
5’-TGTGGAAGGTGTCAGCTCTG-3’(センス:配列表の配列番号53)
5’-TTAGGGCGAGTACCTTCCCG-3’(アンチセンス:配列表の配列番号54)
コントロール用Ribosomal protein S9遺伝子を増幅するプライマー:
5’-GATGAGAAGGACCCACGGCGTCTGTTCG-3’(センス:配列表の配列番号55)
5'-GAGACAATCCAGCAGCCCAGGAGGGACA-3’(アンチセンス:配列表の配列番号56)を用いてPCRを行なった。PCRの条件としては、BD Biosciences社の推奨するプロトコールに従い、94℃30秒後、35回94℃30秒・68℃2分のPCRを行ない、最終的に68℃で5分間反応液を熱した後、アガロース電気泳動を行なった。
結果を追加図8のA、B、C及びDに示す。図8Aに示すように、gp36遺伝子をプローブとして用いた場合には、gp36遺伝子の発現がColon(結腸)、Rectum(直腸)、Small intestine(小腸)の癌部(T)において90%以上の確率で非癌部(N)に比べ上昇していることが認められる。一方、Lung(肺)、Breast(乳房)、Ovary(卵巣)の癌部(T)と非癌部(N)ではあまりgp36の遺伝子発現レベルには変化が認められず、腸癌で特異的にgp36遺伝子の発現上昇が認められた。さらにユビキチン遺伝子をコントロールプローブとして用いて、メンブレン上のcDNAの量を補正し、各々の患者の癌部(T)と非癌部(N)におけるgp36遺伝子の発現量の比を計算した結果を追加図5Bに示す。また他の臓器由来の癌におけるgp36遺伝子の発現量の比を計算した結果を追加図5Cに示す。これらの図からも分かるようにColon(結腸)、Rectum(直腸)、Small intestine(小腸)、Testis(精巣)の癌部(T)において高頻度にgp36遺伝子の発現量の増加が確認され、gp36発現の有無が腸及び精巣の癌の診断マーカーとして使用できる可能性が示唆された。またこのCancer Profiling Array IIの結果が正しいことを証明するために、Cancer Profiling Array IIで固相化されている大腸癌患者No.5と小腸癌患者No.2のcDNA(図8Aで数字の周りを円で囲っているサンプル)を用いて、gp36遺伝子のプライマーでPCRを行なった結果、確かに癌部(T)より調製したcDNAにおいてgp36遺伝子の発現量が非癌部(N)に比べ多いことが確認された(図8D)。尚、コントロール用にribosomal protein S9を増幅するプライマーで同様にPCRを行なった結果、PCRに用いた癌部(T)と非癌部(N)のcDNA量は等しいことが確認されている(図8D下図)。
(実施例17)ヒトホモログgp36蛋白質の結腸癌における発現
ヒト結腸癌におけるgp36蛋白質発現増加を検討するために、ヒト結腸癌組織および正常結腸組織の切片に対する免疫組織染色を行なった。具体的には、Ambion社よりLandMark Tissue Microarrays Low Density Colorectalを購入し、これを上述の抗ヒトgp36ポリクローナル抗体であるTT679抗体を用いて免疫染色した。このMicroArrayは直径600 μmのニードルでパンチした結腸癌と正常組織のホルマリン固定された組織切片をスライドグラス上にのせ、パラフィン包埋したものである。この組織切片に対して、TT679抗体を一次抗体として反応させ、二次抗体にはビオチン標識抗rabbit抗体を用い、ペルオキシダーゼ標識streptoavidin(DAKO社、LSAB2 kit)を反応後DABを基質として発色させて、抗体が反応している部分は茶色に染まるようにした。ヘマトキシレン・エオジン(H&E)染色した各々の組織の写真は、Ambion社においてH&E染色されたサンプルを写真にとったものである。
結果を図9に示す。図9のA及びCにあるように、ヒト結腸癌の組織切片に対してTT679抗体は強い反応性を示したが、正常な結腸の組織切片に対してはほとんど反応性を示さず(図9E)、gp36は図8で示した遺伝子レベルだけでなく、蛋白質レベルでも確かに腸癌で発現が上昇していることが示され、腸癌の診断において、gp44のヒトホモログgp36の発現上昇がマーカーとなることが確認された。
(実施例18)ヒトホモログgp36発現レベルと結腸癌転移との相関
Cancer Profiling Array(BD Biosciences社)は、上述のCancer Profiling Array IIと同様に、様々な癌患者(241症例)の癌部(T)と非癌部(N)、さらには幾つかの症例では転移部(M)からmRNAを抽出し、cDNAに変換し、4種類のhouse-keeping遺伝子でcDNAの量を各々補正した後にナイロンメンブレン上に固相化したものである。このCancer Profiling Arrayメンブレンに32Pラベルしたヒトgp36遺伝子をプローブとしてハイブリダイズし、各々のdotにおける放射比活性をBAS1000 phosphoimage analyzer(フジフィルム社)にて可視化・定量化し、gp36遺伝子の原発巣・転移巣における発現レベルの検討を行なった。基本的な方法はBD Biosciences社のプロトコールに従った(参考文献:Wiechen, K., Diatchenko, L., Agoulnik, A., Scharff, K. M., Schober, H., Arlt, K., Zhumabayeva, B., Siebert, P. D., Dietel, M., Schafer, R., and Sers, C. Am. J. Pathol. 159, 1635-1643, 2001)。また癌部(T)と非癌部(N)、転移部(M)での発現の差異は、Cancer Profiling Array メンブレンに32Pラベルしたヒトユビキチン遺伝子をコントロールプローブとしてハイブリダイズし、BAS1000 phospho-image analyzerにて可視化・定量化してgp36遺伝子の放射比活性を補正し、各々の患者の非癌部(N)での発現を1とした際の比率で癌部(T)と転移部(M)での発現比率を計算した。
結果を図10のA及びBに示す。図10Aにあるように、ヒトホモログgp36遺伝子をプローブとして用いた場合には、gp36遺伝子の発現が大腸癌の癌部(T)で非癌部(N)より多くなっていることが分かる。さらに転移部(M)ではさらにgp36遺伝子発現が増加している場合が多いことが分かる。ユビキチン遺伝子をコントロールプローブとして用いて、メンブレン上のcDNAの量を補正し、各々の患者の非癌部(N)におけるgp36遺伝子の発現量を1とした際の癌部(T)と転移部(M)の比を計算した結果を図10Bに示す。その結果、明らかに転移部(M)でのgp36発現が癌部(T)、さらには非癌部(N)より増加している場合が多く、この結果よりgp36遺伝子発現が大腸癌の転移促進に関わっていることが明らかになった。
(実施例19)ヒトホモログgp36発現に伴う肺転移増加
実施例3に記載した方法により、配列表の配列番号7に示されるヌクレオチド配列からなるヒトホモログgp36遺伝子を含んだpcDNA3-gp36プラスミド及びコントロールとしてgp36遺伝子を含まないpcDNA3プラスミドをCHO細胞に遺伝子導入し、G418(1 mg/mL)に対する耐性で選択した。
ここで樹立された細胞株のうち、ヒトホモログgp36をステーブルに発現している細胞株をCHO/gp36細胞と命名し、gp36遺伝子を含まないpcDNA3プラスミドを含んだ細胞株をCHO/mock細胞と命名した。CHO/gp36細胞及びCHO/mock細胞を実施例1に記載の方法で培養した後、トリプシン処理し、PBSで洗って、遠心にて回収した。
CHO/gp36細胞及びCHO/mock細胞をそれぞれ、Hanks’ Balanced Salt Solution(マグネシウム・カルシウム不含: 0.40 g/L KCl、0.06 g/L KH2PO4、8.0 g/L NaCl、0.35 g/L NaHCO3、0.048 g/L Na2HPO4、1.00 g/L D-Glucose、0.01 g/L Phenol Red)に1 mL当たり2.5X106個の細胞濃度になるように調製した。調製した各細胞を含む溶液をBALB/cヌードマウス(チャールズリバー・ジャパンより購入、5週齢・メス)の尾静脈より200μLずつ(5X105細胞/マウス)移植した(参考文献:Sugimoto, Y., Watanabe, M., Oh-hara, T., Sato, S., Isoe, T., and Tsuruo, T. Cancer Res. 51: 921-925, 1991)。細胞を移植したヌードマウスを移植19日後にエーテル麻酔下にて屠殺し、肺を摘出した。摘出した肺を飽和ピクリン酸にて固定し、肺結節を可視化した。
結果を図11に示す。CHO/mock細胞を移植したヌードマウスの肺にはほとんど転移結節が認められないのに対し、CHO/gp36細胞を移植したヌードマウスの肺は、肺自体の大きさも大きくなっているだけでなく、肺表面に多数の結節が認められた。またその転移結節数を測定した結果、CHO/mock細胞を移植した場合には2〜4個であるのに対し、CHO/gp36細胞を移植した場合には78〜106個であり、gp36発現に伴い肺転移が劇的に増加することが明らかとなり、gp44のヒトホモログgp36の発現と転移形成に相関があることが確認された。
(実施例20)肺癌の組織型とヒトホモログgp36遺伝子発現との相関
実施例16に記載の方法により、Cancer Profiling Array II(BD Biosciences社)及びCancer Profiling Array(BD Biosciences社)メンブレンに32Pラベルしたヒトホモログgp36遺伝子及び32Pラベルしたヒトユビキチン遺伝子をプローブとしてハイブリダイズし、各々のdotにおける放射比活性をBAS1000 phosphoimage analyzer(フジフィルム社)にて定量化し、gp36遺伝子の肺癌における発現レベルの検討を行なった。またCancer Profiling Array II及びCancer Profiling Arrayに添付の各々の癌における組織型を参考に、gp36遺伝子発現レベルと肺癌の組織型との相関を検討した。
結果を図12に示す。Cancer Profiling Array II及びCancer Profiling Arrayで重複しているサンプルを除き、腺癌13症例と扁平上皮癌15症例におけるヒトホモログgp36遺伝子の発現をプロットした。その結果、扁平上皮癌は腺癌よりgp36の発現が上昇している症例が多いことが明らかとなった。カットオフ値を1.5にとった場合、癌部で発現上昇している腺癌症例は0であるのに対し、扁平上皮癌の場合には15症例中10症例でgp36遺伝子発現上昇が認められた。
(実施例21)肺癌の組織型とヒトホモログgp36発現との相関
ヒト肺癌におけるgp36の蛋白質としての発現を検討するために、ヒト肺癌組織及び正常肺組織の切片に対する免疫組織染色を行なった。具体的には、実施例17に記載のLandMark Low Density Lung Tissue Microarrays(カタログナンバー3172、ロットナンバー122P14A)を用いて、実施例6に記載の抗ヒトgp36ポリクローナル抗体であるTT679抗体を用いて免疫染色した。このMicroArrayは実施例17と同様に直径600μmのニードルでパンチした肺癌と正常肺組織のホルマリン固定された組織切片をスライドグラス上にのせ、パラフィン包埋したものである。この組織切片に対して、TT679抗体を一次抗体として反応させ、二次抗体にはビオチン標識抗ウサギ抗体を用い、ビオチン標識ペルオキシダーゼ・ストレプトアビジン複合体(DAKO社、CSA System)を反応させ、さらにビオチン標識タイラマイドとペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジンを反応後DABを基質として発色させて、抗体が反応している部分は染色するようにした。
結果を図13に示す。図13の上部3つの写真にあるように、扁平上皮癌では染色されている癌細胞が多数認められるが、腺癌および正常肺は全く染まっておらず、扁平上皮癌特異的にgp36が発現していることが確認された。LandMark Low Density Lung Tissue Microarrays上にある扁平上皮癌8症例中、7症例(87.5 %)でgp36の発現が陽性であったが、腺癌では13症例中gp36の発現が陽性であったのは2症例(15.4 %)だけであり、実施例20の結果と合わせ、扁平上皮癌で特異的にgp44のヒトホモログgp36の蛋白質レベルでの発現が上昇していることが確認された。
(製剤例1)ソフトカプセル剤
消化性油状物、例えば、大豆油、綿実油又はオリーブ油中に入れた、以下の(a)乃至(l)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列のアンチセンス配列からなるポリヌクレオチドの混合物を調製し、正置換ポンプでゼラチン中に注入して、10 mgの活性成分を含有するソフトカプセルを得、洗浄後、乾燥する:
(a)配列表の配列番号1のヌクレオチド番号1から519に示されるヌクレオチド配列;
(b)配列表の配列番号3のヌクレオチド番号1から501に示されるヌクレオチド配列;
(c)配列表の配列番号5のヌクレオチド番号1から510に示されるヌクレオチド配列;
(d)配列表の配列番号7のヌクレオチド番号1から489に示されるヌクレオチド配列;
(e)配列表の配列番号13のヌクレオチド番号1から540に示されるヌクレオチド配列;
(f)上記(a)乃至(e)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、血小板凝集促進活性を有するポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列
(g)配列表の配列番号2のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(h)配列表の配列番号4のアミノ酸番号1から166に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(i)配列表の配列番号6のアミノ酸番号1から169に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(j)配列表の配列番号8のアミノ酸番号1から162に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(k)配列表の配列番号14のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(l)上記(g)乃至(k)のいずれか一つに記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、血小板凝集促進活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列。
(製剤例2)錠剤
常法に従って、10 mgの製剤例1に記載のオリゴヌクレオチド2、0.2 mgのコロイド性二酸化珪素、5 mgのステアリン酸マグネシウム、275 mgの微結晶性セルロース、11 mg のデンプン及び98.8 mg のラクトースを用いて製造する。
尚、所望により、剤皮を塗布する。
(製剤例3)懸濁剤
5 ml中に、10 mgの製剤例1に記載のオリゴヌクレオチド、100 mgのナトリウムカルボキシ基メチルセルロ−ス、5 mgの安息香酸ナトリウム、1.0 g のソルビトール溶液 (日本薬局方) 及び0.025 mlのバニリンを含有するように製造する。
(製剤例4)注射剤
1.5 重量% の製剤例1に記載のオリゴヌクレオチドを、10容量% のプロピレングリコール中で撹拌し、次いで、注射用水で一定容量にした後、滅菌して製造した。
A:マウス脳毛細血管内皮細胞MBEC-4、マウスリンパ節ストローマ細胞CA-12、マウス骨芽細胞MC3T3-E1、正常マウスマクロファージおよびLPS刺激した活性化マウスマクロファージの細胞溶解液を、8F11抗体を用いてウエスタンブロッティングを行った結果を示した図である。左より、MBEC−4、CA−12、MC3T3−E1、正常マウスマクロファージ、LPS刺激マウスマクロファージの順である。
B:マウス大腸癌Colon 26細胞のサブラインであるNL-17、NL-44、Colon 26、マウスメラノーマB16細胞のサブラインであるB16/F1、B16/F10及び正常マウス大腸より調製したmRNAを、gp38Pのプライマーを用いてRT-PCRを行なった結果を示した図である。左から、マーカー(603bp)、NL-17、NL-44、Colon 26、B16/F1、B16/F10、正常マウス大腸の順である。
C:NL-17とNL-14の細胞より調製したmRNAを、gp38Pおよびβアクチンのプライマーを用いてRT-PCRを行なった結果を示した図である。
A:CHO/gp38P細胞と親株(Parental CHO)のフローサイトメトリーの結果を示す。縦軸には細胞数を、横軸には蛍光強度を示す。親株には8F11抗体が反応しなかったため蛍光強度の強い(8F11抗体で認識されている)細胞は存在しない(ピークが左によっている)が、CHO/gp38P細胞に対しては8F11抗体が反応して蛍光強度の強い細胞が多く存在している(ピークが右にシフトしている)。
B:8F11抗体を用いたウエスタンブロッティングの結果を示す。左から、CHO/Mock細胞、CHO/gp38P細胞、CHO/gp36細胞、293T細胞に一過性(transient)にpcDNA3-FLAG-gp38Pを導入した細胞、同じくpcDNA3-FLAG-gp36を導入した細胞、pFLAG-CMV-2-gp38Pを導入した細胞(右端2レーン)の結果を示す。
C:CHO/gp38P細胞と親株CHO細胞の免疫沈降後のウエスタンブロッティングの結果を示す。左の写真は8F11抗体、右の写真は20A11抗体を用いてウエスタンブロッティングを行った結果であり、それぞれ、左から、2レーンずつ、8F11抗体、抗FLAG抗体、正常マウスIgG抗体で免疫沈降したサンプルを示す。各免疫沈降のサンプルのうち、左がCHO/gp38Pのサンプル、右が親株CHOのサンプルを示す。
gp38Pの血小板凝集能に関して親株CHOとCHO/gp38P細胞を用いマウス血液より調製した正常血小板を凝集させる活性を検討した。
A:親株CHOと配列番号13に記載のgp38P遺伝子を導入したCHO/gp38P細胞の血小板凝集抑制活性を血小板凝集計により測定した結果を示した図である。
B:CHO/gp38P細胞をあらかじめ8F11抗体と反応させた場合の8F11抗体の血小板凝集抑制活性を血小板凝集計により測定した結果を示した図である。
マウスgp38P及びヒトgp36の血小板凝集能に関して、親株CHOと各々の発現プラスミドをCHO細胞に遺伝子導入したCHO/gp38PとCHO/gp36を用いマウスとヒト血液より調製した正常血小板を凝集させる活性を検討した。
A:CHO細胞に空のpcDNA3ベクター(Mock)、pcDNA3-gp38P、pcDNA3-gp38P-M41A、pcDNA3-gp36を一過性に遺伝子導入し、各々の細胞溶解液をgp36を特異的に認識するTT679ポリクローナル抗体と8F11抗体を用いてウエスタンブロッティングを行った結果である。TT679ポリクローナル抗体はpcDNA3-gp36を遺伝子導入した細胞のみに、8F11抗体はpcDNA3-gp38Pを遺伝子導入した細胞のみに反応していることが分かる。
B:親株CHOと配列番号13に記載のgp38P遺伝子を導入したCHO/gp38P細胞、配列番号7に記載のgp36遺伝子を導入したCHO/gp36細胞のマウス血小板を凝集させる活性を血小板凝集計により測定した結果を示した図である。
C:親株CHOと配列番号13に記載のgp38P遺伝子を導入したCHO/gp38P細胞のヒト血小板を凝集させる活性を血小板凝集計により測定した結果を示した図である。
D:親株CHOと配列番号7に記載のgp36遺伝子を導入したCHO/gp36細胞のヒト血小板を凝集させる活性を血小板凝集計により測定した結果を示した図である。
gp38Pの血小板凝集誘導活性を阻害する8F11抗体のgp38P認識部位の検索をおこなった結果である。
A:CHO/gp38P細胞をあらかじめ8F11抗体またはコントロール抗体各1mgと反応させた場合の8F11抗体による血小板凝集抑制活性を血小板凝集計により測定した結果を示した図である。
B:大腸菌に、配列番号13に記載のgp38P遺伝子の遺伝子断片をコードする遺伝子を含んだpET-21aベクター(Novagen社)を遺伝子導入した後、大腸菌内でこれら遺伝子がコードする蛋白質を発現させた。大腸菌溶解液を、8F11抗体または抗FLAG抗体を用いてウエスタンブロッティングを行った結果を示した図である。左より、配列番号14に記載のgp38P蛋白質のアミノ酸番号1−40、1−43、1−46、1−49、1−54、1−60を発現させた大腸菌の順である。
C:上記と同様に、大腸菌溶解液を8F11抗体または抗FLAG抗体を用いてウエスタンブロッティングを行った結果を示した図である。左より、配列番号14に記載のgp38P蛋白質のアミノ酸番号37−172、39−172、41−172を発現させた大腸菌の順である。
D:大腸菌に発現させたgp38P蛋白質断片に対する8F11抗体の反応性をまとめた図である。反応性の認められなかったものは白カラムで、反応性の弱かったものは灰色カラムで、反応性の強く認められたものは黒カラムで示した。その結果、8F11抗体の認識する部位は配列番号14に記載のアミノ酸番号39から44番目であることが推測された。
8F11抗体のgp38P認識部位と血小板凝集活性の相関について検討した図である。
A:CHO細胞に空のpcDNA3(Mock)、配列番号13に記載のgp38P遺伝子を含んだpcDNA3(WT)、あるいは配列番号13に記載のgp38P遺伝子のアミノ酸1つをアラニンに置換した各種変異gp38Pを含んだpcDNA3を一過性に遺伝子導入し、その細胞溶解液を8F11抗体または抗FLAG抗体を用いてウエスタンブロッティングを行った結果を示した図である。
B:配列表の配列番号14のアミノ酸番号39乃至47のアミノ酸配列のC末にシステインを加えたアミノ酸配列からなるペプチド(WTpt:配列表の配列番号44)と、アミノ酸番号41のメチオニンをアラニンにしたアミノ酸配列からなるペプチド(M41Apt:配列表の配列番号45)、アミノ酸番号42のバリンをアラニンにしたアミノ酸配列からなるペプチド(V42Apt:配列表の配列番号46)、アミノ酸番号43のプロリンをアラニンにしたアミノ酸配列からなるペプチド(P43Apt:配列表の配列番号47)、アミノ酸番号44のプロリンをアラニンにしたアミノ酸配列からなるペプチド(P44Apt:配列表の配列番号48)を96-well plateに固相化した後、8F11抗体とコントロール抗体の各ペプチドに対する反応性をELISA法にて検討した結果である。
C:親株CHOと配列番号13に記載のgp38P遺伝子を導入したCHO/gp38P細胞、gp38Pの41番目のメチオニンをアラニンに置換したM41A-gp38Pをステーブルに発現するCHO/M41Aの血小板凝集抑制活性を血小板凝集計により測定した結果を示した図である。
D:gp38Pによる血小板凝集を抑制する8F11抗体の認識部位と、8F11抗体による凝集阻害機構を模式化した図である。
gp38Pとgp36における血小板凝集誘導活性に必須な部位の同定を行なった図である。
A:配列表の配列番号14に示されるアミノ酸配列からなる、野生型gp38P のアミノ酸番号41のメチオニンをコードする遺伝子をアラニンをコードする遺伝子に置換した変異体タンパク質M41A、アミノ酸番号34のスレオニンをコードする遺伝子をアラニンをコードする遺伝子に置換した変異体タンパク質T34A、アミノ酸番号37のスレオニンをコードする遺伝子をアラニンをコードする遺伝子に置換した変異体タンパク質T37A、アミノ酸番号51のスレオニンをコードする遺伝子をアラニンをコードする遺伝子に置換した変異体タンパク質T51A、及び、アミノ酸番号52のスレオニンをコードする遺伝子をアラニンをコードする遺伝子に置換した変異体タンパク質T52Aの各変異体タンパク質をコードするcDNAを含んだpcDNA3ベクターをCHO細胞に一過性に遺伝子導入しそれぞれの蛋白を膜表面上に発現させ、各々の細胞の血小板凝集誘導活性を血小板凝集計により測定した結果を示した図である。
B:Aで同定されたマウスgp38P上の血小板凝集に必須な部位の、他の種のホモログ蛋白質上におけるアライメントを行なった図である。マウスで認められたgp38P上の血小板凝集に必須な部位は他の種のホモログにおいても高度に保存されているだけでなく、特に大事なマウスgp38P上のスレオニン(配列表の配列番号14のアミノ酸番号34;図7Bの*で示した部位)は、他のヒト(配列表の配列番号8のアミノ酸番号52)・ラット(配列表の配列番号4のアミノ酸番号34)・イヌ(配列表の配列番号6のアミノ酸番号41あるいはアミノ酸番号50)のホモログにも保存されていることが分かる。
C:野生型gp36 cDNA(WT)とその52番目(配列表の配列番号8のアミノ酸番号52)のスレオニンをコードする遺伝子をアラニンをコードする遺伝子に置換したgp36-T52A、配列表の配列番号8のアミノ酸番号55のスレオニンをコードする遺伝子をアラニンをコードする遺伝子に置換したgp36-T55Aの各変異体をコードするcDNAを含んだpcDNA3ベクターをCHO細胞に一過性に遺伝子導入しそれぞれの蛋白を膜表面上に発現させ、各々の細胞の血小板凝集抑制活性を血小板凝集計により測定した結果を示した図である。
腸癌におけるgp36遺伝子発現上昇を検討した図である。
A:Cancer Profiling Array IIメンブレン(BD Biosciences社)に32Pラベルしたヒトgp36 cDNA(配列表の配列番号7)またはヒトユビキチンcDNAをプローブとしてハイブリダイズし、各々の癌部(T)と非癌部(N)における放射比活性をBAS1000 phosphoimage analyzer(フジフィルム社)にて可視化・定量化し、gp36遺伝子の癌における発現レベルを可視化したものである。
B:Aで同定された癌部(T)と非癌部(N)での発現の差異を、ヒトユビキチンcDNAの放射比活性で補正し、各々の患者の癌部(T)と非癌部(N)の発現の比率を定量化しdotで示した結果である。各々の臓器由来の癌の平均値はバーで示した。
C:Bと同様に、各臓器由来癌におけるgp36遺伝子発現を定量化した結果である。各々の臓器由来の癌の平均値はバーで示した。
D:Cancer Profiling Array II に固相化されている大腸癌患者No.5と小腸癌患者No.2のcDNA(Aで数字を丸で囲っているサンプル)をBD Biosciences社より購入し、これをtemplateとしてgp36遺伝子を増幅するプライマー(配列表の配列番号53と54)またはコントロール用Ribosomal protein S9遺伝子を増幅するプライマー(配列表の配列番号55と56)を用いてPCRを行なった結果である。
結腸癌におけるgp36蛋白質発現を検討した図である。Ambion社よりLandMark Tissue Microarrays Low Density Colorectalを購入し、これをサンプルに抗gp36ポリクローナル抗体であるTT679抗体を用いて免疫染色した結果である(A、C、E)。ヘマトキシレン・エオジン(H&E)染色した各々の組織の写真(B、D、F)は、Ambion社においてH&E染色された各々のサンプルである。 結腸癌転移部位におけるgp36遺伝子発現上昇を検討した図である。A:Cancer Profiling Array(BD Biosciences社)に32Pラベルしたヒトgp36 cDNA(配列表の配列番号7)またはヒトユビキチンcDNAをプローブとしてハイブリダイズし、各々の癌部(T)と非癌部(N)、さらには転移部(M)における放射比活性をBAS1000 phosphoimage analyzer(フジフィルム社)にて可視化・定量化し、gp36遺伝子の癌における発現レベルを可視化したものである。
B:Aで同定された癌部(T)と非癌部(N)、さらには転移部(M)での発現の差異を、ヒトユビキチンcDNAの放射比活性で補正し、各々の患者の癌部(T)と非癌部(N)、さらには転移部(M)の発現の比率を定量化し棒グラフで示した結果である。転移巣において、癌部よりもさらにgp36遺伝子の発現が上昇している症例が多く認められることが分かる。
CHO/mock細胞を移植したマウスとCHO/gp36細胞を移植したマウスの肺にできた結節を示す図。 ヒト肺の扁平上皮癌と腺癌の癌部と非癌部におけるgp36 mRNAの発現量の差を示す図。 ヒト肺の扁平上皮癌、腺癌及び正常肺におけるgp36の発現を示す図。gp36が発現している部分は染色されている。
配列番号9:gp38P用PCRセンスプライマー
配列番号10:gp38P用PCRアンチセンスプライマー
配列番号11:gp38P用PCRセンスプライマー
配列番号12:gp38P用PCRセンスプライマー
配列番号15:β−アクチン用PCRセンスプライマー
配列番号16:β−アクチン用PCRアンチセンスプライマー
配列番号17:gp38P用PCRセンスプライマー
配列番号18:gp38P用PCRアンチセンスプライマー
配列番号19:gp36用PCRプライマー
配列番号20:gp36用PCRアンチセンスプライマー
配列番号21:抗gp36ポリクローナル抗体作製用部分ポリペプチド
配列番号22:G38A
配列番号23:G38A
配列番号24:G40A
配列番号25:G40A
配列番号26:M41A
配列番号27:M41A
配列番号28:V42A
配列番号29:P42A
配列番号30:P43A
配列番号31:P43A
配列番号32:G45A
配列番号33:G45A
配列番号34:K49A
配列番号35:K49A
配列番号36:T34A
配列版番号37:T34A
配列番号38:T37A
配列番号39:T37A
配列番号40:T51A
配列番号41:T51A
配列番号42:T52A
配列番号43:T52A
配列番号44:C末にシステインが付加されたgp38Pの部分ペプチド
配列番号45:gp38Pの部分ペプチドの変異体;M41pt
配列番号46:gp38Pの部分ペプチドの変異体;V42Apt
配列番号47:gp38Pの部分ペプチドの変異体;P43Apt
配列番号48:gp38Pの部分ペプチドの変異体;P44Apt
配列番号49:gp36−T52A
配列番号50:gp36−T52A
配列番号51:gp36−T55A
配列番号52:gp36−T55A
配列番号53:gp36用PCRセンスプライマー
配列番号54:gp36用PCRアンチセンスプライマー
配列番号55:リボゾーマル・プロテインS9用PCRセンスプライマー
配列番号56:リボゾーマル・プロテインS9用PCRアンチセンスプライマー

Claims (39)

  1. 血小板凝集促進または抑制活性を有する物質のスクリーニング方法であって、以下の工程を含む方法:
    (1)gp44を発現する細胞を被験物質の存在下または非存在下で培養する;
    (2)上記(1)で得られた培養細胞における、下記(a)乃至(l)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列を含むmRNAの発現を検出する:
    (a)配列表の配列番号1のヌクレオチド番号1から519に示されるヌクレオチド配列;
    (b)配列表の配列番号3のヌクレオチド番号1から501に示されるヌクレオチド配列;
    (c)配列表の配列番号5のヌクレオチド番号1から510に示されるヌクレオチド配列;
    (d)配列表の配列番号7のヌクレオチド番号1から489に示されるヌクレオチド配列;
    (e)配列表の配列番号13のヌクレオチド番号1から540に示されるヌクレオチド配列;
    (f)上記(a)乃至(e)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、血小板凝集促進活性を有するポリペプチドをコードする、ヌクレオチド配列
    (g)配列表の配列番号2のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
    (h)配列表の配列番号4のアミノ酸番号1から166に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
    (i)配列表の配列番号6のアミノ酸番号1から169に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
    (j)配列表の配列番号8のアミノ酸番号1から162に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
    (k)配列表の配列番号14のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
    (l)上記(g)乃至(k)のいずれか一つに記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、血小板凝集促進活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列。
    (3)上記(2)で検出したmRNAの発現量を、被験物質の存在下で培養した細胞と、被験物質の非存在下で培養した細胞とで比較する;
    (4)被験物質の非存在下で培養した細胞と比較して、mRNAの発現量が少ない物質を血小板凝集抑制活性を有する物質として選択しまたはmRNAの発現量が多い物質を血小板凝集促進活性を有する物質として選択する。
  2. mRNAの発現の検出手段が、ノーザンブロット法、ドットブロット法、スロットブロット法、RT−PCR、リボヌクレアーゼ保護アッセイ法またはランオン・アッセイ法であることを特徴とする、請求項1に記載のスクリーニング方法。
  3. 血小板凝集促進または抑制活性を有する物質のスクリーニング方法であって、以下の工程を含む方法:
    (1)gp44を発現する細胞を被験物質の存在下または非存在下で培養する;
    (2)上記(1)で得られた培養細胞における、下記(i)乃至(viii)のいずれか一つに記載のポリペプチドの発現を検出する:
    (i)下記(i−1)乃至(i−5)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列にコードされるアミノ酸配列、または、その一部からなり、かつ、血小板凝集促進活性を有するポリペプチド:
    (i−1)配列表の配列番号1のヌクレオチド番号1から519に示されるヌクレオチド配列;
    (i−2)配列表の配列番号3のヌクレオチド番号1から501に示されるヌクレオチド配列;
    (i−3)配列表の配列番号5のヌクレオチド番号1から510に示されるヌクレオチド配列;
    (i−4)配列表の配列番号7のヌクレオチド番号1から489に示されるヌクレオチド配列;
    (i−5)配列表の配列番号13のヌクレオチド番号1から540に示されるヌクレオチド配列;
    (ii)上記(i−1)乃至(i−5)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドにコードされるアミノ酸配列からなり、かつ、血小板凝集促進活性を有するポリペプチド:
    (iii)配列表の配列番号2のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
    (iv)配列表の配列番号4のアミノ酸番号1から166に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
    (v)配列表の配列番号6のアミノ酸番号1から169に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
    (vi)配列表の配列番号8のアミノ酸番号1から162に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
    (vii)配列表の配列番号14のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
    (viii)上記(iii)乃至(vii)のいずれか一つに記載のポリペプチドのアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、血小板凝集促進活性を有するポリペプチド。
    (3)上記(2)で検出したペプチドの発現量を、被験物質の存在下で培養した細胞と、被験物質の非存在下で培養した細胞とで比較する;
    (4)被験物質の非存在下で培養した細胞と比較して、ペプチドの発現量が少ない物質を血小板凝集抑制活性を有する物質として選択しまたはペプチドの発現量が多い物質を血小板凝集促進活性を有する物質として選択する。
  4. ポリペプチドの発現量の測定方法が、ウエスタンブロット法、ドットブロット法、スロットブロット法または固相酵素免疫定量法(ELISA法)であることを特徴とする、請求項3に記載のスクリーニング方法。
  5. 物質の、血小板凝集促進または抑制活性を判定する方法であって、以下の工程を含む方法:
    (1)gp44を発現する細胞を被験物質の存在下または非存在下で培養する;
    (2)上記(1)で得られた培養細胞における、下記(a)乃至(l)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列を有するmRNAの発現を検出する:
    (a)配列表の配列番号1のヌクレオチド番号1から519に示されるヌクレオチド配列;
    (b)配列表の配列番号3のヌクレオチド番号1から501に示されるヌクレオチド配列;
    (c)配列表の配列番号5のヌクレオチド番号1から510に示されるヌクレオチド配列;
    (d)配列表の配列番号7のヌクレオチド番号1から489に示されるヌクレオチド配列;
    (e)配列表の配列番号13のヌクレオチド番号1から540に示されるヌクレオチド配列;
    (f)上記(a)乃至(e)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、血小板凝集促進活性を有するポリペプチドをコードする、ポリペプチドのヌクレオチド配列(g)配列表の配列番号2のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
    (h)配列表の配列番号4のアミノ酸番号1から166に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
    (i)配列表の配列番号6のアミノ酸番号1から169に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
    (j)配列表の配列番号8のアミノ酸番号1から162に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
    (k)配列表の配列番号14のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
    (l)上記(g)乃至(k)のいずれか一つに記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、血小板凝集促進活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
    (3)上記(2)で検出したmRNAの発現量を、被験物質の存在下で培養した細胞と、被験物質の非存在下で培養した細胞とで比較する;
    (4)被験物質の非存在下で培養した細胞と比較して、mRNAの発現量が少ない場合は血小板凝集抑制活性を有しまたはmRNAの発現量が多い場合は血小板凝集促進活性を有すると判定する。
  6. mRNAの発現の検出手段が、ノーザンブロット法、ドットブロット法、スロットブロット法、PT−PCR、リボヌクレアーゼ保護アッセイ法またはランオン・アッセイ法であることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
  7. 物質の、血小板凝集促進または抑制活性を判定する方法であって、以下の工程を含む方法:
    (1)gp44を発現する細胞を被験物質の存在下または非存在下で培養する;
    (2)上記(1)で得られた培養細胞における、下記(i)乃至(viii)のいずれか一つに記載のポリペプチドの発現を検出する:
    (i)下記(i−1)乃至(i−5)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列にコードされるアミノ酸配列、または、その一部からなり、かつ、血小板凝集促進活性を有するポリペプチド:
    (i−1)配列表の配列番号1のヌクレオチド番号1から519に示されるヌクレオチド配列;
    (i−2)配列表の配列番号3のヌクレオチド番号1から501に示されるヌクレオチド配列;
    (i−3)配列表の配列番号5のヌクレオチド番号1から510に示されるヌクレオチド配列;
    (i−4)配列表の配列番号7のヌクレオチド番号1から489に示されるヌクレオチド配列;
    (i−5)配列表の配列番号13のヌクレオチド番号1から540に示されるヌクレオチド配列;
    (ii)上記(i−1)乃至(i−5)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドにコードされるアミノ酸配列からなり、かつ、血小板凝集促進活性を有するポリペプチド:
    (iii)配列表の配列番号2のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
    (iv)配列表の配列番号4のアミノ酸番号1から166に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
    (v)配列表の配列番号6のアミノ酸番号1から169に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
    (vi)配列表の配列番号8のアミノ酸番号1から162に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
    (vii)配列表の配列番号14のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
    (viii)上記(iii)乃至(vii)のいずれか一つに記載のポリペプチドのアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、血小板凝集促進活性を有するポリペプチド。
    (3)上記(2)で検出したペプチドの発現量を、被験物質の存在下で培養した細胞と、被験物質の非存在下で培養した細胞とで比較する;
    (4)被験物質の非存在下で培養した細胞と比較して、ペプチドの発現量が少ない場合は血小板凝集抑制活性を有しまたはペプチドの発現量が多い場合は血小板凝集促進活性を有すると判定する。
  8. ポリペプチドの発現量の測定方法が、ウエスタンブロット法、ドットブロット法、スロットブロット法または固相酵素免疫定量法(ELISA法)であることを特徴とする、請求
    項7に記載の方法。
  9. 血小板凝集抑制活性が、癌、癌の転移、肺血栓、脳梗塞、心筋梗塞もしくは動脈硬化または血管手術の際の血小板凝集の治療効果または予防効果である請求項1乃至8に記載の方法。
  10. 血小板凝集促進活性が、出血傾向、血液凝固障害、血友病、尿毒症または慢性骨髄増殖性疾患の治療効果または予防効果である請求項1乃至8のいずれか一つに記載の方法。
  11. 血小板凝集促進に関連する疾患のモデルであって、下記の(a)乃至(l)のいずれか1項に記載のヌクレオチド配列を含む遺伝子が、該遺伝子を高発現することができるように導入されている非ヒトトランスジェニック動物であるモデル
    (a)配列表の配列番号1のヌクレオチド番号1から519に示されるヌクレオチド配列;
    (b)配列表の配列番号3のヌクレオチド番号1から501に示されるヌクレオチド配列;
    (c)配列表の配列番号5のヌクレオチド番号1から510に示されるヌクレオチド配列;
    (d)配列表の配列番号7のヌクレオチド番号1から489に示されるヌクレオチド配列;
    (e)配列表の配列番号13のヌクレオチド番号1から540に示されるヌクレオチド配列;
    (f)上記(a)乃至(e)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、血小板凝集促進活性を有するポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列
    (g)配列表の配列番号2のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
    (h)配列表の配列番号4のアミノ酸番号1から166に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
    (i)配列表の配列番号6のアミノ酸番号1から169に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
    (j)配列表の配列番号8のアミノ酸番号1から162に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
    (k)配列表の配列番号14のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
    (l)上記(g)乃至(k)のいずれか一つに記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、血小板凝集促進活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列。
  12. 血小板凝集促進に関連する疾患が、癌、癌の転移、肺血栓、脳梗塞、心筋梗塞もしくは動脈硬化または血管手術の際の血小板凝集である、請求項11に記載のモデル
  13. 物質の、血小板凝集促進活性または血小板凝集促進に関連する疾患の治療剤若しくは予防剤としての効果を試験する方法であって、下記の工程を含む方法:
    (1)請求項11又は12に記載のモデルに被験物質を投与する;および
    (2)(1)のモデルの血小板凝集能を測定する。
  14. 血小板凝集抑制に関連する疾患のモデルであって、下記の(a)乃至(l)のいずれか1項に記載のヌクレオチド配列を含む遺伝子が、ノックアウトされている非ヒト動物であるモデル
    (a)配列表の配列番号1のヌクレオチド番号1から519に示されるヌクレオチド配列;
    (b)配列表の配列番号3のヌクレオチド番号1から501に示されるヌクレオチド配列;
    (c)配列表の配列番号5のヌクレオチド番号1から510に示されるヌクレオチド配列;
    (d)配列表の配列番号7のヌクレオチド番号1から489に示されるヌクレオチド配列;
    (e)配列表の配列番号13のヌクレオチド番号1から540に示されるヌクレオチド配列;
    (f)上記(a)乃至(e)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、血小板凝集促進活性を有するポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列
    (g)配列表の配列番号2のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
    (h)配列表の配列番号4のアミノ酸番号1から166に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
    (i)配列表の配列番号6のアミノ酸番号1から169に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
    (j)配列表の配列番号8のアミノ酸番号1から162に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
    (k)配列表の配列番号14のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
    (l)上記(g)乃至(k)のいずれか一つに記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、血小板凝集促進活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列。
  15. 血小板凝集抑制に関連する疾患が、出血傾向、血液凝固障害、血友病、尿毒症または慢性骨髄増殖性疾患である、請求項14に記載のモデル
  16. 物質の、血小板凝集抑制活性または血小板凝集抑制に関連する疾患の治療剤若しくは予防剤としての効果を試験する方法であって、下記の工程を含む方法:
    (1)請求項14または15に記載のモデルに被験物質を投与する;および
    (2)(1)のモデルの血小板凝集能を測定する。
  17. 検体中の、下記(a)乃至(l)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列からなるmRNAの発現量を解析することによる、該検体提供者または該検体提供動物の血小板凝集または血小板機能障害の解析方法
    (a)配列表の配列番号1のヌクレオチド番号1から519に示されるヌクレオチド配列;
    (b)配列表の配列番号3のヌクレオチド番号1から501に示されるヌクレオチド配列;
    (c)配列表の配列番号5のヌクレオチド番号1から510に示されるヌクレオチド配列;
    (d)配列表の配列番号7のヌクレオチド番号1から489に示されるヌクレオチド配列;
    (e)配列表の配列番号13のヌクレオチド番号1から540に示されるヌクレオチド配列;
    (f)上記(a)乃至(e)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、血小板凝集促進活性を有するポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列
    (g)配列表の配列番号2のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
    (h)配列表の配列番号4のアミノ酸番号1から166に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
    (i)配列表の配列番号6のアミノ酸番号1から169に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
    (j)配列表の配列番号8のアミノ酸番号1から162に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
    (k)配列表の配列番号14のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
    (l)上記(g)乃至(k)のいずれか一つに記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、血小板凝集促進活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列。
  18. mRNAの発現の検出手段が、ノーザンブロット法、ドットブロット法、スロットブロット法、PT−PCR、リボヌクレアーゼ保護アッセイ法またはランオン・アッセイ法であることを特徴とする、請求項17に記載の方法。
  19. 検体中の、下記(i)乃至(viii)のいずれか一つに記載のポリペプチドの発現量を解析することによる、該検体提供者または該検体提供動物の血小板凝集または血小板機能障害の解析方法
    (i)下記(i−1)乃至(i−5)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列にコードされるアミノ酸配列、または、その一部からなり、かつ、血小板凝集促進活性を有するポリペプチド:
    (i−1)配列表の配列番号1のヌクレオチド番号1から519に示されるヌクレオチド配列;
    (i−2)配列表の配列番号3のヌクレオチド番号1から501に示されるヌクレオチド配列;
    (i−3)配列表の配列番号5のヌクレオチド番号1から510に示されるヌクレオチド配列;
    (i−4)配列表の配列番号7のヌクレオチド番号1から489に示されるヌクレオチド配列;
    (i−5)配列表の配列番号13のヌクレオチド番号1から540に示されるヌクレオチド配列;
    (ii)上記(i−1)乃至(i−5)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、血小板凝集促進活性を有するポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列:
    (iii)配列表の配列番号2のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
    (iv)配列表の配列番号4のアミノ酸番号1から166に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
    (v)配列表の配列番号6のアミノ酸番号1から169に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
    (vi)配列表の配列番号8のアミノ酸番号1から162に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
    (vii)配列表の配列番号14のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
    (viii)上記(iii)乃至(vii)のいずれか一つに記載のポリペプチドのアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、血小板凝集促進活性を有するポリペプチド。
  20. ポリペプチドの発現量の検出手段が、ウエスタンブロット法、ドットブロット法、スロットブロット法または固相酵素免疫定量法であることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
  21. 下記(i)乃至(XI)のいずれか一つに記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドに被験物質を含む試料を接触させ、次いで、該ポリペプチドの下記(i)乃至(XI)のいずれか一つに記載のアミノ酸配列部位に結合した物質を分離することを特徴とする、血小板凝集抑制活性を有する物質の単離方法。
    (i)配列表の配列番号2に示されるアミノ酸配列において、アミノ酸番号34のアミノ酸を含み、連続した6個のアミノ酸配列;
    (ii)配列表の配列番号4に示されるアミノ酸配列において、アミノ酸番号34のアミノ酸を含み、連続した6個のアミノ酸配列;
    (iii)配列表の配列番号6に示されるアミノ酸配列において、アミノ酸番号41のアミノ酸を含み、連続した6個のアミノ酸配列;
    (iv)配列表の配列番号6に示されるアミノ酸配列において、アミノ酸番号50のアミノ酸を含み、連続した6個のアミノ酸配列;
    (v)配列表の配列番号8に示されるアミノ酸配列において、アミノ酸番号52のアミノ酸を含み、連続した6個のアミノ酸配列;
    (vi)配列表の配列番号14に示されるアミノ酸配列において、アミノ酸番号34のアミノ酸を含み、連続した6個のアミノ酸配列;
    (vii)配列表の配列番号2に示されるアミノ酸配列において、アミノ酸番号39から44のアミノ酸配列;
    (viii)配列表の配列番号4に示されるアミノ酸配列において、アミノ酸番号39から44のアミノ酸配列;
    (IX)配列表の配列番号6に示されるアミノ酸配列において、アミノ酸番号46から51のアミノ酸配列;
    (X)配列表の配列番号8に示されるアミノ酸配列において、アミノ酸番号57から62のアミノ酸配列;
    (XI)配列表の配列番号14に示されるアミノ酸配列において、アミノ酸番号39から44のアミノ酸配列。
  22. 下記の(1)乃至(3)のいずれか一項に記載の物質を少なくとも一つ含むことからなる、血小板凝集促進または抑制活性を有する物質を検出するためのキット:
    (1)配列表の配列番号1、3、5、7または13に記載のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドにストリンジェントな条件でハイブリダイズする、該ポリヌクレオチドの一部乃至全部を特異的に増幅するための15乃至30塩基長の連続したオリゴヌクレオチドプライマー;
    (2)配列表の配列番号1、3、5、7または13に記載のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドにストリンジェントな条件でハイブリダイズする、該ポリヌクレオチドを検出するための15ヌクレオチド以上の連続したポリヌクレオチドプローブ;
    (3)(1)又は(2)のいずれか一つに記載の物質が固定された固相化試料。
  23. 下記の(1)乃至(3)のいずれか一項に記載の物質を少なくとも一つ含むことからなる、血小板凝集促進または抑制活性を有する物質を検出するためのキット:
    (1)配列表の配列番号2、4、6、8または14に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドに特異的に結合する抗体;
    (2)(1)に記載の抗体に結合し得る二次抗体;
    (3)(1)又は(2)のいずれか一つに記載の物質が固定された固相化試料。
  24. 下記の(1)乃至(3)のいずれか一項に記載の物質を少なくとも一つ含むことからなる、血小板凝集に関連する疾患を検出するためのキット:
    (1)配列表の配列番号1、3、5、7または13に記載のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドにストリンジェントな条件でハイブリダイズする、該ポリヌクレオチドの一部乃至全部を特異的に増幅するための15乃至30塩基長の連続したオリゴヌクレオチドプライマー;
    (2)配列表の配列番号1、3、5、7または13に記載のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドにストリンジェントな条件でハイブリダイズする、該ポリヌクレオチドを検出するための15ヌクレオチド以上の連続したポリヌクレオチドプローブ;
    (3)(1)又は(2)のいずれか一つに記載の物質が固定された固相化試料。
  25. 下記の(1)乃至(3)のいずれか一項に記載の物質を少なくとも一つ含むことからなる、血小板凝集に関連する疾患を検出するためのキット:
    (1)配列表の配列番号2、4、6、8または14に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドに特異的に結合する抗体;
    (2)(1)に記載の抗体に結合し得る二次抗体;
    (3)(1)又は(2)のいずれか一つに記載の物質が固定された固相化試料。
  26. 血小板凝集に関連する疾患が癌、癌の転移、肺血栓、脳梗塞、心筋梗塞または動脈硬化であることを特徴とする、請求項24または請求項25に記載のキット。
  27. 血小板凝集に関連する疾患が結腸癌、直腸癌、小腸癌、精巣癌、セミノーマ(Seminoma)、扁平上皮癌であることを特徴とする、請求項24または請求項25に記載のキット。
  28. 下記(i)乃至(XIV)のいずれか一つに記載のポリペプチドに特異的に結合し、血小板凝集阻害活性を有する抗体:
    (i)下記(i−1)乃至(i−5)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列にコードされるアミノ酸配列、またはその一部からなるポリペプチド:
    (i−1)配列表の配列番号1のヌクレオチド番号67から132に示されるヌクレオチド配列;
    (i−2)配列表の配列番号3のヌクレオチド番号67から132に示されるヌクレオチド配列;
    (i−3)配列表の配列番号5のヌクレオチド番号103から198に示されるヌクレオチド配列;
    (i−4)配列表の配列番号7のヌクレオチド番号88から186に示されるヌクレオチド配列;
    (i−5)配列表の配列番号13のヌクレオチド番号82から186に示されるヌクレオチド配列;
    (ii)上記(i−1)乃至(i−5)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドにコードされるアミノ酸配列からなるポリペプチド:
    (iii)配列表の配列番号2に示されるアミノ酸配列において、アミノ酸番号34のアミノ酸を含み、連続した6個以上のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
    (iv)配列表の配列番号4に示されるアミノ酸配列において、アミノ酸番号34のアミノ酸を含み、連続した6個以上のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
    (v)配列表の配列番号6に示されるアミノ酸配列において、アミノ酸番号41のアミノ酸を含み、連続した6個以上のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
    (vi)配列表の配列番号6に示されるアミノ酸配列において、アミノ酸番号50のアミノ酸を含み、連続した6個以上のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
    (vii)配列表の配列番号8に示されるアミノ酸配列において、アミノ酸番号52のアミノ酸を含み、連続した6個以上のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
    (viii)配列表の配列番号14に示されるアミノ酸配列において、アミノ酸番号34のアミノ酸を含み、連続した6個以上のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
    (IX)配列表の配列番号2に示されるアミノ酸配列において、アミノ酸番号39から44のアミノ酸配列を含むことからなるポリペプチド;
    (X)配列表の配列番号4に示されるアミノ酸配列において、アミノ酸番号39から44のアミノ酸配列を含むことからなるポリペプチド;
    (XI)配列表の配列番号6に示されるアミノ酸配列において、アミノ酸番号46から51のアミノ酸配列を含むことからなるポリペプチド;
    (XII)配列表の配列番号8に示されるアミノ酸配列において、アミノ酸番号57から62のアミノ酸配列を含むことからなるポリペプチド;
    (XIII)配列表の配列番号14に示されるアミノ酸配列において、アミノ酸番号39から44のアミノ酸配列を含むことからなるポリペプチド;
    (XIV)上記(iii)乃至(XIII)のいずれか一つに記載のポリペプチドのアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチド。
  29. 下記の(a)乃至(f)のいずれか一つに記載の血小板凝集活性を有さない変異体ポリペプチド:
    (a)配列表の配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドの変異体であって、アミノ酸番号34のアミノ酸が他のアミノ酸に変換されていることを特徴とする、変異体ポリペプチド;
    (b)配列表の配列番号4に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドの変異体であって、アミノ酸番号34のアミノ酸が他のアミノ酸に変換されていることを特徴とする、変異体ポリペプチド;
    (c)配列表の配列番号6に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドの変異体であって、アミノ酸番号41のアミノ酸が他のアミノ酸に変換されていることを特徴とする、変異体ポリペプチド;
    (d)配列表の配列番号6に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドの変異体であって、アミノ酸番号50のアミノ酸が他のアミノ酸に変換されていることを特徴とする、変異体ポリペプチド;
    (e)配列表の配列番号8に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドの変異体であって、アミノ酸番号52のアミノ酸が他のアミノ酸に変換されていることを特徴とする、変異体ポリペプチド;
    (f)配列表の配列番号14に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドの変異体であって、アミノ酸番号34のアミノ酸が他のアミノ酸に変換されていることを特徴とする、変異体ポリペプチド。
  30. 他のアミノ酸がアラニンであることを特徴とする、請求項29に記載の変異体ポリペプチド。
  31. 請求項29又は30に記載の変異体ポリペプチドをコードしているDNA。
  32. 下記の(a)乃至(l)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドを有効成分として含有する血小板凝集促進のための医薬組成物:
    (a)配列表の配列番号1のヌクレオチド番号1から519に示されるヌクレオチド配列;
    (b)配列表の配列番号3のヌクレオチド番号1から501に示されるヌクレオチド配列;
    (c)配列表の配列番号5のヌクレオチド番号1から510に示されるヌクレオチド配列;
    (d)配列表の配列番号7のヌクレオチド番号1から489に示されるヌクレオチド配列;
    (e)配列表の配列番号13のヌクレオチド番号1から540に示されるヌクレオチド配列;
    (f)上記(a)乃至(e)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、血小板凝集促進活性を有するポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列
    (g)配列表の配列番号2のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
    (h)配列表の配列番号4のアミノ酸番号1から166に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
    (i)配列表の配列番号6のアミノ酸番号1から169に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
    (j)配列表の配列番号8のアミノ酸番号1から162に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
    (k)配列表の配列番号14のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
    (l)上記(g)乃至(k)のいずれか一つに記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、血小板凝集促進活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列。
  33. 下記の(a)乃至(l)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列のアンチセンス配列からなるポリヌクレオチドを含有する血小板凝集抑制のための医薬組成物。
    (a)配列表の配列番号1のヌクレオチド番号1から519に示されるヌクレオチド配列;
    (b)配列表の配列番号3のヌクレオチド番号1から501に示されるヌクレオチド配列;
    (c)配列表の配列番号5のヌクレオチド番号1から510に示されるヌクレオチド配列;
    (d)配列表の配列番号7のヌクレオチド番号1から489に示されるヌクレオチド配列;
    (e)配列表の配列番号13のヌクレオチド番号1から540に示されるヌクレオチド配列;
    (f)上記(a)乃至(e)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、血小板凝集促進活性を有するポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列
    (g)配列表の配列番号2のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
    (h)配列表の配列番号4のアミノ酸番号1から166に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
    (i)配列表の配列番号6のアミノ酸番号1から169に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
    (j)配列表の配列番号8のアミノ酸番号1から162に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
    (k)配列表の配列番号14のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
    (l)上記(g)乃至(k)のいずれか一つに記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、血小板凝集促進活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列。
  34. 下記の(a)乃至(l)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドが組み込まれているベクターを含む、血小板凝集促進のための医薬組成物:
    (a)配列表の配列番号1のヌクレオチド番号1から519に示されるヌクレオチド配列;
    (b)配列表の配列番号3のヌクレオチド番号1から501に示されるヌクレオチド配列;
    (c)配列表の配列番号5のヌクレオチド番号1から510に示されるヌクレオチド配列;
    (d)配列表の配列番号7のヌクレオチド番号1から489に示されるヌクレオチド配列;
    (e)配列表の配列番号13のヌクレオチド番号1から540に示されるヌクレオチド配列;
    (f)上記(a)乃至(e)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、血小板凝集促進活性を有するポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列
    (g)配列表の配列番号2のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
    (h)配列表の配列番号4のアミノ酸番号1から166に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
    (i)配列表の配列番号6のアミノ酸番号1から169に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
    (j)配列表の配列番号8のアミノ酸番号1から162に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
    (k)配列表の配列番号14のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
    (l)上記(g)乃至(k)のいずれか一つに記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、血小板凝集促進活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列。
  35. 下記の(a)乃至(l)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列のアンチセンス配列からなるポリヌクレオチドが組み込まれているベクターを含む、血小板凝集抑制のための医薬組成物:
    (a)配列表の配列番号1のヌクレオチド番号1から519に示されるヌクレオチド配列;
    (b)配列表の配列番号3のヌクレオチド番号1から501に示されるヌクレオチド配列;
    (c)配列表の配列番号5のヌクレオチド番号1から510に示されるヌクレオチド配列;
    (d)配列表の配列番号7のヌクレオチド番号1から489に示されるヌクレオチド配列;
    (e)配列表の配列番号13のヌクレオチド番号1から540に示されるヌクレオチド配列;
    (f)上記(a)乃至(e)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、血小板凝集促進活性を有するポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列
    (g)配列表の配列番号2のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
    (h)配列表の配列番号4のアミノ酸番号1から166に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
    (i)配列表の配列番号6のアミノ酸番号1から169に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
    (j)配列表の配列番号8のアミノ酸番号1から162に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
    (k)配列表の配列番号14のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
    (l)上記(g)乃至(k)のいずれか一つに記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、血小板凝集促進活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列。
  36. 下記の(i)乃至(viii)のいずれか一つに記載のポリペプチドを含有する血小板凝集促進のための医薬組成物:
    (i)下記(i−1)乃至(i−5)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列にコードされるアミノ酸配列、または、その一部からなり、かつ、血小板凝集促進活性を有するポリペプチド:
    (i−1)配列表の配列番号1のヌクレオチド番号1から519に示されるヌクレオチド配列;
    (i−2)配列表の配列番号3のヌクレオチド番号1から501に示されるヌクレオチド配列;
    (i−3)配列表の配列番号5のヌクレオチド番号1から510に示されるヌクレオチド配列;
    (i−4)配列表の配列番号7のヌクレオチド番号1から489に示されるヌクレオチド配列;
    (i−5)配列表の配列番号13のヌクレオチド番号1から540に示されるヌクレオチド配列;
    (ii)上記(i−1)乃至(i−5)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドにコードされるアミノ酸配列からなり、かつ、血小板凝集促進活性を有するポリペプチド:
    (iii)配列表の配列番号2のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
    (iv)配列表の配列番号4のアミノ酸番号1から166に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
    (v)配列表の配列番号6のアミノ酸番号1から169に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
    (vi)配列表の配列番号8のアミノ酸番号1から162に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
    (vii)配列表の配列番号14のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
    (viii)上記(iii)乃至(vii)のいずれか一つに記載のポリペプチドのアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、血小板凝集促進活性を有するポリペプチド。
  37. 下記の(i)乃至(viii)のいずれか一つに記載のポリペプチドと特異的に結合する抗体を含有する血小板凝集抑制のための医薬組成物:
    (i)下記(i−1)乃至(i−5)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列にコードされるアミノ酸配列、または、その一部からなり、かつ、血小板凝集促進活性を有するポリペプチド:
    (i−1)配列表の配列番号1のヌクレオチド番号1から519に示されるヌクレオチド配列;
    (i−2)配列表の配列番号3のヌクレオチド番号1から501に示されるヌクレオチド配列;
    (i−3)配列表の配列番号5のヌクレオチド番号1から510に示されるヌクレオチド配列;
    (i−4)配列表の配列番号7のヌクレオチド番号1から489に示されるヌクレオチド配列;
    (i−5)配列表の配列番号13のヌクレオチド番号1から540に示されるヌクレオチド配列;
    (ii)上記(i−1)乃至(i−5)のいずれか一つに記載のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドにコードされるアミノ酸配列からなり、かつ、血小板凝集促進活性を有するポリペプチド:
    (iii)配列表の配列番号2のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
    (iv)配列表の配列番号4のアミノ酸番号1から166に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
    (v)配列表の配列番号6のアミノ酸番号1から169に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
    (vi)配列表の配列番号8のアミノ酸番号1から162に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
    (vii)配列表の配列番号14のアミノ酸番号1から172に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
    (viii)上記(iii)乃至(vii)のいずれか一つに記載のポリペプチドのアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、血小板凝集促進活性を有するポリペプチド。
  38. 血小板凝集抑制のための、請求項28に記載の血小板凝集阻害活性を有する抗体を含有する医薬組成物。
  39. 結腸癌、直腸癌、小腸癌、精巣癌、セミノーマ(Seminoma)、扁平上皮癌、癌の転移、肺血栓、脳梗塞、心筋梗塞、動脈硬化、出血傾向、血液凝固障害、血友病、もしくは慢性骨髄増殖性疾患の治療もしくは予防のためまたは血管手術の際の血小板凝集を抑制するための、請求項33、35、37及び38から選択されるいずれか1項に記載の医薬組成物。
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