JP4720341B2 - ボロメータ型赤外線検知素子及び検知器 - Google Patents

ボロメータ型赤外線検知素子及び検知器 Download PDF

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Description

本発明は、ボロメータ抵抗の抵抗値の変化により赤外線を検出するボロメータ型赤外線検知素子及び検知器に関する。
図5はボロメータ型赤外線検知器1の構造を示す断面図である。一般的に、ボロメータ型赤外線検知器1は、内部を真空に保つ真空容器2と、真空容器1の上面に設けられ赤外線の入射開口部となる窓3と、検知器外部と接続するための外部接続用端子4と、真空容器2の内底面上に設けられた温度制御素子7と、この温度制御素子7の上に設けられた半導体基板6と、この半導体基板6上に形成され赤外線を検知するボロメータ型赤外線検知素子5と、とを具備する。
図6は、特許文献1に記載されたボロメータ型赤外線検知素子5を示す平面図である。この赤外線検知素子5は、赤外線が照射される赤外線検知部10と、赤外線検知部10を基板6から浮いた状態で保持する1対の梁部12とからなる。そして、赤外線検知部10においては、赤外線を吸収する吸収膜11上に、ボロメータ薄膜8を積層した構造を有し、梁部12においては、吸収膜11上に電極リード9が積層された構造を有する、そして、梁部12の一端部13は、基板6に接触しているが、他端部は基板6から離隔して非接触の状態にあり、この非接触の1対の他端部は赤外線検知部10を、基板6から離隔し、空中に浮遊させた状態で、保持する。これにより、ボロメータ薄膜8及び吸収膜11は、赤外線検知部10で、基板6から熱的に分離されたダイアフラム構造となっている。ボロメータ薄膜8は短冊状をなす3個の分割薄膜に分割され、これらの分割薄膜が相互間に僅かの間隔をおいて配置されている。そして、中央の分割薄膜がその長手方向の一端部で外側の一方の分割薄膜の一端部に電極15により電気的に接続されており、その他端部で外側の他方の分割薄膜の他端部に電極15により電気的に接続されている。そして、前記一方の分割薄膜の他端部と前記他方の分割薄膜の一端部は、夫々、電極15を介して電極リード9に接続されている。電極リード9はいずれも外部の抵抗値読み出し端子14に接続されている。これにより、1対の電極リード9間に、ボロメータ薄膜8の3個の分割薄膜が直列接続されている。
ボロメータ薄膜8は電気的には抵抗器となっており、赤外線を吸収する吸収膜11上に、ボロメータ薄膜8が張られている。赤外線検知部10に赤外線が入射すると、赤外線のエネルギーが吸収膜11により吸収され、ボロメータ薄膜8の温度が上昇する。ボロメータ薄膜8の抵抗値には温度特性があるので、ボロメータ薄膜8の温度が上昇すると抵抗値が変化する。この抵抗値の温度特性を抵抗温度計数(TCR:Temperature Coefficient of Resistance)とよぶ。
ボロメータ抵抗には通常、チタン、酸化バナジウム、イットリュウムバリウム銅酸化物、又はアモルファスシリコンなどの、TCRの絶対値が大きい材料が使用される。ボロメータ型の検知器は、赤外線の入射により温度変化が生じてその抵抗値が変化したときに、読み出し回路によりその抵抗値の変化を電気信号として取り出すことによって、赤外線を検知する。
前述のように、ボロメータ抵抗値には温度特性がある。このため、赤外線が入射していない状態でも、半導体基板の熱が梁を経由してボロメータ薄膜8に流入すると、ボロメータ薄膜8の温度が変化するので抵抗値が変化する。検知器を使用する環境温度範囲が狭い場合、温度制御素子7によりボロメータ抵抗値が外部の読み出し回路で読出しできる範囲の抵抗値になるように制御を行えばよい。しかし、ボロメータ型検知器が広い環境温度範囲で使われる場合、図6に示す従来のボロメータ型検知器では、その出力抵抗値の範囲を読み出しできる範囲にするためには、環境温度に拘わらずボロメータ薄膜8の温度を一定範囲内に保つ必要があり、このために、温度制御素子7を大電力で駆動する必要がある。
特開2003−121255号公報 特開平8−145715号公報 特開平9−283305号公報
一般にTCRの絶対値が大きいボロメータを用いた検知器は、ボロメータ抵抗が大きく変化するために、広い温度範囲で用いることはできない。ボロメータ型検知器を広い温度範囲で使用しようとする場合、検知器に搭載された温度制御素子7でボロメータ温度を強制的に変化させる必要がある。この方法を実行するためには、温度制御素子7に大容量の温度制御能力を持たせる必要がある。そのため、温度制御素子7の駆動にかける電圧及び電流の負荷が大きくなり、検知器周辺の放熱機構の設計負荷も増える。環境温度が変化することで抵抗値が変化しても、読出し回路が想定するボロメータ抵抗値の読み出し範囲に幅があれば読み出すことができる。しかし、その場合は、温度制御素子7の駆動負荷が減るかわりに、広範囲の読み出しを可能とするために、読み出し回路の面積が増加する。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、大容量の温度制御能力をもつ温度制御素子を設けることなく、従って、検知器周辺の放熱機構の設計負荷も小さく、更に、読み出し回路の読み出し可能な抵抗値範囲も大きくすることなく、広い温度範囲でボロメータを駆動して、赤外線を検出することができるボロメータ型赤外線検知素子及び検知器を提供することを目的とする。
本発明に係るボロメータ型赤外線検知素子は、基板と、赤外線検知部と、前記赤外線検知部を前記基板から離隔するように支持する梁部とを有し、前記赤外線検知部は、平面視で矩形状をなし相互に間隔をおいて平行に配置された複数個のボロメータ薄膜と、このボロメータ薄膜の各端部に接触するように設けられ隣接するボロメータ薄膜を流れる電流が相異なる方向に流れるように前記ボロメータ薄膜を直列に接続する複数個の電極と、を有し、隣接する前記電極間を全て同時に接続又は切断状態に切り替えるMOSトランジスタで構成された複数個のスイッチが前記赤外線検知部に設けられ、前記梁部は、前記スイッチが切断状態のときに前記ボロメータ薄膜の直列接続体の始端部及び終端部となるボロメータ薄膜に設けられた電極に接続されたリード部及び前記スイッチを切り替えるスイッチ切り替え信号を前記複数個のスイッチに送信する信号線を有することを特徴とする。
このボロメータ型赤外線検知素子において、前記赤外線検知部には、赤外線を吸収する吸収膜が設けられており、前記ボロメータ薄膜は前記吸収膜上に形成されていることが好ましい。
更に、前記梁部の基端部は前記赤外線検知部を支持しており、前記梁部の先端部は前記基板に支持されているように構成することができる。そして、前記梁部の先端部には、前記基板に設けた配線と接続されるコンタクトが形成されているように構成することもできる。
本発明に係る赤外線検知器は、赤外線が透過する窓が設けられた真空容器と、前記容器内に設けられた温度制御素子と、前記温度制御素子の上に搭載された前記請求項1乃至6のいずれか1項に記載の赤外線検知素子と、前記容器の壁に設けられ前記赤外線検知素子に対する信号の送受を行う外部接続用端子とを有することを特徴とする。
本発明によれば、全てのスイッチを切断状態にすると、全ての前記ボロメータ薄膜は直列接続される。そして、前記スイッチを全て接続状態にすれば、その接続状態にしたスイッチにより接続された1対の電極に接触する1対のボロメータ薄膜は、それらの他端部は別の電極により接続されているので、全て並列接続されることになる。これにより、前記リード部に接続された1対の電極、即ち、前記スイッチが切断状態のときにボロメータ薄膜の直列接続体の始端部及び終端部となるボロメータ薄膜に設けられた1対の電極の相互間におけるボロメータ薄膜の総抵抗値が異なったものとなる。すなわち、ボロメータ薄膜がN個であり、1個のボロメータ薄膜の抵抗値がRである場合は、全てのスイッチが切断状態であれば、直列接続されたボロメータ薄膜の総抵抗値は、NRとなる。これに対し、全てのスイッチが接続状態になった場合には、全てのボロメータ薄膜が並列接続されたことになるので、総抵抗値は、R/Nとなる。赤外線の入射ではなく、半導体基板の熱がボロメータ薄膜に流入してその温度が上昇した場合には、前記スイッチを選択的に接続状態に切り替えて、ボロメータ薄膜の総抵抗値を小さくすれば、半導体基板からの熱による温度上昇に伴う抵抗値の上昇の少なくとも一部を相殺することができ、外部の信号読出し回路の読み取り可能な抵抗値範囲内で、赤外線入射に起因する抵抗値の上昇分を検知し、赤外線の検知及び/又は赤外線量の検知を行うことができる。
本発明によれば、スイッチを切り替えて、矩形状の複数個のボロメータ薄膜の接続状態を変えるだけで、総抵抗値であるボロメータ抵抗値(外部回路の検出抵抗値)を、半導体基板の熱の流入による温度上昇等の外乱に起因する抵抗値上昇分の少なくとも一部を相殺したものにすることができる。これにより、外乱による抵抗値上昇分が上乗せされて、検出抵抗値が外部回路の読み出し可能範囲から外れようとしても、スイッチを切り替えるだけで、検出抵抗値を読み出し可能範囲内に戻すことができ、この状態で赤外線が入射すると、読み出し回路は、赤外線入射による温度上昇に起因する抵抗値の上昇分を検出することができる。このため、赤外線検出素子に対し、大容量の温度制御素子で温度制御して、ボロメータ温度が一定なるように制御する必要がなく、また、読み出し回路の読み出し可能な抵抗値範囲も大きくすることなく、広い環境温度範囲で赤外線を検出することができる。
以下、本発明の実施の形態について添付の図面を参照して具体的に説明する。図1は本発明の第1実施形態に係るボロメータ赤外線検知素子を示す平面図、図2はその等価回路図である。この赤外線検知素子30は、半導体基板6上に、中央の赤外線検知部31と、その両側の梁部32a、32bとが配置されている。梁部32a及び32bの基端部は、赤外線検知部31に接続されており、梁部32a及び32bの先端部は、基板6の上面に固定されている。そして、この梁部32a及び32bは、その先端部でのみ基板6に接しており、基端部は基板6から適長間隔をおいて離隔している。この梁部32a、32bの基端部は赤外線検知部31に接続されており、従って、梁部32a、32bは赤外線検知部31を基板6から離隔させ、浮遊させた状態で支持している。なお、この梁部32a、32bの先端部は、後述するように、基板6に形成された配線と梁部32a、32b上のリード36a、36b及び信号線38cとのコンタクト39,40,41となっている。
なお、本実施形態の赤外線検知素子30も、図5に示す従来の赤外線検知器と同様に、真空容器2内に収納され、窓3から入射した赤外線が入射されるようになっている。また、この赤外線検知素子30も基板6の下面に温度制御素子7が設けられ、従来と同程度の温度制御はなされる。
本実施形態の赤外線検知素子30は、赤外線検知部31及び梁部32a、32bのいずれにおいても最下層に赤外線を吸収する吸収膜33が設けられている。この吸収膜33はシリコン窒化膜等で形成されており、赤外線のエネルギーを吸収して、発熱する。そして、赤外線検知部31においては、この吸収膜33の上に、3個の平面視で矩形のボロメータ薄膜34が相互間に若干の間隙をおいて相互に平行に配置されて形成されている。そして、図示の左方のボロメータ薄膜34の長手方向の一方の端部に接触するように電極35aが形成されており、この左方のボロメータ薄膜34と中央のボロメータ薄膜34の他方の端部はいずれも電極35bが接触して、この電極35bにより共通接続されている。また、この中央のボロメータ薄膜34と右方のボロメータ薄膜34の一方の端部には電極35cが接触して、この電極35cにより共通接続されており、右方のボロメータ薄膜34の他方の端部に接触するように電極35dが形成されている。これらの電極35a、35b、35c、35dにより、3個のボロメータ薄膜34が直列接続されている。また、この直列接続体の両端部の電極35a及び35dは、夫々梁部32a、32b上の形成されたリード36a、36bにより外部に導出されるようになっている。梁部32a、32bにおいては、その先端部に半導体基板6に設けた配線(図示せず)に接続された夫々コンタクト39,40が設けられており、リード36a、36bは夫々このコンタクト39,40を介して基板6上の配線に接続され、これらの配線を介して夫々抵抗値読み出し端子42,43に接続されている。この端子42,43は外部の読み出し回路に接続される。
一方、左方のボロメータ薄膜34と中央のボロメータ薄膜34の夫々一端部に接続された電極35a、35cは、スイッチ37aにより接続されていて、このスイッチ37aにより、電極35aと電極35cとが導通し又は切断されるようになっている。また、中央のボロメータ薄膜34と右方のボロメータ薄膜34の夫々他端部に接続された電極35b、35dは、スイッチ37bにより接続されて、このスイッチ37bにより、電極35bと電極35dとが導通し又は切断されるようになっている。このスイッチ37a、37bは、例えば、MOSトランジスタ等で構成することができ、これらのスイッチ37a、37bの制御端子に夫々信号線38a、38bが接続されており、これらの信号線38a、38bが梁部32b上の信号線38cに共通接続されている。この信号線38cはコンタクト41を介して半導体基板6に形成された配線に接続されており、基板6の配線を介して、スイッチ信号端子44に接続されている。このスイッチ信号端子44にスイッチ切り替え信号が入力される。
ボロメータ薄膜34には、通常、チタン、酸化バナジウム、イットリュウムバリウム銅酸化物、又はアモルファスシリコンのように、TCRの絶対値が大きい材料が使用される。ボロメータ型の赤外線検知器は、ボロメータ薄膜34の抵抗値の変化ΔRを、外部の読み出し回路により電気信号として取り出し、これにより赤外線を検知する。
次に、上述の如く構成された赤外線検知素子の動作について説明する。スイッチ37a、37bが切断された状態においては、図2(a)に示すように、3個のボロメータ薄膜34は直列接続されており、1個のボロメータ薄膜34の抵抗値がRであるとすると、その総抵抗値は3Rとなる。そして、梁部32a、32bは赤外線検知部31を中空状態に支持する梁としての機能を有しているので、赤外線検知部31は梁部32a、32bにより基板6から離隔して浮遊状態で保持されているため、基板6からの熱の影響は受けにくくなっている。この状態で、赤外線検知部31に赤外線が入射すると、吸収膜33で赤外線のエネルギーが吸収されてその温度が上昇し、ボロメータ薄膜34の温度も上昇する。ボロメータ薄膜34は温度変化による抵抗値の変化が大きく、抵抗温度係数TCRが大きいという特性を有する。このため、ボロメータ薄膜34の温度変化が抵抗値の変化ΔRとして、外部の抵抗値読み出し回路で検出される。外部回路は3R+ΔRの抵抗値を検出することにより、ボロメータ薄膜34における温度上昇を検知し、これにより赤外線の入射及び/又は入射量を検知する。
前述のように、ボロメータ抵抗値には温度特性があるので、赤外線が入射していない状態でも、半導体基板の熱が梁を経由して流入すると、ボロメータの温度が変化するので抵抗値が変化する。検知器を使用する環境温度範囲が狭い場合は、温度制御素子7により外部読み出し回路がボロメータ抵抗値を読出しできる程度の抵抗値範囲になるように、赤外線検知素子の温度を制御することが可能である。しかし、ボロメータ型検知器が広い環境温度範囲で使われる場合は、ボロメータ薄膜34の接続状態が上述の直列接続のままでは、温度制御素子6を大電力で駆動するか、読み出し回路の規模を大きくして広い抵抗値範囲でボロメータ抵抗を検知できるように設計しない限り、環境温度の大きな変動(上昇)により、読み出し抵抗値が外部回路の測定範囲を超えてしまう。
そこで、本実施形態においては、環境温度が上昇して、ボロメータ薄膜34の直列接続体の総抵抗値3Rが、外部の抵抗値読み出し回路の測定範囲を超えようとした場合に、スイッチ信号端子44、コンタクト41,信号線38c、38a、38bを介して、スイッチ37a、37bに切り替え信号を送信し、スイッチ37a、37bを接続状態に切り替える。そうすると、電極35aと電極35cとが接続され、電極35bと電極35dとが接続され、結局、図2(b)に示すように、3個のボロメータ薄膜34は並列接続される。これにより、電極35aと電極35dとの間のボロメータ薄膜の総抵抗値は、R/3となる。よって、環境温度の上昇により一つのボロメータ薄膜34の抵抗値は上昇しているが、総抵抗値は3RからR/3に低下し、外部の抵抗値読み出し回路に検出される抵抗値は、その測定範囲内に戻る。従って、環境温度の大きな変動(上昇)にも拘わらず、温度制御素子7の大容量化及び読み出し回路の大規模化をもたらすことなく、ボロメータ抵抗値を読み出すことができる。このボロメータ薄膜34の並列接続体の総抵抗値R/3が外部回路の読み出し可能範囲内であれば、赤外線が赤外線検知部31に入射したときに、吸収膜33で赤外線が吸収されて発熱し、ボロメータ薄膜34の温度が上昇して抵抗値が上昇したことを、外部回路が検知することができ、赤外線の入射及び/又は入射量を検知することができる。
このように、本実施形態によれば、スイッチを切り替えるだけの簡単な操作で広範囲の環境温度において、赤外線を検知することができる。即ち、環境温度の変動により、ボロメータ薄膜の抵抗値が読み出し回路に対応しなくなったとしても、スイッチを切り替えるだけで、読み出し回路はボロメータ薄膜の抵抗値を読み出すことができるようになる。
次に、どの程度の抵抗値変化が生じるかについて説明する。赤外線がボロメータ薄膜34に入射すると、吸収膜33により赤外線が吸収され、ダイアフラム構造を持つボロメータ薄膜34の温度は上昇し、ボロメータ薄膜34の総抵抗値が変化し、読出し回路で検出される。例えば、ダイアフラムの温度が25℃のときのボロメータ抵抗値が150kΩで、ボロメータ薄膜のTCRが−4%/K、読出し回路が読み出せるボロメータ抵抗値の範囲が50kΩから500kΩであるとする。そうすると、ボロメータ薄膜の抵抗値Rb(=3R)は、下記数式1で表される。
Figure 0004720341
但し、Rb:ボロメータの抵抗値[Ω]
Rb:材料によって決まる物理定数(Rbは1とする)
α:抵抗値がT[K]のときの抵抗温度係数(TCR)[%/K]
T:ボロメータ薄膜の温度[K]
このときダイアフラムの温度が−30℃になると、ボロメータ抵抗Rbは、式(1)において、α=−4%/K、T=243K(−30℃)を代入すると、Rb=約2.7MΩになる。そうすると、ボロメータ抵抗Rbが読出し回路の読み出せる抵抗値範囲を超え、抵抗値が読み出せない。そこで、抵抗値切換えスイッチ37a、37bをONし、ボロメータ抵抗の等価回路を図2(b)のように変化させると、ボロメータ抵抗値Rbは約300kΩ(=2.7MΩ÷9)となり、読み出し回路は、ボロメータ抵抗を読み出すことができるようになる。
次に、本発明の第2実施形態について、図3を参照して説明する。図3において、図1と同一構成物には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。本実施形態は切換えスイッチ51a、51bを、ダイアフラム上ではなく、半導体基板6上に形成したものである。赤外線検知部31の3個のボロメータ薄膜34の両端部に設けられた電極35a、35b、35c、35dのうち、電極35aは梁部32aに形成したリード36aを介して、梁部32aの先端部に設けたコンタクト39aまで導出されており、電極35cは梁部32aに形成したリード36cを介して、梁部32aの先端部に設けたコンタクト39bまで導出されている。一方、電極35dは梁部32bに形成したリード36bを介して、梁部32bの先端部に設けたコンタクト40aまで導出されており、電極35bは梁部32bに形成したリード36dを介して、梁部32bの先端部に設けたコンタクト40bまで導出されている。そして、半導体基板6には、スイッチ51a及び51bが形成されており、コンタクト39a、39bは半導体基板6に形成した配線(図示せず)を介してスイッチ51aの1対の端子に接続されており、コンタクト40a、40bは半導体基板6に形成した配線(図示せず)を介してスイッチ51bの1対の端子に接続されている。そして、これらのスイッチ51a、51bの制御端子52a、52bには、スイッチ切り替え信号が入力されるようになっている。更に、コンタクト39aは基板6に形成した配線(図示せず)を介して抵抗値読出し端子42に接続されており、コンタクト40aは基板6に形成した配線(図示せず)を介して抵抗値読出し端子43に接続されている。
本実施形態においても、スイッチ切り替え信号がスイッチ51a、51bを切断状態に制御している場合は、抵抗値読み出し端子42と端子43との間には、3個のボロメータ薄膜34が電極35a、35b、35c、35dにより直接接続されたものが接続されている。これにより、抵抗値読み出し回路は、3Rのボロメータ抵抗Rbを検出する。これに対し、スイッチ切り替え信号がスイッチ51a、51bを接続状態に切り替えた場合は、電極35aと電極35cがリード36a、36cを介して接続され、電極35bと電極35dがリード36b、36dを介して接続されるので、3個のボロメータ薄膜34は並列接続になる。このため、抵抗値読み出し端子42と端子43との間には、3個の並列接続されたボロメータ薄膜34が接続され、R/3のボロメータ抵抗Rbを検出する。よって、本実施形態も第1実施形態と同様の効果を奏する。
次に、図4を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。図4は本実施形態の等価回路を示す図である。本実施形態においては、N個(Nは4個以上)のボロメータ薄膜を配置したものであり、図1及び図3に示す実施形態と同様に、ボロメータ薄膜の両端部に夫々設けた電極は、隣接するもの同士が、ボロメータ薄膜の一方の端部と他方の端部で交互になるように接続されている。これにより、電極により、全てのボロメータ薄膜が直列接続されている。また、本実施形態においても、隣接する電極のうち、接続されていないもの同士は、スイッチにより接続されている。
よって、本実施形態においては、全てのスイッチが切断状態のときは、図4(a)に示すように、N個のボロメータ薄膜が直列接続されるので、ボロメータ抵抗はNRとなる。一方、全てのスイッチが接続状態のときは、N個のボロメータ薄膜が並列接続されるので、ボロメータ抵抗はR/Nとなる。
このように、ボロメータ薄膜の数は3個に限らず、種々設定することができる。また、スイッチの制御は、全てのスイッチを接続状態にする場合に限らず、一部のスイッチを選択的に接続状態にしてもよい。例えば、図1の赤外線検知素子30において、スイッチ37aのみを接続状態にすると、図示の右端のボロメータ薄膜34のみが抵抗値読み出し端子42,43間に接続され、ボロメータ抵抗波、Rとなる。従って、図1の実施形態においては、3R,R及びR/3の2とおりのボロメータ抵抗値になるように、接続状態を制御することができる。
本発明の第1実施形態に係る赤外線検知素子を示す平面図である。 同じくその等価回路である。 本発明の第2実施形態に係る赤外線検知素子を示す平面図である。 本発明の第3実施形態に係る赤外線検知素子を示す等価回路図である。 赤外線検知器の構造を示す断面図である。 従来の赤外線検知素子を示す平面図である。
符号の説明
1 赤外線検知器
2 真空容器
3 窓
4 外部接続用端子
5 赤外線検知素子
6 半導体基板
7 温度制御素子
8 ボロメータ薄膜
9 電極リード
10 赤外線検知部
11 吸収膜
12 梁部
14 抵抗値読出し端子
15 電極
30 赤外線検知素子
31 赤外線検知部
32a、32b 梁部
33 吸収膜
34 ボロメータ薄膜
35a〜35d 電極
36a〜36d リード
37a、37b スイッチ
38a、38b、38c 信号線
39,40,41、39a、39b、40a,40b コンタクト
42、43 抵抗値読み出し端子
44 スイッチ信号端子
51a、51b スイッチ
52a スイッチ信号端子

Claims (5)

  1. 基板と、赤外線検知部と、前記赤外線検知部を前記基板から離隔するように支持する梁部とを有し、前記赤外線検知部は、平面視で矩形状をなし相互に間隔をおいて平行に配置された複数個のボロメータ薄膜と、このボロメータ薄膜の各端部に接触するように設けられ隣接するボロメータ薄膜を流れる電流が相異なる方向に流れるように前記ボロメータ薄膜を直列に接続する複数個の電極と、を有し、隣接する前記電極間を全て同時に接続又は切断状態に切り替えるMOSトランジスタで構成された複数個のスイッチが前記赤外線検知部に設けられ、前記梁部は、前記スイッチが切断状態のときに前記ボロメータ薄膜の直列接続体の始端部及び終端部となるボロメータ薄膜に設けられた電極に接続されたリード部及び前記スイッチを切り替えるスイッチ切り替え信号を前記複数個のスイッチに送信する信号線を有することを特徴とするボロメータ型赤外線検知素子。
  2. 前記赤外線検知部には、赤外線を吸収する吸収膜が設けられており、前記ボロメータ薄膜は前記吸収膜上に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のボロメータ型赤外線検知素子。
  3. 前記梁部の基端部は前記赤外線検知部を支持しており、前記梁部の先端部は前記基板に支持されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のボロメータ型赤外線検知素子。
  4. 前記梁部の先端部には、前記基板に設けた配線と接続されるコンタクトが形成されていることを特徴とする請求項に記載のボロメータ型赤外線検知素子。
  5. 赤外線が透過する窓が設けられた真空容器と、前記容器内に設けられた温度制御素子と、前記温度制御素子の上に搭載された前記請求項1乃至のいずれか1項に記載の赤外線検知素子と、前記容器の壁に設けられ前記赤外線検知素子に対する信号の送受を行う外部接続用端子とを有することを特徴とする赤外線検知器。
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