JP4720330B2 - 液晶表示装置、表示方法及び電子機器 - Google Patents

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Description

本発明は、液晶表示装置、表示方法及び電子機器に関する。
1つの画面に左目用の画像と右目用の画像とを表示し、視線の視差分割方式を利用して画像を3次元表示する画像表示装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
このような視線の視差分割方式を利用した表示方式としては、パララックスバリア方式や、レンチキュラーレンズ方式などの表示方式が知られている。近年、画像表示装置による3次元表示の原理として、これらの方式が広く応用されるようになっている。
パララックスバリア方式は、図10に示すように、表示領域Wに左目用画像Lと右目用画像Rとを交互に表示し、表示領域Wと観察者Hとの間に遮光バリア(以下、単に「バリア」という。)Bを配置するものである。このバリアBは、左目用画像Lが観察者Hの右目に入射されるのを防ぐと共に、右目用画像Rが観察者Hの左目に入射されるのを防ぐ役割を果たしている。これにより、観察者Hの左目では、バリアBに設けられたスリットSを通過した左目用画像Lのみが認識され、右目では、スリットSを通過した右目用画像Rのみが認識される。
一方、レンチキュラーレンズ方式は、図11に示すように、バリアBを設ける代わりに、表示領域W上にかまぼこ型レンズF(以下、単に「レンズ」という。)を配置している。このレンズFは、表示領域Wの左目用画像Lの光を集光して観察者Hの左目に焦点を合わせると共に、右目用画像Rの光を集光して観察者Hの右目に焦点を合わせるようになっている。これにより、観察者Hの左目では左目用画像Lのみが認識され、右目では右目用画像Rのみが認識される。
特開2004−279793号公報
しかしながら、パララックスバリア方式で用いられるバリアや、レンチキュラーレンズ方式で用いられるレンズ等、外部の光学要素を設けたのでは、装置自体が大型化してしまう。加えて、バリアやレンズ等の位置を外部から調節するのは極めて困難であり、また調節しようとすると装置が複雑化してしまう。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、外部の光学要素を設けなくても、画像や動画の3次元表示が可能となり、装置の大型化・複雑化を回避することができる液晶表示装置、表示方法及び電子機器を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の主たる観点に係る液晶表示装置を用いた表示方法は、 一対の基板間に液晶層が挟持され、前記液晶層への駆動電圧の印加によって表示領域において表示を行い、前記表示領域には、個別に前記駆動電圧の印加が可能とされた第1の領域と第2の領域とが備えられ、該第1の領域と該第2の領域は、互いに隣接して所定方向に並んで配置されており、前記基板には、前記第1の領域において前記液晶層の液晶分子を基板平面内の第1の方向に配向させ、前記第2の領域において前記液晶層の液晶分子を基板平面内の第1の方向とは異なる第2の方向に配向させる配向膜が備えられ、前記駆動電圧が印加されたときに前記液晶分子が立ち上がる方向若しくは倒れる方向が、前記第1の領域では、前記所定方向のうちの一方の方位の側に設定されており、前記第2の領域では、前記所定方向のうち前記一方の方位とは逆向きの他方の方位の側に設定されている液晶表示装置を用いた表示方法であって、前記第1の領域及び前記第2の領域のうちいずれか一方に印加する駆動電圧の値に応じて、他方に印加する駆動電圧の値を補正することを特徴とする。
また、本発明の液晶表示装置を用いた表示方法は、一対の基板間に液晶層が挟持され、前記液晶層への駆動電圧の印加によって表示領域において表示を行い、前記表示領域には、個別に前記駆動電圧の印加が可能とされた第1の領域と第2の領域とが備えられ、該第1の領域と該第2の領域は、互いに隣接して所定方向に並んで配置されており、前記基板には、前記第1の領域において前記液晶層の液晶分子を基板平面内の第1の方向に配向させ、前記第2の領域において前記液晶層の液晶分子を基板平面内の第1の方向とは異なる第2の方向に配向させる配向膜が備えられ、前記駆動電圧が印加されたときに前記液晶分子が立ち上がる方向若しくは倒れる方向が、前記第1の領域では、前記所定方向と交差した方向のうちの一方の方位の側に設定されており、前記第2の領域では、前記所定方向と交差した方向のうち前記一方の方位とは逆向きの他方の方位の側に設定されている液晶表示装置を用いた表示方法であって、前記第1の領域及び前記第2の領域のうちいずれか一方に印加する駆動電圧の値に応じて、他方に印加する駆動電圧の値を補正することを特徴とする。

もともと表示領域内の一領域から射出される光は、どの角度にも一様の明るさで射出されるというわけではなく、射出角度により光の明るさに分布がある、すなわち、観察者の見る方向により明るさが異なっている。また、当該一領域における液晶分子の向きが変わると、明るさの分布自体が変わってくる。本発明では、第1の領域では駆動電圧を印加したときに液晶分子が第1の方向を向き、第2の領域にでは駆動電圧を印加したとき液晶分子が第2の方向を向くので、表示領域からは、明るさの分布が異なる2種類の光を射出することができる。
このため、第1の領域と第2の領域とに異なる駆動電圧を印加した場合、これら2つの領域から色や明るさ等の異なる光がそれぞれ射出されることになる。このとき、第1の領域と第2の領域とでそれぞれ異なる方向に液晶分子が向いており、一方の領域からの光が観察者の一方の目に、他方の領域からの光が観察者の他方の目に入ることになるので、観察者の両目に色や明るさの異なる光を認識させることができる。
これにより、パララックスバリア方式で用いられるバリアや、レンチキュラーレンズ方式で用いられるレンズ等、外部の光学要素を設けなくても、画像や動画の3次元表示が可能となり、装置の大型化・複雑化を回避することができる。なお、第1の領域と第2の領域とに同一の駆動電圧を印加して駆動すれば、2次元表示も可能となる。
本発明の別の観点に係る液晶表示装置は、一対の基板間に液晶層が挟持され、前記液晶層への駆動電圧の印加によって表示領域において表示を行う液晶表示装置であって、前記表示領域には、個別に前記駆動電圧の印加が可能とされた第1の領域と第2の領域とが備えられ、該第1の領域と該第2の領域は、互いに隣接して所定方向に並んで配置されており、前記基板には、前記第1の領域において前記液晶層の液晶分子を基板平面内の第1の方向に配向させ、前記第2の領域において前記液晶層の液晶分子を基板平面内の第1の方向とは異なる第2の方向に配向させる配向膜が備えられ、前記駆動電圧が印加されたときに前記液晶分子が立ち上がる方向若しくは倒れる方向が、前記第1の領域では、前記所定方向と交差した方向のうちの一方の方位の側に設定されており、前記第2の領域では、前記所定方向と交差した方向のうち前記一方の方位とは逆向きの他方の方位の側に設定されていることを特徴とする。
本発明のように、第1の領域と第2の領域との配置と、液晶分子が立ち上がる方向若しくは倒れる方向との関係を変化させても、画像や動画の3次元表示が可能となる。
また、前記第1の方向と前記第2の方向は互いに平行であって方位が逆向きとされていることが好ましい。
これにより、第1の領域からは左右の一方の目に、第2の領域からは左右の他方の目に、確実に光を射出することができる。
また、前記表示領域は、マトリクス状に配置された複数の画素領域で構成されており、前記各画素領域内に前記第1の領域と前記第2の領域とがそれぞれ設けられていることが好ましい。
本発明によれば、1つの画素領域から2種類の光を射出することができるので、もともとの画素数を維持することができ、高い解像度を維持することができる。
また、前記第1の領域及び前記第2の領域のそれぞれに印加される駆動電圧を制御するスイッチング素子が、前記第1の領域及び前記第2の領域のそれぞれに設けられていることが好ましい。
本発明によれば、第1の領域及び第2の領域に設けられた駆動素子によって、当該2つの領域のそれぞれに別個に駆動電圧を印加することができる。この駆動素子は、例えばTFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)やTFD(Thin Film Diode:薄膜ダイオード)等、極めて寸法が小さいものを用いることができるため、液晶表示装置の大型化を回避することができる。
また、前記第1の領域では前記液晶分子が前記第1の方向を向くようにラビング処理により前記液晶分子の配向方向を規制すると共に前記第2の領域では前記液晶分子が前記第2の方向を向くようにラビング処理により前記液晶分子の配向方向を規制する配向膜が、前記一対の基板の前記液晶側に設けられていることが好ましい。
ラビング処理を行うことにより、狭い領域であっても容易に配向方向を形成できるので、画素領域内の第1の領域と第2の領域とで異なる方向に液晶分子の配向方向を規制することが可能となる。
また、前記第1の領域及び前記第2の領域のうちいずれか一方に印加する駆動電圧の値に応じて、他方に印加する駆動電圧の値を補正することが好ましい。
本発明では、駆動電圧の値を補正することで、第1の領域及び第2の領域から射出される光の明るさを補正することができる。つまり、観察者の左目に認識させる光と、右目に認識させる光との間で相互に補正を行うことができる。
例えば、左目に認識させる画像が白表示である場合、当該白表示をする画素から射出される光は特に明るいため、右目にもある程度の光を認識させてしまうことがある。表示領域のうち広い範囲でこのようなことが起こると、表示画像等のコントラストが低下するおそれがある。したがって、白表示をする画素から光を射出するような場合、すなわち駆動電圧を印加しない場合に、例えば右目に認識させる光の明るさを落とすように駆動電圧を別途印加することで、白表示をする画素から射出される光の明るさの影響を緩和することができる。
このように、白表示等、一方の目だけでなく他方の目にまで影響を与えてしまう光を射出するような駆動電圧が第1の領域及び第2の領域のうち一方の領域に印加されたら、他方の領域の駆動電圧を補正することによって、他方の領域からの光の明るさを調節するのである。このような駆動電圧の値は、例えば明るさと駆動電圧との関係をデータ化し、その中から他方の目に影響を与える光を射出する際の駆動電圧をピックアップして記憶させておくこと等が考えられる。これにより、他方の目に与える影響をできるだけ緩和し、コントラストを向上させることができる。
本発明の別の観点に係る表示方法は、上記の液晶表示装置を用いた表示方法であって、前記第1の領域と前記第2の領域とに同一の駆動電圧を印加する第1の表示モードと、前記第1の領域と前記第2の領域とに異なる駆動電圧を印加する第2の表示モードとを切り替えて表示することを特徴とする。
本発明によれば、第1の領域と第2の領域とに同一の駆動電圧を印加する場合(第1の表示モード)には2次元表示が可能となり、第1の領域と第2の領域とに異なる駆動電圧を印加する場合(第2の表示モード)には3次元表示が可能となる。このような液晶表示装置を、表示モードを切り替えて表示させることにより、画像や動画等を表現力豊かに表示することができる。
本発明の別の観点に係る電子機器は、上記の液晶表示装置を搭載したことを特徴とする。
本発明によれば、外部の光学要素を設けなくても画像や動画の3次元表示が可能であり、装置の大型化・複雑化を回避することができる液晶表示装置を搭載したので、例えば携帯電話のような小型の電子機器においても3次元表示が可能となる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
本実施の形態では、駆動方式がアクティブマトリクス方式であり、液晶モードがTNモードであり、駆動電圧を印加していないときに光を透過させるノーマリーホワイトモードである液晶表示装置の例を説明する。
図1は本実施の形態に係る液晶表示装置の各構成要素を対向基板の側から見た平面図であり、図2は図1のA−A線に沿う断面であり、1つの画素領域の断面示す図である。
図1に示すように、液晶表示装置100は、TFTアレイ基板10と対向基板20とがシール材52によって貼り合わされ、このシール材52によって区画された領域内に液晶層50が封入された構成になっている。シール材52の形成領域の内側の領域には、遮光性材料からなる周辺見切り53が形成されている。周辺見切り53の内側は、画像や動画等が表示される表示領域12になっている。表示領域12には、画素領域13がマトリクス状に設けられている。画素領域13は、図2に示すように、X方向(左右方向)に分割された2つの領域(領域13p及び領域13q)を有している。つまり、画素領域13qと13pが隣接して並ぶ方向と、画素領域13q及び13pの明視方向はほぼ一致している。ここで、明視方向とは、最大のコントラストが得られる方向をいうものとする。
シール材52の外側の領域には、データ線駆動回路201および外部回路実装端子202がTFTアレイ基板10の一辺に沿って形成されており、この一辺に隣接する2辺に沿って走査線駆動回路204が形成されている。TFTアレイ基板10の残る一辺には、画像表示領域の両側に設けられた走査線駆動回路204の間を接続するための複数の配線205が設けられている。対向基板20の各角部には、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的導通をとるための基板間導通材206が配設されている。また、図2に示すように、TFTアレイ基板10の外側(液晶層50とは反対側)には偏光板14が貼付されており、対向基板20の外側には偏光板24が貼付されている。
図3は、対向基板20における表示領域12の構成を示す平面図である。
対向基板20は、例えばガラスやプラスチック等の透明な材料によって形成された矩形の基板である。対向基板20上には遮光層23が設けられている。遮光層23は、画素領域13を囲むように、その周りに配置されている。画素領域13には、カラーフィルタ層16(赤色層16R、緑色層16G、青色層16B)が設けられている。
対向基板20のうち液晶層50と接する側の面において、図2に示すように、マトリクス状に設けられたカラーフィルタ層16全体を覆うようにオーバーコート層21が形成されており、オーバーコート層21上には配向膜25が形成されている。配向膜25は、例えばポリイミド等からなり、表面がラビング処理された水平配向膜である。配向膜25のうち、画素領域13の領域13pに平面的に重なる位置に配置されている部分が画素部分25pであり、画素領域13の領域13qに平面的に重なる位置に配置されている部分が画素部分25qである。図3では、この配向膜25のうち画素部分25p及び画素部分25qにおける配向について矢印で示している。配向膜25は、例えば画素部分25pでは図中右下の方向に配向されており、画素部分25qでは図中左上の方向に配向されている。
図4は、TFTアレイ基板10における表示領域12の構成を示す平面図である。
TFTアレイ基板10の表示領域12には、複数の走査線18が一方向に延在しており、これらの走査線18に交差する方向に複数のデータ線17が延在している。走査線18とデータ線17とに囲まれた平面視矩形状の領域内には、ITO(インジウム錫酸化物)等の透光性の導電膜からなる平面視略矩形状の画素電極19が設けられている。画素電極19は、画素領域13のうち領域13p及び領域13qのそれぞれについて設けられている。
画素電極19と、走査線18、データ線17との間には、TFT60が設けられている。TFT60は、各画素電極19について設けられている、すなわち、領域13p及び領域13qのそれぞれに設けられている。また、TFT60は、半導体層33と、半導体層33の下層側(基板側)に設けられたゲート電極層80と、半導体層33の上層側に設けられたソース電極34と、ドレイン電極35とを備えて構成されている。半導体層33とゲート電極層80とが対向する領域には、TFT60のチャネル領域が形成されており、その両側の半導体層には、ソース領域、及びドレイン領域が形成されている。
このTFT60は、走査線18を介して入力されるゲート信号により所定期間だけオン状態とされることで、データ線17を介して供給される画像信号を、所定のタイミングで液晶に対して書き込むスイッチング素子として機能するようになっている。このようなTFT60が各領域13p及び13qについてそれぞれ設けられていることにより、各領域13p及び13qに設けられている画素電極19に別々の信号を供給することができ、各画素電極19を個別に駆動することができるようになっている。
また、図2に示すように、データ線17や画素電極19等を覆うように配向膜15が形成されている。この配向膜15は、対向基板20に設けられた配向膜25と同様、例えばポリイミド等からなり、表面がラビング処理された水平配向膜である。配向膜15のうち、画素領域13の領域13pに平面的に重なる位置に配置されている部分が画素部分15pであり、画素領域13の領域13qに平面的に重なる位置に配置されている部分が画素部分15qである。図4では、この配向膜15のうち画素部分15p及び画素部分15qにおける配向について矢印で示している。配向膜15は、画素部分15pでは図中左下の方向に配向されており、画素部分15qでは図中右上の方向に配向されている。
図1及び図2に示す液晶層50のうち画素領域13の領域13pでは、TFTアレイ基板10(配向:図4中左下の方向)から対向基板20(配向:図3中右下の方向)にかけて、液晶分子は左に90°ねじれた状態(ツイスト)で配列されている。TFTアレイ基板10の付近の液晶分子は、図4中矢印の先端の方が立ち上がるようなプレチルトを持っており、対向基板20の付近の液晶分子は、図4中矢印の先端の方が立ち上がるようなプレチルトを持っている。また、液晶分子全体は、画素領域13の外側(図4中左側)が立ち上がった状態になる。例えば液晶層の中間部分の液晶分子50aは、図2に示されるように、画素領域13の外側(図2中左側)が立ち上がった状態になっている。領域13pに駆動電圧を印加したときには、図2の方向に向く。
一方、液晶層50のうち画素領域13の領域13qでは、TFTアレイ基板10(配向:図4中右上の方向)から対向基板20(配向:図3中左上の方向)にかけて、液晶分子は左に90°ねじれた状態(ツイスト)で配列されている。TFTアレイ基板10の付近の液晶分子は、図3中矢印の先端の方が立ち上がるようなプレチルトを持っており、対向基板20の付近の液晶分子は、図3中矢印の先端の方が立ち上がるようなプレチルトを持っている。したがって、液晶分子全体は、画素領域13の外側(図3中右側)が立ち上がった状態になる。例えば液晶層の中間部分の液晶分子50bは、図2に示されるように、画素領域13の外側(図2中右側)が立ち上がった状態になっている。領域13qに駆動電圧を印加したときには、液晶分子は対向基板20付近の液晶分子の向き、すなわち、図2の方向に向く。このように、駆動電圧を印加したときには、領域13pと領域13qとでは液晶分子の向きが逆向きになる。
次に、上記のように構成された液晶表示装置1の各画素領域13から射出された光の明るさについて説明する。図5は、ある画素領域13の領域13qから射出された光が観察者の左目101及び右目102に入射している様子を示している。このときの領域13qから観察者の左目101及び右目102に向けて射出される光の射出角度をαとする。角度αは、例えば右目102側を正の角度、左目101側を負の角度とする。
図6は、図5に示す画素領域13の右側の領域13qから射出される光について、射出角度αと明るさとの関係を示すグラフである。なお、グラフの縦軸は光の明るさ(相対値)であり、グラフの横軸は図5に示す場合における光の射出角度α(°)である。ここで、液晶表示装置100のセルギャップをd、屈折率異方性をΔnとしたときに、図6のグラフは、Δn・d=1.0の場合の値を示している。
破線(1)〜破線(5)は、当該画素領域に印加される電圧を変化させたときの明るさであり、例えば、電圧の範囲が2.5V(破線(1)の電圧)〜6.7V(破線(5)の電圧)である場合を示している。
同図に示すように、αが負の値をとる場合、ある角度、例えばα=−20°においては、領域13qに印加する電圧を変化させることによって明るさが約0.05〜約0.35の間で変化し、その変化量は約0.30である。また、例えばα=−10°においては、領域13qに印加する電圧を変化させることによって明るさが約0.02〜約0.28の間で変化し、その変化量は約0.26である。
一方、αが正の値をとる場合、ある角度、例えばα=20°においては、領域13qに印加する電圧を変化させても明るさが約0.00〜約0.03の間でしか変化せず、その変化量はわずか0.03程度である。また、例えばα=10°においても、領域13qに印加する電圧を変化させても明るさが約0.00〜約0.05の間でしか変化せず、その変化量はわずか0.05程度である。
このように観察者の左目101に入射する光が右目102に入射する光に比べて明るく、しかも明るさの変化量が大きいため、左目101に入射した光は観察者にはっきりと認識され、右目102に入射した光は観察者にはほとんど認識されないことになる。なお、これまでの説明は画素領域13の領域13qから射出される光についての説明であったが、画素領域13の領域13pから射出される光については、射出角度と明るさの関係のグラフは、図6に示すグラフとは左右対称になる。すなわち、角度αが負の値をとる場合(左目101に入射する場合)よりも角度αが正の値をとる場合(右目102に入射する場合)の方が明るくなり、かつ、明るさの変化量も大きくなる。したがって、右目102に入射した光は観察者にはっきりと認識され、左目101に入射した光は観察者にほとんど認識されないことになる。また、Δn・d=1.0とした場合には、α=−20°のときに明るさの変化量が最も大きくなるため、観察者の両目がそれぞれ上記の方角に位置する場合に有効であるといえる。
また、図7は、図5に示す画素領域13の領域13qから射出される光について、射出角度αと明るさとの関係を示す別のグラフである。図6と同様に、グラフの縦軸は光の明るさ(相対値)であり、グラフの横軸は図5に示す場合における光の射出角度α(°)である。ただし、図7では、Δn・d=1.5の場合の値を示している。
破線(1)〜破線(5)は、当該画素領域に印加される電圧を変化させたときの明るさである。図6と同様に、例えば、電圧の範囲が2.5V(破線(1)の電圧)〜6.7V(破線(5)の電圧)である場合を示している。
同図に示すように、αが負の値をとる場合、ある角度、例えばα=−20°においては、領域13qに印加する電圧を変化させることによって明るさが約0.17〜約0.35の間で変化し、その変化量は約0.18である。Δn・d=1.0の場合と比べて変化量が減少している。また、例えばα=−10°においては、領域13qに印加する電圧を変化させることによって明るさが約0.04〜約0.34の間で変化し、その変化量は約0.30である。Δn・d=1.0の場合と比べて、変化量が増加している。
一方、αが正の値をとる場合、ある角度、例えばα=20°においては、領域13qに印加する電圧を変化させた場合、明るさが約0.00〜約0.08の間で変化し、その変化量は0.08程度である。Δn・d=1.0の場合と比べて、わずかではあるが変化量が増加している。また、例えばα=10°においては、領域13qに印加する電圧を変化させても明るさが約0.00〜約0.05の間でしか変化せず、その変化量はわずか0.05程度である。Δn・d=1.0の場合と比べて、ほとんど変化量が変わらない。Δn・d=1.5の場合、α=−10°において明るさの変化量が最も大きくなるため、Δn・d=1.0の場合と比べて観察者が遠距離にいる場合に有効であるといえる。
このように、本実施形態によれば、領域13pでは駆動電圧を印加したときに液晶分子が右を向き、領域13qでは駆動電圧を印加したとき液晶分子が上記の左を向くので、表示領域12からは、明視方向が異なる2種類の光を射出することができる。また、領域13pと領域13qとに異なる駆動電圧を印加した場合、領域13p及び13qのそれぞれからは、色や明るさ、角度分布の異なる光が射出されることになる。このとき、領域13pと領域13qとではそれぞれ異なる方向に液晶分子が向いており、領域13pからの光が観察者の例えば右目に、領域13qからの光が観察者の例えば左目に入ることになるので、観察者の両目に色や明るさの異なる光を認識させることができる。これにより、パララックスバリア方式で用いられるバリアや、レンチキュラーレンズ方式で用いられるレンズ等、外部の光学要素を設けなくても、画像や動画の3次元表示が可能となり、装置の大型化・複雑化を回避することができる。
(電子機器)
次に、本発明に係る電子機器について、携帯電話を例に挙げて説明する。
図8は、携帯電話300の全体構成を示す斜視図である。
携帯電話300は、筺体301、複数の操作ボタンが設けられた操作部302、画像や動画、文字等を表示する表示部303を有する。表示部303には、本発明に係る液晶表示装置100が搭載される。
このように、外部の光学要素を設けなくても画像や動画の3次元表示が可能であり、装置の大型化・複雑化を回避することができる液晶表示装置100を搭載したので、携帯電話300のように小型の電子機器においても3次元表示が可能となる。
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
上記実施形態では、観察者の左目101に認識させる光と、右目102に認識させる光とを別々に駆動電圧を印加する構成としているが、領域13p及び領域13qのうちいずれか一方の領域に印加する駆動電圧の値に応じて、他方の領域に印加する駆動電圧の値を補正するような構成にしても構わない。駆動電圧の値を補正することで、領域13p及び領域13qから射出される光の明るさを補正することができる。つまり、観察者の左目101に認識させる光と、右目102に認識させる光との間で相互に補正を行うことができる。
例えば、左目101に認識させる光が白表示である場合、白表示の光が特に明るいため、右目102にもある程度の光を認識させてしまうことがある。このような場合に、例えば右目102に認識させる光の明るさを落とすように補正することで、白表示の光の影響を緩和することができる。これにより、コントラストを向上させることができる。
なお、このような駆動電圧の値は、例えば明るさと駆動電圧との関係をデータ化し、その中から他方の目に影響を与える光を射出する際の駆動電圧をピックアップして例えば記憶部等に記憶させておくこと等が考えられる。記憶された駆動電圧が印加された場合には、上記の処理を行う制御回路等を上記データ線駆動回路201や走査線駆動回路204等に設けても良い。
また、上記実施形態では、画素領域13をX方向に分割された構成としたが、これに限られることはなく、例えば画素領域13をY方向に分割された構成としても構わない。つまり、画素領域13qと13pが隣接して並ぶ方向と、画素領域13q及び13pの明視方向は交差(直交)している。この場合、対向基板20に設けられた配向膜25は、図9(a)に示すように、画素部分25pでは図中右下の方向に配向され、画素部分25qでは図中左上の方向に配向されるようにする。また、TFTアレイ基板10に設けられた配向膜15は、図9(b)に示すように、画素部分15pでは図中左下の方向に配向され、画素部分15qでは図中右上の方向に配向されるようにする。このような構成であっても、本発明の適用は可能である。
また、上記各実施形態では、1つの画素領域13を2つの領域13p、13qに分割し、分割された領域の一方が観察者の右目に、他方が左目に光を認識させる構成としたが、これに限られることはない。例えば、1つの画素領域13を分割せずに、1つのカラーフィルタ層16(赤色層16R、緑色層16G、青色層16B)に1つの画素電極19を対向させた上で、一の画素領域13が観察者の右目に、他の画素領域13が観察者の左目に光を認識させる構成としても、本発明の適用は可能である。
また、図9(a)、及び(b)では、分割された領域13p、及び13qがそれぞれ左右方向で一致しているが、左右或いは上下で領域13p、及び13qが交互に配置しても構わない。
また、上記実施形態においては液晶表示装置100の表示方式がTNモードであるとして説明したが、これに限られることは無く、例えばSTNモードであっても本発明の適用は可能である。また、液晶分子をツイストさせた場合に限られず、例えばホモジニアス配列にした場合であっても、本発明の適用は可能である。また、液晶の配向が垂直配向の場合であっても、本発明の適用は可能である。
また、上記実施形態では、画素領域13を2つの領域13p及び13qに分割配向するため、配向膜15及び配向膜25を所定の方向にラビングする構成としているが、これに限られることは無く、他の手法により2つの領域の配向を形成しても、勿論構わない。
また、上記実施形態において、TFTアレイ基板10の配線(走査線17、データ線18、画素電極19)やTFT60の上に光が入射しないように、別途遮光膜を設けても良い。
また、上記実施形態では、液晶表示装置1の3次元表示について主として説明したが、当該液晶表示装置1を従来のように2次元の映像(動画、画像等)も表示可能である。2次元表示を行うには、画素領域13の領域13pと領域13qとに同一の駆動電圧を印加して駆動を行えば良い。領域13pと領域13qとに、同一の駆動電圧を印加して駆動する場合(第1の表示モード)と、異なる駆動電圧を印加して駆動する場合(第2の表示モード)とは、容易に切り替えることができるようになっている。上記実施形態の構成では、1つの画素領域13を領域13p及び領域13qに分割して駆動しており、画素数自体は従来と同様であるため、2次元表示に切り替えても従来の液晶表示装置より解像度が低下することは無い。つまり、2次元表示と3次元表示とで解像度が変わらず、高画質の表示が可能となる。また、表示モードを切り替えて表示させることにより、画像や動画等を表現力豊かに表示することができる。
本発明の実施形態に係る液晶表示装置の構成を示す平面図である。 本実施形態に係る液晶表示装置の構成を示す断面図である。 液晶表示装置の対向基板の構成を示す平面図である。 液晶表示装置のTFTアレイ基板の構成を示す平面図である。 液晶表示装置と観察者との位置関係を示す図である。 射出光の射出角度と明るさとの関係を示す図(その1)である。 射出光の射出角度と明るさとの関係を示す図(その2)である。 本発明に係る電子機器の構成を示す斜視図である。 本実施形態に係る液晶表示装置の他の構成を示す平面図である。 パララックスバリア方式の概要を示す図である。 レンチキュラーレンズ方式の概要を示す図である。
符号の説明
1…液晶表示装置 10…TFTアレイ基板 12…表示領域 13…画素領域 13p、13q…領域 14、24…偏光板 14p、14q、24p、24q…偏光部分 15、25…配向膜 15p、15q、25p、25q…画素部分 50…液晶層 50a…液晶分子 50b…液晶分子 60…TFT 100…液晶表示装置 300…携帯電話

Claims (2)

  1. 一対の基板間に液晶層が挟持され、前記液晶層への駆動電圧の印加によって表示領域において表示を行、前記表示領域には、個別に前記駆動電圧の印加が可能とされた第1の領域と第2の領域とが備えられ、該第1の領域と該第2の領域は、互いに隣接して所定方向に並んで配置されており、前記基板には、前記第1の領域において前記液晶層の液晶分子を基板平面内の第1の方向に配向させ、前記第2の領域において前記液晶層の液晶分子を基板平面内の第1の方向とは異なる第2の方向に配向させる配向膜が備えられ、前記駆動電圧が印加されたときに前記液晶分子が立ち上がる方向若しくは倒れる方向が、前記第1の領域では、前記所定方向のうちの一方の方位の側に設定されており、前記第2の領域では、前記所定方向のうち前記一方の方位とは逆向きの他方の方位の側に設定されている液晶表示装置を用いた表示方法であって、
    前記第1の領域及び前記第2の領域のうちいずれか一方に印加する駆動電圧の値に応じて、他方に印加する駆動電圧の値を補正することを特徴とする表示方法。
  2. 一対の基板間に液晶層が挟持され、前記液晶層への駆動電圧の印加によって表示領域において表示を行、前記表示領域には、個別に前記駆動電圧の印加が可能とされた第1の領域と第2の領域とが備えられ、該第1の領域と該第2の領域は、互いに隣接して所定方向に並んで配置されており、前記基板には、前記第1の領域において前記液晶層の液晶分子を基板平面内の第1の方向に配向させ、前記第2の領域において前記液晶層の液晶分子を基板平面内の第1の方向とは異なる第2の方向に配向させる配向膜が備えられ、前記駆動電圧が印加されたときに前記液晶分子が立ち上がる方向若しくは倒れる方向が、前記第1の領域では、前記所定方向と交差した方向のうちの一方の方位の側に設定されており、前記第2の領域では、前記所定方向と交差した方向のうち前記一方の方位とは逆向きの他方の方位の側に設定されている液晶表示装置を用いた表示方法であって、
    前記第1の領域及び前記第2の領域のうちいずれか一方に印加する駆動電圧の値に応じて、他方に印加する駆動電圧の値を補正することを特徴とする表示方法。
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