しかしながら、複数のワーカ(利用者)が、居室や会議室など、オフィス内のさまざまな作業空間を移動しながら業務をおこなっている環境において、複数のワーカが同じ作業空間に集まって、プレゼンテーション、議論、設計図面の検討などの共同作業を効率的におこなうためには、その都度、或る特定の利用者に利用が限定されているような共同作業の環境を想定するのではなく、ワーカが作業空間に持ち込む携帯型のコンピュータや作業空間に設置された機器が提供する機能を連携して操作できるようにする柔軟性が必要になる。
また更には、互いに離れた場所に存在する複数の作業空間でコミュニケーションを図りながら共同作業する場面において、ネットワークで互いに結ばれた作業空間をひとつの作業空間として捉え、その作業空間で利用する携帯機器や各作業空間に設置された機器が連携して操作できるようにする柔軟性が必要になる。
更には、予め登録されている利用者に利用が限定されていたり、予め決められた機器上のサービス間でのみ連携を可能にするのではなく、連携対象を限定せず、現実の作業空間で共同作業をおこなっている場面で利用されている機器であれば、特別な制約が加わることなく、すべて連携可能にするような開放性も必要になる。また更には、1台のサーバ等が制御を集中管理する方法ではなく、さまざまな機器が対等に接続しあって全体として信頼性が高くかつ高効率に動作させるための制御の非集中性が必要になる。
また、特許文献1の共同作業支援システムでは、会議中に使用された資料に関する保管場所情報を受信するために、それぞれの利用者が概保管場所受信用の端末装置を持ち歩かなければならないという不便さがあった。また、受信した文書に関する保管場所情報は、個々の会議イベント(コンテクスト)単位でまとめられないため、ある会議の中で使用された資料の集合といった形で取り出すことができなかった。また、さらには、文書に関する情報しか得られないため、そのときの参加者の集合など、状況情報について取得することはできなかった。
また、特許文献2記載の情報処理装置では、取得しようとする会議に関する開催日時や場所に関する情報を、利用者自身が指定して検索しなければならないという操作上の煩雑さがあった。また、会議に参加していた参加者の集合に関する情報など、状況情報を取得することができなかった。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、柔軟性や開放性、更には、非集中性をも実現して、種々な機器を用いて共同作業を行うに最適な作業空間を形成することができる共同作業空間形成装置、共同作業空間形成方法およびプログラムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、請求項1に記載のように、文書集合もしくはデスクトップ空間として表現される各ユーザのワークスペースを提供するワークスペース提供手段と、作業空間内に配置され、ハイブリッドピア・ツー・ピアネットワークによる通信を行うワークスペースピアまたはサービスピアとなる機器を検出する連携対象検出手段と、同一時間帯かつ同一作業空間内に存在すると認識される、前記サービスピアとなる機器により提供されるサービスを検出するサービス検索手段と、同一時間帯かつ同一作業空間内に存在すると認識される、前記ワークスペースピアとなる機器により提供されるワークスペースを検出するワークスペース検索手段と、前記ワークスペース検出手段によって検出されたワークスペースを統合して協調作業空間を形成すると共に、該協調作業空間、および、該協調作業空間上で利用されるコンテンツに対して、前記サービス検索手段によって検出されたサービスを連携して利用可能にする協調作業空間形成手段と、を備える共同作業空間形成装置である。
本発明によれば、同一時間帯かつ同一作業空間内に存在すると認識されるサービスと個人ワークスペースを検出し、検出されたワークスペースを統合して協調作業空間を形成すると共に、該協調作業空間、および該協調作業空間上で利用されるコンテンツ(文書、画像、映像等)に対して、検出されたサービスを連携して利用可能にする。これにより、複数のワーカが現実世界の複数の作業空間を移動しながら作業をおこなうオフィス環境において、同一時間帯かつ同一作業空間内に存在すると認識された各ユーザのワークスペースを合成するとともに、当該ワークスペース内に存在する文書に対して、その作業空間内で利用可能なサービス、または複数のサービスを連携したサービスを動的に対応付けて、多様なサービスを利用することができる。
本発明の共同作業空間形成装置は、例えば更に、前記作業空間内のサービスピアおよびワークスペースピアの位置情報を保持するインデクス手段を備えている。本発明によれば、作業空間内に存在するサービスやワークスペースに関する情報を各作業空間単位で一元的に管理するインデクスを設けることによって、各ピアが同一作業空間内に同一時間帯に存在する他のピアに関する情報を効率よく取得できる。
前記連携対象検出手段は、例えば、機器に付与された識別子に基づいて前記ワークスペースピアとなる機器を検出する。本発明によれば、機器に付与された識別子(ID)に基づいて確実にサービスピアまたはワークスペースピアを検出することができる。
前記連携対象検出手段は、例えば、利用者の生体上の特徴を識別することで前記ワークスペースピアとなる機器を検出する。本発明によれば、利用者の生体上の特徴を識別することで、人間に対応つけられたサービスピアやワークスペースピアを識別することができるため、IDカードや携帯機器を持ち歩く必要がない。
本発明の共同作業空間形成装置は、例えば更に、前記協調作業空間内での活動を時間と場所に対応付けて記録する活動記録手段を備えている。本発明によれば、例えば合成されたワークスペース内で共有された文書群を、そのときの日時、作業空間、共同作業者に対応付けて記録しておき、後で、それら設定された対応関係をたどることによって、共有された文書や参加者のプロファイル等を連想的にアクセスすることができる。
本発明の共同作業空間形成装置は、例えば更に、前記サービスの接続インタフェースを公開し、ネットワークを介してサービスを提供するサービス提供手段を備えている。本発明によれば、ネットワーク上にサービスの接続インタフェースを公開し、ネットワークを介してサービスを提供することができる。
本発明の共同作業空間形成装置は、例えば更に、文書集合もしくはデスクトップ空間として表現される各ユーザのワークスペースを提供するワークスペース提供手段を備えている。本発明によれば、ネットワークを介して、文書集合もしくはデスクトップ空間として表現される各ユーザの個人ワークスペースを提供することができる。
前記ワークスペース提供手段は、例えば、常時稼動するコンピュータ上で稼動する。ノートPCやPDAなどの携帯機器のように電源のON/OFFが頻繁にされる機器ではなく、常時稼働する計算機上でピアを動作させることができるようになるため、障害に強く、また、高い計算能力が必要とされるサービスを携帯機器を通じて提供することができる。
前記ワークスペース提供手段は、例えば、複数のユーザが操作を共有できる共有のデスクトップ環境を提供する。本発明によれば、複数のユーザが操作を共有できる共有のデスクトップ環境を提供することで、共有領域上でのデータと操作を他の作業者との間でリアルタイムに共有することができる。
前記ワークスペース提供手段は、例えば、複数のユーザがファイルを共有できる共有ファイル集合を提供する。本発明によれば、現実の作業環境上で、複数の利用者が持ち寄った文書群を共有することができる。
前記サービス提供手段または前記ワークスペース提供手段は、例えば、前記サービスまたは前記ワークスペースの所在を指定されることによって前記サービスまたは前記ワークスペースを識別する。本発明によれば、サービスまたはワークスペースの所在を指定されることによってサービスまたはワークスペースを識別するので、作業空間内にセンサを配置する必要がない。このため、安価な構成が可能になると共に、センサを設置することが難しい場所においても利用することができる。
前記作業空間内に存在するピアに関する情報は、例えば、各ピア間で共有伝播される。本発明によれば、同じ場所に存在する他の機器の存在を明示的に指定すると、それらのピア間で同じ作業空間内に存在するピアに関する情報が共有伝播され、同じ作業空間内に存在するピア群を認識することができる。これにより、作業空間内にセンサを配置する必要がないため、安価な構成が可能になると共に、センサを設置することが難しい場所においても利用することができる。
本発明の共同作業空間形成装置は、例えば更に、前記作業空間のコンテクストに応じたアクセス鍵を発行するアクセス鍵発行手段を備えている。本発明によれば、作業空間のコンテクストに対応付けられたアクセス鍵(クレデンシャル)を各サービスに対して発行し、連携関係の設定時に照合することで、例えば連携関係の設定を同一作業空間内(遠隔地間で接続されている場合も含む)に存在するサービスのみに制限し、セキュアな連携をおこなうことができる。作業空間のコンテクストは、同一時間帯と同一の作業空間を含む。
本発明の共同作業空間形成装置は、例えば更に、前記作業空間の利用に対する予約を行える利用予約手段を備えている。本発明によれば、作業空間の利用に対する予約を行うことで、利用する時間帯と場所を予め予約しておくことによって、予定外のサービスとの間での連携を抑制し、セキュアな連携をおこなうことができる。
前記協調作業空間形成手段は、例えば、事前に発行されたパスワードに応じて前記サービスを連携する。本発明によれば、事前に発行されたパスワードに応じてサービスを連携することで、予定外のサービスとの間での連携を抑制し、セキュアな連携を行うことができる。
前記協調作業空間形成手段は、例えば、過去の連携履歴に基づいて計算される前記サービス間または前記ワークスペース間の信頼度に基づいて、前記サービスを連携する。本発明によれば、過去の連携履歴に基づいて計算されるサービス間またはワークスペース間の信頼度に応じて、サービスを連携することで、利用者に対して過度な認証処理を必要とさせないようにすることができる。
前記協調作業空間形成手段は、例えば、過去に連携したサービス提供手段のアドレスに基づいて前記サービスを連携する。本発明によれば、過去に連携したサービス提供手段のアドレスに基づいてサービスを連携することで、作業空間内で頻繁に連携関係が設定されるサービスに関しては、それらを連携時に、毎回、ネットワーク上で検索する必要がなくなるため、高速に連携関係を設定することができる。
前記協調作業空間形成手段は、例えば、登録されたある時点でのサービス間の連携関係に基づいて、前記サービスの連携関係を再現する。本発明によれば、登録されたある時点でのサービス間の連携関係のスナップショットに基づいて、サービスの連携関係を再現することで、即座に連携関係を設定できる。
前記協調作業空間形成手段は、例えば、前記作業空間のコンテクストの特徴に対応付けられた過去のサービスの連携関係に基づいてサービスを連携する。本発明によれば、作業空間のコンテクストの特徴に対応付けられた過去のサービスの連携関係に基づいてサービスを連携することで、あるコンテクスト下で頻繁に連携関係が設定されるサービスに関しては、それらを連携時に、毎回、ネットワーク上で検索する必要がなくなるため、高速に連携関係を設定することができる。
前記協調作業空間形成手段は、例えば、前記作業空間内で提供されるサービスと広域ネットワーク上で提供されているサービスとの連携関係を設定する。本発明によれば、作業空間内で提供されるサービスと広域ネットワーク上で提供されているサービスとの連携関係を設定することで、作業空間内の機器が提供するサービスに限定することなく、インターネット等の広域ネットワーク上に提供されている機器独立のサービスを組み合わせて利用できる。
前記協調作業空間形成手段は、例えば、広域ネットワーク上に提供されているサービスに対応するコンテクストに応じて、該広域ネットワーク上に提供されているサービスと、前記作業空間内に提供されているサービスとの連携関係を設定する。本発明によれば、広域ネットワーク上に提供されているサービスに対応するコンテクストに応じて、該広域ネットワーク上に提供されているサービスと、作業空間内に提供されているサービスとの連携関係を設定することで、作業コンテクストに応じて利用可能なサービスを提示することができる。これにより、利用者は、膨大なサービスの中から連携サービスを検索する必要が無くなる。
前記サービス提供手段は、例えば、前記サービスの接続インタフェースを操作対象名と操作名によって指定される形式で保持する。本発明によれば、サービス接続インタフェースを操作対象名と操作名によって指定される形式で保持することで、個々のサービスが提供する内容が統一的な形式で記述されるため、広域かつオープンな環境でのサービス間の連携関係の設定ができる。
前記サービス提供手段は、例えば、前記サービスの接続インタフェースを、操作対象名と操作名で指定される形式を基本要素として、他のサービスとの関係をタスク/サブタスク関係として記述して保持する。本発明によれば、サービス接続インタフェースを、操作対象名と操作名で指定される形式で保持することで、個々のサービスが提供する内容を統一的な形式で記述することができため、広域かつオープンな環境でのサービス間の連携関係の設定ができる。また、他のサービスとの連携関係をタスク/サブタスク関係として記述することで、連携関係を変更したとしても、他のサービスとの連携関係に大きな影響を及ぼすことはない。
前記サービス提供手段は、例えば、前記操作対象名と前記操作名をそれぞれの概念の抽象度に応じた階層関係で規定している。本発明によれば、操作対象名と操作名をそれぞれの概念の抽象度に応じた階層関係で規定することで、サービスを連携する際、連携候補をさまざまな抽象レベルで選択することができる。
前記協調作業空間形成手段は、例えば、第1のサービスの出力操作対象名と第1のサービスとは異なる第2のサービスの入力操作対象名を照合して前記サービスの連携関係を設定する。本発明によれば、第1のサービスの出力操作対象名と第2のサービスの入力操作対象名を照合してサービス間の連携関係を設定することで、他のサービスと連携した新たなサービスの導出を自動的におこなうことができる。
本発明の共同作業空間形成装置は、例えば、更に、前記作業空間とは異なる地点に存在する作業空間との接続関係を仲介する作業空間接続手段を備えている。本発明によれば、作業空間とは異なる地点に存在する作業空間との接続関係を仲介することで、遠隔地に存在する複数の作業空間を結んで、仮想的にひとつの作業空間を形成することができる。これにより、あたかも同じ作業空間に存在しているような感覚で、当該作業空間内で認識されるサービスを連携・統合することができる。
本発明の共同作業空間形成装置は、例えば、更に、各作業空間に関する情報をエリア別に保持し各作業空間に関する情報を要求に応じて提供する情報提供手段を備えている。本発明によれば、エリア内の作業空間に関する情報を保持することで、遠隔地に存在する複数の作業空間を結んで、仮想的にひとつの作業空間を形成することができる。これにより、あたかも同じ作業空間に存在しているような感覚で、当該作業空間内で認識されるサービスを連携することができる。
前記協調作業空間形成手段は、例えば、所定のコミュニケーションシステムと連動し、該コミュニケーションシステムでの通信が開始した時点で、接続先の作業空間との間で、前記サービスまたは前記ワークスペースに関する識別情報を交換し、前記サービスまたは前記ワークスペースを同じ作業空間内に存在するものとして連携する。
本発明によれば、電話やTV会議システム等の既存のコミュニケーションシステムと連動し、それらのシステムでの通信が開始した時点で、接続先の作業空間との間で、サービスまたは個人ワークスペースに関する識別情報(アドレスまたはID)を交換し、それらのサービスまたは個人ワークスペースを、あたかも同じ作業空間内に存在するものとして連携する。つまり、電話やTV会議システムと連動し、利用者が電話またはTV会議システムを用いて相手を呼び出した時点、または、相手から呼び出された時点で、当該発信元のアクセスポイントと発信先のアクセスポイントとの間で、自動的にアクセスポイント間の接続関係を設定し、遠隔地間を結んだ協調作業空間の形成手順にしたがって、互いに遠隔地に存在する複数の作業空間を結んだ共同作業空間の形成を可能にする。これにより、遠隔地との接続の開始に際して、アクセスポイントの機能を用いて、遠隔地のアクセスポイントとの接続関係を明示的に設定しなくても、電話やTV会議システムで接続相手を呼び出す、または、呼び出されることによって、作業空間間で協調作業空間の形成をおこなうことが可能になる。
前記作業空間接続手段は、例えば、過去の接続先の履歴に基づいて、接続先候補を表示させるための情報を生成する。本発明によれば、過去の接続先の履歴に基づいて、接続先候補を表示することで、利用者は接続先となる接続ポイントの名前やアドレスを調べることなく、共同作業の頻度の頻度の多い作業空間については、即座に指定することができる。
前記作業空間接続手段は、例えば、過去の共同作業履歴から求めた利用者の関係強度に基づいて、接続先の作業空間を指定するための表示情報を生成する。本発明によれば、過去の共同作業履歴から求めた利用者の関係強度に基づいて、接続先作業空間を指定するための表示情報を生成することで、利用者は接続先となる接続ポイントの名前やアドレスを調べることなく、接続先となる作業空間を関係強度に基づいて即座に指定することができる。
前記サービス提供手段は、例えば、前記作業空間内に設置されている機器が提供するサービスの接続インタフェースを取得してサービスの連携関係を予め設定しておき、利用時に登録しておいた連携サービスを呼び出すようにしている。本発明によれば、作業空間内に設置されている機器が提供するサービスの接続インタフェースを取得してサービスの連携関係を予め設定しておき、利用時に登録しておいた連携サービスを呼び出すことで、事前に作業空間に出向くことなく、予定している作業空間内で利用するサービスの連携関係を予め設定しておき、利用時に、登録しておいた連携サービスを呼び出すことができる。
前記サービス提供手段は、例えば、サービスを提供する他のサービス提供手段から作業空間内で提供されるサービスに関する情報を取得する。本発明によれば、サービスを提供する他のサービス提供手段から作業空間内で提供されるサービスに関する情報を取得することで、事前に作業空間に出向いて接続関係を確認することなく、予定している作業空間内で利用するサービスの連携関係を予めシミュレートして確認しておくことができる。初めて利用する遠隔地の作業空間に設置されている機器が提供するサービスとの連携関係を確認するような場合に有効である。
本発明の共同作業空間形成装置は、例えば、更に、各作業空間ごとに、各作業空間内でのみ利用可能な作業空間固有のサービスを保持するサービス保持手段を有し、前記協調作業空間形成手段は、前記サービス検索手段によって検索されたサービスと前記サービス保持手段に予め登録されているサービス群を連携対象としてサービスを連携する。
本発明によれば、利用者が持ち歩いている携帯機器上で動作させるサービスには、当該作業空間内でのみ利用可能な、作業空間に固有なサービスが存在する(例えば、当該会議室内の空調を制御するサービスなど)。このような作業空間に固有なサービスを各種携帯機器上に予めインストールしておくことは、当該作業空間を利用しない利用者にとっては冗長になる。このため、作業空間に固有のサービスについては、当該作業空間に携帯機器が存在している場合にのみロードして実行するようにして、サービスをインストールする上での負荷を低減することができる。
本発明は、例えば、前記サービス提供手段は、ネットワーク上に新たに提供されたサービスに関する情報を他のサービス提供手段との間で相互に伝播して保持する。本発明によれば、ネットワーク上に新たに提供されたサービスに関する情報を、他のサービス提供手段との間で相互に伝播して保持することで、利用者が明示的にサービスを機器上にインストールしなくても、ネットワークに接続するだけで、当該機器を利用して実行すべきサービスが利用できる。
本発明の共同作業空間形成装置は、例えば更に、前記サービス提供手段が提供したサービスに関する情報を保持するサービス保持手段を備え、前記サービス検索手段は、ネットワーク上のサービスを検索する前に、前記サービス保持手段が保持するサービスに関する情報を参照する。本発明によれば、ネットワーク上のサービスを検索する前に、サービス保持手段が保持するサービスに関する情報を参照することで、機器上で頻繁に実行されるサービスについては、ネットワーク上を検索してロードすることなく、実行要求が生じた際に、即時、実行させることができる。また、利用頻度の低いサービスを機器上から自動的に消去して、利用時にのみネットワーク上からロードされるようにできる。
前記協調作業空間形成手段は、例えば、連携されたサービスをカスケードメニューの形式で選択可能に表示する。本発明によれば、連携された一連のサービスをカスケードメニューの形式で選択可能に表示することで、連携されたサービスの組み合わせを選択する際に、カスケードメニューとしてサービスの連携関係を表示して利用者に選択させる。これにより、サービス連携の多数の組み合わせが存在する場合であっても、利用者にとって必要なサービスを選択することができる。
前記協調作業空間形成手段は、例えば、連携されたサービスの位置関係を前記作業空間の俯瞰図上に選択可能に表示する。本発明によれば、連携された一連のサービスの位置関係を前記作業空間の俯瞰図上に選択可能に表示することで、連携されたサービスの組み合わせを選択する際に、作業空間のレイアウトを通じて、その作業空間内で利用可能なサービスを対話的に選択できる。これにより、作業空間内の複数の機器によって提供されるサービスの連携関係を作業空間内の位置関係として直感的に把握しながら選択することができる。
前記サービス提供手段は、例えば、各種機器のタイプに応じたユーザインタフェースを提供する。本発明によれば、各種機器のタイプに応じたユーザインタフェースを提供することで、利用者は、さまざまな種類の機器を通じて均質のサービスを受けることができる。
前記サービス提供手段は、例えば、前記サービスの役割分担に応じたユーザインタフェースを提供する。本発明によれば、サービスの役割分担に応じたユーザインタフェースを協調作業空間形成手段に提供することで、個々の機器がそれぞれの役割を担いながら、連携して統合的なサービスを利用者に提供することができる。
前記協調作業空間形成手段は、例えば、複数のサービスを実行する際、同一の機能については同じボタンまたはメニューで実行できるように統合したユーザインタフェースを提供する。本発明によれば、複数のサービスを実行する際、同一の機能については同じボタンまたはメニューで実行できるように統合したユーザインタフェースを提供することで、利用者は、複数のサービスで構成される統合サービスを利用する際、個々のサービス毎にユーザインタフェースを切り替えて利用することなく、複数のサービス群を統合したひとつのユーザインタフェースを通じて操作することができる。
前記サービス提供手段は、例えば、前記サービス間または前記ワークスペース間で扱うデータを保存するための領域を備えている。本発明によれば、サービス間またはワークスペース間で扱うデータを保存するための領域を備えることで、異なるサービス間で、データのカットやペーストをおこなうことができる。
前記協調作業空間形成手段は、例えば、作業空間毎に過去に統合したワークスペースピアのアドレスを保持しており、前記ワークスペース提供手段によってワークスペースが認証されると、ネットワーク上を検索する前に、保持されているワークスペースピアのアドレスを調べて連携対象となるワークスペース提供手段のアドレスを調べるようにしている。本発明によれば、サービスを連携する際に、過去に統合したワークスペースピアの情報を参照して連携先を検索することで、作業空間内で頻繁に連携関係が設定されるワークスペースに関しては、それらを連携時に、毎回、ネットワーク上で検索する必要がなくなるため、高速に連携関係を設定することができる。
前記協調作業空間形成手段は、例えば、コンテクストの特徴に対応付けて過去に連携したサービスおよびワークスペースに関するワークスペースピアのアドレスを保持しており、前記ワークスペース提供手段によってサービスまたはワークスペースが認証されると、ネットワーク上を検索する前に、前記コンテクストの特徴に対応付けられたワークスペースピアのアドレスを調べて連携対象となるワークスペース提供手段のアドレスを調べるようにしている。本発明によれば、コンテクストの特徴に対応付けて過去に連携したサービスおよびワークスペースに関するワークスペースピアのアドレスを保持しており、ワークスペース提供手段によってサービスまたはワークスペースが認証されると、ネットワーク上を検索する前に、コンテクストの特徴に対応付けられたワークスペースピアのアドレスを調べて連携対象となるワークスペース提供手段のアドレスを調べることで、あるコンテクスト下で頻繁に連携関係が設定されるワークスペースに関しては、それらを連携時に、毎回、ネットワーク上で検索する必要がなくなるため、高速に連携関係を設定することができる。
前記ワークスペース提供手段は、例えば、ワークスペースの接続インタフェースを、映像入出力、音声入出力および操作イベントで構成される入出力チャンネルに関する属性として記述し、前記協調作業空間形成手段は、前記ワークスペースの接続インタフェースに基づいて前記ワークスペースを統合する。本発明によれば、映像入出力、音声入出力および操作イベントで構成される入出力チャンネルに関する属性として記述されたワークスペースの接続インタフェースに基づいてワークスペースを連携することで、ワークスペース上での映像や音声によるコミュニケーションや共同作業空間上での操作イベントを統一的な接続形式に従って接続することで、広域かつオープンな協調作業空間を形成できる。
前記ワークスペース提供手段は、例えば、前記ワークスペースが作業空間内に存在していた時間帯を、前記ワークスペースのコンテクストの開始および終了時刻として扱う。本発明によれば、ワークスペースが作業空間内に存在していた時間帯を、ワークスペースにとってのコンテクストの開始・終了時刻として扱うことで、ワークスペースが作業空間内に存在していた時間だけがそれぞれにとってのコンテクストとして扱えるため、コンテクストの切り出しを個別に管理でき、長時間の会議の中でメンバが入れ替わるような場合であっても、各利用者は自分に関連する部分のコンテクストだけを切り出して管理することができる。
前記ワークスペース提供手段は、例えば、複数のワークスペースのうちの最初のワークスペースが作業空間内で認識された時間から、すべてのワークスペースが認識されなくなるまでの時間帯を前記ワークスペースのコンテクストの開始および終了時刻として扱う。本発明によれば、複数のワークスペースのうちの最初のワークスペースが作業空間内で認識された時間から、すべてのワークスペースが認識されなくなるまでの時間帯をワークスペースにとってのコンテクストの開始および終了時刻として扱うことで、利用者は、途中で退出したとしても、他のメンバ全員が退出するまでのコンテクストを共有することができる。
前記共同作業空間形成装置は、例えば更に、前記作業空間の利用に対する予約を行える利用予約手段を備え、前記ワークスペース提供手段は、前記ワークスペースが前記作業空間内で認識された時間と、前記利用予約手段に登録された時間帯を照合し、参加予定者および検出開始時刻と検出終了時刻差が所定以内の場合は、前記利用予約手段に登録された時間帯を、前記ワークスペースのコンテクストの開始および終了時刻として扱う。本発明によれば、ワークスペースが作業空間内で認識された時間と、利用予約手段に登録された時間帯を照合し、参加予定者および検出開始時刻と検出終了時刻に大きな差が見られず所定以内の場合は、利用予約手段に登録された時間帯を、当該ワークスペースのコンテクストの開始および終了時刻として扱うことで、利用者の入退出時刻に多少の違いがあったとしても、スケジュール表に登録されている時間によって、コンテクストの開始と終了時刻を補正することができる。
前記ワークスペース提供手段は、例えば、前記作業空間内で認識されるワークスペースに変化が見られた時点を境界として時間帯を切り出し、前記ワークスペースにとってのコンテクストの開始および終了時刻として扱う。本発明によれば、作業空間内で認識されるワークスペースに変化が見られた時点を境界として時間帯を切り出し、当該ワークスペースにとってのコンテクストの開始・終了時刻として扱うことで、連続している会議で一部のメンバが重複しているような場合であっても、参加者のメンバの大部分が入れ替われるような状況が検出できれば、利用者は、作業空間から退出したりすることなく、別のコンテクストとして認識することができる。
前記ワークスペース提供手段は、例えば、前記作業空間内で認識されるワークスペースを記録するとともに、会議の開始および終了、機器の利用開始および終了並びに参加者のイベントを階層的に構造化し、前記ワークスペースにとってのコンテクストとして保存する。本発明によれば、作業空間内で認識されるワークスペースを記録するとともに、会議の開始および終了、機器の利用開始および終了並びに参加者のイベントを階層的に構造化し、ワークスペースにとってのコンテクストとして保存することで、後でコンテクストの履歴に基づいて共有文書や参加者などを検索する際に、検出された細かいコンテクストの変化を手がかりにして取り出すことができる。
前記サービス検索手段、例えば、前記ワークスペース検索手段及び前記連携対象検出手段のうちの少なくともいずれか一つは、前記作業空間内で認識される参加者の人数、該参加者の所属組織、該参加者の役職のうちの少なくともいずれか一つから会議のフォーマル度を判別し、コンテクスト情報を構成する付加情報として追加する。本発明によれば、作業空間内で検出される参加者の人数、該参加者の所属組織、該参加者の役職から会議のフォーマル度を判別し、コンテクスト情報を構成する付加情報として追加することで、コンテクスト履歴の中から過去のコンテクストを検索する際に、会議のフォーマル度を利用して検索することができる。
前記サービス検索手段、例えば、前記ワークスペース検索手段および前記連携対象検出手段のうちの少なくともいずれか一つは、前記作業空間内で検出される日時と開催場所、参加者の人数、該参加者の所属組織および該参加者の役職のうちの少なくともいずれか一つから会議体を判別し、コンテクスト情報を構成する付加情報として追加する。本発明によれば、作業空間内で検出される日時と開催場所、参加者の人数、該参加者の所属組織および該参加者の役職から会議体(経営会議、運営会議など)を判別し、コンテクスト情報を構成する付加情報として追加することで、コンテクスト履歴の中から過去のコンテクストを検索する際に、会議体の名称を利用して検索することができる。
前記サービス検索手段、例えば、前記ワークスペース検索手段および前記連携対象検出手段のうちの少なくともいずれか一つは、前記作業空間上で認識される情報とコンピュータ上で認識される情報を組み合わせて、活動内容に関するコンテクストを抽出する。本発明によれば、作業空間上で認識される情報と、使用している文書やソフトウエア等のコンピュータ上で認識される情報とを組み合わせて、活動内容に関するコンテクストを抽出する。これにより、コンテクスト履歴の中から過去のコンテクストを検索する際に、現実世界の事象として検出される情報と計算機上での操作によって検出される情報を組み合わせて、より詳細な活動内容を検出し、その結果をコンテクストの検索に利用することができる。
前記活動記録手段は、例えば、前記作業空間内において、ホワイトボードに書かれた画像、スチルカメラまたはビデオカメラによって撮影された映像およびマイクによって収録された音声のうちの少なくともいずれか一つを、共有のコンテクストに対応付けて記録する。本発明によれば、作業空間内において、ホワイトボードに書かれた画像、スチルカメラまたはビデオカメラによって撮影された映像、マイクによって収録された音声を、共有のコンテクストに対応付けて記録することで、作業空間に設置された機器を用いて新たに生成された情報や、会話などをコンテクストに対応付けて、共有文書として保存し、コンテクスト履歴から検索することによって再利用することができる。
前記活動記録手段は、例えば、所定の情報処理装置上で編集した文書に対する注釈をコンテクストに対応付けて記録する。本発明によれば、所定の情報処理装置上で編集した文書に対する注釈を個人のコンテクストに対応付けて記録することで、利用者が所持している機器を用いて新たに生成された情報や、会話などをコンテクストに対応付けて、私有文書として保存しておき、再利用することができる。
前記活動記録手段は、例えば、作業空間内のスキャナでスキャンした文書をコンテクストに対応付けて記録する。本発明によれば、作業空間内のスキャナでスキャンした文書をコンテクストに対応付けて記録することで、スキャナから入力された書籍や書類のスキャンイメージをコンテクストに対応付けて、私有文書として保存することで、コンテクスト履歴から検索することによって再利用することができる。
前記活動記録手段は、例えば、所定の情報提示装置によって公開される情報をコンテクストに対応付けて記憶する。本発明によれば、作業空間に設置されている情報提示装置によって公開されている情報を私有コンテクストに対応付けて記憶することで、作業空間に設置された情報掲示装置上に表示されている情報をコンテクストに対応付けて、私有文書として保存し、コンテクスト履歴から検索することによって再利用することができる。
前記活動記録手段は、例えば、紙文書または電子ペーパが前記作業空間内で認識された場合、該紙文書または該電子ペーパに対応する電子文書を前記コンテクストに対応付けて記録する。本発明によれば、紙文書または電子ペーパが作業空間内で認識された場合、紙文書または該電子ペーパに対応する電子文書をコンテクストに対応付けて記録することで、紙文書、または、電子ペーパが作業空間内で認識されることにより、それらに対応した電子文書が、当該コンテクスト下における共有文書として保存され、コンテクスト履歴から検索することによって再利用できる。
前記協調作業空間形成手段は、例えば、同一コンテクストに存在した利用者またはドキュメントに対して相互に固定的なリンクを設定する。本発明によれば、同一コンテクストに存在した利用者やドキュメントに対して相互に固定的なリンクを設定することで、文書と利用者との間にリンクが自動的に設定されるため、後で、文書をキーにして他の利用者とのコンタクトを促進させることができる。
前記活動記録手段は、例えば、コンテクスト履歴を検索するためのユーザインタフェースとして、各コンテクスト毎に、前記ワークスペース上で共有した文書のサムネイルを一覧表示するための情報を生成する。本発明によれば、コンテクスト履歴を検索するためのユーザインタフェースとして、各コンテクスト毎に、そのときにワークスペース上で共有した文書のサムネイルを一覧表示することで、コンテクスト履歴の中からアクセスしたいコンテクストを検索する際に、文書のレイアウトから、同一コンテクスト下で使用された文書群を視覚的に想起することを支援できる。
前記活動記録手段は、例えば、コンテクスト履歴を検索するためのユーザインタフェースとして、各コンテクスト毎に、参加者の顔写真または作業空間内での座席配置を一覧表示するための情報を生成する。本発明によれば、コンテクスト履歴を検索するためのユーザインタフェースとして、各コンテクスト毎に、参加者の顔写真または作業空間内での座席配置を一覧表示することで、コンテクスト履歴の中からアクセスしたいコンテクストを検索する際に、参加者の顔イメージから、目的とするコンテクストを想起することを支援することができる。
前記活動記録手段は、例えば、コンテクスト履歴を検索するためのユーザインタフェースとして、各コンテクスト毎に、作業がおこなわれた場所の作業空間の写真または作業中に撮影された写真を表示する情報を生成する。本発明によれば、コンテクスト履歴を検索するためのユーザインタフェースとして、各コンテクスト毎に、作業がおこなわれた場所の作業空間の写真または作業中に撮影された写真を表示することで、コンテクスト履歴の中からアクセスしたいコンテクストを検索する際に、作業空間のイメージ画像から、目的とするコンテクストを想起することを支援できる。
前記活動記録手段は、例えば、コンテクスト履歴を検索するためのユーザインタフェースとして、協調作業時に蓄積されるイベントの集合を階層的な関係として表示閲覧できるようにする検索機能を提供。本発明によれば、コンテクスト履歴を検索するためのユーザインタフェースとして、協調作業時に蓄積されるイベントの集合を階層的な関係として表示閲覧できるようにする検索機能を提供することで、コンテクスト履歴の中からアクセスしたいコンテクストを検索する際に、検出可能な作業中に発生したさまざまなイベントに基づいて、目的とするコンテクストを想起することを支援できる。
前記活動記録手段は、例えばに、コンテクスト履歴を検索するためのユーザインタフェースとして、作業空間内での参加者の位置または資料を提示した画面の位置を記憶する。本発明によれば、コンテクスト履歴を検索するためのユーザインタフェースとして、作業空間内での参加者の位置または資料を提示した画面の位置を記憶することで、コンテクスト履歴の中からアクセスしたいコンテクストを検索する際に、共同作業時の参加者の席の位置関係や、資料の提示位置などの空間的な位置関係の情報に基づいて、目的とするコンテクストを想起することを支援することができる。
前記活動記録手段は、例えば、コンテクスト履歴を検索するためのユーザインタフェースとして、コンテクストの履歴をスケジュール表の形式で一覧表示する情報を生成する。本発明によれば、コンテクスト履歴を検索するためのユーザインタフェースとして、コンテクストの履歴をスケジュール表の形式で一覧表示することで、コンテクスト履歴をカレンダーとして時系列的に表示し、利用者の時間的な記憶をもとに、目的とするコンテクストを想起することを支援できる。
前記活動記録手段は、例えば、前記コンテクストの断片をHTML形式でWebサーバ上に出力するとともに、前記利用予約手段に、前記コンテクストの日時に該当するスケジュールアイテムとして、当該出力したHTML文書のURLを登録することを可能にする。本発明によれば、コンテクストの断片をHTML形式でWebサーバ上に出力するとともに、利用予約手段に、コンテクストの日時に該当するスケジュールアイテムとして、当該出力したHTML文書のURLを登録することで、現実の作業空間でのコンテクストに関する情報を、既存のスケジュール管理システム上からアクセスすることができるため、利用者は、それまでに利用してきたスケジュール管理システムを別のシステムに切り替えることなく、利用することができる。
前記活動記録手段は、例えば、文書、利用者および作業空間のうち少なくともいずれかを含む対象毎に該文書、利用者および作業空間が存在していた日時と場所に対応するコンテクストを保持しており、選択された対象に関連するコンテクストの一覧を選択可能に表示する情報を生成する。本発明によれば、文書、利用者および作業空間を含む対象毎に該文書、利用者および作業空間が存在していた日時と場所に対応するコンテクストを保持しており、選択された対象に関連するコンテクストの一覧を選択可能に表示するため、対象に対して付与されたコンテクスト履歴を取り出すことができ、関連する過去の情報を連想的に取り出すことができる。
前記活動記録手段は、例えば、前記ワークスペース上での利用者間での共同作業の頻度、文書交換の頻度、文書の提供/被提供関係の方向性に基づき、利用者間の関係強度を計算し、該利用者間の関係強度を人的ネットワークのビューとして俯瞰表示するための情報を生成する。本発明によれば、ワークスペース上での利用者間での共同作業の頻度、文書交換の頻度、文書の提供/被提供関係の方向性に基づき、利用者間の関係強度を計算し、この利用者間の関係強度を人的ネットワークのビューとして俯瞰表示することで、利用者間の関係に基づいて組織内の活動状況を把握し、組織全体が保持管理する記憶として情報資源の再利用を促進することができる。
前記活動記録手段は、例えば、各コンテクスト内で扱われた文書群に含まれるキーワード集合に基づいてコンテクスト間の類似度の距離を求め俯瞰表示するための情報を生成する。本発明によれば、各コンテクスト内で扱われた文書群に含まれるキーワード集合に基づいてコンテクスト間の類似度の距離を求め俯瞰表示することで、文書間の類似性に基づいて組織内における同様の活動をおこなっている活動に関する状況を把握し、組織全体が保持管理する記憶として情報資源の再利用を促進することができる。
前記活動記録手段は、例えば、前記コンテクストの断片をHTML形式でWebサーバ上に出力するとともに、所定のコンテクストをブックマークの集合として記録する。本発明によれば、コンテクストの断片をHTML形式でWebサーバ上に出力するとともに、重要なコンテクストをブックマークの集合として記録することで、コンテクスト履歴に記録・保存されるコンテクストの中で、頻繁に参照されるコンテクストを、簡便な操作によって呼び出し、当該コンテクストに関する情報をアクセスすることができる。
前記活動記録手段は、例えば、前記コンテクストの断片をHTML形式でWebサーバ上に出力するとともに、書き込み可能なIDを備えた電子ペーパまたは紙文書のIDに対して、該Webサーバ上に出力されたコンテクストの断片のアドレスを対応付ける。本発明によれば、コンテクストの断片をHTML形式でWebサーバ上に出力するとともに、書き込み可能なIDを備えた電子ペーパや紙文書のIDに対して、当該サーバ上に出力されたコンテクストの断片のアドレスを対応付けることで、コンテクスト履歴に記録・保存されるコンテクストの中で、頻繁に参照されるコンテクストを、消費電力が不要な印刷物の形で持ち歩いたり、紙文書の持つ閲覧性を利用して即座に目的とするコンテクストを特定できるようにすることに加え、当該コンテクストに関する情報を即座にアクセスすることができる。
前記活動記録手段は、例えば、利用者が置かれた現在のコンテクストにおける利用者の集合、または、共有文書から抽出される特徴量、作業場所および日時のうちの少なくともいずれか一つに基づいて、コンテクストを一覧する表示するための情報を生成する。本発明によれば、利用者が置かれた現在のコンテクスト(時刻と場所)における利用者の集合、または、共有文書から抽出される特徴量(キーワード等)、作業場所および日時のうちの少なくともいずれか一つに基づいて、コンテクストを一覧する表示することで、カレントと同じ状況の過去のコンテクストを容易にアクセスできるため、定例で同じ時間帯に同様のメンバでおこなっている会議などの場合、以前の会議に関するコンテクストを、検索することなく、即座に取り出すことができる。
前記活動記録手段は、例えば、コンテクストの断片をHTML形式でWebサーバ上に出力するとともに、該コンテクストの断片のアドレスを電子メールシステムの電子メールとして送受信して交換できるようにする。本発明によれば、コンテクストの断片をHTML形式でWebサーバ上に出力するとともに、そのコンテクストの断片のアドレスを電子メールシステムの電子メールとして送受信して交換できるようにすることで、該当コンテクスト下での作業に参加しなかった利用者も含め、多くの利用者間で、当該コンテクストに関する情報を交換し、アクセスすることができる。
前記活動記録手段は、請求項73に記載のように、コンテクスト履歴上に保存されているコンテクストに対応付けて、掲示板システムまたは非同期型の議論システムのディスカッションスレッドを生成する。本発明によれば、コンテクスト履歴上に保存されているコンテクストに対応つけて、掲示板システムまたは非同期型の議論システムのディスカッションスレッドを生成することで、リアルタイムでおこなった議論の後で、非同期的に議論をおこなってフォローアップしたり、議事録や関連資料を追加することができる。
前記活動記録手段は、例えば、コンテクスト履歴上に保存されている過去の任意のコンテクストに関して、参加ユーザと、当該参加ユーザへのコミュニケーション手段を対応付ける。本発明によれば、コンテクスト履歴上に保存されている過去の任意のコンテクストに関して、参加ユーザと、当該参加ユーザへのコミュニケーション手段を対応付けることで、参加ユーザを指定することにより、自動的に電子メールシステムのメールシートがオープンし、電子メールを送信することを可能にしたり、自動的に電話をかけて会話することができる。
前記活動記録手段は、例えば、予め登録した利用者の集合、または、関連性の高い利用者の集合に関して、利用者が置かれた現在のコンテクストに関する情報を表示する情報を生成する。本発明によれば、予め登録した利用者の集合、または、関連性の高い利用者の集合に関して、利用者が置かれた現在のコンテクストに関する情報を、常時、またはコンテクストに変化があった場合に表示することで、利用者が関連するメンバに関する、現在の仕事の状況に関するアウェアネス(気付き)を得ることができる。
前記活動記録手段は、例えば、前記コンテクストに応じて、利用者が所持している携帯電話の留守番電話モードの設定を変更するための情報を生成する。本発明によれば、コンテクストに応じて、利用者が所持している携帯電話を留守番電話モードに自動的に設定したり解除したりすることで、会議中のような場合、電話によって会議がインタラプトされることを防ぐことができる。
前記活動記録手段は、例えば、同じグループのメンバと現在の自分の活動パターンに不一致が生じた場合に、アラームを警告するための情報を生成する。本発明によれば、前記活動記録手段は、同じグループのメンバと現在の自分の活動パターンに不一致が生じた場合に、アラームを警告することで、例えば参加すべき会議を忘れていた場合など、利用者に注意を促すことができる。
前記活動記録手段は、例えば、各コンテクストで共有された文書群からキーワードによる特徴量を抽出し、時系列的なキーワード集合の遷移ベクトルを形成し、複数のコンテクスト間で比較する。本発明によれば、各コンテクストで共有された文書群からキーワードによる特徴量を抽出し、時系列的なキーワード集合の遷移ベクトルを形成し、複数のコンテクスト間で比較することで、同様の内容を扱っている他のメンバの存在についての気付きを得ることができる。
請求項79に記載のように、前記サービス提供手段または前記ワークスペース提供手段は、前記サービスまたは前記ワークスペースをネットワーク上に公開する際の公開範囲を予め利用者の集合として指定し、当該指定された利用者にのみ利用を制限する。本発明によれば、前サービスまたはワークスペースをネットワーク上に公開する際の公開範囲を予め利用者の集合として指定し、当該指定された利用者にのみ利用を制限することで、利用者個人の所在や活動に関する情報が、不特定多数の利用者や想定外の利用者によってアクセスされ、プライバシが侵害されることを防ぐことができる。
前記サービス提供手段または前記ワークスペース提供手段は、例えば、前記サービスまたは前記ワークスペースに対してアクセスした利用者の情報を表示するための情報を生成する。本発明によれば、サービスまたはワークスペースに対してアクセスした利用者の情報を履歴として保持し、利用者が必要とする時点でアクセス記録を閲覧、または、リアルタイムに表示することで、利用者が提供・開示した情報が、想定外の利用者によってアクセスされていないかどうかを知ることができる。また、開示範囲をある程度把握することができる。
本発明は、請求項2に記載のように、文書集合もしくはデスクトップ空間として表現される各ユーザのワークスペースを提供するステップ、ハイブリッドピア・ツー・ピアネットワークによる通信を行うワークスペースピアまたはサービスピアの検出情報を取得するステップ、同一時間帯かつ同一作業空間内に存在すると認識される、前記サービスピアとなる機器により提供されるサービスを検出するサービス検索ステップ、同一時間帯かつ同一作業空間内に存在すると認識される、前記ワークスペースピアとなる機器により提供されるワークスペースを検出するワークスペース検索ステップ、前記ワークスペース検索ステップで検出されたワークスペースを統合して協調作業空間を形成すると共に、該協調作業空間、および該協調作業空間上で利用されるコンテンツ(文書、画像、映像等)に対して、前記サービス検索ステップで検出されたサービスを連携して利用可能にするステップをコンピュータに実行させるプログラムである。
本発明によれば、利用者や端末を予め登録することなく、構造化文書を提供できる情報処理装置およびプログラムを提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。図1は本実施形態による共同作業空間形成の概要を説明するための図である。図1において、PWは個人ワークスペースピア、Sはサービスピア、APはアクセスポイント、αおよびβは作業空間をそれぞれ示す。個人ワークスペースピアPWはユーザにワークスペースを提供する。サービスピアSはサービスの接続インタフェースを公開し、ネットワークを介して様々なサービスを提供する。アクセスポイントピアAPは作業空間αと作業空間βを結ぶものである。
後述する共同作業空間形成装置は、同一時間帯かつ同一作業空間内に存在すると認識されるワークスペースを統合して協調作業空間を形成すると共に、この協調作業空間上で利用される文書に対して、同一時間帯かつ同一作業空間内に存在すると認識されるサービスを連携して利用可能にする。これにより、複数の個人ワークスペースピアPW間でアドホックに共有ワークスペースを形成することができ、共有ワークスペース内で共有される文書に対して、作業空間α、β内のサービスが連携され、読み出し可能になる。このように、ある作業空間で作業をする際に、当該作業空間で利用可能な文書やアプリケーションコンポーネントなどの計算リソースを連携させることができる。例えば、複数の作業者がオフィス内のさまざまな作業空間を移動することによって共同作業をすすめている状況において、当該作業空間をさまざまな計算リソースを用いて共同作業をおこなうのに最適な環境を自動的にセットアップすることを支援するためのユビキタスコンピューティング環境のためのシステムアーキテクチャを提供できる。
図2は、ハイブリッドピア・ツー・ピアネットワークを説明するための図である。本発明の共同作業空間形成装置の作業空間内で用いる通信ネットワークは、ピア・ツー・ピア(P2P:Peer−to−Peer)ネットワークである。このP2Pネットワークには、「純粋(Pure)P2Pネットワーク」と「ハイブリッド(Hybrid)P2Pネットワーク」の2つのネットワーク形態がある。
純粋P2Pネットワークとは、インデクスサーバを介することなく、ネットワークシステムの各構成要素としてのピア機器A乃至E間で直接、制御メッセージおよびコンテンツ送受信を実行する構成であり、ピア機器A乃至Eは等しい機能・役割を持ち、対等なコミュニケーションを行うネットワーク形態である。それを用いた代表的なサービスとしてはグヌーテラ(Gnuterlla)がある。
ハイブリッドP2Pネットワークとは、ネットワークシステムの各構成要素としての例えばPC、携帯通信端末等のピア機器間の相互作用を円滑にするためのインデクスサーバを配置したネットワーク形態のことである。すなわち、コンテンツの送受信機能を備えた例えばPC等のピア機器が、ネットワークによって相互に通信を行えるシステムであり、コンテンツ検索のためのコンテンツ格納情報を持つルックアップサーバとしてのインデクスサーバを置くネットワーク構成である。この構成を用いた代表的なサービスとしては、例えばナップスター(Napster)がある。本実施形態では、図2に示すように、各作業空間α、β内にインデックスサーバとアクセスポイントの機能を備えたインデクス・アクセスポイントピアIAP1、IAP2を配置させ、ハイブリッドP2Pネットワークを用いる。
図3は、作業空間内におけるピアの検出方法を説明するための図である。作業空間α、β内には、それぞれセンサSS1、SS2、インデクス・アクセスポイントピアIAP1、IAP2が設けられている。作業空間α、β内のセンサSS1およびSS2を介して個人ワークスペースピアPWA乃至PWEを認識する。図3に示す例では、作業空間α内のセンサSS1が個人ワークスペースピアPWA、PWCを認識し、作業空間β内のセンサSS2が個人ワークスペースピアPWD、PWEを認識する。センサSS1、SS2は同様にサービスピアSを作業空間内において認識する。
図4は本実施形態によるシステムの構成図である。図1に示すように、システム1は、ワークスペースピア管理サーバ2、文書管理サーバ3、携帯型機器4、無線LAN基地局5、RFIDアンテナ内蔵テーブル8、カメラ9、マイク10、スピーカ11、プロジェクタ12、投影スクリーン13、RFIDタグ付き紙文書14、プレゼンテーションサービスサーバ15、ミーティングキャプチャサーバ16、インデクス・アクセスポイントサーバ17、複合機(MFP)18、スケジューラサーバ19、アクセス鍵発行サーバ20を含む。
符号30はネットワークを示す。
図5は、共同作業空間形成装置の構成を示す図である。共同作業空間形成装置50は、サービスピアS、ワークスペースピアPW、ワークスペースピア管理サーバ2、RFIDアンテナ8a、インデクス・アクセスポイントサーバ17、スケジューラサーバ19およびアクセス鍵発行サーバ20を含む。
ワークスペースピア管理サーバ2は、個人ワークスペースピアを制御するものである。図5に示すように、ワークスペースピア管理サーバ2は、サービス検索手段21、個人ワークスペース提供手段22、個人ワークスペース検索手段23、協調作業空間形成手段24および活動記録手段25を備える。サービス検索手段21は、同一時間帯かつ同一作業空間内に存在すると認識されるサービスを検出するものである。個人ワークスペース提供手段22は、文書集合もしくはデスクトップ空間として表現される各ユーザのワークスペースを提供する。この個人ワークスペース提供手段22は常時稼動するコンピュータ上で稼動するのが良い。
個人ワークスペース検索手段23は、同一時間帯かつ同一作業空間内に存在すると認識される個人ワークスペースを検出する。協調作業空間形成手段24は、ワークスペース検索手段23によって検出されたワークスペースを統合して協調作業空間を形成すると共に、該協調作業空間、および該協調作業空間上で利用されるコンテンツ(文書、画像、映像等)に対して、協調作業空間上で利用される文書に対して、サービス検索手段21によって検出されたサービスを連携して利用可能にする。活動記録手段25は、協調作業空間内での活動を時間と場所に対応付けて記録するものである。
センシング手段によって、各ユーザのワークスペースが、同一時間帯かつ同一作業空間内に存在すると認識されると、各ユーザの作業空間または文書空間を管理する機構それぞれが対等な立場の「ピア」として「P2Pネットワーク」を形成する。同一時間帯かつ同一作業空間内に存在すると認識されたワークスペースピアは、互いに同じ作業空間内に存在する他のユーザのワークスペースピアをネットワーク上で検索し、互いのワークスペースに関する情報を相互に交換することで、各ユーザのワークスペースを統合し、共有作業空間として利用可能にする。また、当該作業空間内に存在するサービス、または複数のサービスを連携したサービスを、ワークスペース上の文書に対応付けて動的に関連付けて呼び出し、作業空間内に提供される各種サービスを組み合わせて、多様なサービスの提供を受けることができる。これにより、中央サーバを置くことなく、個々の利用者のワークスペースを対等な関係で接続することを可能にする。中央サーバ内に格納されたワークスペースに限定されることがないため、オープンな統合をおこなうことができる。
図4に戻り、文書管理サーバ3は、各種機器上で扱われる文書の実体を保存するリポジトリである。文書管理サーバ3上の文書はURLによって特定し、取り出すことができる。携帯型機器4は例えばノートPCやPDA等である。携帯型機器4は、無線LAN基地局5や有線ネットワーク(不図示)を介してネットワーク30に接続されている。携帯型機器4は、作業空間を構成する要素としての「ワークスペースピアPW」である。携帯型機器4には、P2Pブラウザがインストールされている。P2Pブラウザをインストールしたユーザは、ネットワーク上でP2Pノードになる。
携帯型機器4は、赤外線受光部および無線LANアンテナを内蔵する。無線LAN基地局5は、作業空間内の無線LAN基地局となる。作業空間α、βには、非接触型ICカード(RFIDカード)を認識するRFIDアンテナ8a(センサ)が、作業空間α、β内のテーブル8に配置されている。このRFIDアンテナ8aは、各作業空間に配置されるインデクス・アクセスポイントサーバ17に接続されている。利用者が携帯している携帯型機器4、および、利用者のIDカード、紙文書には、RFIDタグが貼付されている。これらは、上記作業空間α、β内に配置されたRFIDアンテナ8aによって認識される。RFIDアンテナ8aは、作業空間内に配置され個人ワークスペースピアとなる機器やサービスピアとなる機器をこれら機器に付与されたIDを検出する連携対象検出手段である。インデクス・アクセスポイントサーバ17は、各ピアのインデクスを保持し、個人ワークスペースピアおよびサービスピアが検出された場所をネットワーク経由で通知する。IDを受信した個人ワークスペースピアおよびサービスピアは、サービス及び個人ワークスペースが現在存在する現実空間内の作業空間を認識する。このように、作業空間内にRFIDアンテナ8a(センサ)を配置して機器に付与されたIDを検出し、IDに対応付けられている個人ワークスペースの存在を認識することで、確実に連携対象を識別することができる。
なお、RFIDアンテナ8aの代わりに、生体センサを用いるようにしてもよい。このとき、個人ワークスペース提供手段22が提供する個人ワークスペースやサービス提供手段31が提供するサービスを予め利用者に対応付けておく。生体センサは、人間の生体上の特徴量によって識別された利用者に対応するピアに対して、当該ピアが検出された場所をネットワーク経由で通知する。ここで、人間の生体上の特徴には、例えば各利用者の指紋、顔、網膜パターン、声紋、手の形状、顔温度分布が含まれる。各ピアでは、生体センサから送られてきた所在情報を受信して、個人ワークスペースやサービス群が現在存在する現実空間内の作業空間を認識する。これにより、IDカードや携帯機器を持ち歩くことなく、作業空間内に配置されたセンサが、人間に対応つけられたサービスやワークスペースを識別することができる。
個々の作業空間α、βでは、据付型のコンピュータであるプレゼンテーションサービスサーバ15に接続されたプロジェクタ12から投影スクリーン13に対して資料等を投影することができる。なお、プレゼンテーションサービスサーバ15には、スライドショーをおこなうサービスがインストールされている。このため、ネットワーク経由でスライドショーサービスを起動してプロジェクタ12から投影することができる。
ミーティングキャプチャサーバ16は、カメラ9、マイク10およびスピーカ11等を制御して、作業空間内の映像および音声情報を取得する。
これらプレゼンテーションサービスサーバ15およびミーティングキャプチャサーバ16は、サービスピアとなる。図5に示すように、サービスピアSは、サービス提供手段31および一時サービス保持手段32を備える。サービス提供手段31は、サービスの接続インタフェースを公開し、ネットワーク30を介して個人ワークスペースピアPWにサービスを提供する。一時サービス保持手段32は、サービス提供手段31が提供したサービスに関する情報を保持するものである。サービス検索手段21は、サービスの連携が開始されると、ネットワーク上のサービスを検索を開始する前に、一時サービス保持手段32に格納されているサービス中に該当するサービスが存在しないかどうか調べ、存在していれば、そのサービスを利用する。このように、頻繁に利用するサービスに関しては、各機器上でローカルなキャッシュ領域に保持しておき、ネットワーク上のサービスを検索する前にキャッシュ領域を調べて存在すれば、該当サービスを実行する。これにより、機器上で頻繁に実行されるサービスは、ネットワーク上を検索してロードすることなく、実行要求が生じた際に、即時、実行させることができる。また、利用頻度の低いサービスを機器上から自動的に消去して、利用時にのみネットワーク上からロードされるようにできる。
インデクス・アクセスポイントサーバ17は、作業空間α、β内に存在する機器に関する情報をネットワーク30を介して作業空間α、β内に存在する他の計算機に伝達する。図5に示すように、インデクス・アクセスポイントサーバ17は、多地点作業空間接続手段71、エリア別作業空間情報提供手段72及び連携対象インデクス手段を含む。多地点作業空間接続手段71は、作業空間αとは異なる地点に存在する作業空間βとの接続関係を仲介するものである。エリア別作業空間情報提供手段72は、各作業空間に関する情報をエリア別に保持し各作業空間に関する情報を要求に応じて提供する。連携対象インデクス手段73は、作業空間内のサービスピアおよびワークスペースピアの位置情報を保持する。
複合機(MFP)118は、個人ワークスペースピアPW等からの要求に応じて紙文書14をプリントする。スケジューラサーバ19は、作業空間の利用に対する予約を行えるものである。このスケジューラサーバ19は、スケジュール表を管理し、利用者は事前にスケジュール管理機構にログインして例えば参加する会議に事前登録をしておく。このとき、会議のスケジュールアイテムには開催場所や時間帯に関する情報が登録されている。協調作業空間形成手段24は、サービス検索手段21によってサービスが認識されるか、または、個人ワークスペース検索手段22によって個人ワークスペースが認識されると、スケジューラサーバ19に問い合わせて、当該認識されたサービスまたは個人ワークスペースの所有者が当該時間帯と作業空間の利用を予約しているかどうかを確認し、予約してある場合に限り、当該サービスの連携または個人ワークスペースの統合をおこなう。
アクセス鍵発行サーバ20は、作業空間のコンテクストに応じたアクセス鍵を発行する。アクセス鍵発行サーバ20は、ワークスペースピア管理サーバ2よってサービスが認識されるか、個人ワークスペースが認識されると、各コンテクストに応じた唯一のアクセス鍵を発行し、当該ワークスペースピア管理サーバ2に対して、発行したアクセス鍵を送る。ワークスペースピア管理サーバ2は、それらのアクセス鍵を照合してサービスの連携関係を設定する。これにより、連携関係の設定を、同一作業空間内に存在するサービスのみに制限し、セキュアな連携をおこなうことができる。インデクス・アクセスポイントサーバ17、携帯型機器4、文書管理サーバ3が提供する機能はJava(登録商標)Servlet上で実現される。
これらのサーバ間での通信は、XML((Extensible Markup Language))形式のメッセージが交換されることによって実現される。なお、インデクス・アクセスポイントサーバ17、携帯型機器4、文書管理サーバ3は、独立した存在であり、任意のサーバ間でメッセージを交換することができる。各種機器では、JXTA等に代表されるピア・ツー・ピアフレームワークが実行されている。これにより、各種機器間で相互にピア・ツー・ピア型のネットワークを形成することができる。また、ピア間で互いに通信しあうことにより、各ピアが保持する情報をピア間で同期的に共有することができる。つまり、ピア・ツー・ピア型のファイル共有をおこなうことができる。
次に、本実施形態のソフトウエアが処理するデータの構造を説明する。まず、個人ワークスペースピアにおけるデータ構造について説明する。図6及び図7は個人ワークスペースピアにおけるデータ構造を示す図である。個人ワークスペースピア上で動作するソフトウエアは、図6及び図7に示す構造をした「個人ワークスペース131」データを保持し、後述する手順の処理を行う。個人ワークスペース131は、ピアID、現在位置ID、所有者、カレントアクセスポイントを含む。
図8はサービスピアにおけるデータ構造を示す図である。サービスピアS上で動作するソフトウエアは、図8に示す構造をした「サービス151」データを保持し、後述する手順の処理を行う。サービス151は、ピアID、サービスアドレス、現在位置ID、接続インタフェース、WSDLファイルを含む。
図9はインデクス・アクセスポイントにおけるデータ構造を示す図である。インデクス・アクセスポイントピアIAP上で動作するソフトウエアは、図9に示す構造をした「インデクス・アクセスポイント161」データを保持し、後述する手順の処理を行う。インデクス・アクセスポイント161は、ピアID、アドレス、現在位置ID、アクセスポイント名、接続先指定UIアドレスを含む。
次に同一作業空間内のピアの検出についてのメッセージフローについて説明する。図10は、同一作業空間内のピアの検出フローである。各作業空間α、βのテーブル8に埋め込む形で設置されたRFIDアンテナ8aは、利用者が携帯しているノートPC、IDカード、紙文書に貼付されたRFIDタグを認識待ちの状態にある。RFIDアンテナ8aによってRFIDタグが検出された場合、または、それまでに存在していたタグが検出されなくなると、個人ワークスペースピアPWAは、図11のような形式をした、「メッセージID(messageid)」、「送信日時(datetime)」、「送信元アクセスポイントピアID(originated)」、「検出・非検出フラグ(status)」、検出された「オブジェクトのID(objectid)」で構成される「オブジェクト検出メッセージ181」を生成する。なお、「検出・非検出フラグ(status)」には、新たなオブジェクトが検出された場合は、”detected”が、検出されなくなった場合は、”undetected”の値が設定される。
個人ワークスペースピアPWAは、オブジェクト検出メッセージ181を個人ワークスペースピアPWBに送り、個人ワークスペースピアPWBは、オブジェクト検出メッセージ181を個人ワークスペースピアPWCに転送し、個人ワークスペースピアPWBおよび個人ワークスペースピアPWCは、協調ピア応答メッセージを個人ワークスペースピアPWAに送る。また、個人ワークスペースピアPWAは、オブジェクト検出メッセージ181を作業空間αにあるサービスピアS1に送ると、サービスピアS1は、オブジェクト検出メッセージ181を作業空間αのサービスピアS2に転送し、サービスピアS2は、協調ピア応答メッセージを個人ワークスペースピアPWAに送る。
次に遠隔地との接続に関するメッセージフローについて説明する。図12は、遠隔地との接続に関するメッセージフローを示す。図13は、オブジェクト検出転送依頼メッセージを示す図である。各作業空間α、βのテーブル8に埋め込む形で設置されたRFIDアンテナ8aは、利用者が携帯しているノートPC、IDカード、紙文書に貼付されたRFIDタグを認識待ちの状態にある。RFIDアンテナ8aによってRFIDタグが検出された場合、または、それまでに存在していたタグが検出されなくなると、インデクス・アクセスポイントピアIAP1は、図11のような形式をした「オブジェクト検出メッセージ181」を生成する。
インデクス・アクセスポイントピアIAP1における「オブジェクト検出メッセージ181」送信の処理の際、上述のインデクス・アクセスポイントピアIAP1が保持する「リモートアクセスポイントピア参照集合」に保持されている「リモートアクセスポイントピア参照」の「状態」に”true”が設定されているインデクス・アクセスポイントピアIAP2に対して、図13に示すような形式をした「オブジェクト検出転送依頼メッセージ182」を生成する。ここで、「オブジェクト検出転送依頼メッセージ182」は、「メッセージID(messageid)」、「送信日時(datetime)」、「送信元アクセスポイントピアID(originated)」、「検出/非検出フラグ(status)」、送信元のインデクス・アクセスポイントピアが検出したオブジェクトに関する「オブジェクトID(objectid)」を含む。
インデクス・アクセスポイントピアIAP1は、オブジェクト検出メッセージ181を個人ワークスペースピアPWAおよび個人ワークスペースピアPWBに送り、ワークスペースピア検出転送依頼メッセージ182を作業空間βのインデクス・アクセスポイントピアIAP2に送る。インデクス・アクセスポイントピアIAP2は、インデクス・アクセスポイントピアIAP1から「オブジェクト検出転送依頼メッセージ182」を受信すると、当該メッセージ中に含まれているオブジェクトIDを含む「オブジェクト検出メッセージ181」を生成して、当該リモートインデクス・アクセスポイントピアが同じ作業空間内に存在していると認識されている機器を表すすべての個人ワークスペースピアPWDおよびPWEに対して、当該生成した「オブジェクト検出メッセージ181」を送信する。
[連携対象ピアの発見]
図14は連携対象ピア発見の処理フローチャートである。サービスピアSおよび個人ワークスペースピアPWとなる機器には、RFIDタグが組み込まれている。各作業空間α、βには、当該各携帯機器のRFIDタグのIDを認識する机型のRFIDアンテナ8aが設置されている。ステップS101で、利用者が持ち込んだ携帯型機器4をRFIDアンテナ8a内蔵テーブル8に置くと、RFIDタグが認識される。これにより、携帯型機器4が当該作業空間内に存在することを認識する。ステップS102で、机型RFIDアンテナ8aに接続されたインデクス・アクセスポイントサーバ17は、各作業空間内に存在するインデクス・アクセスポイントサーバ17に当該机型RFID上で検出されたピアのIDを通知する。ここで、通知先となるインデクス・アクセスポイントのネットワークアドレスは、現在位置IDによって特定されるアドレスとして管理されている。例えば位置IDがIPアドレスとして表現されている。
インデクス・アクセスポイントサーバ17は、上記で報告のあったピアIDに関する情報をインデクス・アクセスポイント161の「カレントピア集合」保持する(ステップS101)。個人ワークスペースピアPWでは、「共有文書履歴集合」に、新しい「共有文書履歴136」が生成され、そのときの日時が「開始日時」に、現在位置のIDが「位置ID」に登録される(ステップS102)。個人ワークスペースピアPWでは、当該作業空間内に存在するインデクス・アクセスポイントピアIAPに対して問い合わせることによって、同じ作業空間内に存在する個人ワークスペースピアPWおよびサービスピアSを検索するとともに、現在位置IDを、当該ピアの「現在位置ID」に登録する(ステップS103)。
このとき、個人ワークスペースピアPWであれば、個人ワークスペース131の「協調個人ワークスペース集合」に、該当する個人ワークスペースピアのピアIDを登録、サービスピアSであれば、個人ワークスペースの「協調サービス集合」に、該当するサービスピアのピアIDに登録する(ステップS104)。検索は、P2P型の検索がおこなわれる。つまり、まず最初は、サブネット上の全ピアについて検索し、ゲートウェイピアによって接続された他のサブネットが検索され、見つかったものが検索要求元に報告される。
[作業空間の形成と文書共有]
図15は文書共有における処理フローチャートである。図26は、個人ワークスペースユーザインターフェース201である。個人ワークスペースUI201は、当該利用者が個人的に所有しているファイル群の一覧を表示する「個人文書ファイルリスト203」と、同じ場所に存在する他の個人ワークスペースピアPWとの間で共有する文書を一覧する「共有文書ファイルリスト204」で構成される。ここで、「個人文書ファイルリスト203」に一覧されているファイル群は、文書管理サーバ3上に保存されている。
この個人ワークスペースUI201上で、「個人文書ファイルリスト203」上に表示されたファイルを選択して「共有文書ファイルリスト204」上にドラッグ&ドロップをおこなうと、当該文書が、共有文書として共有文書空間に文書のアドレスが登録される。これにより、カレントの共有文書履歴136の「共有文書集合」に、あらたな共有文書137のデータが生成されて登録される。この際に、共有文書のアドレス(URL)と当該共有文書の文書タイプが登録される。
上記の処理と同時に、当該共有文書に関する情報が、当該個人ワークスペースピアPWが「協調個人ワークスペース集合」に保持する個人ワークスペースピアPWとの間でリアルタイムに共有され(ピア・ツー・ピアのフレームワークが提供する機能によってピア間でデータが伝播される)、当該共有文書情報を受け取ったの個人ワークスペースピアPWでは、当該共有文書に関する情報を、カレントの共有文書履歴136の「共有文書集合」に、あらたな共有文書137のデータを生成して登録する。
個人ワークスペースピアPWでは、共有された文書の文書タイプに応じて、「連携サービス集合」に登録されている連携サービス134を対応付ける。具体的には、各ユーザの個人ワークスペースピアPWの「協調サービス集合」および「連携サービス集合」に登録されているサービスフローが取り出される。当該サービスまたはサービスフローのサービスインタフェースに含まれる文書タイプと当該共有文書の文書タイプが照合される。対応するサービスまたはサービスフローの先頭サービスフロー要素が対応付けられて、「共有文書137」の「連携サービス集合」に登録される。
作業空間α、β内に置かれたRFIDアンテナ8aによって紙文書または、電子ペーパに貼られたIDタグが認識されると、そのIDタグに対応して予め文書管理サーバ3上に保存されている電子文書を取り出して共有文書として登録する。この対応関係は、複写した際、または、ネットワーク経由でプリントが指示された際に、複合機18内のストレージに印刷対象の文書が自動的に保存されると共に、出力文書と同一のIDを付与することで実現される。付与されるIDの中には、保存されている複合機18のアドレスが含まれており、そのアドレスを用いて電子版の文書が取得される。
[サービスの連携]
図16はサービスの連携時の処理フローチャートである。図17はサービス接続インタフェース171を示す図である。図17に示すように、サービス接続インタフェース171は、オペレーションタイプ(Operation-Type)、入力対象ドキュメントタイプ(inputs doc-type)、出力対象ドキュメントタイプ(Outputs doc-type)、サービス名(service-name)、サービスアドレス(service-address)およびメソッド(WSDLファイル,wsdl-filepath)を含む。
各ユーザの個人ワークスペースピアPWの「協調サービス集合」に保持されたサービス群に対して、各個人ワークスペースピアPWにおいてサービスの連携処理がおこなわれる。各サービスの「サービス接続インタフェース171」のパス名が表すXML形式のサービス接続インタフェースの入力対象文書タイプと出力対象文書タイプが照合されて(ステップS301)、連携サービス(サービスフロー)が構成され(ステップS302)、連携済みサービスとして、各利用者の個人ワークスペースの「連携サービス集合」に登録される。ここで、サービスフローは、複数の「サービスフロー要素」間に前後関係が設定されることによって構成される。作業空間内で新たにサービスが発見されると(ステップS303)、当該サービスの発見をトリガとして、前述した作業空間の形成と文書共有と同様の処理過程を経て、共有文書に対して、サービスが連携される(ステップS304)。サービスの中には、ミーティングキャプチャサービスやホワイトボードキャプチャサービスのように、共有文書に対応付けるのではなく、新たに共有文書を生成するサービスも存在する。それらのサービスは、各ユーザの個人ワークスペースの「連携サービス集合」に保持される。
図18及び図19は、作業空間内で認識された複数のサービスを連携する様子を示している。図18及び図19では、プロジェクタ12、ノートPC4、ホワイトボートカメラ9およびMFD18がサービスを連携する例である。ここで各種機器によって提供される各サービスは、「入力対象名」、「操作名」、「出力対象名」で構成される接続インタフェースとして規定される。例えば、スライドショーサービスは、「電子文書」を入力対象、「投影画像」を出力対象として「表示する」というサービスであると規定することができ、また、アノテーションサービスは、「電子文書」を入力対象に対して手書きイメージとしての「注釈」を追加して、「電子文書」を出力対象として「注釈付けする」サービスとして規定することができる。このように規定される各サービスの接続インタフェースの入力対象と出力対象を照合し、あるサービスAの出力対象名と、別のあるサービスBの入力対象名が同じであれば、それらサービスAとサービスBとの間に連携関係が設定される。この結果、図19に示すようなサービスの連携関係が導出されることになる。
[サービスの呼び出し]
図20はサービス呼び出し時の処理フローチャートである。図27の個人ワークスペースUI201を通じて、各共有文書に対応付けられた連携サービスを呼び出すことができる。連携サービスの呼び出しはカスケードメニューの形式で選択できる。つまり、サービスフローの後続サービスを辿ることで、カスケードメニューが表示される(ステップS401)。
上記カスケードメニュー上でサービスが選択されると(ステップS402)、当該選択された共有文書のアドレス(URL)とともに、Webサービスの形で提供されているサービスが呼び出される(ステップS403)。なお、この呼び出しの際には、各サービスピアが保持する「WSDLファイル」が表すパスに保持されたWSDLファイルが用いられて、SOAP(Simple Object Access Protocol)によるXML形式のメッセージ交換によるリモート呼び出しはおこなわれる。
「連携サービス集合」に保持されているミーティングキャプチャサービスやホワイトボードキャプチャサービスを呼び出すと(ステップS404)、その記録結果として得られるファイルが自動的にストレージに保存され、共有文書として、当該コンテクストに対応付けられて記憶される(ステップS405)。
[遠隔地との接続]
図21は、遠隔地との接続時の処理フローチャートである。当該作業空間内のインデクス・アクセスポイントサーバ17は、作業空間内で認識されると、各ユーザの個人ワークスペース131の「カレントアクセスポイント」に登録される(ステップS501)。カレントのアクセスポイントが提供する接続先指定用のユーザインタフェース(Javaアプレット)を呼び出す(ステップS502)。当該ユーザの個人ワークスペース131が保持する過去の接続先リストの中から接続先を選択する(ステップS503)。なお、接続先を指定すると、その結果が当該作業空間内に存在するすべてのユーザの個人ワークスペースのローカルの接続先リスト履歴に追加される。
ユーザが接続先を選択、または、新たな接続先URIを入力すると、当該接続先に相当するインデクス・アクセスポイントサーバ17がネットワーク30上で検索される(ステップS504)。インデクス・アクセスポイントサーバ17は、一定時間毎にネットワーク30内を検索し、発見された同一コンテクスト下にあるピア(アクセスポイントが網羅する作業空間内に現在存在する個人ワークスペース群、サービス群)を保持する。
個人ワークスペースピアPWでは、文書共有およびサービス連携の際に、カレントのアクセスポイントと接続関係にある他のアクセスポイントが保持するピアを同一コンテクスト下にあるピアとして共有文書やサービスに関する情報を共有する(ステップS505)。具体的には、アクセスポイント間で変更情報を伝播させる。
[コンテクストに基づく文書へのアクセス]
図22は、コンテクストに基づく文書へのアクセス時の処理フローチャートである。利用者は図27に示す個人ワークスペースUI201を通じて、連想的に文書を取り出すことができる。この個人ワークスペースUI上201では、個人ワークスペースピアPWに格納されている共有文書履歴集合に保存されている過去のコンテクストが「コンテクスト一覧206」に時系列でリストされており(ステップS601)、この中から任意のコンテクストを選択すると(ステップS602)、該当するコンテクストに関する情報が表示される(ステップS603)。ここで、コンテクストに関する情報には、日時、場所、選択されたコンテクストに関する文書集合、そのときの参加者集合などが含まれる。
一方、上記の手続きを経て、過去のコンテクストで共有された文書が個人ワークスペースUI201上でアクセスされると、当該文書をアクセスした日時と当該アクセスした利用者のメールアドレスが、アクセス履歴として登録される(ステップS604)。これによりプライバシが保持される。なお、各文書に関するアクセス履歴は、アクセス履歴一覧ビューを呼び出すことによって表示できる。
[人的ネットワークビューの表示]
図23は、人的ネットワークビューの表示処理フローチャートである。図28は、サービス起動ユーザインタフェース220を示す。図29は人的ネットワーク表示ユーザインタフェース301を示す。図28に示す個人ワークスペースUI201のコンテクスト履歴一覧のポップアップメニューから「人的ネットワーク図212」を選択すると(ステップS701)、共有文書履歴に保存されている利用者集合に基づいて、過去における時間当たりの共同作業の頻度を計測し、それに基づいて利用者間の強度を計算する(ステップS702)。その結果を図29のような顔写真アイコンをネットワーク状に俯瞰した人的ネットワークビュー302として表示する(ステップS703)。図29において、強度が強いほどリンクの長さが短いことを示す。
この俯瞰図上で、任意のユーザのアイコンを指示すると、当該ユーザが参加した会議コンテクスト一覧ビュー303が表示され(ステップS704)、その中からコンテクストを指定すると、図27に示す個人ワークスペースUI201上に、当該指定されたコンテクストに関する情報が表示される(ステップS705)。
[グループアウェアネスの表示]
図24は、グループアウェアネスの表示処理フローチャートである。図30は、グループアウェアネスユーザインターフェース401を示す。図27に示す個人ワークスペースUI201の「メンバ活動状況一覧207」ボタンを選択すると(ステップS801)、個人ワークスペースピアPWが保持する「グループメンバ135」に登録されているメンバが所有者となっている個人ワークスペースの「現在位置」から、図30のような俯瞰図を表示する(ステップS802)。これにより他の利用者の作業状況を把握できる。
[電子メールによるコンテクストの交換]
図25は、電子メールによるコンテクストの交換処理フローチャートである。図31は、電子メール送信ユーザインタフェースを示す。共有文書履歴136が生成されると、当該共有文書履歴136に対応するWebページが自動的に生成され(ステップS901)、Webブラウザを介してアクセス可能になる。
図28に示す個人ワークスペースUI201上のコンテクスト一覧206の中からコンテクストを指定し、ポップアップメニューから「電子メール211」を選択すると、図31に示すように、当該生成されたWebページのアドレスを本文中に含んだ電子メールメッセージウィンドウ501が表示され、利用者は、このメールシートを送る(ステップS902)。受信者は、受け取ったメールシート中に含まれるURLを表示することで(ステップS903)、該当するWebページにアクセスすることができる。
[協調作業の終了]
図26は、協調作業の終了処理フローチャートである。携帯型機器4に組み込まれたセンサによって認識される作業空間が変化すると、コンテクストの終了として認識される(ステップS1001)。コンテクストの断片がWebページとして生成されてWebサーバ上に出力される(ステップS1002)。スケジューラにログインし、スケジューラ上の該当する時間帯に上記Webサーバに出力されたWebページのアドレスが登録される(ステップS1003)。既に予約が入っている場合は、そのコメント欄に追記し、予約がない場合は、新しいエントリを生成して追加する。
図32は、カレンダーシステム上のユーザインタフェース701である。図28に示すサービス起動のユーザインタフェース220上の「コンテクスト履歴メニュー」上で、「カレンダー210」を選択すると、図32に示すようなカレンダービュー701が表示される。このカレンダービュー701上には、「コンテクスト」データ中の「日時」フィールドと「場所」フィールドに基づいて、過去のコンテクストがカレンダー上に表示される。カレンダービュー701の左半分は、月単位で表示される「月次ビュー702」であり、右半分は日単位で表示される「日次ビュー703」である。利用者は、日次ビュー703上に表示されるコンテクストを選択すると、選択された日時のコンテクストに関する、日時、共有文書、参加者、開催場所、キャプチャ映像に関する情報が、図31に示すような形式のコンテクスト表示ウィンドウ601として表示され、さらに、参加者、または、共有文書を選択することによって、それらに関する詳細な情報を得ることができる。
図28に示すサービス起動のユーザインタフェース220上の「コンテクスト履歴メニュー」上で、「電子メール211」を選択すると、図31に示すような電子メールメッセージウィンドウ501が表示される。このメッセージの本文部は、先にWebサーバ上にHTML形式で出力されたコンテクストスナップショット(「コンテクスト」の「スナップショット」フィールドに格納されている)のURLがメッセージ本体に自動的に書き出されており、利用者は、送信先とメッセージのタイトルを入力して送信ボタンを押すことによって、当該メッセージが送信先に送付される。
一方、当該メッセージの受信側では、メッセージ本対中に書き出されたコンテクスト断片のURLをクリックすることで、当該コンテクストに関する情報を閲覧するとともに、共有された文書を取り出すことができる。
[遠隔地の作業空間を結んだ作業空間の共有処理]
作業空間αに設置されたアクセスポイントピアAPは、作業空間βなどの遠隔地に存在する作業空間との作業空間の共有を設定するための、図33に示すような外観をした「遠隔地接続先設定用画面801」を提供する。この画面には、図6に示すデータ構造をした「アクセスポイントピア」の「リモートアクセスポイントピア参照集合」に保持されている接続候補となる遠隔地のアクセスポイントピアAPの集合が、画面上の「所在地選択リスト」、および「接続先リスト上」に表示され、この中から利用者が作業空間を共有する接続先を指定し、「接続ボタン」を押すことにより、当該指定された「リモートアクセスポイントピア参照中」の「接続状態」に真(true)が設定され、接続先として格納される。
また、接続対象がリスト上に表示されない場合、「接続先リスト」上のポップアップメニュー上で「add」を選択すると、図33に示すような「遠隔地接続先登録ウィンドウ901」が表示され、このウィンドウを通じて、接続候補となるアクセスポイントピアの「所在地」、「作業空間名」、「接続先」を登録する。
次に、図5で示した共同作業空間形成装置50は、上述した以外の以下のような機能を有する。
[ワークスペースの多様性]
ワークスペース提供手段22は、複数のユーザが操作を共有できる共有のデスクトップ環境や、複数のユーザがファイルを共有できる共有ファイル集合を個人ワークスペースピアPWに提供する。ここで、デスクトップ環境は、ユーザ個人が操作する領域と、同一時間帯かつ同一作業空間α、β内に存在する他の複数のユーザ間で共有する領域に分かれており、共有領域上でのデータと操作が、他の作業者との間でリアルタイムで共有されることで、現実の作業環境上で、複数の利用者が持ち寄ったデスクトップ環境を合成して協調作業環境を形成できる。また、文書集合は、ユーザ個人が所有する文書ファイル群と、同一時間帯かつ同一作業空間α、β内に存在する他の複数のユーザ間で共有する共有文書群によって構成され、共有文書群に関する情報が、他の利用者との間でリアルタイムに共有される。このため、現実の作業環境上で、複数の利用者が持ち寄った文書群を共有する空間を形成できる。
[作業空間内での個人ワークスペースの認識]
サービス提供手段31が提供するサービスや個人ワークスペース提供手段22が提供する個人ワークスペースの所在は、利用者が、サービス検索手段21および個人ワークスペース検索手段23に対して、明示的にそれらの所在を指定することによって識別される。このように、センサを用いることなく、個々の機器において、サービスやサービスの集合、作業空間α、βや文書空間の位置を、利用者が当該機器の存在している作業空間α、βの場所を指定することによって識別できる。
サービス提供手段31が提供するサービスや個人ワークスペース提供手段22が提供する個人ワークスペースの所在は、機器の所在に対応付けられている。利用者が、サービス検索手段21および個人ワークスペース検索手段23に対して、同じ場所に存在する他の機器の存在を明示的に指定する。それらのピア間で同じ作業空間α、β内に存在するピアに関する情報が共有伝播される。これにより、同じ作業空間α、β内に存在するピア群を認識できる。機器にサービスやサービスの集合、作業空間や文書空間を対応付けておく。利用者が、連携関係を設定しようとする機器を、例えば、連携対象とする機器をリスト上から選択したりするなどして指定する。このため、作業空間α、β内にセンサを配置する必要がないため、安価な構成が可能になると共に、センサを設置することが難しい場所においても利用することが可能となる。
[セキュリティ上安全なサービス、またはワークスペースの連携・合成]
協調作業空間形成手段24は、参加予定者に対して時間と場所に対応付けられたパスワードを発行し、配布する。このパスワードは、利用者が事前に予定する時間帯での作業空間α、βの利用に関するパスワードである。このパスワードはワンタイムパスワードであってもよい。各利用者が所有する機器は、パスワードを保持しておく。機器が実際に作業空間α、β内に入り、サービス検索手段21または個人ワークスペース検索手段22によってサービスが認識されると、協調作業空間形成手段24は、当該認識されたサービスが保持しているパスワードを予め発行されていたパスワードに基づいて認証をおこない、問題がなければサービスの連携をおこなう。
協調作業空間形成手段24は、過去の共同作業の履歴またはサービスの連携履歴に基づいて、サービス間または個人ワークスペース間の信頼関係の強度を計算し保持する。協調作業空間形成手段24は、閾値以上の信頼度があるサービス間、または、個人ワークスペース間の連携の際には認証処理をおこなわず、閾値以下の信頼度の信頼度のサービスとの連携の際には認証処理をおこなう。つまり、協調作業空間形成手段24は、強い信頼関係がある利用者間でのサービスは認証処理を明示的におこなうことなく利用を許可するが、信頼関係の弱い利用者のサービスとの間での連携には認証処理を行う。このため、過去の共同作業の実績に基づいて構築される信頼関係に基づき、信頼関係の強いサービスとの間での連携には認証を省略し、信頼関係の弱いサービスとの間での連携には認証をおこなうようにして、利用者に対して過度な認証処理を必要とさせないようにすることができる。
[サービスやワークスペースの接続インタフェースの効果的な検索]
協調作業空間形成手段24は、作業空間α、β毎に、過去に連携したサービスやワークスペースに関するサービス提供機構のIDとアドレスをキャッシュ内に保持する。協調作業空間形成手段24は、サービス検索手段21によってサービスが認証されると、ネットワーク上を検索する前に、当該キャッシュ内に保持されているアドレスを利用して連携対象となるサービス提供手段31のアドレスを検索する。これにより、作業空間α、β内で頻繁に連携関係が設定されるサービスに関しては、それらを連携時に、毎回、ネットワーク上で検索する必要がなくなるため、高速に連携関係を設定することができる。
協調作業空間形成手段24は、ある時点でのサービス間の連携関係のスナップショットを登録し、サービス群が連携した状況を保存しておく。協調作業空間形成手段24は、ユーザの指示により、その作業を継続する際に、再度呼び出して、当該登録されているサービスの連携関係を再現して、同じ環境を再構築する。これにより、定例的に実施される会議など、作業空間内に持ち込まれる機器や利用者のメンバ構成が、毎回、同じ場合、作業環境内に設置されている機器との連携関係を固定的に決めておき、即座に連携関係を設定できるようにする。なお、異なる環境においても、接続状態が抽象化されており、同等の作業環境を再現できるようにしてもよい。
協調作業空間形成手段24は、複数の作業空間α、β同士で日常的に接続する場合や、利用者が頻繁に作業空間α、βを利用する場合、それら利用コンテクストの特徴(メンバ構成、日時、場所)に対応付けて、過去に連携したサービスやワークスペースに関するサービス提供機構のアドレス等を保持することで、過去に連携したサービス間の連携履歴を記憶する。協調作業空間形成手段24は、サービス検索手段21によってサービスやワークスペースが認証されると、ネットワーク上を検索する前に、コンテクストに対応付けて保持されているアドレスを調べて連携対象となるサービス提供手段31のアドレスを調べる。協調作業空間形成手段24は、連携履歴に基づいて連携相手のサービスへの強度を計算し、同じコンテクスト下でサービスが連携される際には、それらのサービスが優先的に接続されるようにする。これにより、あるコンテクスト下で頻繁に連携関係が設定されるサービスに関しては、それらを連携時に、毎回、ネットワーク上で検索する必要がなくなるため、高速に連携関係を設定することができる。
[多様なサービスとの連携]
協調作業空間形成手段24は、広域ネットワーク上に提供されている機器に依存しないサービスのインデクスを保持しており、サービス連携時に、作業空間α、β内に存在するサービスと当該広域ネットワーク上に提供されているサービスとの連携関係を設定する。作業空間α、β内の各種機器が提供するサービスに加えて、インターネット上に提供されている汎用的なサービスを連携対象として利用できる。このため、作業空間α、β内の機器が提供するサービスに限定することなく、インターネット等の広域ネットワーク上に提供されている機器独立のサービスを組み合わせて利用可能にできる。例えば、インターネット上に提供されている翻訳サービス、要約サービス、ファイル変換サービス、FAXサービス、印刷サービス等を利用可能にできる。
協調作業空間形成手段24は、広域ネットワーク上に提供されている機器に依存しないサービスのインデクスを、コンテクストに対応付けて保持しており、サービス連携時には、サービス検索手段21によって検出されるコンテクストに応じて、当該広域ネットワーク上に提供されているサービスと当該作業空間α、β内に存在するサービスとの連携関係を設定する。これにより、作業コンテクストに応じて利用可能なサービスが提示されるため、利用者は、膨大なサービスの中から連携サービスを検索しなくて済む。例えば、海外との遠隔会議の場合、スライド翻訳サービスなどを利用可能にできる。
[サービス接続インタフェースのフォーマット]
サービス提供手段31は、サービス接続インタフェースを操作対象名と操作名によって指定される形式で保持する。ここで、操作対象名としては、予め決められた文書型(Word文書、PowerPoint文書、PDF文書等)が指定され、操作名としては、各文書に対して起動可能なサービス名が指定される。協調作業空間形成手段24は、作業空間α、β内で利用可能となる個々の文書の文書型に基づいて、当該作業空間α、β内で利用可能なサービスに関するサービス接続インタフェースを検索して、サービス接続インタフェースに基づいてサービスを連携する。このため、個々のサービスが提供する内容が統一的な形式で記述されるため、広域かつオープンな環境でのサービス間の連携関係の設定が可能になる。
サービス提供手段31は、サービス接続インタフェースを、操作対象名と操作で指定される形式を基本要素として、他のサービスとの関係をタスク/サブタスク関係として記述して保持する。ここで、操作対象名としては、予め決められた文書型(Word文書、PowerPoint文書、PDF文書等)が指定され、操作名としては、各文書に対して起動可能なサービス名が指定される。各サービス接続インタフェースでは、操作を予め決められた操作名として指定すると共に、操作対象名と操作名によって規定されるサービスと他のサービスとの接続関係を、タスク・サブタスクの関係で規定しておく。協調作業空間形成手段34は、サービス連携時、操作対象と操作名を照合することによって連携関係を設定する。このため、個々のサービスが提供する内容が統一的な形式で記述され、広域かつオープンな環境でのサービス間の連携関係の設定が可能になることに加えて、他のサービスとの連携関係が、タスク/サブタスク関係(ToDoリストを詳細化する形式)として記述でき、また、連携関係を変更したとしても、他のサービスとの連携関係に大きな影響を及ぼさなくて済む。
サービス提供手段31は、操作対象名と操作名をそれぞれ概念の抽象度に応じた階層関係で規定する。協調作業空間形成手段24は、サービス接続インタフェース中の操作対象名と操作名を抽象階層上の包含関係を利用してサービスの連携関係を照合して連携する。このため、個々のサービスが提供する内容が統一的な形式で記述され、広域かつオープンな環境でのサービス間の連携関係の設定が可能になることに加えて、サービスを連携する際、連携候補をさまざまな抽象レベルで選択することができるようになる。例えば、「紙への印刷」というサービスを上位から「印刷」と捉え、その下位概念のサービスである「電子ペーパへの印刷」、「CD−ROMへの印刷」などの代替サービスとの連携が可能になる。
サービス提供手段31は、サービス接続インタフェースを、操作対象名と操作名で指定される形式を基本要素として記述して保持する。
協調作業空間形成手段24は、操作の入力となる「操作対象名」と、操作の出力となる「操作対象名」が指定され、あるサービスの「出力操作対象名」と他のサービスの「入力操作対象名」を照合することにより、それらサービス間の連携関係を設定する。例えば、「ホワイトボードに書かれた内容をキャプチャしてPDF文書に出力」というサービスと「PDF文書を印刷」というサービスを連携して、「ホワイトボードに書かれた内容をキャプチャして印刷する」というサービスを提供できるようになる。このため、個々のサービスが提供する内容が統一的な形式で記述されるため、広域かつオープンな環境でのサービス間の連携関係の設定が可能になることに加えて、他のサービスとの連携関係が、入出力関係として記述でき、他のサービスと連携した新たなサービスの導出を自動的におこなうことができる。
[複数の異なる作業空間を結んで協調作業空間の形成]
多地点作業空間接続手段71は、作業空間αとは異なる地点に存在する作業空間βとの接続関係を仲介するものである。協調作業空間形成手段24は、多地点作業空間接続手段71を通じて、接続関係にある他の作業空間βとの間で、作業空間α内で認識されたサービスおよび個人ワークスペースに関する識別情報(アドレスまたはID)を交換し、それらサービスまたは個人ワークスペースを、あたかも同じ作業空間内に存在するものとして連携する。各作業空間に対応したアクセスポイントを配置し、それらを接続することで離れた作業空間α、βを仮想的に接続されたひとつの作業空間として扱えるようにする。具体的には、それぞれの作業空間内α、βに存在する機器をそれぞれの作業空間内のインデクス・アクセスポイントサーバ17に接続すると、インデクス・アクセスポイントサーバ17を介して作業空間α、β内に存在するサービスに関する情報がリアルタイムで共有され、サービス接続インタフェースを共有してサービスを連携する。これにより、遠隔地に存在する複数の作業空間α、βを結んで、仮想的にひとつの作業空間を形成し、あたかも同じ作業空間に存在しているような感覚で、当該作業空間内で認識されるサービスを連携・統合することが可能になる。
協調作業空間形成手段24は、電話やTV会議システム等の既存のコミュニケーションシステムと連動し、このコミュニケーションシステムでの通信が開始した時点で、接続先の作業空間との間で、サービスまたは個人ワークスペースに関する識別情報(アドレスまたはID)を交換し、それらのサービスまたは個人ワークスペースを、あたかも同じ作業空間内に存在するものとして連携する。
つまり、電話やTV会議システムと連動し、利用者が電話またはTV会議システムを用いて相手を呼び出した時点、または、相手から呼び出された時点で、当該発信元のアクセスポイントと発信先のアクセスポイントとの間で、自動的にアクセスポイント間の接続関係を設定し、遠隔地間を結んだ協調作業空間の形成手順にしたがって、互いに遠隔地に存在する複数の作業空間を結んだ共同作業空間の形成を可能にする。これにより、遠隔地との接続の開始に際して、アクセスポイントの機能を用いて、遠隔地のアクセスポイントとの接続関係を明示的に設定しなくても、電話やTV会議システムで接続相手を呼び出す、または、呼び出されることによって、作業空間間で協調作業空間の形成をおこなうことが可能になる。
エリア別作業空間情報提供手段72は、各作業空間に関する情報をエリア別に保持し各作業空間に関する情報を要求に応じて提供するものである。協調作業空間形成手段24は、階層的な構造をした名前として特定される接続先の作業空間名に基づいて、エリア別作業空間情報提供手段72に問い合わせをおこない、接続先となる他の作業空間の協調作業空間形成手段を特定し、遠隔地の作業空間内で認識されたサービスまたは個人ワークスペースに関する識別情報(アドレスまたはID)を交換し、ピアグループを形成することで、複数の遠隔地間でサービスの連携を行う。これにより、遠隔地に存在する複数の作業空間を結んで、仮想的にひとつの作業空間を形成し、あたかも同じ作業空間に存在しているような感覚で、当該作業空間内で認識されるサービスを連携することが可能になる。なお、作業空間名は、ロケーションの範囲に対応した階層的な構造の名前で管理されており、各ロケーション範囲のピア群に関する情報をキャッシュするピア(ネームサーバに類似した機能)が存在し、検索時には、それらのピアに問い合わせることによって遠隔地に存在するピアを特定する。
多地点作業空間接続手段71は、過去に接続先となった他の多地点作業空間接続手段の履歴を保持しており、遠隔地と接続して共同作業をおこなう際に、接続先となる相手側の作業空間に相当する接続ポイントを選択するために、過去の接続履歴に基づいて接続先候補を一覧表示するための情報を生成する。携帯型機器4は、多地点作業空間接続手段71が生成した情報に基づいて接続先候補を一覧表示して、利用者に接続先の選択を行わせる。これにより、利用者は接続先となる接続ポイントの名前やアドレスを調べることなく、共同作業の頻度の頻度の多い作業空間については、即座に指定することが可能になる。
多地点作業空間接続手段71は、共同作業空間内で認識された利用者の集合から、過去の共同作業履歴から求められる他の利用者のうち、関係強度の強い利用者(共同作業をおこなった回数が多い利用者)の現在位置をネットワーク上で検索し、発見された場合に、その利用者が存在する作業空間に対応する多地点作業空間接続手段の一覧を提示し、接続先として指定可能にする。つまり、多地点作業空間接続手段71は、遠隔地と接続して共同作業をおこなう際に、接続先となる相手側の作業空間に相当する接続ポイントを選択するために、共同作業をおこなった回数が多い利用者の所在をネットワーク上で検索し、その作業者がいる作業空間に存在する接続ポイントを接続先候補として選択可能にする。これにより、利用者は接続先となる接続ポイントの名前やアドレスを調べることなく、接続先となる作業空間を即座に指定することが可能になる。
[連携関係の事前セットアップ]
サービス提供手段31は、作業空間内に設置されている機器が提供するサービスの接続インタフェースをネットワーク経由で取得して、利用者の携帯機器との間で、サービスの利用前にサービスの連携関係を設定しておく。利用時には登録しておいた連携サービスを呼び出せるようにする。これにより、事前に作業空間に出向くことなく、予定している作業空間内で利用するサービスの連携関係を予め設定しておくことができる。
サービス提供手段31は、作業空間内に設置されている機器が提供するサービスの接続インタフェースを取得しておく。事前に作業空間に出向いて接続関係を確認することなく、予定している作業空間内で利用するサービスの連携関係を、仮想的な作業空間のビュー等を通じて、事前にシミュレートして確認することができる。初めて利用する遠隔地の作業空間に設置されている機器が提供するサービスとの連携関係を確認するような場合に有効である。
[サービスの保持と提供]
作業空間内に固定的に設置されている機器には、予め当該機器上で動作するサービスに対応するサービス提供手段31と、当該機器上で動作するサービスと連携して携帯機器上で動作するサービスに対応するサービス提供手段31が保持されている。サービス検索手段21によって、作業空間内で当該携帯機器上で連携動作するサービスを実行可能な携帯機器が認識されると、当該携帯機器上に、当該携帯機器上で連携動作するサービスをロードして実行する。作業空間内に固定的に設置されている機器と、利用者が持ち込んだ携帯機器が存在する。作業空間内に固定的に設置されている機器は、利用者が持ち込んだ携帯機器上で連携して実行するサービスを保持している。作業空間内に持ち込まれた携帯機器は、作業空間内に固定的に設置された機器が提供するサービスと連携動作する際に、携帯機器上で実行するサービスを動的にロードする。これにより、当該作業空間内だけでしか利用することができないサービスを利用する場合、そのソフトウエアを使うことができないような状況においても、利用者が携帯機器上に保有しておく必要がない。
サービス提供手段31は、ネットワーク上にサービス群が公開されると、当該サービスに関する情報が、ネットワーク上に存在するサービスに対応するピア間で自動的に交換・伝播される。これにより、利用者が明示的にサービスを機器上にインストールしなくても、ネットワークに接続するだけで、当該機器を利用して実行すべきサービスが利用できるようになる。
[複数の機器で構成される作業空間を操作するための統合的なユーザインタフェースの提供]
協調作業空間形成手段24は、連携されたサービスをカスケードメニューの形式で選択可能に表示する。連携されたサービスの組み合わせを選択する際に、カスケードメニューとしてサービスの連携関係を表示して利用者に選択させる。これにより、サービス連携の多数の組み合わせが存在する場合であっても、利用者にとって必要なサービスを選択することができる。
協調作業空間形成手段24は、連携されたサービスの位置関係を前記作業空間の俯瞰図上に選択可能に表示する。連携されたサービスの組み合わせを選択する際に、作業空間のレイアウトを通じて、その作業空間内で利用可能なサービスを対話的に選択できる。これにより、作業空間内の複数の機器によって提供されるサービスの連携関係を作業空間内の位置関係として直感的に把握しながら選択することができる。
サービス提供手段31は、作業空間内の各種機器上で動作するサービスに関しては、携帯電話、PDA、ノートPC等の各種機器タイプに応じたユーザインタフェースを提供する。これにより、利用者は、さまざまな種類の機器を通じて均質のサービスを受けることができる。
サービス提供手段31は、サービスの役割分担に応じたユーザインタフェースを提供する。作業空間内の各種機器上で動作しサービスを提供するユーザインタフェースは、例えば「ビュー」と「コントローラ」に分けられておいる。協調作業空間形成手段24は、連携関係を設定した個々のサービスが実行される機器の種類に基づいて、個々のサービスの役割分担を決定し、役割分担に関する情報をサービス提供手段31に送信する。サービス提供手段31は、サービスの役割分担に応じたユーザインタフェースを当該機器上で実行して提供する。作業空間内の機器構成に応じてそれぞれのユーザインタフェースプログラムが機器に割り当てられて実行される。これにより、個々の機器がそれぞれの役割を担いながら、連携して統合的なサービスを利用者に提供することができる。例えば、PDA上でプレゼンテーションを制御するユーザインタフェースが提供され、プロジェクタ上にスライドを表示されるといった複数機器を利用したサービスの実行が可能になる。
協調作業空間形成手段24は、複数のサービスを単一の機器上で同時に実行する際には、各サービスのユーザインタフェース上の機能リストを照合し、同一の機能については、同じボタンやメニューで実行できるように統合したユーザインタフェースを自動的にカスタマイズして機器上で実行する。このため、作業空間内の各種機器上で実行される個々のサービスを操作するためのユーザインタフェース上のボタンやメニューによって提供される機能は、当該ボタンやメニューによって実行される機能を表す共通の名称で指定される「機能名」の集合として表現される。これにより、利用者は、複数のサービスで構成される統合サービスを利用する際、個々のサービス毎にユーザインタフェースを切り替えて利用することなく、複数のサービス群を統合したひとつのユーザインタフェースを通じて操作することが可能になる。
サービス提供手段31は、サービスやワークスペース間でデータをカット(Cut)やペースト(Paste)する際にデータを保存しておくためのクリップ領域を備えている。サービス提供手段31は、サービス間でデータのカットやコピー(Copy)の指示がおこなわれると、そのイベントIDとデータをクリップ領域に格納し、当該機器のアドレスとイベントIDをペースト先のサービスやワークスペースに送られる。ペースト先のサービスやワークスペースは、取得した当該機器のアドレスとイベントIDに基づいてコピーやカットされたデータを取り出し、ペーストする。これにより、異なるサービス間で、データのカットやペーストをおこなうことが可能になる。
[効率的な連携関係の設定]
協調作業空間形成手段24は、作業空間毎に過去に統合したワークスペースピアのワークスペースピアのアドレスを保持しており、個人ワークスペース提供手段22によってワークスペースが認証されると、ネットワーク上を検索する前に、保持されているワークスペースピアのアドレスを調べて連携対象となるワークスペース提供手段のアドレスを調べる。携帯機器のピアは、各作業空間ごとに、接続対象となる作業空間内に設置されている機器が提供するピアのIDとアドレスをキャッシュしておき、当該作業空間内でサービスを連携する際にキャッシュ上の情報を利用して連携先を検索する。これにより、作業空間内で頻繁に連携関係が設定される個人ワークスペースに関しては、それらを連携時に、毎回、ネットワーク上で検索する必要がなくなるため、高速に連携関係を設定することができる。
協調作業空間形成手段24は、複数の作業空間同士で日常的に接続する場合や、利用者が頻繁に作業空間を利用する場面において、それら利用コンテクストの特徴(メンバ構成、日時、場所等)に対応付けて、過去のサービスやワークスペースの連携履歴を記憶する。ワークスペースの連携履歴は、個人ワークスペース提供機構のアドレス等を含む。協調作業空間形成手段24は、個人ワークスペース提供手段22によってサービスやワークスペースが認証されると、ネットワーク上を検索する前に、当該コンテクストに対応付けて保持されているアドレスを調べて連携対象となる個人ワークスペース提供手段22のアドレスを調べる。各個人ワークスペースが連携相手の個人ワークスペースへの強度を当該連携履歴に基づいて計算する。同じコンテクスト下で個人ワークスペースが統合される際には、それらの個人ワークスペースが優先的に検索される。これにより、あるコンテクスト下で頻繁に連携関係が設定される個人ワークスペースに関しては、それらを連携時に、毎回、ネットワーク上で検索する必要がなくなるため、高速に連携関係を設定することができる。
[ワークススペース接続インタフェースの形式]
個人ワークスペース提供手段22は、ワークスペース接続インタフェースを映像入出力、音声入出力、操作イベントで構成される入出力チャンネルに関する属性として記述している。協調作業空間形成手段24は、ワークスペース接続インタフェースに基づいてワークスペースを連携する。映像、音声、操作イベント等の入出力に関する属性を接続インタフェースとして統一しておき、接続時には、それらのデータに基づいて、適宜、プロトコル変換やフォーマット変換をおこなうことによって接続する。このため、個人ワークスペース上での映像や音声によるコミュニケーションや共同作業空間上での操作イベントを統一的な接続形式に従って接続することで、広域かつオープンな協調作業空間の形成が可能になる。
[コンテクストのセグメンテーション]
個人ワークスペース提供手段22は、個々の個人ワークスペースが作業空間内に存在していた時間帯を、この個人ワークスペースにとってのコンテクストの開始・終了時刻として扱う。つまり、個人ワークスペース提供手段22は、各ワークスペースごとに、作業空間内に入室して認識された時刻から退出時刻までをコンテクストとして扱う。このため、ワークスペースが作業空間内に存在していた時間だけがそれぞれにとってのコンテクストとして扱えるため、コンテクストの切り出しを個別に管理でき、長時間の会議の中でメンバが入れ替わるような場合であっても、各利用者は自分に関連する部分のコンテクストだけを切り出して管理することができる。なお、活動記録手段25は、このようにして検出されたコンテクストを単位として個々の利用者別にコンテクストの履歴を記録する。
個人ワークスペース提供手段22は、最初にいずれかの個人ワークスペースが作業空間内で認識された時間から、すべての個人ワークスペースが認識されなくなるまでの時間帯を、この個人ワークスペースにとってのコンテクストの開始・終了時刻として扱う。つまり、個人ワークスペース提供手段22は、最初に検出対象(個人ワークスペース)が入室した時刻から、最後に退出した利用者までの時刻までをひとつのコンテクストとして扱う。このため、利用者は、途中で退出したとしても、他のメンバ全員が退出するまでのコンテクストを共有することができる。なお、活動記録手段25は、このようにして検出されたコンテクストを単位としてコンテクストの履歴を記録する。
個人ワークスペース提供手段22は、個人ワークスペースが作業空間内で認識された時間と、スケジューラサーバ19に登録された時間帯を照合し、参加予定者や検出開始時刻と検出終了時刻に大きな差が見られない場合は、スケジューラサーバ19に登録された時間帯を、当該個人ワークスペースにとってのコンテクストの開始・終了時刻として扱う。予め登録されているスケジュール表中のスケジュールアイテムに登録されている当該作業空間に関する開始時刻と終了時刻をコンテクストの切り出しの際に利用する。このため、利用者の入退出時刻に多少の違いがあったとしても、スケジュール表に登録されている時間によって、コンテクストの開始と終了時刻を補正することができる。なお、活動記録手段25は、このようにして検出されたコンテクストを単位としてコンテクストの履歴を記録する。
個人ワークスペース提供手段22は、作業空間内で認識されるワークスペースに大きな変化が見られた時点を境界として時間帯を切り出し、当該ワークスペースにとってのコンテクストの開始・終了時刻として扱う。つまり、個人ワークスペース提供手段22は、利用者集合や構成機器集合の変化に基づいてコンテクストの開始時刻と終了時刻を特定する。ここで、ある一定以上の変化が生じた場合に、コンテクストの切り替え時点であると認識する。このため、連続している会議で一部のメンバが重複しているような場合であっても、参加者のメンバの大部分が入れ替われるような状況が検出できれば、利用者は、作業空間から退出したりすることなく、別のコンテクストとして認識することができる。なお、活動記録手段25は、このようにして検出されたコンテクストを単位としてコンテクストの履歴を記録する。
個人ワークスペース提供手段22は、発生するイベントに基づいて階層的にコンテクストをセグメンテーションする。個人ワークスペース提供手段22は、作業空間内で認識される個人ワークスペースを細かく記録するとともに、会議の開始・終了、機器の利用開始と終了および参加者のイベントを階層的に構造化し、該個人ワークスペースにとってのコンテクストとして保存する。発表者の切り替わりや資料の切り替わり、参加者の入退出等に基づいてコンテクストが階層的に組織化される。それら階層的なコンテクストに基づいて作業履歴がこまかく切り出される。このため、後でコンテクストの履歴に基づいて共有文書や参加者などを検索する際に、検出された細かいコンテクストの変化を手がかりにして取り出すことができる。なお、活動記録手段25は、このようにして検出されたコンテクストを単位としてコンテクストの履歴を記録する。
[抽象コンテクストの抽出]
サービス検索手段21は、作業空間α、β内で検出される参加者の人数、参加者の所属組織、参加者の役職から会議のフォーマル度を判別し、コンテクスト情報を構成する付加情報として追加する。この情報を利用して、コンテクスト履歴から過去のコンテクストを検索することができる。このため、コンテクスト履歴の中から過去のコンテクストを検索する際に、会議のフォーマル度を利用して検索することが可能になる。なお、これを個人ワークスペース検索手段23またはインデクス・アクセスポイントサーバ17により行うようにしてもよい。
また、サービス検索手段21は、作業空間内で検出される日時と開催場所、参加者の人数、該参加者の所属組織、該参加者の役職から会議体(経営会議、運営会等)を判別し、コンテクスト情報を構成する付加情報として追加する。この情報を利用して、コンテクスト履歴から過去のコンテクストが検索できる。このため、コンテクスト履歴の中から過去のコンテクストを検索する際に、会議体の名称を利用して検索することが可能になる。なお、これを個人ワークスペース検索手段23またはインデクス・アクセスポイントサーバ17により行うようにしてもよい。
サービス検索手段21は、作業空間上で認識される情報(参加者、場所など)とデジタルの世界で認識される情報(使用している文書、ソフトウエア等)を組み合わせて、より詳細な活動内容に関するコンテクストを抽出する。この情報を利用して、コンテクスト履歴から過去のコンテクストを検索する。このため、コンテクスト履歴の中から過去のコンテクストを検索する際に、現実世界の事象として検出される情報と計算機上での操作によって検出される情報を組み合わせて、より詳細な活動内容を検出し、その結果をコンテクストの検索に利用することが可能になる。例えば、使用している電子文書中のコンテンツから、キーワードベクトルを抽出して会議の内容を把握し、参加者とキーワードを対応つけておき、同様のコンテクスト間でリンクを設定する。なお、個人ワークスペース検索手段23またはインデクス・アクセスポイントサーバ17により行うようにしてもよい。
[コンテクストに対応つけて現実環境内でキャプチャされた情報の記録]
活動記録手段25は、作業空間内において、ホワイトボードに書かれた画像、スチルカメラまたはビデオカメラによって撮影された映像、マイクによって収録された音声を、共有のコンテクスト(日時と場所)に対応付けて記録する。これにより、後でコンテクストの履歴からアクセス可能にする。このため、作業空間に設置された機器を用いて新たに生成された情報や、会話などをコンテクストに対応付けて、共有文書として保存し、コンテクスト履歴から検索することによって再利用することができる。
活動記録手段25は、作業空間内において、PDAやノートPCなどの携帯機器を含む情報処理装置上で編集した文書に対する注釈を個人のコンテクストに対応付けて記録することで、後でコンテクストの履歴からアクセスすることができる。利用者が所持している機器を用いて新たに生成された情報や、会話などをコンテクストに対応付けて、私有文書として保存しておき、再利用することができる。
活動記録手段25は、作業空間内のスキャナでスキャンした文書を個人のコンテクストに対応付けて記録するので、後でコンテクストの履歴からアクセスすることができる。これにより、スキャナから入力された書籍や書類のスキャンイメージをコンテクストに対応付けて、私有文書として保存することで、コンテクスト履歴から検索することによって再利用することができる。
活動記録手段25は、作業空間に設置され、例えば掲示板、行き先の受付等の情報提示装置によって公開されている情報を私有コンテクストに対応付けて記憶させてゆく。情報提示装置は、提示している情報に関するIDを発信しており、そのIDを獲得して、個人ワークスペースと共有ワークスペースとを含むワークスペース内に、そのときの日時や場所に対応付けて保存するとともに、日時や場所の記憶にもとづいて利用者が後でアクセスできる。これにより、作業空間に設置された情報掲示装置上に表示されている情報をコンテクストに対応付けて、私有文書として保存し、コンテクスト履歴から検索することによって再利用することができる。
活動記録手段25は、紙文書または電子ペーパが前記作業空間内で認識された場合、該紙文書または該電子ペーパに対応する電子文書を前記コンテクストに対応付けて記録する。紙文書や電子ペーパは読み込み可能なIDを保持している。当該IDには、当該紙文書や電子ペーパに対応付けられた電子文書のIDまたはアドレスが印刷時に付与されている。活動記録手段35は、当該IDが作業空間内で認識されると、当該IDに対応した電子文書を、そのときのコンテクストに対応付けて記録する。これにより、後でコンテクストの履歴からアクセスすることができる。このように、紙文書、または、電子ペーパが作業空間内で認識されることにより、それらに対応した電子文書を当該コンテクスト下における共有文書として保存することで、コンテクスト履歴から検索することによって再利用することができる。
協調作業空間形成手段24は、同一コンテクスト(同一時間帯かつ同一作業空間)に存在した利用者やドキュメントに対して相互に固定的なリンクを設定する。利用者は、それら設定されたリンクをたどることによって連想的にドキュメントや利用者に関する情報にアクセスすることができる。これにより、文書と利用者との間にリンクが自動的に設定されるため、後で、文書をキーにして他の利用者とのコンタクトを促進させることができる。
[状況に基づいた活動内容へのアクセスと再利用の促進]
活動記録手段25は、コンテクスト履歴を検索するためのユーザインタフェースとして、各コンテクスト毎に、そのときにワークスペース上で共有した文書のサムネイルを一覧表示する。これにより、コンテクスト履歴の中からアクセスしたいコンテクストを検索する際に、文書のレイアウトから、コンテクスト下で使用された文書群を視覚的に想起することを支援できる。
活動記録手段25は、コンテクスト履歴を検索するためのユーザインタフェースとして、各コンテクスト毎に、参加者の顔写真または作業空間内での座席配置を一覧表示する。これにより、コンテクスト履歴の中からアクセスしたいコンテクストを検索する際に、参加者の顔イメージとから、目的とするコンテクストを想起することを支援する。
活動記録手段25は、コンテクスト履歴を検索するためのユーザインタフェースとして、各コンテクスト毎に、作業がおこなわれた場所の作業空間の写真または作業中に撮影された写真を表示する。これにより、コンテクスト履歴の中からアクセスしたいコンテクストを検索する際に、作業空間のイメージ画像から、目的とするコンテクストを想起することを支援する。
活動記録手段25は、コンテクスト履歴を検索するためのユーザインタフェースとして、協調作業時に蓄積されるイベントの集合を階層的な関係として表示閲覧できるようにする検索機能を提供する。階層的に蓄積されるイベントの集合に基づいて、検索をおこない、目的とする資料を特定する。例えば、演台での発表者、発言者などが細かく記録されていれば、それらイベントに基づいて検索することができる。これにより、コンテクスト履歴の中からアクセスしたいコンテクストを検索する際に、検出可能な作業中に発生したさまざまなイベントに基づいて、目的とするコンテクストを想起することを支援する。
活動記録手段25は、コンテクスト履歴を検索するためのユーザインタフェースとして、作業空間内での参加者の位置(座った位置や演台位置など)や資料を提示した画面の位置を作業空間の図に対応付けて記録する。後で利用者がコンテクストを検索する際に、作業空間の図に対応付けられてそれらの関係を時間的変化とともに表示し、記憶を呼び起こすことを可能にする。これにより、コンテクスト履歴の中からアクセスしたいコンテクストを検索する際に、共同作業時の参加者の席の位置関係や、資料の提示位置などの空間的な位置関係の情報に基づいて、目的とするコンテクストを想起することを支援する。
活動記録手段25は、コンテクスト履歴を検索するためのユーザインタフェースとして、コンテクストの履歴をスケジュール表の形式で一覧表示する。利用者は、スケジュール表に表示されたコンテクストを選択して、そのコンテクストに関する各種情報にアクセスすることができる。これにより、コンテクスト履歴をカレンダーとして時系列的に表示し、利用者の時間的な記憶をもとに、目的とするコンテクストを想起することを支援する。
活動記録手段25は、コンテクストの断片を、HTML形式でWebサーバ上に出力するとともに、スケジュール管理システムに、当該コンテクストの日時に該当するスケジュールアイテムとして、当該出力したHTML文書のURLを自動的に登録する。スケジュール管理システムから、当該コンテクストに関する情報をアクセスすることができる。これにより、現実の作業空間でのコンテクストに関する情報を、既存のスケジュール管理システム上からアクセスすることができるため、利用者は、それまでに利用してきたスケジュール管理システムを別のシステムに切り替えることなく、利用することができる。
活動記録手段25は、対象(文書、利用者、作業空間等)毎に、それらが存在していた日時と場所に対応するコンテクストを保持しており、選択された対象に関連するコンテクストの一覧を表示する。その中からコンテクストを選択することによって、当該コンテクストに関する各種情報にアクセスすることができる。これにより、対象に対して付与されたコンテクスト履歴を取り出すことによって、関連する過去の情報を連想的に取り出すことが可能になる。
活動記録手段25は、ワークスペース上での利用者間での共同作業の頻度、文書交換の頻度、文書の提供/被提供関係の方向性などに基づき、利用者間の関係強度を計算し、それを人的ネットワークのビューとして俯瞰表示する。さらに、俯瞰表示上で利用者を指定すると、当該選択された利用者が関与した過去のコンテクストの履歴が表示され、それらコンテクストに関する各種情報にアクセスできるようにする。これにより、利用者間の関係に基づいて組織内の活動状況を把握し、組織全体が保持管理する記憶として情報資源の再利用を促進することができる。
活動記録手段25は、各コンテクスト内で扱われた文書群に含まれるキーワード集合に基づいてコンテクスト間の類似度の距離を求め俯瞰表示し、関連性の強いコンテクストにアクセスできるようにする。これにより、文書間の類似性に基づいて組織内における同様の活動をおこなっている活動に関する状況を把握し、組織全体が保持管理する記憶として情報資源の再利用を促進することができる。
活動記録手段25は、コンテクストの断片を、HTML形式でWebサーバ上に出力するとともに、重要なコンテクストをブックマークの集合として記録することで、必要なときに即座に呼び出すことができる。これにより、コンテクスト履歴に記録・保存されるコンテクストの中で、頻繁に参照されるコンテクストを、簡便な操作によって呼び出し、当該コンテクストに関する情報をアクセスすることを可能にする。
活動記録手段25は、コンテクストの断片を、HTML形式でWebサーバ上に出力するとともに、書き込み可能なIDを備えた電子ペーパまたは紙文書のIDに対して、当該サーバ上に出力されたコンテクストの断片のアドレスを対応付ける。それを認識させることによって、その文書が利用された過去のコンテクストに関する情報にアクセスすることができる。これにより、コンテクスト履歴に記録・保存されるコンテクストの中で、頻繁に参照されるコンテクストを、消費電力が不要な印刷物の形で持ち歩いたり、紙文書の持つ閲覧性を利用して即座に目的とするコンテクストを特定できるようにすることに加え、当該コンテクストに関する情報を即座にアクセスすることを可能にできる。
活動記録手段25は、利用者が置かれた現在のコンテクスト(時刻と場所)における利用者の集合、または、共有文書から抽出される特徴量(キーワード集合等)、作業場所、日時(曜日や時間帯など)に基づいて、同様のコンテクストを一覧する。それらコンテクストに関する各種情報にアクセスすることができる。これにより、カレントと同じ状況の過去のコンテクストを容易にアクセスできるため、定例で同じ時間帯に同様のメンバでおこなっている会議などの場合、以前の会議に関するコンテクストを、検索することなく、即座に取り出すことができる。
[組織的な枠組みを超えた活動状況のアウェア]
活動記録手段25は、コンテクストの断片をHTML形式でWebサーバ上に出力するとともに、そのコンテクストの断片のアドレス(例えばURL)を電子メールシステムの電子メールとして送受信して交換できるようにする。これにより、該当コンテクスト下での作業に参加しなかった利用者も含め、多くの利用者間で、当該コンテクストに関する情報を交換し、アクセスできるようにする。
活動記録手段25は、コンテクスト履歴上に保存されているコンテクストに対応つけて、掲示板システムや非同期型の議論システムのディスカッションスレッドを生成する。当該コンテクストに関連した非同期的な会話をおこなったり、資料を登録することを可能にできる。これにより、リアルタイムでおこなった議論の後で、非同期的に議論をおこなってフォローアップしたり、議事録や関連資料を追加することができる。
活動記録手段25は、コンテクスト履歴上に保存されている過去の任意のコンテクストに関して、参加ユーザと、当該参加ユーザへのコミュニケーション手段を対応付けておく。ユーザがクリックすることで、自動的にコミュニケーション手段を呼び出すことができる。これにより、参加ユーザを指定することにより、自動的に電子メールシステムのメールシートがオープンし、電子メールを送信することを可能にしたり、自動的に電話をかけて会話することを可能にする。
活動記録手段25は、予め登録した利用者の集合、または、関連性の高い利用者の集合に関して、利用者が置かれた現在のコンテクストに関する情報を、常時、またはコンテクストに変化があった場合に表示する。これにより、利用者が関連するメンバに関する、現在の仕事の状況に関するアウェアネス(気付き)を得ることができる。
活動記録手段25は、コンテクストに応じて、利用者が所持している携帯電話を留守番電話モードに自動的に設定したり解除したりする。これにより、会議中のような場合、電話によって会議がインタラプトされることを防ぐことができる。
活動記録手段25は、同じグループのメンバと現在の自分の活動パターンに不一致が生じた場合に、アラームを警告する。これにより、例えば、参加すべき会議を忘れていた場合など、利用者に注意を喚起を促すことを可能にする。
活動記録手段25は、各コンテクストで共有された文書群からキーワードによる特徴量を抽出し、時系列的なキーワード集合の遷移ベクトルを形成し、複数のコンテクスト間で比較することにより、将来、興味が共通化すると思われるグループ間を互いに気付かせる。これにより、同様の内容を扱っている他のメンバの存在についての気付きを得ることができる。
[プライバシの管理]
サービス提供手段31、または、個人ワークスペース提供手段22は、サービスまたは個人ワークスペースをネットワーク上に公開する際の公開範囲を予め利用者の集合として指定し、当該指定された利用者にのみ利用を制限する。各ユーザ毎に、自分の存在を公開する範囲をユーザ個人で設定可能にする。さらには、各コンテクストに対応付けて設定できるようにする。これにより、利用者個人の所在や活動に関する情報が、不特定多数の利用者や想定外の利用者によってアクセスされ、プライバシが侵害されることを防ぐことができる。
サービス提供手段31、または、個人ワークスペース提供手段22は、サービスまたは個人ワークスペースに対してアクセスした利用者の情報を履歴として保持し、利用者が必要とする時点でアクセス記録を閲覧、または、リアルタイムに表示する。自分の所在や自分が提供した文書に対して他の利用者がアクセスした履歴を保持し、ユーザはいつでもそれらのアクセス履歴をチェックすることができる。また、アクセスされた際には、リアルタイムでその旨が利用者にフィードバックされる。これにより、利用者が提供・開示した情報が、想定外の利用者によってアクセスされていないかどうかを知ることができる。また、開示範囲をある程度把握することを可能にする。
なお、本発明による共同作業空間形成方法は、共同作業空間形成装置50により実現される。また、プログラムをハードディスク装置や、CD−ROM、DVDまたはフレキシブルディスクなどの可搬型記憶媒体等からインストールし、または通信回路からダウンロードし、例えばCPUがこのプログラムを実行することで、各ステップが実現される。
このプログラムは、ハイブリッドピア・ツー・ピアネットワークによる通信を行うワークスペースピアまたはサービスピアの検出情報を取得するステップ、同一時間帯かつ同一作業空間内に存在すると認識されるサービスを検出するサービス検索ステップ、同一時間帯かつ同一作業空間内に存在すると認識されるワークスペースを検出するワークスペース検索ステップ、前記ワークスペース検索ステップで検出されたワークスペースを統合して協調作業空間を形成すると共に、該協調作業空間、および該協調作業空間上で利用されるコンテンツに対して、前記サービス検索ステップで検出されたサービスを連携して利用可能にするステップをコンピュータに実行させる。
なお、連携対象インデクス手段73がインデクス手段に、作業空間利用予約手段が利用予約手段に、多地点作業空間接続手段71が作業空間接続手段に、エリア別作業空間情報提供手段72が情報提供手段に、一時サービス保持手段32がサービス保持手段にそれぞれ対応する。
以上本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。