JP4718139B2 - カーエアコンコンプレッサ用スラストころ軸受 - Google Patents

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Description

本発明に係るスラストころ軸受(スラスト針状ころ軸受を含む)は、特に自動車用変速機(手動および自動)、トランスファ、あるいは自動車用エアコンのコンプレッサ等の電装部品の回転部分に設置し、この回転部分に加わるスラスト荷重を支持するために使用される。
図8に示す通り、スラストころ軸受1は、円周方向に放射状に等配に配列された複数のころ2と、全体を円輪状に造られてこの複数のころ2を転動自在に保持する保持器3と、この複数のころ2を両側から挟持する軌道輪すなわち、外輪4及び内輪5とから成る。これら外輪4及び内輪5はそれぞれ、十分な硬度を有する金属板により円輪状に造られている。このうちの外輪4は、円輪状の外輪軌道面6を有し、内輪5は、円輪状の内輪軌道面7を有する。
スラストころ軸受は、単純な構造で、高負荷容量と高剛性を実現可能である等の種々の利点を持った軸受である。また、前記軌道輪を使用しないで、保持器及びころのみの構造とする場合もある。この場合、ころの転動面の相手の転動面となる軸又はハウジング等に粗さ、硬さなどの軸受軌道面相当の機能を備え、軸又はハウジング等を軌道面として使用することにより、軌道輪が不要になり、コンパクト化が可能である。特に、ころとして針状ころ(ニードルローラ)を使用したスラスト針状ころ軸受は、軸受の断面高さを小さくすることが可能であり、特に、コンパクトな機械設計に適した軸受である。
スラストころ軸受の代表例であるスラスト針状ころ軸受が使用される主な用途としては、自動車用エアコンのコンプレッサがある。これらのコンプレッサには種々のタイプがあり、例えば図5に示すように、入力回転軸8に固定した両面傾斜板9でピストン10を往復動させる両斜板タイプ、図6の如く、入力回転軸11に固定した片面傾斜板12でロッド13を介してピストン14を往復動させる片斜板タイプ、更に図7に示すように、入力回転軸15に角度可変に取付た斜板16でロッド17を介してピストン18を往復動させる可変容量片斜板タイプがあり、各タイプは何れの場合も回転部分に転がり軸受が組込み使用されている。
具体的な軸受使用例は、図5の両斜板タイプの場合、保持器付き針状ころ軸受19とスラスト針状ころ軸受20が、使用されている。図6の片斜板タイプは、シェル形針状ころ軸受21とスラスト針状ころ軸受22が、使用されている。更に図7の可変容量片斜板タイプは保持器付き針状ころ軸受23とスラスト針状ころ軸受24が使用されている。この様に、スラスト針状ころ軸受は、断面高さが低い等の利点を有するためコンプレッサ等の特に、省スペース化が要求される用途に使用されている。
一般的な形式の軸受(たとえば、玉軸受など)において、転動体と軌道輪との間には差動すべりが発生するが、これらの軸受の差動すべりは、基本的に、転動体と軌道輪の接触面内における周速度差に依存する。すなわち、玉軸受などの点接触の場合、接触面積が小さいため、接触面内でのこれらの周速度差は小さく、差動すべりは小さいといえる。
しかしながら、スラストころ軸受は、平面の軌道面を有する軌道輪の上に、転動体として円筒形状であるころを配置し、ころと軌道輪が線接触する構造になっており、軸受の回転中心が、ころの公転中心と一致することを基本的な構造としている。この場合、ころの転動面上における周速度は、同じ速度であるが、一方、ころと転がり接触する軌道輪は、軸受の回転中心から外径方向に向かうほど(軌道輪の回転半径に比例して)、周速度は早くなる。従って、ころと軌道輪の周速度差は、ころの両端部で最大となる。理論上では、軸受のピッチ円上のみで純転がり運動を行ない、ころのピッチ円上の点からころの両端部に向けて、ころと軌道輪の周速度差が大きくなり、差動すべりが増大する。この差動すべりは、ころの長さに比例して大きくなる。
前記の通り、スラストころ軸受における軸受内部での差動すべりは他形式の軸受と比較しても多く、ころと軌道輪の差動すべりが要因となり、ころのエッジ部分では、軌道輪との間でのエッジ応力が発生しやすくなり、軌道輪の転走部のエッジ部に表面起点型の剥離が発生しやすくなる。
前記の課題に対する解決手段としては、従来からころ端面の相対すべり量を減少させるためにころ長さを短くしたり、保持器のポケット1つに2個のころを入れた複列形式の軸受が使用されている。又、ころ端部に応力(エッジロード)が発生する課題に対しては、ころにクラウニングを形成する等の対策が施されている。
特開平9−14131号公報
スラストころ軸受には、省エネルギー化、省スペース化、軽量化等の要求(摩擦損失減少)により軸受のサイズダウン化が求められている。従って、軸受使用条件としては、負荷容量の面で、より過酷なものになってきている。前記した通り、スラストころ軸受においては、ころと軌道輪の差動すべりが要因となり、接触面での摩擦損失・摩耗が大きくなり、また、接触面での油膜形成状態が劣化し、ころのエッジ部分では軌道輪との間でのエッジ応力が発生しやすくなり、軌道輪の転走部のエッジ部に表面起点型の剥離が発生しやすくなる。差動すべりを抑制するためには、単純にころ長さを短くすることが考えられるが、ころの接触面積が小さくなることから、接触面圧が増大し、その場合接触面での接触面圧が高くなり、油膜形成状態が劣化し、ころ外径側に剥離が発生する等の不具合が発生する。
コンプレッサに使用される軸受は、その内部が軸受の潤滑油と冷媒が混合された状態にあり、コンプレッサの圧縮、膨張により、潤滑油の液化、気化が繰り返されると共に、冷媒の混入があるため潤滑油の量が減少するという問題があり、一般機械の作動油潤滑に比べて油膜形成状態が悪く、早期に剥離するという問題が生じる。
また、地球温暖化防止等の環境問題の観点から、エアコン用のコンプレッサ等において、冷媒としてHCFC134a 等の代替フロンが使用されている。これらの代替フロンは従来使用されていた冷媒と比較して、自己潤滑性が乏しいとされている。代替フロンとの溶解により混合した状態である為、潤滑油の動粘度が低下する等の状態となり、軸受の油膜形成状態が非常に劣化する事により、軸受の転動体や軌道輪に剥離、摩耗等の表面損傷を生じ、短寿命となる問題がある。
潤滑油を改善する方法が考えられるが、冷媒との相性の問題から潤滑油の選択囲が制限され、大幅な油膜形成能力の向上は望めない。また、冷媒中の潤滑油量を増加させ、潤滑性を向上させる方法では冷媒の量が減少することにより、コンプレッサの冷却能力が低下するという問題がある。
エアコンのコンプレッサに使用されるスラスト針状ころ軸受は、回転中心からオフセットされたスラスト荷重を受け、回転速度が約8000rpm 以上の高速回転であり、回転速度および荷重条件面からも過酷な条件であり、差動すべりを要因とした軸受の表面損傷を示す不具合現象が増加している。
本発明の目的は、前記の状況に鑑み、スラストころ軸受において、差動すべりを減少させ、摩擦摩耗が少なく、耐剥離寿命において優れ、さらには負荷容量の低下、接触面圧の増加を抑制したスラストころ軸受を提供することである。
上記の課題を解決するため、本発明におけるカーエアコンコンプレッサ用スラストころ軸受は、フロンに代替して機能する代替フロン系冷媒に潤滑油を混合して形成した潤滑油混合冷媒が循環する、カーエアコンの冷却サイクルのコンプレッサに組み込まれるカーエアコンコンプレッサ用スラストころ軸受である。このカーエアコンコンプレッサ用スラストころ軸受では、ころと、前記ころを保持する保持器とを備え、前記ころは複列ころとして配置され、その複列ころすべてが、針状ころであって、両端に対称なクラウニングが形成されたクラウニング付ころである。前記保持器の径方向に沿って位置する1つのポケットに前記複数のころ列数のころが収納される。前記保持器のポケットに保持される前記ころは、隣接する前記ころの端面が互いに対向するように並んで配置されている。本構成では、潤滑性から見て非常に好ましくない潤滑油状況下において、とくに自己潤滑性が乏しい代替フロン系冷媒において、複列ころと、その複列ころをすべてクラウニング付ころとすることにより、上記の潤滑環境下で表面起点型損傷を防止することができた。全ころ長さを単列ころのそれに合わせて2列とし、すべてのころをクラウニング付ころとした場合、単列クラウニング付ころに比べて、軌道輪ところとの非接触部分の長さは大きく増大する。このため、接触面圧は単列クラウニング付ころに比べて大きく増大することになる。複列ころをすべてクラウニング付ころとすることにより、接触面圧は増大するが差動すべりは軽減され、表面起点型の損傷が抑制され耐久性を増大させることができる。
上記のカーエアコンコンプレッサ用スラストころ軸受において、上述のように前記保持器の径方向に沿って位置する1つのポケットに前記複数のころ列数のころが収納される構成にすることができる。また、前記複列ころが2列ころであり、保持器の径方向に沿って位置する1つのポケットに2個のクラウニング付ころを配置してもよい。本構成によれば、複列クラウニング付ころ、または2列クラウニング付ころのすべてを1つのポケットに配置する。このため、非常に簡単な構成で、接触面圧は増大するが、希薄潤滑環境下、差動すべりを軽減することにより表面起点型の剥離を防止することができる。上記のように、1つのポケットにころ列数に対応する数のころを配置する場合、内径側ころ列のころ本数と、外径側ころ列のころ本数とは同じになる。
上記のカーエアコンコンプレッサ用スラストころ軸受において、前記2列のクラウニング付ころを同じころとすることができる。本構成によれば、1種類のクラウニング付ころによりスラストころ軸受を形成できる。
本発明により以下の様な効果がある。カーエアコンコンプレッサ用スラストころ軸受などの代替フロン冷媒に潤滑油を添加した希薄潤滑油環境下で、(1)複列ころをすべてクラウニング付ころとすることにより、ころと軌道輪との接触面圧は増大するが、差動すべりの減少効果およびエッジ部での負荷が軽減される効果がある。また同時に、軸受の摩擦トルクを減少させる効果もある。(2)上記の複列クラウニング付ころまたは2列クラウニング付ころを1つのポケットに配置することにより、非常に簡単な構成とすることができる。(3)上記の2列のすべてのクラウニング付ころを同じころとすることにより、1種類のころで上記スラストころ軸受を形成できる。
以下に本発明の実施形態を説明する。図4(a)は、クラウニングを形成したころ2aの形状を示す図である。ころ長さLのころ2aに対して、その両端部分に長さaのクラウニングを形成する。ころにクラウニングを形成することにより、エッジ部の負荷軽減(エッジ応力の低減)および、ころの有効長さ(ストレート部b)を短くすることによって、差動すべりを低減させることができる。
図4(b)は、ころの両方の端面を球面形状とした構成を示したものである。この構成により、保持器のポケット面内におけるポケットの内面ところの端面との接触によるエッジ応力を減少させ、ころ同士の端面の干渉および、ころ端面と保持器ポケット部との干渉を減少し、ころのスキューの低減を可能にする。又、ころのスキューに起因して発生する摩擦トルクも減少することができる。前記球面形状は通常、ころ径Daの±50%が採用される。
図4(c)は参考例として示す図である。図4(a)の構成とは異なり、クラウニング形状を採用しない構成、すなわちストレートころを示す。クラウニング形状を採用しない場合、ころのストレート部の長さを長くすることが出来、特に転走面の傾きが発生しない様な条件において、接触面圧を小さくする事ができる。なお、本発明において、ストレートころは、複列に配置されたころの、最も内径側のころ列よりも、外径側にある少なくとも1列に使用されるものである。なお、これらのころの材料は、通常、軸受鋼で表面硬さHRC60〜65が使用される。
図1(a)は、本発明の第1実施例に係る形態であり、1列のポケット列を有する保持器の各ポケットに、両端部にクラウニングを形成したころ2aを、径方向に2列で収容したクラウニングを形成したスラストころ軸受である。図1(b)は、本発明の第2実施例に係る形態であり、前記保持器のポケット列を2列とし、各ポケット内に、クラウニングを形成した1個のころを保持したスラストころ軸受である。図1(c)は、請求項1に係る本発明の形態であり、ころの最も内径側の列よりも、外径側にある少なくとも1列のころの本数を、最も内径側の列と同本数かまたはそれ以上の本数としたスラストころ軸受を示すものであり、外径方向に位置するころ列の負荷容量を内径側の列よりも大きくすることが可能である。
前記した発明の構成を有するスラストころ軸受を使用して、寿命試験を実施した。すなわち前記手段により、ころ端面の差動すべりの減少と、ころ端部付近の応力集中の減少で、軸受内部における摩擦損失と摩耗が小さくなり、転走部エッジ部の剥離寿命を向上させ得ると考え、その効果を寿命試験により検証した。
寿命試験には、ころ径:φ3mm、軌道輪内径:φ65mm、軌道輪外径:φ85mmの軸受を用い、試験温度:60〜80℃、荷重:1000kgf、回転数:5000rpm、潤滑油:スピンドル油VG2(油膜パラメータ、ラムダ:0.101)の試験条件で行った。その試験結果を比較例(標準的なころと、標準的な保持器を使用したスラスト針状ころ軸受を使用したもの)と共に表1に示す。寿命は、試験軸受10個の10%寿命で表した。尚、ころ長さは1列の場合7.8mm、2列の場合3.8mm×2本で、クラウニング量(ドロップ量)は5 〜15 μm であった。寿命判定は、軸受のいずれかの部材が剥離した時点を寿命と定義した。
表1の結果から、第1比較例であるサンプル1(標準軸受)の寿命を1とすると、2列ころ仕様であるサンプル2はサンプル1の2.5倍、クラウニングころ(1列ころ)であるサンプル3は、サンプル1の4.9倍の寿命であるのに対して、2列ころでクラウニングを形成した第1実施例であるサンプル4の寿命はサンプル1の7.5倍となっており、サンプル1とサンプル2に比べて著しく寿命を向上させることが出来た。しかも、試験後のころには剥離が全く発生していなかった。また、試験中のモータの消費電流は、サンプル4が3.9Aと他のサンプルに比べ、最も低く、軸受が低トルクになったことを示しており、軸受内部の摩擦損失が少なくなった事が分かる。
以上の結果により、2列以上の復列ころで、ころにクラウニングを形成したスラストころ軸受は、摩擦損失、摩耗を小さくし、転走跡エッジ部で生じる表面起点型の剥離寿命を向上させ、ころ外径に生じる剥離を防止する効果があることが明らかである。
Figure 0004718139
次に、2列のクラウニングを形成したころを用い、ころの有効長さや端面形状を変えた構成による試験結果を表2に示す。保持器の半径方向にポケットを2列以上設ける(第2実施例、サンプル5)ことにより、ころ同士の干渉が発生しない様にし、保持器によるころの保持性を向上し、ころスキューを低減させて摩擦損失、摩耗を小さくし、剥離寿命が向上している(10%寿命の寿命比が1.5)。
2列以上の復列ころで内径側列をクラウニング形状、外径側列を内径側列よりも小さなクラウニング形状とする(第3実施例、サンプル6)場合、内径側列よりも外径側列のころの接触面圧を抑制することで、ころ外径剥離及び、軌道輪外径側の剥離を防止でき、寿命を向上させることが試験結果から明らかである。また、外径側列のみをストレートころとした(第4比較例、サンプル7)場合も、同様の効果を得ることができる。ただし、外径側のストレートころではエッジロードの低減は期待できない。
内径側列のころ長さを短くし、外径側列のころ長さを内径側列より長くした(第5実施例、サンプル8、尚、この場合、他の実施例の2 列ころに対して内径側列のころは短く、外径側列のころは長くした)場合、内径側列よりも外径側列の負荷容量を増加させることで、ころ外径剥離及び、軌道輪外径側の剥離を防止できる共に、内径側列のころの差動すべりを減少させ、寿命の向上(10%寿命の寿命比が1.7)が顕著に表れた。また、これらの結果より、外径側列の円周方向のころ本数(ポケット数)を内径側列と同じか、又はそれ以上の本数とすることによって、外径側の負荷容量を増加させることでも同様な効果があることは明白である(図1(c))。
また、ころ端面を球面形状にする(第6、7実施例、サンプル9,10)ことにより、ころ同士の端面の干渉及びころ端面と保持器ポケットとの干渉を低減させ、寿命の向上(10%寿命の寿命比が1.3、1.6)が顕著に表れた。また、モータ消費電流が、それぞれサンプル4、5と比較して、低下していることから、ころのスキュー等の摩擦を低減し、軸受のトルクを低減させる効果があることが明らかである。また、実施例1から実施例7(サンプル4からサンプル10)は、いずれも、モータの消費電流が比較例よりも低い傾向であり、軸受内部の摩擦損失が少なく、軸受のトルクが低くなることを示している。
Figure 0004718139
図2、図3には、本発明に係る保持器の形状に関する実施形態を示す。図2は、射出成形による樹脂成形保持器を使用し、ころに針状ころを使用した本発明の第1実施例を示す形態である。本形態は、保持器3を射出成形により複雑なポケット形状に形成することができる。図2(b)に示す様に、各ポケットには、それぞれ2個(2列)のころが保持されており、中央部分にころ落ちを防止する突起部が設けられている。図2(c)に示す様に、この突起部により、保持器3はころ2を保持することが出来る。
図3は、プレス成形等によって成形される箱型鉄板プレス保持器を使用し、ころに針状ころを使用した本発明の第1実施例を示す形態である。本形態において、保持器はプレス成形加工により安価に生産することができる。図3(c)に示す様に、鉄板によってプレス成形加工された2つの部材3a、3bによって、1個のポケット部に、夫々2個のころ2を挟み込む様にして、箱型の形に組立てられる。なお、ポケットの幅寸法は、ころ径よりも小さい寸法で加工されているので、保持器3はころ2を保持する事が出来る。
前記の図2、図3の実施例における針状ころ軸受に使用されるころの寸法を、ころ径Da、ころ長さLとした場合、Da≦5mm、1≦L/Da≦10に規定されることが好ましい。すなわち、L/Da<1の場合、ころ長さが短くなることになり、ころの有効長さも短くなり、ころの接触面積が小さくなることから、接触面圧が増大する。その場合、接触面での接触面圧が高くなり、油膜形成状態が劣化し、ころ外径側に剥離が発生する等の不具合が発生する等の問題がある。一方、10<L/Daの場合、ころ長さが長くなることにより、ころの有効長さも長くなり、ころと軌道面での差動すべりが増加する。ころのエッジ部分では軌道輪との間でのエッジ応力が発生しやすくなり、軌道輪の転走部のエッジ部に表面起点型の剥離が発生する等の問題がある。
(a)は、本発明の第1実施例に係る、保持器の1ポケットに2列のころを保持したスラストころ軸受の上半分の平面図であり、(b)は、本発明の第2実施例に係る、保持器の2列のポケットにそれぞれ1個のころを保持したスラストころ軸受の上半分の平面図であり、(c)は、本発明に係る、保持器の2列のポケットにそれぞれ1個のころを保持し、外径側の列のころ数を内径側よりも多くしたスラストころ軸受の上半分の平面図である。 (a)は、本発明の第1実施例に係る、保持器に樹脂成形保持器を使用したスラスト針状ころ軸受の平面図であり、(b)は、(a)図におけるA部拡大図であり、(c)は、(b)図におけるB−B矢視断面図(ポケット部の説明図)である。 (a)は、本発明の第1実施例に係る、保持器に箱型鉄板プレス保持器を使用したスラスト針状ころ軸受の平面図であり、(b)は、(a)図におけるC−C矢視断面図であり、(c)は、(b)図におけるポケット部の拡大図である。 (a)は、本発明に係るクラウニングを形成したころの説明図であり、(b)は、本発明の第6、第7実施例に係る、クラウニングを形成したころであって、端面に球面部を形成したころの説明図であり、(c)は、第4比較例に係る、ストレート部のみを形成したころの説明図である。 エアコン用の両斜板タイプのコンプレッサを示す縦断面図である。 エアコン用の片斜板タイプのコンプレッサを示す縦断面図である。 エアコン用の可変容量片斜板タイプのコンプレッサを示す縦断面図である。 (a)は、従来の実施形態に係るスラストころ軸受を示す縦断面図であり、(b)は、(a)図における、ころ2と保持器3の上半分の平面図である。
符号の説明
1 スラストころ軸受、2 ころ、2a クラウニングを形成したころ、2b クラウニングを形成したころであり端面に球面部を形成したころ、2c ストレート部のみを形成したころ、3 保持器、3a 保持器上部分、3b 保持器下部分、4 外輪、5 内輪、6 外輪軌道面、7 内輪軌道面、8 入力回転軸、9 両面傾斜板、10 ピストン、11 入力回転軸、12 片面傾斜板、13 ロッド、14 ピストン、15 入力回転軸、16 斜板、17 ロッド、18 ピストン、19 保持器付き針状ころ軸受、20 スラスト針状ころ軸受、21 シェル形針状ころ軸受、22 スラスト針状ころ軸受、23 保持器付き針状ころ軸受、24 スラスト針状ころ軸受、25 クラウニング。

Claims (3)

  1. フロンに代替して機能する代替フロン系冷媒に潤滑油を混合して形成した潤滑油混合冷媒が循環する、カーエアコンの冷却サイクルのコンプレッサに組み込まれるカーエアコンコンプレッサ用スラストころ軸受であって、
    ころと、前記ころを保持する保持器とを備え、前記ころは複列ころとして配置され、その複列ころすべてが、針状ころであって、両端に対称なクラウニングが形成されたクラウニング付ころであり、
    前記保持器の径方向に沿って位置する1つのポケットに前記複数のころ列数のころが収納され、
    前記保持器のポケットに保持される前記ころは、隣接する前記ころの端面が互いに対向するように並んで配置されている、カーエアコンコンプレッサ用スラストころ軸受。
  2. 前記複列ころが2列ころであり、前記保持器の径方向に沿って位置する1つのポケットに2個のクラウニング付ころが配置される、請求項1に記載のカーエアコンコンプレッサ用スラストころ軸受。
  3. 前記2列のクラウニング付ころを同じころとした、請求項に記載のカーエアコンコンプレッサ用スラストころ軸受。
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