〔1〕楽曲記録再生装置の構成
図1は、楽曲記録再生装置の構成を示している。
楽曲記録再生装置は、アンテナ1、FMチューナ部2、A/D変換部3、DSP4、記録媒体5、D/A変換部6、スピーカ7、ネットワークI/F8、メモリ9、CPU10、操作部11、モニタ12等を備えている。記録媒体5としては、例えば、ハードディスク装置(HDD)が用いられる。
CPU10は、ネットワークI/F8およびネットワークを介して、楽曲情報提供サーバ20に接続されている。CPU10は、楽曲情報提供サーバ20からWebページを取得してモニタ12に表示させるブラウザ機能を備えている。楽曲情報提供サーバ20は、楽曲情報データべース20aを備えている。図2は、楽曲情報データべース20aの内容の一部を示している。楽曲情報データべース20aには、楽曲の番号毎に、その楽曲のコンテンツ識別用データと、楽曲名(タイトル)、歌手名(アーティスト)、ジャンル等のメタ情報(属性情報)とが記憶されている。ジャンルには、ポップス、ロック、演歌、クラッシック等の種類がある。楽曲のコンテンツ識別用データは、この実施例では、当該楽曲コンテンツの音声信号から検出された複数の変化点の位置情報(変化点位置情報)とそれらの変化点の総数の情報(変化点数情報)とからなる。なお、変化点とは、楽曲コンテンツを形成している音声信号のうち、音声パワーの変化量が所定の閾値より大きい箇所をいう。なお、楽曲のコンテンツ識別用データを、変化点位置情報と変化点数情報の両方から構成してもよいし、変化点位置情報のみから構成してもよい。
FMチューナ部2は、アンテナ1を介して入力したFM放送波からユーザによって選択された所定の周波数の放送波を選局し、選局した放送波を復調してアナログ音声信号を出力する。A/D変換部3は、FMチューナ部2で得られたアナログ音声信号をデジタル音声信号に変換する。DSP4は、楽曲を抽出するために、入力されるデジタル音声信号から音声パワーの変化量、周波数領域における特徴量を抽出する機能と、楽曲に対応するデジタル音声信号をMP3圧縮データにエンコードする機能と、記録媒体5から読み出されたMP3圧縮データをデジタル音声信号にデコードする機能とを備えている。
記録媒体5は、DSP4のエンコード機能によって得られたMP3圧縮データを記録する。D/A変換部6は、DSP4のデコード機能によって得られたデジタル音声信号をアナログ音声信号に変換する。スピーカ7は、D/A変換部6によって得られたアナログ音声信号を出力する。
CPU10は、楽曲記録再生装置の各部を制御する。メモリ9は、CPU10のワークメモリとして動作する。なお、CPU10のプログラム等のデータは図示しないROMに格納されている。
この実施例では、動作モードとして、楽曲記録モード、楽曲再生モードおよび楽曲自動消去モードがある。楽曲記録モードには、受信した音声信号から楽曲部分のみを抽出して記録する第1の楽曲記録モードと、受信した音声信号からユーザが記録したい楽曲のみを抽出して記録する第2の楽曲記録モードとがある。
以下、第1の楽曲記録モード時において行なわれる第1楽曲記録処理、第2の楽曲記録モード時において行なわれる第2楽曲記録処理、楽曲再生モードにおいて行なわれる楽曲再生処理および楽曲自動消去モード時において行なわれる楽曲自動消去処理について説明する。
〔2〕第1楽曲記録処理
第1楽曲記録処理においては、受信した音声信号から楽曲部分のみを抽出して記録する。
〔2−1〕楽曲部分の抽出方法
第1の楽曲記録モード時においては、A/D変換部3から入力されたデジタル音声信号はDSP4に入力されるとともに、DSP4およびCPU10を介してメモリ9にも送られる。DSP4はDSP4に入力されたデジタル音声信号から音声パワーの変化量や、周波数領域における特徴量を抽出する。CPU10は、新しいものから過去所定時間分のデジタル音声信号をメモリ9の所定の領域(以下、音声信号一時記憶領域という)に保持させる。この所定時間は、後述するT1秒より大きな時間に設定されている。
第1楽曲記録処理では、受信した音声信号のうち、楽曲部分のみを抽出して記録する。楽曲部分の抽出方法について説明する。まず、CPU10は、音声パワーの変化量が所定の閾値以上となるタイミングを変化点として検出する。音声パワーとしては、たとえば、音声信号の振幅を二乗したものが用いられる。なお、CPU10は、変化点を検出する毎に、その検出時刻(絶対時刻)をメモリ9内の所定の領域(以下、変化点情報一時記憶領域という)に記憶する。CPU10は、メモリ9内の変化点情報一時記憶領域に記憶した変化点の検出時刻情報の数が所定数に達した後においては、最も古いデータを削除してから、新しいデータを格納する。この所定数は、楽曲1曲分に対して検出され得る変化点の数より大きな数に設定されている。
CPU10は、変化点を検出すると、変化点近傍の音声信号の周波数領域における特徴量に基づいて、変化点近傍が楽曲であるかラジオ番組の司会者(ディスクジョッキー)による会話部分(トーク部分)であるかを判別する。周波数領域における特徴量としては、たとえば、メルケプストラム( MFCC:Mel Frequency Cepstral Coefficients)が用いられる。より具体的には、検出されたMFCCと予め作成されている楽曲に対する基準データ(MFCC)との間の尤度を算出し、尤度が所定の閾値より大きい場合に変化点近傍が楽曲であると判別する。あるいは、変化点近傍のMFCCを予め作成した評価関数に代入することにより評価値を算出し、得られた評価値に基づいて変化点近傍が楽曲であるか会話部分であるかを判別するようにしてもよい。
変化点近傍が楽曲であるとの判定が、所定時間(T1秒)より長い時間、継続した場合には、T1秒前の時点から楽曲区間が開始されたと判別し、T1秒前の位置から音声信号の記録を開始させる。この後において、変化点近傍が楽曲でないと判定されたときには、音声信号の記録位置はT1秒分遅れているので、その時点からT1秒経過したときに、音声信号の記録を停止させる。T1は、例えば、30〜120秒の範囲内の値に設定される。
〔2−2〕第1楽曲記録処理手順
図3は、第1楽曲記録処理手順を示している。
FMチューナ1を起動させる(ステップS1)。そして、DSP4による特徴抽出処理を起動させるとともに、デジタル音声信号のメモリ9内の音声信号一時記憶領域への記憶を開始させる(ステップS2)。なお、デジタル音声信号のメモリ9内の音声信号一時記憶領域への記憶が開始された後において、予め定められた所定時間分のデジタル音声信号がメモリ9内の音声信号一時記憶領域に記憶された場合には、それ以後は、最も古いデジタル音声信号が削除されて、最新のデジタル音声信号がメモリ9に記録される。
DSP4は、DSP4に入力されるデジタル音声信号から音声パワーの変化量、周波数領域における特徴量を算出して、CPU10に与える。音声パワーとしては、たとえば、音声信号の振幅を二乗したものが用いられる。周波数領域における特徴量としては、たとえば、メルケプストラム( MFCC:Mel Frequency Cepstral Coefficients)が用いられる。
CPU10は、音声パワーの変化量に基づいて変化点であるか否かの判別を行なう(ステップS3)。変化点でなければ、ステップS3に戻る。変化点であると判別した場合、つまり、音声パワーの変化量が所定の閾値より大きい場合には(ステップS3でYES)、メモリ9内の変化点情報一時記憶領域に当該変化点の検出時刻(絶対時刻)を記憶する(ステップS4)。なお、予め定められた所定数分の変化点の検出時刻情報がメモリ9内の変化点情報一時記憶領域に記憶されている場合には、最も古い変化点の検出時刻情報が削除されて、最新の変化点の検出時刻情報がメモリ9に記録される。後述するステップS9、S14において、変化点の検出時刻(絶対時刻)をメモリ9内の変化点情報一時記憶領域に記憶する場合も同様である。次に、今回検出された変化点近傍の音声信号の周波数領域における特徴量(この例ではMFCC)に基づいて、当該変化点近傍が楽曲であるか否かを判別する(ステップS5)。変化点近傍が楽曲でなければ、ステップS3に戻る。
上記ステップS5において、変化点近傍が楽曲であると判別した場合には、第1タイマによる計時を開始させる(ステップS6)。そして、第1タイマによる計時時間(Timer1) がT1秒を超えたか否かを判別する(ステップS7)。第1タイマによる計時時間(Timer1) がT1秒以下である場合には、音声パワーの変化量に基づいて変化点であるか否かの判別を行なう(ステップS8)。変化点でなければ、ステップS7に戻る。
上記ステップS8で変化点であると判別した場合は、メモリ9内の変化点情報一時記憶領域に当該変化点の検出時刻(絶対時刻)を記憶する(ステップS9)。次に、今回検出された変化点近傍の音声信号の周波数領域における特徴量(この例ではMFCC)に基づいて、変化点近傍が楽曲であるか否かを判別する(ステップS10)。変化点近傍が楽曲であると判別した場合には、ステップS7に戻る。
上記ステップS10において、変化点近傍が楽曲でないと判別した場合には、ステップS6に戻り、第1タイマによる計時を開始させる。この場合には、第1タイマによる計時が再スタートされることになる。
上記ステップS7において、第1タイマによる計時時間(Timer1) がT1秒を超えたと判別した場合には、T1秒前から楽曲が開始されていると判断し、現在時刻からT1秒前の時刻を楽曲開始時刻Tsとして記憶するとともに(ステップS11)、T1秒前の位置から音声信号のエンコードおよび記録媒体5への保存を開始させる(ステップS12)。
次に、音声パワーの変化量に基づいて変化点であるか否かの判別を行なう(ステップS13)。変化点でなければ、ステップS13に戻る。変化点であると判別した場合、つまり、音声パワーの変化量が所定の閾値より大きい場合には(ステップS13でYES)、メモリ3内の変化点情報一時記憶領域に当該変化点の検出時刻(絶対時刻)を記憶する(ステップS14)。次に、今回検出された変化点近傍の音声信号の周波数領域における特徴量(この例ではMFCC)に基づいて、変化点近傍が楽曲であるか否かを判別する(ステップS15)。変化点近傍が楽曲であると判別した場合には、ステップS13に戻る。
上記ステップS15において、変化点近傍が楽曲でないと判別した場合には、楽曲が終了したと判断し、現在時刻を楽曲終了時刻Teとして記憶するとともに(ステップS16)、現時点では現在時刻よりもT1秒前の楽曲が記録されているため、第2タイマによる計時を開始させる(ステップS17)。
そして、メモリ9内の変化点情報一時記憶領域に記憶されている変化点検出時刻情報のうち、楽曲開始時刻Tsから楽曲終了時刻Teまでの間の各変化点検出時刻情報に基づいて、それらの各変化点の位置からなる変化点位置情報とそれらの変化点総数からなる変化点数情報とを生成し、得られた変化点に関する情報を現在記録している楽曲コンテンツに対するコンテンツ識別用データとして記録媒体5に記録する(ステップS18)。コンテンツ識別用データは、今回、記録媒体5に記録された楽曲コンテンツのインデックス情報の一部として記録媒体5に記録される。楽曲コンテンツのインデックス情報には、楽曲の記録日時、楽曲の時間長、コンテンツ識別情報、当該楽曲コンテンツの記憶場所(記憶アドレス)等が含まれる。
この後、第2タイマによる計時時間(Timer2) がT1秒に到達すると(ステップS19)、音声信号のエンコードおよび記録媒体5への音声信号の保存を停止させる(ステップS20)。そして、ステップS3に戻る。
〔3〕第2楽曲記録処理
第2楽曲記録処理においては、受信した音声信号からユーザが記録したい楽曲部分のみを抽出して記録する。
第2楽曲記録処理を行なうにあたっては、ユーザは記録したい楽曲のコンテンツ識別用データを、記憶媒体5内の記録対象楽曲指定用テーブルに登録しておく必要がある。つまり、サーバ20のデータベース20aから、ユーザが記録したい楽曲の楽曲情報(コンテンツ識別用データおよびメタ情報)を取得して、記録対象楽曲指定用テーブルに登録する。なお、この際、サーバ20に対して、楽曲のタイトルを指定することにより、指定したタイトルに対応した楽曲の楽曲情報を取得することもできるし、アーティストを指定することにより、指定したアーティストに対応する楽曲の楽曲情報を取得することもできる。さらに、ジャンルを指定することにより、指定したジャンルに属する楽曲の楽曲情報を取得することもできる。
図4は、記録対象楽曲指定用テーブルの内容例を示している。図4は、ジャンルの種類としてロックを指定することにより、ロックに属する楽曲のコンテンツ識別用データおよびメタ情報を取得して、記録対象テーブルに登録した例を示している。
このように記録対象楽曲指定用テーブルにユーザが記録したい楽曲のコンテンツ識別用データ等を登録した後に、第2楽曲記録処理を開始させる。第2の楽曲記録モードによる楽曲記録処理では、まず、第1楽曲記録処理と同様な処理により、受信した音声信号から楽曲部分が抽出される。ただし、第2楽曲記録処理では、抽出された楽曲コンテンツは、直ちに記録媒体5に記録されるのではなく、メモリ9の所定の領域(以下、楽曲コンテンツ一時記憶領域という)に記憶される。また、第2楽曲記録処理では、第1楽曲記録処理のステップS18で生成したコンテンツ識別用データを直ちに記録媒体5に記録するのではなく、メモリ9に一時的に記憶する。なお、メモリ9内の楽曲コンテンツ一時記憶領域に楽曲コンテンツを一時的に記憶させる代わりに、記憶媒体5内の所定領域に楽曲コンテンツを一時的に記憶させるための楽曲コンテンツ一時記憶領域を設け、記憶媒体5内の楽曲コンテンツ一時記憶領域に楽曲コンテンツを一時的に記憶させるようにしてもよい。
1曲分の楽曲コンテンツのメモリ9内の楽曲コンテンツ一時記憶領域への記憶が終了すると、メモリ9に一時的に記憶した当該楽曲コンテンツのコンテンツ識別用データと、記録対象楽曲指定用テーブルに登録されている記録対象楽曲のコンテンツ識別用データとに基づいて、当該楽曲コンテンツが記録対象楽曲に対応するコンテンツであるか否かを判別する。そして、当該楽曲コンテンツが記録対象楽曲に対応するコンテンツであると判別された場合には、メモリ9内の楽曲コンテンツ一時記憶領域に記憶されている当該楽曲コンテンツを記録媒体5に記録させるとともに、当該楽曲コンテンツのコンテンツ識別用データを当該楽曲コンテンツのインデックス情報の一部として記録媒体5に記録させる。
図5は、第2楽曲記録処理手順を示している。
図5のステップS101〜S120のそれぞれは、図3のステップS1〜S20と対応しており、以下の点を除いては対応するステップの内容は同じである。
図3のステップS12では、楽曲コンテンツに対応する音声信号を記録媒体5に保存させるようにしているが、図5のステップS112では、楽曲コンテンツに対応する音声信号をメモリ内の楽曲コンテンツ一時記憶領域に保存させるようにしている。したがって、図5のステップS120では、メモリ内の楽曲コンテンツ一時記憶領域への保存が停止せしめられる。
また、図3のステップS18では、変化点位置情報と変化点数情報とからなるコンテンツ識別情報を生成し、生成したコンテンツ識別情報を記録媒体5に記録しているが、図5のステップS118では、生成したコンテンツ識別情報をメモリ9に一時的に記憶している。
したがって、ステップS120の処理が終了した時点では、今回放送から取得した楽曲コンテンツはメモリ内の楽曲コンテンツ一時記憶領域に保存され、その楽曲コンテンツのコンテンツ識別用データはメモリ9に一時的に記憶されている。
ステップS120の処理が終了すると、つまり、1曲分の楽曲コンテンツのメモリ9内の楽曲コンテンツ一時記憶領域への記憶が終了すると、記録対象楽曲指定用テーブルから1つの記録対象楽曲を選択し、選択した記録対象楽曲のコンテンツ識別用データを抽出する(ステップS121)。
そして、今回放送から取得した楽曲コンテンツのコンテンツ識別用データと、現在選択されている記録対象楽曲のコンテンツ識別用データとに基づいて、今回放送から取得した楽曲コンテンツが現在選択されている記録対象楽曲のコンテンツと一致するか否かを判別する(ステップS122)。この一致判定処理の詳細については、後述する。
ステップS122において、両楽曲コンテンツが一致しないと判別した場合には、記録対象楽曲指定用テーブルに未だ選択されていない記録対象楽曲が存在するか否かを判別する(ステップS123)。記録対象楽曲指定用テーブルに未だ選択されていない記録対象楽曲が存在する場合には、未だ選択されていない記録対象楽曲から1つの記録対象楽曲を選択し、選択した記録対象楽曲のコンテンツ識別用データを抽出する(ステップS124)。そして、ステップS122に戻る。
ステップS122において、両楽曲コンテンツが一致すると判別した場合には、今回放送から取得した楽曲コンテンツは記録対象楽曲のコンテンツであるので、今回放送から取得した楽曲コンテンツおよびそのコンテンツ識別用データを記録媒体5に記録する(ステップS125)。なお、コンテンツ識別用データは、今回放送から取得した楽曲コンテンツのインデックス情報の一部として記録媒体5に記録される。そして、ステップS103に戻る。
ステップS123において、記録対象楽曲指定用テーブルに未だ選択されていない記録対象楽曲が存在しないと判別した場合には、今回放送から取得した楽曲コンテンツは記録対象楽曲のコンテンツではないので、今回放送から取得した楽曲コンテンツを記録媒体5に記録することなく、ステップS103に戻る。
図6は、図5のステップS122で行なわれる一致判定処理の手順を示している。
ここでは、今回放送から取得した楽曲コンテンツを第1の楽曲コンテンツと呼び、第1の楽曲コンテンツと比較される楽曲のコンテンツを第2の楽曲コンテンツと呼ぶことにする。第1の楽曲コンテンツの各変化点の位置をT1,T2,…,TNとし、第2の楽曲コンテンツの変化点の位置をS1,S2,…,SMとする。Nは第1の楽曲コンテンツの変化点の総数と同じ整数であり、Mは第2の楽曲コンテンツの変化点の総数と同じ整数である。
まず、第1の楽曲コンテンツに対応する複数の変化点の1つを指定するための変数nを1に設定する(ステップS31)。また、第2の楽曲コンテンツに対応する複数の変化点の1つを指定するための変数mを1に設定する(ステップS32)。
そして、|{T(n+1)−Tn}−{S(m+1)−Sm}|が所定値σより小さいか否かを判別する(ステップS33)。つまり、第1の楽曲コンテンツにおける変化点Tnから変化点T(n+1)までの距離(時間)と、第2の楽曲コンテンツにおける変化点Smから変化点S(m+1)までの距離(時間)との差の絶対値が、σより小さいか否かを判別する。
ステップS33において、|{T(n+1)−Tn}−{S(m+1)−Sm}|が所定値σより小さいと判別した場合には、nが(N−1)未満でかつmが(M−1)未満であるという条件を満たしているか否かを判別する(ステップS38)。nが(N−1)未満でかつmが(M−1)未満であるという条件を満たしている場合には、nを1だけインクリメントするとともに、mを1だけインクリメントした後(ステップS39)、|{T(n+1)−Tn}−{S(m+1)−Sm}|が所定値σより小さいか否かを判別する(ステップS40)。ステップS40において、|{T(n+1)−Tn}−{S(m+1)−Sm}|が所定値σより小さいと判別した場合には、ステップS38に戻る。
上記ステップS38において、nが(N−1)未満でかつmが(M−1)未満であるという条件を満たしていない場合には、つまり、nが(N−1)以上であるかまたはmが(M−1)以上である場合には、第2の楽曲コンテンツは第1の楽曲コンテンツと同一曲であると判定する(ステップS42)。上記ステップS40において、|{T(n+1)−Tn}−{S(m+1)−Sm}|が所定値σ以上であると判別した場合には、第2の楽曲コンテンツは第1の楽曲コンテンツと同一曲ではないと判定する(ステップS41)。
上記ステップS33において、|{T(n+1)−Tn}−{S(m+1)−Sm}|が所定値σ以上であると判別した場合には、mを1だけインクリメントした後(ステップS34)、mがM以上であるか否かを判別する(ステップS35)。
mがM以上でなければ、つまり、mがM未満であれば、ステップS33に戻り、再度、|{T(n+1)−Tn}−{S(m+1)−Sm}|が所定値σより小さいか否かを判別する。
ステップS35において、mがM以上であると判別した場合には、nを1だけインクリメントした後(ステップS36)、nがN以上であるか否かを判別する(ステップS37)。nがN以上でなければ、つまり、nがN未満であれば、ステップS32に戻り、m=1とした後、再度、|{T(n+1)−Tn}−{S(m+1)−Sm}|が所定値σより小さいか否かを判別する。
ステップS37において、nがN以上であると判別した場合には、第2の楽曲コンテンツは第1の楽曲コンテンツと同一曲ではないと判定する(ステップS41)。
例えば、第1の楽曲コンテンツの各変化点の位置T1,T2,…,TNおよび第2の楽曲コンテンツの各変化点の位置S1,S2,…,SMが図7に示すような位置にある場合について説明する。この場合、N=5,M=4である。
まず、n=m=1とされ、ステップS33では、|(T2−T1)−(S2−S1)|が所定値σより小さいか否かが判別される。つまり、図7の例では、第1の楽曲コンテンツのセグメント1の長さと第2の楽曲コンテンツのセグメント1の長さがほぼ等しいか否かが判別される。図7の例では、両者の長さは異なっているので、|(T2−T1)−(S2−S1)|が所定値σ以上であると判別される。
そこで、ステップS34においてm=2とされた後、ステップS33に戻り、|(T2−T1)−(S3−S2)|が所定値σより小さいか否かが判別される。つまり、図7の例では、第1の楽曲コンテンツのセグメント1の長さと第2の楽曲コンテンツのセグメント2の長さがほぼ等しいか否かが判別される。図7の例では、両者の長さは異なっているので、|(T2−T1)−(S3−S2)|が所定値σ以上であると判別される。
そこで、ステップS34においてm=3とされた後、ステップS33に戻り、|(T2−T1)−(S4−S3)|が所定値σより小さいか否かが判別される。つまり、図7の例では、第1の楽曲コンテンツのセグメント1の長さと第2の楽曲コンテンツのセグメント3の長さがほぼ等しいか否かが判別される。図7の例では、両者の長さは異なっているので、|(T2−T1)−(S4−S3)|が所定値σ以上であると判別される。
そこで、ステップS36でn=2とされ、ステップS32でm=1とされた後、ステップS33に戻り、|(T3−T2)−(S2−S1)|が所定値σより小さいか否かが判別される。つまり、図7の例では、第1の楽曲コンテンツのセグメント2の長さと第2の楽曲コンテンツのセグメント1の長さがほぼ等しいか否かが判別される。図7の例では、両者の長さは等しいので、|(T3−T2)−(S2−S1)|が所定値σより小さいと判別される。したがって、ステップS33でYESとなり、ステップS38に移行する。
ステップS38では、nが(N−1)未満でかつmが(M−1)未満であるという条件を満たしているか否かが判別される。この場合、(N−1)=4、(M−1)=3であるので、n=2<(M−1)=4であり、かつm=1<(M−1)=3であるため、ステップS39に移行し、n=3,m=2とされる。そして、ステップS40において、|(T4−T3)−(S3−S2)|が所定値σより小さいか否かが判別される。つまり、図7の例では、第1の楽曲コンテンツのセグメント3の長さと第2の楽曲コンテンツのセグメント2の長さがほぼ等しいか否かが判別される。図7の例では、両者の長さは等しいので、|(T4−T3)−(S3−S2)|が所定値σより小さいと判別される。したがって、ステップS40でYESとなり、ステップS38に移行する。
ステップS38では、nが(N−1)未満でかつmが(M−1)未満であるという条件を満たしているか否かが判別される。この場合、n=3<(N−1)=4であり、かつm=2<(M−1)=3であるため、ステップS39に移行し、n=4,m=3とされる。そして、ステップS40において、|(T5−T4)−(S4−S3)|が所定値σより小さいか否かが判別される。つまり、図7の例では、第1の楽曲コンテンツのセグメント4の長さと第2の楽曲コンテンツのセグメント3の長さがほぼ等しいか否かが判別される。図7の例では、両者の長さは等しいので、|(T5−T4)−(S4−S3)|が所定値σより小さいと判別される。したがって、ステップS40でYESとなり、ステップS38に移行する。
ステップS38では、nが(N−1)未満でかつmが(M−1)未満であるという条件を満たしているか否かが判別される。この場合、n=(N−1)=4であり、かつm=(M−1)=3であるため、ステップS38でNOとなり、第2の楽曲コンテンツは第1の楽曲コンテンツと同一曲であると判定される。
〔4〕楽曲再生処理
図8は、楽曲再生処理手順を示している。
ユーザによって再生したい楽曲が選曲された後に通常再生指示が入力されると、記録媒体5から選曲された楽曲データを読み出していく(ステップS51)。記録媒体5から読み出された楽曲データをDSP4によってデコードさせ、D/A変換部6を介してスピーカ7に音声信号を出力させる(ステップS52)。これにより、ユーザによって選択された楽曲が再生される。
楽曲再生中においては、再生停止指示が入力されたか否かが監視される。楽曲再生中において、再生停止指示が入力されると(ステップS53でYES)、記録媒体5からの楽曲データの読み出し処理およびDSP4によるデコード処理を停止させる(ステップS54)。
〔5〕楽曲自動消去処理
楽曲自動消去処理においては、記録媒体5に記録されている楽曲コンテンツのうち、ユーザが消去したい楽曲コンテンツを自動的に削除する。
楽曲自動消去処理を行なうにあたっては、ユーザは消去したい楽曲のコンテンツ識別用データを、記録媒体5内の消去対象楽曲指定用テーブルに登録しておく必要がある。つまり、サーバ20のデータベース20aから、ユーザが消去したい楽曲の楽曲情報(コンテンツ識別用データおよびメタ情報)を取得して、消去対象楽曲指定用テーブルに登録する。なお、この際、サーバ20に対して、楽曲のタイトルを指定することにより、指定したタイトルに対応した楽曲の楽曲情報を取得することもできるし、アーティストを指定することにより、指定したアーティストに対応する楽曲の楽曲情報を取得することもできる。さらに、ジャンルを指定することにより、指定したジャンルに属する楽曲の楽曲情報を取得することもできる。
図9は、消去対象楽曲テーブルの内容例を示している。図9は、ジャンルの種類として演歌を指定することにより、演歌に属する楽曲のコンテンツ識別用データおよびメタ情報を取得して、消去対象楽曲テーブルに登録した例を示している。
このように消去対象楽曲テーブルにユーザが消去させたい楽曲のコンテンツ識別用データ等を登録した後に、楽曲自動消去処理を開始させる。
図10は、楽曲自動消去処理手順を示している。
まず、記録媒体5にコンテンツが記録されている楽曲の中から1つの楽曲を第1楽曲として選択し、選択した第1楽曲のコンテンツ識別用データを記録媒体5から抽出する(ステップS61)。
消去対象楽曲指定用テーブルに登録されている消去対象楽曲の中から1つの消去対象楽曲を、現在選択されている第1楽曲の比較対象となる第2楽曲として選択し、選択した第2楽曲のコンテンツ識別用データを消去対象楽曲指定用テーブルから抽出する(ステップS62)。
第1楽曲のコンテンツ識別用データと第2楽曲のコンテンツ識別用データとに基づいて、第1楽曲のコンテンツが第2楽曲のコンテンツと一致するか否かを判別する(ステップS63)。この一致判定処理は、図6で説明した一致判定処理と同様であるので、その説明を省略する。
ステップS63において、両楽曲のコンテンツが一致しないと判別した場合には、消去対象楽曲指定用テーブル内に、現在選択されている第1楽曲の比較対象として選択されていない楽曲が存在するか否かを判別する(ステップS64)。
消去対象楽曲指定用テーブル内に、現在選択されている第1楽曲の比較対象として選択されていない楽曲が存在する場合には、現在選択されている第1楽曲の比較対象として選択されていない楽曲から1つの楽曲を第2楽曲として選択し、選択した第2楽曲のコンテンツ識別用データを消去対象楽曲指定用テーブルから抽出する(ステップS65)。そして、ステップS63に移行する。
ステップS63において、両楽曲のコンテンツが一致すると判別した場合には、記録媒体5から第1楽曲のコンテンツおよびそのインデックス情報を消去(削除)する(ステップS66)。そして、ステップS67に移行する。
ステップS64において、消去対象楽曲指定用テーブル内に、現在選択されている第1楽曲の比較対象として選択されていない楽曲が存在しないと判別した場合には、ステップS67に移行する。
ステップS67では、記録媒体5内に未だ選択されていない楽曲が存在するか否かを判別する。記録媒体5内に未だ選択されていない楽曲が存在する場合には、未だ選択されていない楽曲から1つの楽曲を第1楽曲として選択し、選択した第1楽曲のコンテンツ識別用データを記録媒体5から抽出する(ステップS68)。そして、ステップS62に戻る。
ステップS67において、記録媒体5内に未だ選択されていない楽曲が存在しないと判別した場合には、今回の楽曲自動消去処理を終了する。
〔6〕変形例
第1楽曲記録処理の変形例について説明する。第1楽曲記録処理の変形例を、第3楽曲記録処理ということにする。
第3楽曲記録処理においても、第1楽曲記録処理と同様に、受信した音声信号から楽曲部分のみを抽出して記録する。第3楽曲記録処理においては、1曲分の楽曲コンテンツの記録媒体5への記憶およびそのコンテンツ識別用データの記録媒体5への記憶が終了すると、サーバ20内の楽曲情報データベース20aを利用して、今回放送から取得した楽曲コンテンツに対応するメタ情報を取得するための処理(メタ情報取得処理)を実行する。このメタ情報取得処理によって、今回放送から取得した楽曲コンテンツに対応するメタ情報を取得できた場合には、記録媒体5に、取得したメタ情報を当該楽曲コンテンツのインデックス情報に追加する。
したがって、記録媒体5に記録された楽曲コンテンツに対するインデックス情報に、メタ情報が追加されるので、記録媒体5に記録された楽曲コンテンツに対するメタ情報を表示させることが可能となる。例えば、記録媒体5に記録された楽曲コンテンツをリスト表示する際に、楽曲コンテンツのメタ情報を表示させることが可能となる。このため、記録媒体5に記録された楽曲コンテンツの管理や整理が容易となる。
図11は、第3楽曲記録処理手順を示している。
図11のステップS1〜S20のそれぞれは、図3のステップS1〜S20と同じであるので、その説明を省略する。
ステップS20の処理が終了すると、つまり、1曲分の楽曲コンテンツの記録媒体5への記録が終了すると、サーバ20内の楽曲情報データベース20aと接続し、楽曲情報データベース20aから1つの楽曲を選択し、選択した楽曲のコンテンツ識別用データを楽曲情報データベース20aから抽出する(ステップS21)。
そして、今回放送から取得した楽曲コンテンツのコンテンツ識別用データと、現在選択されている楽曲のコンテンツ識別用データとに基づいて、今回放送から取得した楽曲コンテンツが現在選択されている楽曲のコンテンツと一致するか否かを判別する(ステップS22)。この一致判定処理は、図6で説明した一致判定処理と同様であるので、その説明を省略する。
ステップS22において、両楽曲コンテンツが一致しないと判別した場合には、楽曲情報データベース20aに未だ選択されていない楽曲が存在するか否かを判別する(ステップS23)。楽曲情報データベース20aに未だ選択されていない楽曲が存在する場合には、未だ選択されていない楽曲から1つの楽曲を選択し、選択した楽曲のコンテンツ識別用データを抽出する(ステップS24)。そして、ステップS22に戻る。
ステップS22において、両楽曲コンテンツが一致すると判別した場合には、現在選択している楽曲のメタ情報(タイトル、アーティストおよびジャンル)を楽曲情報データベース20aから取得して、今回放送から取得した楽曲コンテンツのインデックス情報に追加する(ステップS25)。そして、ステップS3に戻る。
上記ステップS23において、楽曲情報データベース20aに未だ選択されていない楽曲が存在しないと判別した場合には、ステップS3に戻る。この場合には、今回放送から取得した楽曲コンテンツに対するメタ情報を取得できかったので、そのインデックス情報にメタ情報は追加されない。
上記第3の楽曲記録処理では、楽曲記録再生装置側で、楽曲情報データベース20aから今回放送から取得した楽曲コンテンツに対応するメタ情報を検索して取得しているが、楽曲情報提供サーバ20側に今回放送から取得した楽曲コンテンツに対応するメタ情報を検索させ、見つかったメタ情報を楽曲記録再生装置側に送信させるようにしてもよい。
つまり、ステップS20の処理が終了したときに、楽曲記録再生装置のCPU10は、今回放送から取得した楽曲コンテンツに対応するメタ情報を要求するコマンドとともに、今回放送から取得した楽曲コンテンツのコンテンツ識別用データを楽曲情報提供サーバ20に送る。楽曲情報提供サーバ20は、これらの情報を受信すると、上記ステップS21〜S24で説明したような検索処理を行なって、受信した楽曲コンテンツのコンテンツ識別用データに対応する楽曲のメタ情報を楽曲情報データベース20aから検索して、楽曲記録再生装置のCPU10に送信する。楽曲記録再生装置のCPU10は、楽曲情報提供うサーバ20から送られてきたメタ情報を今回放送から取得した楽曲コンテンツのインデックス情報に追加する。そして、ステップS3に戻る。
楽曲情報提供サーバ20内の楽曲情報データベース20aに蓄積されている楽曲情報と同様な情報を、楽曲記録再生装置の記録媒体5内の所定領域(以下、楽曲情報蓄積領域という)に蓄積するようにしてもよい。楽曲情報を記録媒体5に蓄積する方法としては、楽曲情報が記録されたCD等のリムーバブルディスクを用いて記録媒体5に楽曲情報を蓄積したり、楽曲情報提供サーバ20から楽曲情報をダウンロードして記録媒体5に蓄積したりするといった方法がある。楽曲情報データベース20aに蓄積されている楽曲情報と同様な情報が記録媒体5内の楽曲情報蓄積領域に蓄積されている場合には、図11のステップS21〜S25における”楽曲情報データベース20a”は、”記憶媒体5内の楽曲情報蓄積領域”に置き換えられる。