JP4716706B2 - プロトン伝導性コンポジット型電解質膜及びその製造方法 - Google Patents

プロトン伝導性コンポジット型電解質膜及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4716706B2
JP4716706B2 JP2004305631A JP2004305631A JP4716706B2 JP 4716706 B2 JP4716706 B2 JP 4716706B2 JP 2004305631 A JP2004305631 A JP 2004305631A JP 2004305631 A JP2004305631 A JP 2004305631A JP 4716706 B2 JP4716706 B2 JP 4716706B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrolyte membrane
conductive composite
electrolyte
hydrocarbon
proton
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004305631A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006120409A (ja
Inventor
寿弘 竹川
浩行 金坂
聖志 金村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP2004305631A priority Critical patent/JP4716706B2/ja
Priority to US11/252,542 priority patent/US20060083962A1/en
Publication of JP2006120409A publication Critical patent/JP2006120409A/ja
Priority to US12/081,551 priority patent/US20080213646A1/en
Application granted granted Critical
Publication of JP4716706B2 publication Critical patent/JP4716706B2/ja
Priority to US13/292,679 priority patent/US20120058416A1/en
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Landscapes

  • Fuel Cell (AREA)

Description

本発明は、プロトン伝導性コンポジット型電解質膜及びその製造方法に係り、更に詳細には、燃料電池、水電解、ハロゲン化水素酸電解、食塩電解、酸素濃縮器、湿度センサー、ガスセンサーなどに用いられるプロトン伝導性コンポジット型電解質膜及びその製造方法に関する。
燃料電池は、発電効率が高く、環境負荷抑制に優れており、エネルギーを多大に消費している国々において現在の大きな課題となっている環境問題、エネルギー問題の解決に貢献が期待されている次世代型エネルギー供給デバイスである。
また、燃料電池は、電解質の種類により分類されるが、中でも固体高分子形燃料電池は、小型で且つ高出力を得ることができるため、小規模の定置型用、移動体用、携帯端末用のエネルギー供給源としての適用について研究・開発が進められている。
かかる固体高分子電解質膜は、高分子鎖中にスルホン酸基やリン酸基などの親水性官能基を有する固体高分子材料であり、特定のイオンと強固に結合しており、陽イオン又は陰イオンを選択的に透過する性質を有していることから、粒子、繊維又は膜状に成形し、電気透析、拡散透析、電池隔膜などの各種用途に利用されている。
また、固体高分子型燃料電池は、高い総合エネルギー効率が得られる発電手段として現在改良が盛んに進められている。その主要な構成要素は、アノード、カソードの両電極と、ガス流路を形成するセパレータ板と、両極間を隔てる固体高分子電解質膜である。アノードの触媒上で生成したプロトンは、固体高分子電解質膜中を移動してカソードの触媒上に達し、酸素と反応する。従って、両極間のイオン伝導抵抗は、電池性能に大きく影響する。
上述の固体高分子電解質膜を用いて燃料電池を形成するには、両電極の触媒と固体高分子電解質膜をイオン伝導パスで接合する必要がある。そのために、高分子電解質の溶液と触媒粒子とを混合し、塗布・乾燥して両者を結合させた触媒層を電極に用い、電極の触媒と固体高分子電解質膜とを加熱下でプレスするという手法が一般的に用いられていた。
イオン伝導を担う高分子電解質には、一般に、パーフルオロカーボン系主鎖にスルホン酸基が導入されたポリマーが使用される。具体的な商品としては、デュポン(DuPont)社製のナフィオン(Nafion)、旭硝子(株)製のフレミオン(Flemion)、旭化成(株)製のアシプレックス(Aciplex)などが使用される。パーフルオロスルホン酸系の高分子電解質は、パーフルオロカーボン系主鎖とスルホン酸基をもつ側鎖からなり、高分子電解質は、スルホン酸基を主体とする領域とパーフルオロカーボン主鎖を主体とする領域とにミクロ相分離して、スルホン酸基の相はクラスターを形成すると考えられている。このパーフルオロカーボン系主鎖が凝集している部位がパーフルオロスルホン酸系電解質膜の化学的安定性に寄与しており、イオン伝導に寄与するのはスルホン酸基が集まってクラスターを形成している部分である。
このように、優れた化学的安定性とイオン伝導性を兼ね備えるパーフルオロスルホン酸系電解質膜の製造は困難であり、非常に高価となる欠点がある。そのため、パーフルオロスルホン酸系の用途は限定されており、移動体用の動力源と期待される固体高分子型燃料電池への適用が非常に困難を極めている。
また、現状の固体高分子型燃料電池は、室温から80℃程度の比較的低い温度領域で運転される。この運転温度の制限は、用いられているフッ素系膜が120〜130℃近辺にガラス転移点を有し、これよりも高温領域ではプロトン伝導に寄与しているイオンチャネル構造の維持が困難となるため、実質的には100℃以下での使用が望ましいこと、及び水をプロトン伝導媒体として使用するため、水の沸点である100℃を超えると加圧が必要となり、装置が大がかりとなることによる。運転温度が低いことは、燃料電池にとっては発電効率が低くなると共に、触媒のCOによる被毒が顕著に起こる。運転温度が100℃以上になると発電効率は向上し、更に廃熱利用が可能となるためにより効率的にエネルギーを活用できる。また、燃料電池自動車への適用を考えると、運転温度を120℃まで上昇させることができれば、効率の向上だけではなく、排熱に必要なラジエター負荷を下げることとなり、現行の移動体に使用されているラジエターと同等仕様のものを適用できるため、システムをコンパクト化できる。
このように、より高い温度での運転を実現させるため、今まで種々の検討が行われている。代表的には、先の電解質膜のコスト低減も視野に入れたアクションとして、フッ素膜の代わりに、安価でかつ耐熱性に優れた芳香族炭化水素系高分子材料の固体高分子電解質への適用が検討されている。例えば、固体高分子電解質として、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホン化ポリスルフィド、ポリベンズイミダゾールといった種々の芳香族系炭化水素系固体高分子電解質が検討されている(例えば特許文献1〜6参照)。
特開平6−93114号公報 特開平9−245818号公報 特開平11−116679号公報 特開平11−672244号公報 特表平11−510198号公報 特開平9−110982号公報
しかしながら、上記高分子電解質材料は、極めて剛直な高分子化合物であり、電極形成の際、破損等の可能性が高いという問題がある。
また、これら芳香族炭化水素系高分子材料はプロトン伝導性を付与するため、スルホン酸基、リン酸基等の酸性基で修飾されており、水可溶性又は水膨潤性となっている。水可溶性の場合には燃料電池のような水が生成する系には適用できず、また水膨潤性の場合にも膨潤による応力で電極を破損するといった、膨潤による膜の強度低下で膜破損が起こる可能性がある。
更に、高いプロトン伝導性を実現するには、電解質に導入する酸性基を多くすることが望まれるが、ある程度の導入量を超えると高分子材料自身が膜形状を保つことが困難となる。
このように、燃料電池の信頼性に関わる電解質膜としての寸法安定性・自立性を確保することと、電池性能向上を目指したイオン伝導度向上は、それぞれが樹脂へ導入するスルホン酸基やリン酸基等の量に関係しており、両特性はトレードオフの関係にあるので一方の改善が他方の特性を低下させるため、両特性を兼ね備えた電解質膜を実現することは困難であった。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、耐熱性が高く、含水時の膨潤が抑制され、より高い温度域での動作に対応しうる燃料電池を実現できるプロトン伝導性コンポジット型電解質膜及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、球状孔が規則的・三次元的に形成された無機多孔質体の該球状孔内に炭化水素系電解質材料を配設することにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、安定した膜状形態を保持できるとともに安価で同系にパーフルオロスルホン酸系電解質材料を適用した場合より高いイオン伝導性を発現できる。
以下、本発明のプロトン伝導性コンポジット型電解質膜について詳細に説明する。なお、本明細書において、「%」は特記しない限り質量百分率を示す。
本発明のプロトン伝導性コンポジット型電解質膜は、無機多孔質体が有する複数の球状孔内に、炭化水素系電解質材料を配設して成る。この球状孔は、それぞれがほぼ均等な内径を有し且つ多孔質体内部に3次元的に存在し、隣接する球状孔とは連通口により連通している。また、炭化水素系電解質材料は、該連通口を介してプロトン伝導性を示すように配設(充填)されている。本電解質膜の模式的構造及び写真を図1に示す。
このように、無機多孔質体を保持体として用い、内部に耐熱性に優れる芳香族炭化水素系高分子などの電解質材料を配設できるので、耐熱性に優れた電解質膜が得られる。
また、湿潤状態においては、無機多孔質体が炭化水素系電解質材料の膨潤を抑制する。特に、多孔質体内部に存在する球状孔をほぼ均等な径で構成することで、電解質材料の含水時における膨潤に対して、多孔質体は均質且つ分散された膨潤力を受けるので、局所的な電解質の破損が抑制される。換言すれば、無機多孔質体の球状孔が3次元規則配列構造をとることで、電解質材料の膨潤圧が均質に無機多孔質体にかかるため、含水により膨潤する電解質膜の支持体として適している。
更に、多孔質体の球状孔をほぼ均等に制御することで、電解質材料の含浸状態が良好となり、従来から使用されているパーフルオロスルホン酸系電解質材料を同じコンポジット型電解質膜に適用したケースに比べて、高いプロトン伝導性を発現する。
ここで、上記無機多孔質体は、無機ゾルを形成する材料より成ることが好適である。このときは、簡易な無機材形成技術であるゾルゲル法を適用することができ、安価に無機多孔質体を得ることができる。
また、上記無機ゾルを形成する材料は、無機コロイドであることが好適である。無機コロイドとすることで、ポリマー粒子を鋳型に用いた規則配列形状を有する無機多孔質体を形成できる。
更に、上記無機多孔質体は、例えば、シリカ、チタニア、ジルコニア又はタンタル、及びこれらの任意の組合わせに係るものを含むことが好適である。このときは、実用に耐えうる無機コロイドとなり得る。
上記無機多孔質体は、例えば、ポリマー微粒子と無機材料を混合した懸濁液から得られる。このような懸濁液を適用することで、ポリマー微粒子が積み重なることで形成される3次元規則配列構造を鋳型とした、無機多孔質体を得ることができる。特に、ポリマー微粒子の粒径サイズ、積層状態を制御することで、任意の細孔径構造を有する無機多孔質体を設計できる。なお、細孔内のポリマー微粒子は熱処理などにより除去することで、電解質材料の入るスペースが確保される。
このように、規則的に3次元的に配列された球状孔を有する無機多孔質体を用いることで、均質な支持体として機能し、高分子電解質と組み合わせた場合は、含水により電解質が支持体に及ぼす膨潤力の集中を抑制でき、電解質膜の破損を防止できる。また、70%を超える高い気孔率を確保できることから、電解質材料を多量に導入でき、優れたイオン伝導性が実現できる。
一方、上記炭化水素系電解質材料としては、芳香族炭化水素系高分子ポリマーにプロトン伝導性を発現する官能基を付与して成るものを用いることが好適である。耐熱性に優れた芳香族炭化水素系高分子を適用することで、耐熱性に優れた電解質膜が得られるとともに、従来のフッ素系電解質材料より安価な材料を適用することができる。
また、上記炭化水素系電解質材料は、少なくとも1〜6meq/gのイオン交換容量を有することが好適である。イオン交換量を上記範囲とするには、例えば、芳香族炭化水素電解質の種類や付与するプロトン伝導性官能基の量などを適宜調節すれば良い。このとき、芳香族炭化水素系電解質へ導入するプロトン電導性官能基量が1meq/g未満であると十分なプロトン伝導性を発現することができず、また、6meq/gを超えると電解質材料が固体状態を保持することが困難となる。
なお、Nafion(商標:デュポン社製)に代表される従来のフッ素系電解質膜では、およそ1meq/g付近のものが上市されているが、2meq/g以上のものは困難であるため、本発明では従来より高いプロトン伝導性を有する電解質膜を設計できる。
更に、上記炭化水素系電解質材料としては、ポリエーテル系のポリマーを使用することが好適である。具体的には、図2に示すように、ポリエーテル系の物質をスルホン化したポリエーテルエーテルケトンやポリエーテルスルホンなどが使用できる。代表的には、ポリエーテルエーテルスルホンを用いることが良い。
このときは、規則配列状態の空間を有する無機多孔質体に、従来のフッ素系電解質に比べて多くの電解質材料を含浸させることができ、従来品に比べてプロトン伝導性に優れた電解質を得ることができる。
次に、本発明のプロトン伝導性コンポジット型電解質膜の製造方法について詳細に説明する。
本発明の製造方法では、以下の(1)〜(8)工程、
記載のプロトン伝導性コンポジット型電解質膜を製造するに当たり、
(1)溶媒に無機ゾルと球状有機樹脂を混合する工程
(2)この混合溶液を攪拌する工程
(3)この混合溶液を濾過により製膜する工程
(4)濾過成形膜に含まれる余剰水分の除去工程
(5)余剰水分を除去した濾過成形膜の乾燥工程
(6)乾燥させて得られた濾過成形膜の加熱焼成工程
(7)この加熱焼成して得られた無機多孔質体へ炭化水素系電解質材料を含浸させる工程
(8)電解質材料を含浸させた無機・有機コンポジット型電解質膜の乾燥工程
を行い、上述したプロトン伝導性コンポジット型電解質膜を製造する。図3に作製手順の流れを示す。
工程(1)及び工程(2)では、無機コロイドと有機樹脂材料を均質な状態に混合することで、均質な無機支持体で構成される無機多孔質体を得ることができる。
また、工程(3)では、濾過は有機樹脂テンプレートの隙間に無機ゾルを充填する方法として適している。更に、工程(4)では、濾過製膜された膜に含まれている溶剤を予め除去することで、次の乾燥工程における乾燥時間を短縮することができる。
また、工程(5)では、濾過製膜を室温にて予め乾燥させることで、焼成工程等での膜のハンドリングを容易にする。次いで、工程(6)では、濾過製膜を加温焼成することで、無機ゾルによる無機支持体を焼成形成すると共に、テンプレート樹脂を焼成除去することで多孔質を形成できる。
また、工程(7)及び工程(8)では、得られた多孔質体へ電解質材料を含浸・乾燥させることで、容易に目的とする無機・有機コンポジット型電解質膜を得ることができる。特に、乾燥時に高分子電解質が損壊しない程度の温度を与えることで、乾燥時間を短縮することができると共に、高分子電解質の含浸時に架橋剤などを併用した場合はその架橋反応を促進し、より強固な膜を得ることもできる。
上記工程(1)〜(6)を経ることで、有機樹脂材料をテンプレートとして、3次元規則配列された無機多孔質体が得られる。特に濾過工程(3)は、球状有機樹脂をテンプレートとして無機コロイドを良好に充填する方法として適している。球状有機樹脂としては、例えば100nm〜1500nm程度のポリエチレンを代表とするポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、架橋アクリル樹脂、メチルメタクリレート樹脂、ポリアミド樹脂などが適宜選択できる。100nmより小さくなると粒径の分布が均質に整った粒子を安価に入手することが困難となる。また、1500nmより大きくなると無機支持体を構成する支持構造の均質性に乱れが発生して好ましくない。
また、濾過は無機多孔質体の球状孔の大きさ、細孔密度などから、適宜10〜60kPa程度減圧して行うことができる。
更に、工程(6)においては、濾過膜中の有機樹脂材料を除去するための仮焼成を行い、その後無機多孔質体を焼結させることが良い。仮焼成は、例えば、1〜10℃/min、好ましくは2〜5℃/minの昇温速度で400〜500℃、より好ましくは430〜470℃まで昇温させ、30分以上熱処理を行うことができる。また、焼成は、例えば800〜900℃以上で30〜100分間程度の熱処理を行うことができる。さらに本焼成は複数回繰り返して行っても良い。
また、工程(7)において、含浸する電解質材料は、以下の含浸工程に供試できるものであれば、粉末状、ビーズ状、ゲル状、溶液状態のいずれの形態をとっていても構わない。また、水、メタノールやエタノール、n−プロパノール、イソプロパノールなどに代表される直鎖、分岐鎖を有するアルコール類、n−ヘキサンなどのオレフィン類、シクロヘキサン、トルエンやキシレンに代表される芳香族溶媒、ジメチルエーテルなどに代表されるエーテル類、酢酸エチル、酢酸メチル、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジクロロエタン(EDC)、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピロリドン(NMP)などの中から適宜選択して含浸溶液として用いることができる。また使用に際して上記溶媒を単独で用いても複数を適宜選択して混合して用いても構わない。
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
シリカ多孔質膜をマトリックスとして、その孔中に伝導性ポリマーを導入することにより、無機・有機コンポジット型電解質膜を作製した。
1)無機多孔質体の作製
無機多孔質体の孔径を制御するための有機樹脂材料として、平均直径約500nmのポリスチレン球状粒子を使用した。
このポリスチレン球状粒子及び直径70〜100nmのコロイダルシリカを、懸濁溶液中に含まれる溶質体積が所定の膜厚になるよう混合、調製した。手順としては、まずポリスチレンの所定量を秤量し、水に添加した後に、ポリスチレン球形微粒子の含有溶液にコロイダルシリカの含有溶液を加えた。それらの粒子を均一に分散させるため、超音波攪拌した。
次いで、懸濁溶液の濾過によって無機多孔質の形成を行った。メンブレンフィルターをフィルターホルダーにセットし、手動式真空ポンプを用いて大気圧に対して大きくても10kPa以下の圧力となるように減圧し、懸濁溶液を濾過した。
懸濁溶液がすべて濾過された後、濾過成形された膜に含まれる余剰の溶剤を、濾紙などを吸水材として用いて余剰水の除去を行ない、室温で十分乾燥させた後にメンブレンフィルターから剥離することでポリスチレン及びシリカの混合物からなる膜を得た。
この混合物膜を次のように熱処理した。まず、ポリスチレンを取り除くため、3℃/minの昇温速度で450℃まで昇温させ、その温度にて60分仮焼成を行った。また、シリカの焼結を行うため、仮焼成後800℃以上で約60分間熱処理を行った。更に機械的強度を向上させるため、900℃以上の温度にて15分間熱処理を行い、ゆっくりと室温に戻すことで、目的とする無機多孔質体を得た。
2)高分子電解質材料の含浸
市販されている高分子をスルホン化することによって、ポリエーテル系電解質材料を作製した。出発物質としてPoly(oxy−1,4−phenyleneoxy−1,4−phenylenesulfonyl−1,4−phenylene)を用い、これをスルホン化して得られた高分子電解質材料を使用した。合成したポリマー溶液を細孔内に導入してコンポジット型電解質膜を作製した。具体的には、所定濃度に調整したスルホン化ポリエーテル系電解質水溶液をシリカ多孔質膜に含浸させ、水を蒸発させることによってコンポジット型電解質膜を作製した。得られた無機・有機コンポジット型電解質膜の断面SEM像を図4に示す。これより、無機多孔質体の表面に電解質樹脂が存在している様子が観測された。
また、中和滴定により、乾燥した芳香族炭化水素系高分子を構成する単位重量あたりのスルホン酸基量を求め、得られた電解質材料のイオン交換容量を算出した。ここでは、イオン交換容量3.2meq/gのものを使用した。この値は、現在フッ素系電解質膜として代表的なNafionと比べ3倍以上のイオン交換容量となり、得られた高分子電解質材料はスルホン酸基密度が高く、プロトン伝導性発現に対してより有利に働くものであった。
(比較例1)
無機多孔質体に含浸させた高分子電解質材料としてNafion(商標:デュポン社製)溶液を用いた以外は、実施例1と同様の操作を繰り返して、コンポジット型電解質膜を作製した。含浸には、20%Nafion溶液を用い、実施例1と同様に作製されたシリカ多孔質膜の表面に、Nafion溶液を滴下・含浸させた後、乾燥機中で溶媒を蒸発させることで、Nafion含浸膜を得た。
(評価測定)
1)無機・有機コンポジット型電解質膜へ導入されたイオン伝導性官能基の定量
実施例1で得られた無機・有機コンポジット型電解質膜について、その電解質膜に含浸された高分子電解質量に結合しているプロトン伝導性を担う官能基の導入量をエネルギー分散形X線分光法(EDS法)を用いて、試料の組成元素分析を実施した。EDS法は、試料から出る特性X線のエネルギーを測定して、その試料の組成元素分析を行うことができる。この分析結果を図5に示す。
図5に示すように、無機多孔質体を構成するSi元素と芳香族炭化水素系高分子電解質に導入された、プロトン伝導を担うスルホン酸基に由来するS元素がEDSスペクトルで検出されており、これらの検出ピークから、それぞれの元素量を感度補正により算出し、元素比S/Siを求めた。
実施例1の電解質膜では、S/Si=15.9を示し十分な電解質量が存在することがわかった。一方、比較例1で得られたNafion含浸膜は、S/Siが0.1未満であった。このように、本発明の電解質膜は、Nafion含浸膜より多くの電解質が無機多孔質体に導入されている。
現時点では、このメカニズムは明確ではないが、GebelのX線と中性子散乱測定の結果では(G.Gebel,Polymer,41,5829−5838(2000))、溶液状態のNafionは、高分子によって構成されたネットワークの周りをスルホン酸基が取り囲み、この棒状の形成体の周りを水が取り囲んでいるとの報告がなされている。これより、この棒状に構成された高分子ミセルが、ナノメートルオーダーで空孔を制御されている無機多孔質の孔中に対するNafionの導入を阻害していると推測できる。
Figure 0004716706
2)無機・有機コンポジット型電解質膜のプロトン伝導性評価
得られたコンポジット型電解質膜のプロトン伝導性については、所定面積の金電極を両面から試料を挟み、100Hz〜1MHzの交流波をかけて計測したインピーダンスにて評価を行った。ここでのイオン導電率は多孔度を考慮せず、金電極と接触する面積を元に算出を行った。計測は、水蒸気分圧が飽和状態となるように温度・湿度の環境を調整して行った。この結果を図6に示す。
図6に示すように、実施例1で得られた電解質膜は、Nafion含浸膜と比較して高いイオン伝導性を示した。一方、Nafion含浸膜では明らかに寸法変化が目視で確認されたが、実施例1で得られた電解質膜は環境湿度を変化させても寸法変化を目視で認められず、含水に伴う電解質膨潤に対して効果が認められた。
本発明の電解質膜の構造を模式的に示す概略図である。 ポリエーテル系のポリマーの一例を示す構造式である。 プロトン伝導性コンポジット型電解質膜の作製手順を示すフロー図である。 コンポジット型電解質膜の断面SEM像を示す写真である。 EDSスペクトルの計測例を示すグラフである。 実施例1及び比較例1で得られた電解質膜のプロトン伝導度を示すグラフである。

Claims (6)

  1. シリカにより形成される無機多孔質体が有する複数の球状孔内に炭化水素系電解質材料を配設して成るプロトン伝導性コンポジット型電解質膜であって、
    上記球状孔は、内径がほぼ均等であり、六方最密充填構造に起因する規則配列構造を有し、且つ多孔質体内部に3次元的に存在し隣接する球状孔との間に規則的に形成された連通口を有し、上記炭化水素系電解質材料は、該連通口を介してプロトン伝導性を示すことを特徴とするプロトン伝導性コンポジット型電解質膜。
  2. 上記炭化水素系電解質材料が、芳香族炭化水素系高分子ポリマーにプロトン伝導性を発現する官能基を付与して成ることを特徴とする請求項1に記載のプロトン伝導性コンポジット型電解質膜。
  3. 上記炭化水素系電解質材料が、少なくとも1meq/g〜6meq/gのイオン交換容量を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のプロトン伝導性コンポジット型電解質膜。
  4. 上記炭化水素系電解質材料が、ポリエーテル系のポリマーから成ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載のプロトン伝導性コンポジット型電解質膜。
  5. 上記炭化水素系電解質材料が、ポリエーテルエーテルスルホンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載のプロトン伝導性コンポジット型電解質膜。
  6. 請求項1〜5のいずれか1つの項に記載のプロトン伝導性コンポジット型電解質膜を製造するに当たり、
    コロイダルシリカと球状有機樹脂を溶媒を用いて混合する工程と、この混合溶液を攪拌する工程と、この混合溶液を濾過により製膜する工程と、濾過成形膜に含まれる余剰水分の除去工程と、余剰水分を除去した濾過成形膜の乾燥工程と、乾燥させて得られた濾過成形膜の球状有機樹脂を除去する仮焼成工程と、仮焼成して得られた濾過成形膜の加熱焼成工程と、この加熱焼成して得られた無機多孔質体へ炭化水素系電解質材料を含浸させる工程と、電解質材料を含浸させたコンポジット型電解質膜の乾燥工程と、を行うことを特徴とするプロトン伝導性コンポジット型電解質膜の製造方法。
JP2004305631A 2004-10-20 2004-10-20 プロトン伝導性コンポジット型電解質膜及びその製造方法 Expired - Fee Related JP4716706B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004305631A JP4716706B2 (ja) 2004-10-20 2004-10-20 プロトン伝導性コンポジット型電解質膜及びその製造方法
US11/252,542 US20060083962A1 (en) 2004-10-20 2005-10-19 Proton-conductive composite electrolyte membrane and producing method thereof
US12/081,551 US20080213646A1 (en) 2004-10-20 2008-04-17 Proton-conductive composite electrolyte membrane and producing method thereof
US13/292,679 US20120058416A1 (en) 2004-10-20 2011-11-09 Proton-conductive composite electrolyte membrane and producing method thereof

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004305631A JP4716706B2 (ja) 2004-10-20 2004-10-20 プロトン伝導性コンポジット型電解質膜及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006120409A JP2006120409A (ja) 2006-05-11
JP4716706B2 true JP4716706B2 (ja) 2011-07-06

Family

ID=36538115

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004305631A Expired - Fee Related JP4716706B2 (ja) 2004-10-20 2004-10-20 プロトン伝導性コンポジット型電解質膜及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4716706B2 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008004533A (ja) * 2006-05-22 2008-01-10 Nissan Motor Co Ltd イオン伝導体
JP2008034212A (ja) * 2006-07-28 2008-02-14 Nissan Motor Co Ltd イオン伝導体、エネルギーデバイス及び燃料電池
JP5196765B2 (ja) * 2006-11-17 2013-05-15 日産自動車株式会社 プロトン伝導性コンポジット型電解質膜及びその製造方法
CN101803098B (zh) 2007-09-21 2013-11-06 丰田自动车株式会社 质子传导材料、制造质子传导材料的方法和含质子传导材料的膜-电极组件
JP2011113671A (ja) * 2009-11-24 2011-06-09 Tokyo Metropolitan Univ 高分子電解質膜およびその製造方法ならびにダイレクトメタノール形燃料電池
EP3076466B1 (en) * 2013-11-26 2018-02-28 LG Chem, Ltd. Polymer electrolyte membrane, membrane electrode assembly comprising polymer electrolyte membrane, and fuel cell comprising membrane electrode assembly
CN112710718B (zh) * 2020-12-17 2023-04-18 景德镇陶瓷大学 一种陶瓷中空微球电化学传感器及其应用

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0597537A (ja) * 1991-10-02 1993-04-20 Kanebo Ltd セラミツクス多孔体の製造方法
AU2831000A (en) * 1999-03-08 2000-09-28 Center For Advanced Science And Technology Incubation, Ltd. Electrolytic membrane for fuel cell and its manufacturing method, and fuel cell and its manufacturing method
DE19919881A1 (de) * 1999-04-30 2000-11-02 Univ Stuttgart Organisch-Anorganische Komposites und Kompositmembranen aus Ionomeren oder Ionomerblends und aus Schicht- oder Gerätsilicaten
JP3876311B2 (ja) * 2002-08-28 2007-01-31 独立行政法人物質・材料研究機構 セラミックス多孔体の製造方法
JP3979642B2 (ja) * 2002-09-24 2007-09-19 株式会社ノリタケカンパニーリミテド 燃料電池用電極
JP2004146801A (ja) * 2002-10-03 2004-05-20 Murata Mfg Co Ltd 多孔質磁性体、多孔質磁性体の製造方法、電波吸収体、及び磁性体レンズ
JP4419550B2 (ja) * 2003-12-16 2010-02-24 コニカミノルタホールディングス株式会社 プロトン伝導性電解質膜の製造方法とプロトン伝導性電解質膜、及びプロトン伝導性電解質膜を用いた燃料電池

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006120409A (ja) 2006-05-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20080213646A1 (en) Proton-conductive composite electrolyte membrane and producing method thereof
Amirinejad et al. Cesium hydrogen salt of heteropolyacids/Nafion nanocomposite membranes for proton exchange membrane fuel cells
Lu et al. HPW/MCM‐41 phosphotungstic acid/mesoporous silica composites as novel proton‐exchange membranes for elevated‐temperature fuel cells
KR101022689B1 (ko) 중합체성 매트릭스에 분산되고, 선택적으로 개질된지르코늄 포스페이트를 함유하는 이온 전도성 복합체 막물질, 상기 막 물질의 제조방법 및 그 용도
Lu et al. A novel inorganic proton exchange membrane based on self-assembled HPW-meso-silica for direct methanol fuel cells
Amirinejad et al. Preparation and characterization of phosphotungstic acid-derived salt/Nafion nanocomposite membranes for proton exchange membrane fuel cells
KR100864165B1 (ko) 제올라이트를 이용한 유/무기 복합 전해질막 및 이를포함하는 연료전지
ES2551442T3 (es) Procedimiento de preparación de partículas de arcilla conductoras de protones y material compuesto que comprende tales partículas
Zeng et al. Phosphotungstic acid functionalized silica nanocomposites with tunable bicontinuous mesoporous structure and superior proton conductivity and stability for fuel cells
KR102036766B1 (ko) 바나듐 이온 저투과를 목적으로 하는 세공충진형 양쪽성막 및 이의 제조방법
Guo et al. Zwitterion threaded metal–organic framework membranes for direct methanol fuel cells
JP5145602B2 (ja) 導電体、及びこれを用いたエネルギーデバイス、燃料電池セル
WO2011156933A1 (zh) 一种具有离子交换功能的复合材料及其制备方法和用途
Sahu et al. Co‐assembly of a Nafion–Mesoporous Zirconium Phosphate Composite Membrane for PEM Fuel Cells
Mohanapriya et al. Cesium-substituted mesoporous phosphotungstic acid embedded chitosan hybrid polymer membrane for direct methanol fuel cells
Yuan et al. Preparation and properties of Nafion®/hollow silica spheres composite membranes
KR100963747B1 (ko) 전기장을 이용한 고분자 필름 제조 방법
KR20120128905A (ko) 고체 고분자 전해질형 연료전지용 다층 강화 복합전해질 막, 그 제조방법, 그 막을 구비한 막-전극 어셈블리 및 연료전지
JP4716706B2 (ja) プロトン伝導性コンポジット型電解質膜及びその製造方法
JP4925091B2 (ja) プロトン伝導性コンポジット型電解質膜及びその製造方法
JP2007311311A (ja) イオン伝導体
JP5196765B2 (ja) プロトン伝導性コンポジット型電解質膜及びその製造方法
JP4576784B2 (ja) プロトン伝導体膜及びその製造方法、膜−電極接合体及びその製造方法、並びに電気化学デバイス
JP5183886B2 (ja) プロトン伝導性コンポジット型電解質膜及びその製造方法
JP4379025B2 (ja) 氷点以下でも使用可能な直接メタノ−ル形燃料電池用電解質膜および直接メタノ−ル形燃料電池

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070925

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100603

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100609

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100802

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110329

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110329

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140408

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees