JP4716477B2 - 樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂組成物に関する。特に、本発明は、オイルブリードが無く、かつ優れた機械強度および耐摩耗性を有する樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術および本発明が解決しようとする課題】
従来、スチレン系樹脂組成物またはエチレン−プロピレン系樹脂組成物に可塑剤としてオイル、樹脂成分としてオレフィン系樹脂等を添加することにより所定の硬度を有する熱可塑性エラストマー樹脂組成物が得られており、オイルとしてパラフィンオイルがよく用いられている。しかし、オイル添加により、低硬度化は可能となるが、他の樹脂成分に比べて分子量の低いものが使用される為、耐熱性、耐候性、機械強度、耐摩耗性等の低下が発生する。
また、軟らかい熱可塑性樹脂組成物を得る場合、オイルを使用すると、成形品表面にオイルブリードしてしまうと言う問題があった。
さらに、熱可塑性樹脂組成物が吸収できるオイル量には上限が有る為(オイル量/熱可塑性樹脂組成物量=3強が限界)、それ以上のオイルを添加した場合、オイルのブリードが発生する。
【0003】
本発明者らは先に、オイルに架橋剤および架橋助剤を配合してオイルを予め架橋し、その結果得られた物質を熱可塑性樹脂と配合することにより、オイルブリードの無い、非常に軟らかい樹脂組成物が得られることを見出した(特願2000−46199号)。そして、本発明者らはさらに、架橋剤を使用しなくてもオイルブリードを生じることなく樹脂組成物が得られることを見出した。すなわち、オイルに特定の多官能性不飽和化合物および熱可塑性樹脂を所定量添加し、加熱処理を行うことにより、多官能性不飽和化合物の自己重合およびオイル、熱可塑性樹脂へのグラフト反応が発生し、その結果、オイルブリードの抑制効果が得られ、得られる樹脂組成物の機械強度、耐摩耗性も向上することがわかった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
(a)非芳香族炭化水素系ゴム用軟化剤から選択される1種以上 100重量部、
(b)トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレートから成る群から選択される1以上 0.1〜50重量部、及び
(c)(c−1)芳香族ビニル化合物から主として作られる少なくとも1つの重合体ブロックAと、共役ジエン化合物から主として作られる少なくとも1つの重合体ブロックBとから成るブロック共重合体、及び/又は、これを水素添加して得られるブロック共重合体、及び
(c−2)エチレン共重合体(ゴム)
から選択される1種以上を含む熱可塑性樹脂 50〜1500重量部
を含む樹脂組成物(ここで、該樹脂組成物は架橋剤を含まない)を提供する。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の樹脂組成物に使用される各成分について説明する。
成分(a):非芳香族炭化水素系ゴム用軟化剤
本発明で用いられる非芳香族炭化水素系ゴム用軟化剤としては、非芳香族系の鉱物油又は液状、若しくは、低分子量の合成軟化剤が挙げられる。一般にゴム用鉱物油軟化剤は、芳香族環、ナフテン環及びパラフィン鎖を組み合わせた混合物であって、一般に、飽和炭化水素(パラフィン)鎖炭素数が全炭素数の50%以上を占めるものを飽和炭化水素(パラフィン)系、ナフテン環炭素数が30〜40%を占めるものをナフテン系、芳香族炭素数が30%以上を占めるものを芳香族系と呼び区別されている。本発明で用いられるゴム用鉱物油軟化剤は、上記の飽和炭化水素(パラフィン)系及びナフテン系が好ましい。芳香族系の軟化剤は、分散性が悪く好ましくない。
非芳香族炭化水素系ゴム用軟化剤として、飽和炭化水素(パラフィン)系の鉱物油軟化剤が特に好ましく、飽和炭化水素(パラフィン)系のなかでも芳香族環成分の少ないものが特に適している。
【0006】
飽和炭化水素(パラフィン)としては、具体的には、正パラフィン(メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナデカン、エイコサン、ヘンエイコサン、ドコサン、トリコサン、テトラコサン、ペンタコサン、ヘキサコサン、ヘプタコサン、オクタコサン、ノナコサン、トリアコンタン、ヘントリアコンタン、ドトリアコンタン、ペンタトリアコンタン、ヘキサコンタン、ヘプタコンタン);イソパラフィン(イソブタン、2−メチルブタン(イソペンタン)、ネオペンタン、2−メチルペンタン(イソヘキサン)、3−メチルブタン(イソペンタン)、2,2−ジメチルブタン(ネオヘキサン)、2,3−ジメチルブタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、3−エチルペンタン、2,2−ジメチペンタン、2,3−ジメチペンタン、2,4−ジメチルペンタン、3,3−ジメチルペンタン、2,2,3−トリメチルブタン(トリブタン)、3−メチルヘプタン、2,2−ジメチルヘキサン、2,3−ジメチルヘキサン、2,4−ジメチルヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン、3,4−ジメチルヘキサン、2,2,3−トリメチルペンタン、2,2,4−トリメチルペンタン(イソオクタン)、2,3,4−トリメチルペンタン、2,3,3−トリメチルペンタン、2,3,4−トリメチルペンタン、2−メチルオクタン(イソノナン)、2−メチルノナン、イソデカン、イソウンデカン、イソドデカン、イソトリデカン、イソテトラデカン、イソペンタデカン、イソオクタデカン、イソナノデカン、イソエイコサン、4−エチル−5−メチルオクタン)及び、これらの飽和炭化水素の誘導体等を挙げることができる。
これらの飽和炭化水素は、4〜155個、好ましくは、4〜50個の炭素原子を有する。
【0007】
具体的には、出光興産社製のPW−90(正パラフィン系プロセスオイル)、出光石油化学社製のIP−ソルベント2835(合成イソパラフィン系炭化水素、99.8wt%以上のイソパラフィン)が挙げられる。
【0008】
また、この他の成分として、少量の不飽和炭化水素及びこれらの誘導体が共存していても良い。不飽和炭化水素としては、エチレン系炭化水素(エチレン、プロピレン、1−ブテン(α−ブチレン、)2−ブテン(β−ブチレン)、イソブチレン(γ−ブチレン)、1−ペンテン(α−アミレン)、2−ペンテン(β−アミレン)、3−メチル−1−ブテン(γ−アミレン)、3−メチル−1−ブテン(α−イソアミレン)、2−メチル−2−ブテン(β−イソアミレン)、1−ヘキセン、2,3−ジメチル−2−ブテン(テトラメチルエチレン)、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン)、アセチレン列系炭化水素(アセチレン、メチルアセチレン、1−ブチン、2−ブチン、1−ペンチン、1−ヘキシン、1−オクチン、1−ノニン、1−デシン)を挙げることができる。
【0009】
成分(b):多官能性不飽和化合物
本発明で用いる成分(b)は、均一かつ効率的な架橋反応を行わせる効果を有し、特に、多量に使用することにより、大幅に低分子量物のブリードアウトを抑制することができる。
【0010】
上記の多官能性不飽和化合物としては、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレートが使用される。これらは、単独あるいは2種類以上を組み合わせて用いても良い。このような化合物により、均一かつ効率的な架橋反応が期待できる。
【0011】
多官能性不飽和化合物の添加量は、成分(a)100重量部に対して、上限値は、50.0重量部、好ましくは、45.0重量部であり、下限値は、0.1重量部である。下限未満では添加の効果が認められず、上限を超えては組成物の架橋が進みすぎて多官能性不飽和化合物が部分的に分散せず、製造出来るものの外観が悪く、圧縮永久歪みや耐油性も悪くなる。
【0012】
成分(c):熱可塑性樹脂
本発明において使用される熱可塑性樹脂は、芳香族ビニル系樹脂(ポリスチレン(PS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS))、芳香族ビニル系エラストマー樹脂(スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)、スチレン−エチレン・ブテン−スチレン共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン・エチレン・プロピレン−スチレン共重合体(SEEPS)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR))、ブタジエンゴム(BR)、ポリブタジエン(シンジオタックチク1,2−ポリブタジエン)、イソプレンゴム(IR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−プロピレンターポリマー(EPDM)、ブチルゴム(IIR)、アクリルゴム(ACM)、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP))、熱可塑性ポリエステル系エラストマー、熱可塑性ポリウレタン系エラストマー、熱可塑性アミド系エラストマー等が挙げられる。
成分(c)は、上記熱可塑性樹脂を、単独で、又は、任意の2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0013】
好ましくは、本発明において使用される熱可塑性樹脂は、ゴム状弾性体を必須成分とし、任意成分として、上記ゴム弾性体以外の熱可塑性樹脂を含むことができる。
中でもポリプロピレン系樹脂及び/又はその共重合体(c−3)、ポリエチレン系樹脂及び/又はその共重合体(c−4)、芳香族ビニル系樹脂(c−5)から成る群から選ばれる少なくとも一つ又はそれ以上の物質を更に含むことが好ましい。
【0014】
必須成分であるゴム状弾性体としては、天然ゴム、ジエン系合成ゴム、非ジエン系合成ゴム等のゴム状弾性を有する全ての物質を使用し得る。例えば、天然ゴム(NBR);ジエン系ゴム、例えば、ポリイソプレンゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、水素添加スチレン−ブタジエン共重合体(H−SBR)、スチレン−エチレン・ブテン−スチレン共重合体(SEBS)、スチレン−イソプレン・ブタジエン−スチレン共重合体(SIBS)、水素添加スチレン−イソプレン・ブタジエン−スチレン共重合体(SEEPS)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)、ABS等;非ジエン系ゴム、例えば、エチレン−プロピレンゴム(EPR)、エチレン−ブテンゴム(EBR)、エチレン−プロピレン非共役ジエンゴム(EPDM);及びメタロセン触媒を用い合成したエチレン−α−オレフィン共重合体、アクリル系ゴム(ACM、ANM)、フッ素系ゴム、ポリエステル系(共)重合体(エラストマー)、ポリアミドポリエステル系(共)重合体(エラストマー)等が挙げられる。上記のうち、ブロック共重合体(c−1)、並びにエチレン共重合体(ゴム)(c−2)が好ましく使用される。以下、(c−1)及び(c−2)について更に詳細に説明する。
【0015】
(c−1):ブロック共重合体
ブロック共重合体は、芳香族ビニル化合物から主として作られる少なくとも1つの重合体ブロックAと、共役ジエン化合物から主として作られる少なくとも1つの重合体ブロックBとからなるブロック共重合体、及び/又はこれを水素添加して得られるものである。例えば、A‐B、A‐B‐A、B‐A‐B‐A、A‐B‐A‐B‐Aなどの構造を有する芳香族ビニル化合物‐共役ジエン化合物ブロック共重合体あるいは、これを水素添加して得られるものである。このブロック共重合体は全体として、芳香族ビニル化合物を好ましくは5〜60重量%、特に好ましくは20〜50重量%含む。
【0016】
芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAは好ましくは、芳香族ビニル化合物のみから成るか、または芳香族ビニル化合物50重量%以上、好ましくは70重量%以上と(水素添加された)共役ジエン化合物(以下、(水素添加された)共役ジエン化合物とは、共役ジエン化合物、及び/又は、水素添加された共役ジエン化合物を意味する)との共重合体ブロックである。
【0017】
(水素添加された)共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBは好ましくは、(水素添加された)共役ジエン化合物のみから成るか、または(水素添加された)共役ジエン化合物50重量%以上、好ましくは70重量%以上と芳香族ビニル化合物との共重合体ブロックである。
【0018】
また、これらの芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックA、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBにおいて、分子鎖中の共役ジエン化合物又は芳香族ビニル化合物由来の単位の分布がランダム、テーパード(分子鎖に沿ってモノマー成分が増加又は減少するもの)、一部ブロック状又はこれらの任意の組合せでなっていてもよい。芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックA又は共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBがそれぞれ2個以上ある場合には、各重合体ブロックはそれぞれが同一構造であっても異なる構造であってもよい。
【0019】
ブロック共重合体を構成する芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、α‐メチルスチレン、ビニルトルエン、p‐第3ブチルスチレンなどのうちから1種又は2種以上を選択でき、なかでもスチレンが好ましい。また共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンなどのうちから1種又は2種以上が選ばれ、なかでもブタジエン、イソプレン及びこれらの組合せが好ましい。
【0020】
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBにおいては、そのミクロ構造を任意に選ぶことができ、また、水素添加率は任意であるが、好ましくは50%以上、より好ましくは55%以上、更に好ましくは60%以上である。例えばポリブタジエンブロックにおいては、1,2−ミクロ構造が好ましくは20〜50重量%、特に好ましくは25〜45%である。また、1,2−結合を選択的に水素添加した物であっても良い。ポリイソプレンブロックにおいてはイソプレンの好ましくは70〜100重量%が1,4‐ミクロ構造を有する。またイソプレン、ブタジエンに由来する脂肪族二重結合の好ましくは少なくとも70%、より好ましくは90%が水素添加されたものが好ましい。
【0021】
用途により水素添加したブロック共重合体を使用する場合には、好ましくは上記水添物を用途に合わせて適宜使用することが出来る。
【0022】
ブロック共重合体の数平均分子量は、好ましくは5,000〜1,500,000、より好ましくは、10,000〜550,000、更に好ましくは100,000〜400,000の範囲であり、分子量分布(多分散度 Mw/Mn)は好ましくは10以下である。
【0023】
ブロック共重合体の分子構造は、直鎖状、分岐状、放射状あるいはこれらの任意の組合せのいずれであってもよい。上記(水添)ブロック共重合体の具体例としては、SBS、SIS、SEBS、SEPS、スチレン−ブタジエン・ブチレン−スチレン共重合体(部分水添スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、SBBS)、並びにSIBS及びその水添物等を挙げることができる。
【0024】
これらのブロック共重合体の製造方法としては数多くの方法が提案されているが、代表的な方法としては、例えば特公昭40−23798号公報に記載された方法により、リチウム触媒又はチーグラー型触媒を用い、不活性媒体中でブロック重合させて得ることができる。水素添加する方法も公知である。
【0025】
(c―2):エチレン共重合体(ゴム)
エチレン共重合体(ゴム)としては、エチレン−プロピレン共重合体ゴム(EPR)、エチレン−ブテン共重合体ゴム(EBR)、並びにエチレン、プロピレン及び非共役ジエンのターポリマー(EPDM)が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0026】
エチレン−プロピレン共重合体ゴム(EPR)とはエチレンとプロピレンのゴム状共重合体であり、エチレン成分含量が、好ましくは40〜75重量%、より好ましくは60〜75重量%、更に好ましくは65〜75重量%である。エチレン成分含量が上記下限未満では、得られる樹脂組成物の耐摩耗性が不足し、粘着性も生ずる。エチレン成分含量が上記上限を超えては、得られる樹脂組成物の柔軟性が低下する。
【0027】
エチレン−ブテン共重合体ゴム(EBR)とはエチレンとブテンのゴム状共重合体であり、エチレン成分含量が好ましくは40〜85重量%、より好ましくは60〜85重量%、更に好ましくは60〜80重量%である。エチレン成分含量が上記下限未満では、得られる樹脂組成物の耐摩耗性が不足し、上記上限を超えては柔軟性が低下する。
【0028】
また、エチレン−プロピレン共重合体ゴム(EPR)に、エチレン、プロピレン以外の第三成分として不飽和基を有する繰返し単位を重合体に持たせたエチレン−プロピレンターポリマー(EPDM)を使用することもできる。ここで、非共役ジエンとしては好ましくは、5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)、1,4-ヘキサジエン、5-メチレン-2-ノルボルネン(MNB)、5-ビニルノルボルネン(VNB)、1,6-オクタジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン、1,3-シクロペンタジエン、1,4-シクロヘキサジエン及びジシクロペンタジエン(DCPD)が挙げられる。
【0029】
これらのエチレン共重合体(ゴム)のムーニー粘度[ML1+4(100℃)]は、好ましくは5〜120、より好ましくは10〜100である。ムーニー粘度が5未満の場合は、得られる樹脂組成物のゴム弾性が劣ることがある。また120を越えたものを用いると成形加工性が悪くなることがある。
【0030】
成分(c)において、成分(c−1)と成分(c−2)とを併用する場合、成分(c−1)/成分(c−2)の割合は、10/90〜90/10の範囲で使用できる。
【0031】
本発明で使用される熱可塑性樹脂(c)は、硬度を調整しながら樹脂組成物の流動性を上げ、成形性を良好にするために、任意成分として、ポリプロピレン系樹脂及び/又はその共重合体(c−3)、ポリエチレン系樹脂及び/又はその共重合体(c−4)、芳香族ビニル系樹脂(c−5)から成る群から選ばれる少なくとも一つ又はそれ以上の物質を更に含むことができる。
【0032】
(c−3):ポリプロピレン系樹脂及び/又はその共重合体
成分(c−3)は、得られる樹脂組成物のゴム分散を良好にし、かつ成形品の外観を良好にすると共に、硬度及び収縮率の調整に効果を有するものである。該成分は、パーオキシドの存在下に加熱処理することによって熱分解して分子量を減じ、溶融時の流動性が増大するオレフィン系の重合体又は共重合体であり、例えば、アイソタクチックポリプロピレンやプロピレンと他のα‐オレフィン例えばエチレン、1‐ブテン、1‐ヘキセン、4‐メチル‐1‐ペンテンなどとの共重合体を挙げることができる。
【0033】
ホモ部分のDSC測定による結晶化度は好ましくはTmが150℃〜167℃、△Hmが25mJ/mg〜83mJ/mgの範囲のものである。結晶化度はDSC測定のTm、△Hmから推定することができる。上記の範囲外では、得られるエラストマー組成物の100℃以上におけるゴム弾性が改良されない。
【0034】
成分(c−3)のMFR(ASTM D‐1238、L条件、230℃)は、好ましくは0.1〜200g/10分、更に好ましくは0.5〜100g/10分である。上記下限未満では、得られる樹脂組成物の成形性が低下し、上記上限を超えては、得られる樹脂組成物のゴム弾性が悪化する。
【0035】
成分(c)における成分(c−3)の配合量は、成分(a)100重量部に対して、上限が好ましくは1400重量部、より好ましくは1300重量部であり、下限が好ましくは5重量部、より好ましくは10重量部である。下限未満では、得られる樹脂組成物の成形性が悪化し、上限を超えた場合は、得られる樹脂組成物の硬度が高くなり過ぎ柔軟性が失われてゴム的感触の製品が得られない。
【0036】
(c−4):ポリエチレン系樹脂及び/又はその共重合体
成分(c−4)は、(c−3)ポリプロピレン系樹脂及び/又はその共重合体を配合した場合に、更に配合することができ、高密度ポリエチレン(低圧法ポリエチレン)、低密度ポリエチレン(高圧法ポリエチレン)、線状低密度ポリエチレン(エチレンと少量の、好ましくは1〜10モル%のブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1などのα−オレフィンとのコポリマー)などのポリエチレン、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−アクリル酸エステルコポリマーなどの中から選ばれた1種又は2種以上が好ましく用いられる。特に好ましいのはメタロセン触媒(シングルサイト触媒)を用いて製造された、密度0.90g/cm3 以下のエチレン・オクテン・コポリマー又は密度0.90g/cm3以上のエチレン・ヘキセン・コポリマーである。
【0037】
例えば、特開昭61−296008号公報に記載された方法に従い、支持体及び周期律表の4b族、5b族並びに6b族の金属の少なくとも1つを含むメタロセンとアルモキサンとの反応生成物で構成され、当該反応生成物が支持体の存在のもとで形成される事を特徴とするオレフィン重合体触媒によって重合されたオレフィン系重合体が挙げられる。
【0038】
他の例として、特開平3−163008号公報に記載された、元素の周期律表の3族(スカンジウム以外)、4〜10族又はランタナイド系列の金属、及び拘束誘起部分で置換された脱局在化π結合部分を含む金属配位錯体であって、該錯体が該金属原子のまわりに拘束幾何形状を持っていて該局在化置換π結合部分の中心と少なくとも1つの残存置換分の中心との間の金属角度が該拘束誘起置換分が水素によって置換されていることのみ異なる比較錯体中のこのような角度により小さく、そして更に1つ以上の脱局在化置換π結合部分を含むそのような錯体について錯体のそれぞれに金属原子ごとにその1つのみが環状の脱局在化置換π結合部分であることを特徴とする金属配位錯体より重合されたオレフィン系重合体が挙げられる。
【0039】
成分(c−4)は好ましくは、温度190℃、荷重2.16kgにおけるMFRが0.01〜30.0g/10分、より好ましくは0.03〜20.0g/10分である。
【0040】
成分(c)における成分(c−4)の配合量は、成分(a)100重量部に対して、上限が300重量部、好ましくは200重量部である。下限値を設けるならば、好ましくは1重量部、より好ましくは、5重量部である。上限を越えると、得られる樹脂組成物の柔軟性が失われる。
【0041】
(c−5):芳香族ビニル系樹脂
本発明の樹脂組成物において熱可塑性樹脂成分(c)として用いることのできる芳香族ビニル系樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ゴム変性ポリスチレン(耐衝撃性ポリスチレン)、スチレン−α−メチルスチレン共重合体、スチレン−パラメチルスチレン共重合体、スチレン−アクリル酸ゴム−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体などが挙げられ、これらのうちから1種類又は2種類以上を選択できる。ゴム変性ポリスチレンのゴム成分は2〜15重量%含有するものである。これらの中でもポリスチレンが好ましい。また、ポリスチレンのメルトフローレートは、0.5〜60g/10分(200℃、荷重5.0kgで測定)のものが好ましく、さらに、重量平均分子量103〜107のものが好ましい。
【0042】
成分(c)における成分(c−5)の配合量は、成分(a)100重量部に対して、上限が300重量部、好ましくは200重量部である。下限値を設けるならば、好ましくは1重量部、より好ましくは、5重量部である。上限を越えると、得られる樹脂組成物の柔軟性が失われる。
【0043】
本発明の樹脂組成物における成分(c)の配合量は、成分(a)100重量部に対して、上限値が1500重量部であり、下限値が50重量部、好ましくは、100重量部である。100〜300重量部の熱可塑性樹脂を配合すると、JISK7215に示されるA硬度を有する軟らかい樹脂組成物がブリードアウトを生じることなく得られる。300重量部を超えると、JIS K7215に示されるD硬度を有する樹脂組成物が得られる。より硬い樹脂組成物を得たい場合には、熱可塑性樹脂を400重量部以上加えることが好ましい。さらに硬い樹脂組成物を得たい場合には、熱可塑性樹脂を600重量部以上加えることが好ましい。上限値を超えると、得られる樹脂組成物の硬度が高くなりすぎ、柔軟性が失われてゴム的触感の製品が得られず、かつ成形加工性が悪化する。下限値未満の場合は、柔軟になりすぎて成形性が失われる。
【0048】
本発明の樹脂組成物は、上記の成分の他に、ブロッキング防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑材、着色剤、増粘材、老化防止剤、充填剤等を含むことが出来る。
【0049】
製造方法
次に、本発明の樹脂組成物の製造方法について具体的に説明する。
【0050】
本発明の樹脂組成物は、成分(a)、(b)及び(c)をブレンドした後、混練装置を用いて混練することにより得られる。混練温度は、160〜230℃である。または、混練機能を持った押出成形機、射出成形機で成形品を成形することもできる。
本発明で使用する混練装置としては、加圧ニーダー、バンバリーミキサー、単軸押出機、2軸押出機、多軸押出機等が挙げられる。好ましくは、加圧ニーダー、バンバリー等のバッチ式混練装置で混練する方法が良い。連続的に行う場合には、バッチ式混練装置と押出機とが組み合わされた、例えば、加圧ニーダーと押出機が組合わさった装置(バッチ供給型連続押出装置)で混練する方法が良い。
【0051】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で使用した物質および物性の測定方法は以下の通りである。
【0052】
使用物質
成分(a):PW-90(商標)(出光興産(株)製)
種類:正パラフィン系プロセスオイル
成分(b):NK Ester IND (商標)(新中村化学(株)製)
種類:2−メチル−1,8−オクタンジオールジメタクリレート(85%)、1,9−ノナンジオールジメタクリレート(15%)の混合物
成分(c−1):SEPS (クラレ(株)製 セプトン4077(商標))
種類:スチレン−エチレン・プロピレン−スチレン共重合体
成分(c−2):EP941P(商標)(JSR製EPM)
プロピレン含量27%、ムーニー粘度42(125℃);
成分(c−3):PN610S(商標)(トクヤマ(株)製)
種類:ブロックタイプポリプロピレン
成分(c−4):HB214R(商標)(日本ポリケム製HDPE)
MI=0.05g/10分
【0053】
測定方法
(1)耐ブリード性:折り曲げてクリップで固定した押出シートを室温と110℃の雰囲気で168時間放置し、低分子量物のブリード及びブルーミングの有無を目視により観察し、次の基準で評価した。
○:良い
×:悪い
(2)射出成形性:130mm×130mm×2mmのシートを射出成形し、その外観を目視により観察し、フローマーク、ヒケ発生の有無を次の基準で評価した。
○:良い
×:悪い
(3)引張強度:JIS K6251に従い、JIS3号ダンベルにて評価した(引張速度 500mm/分)。
(4)硬度:JIS K7215に準拠し、試験片は6.3mm厚プレスシートを用いた。
【0054】
表1に記載の配合量に従って各成分を配合し、加圧ニーダーを用いて混練して(ニーダー温度160〜230℃)、樹脂組成物を得た。その結果、実施例1〜10については、表1に示す良好な物性を有する樹脂組成物が、ブリードアウトを生じることなく得られた。また、実施例1〜7、9および10における成分(c−1)のセプトン4077の一部、又は全部をタフテックP JT−90(旭化成社製 スチレン−ブタジエン・ブチレン−スチレン共重合体、SBBS、スチレン含有量:30重量%、重量平均分子量(Mw):110,000、数平均分子量(Mn):99,000、分子量分布:1.11)で置き換えても同様に良好な結果が得られた。
【0055】
【表1】
【0056】
【発明の効果】
本発明の樹脂組成物は、オイルブリードが無く、かつ機械強度、耐摩耗性も良好である。
Claims (5)
- (a)非芳香族炭化水素系ゴム用軟化剤から選択される1種以上 100重量部、
(b)トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレートから成る群から選択される1以上 0.1〜50重量部、及び
(c)(c−1)芳香族ビニル化合物から主として作られる少なくとも1つの重合体ブロックAと、共役ジエン化合物から主として作られる少なくとも1つの重合体ブロックBとから成るブロック共重合体、及び/又は、これを水素添加して得られるブロック共重合体、及び
(c−2)エチレン共重合体(ゴム)
から選択される1種以上を含む熱可塑性樹脂 50〜1500重量部
を含む樹脂組成物(ここで、該樹脂組成物は架橋剤を含まない)。 - 成分(a)が、直鎖状飽和炭化水素であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
- 成分(a)が、室温で液状であることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂組成物。
- 成分(c)が更に、
(c−3)ポリプロピレン系樹脂及び/又はその共重合体
を含み、かつ成分(c−3)の量が成分(a)100重量部に対して5〜1400重量部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。 - 成分(c)が更に、
(c−4)ポリエチレン系樹脂及び/又はその共重合体
を含み、かつ成分(c−4)の量が成分(a)100重量部に対して300重量部以下であることを特徴とする請求項4に記載の樹脂組成物。
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