JP4715194B2 - 有機無機複合体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリウレタンまたはポリ尿素と短軸径5nm以下、アスペクト比3以上の酸化アルミニウム微粒子とを有する有機無機複合体及びその製造方法に関する。
有機ポリマーがもつ加工性、柔軟性等の特性と、無機物質が持つ諸特性(寸法安定性、耐熱性、耐摩耗性、表面硬度、ガスバリア性)等の特性を付与することを目的として、無機微粒子を有機ポリマー内に複合化する技術が広く検討されている。このとき有機無機複合体中の無機微粒子の形状及び分散状態の形態を制御することができれば、上記の各機能をさらに強化した複合体を提供することができる。例えば、無機微粒子を板状等のアスペクト比を有する形状にすると、該粒子の長手方向への補強効果を、球状微粒子を同じ量だけ含有させた場合よりも強く発現させることができる。また、このような板状微粒子が板側面で連結し、任意の方向にランダムに伸長した構造で有機ポリマーに存在していると、異方性が殆どない状態で有機ポリマーを補強することができる。
更に、その際の無機微粒子の粒径を極力小さく、無機充填率を高くすることでさらに無機材料の複合化効果を高めることができる。なぜなら無機粒子の粒径が小さいと無機粒子の重量当たりの表面積が大きくなり有機材料と無機材料との界面領域が広くなることで高い補強効果が得られ(面積効果)、また、無機微粒子の充填率が高くなると、当然複合化の効果が大きくなるからである(体積効果)。
従来より、有機無機複合体を容易に作製する方法の一つとして、溶融混練法が行われてきた。本方法は微粒子状の無機物を溶融した有機成分中に分散機等を用いて強制的に混合するものであるが、本方法では、その製法から推測できるとおり無機粒子がランダムに有機成分中に分散されるのみであり、分散状態を制御することは不可能である。加えて、本方法では表面エネルギーの高い無機微粒子同士の親和性、有機材料と無機材料の非親和性により無機粒子の凝集が混練処理中に進行するため、ナノメートルオーダーの微粒子を高い含有率で分散させることも極めて困難である。また、短軸方向(厚さ方向)に凝集しない、厚さ5nm以下の微粒子は単独ではそもそも存在しえない。
また、他の方法として、有機ポリマーの共存下で金属アルコキシドを加水分解重縮合反応させて金属酸化物とする、いわゆるゾル−ゲル法を利用し、有機ポリマーに無機微粒子を複合化する方法が数多く知られている。例えば特許文献1にはポリウレタンを有機ポリマーとして用いた有機無機複合体について記載されている。しかしながら本方法では、金属アルコキシドの加水分解とこれに続いて生じる重縮合(無機粒子生成)の反応にそれぞれ長時間を要するため製造効率が極めて低い問題点がある。また、無機粒子生成に時間を要するため、該無機粒子は表面エネルギーが最小になるように球形状で析出するため、補強効果の高い板形状の無機微粒子を有する有機無機複合体を合成することはできない。
一方、板形状の無機材料を有機材料に複合化する方法としては、無機原料として粘土鉱物等の層状物質を用い、該層を有機ポリマー中で薄片化することによりナノオーダーの板状物を有機ポリマー中に複合化させる方法が知られている(例えば、特許文献2及び3参照。)。しかしながら本方法では、有機ポリマーに対する分散性が低く層間の結合も強い粘土鉱物を用いるため、予め粘土層間のカチオンをアルキル基を有する4級アンモニウム塩等でイオン交換(有機変性処理)することで、層状物質の極性と層間結合力を低下させる必要がある。また、このような処理を行なっても、層状物質の全ての層を完全に剥離させることは極めて困難である。そのため、本方法で得られた有機無機複合体の無機成分は、層剥離が不十分な厚さ数十nmの凝集物との混合体が存在し、無機の導入量に比してその効果が十分とはならない。加えて、本方法では無機微粒子の分散状態を制御することは実質的に不可能である。また無機成分の導入量も複合体100質量%に対して、10質量%以上にすると無機成分の分散不良や再凝集が生じやすくなる。更に、有機ポリマーと複合化しやすい層状物質は有機ポリマーとの分散性の観点より層の電荷が低い材料に限られる上、上記の通り有機変性処理を行う必要があるため一般的に高価である問題もある。
特開2000−63661 特開平11−256034 特開平11−131047
本発明の課題は、有機無機複合体において酸化アルミニウム微粒子が、板状の板面同士で凝集することなく、短軸径5nm以下の厚さを維持して有機成分中に存在する新規な有機無機複合体を提供することにある。
また、本発明では該有機無機複合体を安価な無機原料をもちいつつ、常圧室温下の短時間の反応で容易に得ることができる製造方法を提供することにある。
本発明者らは、ジクロロホーメート化合物およびホスゲン系化合物からなる群から選ばれる1種の化合物を有機溶媒に溶解した有機溶液と、アルミン酸アルカリおよびジアミンを水に溶解した水溶液とを接触させることで重縮合反応を行うことで、1.アルミニウムが三価の価数を有するため酸化アルミニウムが厚さ5nm以下の板形状で析出し、2.析出した板状酸化アルミニウムの上下面でポリマー形成が優先的に生じるため、板状の酸化アルミニウムが板の面同士で凝集することがない、新規な有機無機複合体が簡便に得られることを見出した。
すなわち本発明は、ポリウレタンおよびポリ尿素からなる群から選ばれる少なくとも1種の有機ポリマーと、酸化アルミニウム微粒子とを有する有機無機複合体であって、前記微粒子が短軸径5nm以下、アスペクト比3以上である有機無機複合体を提供する。
また、本発明は、ジクロロホーメート化合物およびホスゲン系化合物からなる群から選ばれる1種の化合物を有機溶媒に溶解した有機溶液と、アルミン酸アルカリおよびジアミンを水に溶解した水溶液とを接触、反応させることを特徴とする有機無機複合体の製造方法を提供する。
本発明により、5nm以下の短軸径と、アスペクト比3以上の形状を有する酸化アルミニウム微粒子が、ポリウレタン及び/またはポリ尿素に中に存在する有機無機複合体を提供できる。
また、本発明の製造方法により、前記特徴を有する有機無機複合体を常圧室温下の30分間以下の短い攪拌操作1ステップのみの反応で容易に得ることができる。さらに本発明は板形状を有する無機微粒子の原料として極めて安価なアルミン酸アルカリを用いることができる。
以下、本発明の有機無機複合体について詳述する。
本発明の、ポリウレタンおよびポリ尿素からなる群から選ばれる有機ポリマーと、酸化アルミニウム微粒子とを有する有機無機複合体であって、前記酸化アルミニウム微粒子が短軸径5nm以下、アスペクト比3以上の形状を有する有機無機複合体は、ジクロロホーメート化合物およびホスゲン系化合物からなる群から選ばれる1種の化合物を有機溶媒に溶解した有機溶液(A)と、アルミン酸アルカリと、ジアミンとを含有する塩基性の水溶液(B)とを混合攪拌し反応させることにより得ることができる。
加えてこの方法によると、無機成分比率を10質量%以上と高くすることもでき、その際には酸化アルミニウム微粒子がその長軸方向に連結し、任意の方向にランダムに伸長した構造を持つことで、無機材料の特性を強く発現させた有機無機複合体を提供することができる。
(水溶液(B)の成分)
本発明の有機無機複合体の合成に用いられる水溶液(B)は水と、無機原料であるアルミン酸アルカリと、ジアミンとから構成される。
(アルミン酸アルカリ)
本発明での水溶液(B)に使用するアルミン酸アルカリは、XAlO(メタアルミン酸アルカリ)やXAlO(オルトアルミン酸アルカリ)およびこれらの共溶物であり、Xがアルカリ金属であるものが挙げられる。これらの例として、アルミン酸ナトリウム(ソーダ)、アルミン酸カリウム、アルミン酸リチウム等が例示できる。特にアルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウムは水溶性が高いため特に好ましく用いられる。また、これらは水に溶解させて用いるため、液体であっても水和物であっても好適に用いることができる。加えてアルミン酸ナトリウムは土壌改良剤、セメント添加剤等として大量に用いられている極めて安価な材料であり、このような材料を無機成分の原料として用いることも本発明の特徴のひとつである。本発明での、有機溶液(A)中のモノマー(ジクロロホーメート化合物、ホスゲン系化合物)と水溶液(B)中のジアミンとの反応は、ジカルボン酸ハロゲン化物とジアミンとの混合によりポリアミドを合成する反応に比べ反応性がやや低い。そのため前記反応を促進するためには、水に溶解したときに高いpHを示す無機原料を用いることが好ましい。本発明で用いられるアルミン酸アルカリは一般的に水溶時にpH12以上の高いpHを示すため、いずれも好ましく用いられる。
(アルミン酸アルカリの複合体合成に与える作用)
アルミン酸アルカリに含まれるアルカリ金属は、ジアミンとジクロロホーメート化合物およびホスゲン系化合物からなる群から選ばれる1種の化合物との重合により、ポリウレタンまたはポリ尿素が生成する際に発生する酸の除去剤として作用することで、ポリウレタンまたはポリ尿素の重合反応をさらに促進する。アルカリ金属が除去されたアルミン酸はアルミノール基を経由し、脱水縮合しつつ相互に結合しナノサイズの酸化アルミニウム微粒子を形成する。このとき、モノマーからポリウレタンまたはポリ尿素への重合とアルミン酸アルカリから酸化アルミニウムへの化学変化が並行、且つ相補的に進行するため、片方の生成物が優先的に析出することを抑制し、ナノ微分散構造が形成される。特に、その際、アルミニウムイオンが3価であることに起因し、析出反応が二次元方向に優先的に進行し、二次元構造すなわち板状の酸化アルミニウムが生成すると推定される。
本反応機構によると、板状の酸化アルミニウムが生成するためには、ポリマー重合の際に発生する酸が必須であり、また逆にポリマー重合を進行させるためには酸除去剤としての作用を有する、アルミン酸アルカリが酸化アルミニウムとなり析出する際に発生する水酸化アルカリが必須である。そのため本反応では、いわゆるボトムアップ型に酸化アルミニウムのナノサイズ板状物が生成し、その周囲、特に酸化アルミニウムの生成反応部である板の上下面にて優先的にポリマーが重合生成するために、本質的に板状物の面同士が凝集した無機粒子が生成しない。そのため、無機微粒子が5nm以下と極めて短軸径の小さい(厚さが薄い)微粒子板状構造として有機ポリマー中に生成される。
加えて本発明では、無機微粒子の含有率を高くすることもできるため、板状の無機微粒子が新たに生成するサイトがすでに生成した無機微粒子の末端部分となる確率が高くなる。そのため、板状のナノ微粒子の末端同士が接続した無機微粒子の連続体を構成させることができる。そのときの連続体の伸長方向は他の決定要因がないため特に決まってはおらず、曲がりくねった状態になりやすい。その結果、複合体をマクロ的に見た場合無機の複合状態に異方性がないものが得られ、無機材料の特性を強く発現させた有機無機複合体を提供することができる。
(複合化する無機化合物含有率の制御)
本発明では、有機無機複合体に複合化する酸化アルミニウムを含有する無機化合物の比率を、用いる原料により容易に制御することができる。アルミン酸アルカリの上記化学式のAl/XOの数値が大きいもの、すなわちXに対するAlの量が大きいアルミン酸アルカリを用いることで、複合化する酸化アルミニウムの比率を高めることができる。また反対に、複合化する酸化アルミニウムの比率を低くしたい場合には、Al/XOの数値が小さいものを用いるほかに、水溶液(B)中に導入するアルミン酸アルカリ量を少なくすると同時に重縮合反応時に生じるハロゲン化水素の中和を目的として水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどの酸受容体を水溶液(B)に添加してもよい。
本発明では、複合体100質量%に無機化合物含有量には特に制限がない。酸化アルミニウム含有率が数%以下の低い場合でも、5nm以下の厚さで、アスペクト比が3以上の板状の微粒子が、板面方向への凝集体を形成することなく存在するため、他の有機無機複合体に比して無機成分の補強効果が高い。加えて本発明では通常の製造方法では困難な10質量%以上のナノメートルオーダーの無機成分も、無機成分の凝集を生じることなく容易に複合化することができる。この場合、板状無機成分は末端部分でのみ連結し、有機マトリクス内で曲がりくねった状態で複合化されるため、マクロ的には異方性がなく無機的な性質が強く発現した有機無機複合体が得られる。無機含有率の上限には特に制限はないが、市販のアルミン酸アルカリのAl/XOの数値に上限があることや、有機成分の量が少なくなると、有機材料に起因する加工性、柔軟性等の特徴が失われるので、60質量%以下が好ましい。
(ジアミン)
水溶液(B)中のジアミンとしては、有機溶液(A)中の各モノマーと反応し、有機ポリマーを生成するものであれば特に制限なく用いることができる。具体的には、1,2−ジアミノエタン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,8−ジアミノオクタンなどの脂肪族ジアミン;m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,5−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミノナフタレン、2,3−ジアミノナフタレンなどの芳香族ジアミン;あるいは芳香環の水素をハロゲン原子、ニトロ基、またはアルキル基などで置換した芳香族ジアミンなどが例として挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(酸化アルミニウム以外の無機成分の導入)
本発明では、水溶液(B)に溶解状態で共存できる他のアルカリ金属複合酸化物(例えば、亜鉛酸アルカリ、スズ酸アルカリ、マンガン酸アルカリ、モリブデン酸アルカリ、タングステン酸アルカリ、ニオブ酸アルカリ、アンチモン酸アルカリ等)をさらに水溶液(B)に溶解させることで、無機微粒子の成分に酸化アルミニウム以外の金属酸化物を酸化アルミニウム単独の複合体と同様の形状を有する範囲内で他の金属酸化物を導入しても良い。本方法により、無機成分の粒子形状や複合化状態が酸化アルミニウム単独の複合体と大差ない、有機無機複合体を提供することもできる。
(有機溶液(A)の成分)
本発明で有機無機複合体の合成に用いられる有機溶液(A)は、ジクロロホーメート化合物およびホスゲン系化合物からなる群から選ばれる1種の化合物とこれを溶解させる有機溶媒より構成される。
(ジクロロホーメート化合物)
有機溶液(A)中のジクロロホーメート化合物としては、例えば、1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール等の脂肪族ジオール類の水酸基を全てホスゲン化処理によりクロロホーメート化したもの;レゾルシン(1,3−ジヒドロキシベンゼン)、ヒドロキノン(1,4−ジヒドロキシベンゼン)、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,2’−ビフェノール、ビスフェノールS、ビスフェノールA、テトラメチルビフェノール等、1個または2個以上の芳香環に水酸基を2個持つ2価フェノール類の水酸基を全てホスゲン化処理によりクロロホーメート化したものが挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
(ホスゲン系化合物)
有機溶液(A)中のホスゲン系化合物としては、例えばホスゲン、ジホスゲンおよびトリホスゲンを挙げることができる。これらは単独で、または両種を組み合わせて使用することができる。
本発明においては、有機溶液(A)中のモノマーを選択することにより、複合体のマトリクスである有機ポリマーの種類を変えることができる。モノマーとしてジクロロホーメート化合物を用いた場合はポリウレタンを、ホスゲン系化合物を用いた場合にはポリ尿素を、水溶液(B)中のジアミンとの反応によって得ることができる。
(有機溶液(A)に用いる有機溶媒)
本発明での有機溶液(A)に用いる有機溶媒としては上記の有機溶液(A)中の各種モノマーやジアミンとは反応せず、有機溶液(A)中の各種モノマーを溶解させるものであれば特に制限なく用いることができる。このうち水と非相溶の有機溶媒としてはトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、n−ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、クロロホルム、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素類、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素類を挙げることができる。また、水と相溶する有機溶媒としては、テトラヒドロフラン等のエーテル類、メチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸プロピル等の酢酸アルキルなどを代表的な例として挙げることができる。
有機溶液(A)中のモノマー濃度、および水溶液(B)中のジアミン濃度は、重縮合反応が十分に進行すれば特に制限されないが、各々のモノマー同士を良好に接触させる観点から、0.01〜3モル/Lの濃度範囲、特に0.05〜1モル/Lが好ましい。
(有機無機複合体の製造装置)
複合体の製造に用いられる製造装置としては、有機溶液(A)と水溶液(B)とを良好に接触させることができる装置であればとくに限定されず、連続式、バッチ式のいずれの方式でも可能である。しかしながら、重縮合反応には数分〜30分の時間を要するため、十分な反応時間を確保するためバッチ式攪拌装置を用いることが好ましい。バッチ式の装置としては、有機溶液(A)と水溶液(B)との接触を良好に行わせる必要があるので、プロペラ状翼、マックスブレンド翼、ファウドラー翼等を持つような汎用の攪拌装置を用いることができる。
有機溶液(A)中のモノマーと水溶液(B)中のジアミンとの重縮合反応は、例えば−10〜50℃の常温付近の温度範囲で十分に進行する。したがって、有機溶液(A)と水溶液(B)とを接触させる温度は、−10〜50℃の常温付近の温度範囲とされる。この際、加圧、減圧も必要としない。また、重縮合反応は、用いるモノマー種や反応装置にもよるが、通常30分以下で完結する。
(有機無機複合体の用途)
本発明により得られた有機無機複合体は、補強成分となる無機微粒子はアスペクト比を有する板状である上に粒径が極めて小さく且つ含有率も高くできるため、ポリマーに混練、分散させることによりポリマーの補強剤として用いることができる。この場合、球状の微粒子を有する有機無機複合体を用いた場合に比べて温度変化等に対する寸法安定性、各種機械強度の補強効果を高くできる特徴がある。また、該複合体は有機成分に起因する加工性を有するため加圧成型することができ、各種構造材として用いることもできる。また、該複合体は高い無機分率と有機成分が有する極性基により、極性溶媒を多量(複合体の自重に対して10倍以上)に保持する、極性溶媒吸収体としても用いることができる。また、特に極性溶媒が電解液である場合は、電解液を保持した電池セパレータ、キャパシタのセパレータ、エレクトロクロミック型表示素子のセパレータ等の電気化学ディバイスとしても用いることができる。
特に有機ポリマー成分がポリ尿素である場合には、各種原料として極めて広範囲にて用いられるホスゲンを使用して合成できるため、ホスゲンを使用可能な設備さえ有していれば安価に製造することができる。また、上記用途のうち、特に極性溶媒吸収体や、電解液保持体として用いる場合には、極性基である尿素結合が全複合体重量に対して多量に存在するため、極性溶媒の保持量を特に高くすることができ、好適に用いることができる。
以下に実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。特に断らない限り、「部」は「質量部」を表す。
(実施例1:酸化アルミニウム/ポリ尿素複合体の合成1)
イオン交換水38.5部に1,4−ジアミノブタン1.21部、浅田化学(株)製アルミン酸ナトリウム粉末P−100(Al,54質量%、NaO,36質量%)2.43部を加え、25℃で15分間攪拌し、均質透明な水溶液(B)を得た。室温下でこの水溶液(B)を300mlセパラフラスコ中に仕込み、アンカー翼を用いて毎分300回転で攪拌しながら、トリホスゲン1.34部をトルエン44.4部に溶解させた有機溶液(A)を20秒かけて滴下した。攪拌開始後5分後より白色綿状物が徐々に析出しだした。15分以降は生成量に増加は見られなかったため、攪拌開始後25分で合成操作を終了した。この操作で得られた白色生成物が分散した液を、直径90mmのヌッチェを用い目開き4μmのろ紙上で減圧濾過した。ヌッチェ上の生成物をメタノール100部に分散させスターラーで30分間攪拌し減圧濾過することで洗浄処理を行った。引き続き同様な洗浄操作を蒸留水100部を用いて行い減圧濾過することで、白色の酸化アルミニウム/ポリ尿素複合体のウエットケーキを得た。
(実施例2:酸化アルミニウム、ポリアミド複合体の合成2)
実施例1の水溶液(B)で用いたアルミン酸ナトリウムを浅田化学(株)製アルミン酸ナトリウム溶液#2019(Al,20質量%、NaO,19質量%)4.60部に、用いたジアミンを1,6−ジアミノヘキサン1.53部に、用いたイオン交換水の量を45.5部に変更した以外は実施例1に記載した方法と同様にして、白色の有機無機複合体ウエットケーキを得た。
(実施例3:酸化アルミニウム/ポリウレタン複合体の合成)
(ジクロロホーメート化合物の合成)
1.4−ブタンジオール2.583部にトリホスゲン2.835部を加え常温下で30分間攪拌することで、トリホスゲンを完全に溶解させた。さらにトリホスゲンを3.000g加え常温で30分間攪拌することで、粘調な淡黄色の透明液体を得た。該液体を攪拌しつつ0.02MPaで3時間減圧処理することで、残存した過剰のトリホスゲン及び、ジオールがホスゲン系化合物によりクロロホーメート化する際に発生する塩化水素を除去した。以上の操作により、1.4−ブタンジオールの両末端をクロロホーメート化した、ブタン−ビス−クロルギ酸エステルを得た。
(酸化アルミニウム/ポリウレタン複合体の合成)
有機溶液(A)として、ブタン−ビス−クロルギ酸エステル2.924部にトルエン44.4部を溶解させたものを用いた以外は、実施例1に記載した方法と同様にして、白色の酸化アルミニウム/ポリウレタン複合体のウエットケーキを得た。
(比較例1)
(比較例1:溶融混練法により作成した酸化アルミニウム/ポリ尿素複合体)
(酸化アルミニウムを含まないポリ尿素の合成)
水溶液(B)中のアルミン酸ナトリウムの替わりに水酸化ナトリウム1.247部を用いた以外は実施例1と同様な方法で合成をおこなうことで、無機成分を一切含まないポリ尿素ウエットケーキを得た。得られたポリ尿素ウエットケーキを120℃で2時間乾燥させ、乾燥ポリ尿素を得た。このようにして得られたポリ尿素10部と平均粒径100nmの酸化アルミニウム粉末5.0部とを、ツバコー製小型2軸押し出し機MP2015中で200℃で溶融混練することで、ペレット状の有機無機複合体を得た。混練操作に先立つ原料仕込み操作は、酸化アルミニウムの粒径が極めて小さいことによる粉体の飛散が生じやすく極めて困難であった。
<各種複合体の材料特性の評価>
上記操作で得られた複合体について、以下の項目の測定行い、得られた結果を表1に示した。
(1)無機化合物含有率(灰分)の測定法:
各材料に含まれる無機化合物の含有率の測定法は以下の通りである。
各材料を120℃で2時間空気中で絶乾させることで、乾燥複合体を得た。これを精秤(複合体質量)したのち、空気中、600℃で3時間焼成し、有機ポリマー成分を完全に焼失させ、焼成後の質量を測定し灰分質量(=酸化アルミニウム質量)とした。下式により酸化アルミニウム含有率を算出した。
酸化アルミニウム含有率(質量%)=(灰分質量/複合体質量)×100
実施例1〜3で得られた複合体では焼成により有機ポリマーを除去しても、焼成前の形状を維持したのに対し、比較例1で得られた複合体では、原型を留めていなかった。
(2)複合体中の無機化合物の粒径測定および分散状態の観察:
複合体を170℃、20MPa/cm2 の条件で2時間熱プレスを行い、厚さ約1mmの複合体からなる薄片を得た。これをマイクロトームを用いて厚さ75nmの超薄切片とした。得られた切片を日本電子社製透過型電子顕微鏡「JEM−200CX」にて観察した。実施例1および3では酸化アルミニウムは短軸径5nm以下でかつ一定以上のアスペクト比を有する直線状(断面が直線状であるため、無機微粒子は板状であると考えられる。の暗色の像として、明るい有機ポリマー中に存在しているのが観察された。その際、大多数の酸化アルミニウム微粒子は板の側面で他の微粒子と連結構造を有していた。一方、板の面同士が凝集した粒子は見られなかった。また実施例2は実施例1,3に比べて無機成分の含有率が低いことに起因して、短軸径5nm以下の酸化アルミニウムの粒子同士が独立した分散状態で存在したのが観察された。しかし一部の粒子については実施例1,3と同様に板側面で他の微粒子と連結構造を有しているものもあった。一方、比較例1では、酸化アルミニウムの大部分の粒子が凝集体を作り、1μm以上の粗大粒子としてポリマー中に存在していることが観察された。図1は、実施例1で合成した酸化アルミニウム/ポリ尿素複合体の透過型電子顕微鏡写真である。
引き続き、TEM写真から以下の項目について測定を行った。
1.平均短軸径:無機化合物粒子の短軸の長さをそれぞれ測定し、100個の粒子の平均値を本測定値とした。
2.粒子平均アスペクト比:無機化合物粒子の長軸と短軸の長さをそれぞれ測定し、長軸/短軸の数値を粒子毎に算出し、100個の粒子の平均値を本測定値とした。
また、これらに加えて測定を行った粒子の最大短軸径(厚さ)と、粒子最小アスペクト比と、更に無機微粒子の板側面での連結構造の有無についても表1に記載した。
以上の測定によって得られた各実施例及び比較例有機無機複合体の各種物性、及びTEM写真からの測定結果について表1にまとめた。
Figure 0004715194
表1で示された通り、比較例1では平均粒径100nmの酸化アルミニウム粉末を使用したにもかかわらず、混練の工程で酸化アルミニウム成分の凝集が生じ、ナノメートルオーダーの複合を行うことができなかった。また、その形状も不定形の粒子塊状物であり、板状等に制御することはできなかった。一方、本発明により酸化アルミニウム微粒子を、観察したすべての粒子の短軸径が5nm以下、アスペクト比が3以上の形状を有した(つまり凝集物がない)板状のナノメートルオーダー微粒子を有する有機無機複合体を得ることができた。加えて、実施例1、3では40質量%以上の高い含有率で板状酸化アルミニウム微粒子を含有し、且つその微粒子の板側面(長軸方向に)連結した構造を有した。該含有率が少なかった実施例2においても類似な構造を一部に有した。
また本発明では、以上の特徴を持つ有機無機複合体を、安価なアルミン酸ナトリウムを無機成分の原料として用い、常温常圧下で30分以下の短時間の操作で得ることができた。
実施例1で合成した酸化アルミニウム/ポリ尿素複合体の透過型電子顕微鏡写真である。

Claims (3)

  1. ジクロロホーメート化合物およびホスゲン系化合物からなる群から選ばれる1種の化合物を有機溶媒に溶解した有機溶液(A)と、アルミン酸アルカリおよびジアミンを水に溶解した水溶液(B)とを接触、反応させることを特徴とする、ポリウレタンおよびポリ尿素からなる群から選ばれる少なくとも1種の有機ポリマーと、酸化アルミニウム微粒子とを有する有機無機複合体の製造方法。
  2. 前記酸化アルミニウム微粒子が短軸径5nm以下、アスペクト比3以上である請求項1に記載の有機無機複合体の製造方法。
  3. 前記酸化アルミニウム微粒子が長軸方向に連結した構造を有する請求項1又は2に記載の有機無機複合体の製造方法。
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