JP2009001652A - 高分子グラフト無機超微粒子ナノコンポジット、及びその製造方法、並びにそれを含む熱可塑性組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】マトリックス樹脂中に高濃度の無機超微粒子が凝集することなく均一に分散されてなるナノコンポジットを提供する。
【解決手段】高分子グラフト無機超微粒子の製造方法は、無機微粒子コロイド溶液を原料として順に、前記原料中の無機超微粒子をシラン表面化学修飾剤で修飾し表面化学修飾無機超微粒子とすること、高分子を重合可能な単量体を溶解し、かつ、前記表面化学修飾無機超微粒子が分散した重合溶媒を調製すること、前記単量体を前記表面修飾無機超微粒子上にラジカルグラフト重合すること、及び、前記重合溶媒から高分子グラフト無機超微粒子を回収すること、を含む高分子グラフト無機超微粒子ナノコンポジットの製造方法である。
【選択図】なし
【解決手段】高分子グラフト無機超微粒子の製造方法は、無機微粒子コロイド溶液を原料として順に、前記原料中の無機超微粒子をシラン表面化学修飾剤で修飾し表面化学修飾無機超微粒子とすること、高分子を重合可能な単量体を溶解し、かつ、前記表面化学修飾無機超微粒子が分散した重合溶媒を調製すること、前記単量体を前記表面修飾無機超微粒子上にラジカルグラフト重合すること、及び、前記重合溶媒から高分子グラフト無機超微粒子を回収すること、を含む高分子グラフト無機超微粒子ナノコンポジットの製造方法である。
【選択図】なし
Description
本発明は、高分子グラフト無機超微粒子ナノコンポジット、及びその製造方法、並びにそれを含む熱可塑性組成物に関し、特に、無機超微粒子へのその場重合法による製造される高分子グラフト無機超微粒子ナノコンポジットに関する。
ナノコンポジットは、樹脂と粒子とからなる組成物であって、この粒子としては様々な形のものを含み得るが、少なくともその1つの方向が100nm以下の形状のものであり、様々な分野に応用されている材料である。この粒子が概ね球形のものであれば、この粒子は一般に超微粒子と呼ばれ、それを製造する方法やその用途についての検討が幅広く実施されてきた。超微粒子を実用に供する際の最大の問題は、その凝集し易いという性質である。凝集してしまった超微粒子では、本来超微粒子に期待される特徴を、十分に発揮できないことは言うまでもない。つまり、ナノコンポジットは、樹脂成分本来の特徴以外に、含有されてなる無機超微粒子が凝集することなく、十分に分散していれば、超微粒子に由来する特徴も有しうる。
一方、また、半導体でもある酸化亜鉛(ZnO)は、多種多様な分野に応用可能であることが知られており、現在例えば、紫外線カット化粧品、バリスタ素子、樹脂やインクの白色顔料等に用いられている。例えば、透明性、紫外線吸収性、蛍光性、圧電性、非毒性、及び低コストであること、等の特徴的な特性を組み合わせることができるので、酸化亜鉛は技術的に重要な材料となっている
つまり、白色の結晶であり、即ち、本来透明で、屈折率が2〜2.1と高く、紫外線を吸収し、また、半導体性を有する酸化亜鉛を含有するナノコンポジットは、樹脂成分には無いこれらの特徴を合わせ持つものとなる。
つまり、白色の結晶であり、即ち、本来透明で、屈折率が2〜2.1と高く、紫外線を吸収し、また、半導体性を有する酸化亜鉛を含有するナノコンポジットは、樹脂成分には無いこれらの特徴を合わせ持つものとなる。
ところで、特許文献1には、20nm以下の粒子径の無機超微粒子コロイド溶液を調製する方法が記載されている。
非特許文献1には、トルエン溶媒中で、オレイン酸で表面化学修飾された酸化亜鉛微粒子に、メチルメタクリレート(MMA)を重合する方法が記載されており、この方法により、ポリメチルメタクリレート(PMMA)中に凝集することなく25nm以上の酸化亜鉛粒子が分散したナノコンポジットが作製されている。
特許文献2には、15nm未満の粒径のチタニア超微粒子をアクリレート樹脂中に分散させる方法が記載されている。この方法では、アルコキシ有機シラン化合物、及び酢酸、又は、反応性官能基含有有機シランを用いてチタニア微粒子を化学修飾したものを単量体中に分散させ、それを紫外線照射により硬化させることで透明性に優れ、また、チタニア超微粒子が高分散したナノコンポジットを得ている。このような方法で得られる光、又は熱による硬化性ナノコンポジットはコーティング材料やフィルム材料として適していると考えられる。
非特許文献2には、シランカップリング剤で表面化学修飾した酸化亜鉛超微粒子をポリメチルメタクリレート(PMMA)中に分散させる方法が記載されている。この方法で得られた樹脂組成物は熱による溶融変形性を有さず、また、それを用いて作製したフィルムの透明性は悪いようである。
米国公開20050260122号公報
米国特許6432526号公報
Liu et al (Preparation and Characterization of PMMA/ZnO Nanocomposites via In-Situ Polymerization Method, J Macromol. Sci. Part B: Physics Vol 45, pp 131-138, (2006)
Hung et al, "Effect of surface stabilization of nanoparticles on luminescent characteristics in ZnO poly(hydroxyethyl methacrylate) nanohybrid films", J. Mater. Chem., Vol. 15, pp 267-274 (2005)
前述した特許文献2の光、又は熱による硬化性ナノコンポジットは、硬化性樹脂組成物としては優れているものの、これを加熱して溶融加工をしようとすると硬化反応で生じる架橋により熱可塑性が得られないという問題があった。即ち、特許文献2には、無機超微粒子を樹脂、又は、その前駆体中に高分散する方法が記載されているものの、熱による溶融加工が可能な程度に安定的にその樹脂、又は、前駆体を保つ方法は記載されていない。
無機充填剤を樹脂に充填することで、透明性を維持しつつ屈折率を高くした樹脂が得られことは知られていたが、透明、高屈折率、かつ、溶融加工が可能なナノコンポジットは未だ知られていない。
本発明は、この透明、高屈折率、かつ、溶融加工が可能なナノコンポジットを提供することを目的の1つとしている。ただそれだけでなく、本発明のナノコンポジットはマトリックス樹脂の屈折率より小さな屈折率の無機超微粒子を用いた場合には、屈折率の小さなナノコンポジットや、透明でなくとも、それ以外の含まれる無機超微粒子の特徴に起因する性質が与えられたナノコンポジットを得ることも目的としている。
本発明の課題は、凝集することなく高分散されてなる無機超微粒子を含有し、かつ、溶融加工が安定的に可能なナノコンポジットを提供することである。このようなナノコンポジットは、押出成形、射出成形、ブロー成形、及びブレンドが可能なので、これらの通常の成形技術を用いて、汎用の熱可塑性樹脂と同様に、容易に成型品を安価、かつ、大量に製造することができる。
本発明は、粒径が1nm〜100nmの無機超微粒子と、前記無機超微粒子の式量に対して1〜100%の量の前記無機超微粒子の周囲に存在する下記一般式1のシラン表面化学修飾剤の反応残基と、前記シラン表面化学修飾剤の反応性有機官能基(Rr)に結合する前記無機超微粒子の重量1に対して0.01〜100の重量を有する高分子と、を含む高分子グラフト無機超微粒子ナノコンポジットに関する。
前記高分子グラフト無機超微粒子ナノコンポジットは、溶液キャスト法による成形、または溶融成形が可能であることが好ましい。
前記無機超微粒子は、酸化亜鉛を主成分とすることが好ましい。
前記高分子は、ビニル系単量体を重合させて得られるものであることが好ましい。
前記ビニル系単量体は、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、スチレン、酢酸ビニル、ビニルピロリドンからなる群より選ばれる1種以上の化合物であることが好ましい。
前記高分子は、ポリメチルメタクリレートであることが好ましい。
また本発明は、このような高分子グラフト無機超微粒子ナノコンポジットを含む熱可塑性組成物に関する。
さらに本発明は、無機微粒子コロイド溶液を原料として順に、前記原料中の無機超微粒子をシラン表面化学修飾剤で修飾し表面化学修飾無機超微粒子とすること、高分子を重合可能な単量体を溶解し、かつ、前記表面化学修飾無機超微粒子が分散した重合溶媒を調製すること、前記単量体を前記表面修飾無機超微粒子上にラジカルグラフト重合すること、及び、前記重合溶媒から高分子グラフト無機超微粒子を回収すること、を含む高分子グラフト無機超微粒子ナノコンポジットの製造方法に関する。
本発明の高分子グラフト無機超微粒子ナノコンポジットは、凝集することなく高分散されてなる無機超微粒子を含有し、また、溶融加工が安定的に可能であり、さらに、マトリックス樹脂となる熱可塑性樹脂とブレンド可能であり、そのブレンド物中でも無機超微粒子は凝集することなく、高分散性を維持するという効果を有する。従って、このような本発明のナノコンポジット、及び、熱可塑性樹脂組成物を原料として用いることにより、高屈折率、透明性、紫外線吸収性等の様々な光学的、物理的性質を有し得る成型品を製造可能である。なお、本願において、前記溶融加工が可能とは、加熱、及び加圧条件で、樹脂が所望の形状に変形可能であることを言う。
また、本発明は、粒径20nm以下の無機超微粒子に高分子をグラフト重合する方法に関し、このような本発明の高分子グラフト重合超微粒子は、そのままの状態で実質的に凝集することなく、溶媒、及び高分子を含む有機媒体に分散させることが可能であるという特徴を有する。このような超微粒子分散体は、例えば、30分間の6000回転/分の遠心分離操作後においても実質的に沈殿物を生じさせない程優れた分散安定性を有し、透明なコロイドとして利用することができる。
以下、本発明につき詳細に説明する。
(高分子グラフト無機超微粒子ナノコンポジット)
本発明の高分子グラフト無機超微粒子ナノコンポジットは、粒径が1nm〜100nmの無機超微粒子と、前記無機超微粒子の式量に対して1〜100%の量の前記無機超微粒子の周囲に存在する下記一般式1のシラン表面化学修飾剤の反応残基と、前記シラン表面化学修飾剤の反応性有機官能基(Rr)に結合する該無機超微粒子の重量1に対して0.01〜100の重量を有する高分子と、を含む高分子グラフト無機超微粒子ナノコンポジットであって、過剰量のトルエンに溶解することを特徴とする高分子グラフト無機超微粒子ナノコンポジットである。
本発明の高分子グラフト無機超微粒子ナノコンポジットは、粒径が1nm〜100nmの無機超微粒子と、前記無機超微粒子の式量に対して1〜100%の量の前記無機超微粒子の周囲に存在する下記一般式1のシラン表面化学修飾剤の反応残基と、前記シラン表面化学修飾剤の反応性有機官能基(Rr)に結合する該無機超微粒子の重量1に対して0.01〜100の重量を有する高分子と、を含む高分子グラフト無機超微粒子ナノコンポジットであって、過剰量のトルエンに溶解することを特徴とする高分子グラフト無機超微粒子ナノコンポジットである。
また、このようなナノコンポジットにおいて、無機超微粒子として使用する無機材料、グラフトする高分子、そしてマトリックス樹脂を使用する場合には、そのマトリックス樹脂が透明であれば、透明なナノコンポジットとなる。このようグラフトする高分子、及び、マトリックス樹脂の組み合わせとしては、ポリメタクリル酸メチルをグラフトする高分子とし、マトリックス樹脂をポリメタクリル酸メチルやスチレン−アクリロニトリル共重合体(SAN)とする組み合わせがある。
また、このような本発明の高分子グラフト無機超微粒子ナノコンポジットは、例えば、トルエンやアセトンに可能としうるので、溶液キャスト法により成形することができる。
(本発明の作製プロセスの一例)
このような本発明の高分子グラフト無機超微粒子ナノコンポジットは、例えば、以下の様なプロセスで製造する事ができる。図2は、本発明の高分子グラフト無機超微粒子、及び、それを含む高分子無機超微粒子ナノコンポジットの作製プロセスの一例を表すフローチャートである。図1の無機超微粒子12は図2の無機超微粒子の調製101で合成され、その後、シラン表面修飾剤により表面化学修飾102される。その後、精製103や、溶媒交換104を経て重合溶液の調製105がなされた後、高分子がグラフト重合106される。このようにして得られた高分子グラフト重合向き超微粒子は精製回収107される。
以下、夫々の工程、及びそれに使用される原料等につき詳細に説明する。
このような本発明の高分子グラフト無機超微粒子ナノコンポジットは、例えば、以下の様なプロセスで製造する事ができる。図2は、本発明の高分子グラフト無機超微粒子、及び、それを含む高分子無機超微粒子ナノコンポジットの作製プロセスの一例を表すフローチャートである。図1の無機超微粒子12は図2の無機超微粒子の調製101で合成され、その後、シラン表面修飾剤により表面化学修飾102される。その後、精製103や、溶媒交換104を経て重合溶液の調製105がなされた後、高分子がグラフト重合106される。このようにして得られた高分子グラフト重合向き超微粒子は精製回収107される。
以下、夫々の工程、及びそれに使用される原料等につき詳細に説明する。
(無機超微粒子)
本発明に用いる無機超微粒子としては、後述するシラン化学修飾剤で表面修飾可能な無機超微粒子であればいずれも使用可能であるが、好ましくは、前記表面修飾反応が起こりやすく、また、安定な表面修飾となる金属酸化物が好ましく、その中でも、透明な高分子グラフト無機超微粒子ナノコンポジットとなるシリカ、及び、酸化亜鉛が好ましく、特に好ましいのは、紫外線吸収能、蛍光発光能、光触媒活性などの特性を生かせる酸化亜鉛である。
本発明に用いる無機超微粒子としては、後述するシラン化学修飾剤で表面修飾可能な無機超微粒子であればいずれも使用可能であるが、好ましくは、前記表面修飾反応が起こりやすく、また、安定な表面修飾となる金属酸化物が好ましく、その中でも、透明な高分子グラフト無機超微粒子ナノコンポジットとなるシリカ、及び、酸化亜鉛が好ましく、特に好ましいのは、紫外線吸収能、蛍光発光能、光触媒活性などの特性を生かせる酸化亜鉛である。
本発明に用いる無機超微粒子のサイズとしては、後述する単量体を無機超微粒子にグラフト重合するグラフト重合工程において、表面化学修飾された無機超微粒子が十分に重合溶媒中に分散している状態となる必要があるので、100nm以下が好ましく、また、無機超微粒子としての特徴を十分に引き出すために1nm以上であることが好ましい。また、後述する方法で、無機超微粒子コロイド溶液を調製し、また、それを安定に維持する観点、及び、濁りの少ない、透明性の高いナノコンポジット、又は、樹脂成型品を得る観点からは、光散乱が殆ど無くなる20nm以下がより好ましい。また、無機超微粒子の量子サイズ効果を発現させて、その特性を制御する特性の観点から、1nm以上10nm以下の範囲とすることが特に好ましく、このような量子サイズ効果は、例えば酸化亜鉛超微粒子では、フォトルミネッセンスのブルーシフトとして、例えば粒径10nmから2nmの変化が、橙色から、黄色、緑色、そして青色への変化として観測することができる。
ここで本願において、無機超微粒子コロイド溶液とは、溶媒中に無機超微粒子が安定的に分散されてなる透明な液体を指すこととする。
(無機超微粒子の調製方法)
本発明で用いられる無機超微粒子は、気相法、液相法、など一般的に用いられる超微粒子の製造方法を用いて調製することが可能である。例えば、原料水溶液を非極性有機溶媒の逆ミセル中に存在させ、結晶成長させる方法(逆ミセル法)、熱分解性の原料を高温の液体有機溶媒中で結晶成長させる方法(ホットソープ法)、原料の錯体を酸塩基反応を用いて水酸化物錯体に変換し続いて水酸化物錯体同士で脱水することにより結晶を成長させる方法(ゾル生成法)などがあり、これらの方法を用いれば得られる超微粒子の粒子径制御が可能である。
(無機超微粒子の調製方法)
本発明で用いられる無機超微粒子は、気相法、液相法、など一般的に用いられる超微粒子の製造方法を用いて調製することが可能である。例えば、原料水溶液を非極性有機溶媒の逆ミセル中に存在させ、結晶成長させる方法(逆ミセル法)、熱分解性の原料を高温の液体有機溶媒中で結晶成長させる方法(ホットソープ法)、原料の錯体を酸塩基反応を用いて水酸化物錯体に変換し続いて水酸化物錯体同士で脱水することにより結晶を成長させる方法(ゾル生成法)などがあり、これらの方法を用いれば得られる超微粒子の粒子径制御が可能である。
これらの方法の中でも最も好ましいのが、以下に述べる方法であり、20nm以下の粒子径の無機超微粒子コロイド溶液を容易に調製することができる。例えば、酸化亜鉛超微粒子の場合には、特許文献1に記載の方法を用いることが好ましい。具体的には、別々に、互いに当量の、即ちストイキオメトリックな、完全に溶解した、酢酸亜鉛のメタノール溶液、及び、水酸化カリウムのメタノール溶液を調整し、例えば25℃、または、それ以上の温度で、両用液を強く攪拌しながらすばやく混合することで、透明清澄な酸化亜鉛コロイドメタノール溶液を調製する方法である。
しかしながら、このような完全に分散した清澄なコロイド溶液を出発原料として本発明の方法を実施する必要は必ずしも無く、以下で詳述するシラン表面化学修飾剤処理以降の本願に係る処理は、例えば特許文献2に記載のチタニア含有スラリーのような、ある程度凝集した無機超微粒子を含む、不完全な分散状態の懸濁液を出発原料とすることもできる。
(シラン表面化学修飾剤)
本願において、表面化学修飾とは、無機超微粒子の表面原子に、有機化合物を、イオン結合、又は、共有結合させることを意味し、この有機分子を表面化学修飾剤と呼称することとする。つまり、このような表面化学修飾剤は、無機超微粒子の表面原子に、イオン結合、又は、共有結合可能な官能基を有する有機化合物である。
本願において、表面化学修飾とは、無機超微粒子の表面原子に、有機化合物を、イオン結合、又は、共有結合させることを意味し、この有機分子を表面化学修飾剤と呼称することとする。つまり、このような表面化学修飾剤は、無機超微粒子の表面原子に、イオン結合、又は、共有結合可能な官能基を有する有機化合物である。
本発明では、表面化学修飾剤としてシラン表面化学修飾剤を用いることを1つの特徴としている。本願でいうシラン表面化学修飾剤は、一般に「シランカップリング剤」、又は、「有機シラン」と呼ばれている化合物であって、アシロキシ基(RCOO−)、アルコキシ基(RO−)、及びクロル基(Cl−)等の加水分解性基(Hy−)がシリコン原子に直接結合している加水分解性シラン基(Hy−Si−)を有する化合物である。このようなシラン表面化学修飾剤は、酸化亜鉛やチタニア等の無機超微粒子の表面原子と安定に結合するだけでなく、有機官能基もその分子中に含み得るので、その場合には表面化学修飾された無機超微粒子と、有機溶媒や樹脂等の有機媒体と、の親和性を高める効果もある。即ち、本発明においては、無機超微粒子をシラン表面化学修飾剤で処理することで、無機超微粒子に高分子をグラフトする際の重合反応溶媒中で、無機超微粒子同士が凝集しないようにすること、及び、重合溶媒中で無機超微粒子が均一に高分散するようにすることができるのである。
さらに、本発明では、この有機官能基として反応性有機官能基(Rr−)を有するシラン表面化学修飾剤を用いることを1つの特徴としているので、有機化合物と反応して結合可能である。この反応性有機官能基を起点として本発明に係る高分子グラフトが形成されるので、重合反応の途中、及び、終了後において、凝集による沈殿物を生じることなく、本発明の高分子グラフト無機超微粒子ナノコンポジットが高分散性を維持したまま得ることができる。
即ち、本発明で使用するシラン表面化学修飾剤としては、以下の一般式1で表される、加水分解基性(Hy)、及び反応性有機官能基(Rr)を有する化合物を用いることが好ましく、3−(トリメトキシシリル)プロピルアクリレート、ビニルトリメトキシシラン、及び3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート(TSMA)等が好ましく、最も好ましくはTSMAである。
一般式1においてmは、0〜18までの自然数である。
また、一般式1においてRrは、反応性官能基であり、好ましくは、ラジカル反応性を有する炭素−炭素二重結合を有するビニル基、アリル基、及び、(メタ)アクリロイル基等の官能基であり、後述するグラフト重合時にラジカル重合反応することとなるので、反応性の観点から(メタ)アクリロイル基が好ましい。
(シラン表面化学修飾の方法)
前記シラン表面化学修飾剤は、通常溶液として調製され、前記無機超微粒子のコロイド溶液、又は、分散液に添加され、2時間以上、攪拌しながら60℃以上に加熱しながら、されることが好ましい。このようにして得られる表面化学修飾された無機超微粒子の溶媒への分散性が高い場合には、修飾前の無機超微粒子が多少凝集していたとしても、修飾後の無機超微粒子は一次粒子として溶媒中に完全に分散することがある。例えば、メタノール中に高濃度の酸化亜鉛微粒子が存在するコロイド溶液においては、若干の凝集状態を示す場合があるが、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート(TSMA)添加後には、透明な溶液、即ち、凝集状態を含まない溶液となる。
前記シラン表面化学修飾剤は、通常溶液として調製され、前記無機超微粒子のコロイド溶液、又は、分散液に添加され、2時間以上、攪拌しながら60℃以上に加熱しながら、されることが好ましい。このようにして得られる表面化学修飾された無機超微粒子の溶媒への分散性が高い場合には、修飾前の無機超微粒子が多少凝集していたとしても、修飾後の無機超微粒子は一次粒子として溶媒中に完全に分散することがある。例えば、メタノール中に高濃度の酸化亜鉛微粒子が存在するコロイド溶液においては、若干の凝集状態を示す場合があるが、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート(TSMA)添加後には、透明な溶液、即ち、凝集状態を含まない溶液となる。
シラン表面化学修飾剤の使用量は、後述する高分子のグラフト重合反応に使用する溶媒に、表面化学修飾無機超微粒子が、一次分散する程度であることが好ましく、それは、使用する無機超微粒子の濃度や、大きさに関係して決定される。例えば、平均粒径3nmの酸化亜鉛超微粒子の場合には、その超微粒子に在る酸化亜鉛の式量(モル数)の概ね1〜10%のTSMAが、安定なコロイド溶液を調製するためには必要である。これを一般化すると、無機超微粒子に存在する式量(モル数)に対して、シラン表面化学修飾剤の量(モル数)は1〜100%であり、好ましくは1〜50%であり、より好ましくは1〜20%であり、最も好ましくは4〜20%である。
(精製、及び溶媒交換)
無機超微粒子表面に高分子を適切にグラフトするためには、グラフトの前後で無機超微粒子が分散状態を維持する必要がある。グラフト重合後の微粒子の溶媒への分散性が不十分であると、重合過程で凝集が発生し、分離不能な微粒子凝集体の発生に繋がる過度なグラフトとなる可能性がある。従って、微粒子にグラフト重合する高分子は重合溶媒に十分可溶である必要があり、シラン表面化学修飾剤は、それによって表面が化学修飾された無機超微粒子が溶媒に十分に分散する性質、及び前記高分子に溶解する性質、を兼ね備えたものである必要がある。このような溶媒、及び高分子の組み合わせとしては、例えば、溶媒としてN、N−ジメチルホルムアミド(DMF)、及び高分子としてポリメチルメタクリレート(PMMA)の組み合わせがある。また、例えば、後述するように、本発明者らは、酸化亜鉛超微粒子をTSMAで表面化学修飾した超微粒子はDMF中に良く分散すること見出した。
無機超微粒子表面に高分子を適切にグラフトするためには、グラフトの前後で無機超微粒子が分散状態を維持する必要がある。グラフト重合後の微粒子の溶媒への分散性が不十分であると、重合過程で凝集が発生し、分離不能な微粒子凝集体の発生に繋がる過度なグラフトとなる可能性がある。従って、微粒子にグラフト重合する高分子は重合溶媒に十分可溶である必要があり、シラン表面化学修飾剤は、それによって表面が化学修飾された無機超微粒子が溶媒に十分に分散する性質、及び前記高分子に溶解する性質、を兼ね備えたものである必要がある。このような溶媒、及び高分子の組み合わせとしては、例えば、溶媒としてN、N−ジメチルホルムアミド(DMF)、及び高分子としてポリメチルメタクリレート(PMMA)の組み合わせがある。また、例えば、後述するように、本発明者らは、酸化亜鉛超微粒子をTSMAで表面化学修飾した超微粒子はDMF中に良く分散すること見出した。
上述した理由により、例えば、無機超微粒子コロイド溶液の溶媒と、グラフト重合溶媒とが同一でない場合に、溶媒交換が必要となる。典型的な例としては、例えば、酸化亜鉛超微粒子コロイドメタノール溶液をロータリーポンプで脱気しメタノールを蒸発させることで濃縮した後、その濃縮コロイド溶液にDMFを添加し、更に、脱気を継続することで、最初のコロイドメタノール溶液中の90%以上を除去する方法が挙げられる。これらの過程において、フィルター濾過する事などにより、例えば濃縮時に発生する沈殿物などを除去することにより、例えば無機超微粒子調製時に発生した副生成物を除去することが好ましい。このような副生成物としては、例えば、DMFに不溶な酢酸カリウム等が挙げられる。また、シラン表面化学修飾された無機超微粒子の内、溶媒に対して十分な分散性を有しなかった成分を除去することも可能である。
(グラフト成分となる単量体)
本発明の高分子グラフト超微粒子ナノコンポジットが有機媒体に高分散するかどうかは、無機超微粒子にグラフト重合される高分子の種類、すなわち、その単量体の種類に依存している。このような単量体として、ビニル系単量体が挙げられ、この場合はラジカル重合かのうであり、その中でもメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、スチレン、酢酸ビニル、ビニルピロリドンからなる群より選ばれる1種以上の化合物が好ましく、代表的には、(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
本発明の高分子グラフト超微粒子ナノコンポジットが有機媒体に高分散するかどうかは、無機超微粒子にグラフト重合される高分子の種類、すなわち、その単量体の種類に依存している。このような単量体として、ビニル系単量体が挙げられ、この場合はラジカル重合かのうであり、その中でもメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、スチレン、酢酸ビニル、ビニルピロリドンからなる群より選ばれる1種以上の化合物が好ましく、代表的には、(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルの中でも、前記単量体として特に好ましいのはメタクリル酸メチル(MMA)である。この場合、その高分子であるポリメタクリル酸メチルが本発明の方法により無機超微粒子にグラフトされる。そしてこの本発明の一例であるポリメタクリル酸メチルグラフト無機超微粒子ナノコンポジットは、ポリメタクリル酸メチルを溶かすアセトン、トルエン、及びその他の有機溶媒に高分散する。また、ポリメタクリル酸メチルと相溶性がある樹脂であるアクリル樹脂、SAN、塩化ビニル(PVC)、及びポリカーボネート(PC)をマトリックス樹脂とするために、溶液混合や溶融混合した場合にも、このポリメタクリル酸メチルグラフト無機超微粒子ナノコンポジットは高分散する。
このような本発明の高分子グラフト無機超微粒子ナノコンポジット中の無機超微粒子と、高分子、即ち、単量体と、の重量比率としては、1:100〜100:1とすることが、無機超微粒子分散性を確保し、また、ナノコンポジットの強度、及び、加工性を確保することから必要であり、好ましくは1:30〜2:1である。
(重合反応)
本発明において重合反応は、無機超微粒子が十分に溶媒中に分散している状態で実施する必要があり、もし、例えば単分散状態で実施しなければ、グラフト重合後の微粒子は凝集したものとなる。20nm程度以下の超微粒子では光散乱は殆ど無いので、重合前後で無機超微粒子が非凝集の状態を維持した場合には、その分散溶液は若干の白濁を有するとしても殆ど清澄である。例えば上記の溶媒交換後の重合溶液に単量体と重合開始剤とを添加することにより重合反応を開始することができる。例えば、MMAを単量体とし、アゾビスブチロニトリル(AIBN)を開始剤としてラジカル重合反応させることができる。
本発明において重合反応は、無機超微粒子が十分に溶媒中に分散している状態で実施する必要があり、もし、例えば単分散状態で実施しなければ、グラフト重合後の微粒子は凝集したものとなる。20nm程度以下の超微粒子では光散乱は殆ど無いので、重合前後で無機超微粒子が非凝集の状態を維持した場合には、その分散溶液は若干の白濁を有するとしても殆ど清澄である。例えば上記の溶媒交換後の重合溶液に単量体と重合開始剤とを添加することにより重合反応を開始することができる。例えば、MMAを単量体とし、アゾビスブチロニトリル(AIBN)を開始剤としてラジカル重合反応させることができる。
本発明における重合は、ラジカル重合であることが好ましく、その場合、重合溶媒としては、ラジカル重合において一般的に使用されているものを使用することができるが、入手性および重合の容易さの点で、水、トルエン、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルホルムアミド(DMF)、メチルエチルケトンが好ましく、その中でも、DMFが好ましい。
重合の実施に関しては一般的に知られている方法を採用すればよいが、典型的には以下のように行う。即ち、反応器に、シラン表面化学修飾剤で表面処理された無機超微粒子と重合溶媒とを含む重合溶液、単量体、ラジカル重合開始剤、必要に応じて追加の重合溶媒を入れ、系内の酸素を窒素バブリング等の常方により除去した後、不活性ガス雰囲気で、例えば、65℃から70℃程度で5時間程度、加熱撹拌する。本発明の典型的な例では、重合後の溶液は清澄である。
(ラジカル重合開始剤)
前記ラジカル重合開始剤としては、一般的なラジカル開始剤を使用することができるが、好ましくは、アゾビスブチロニトリル(AIBN)である。
前記ラジカル重合開始剤としては、一般的なラジカル開始剤を使用することができるが、好ましくは、アゾビスブチロニトリル(AIBN)である。
(精製、及び回収)
上記重合反応後の重合溶液から本発明の高分子グラフト無機超微粒子を回収するには、例えば重合溶媒を濃縮した後、そこにメタノール等のグラフトさせた高分子に対す貧溶媒を添加して沈殿させることが好ましい。そしてこの沈殿物として得られた高分子グラフト無機超微粒子を適切な溶媒に再分散した後、前記貧溶媒による沈殿を再度実施することで精製することが好ましい。このような精製サイクルを実施し不純物を除去することが好ましい。
上記重合反応後の重合溶液から本発明の高分子グラフト無機超微粒子を回収するには、例えば重合溶媒を濃縮した後、そこにメタノール等のグラフトさせた高分子に対す貧溶媒を添加して沈殿させることが好ましい。そしてこの沈殿物として得られた高分子グラフト無機超微粒子を適切な溶媒に再分散した後、前記貧溶媒による沈殿を再度実施することで精製することが好ましい。このような精製サイクルを実施し不純物を除去することが好ましい。
上述したような本発明の製造方法により製造された高分子グラフト無機超微粒子はその高分子に対して相溶性のある溶媒に容易に高分散する。
(その他の配合剤)
以上で説明した本発明の高分子グラフト無機超微粒子ナノコンポジットを含む本発明の熱可塑性樹脂組成物は、本発明の特性を損なわない範囲で強化充填剤を添加してもよい。これにより耐熱性や機械的強度等の向上を図ることができる。このような強化充填剤としては特に限定されず、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム繊維等の繊維状充填剤;ガラスビーズ、ガラスフレーク;タルク、マイカ、カオリン、ワラストナイト、スメクタイト、珪藻土等のケイ酸塩化合物;炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等が挙げられる。なかでも、ケイ酸塩化合物及び繊維状充填剤が好ましい。
以上で説明した本発明の高分子グラフト無機超微粒子ナノコンポジットを含む本発明の熱可塑性樹脂組成物は、本発明の特性を損なわない範囲で強化充填剤を添加してもよい。これにより耐熱性や機械的強度等の向上を図ることができる。このような強化充填剤としては特に限定されず、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム繊維等の繊維状充填剤;ガラスビーズ、ガラスフレーク;タルク、マイカ、カオリン、ワラストナイト、スメクタイト、珪藻土等のケイ酸塩化合物;炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等が挙げられる。なかでも、ケイ酸塩化合物及び繊維状充填剤が好ましい。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物をより高性能なものにするため、フェノール系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤等の酸化防止剤、リン系安定剤等の熱安定剤を1種のみで又は2種類以上併せて使用することができる。更に必要に応じて、通常良く知られた、滑剤、離型剤、可塑剤、難燃剤、難燃助剤、ドリッピング防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、顔料、染料、帯電防止剤、導電性付与剤、分散剤、相溶化剤、抗菌剤等の添加剤を使用することもできる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の成形加工法としては特に限定されず、一般に用いられている成形法、例えば、フィルム成形、射出成形、ブロー成形、押出成形、真空成形、プレス成形、カレンダー成形、発泡成形等を利用することができる。また本発明の熱可塑性樹脂組成物は、種々の用途に好適に使用することができる。
以下に詳述する各実施例、及び比較例で、酸化亜鉛微粒子を含む重合物サンプルを得た後、以下の方法で、各サンプルを評価した。
(トルエンへの溶解性の評価方法)
各実施例、及び、比較例で作製したサンプルを過剰量のトルエン中に投入し、溶解性を評価した。
各実施例、及び、比較例で作製したサンプルを過剰量のトルエン中に投入し、溶解性を評価した。
(ホットプレスによるナノコンポジットシートの作製)
回収工程で最終的に得られる、重合物の沈殿物を乾燥した各ナノコンポジットサンプル1gを、まず、180℃程度の温度下、0.5バールの圧力で、1分間ホットプレスし、次に、室温下、0.5バールの圧力で、1分間室温プレスすることで、概ね直径40mm程度の円盤状のナノコンポジットシートを作製した。ここで、ホットプレス時の温度、及び、時間は、各サンプル毎に、十分に柔らかくなって表面が平滑なシートが得られるように、適宜調整した。また、このナノコンポジットシートから、表3に結果を示す膜厚測定用のサンプルとして30mm角のサンプルを、さらに、後述するヘイズ率測定用のサンプルとして2.5mm角のサンプルを切り出した。膜厚測定はマイクロメータで実施した。
回収工程で最終的に得られる、重合物の沈殿物を乾燥した各ナノコンポジットサンプル1gを、まず、180℃程度の温度下、0.5バールの圧力で、1分間ホットプレスし、次に、室温下、0.5バールの圧力で、1分間室温プレスすることで、概ね直径40mm程度の円盤状のナノコンポジットシートを作製した。ここで、ホットプレス時の温度、及び、時間は、各サンプル毎に、十分に柔らかくなって表面が平滑なシートが得られるように、適宜調整した。また、このナノコンポジットシートから、表3に結果を示す膜厚測定用のサンプルとして30mm角のサンプルを、さらに、後述するヘイズ率測定用のサンプルとして2.5mm角のサンプルを切り出した。膜厚測定はマイクロメータで実施した。
(ナノコンポジット中の金属酸化物重量の測定方法)
高分子グラフト無機超微粒子、及び、ナノコンポジット中の金属酸化物含量を、ICP−AES法(誘導結合プラズマ発光分光分析法)を用いて、測定した。具体的には、ます、一定量のサンプルを、体積比が、硫酸:硝酸:フッ酸=5:6:1の混合溶液中に入れ、更に、それをマイルストーン社製 MLS−1200 MEGAマイクロ波試料分解装置を用いて分解することで、分析溶液を調製した。次に、この分析溶液に、フッ素イオンに起因するシグナルを除去するために硼酸を加えた後、(株)島津製作所製ICP発光分析装置ICPS−8100を用いて金属原子につき測定し、検量することにより、サンプル中の金属量を求めた。最後に、この金属量を金属酸化物量に換算することにより、高分子グラフト無機超微粒子、及び、ナノコンポジット中の金属酸化物含量を決定した。この金属量から金属酸化物量への換算は、例えば、金属が亜鉛の場合には、酸化亜鉛(ZnO)/亜鉛(Zn)の重量比である1.245を係数として掛けることに相当する。
高分子グラフト無機超微粒子、及び、ナノコンポジット中の金属酸化物含量を、ICP−AES法(誘導結合プラズマ発光分光分析法)を用いて、測定した。具体的には、ます、一定量のサンプルを、体積比が、硫酸:硝酸:フッ酸=5:6:1の混合溶液中に入れ、更に、それをマイルストーン社製 MLS−1200 MEGAマイクロ波試料分解装置を用いて分解することで、分析溶液を調製した。次に、この分析溶液に、フッ素イオンに起因するシグナルを除去するために硼酸を加えた後、(株)島津製作所製ICP発光分析装置ICPS−8100を用いて金属原子につき測定し、検量することにより、サンプル中の金属量を求めた。最後に、この金属量を金属酸化物量に換算することにより、高分子グラフト無機超微粒子、及び、ナノコンポジット中の金属酸化物含量を決定した。この金属量から金属酸化物量への換算は、例えば、金属が亜鉛の場合には、酸化亜鉛(ZnO)/亜鉛(Zn)の重量比である1.245を係数として掛けることに相当する。
(ナノコンポジットのヘイズ率の測定方法)
ヘイズ率は、樹脂中の微粒子や空孔、又は、樹脂表面の凹み等に起因して光が散乱される程度であって、ナノコンポジットの光学的品質、特に、樹脂中の超微粒子の分散の程度の指標となり、例えば本明細書においては、小さなヘイズ率の値は、超微粒子が良く分散していることを示す。
ヘイズ率は、樹脂中の微粒子や空孔、又は、樹脂表面の凹み等に起因して光が散乱される程度であって、ナノコンポジットの光学的品質、特に、樹脂中の超微粒子の分散の程度の指標となり、例えば本明細書においては、小さなヘイズ率の値は、超微粒子が良く分散していることを示す。
日本電色工業(株)製の濁度計(曇り度系)NDH 2000アッベ屈折計NAR−3Tにより、CIE(国際証明委員会)の自然光D65を用いて、表面が十分に滑らかな、シート形状の樹脂サンプルのヘイズ率を測定した。測定は表裏1回ずつ計2回実施して、その平均値をヘイズ率の測定結果とした。ここで、具体的なヘイズ率が10%程度以下で有れば、作製したシートは透明性が高いと言える。
(ナノコンポジットの屈折率の測定方法)
(株)アタゴ製のアッベ屈折計NAR−3Tを用いて、表面が十分に滑らかな、シート、又は、ブロック形状の樹脂サンプルの屈折率を測定した。
(株)アタゴ製のアッベ屈折計NAR−3Tを用いて、表面が十分に滑らかな、シート、又は、ブロック形状の樹脂サンプルの屈折率を測定した。
(TEMの観察方法)
得られたサンプルから、ウルトラミクロトーム(ライカ製ウルトラカットUCT)を用いて超薄切片を作成した後、透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子JEM‐1200EX)を用いて、40万倍で写真撮影した。トルエンで希釈したサンプルについては、このトルエン溶液をコロジオンフィルム上に滴下した後、自然乾燥したサンプルを上記と同様にしてTEM写真撮影した。
得られたサンプルから、ウルトラミクロトーム(ライカ製ウルトラカットUCT)を用いて超薄切片を作成した後、透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子JEM‐1200EX)を用いて、40万倍で写真撮影した。トルエンで希釈したサンプルについては、このトルエン溶液をコロジオンフィルム上に滴下した後、自然乾燥したサンプルを上記と同様にしてTEM写真撮影した。
(実施例1)
酢酸亜鉛2水和物0.012モルを、0.1L(リットル)のメタノールに、60℃で攪拌しながら溶解することで、酢酸亜鉛のメタノール溶液を調整し、25℃に冷却した。
酢酸亜鉛2水和物0.012モルを、0.1L(リットル)のメタノールに、60℃で攪拌しながら溶解することで、酢酸亜鉛のメタノール溶液を調整し、25℃に冷却した。
これとは別に、水酸化カリウム0.024モルを、0.2Lのメタノールに、60℃で攪拌しながら溶解することで、水酸化カリウムのメタノール溶液を調整した。
次に、前述した室温の酢酸亜鉛のメタノール溶液を、前述した水酸化カリウムのメタノール溶液の入った容器に、攪拌しながらすばやく投入した。この後、溶液の濁りが観察される場合もあるが、この濁りはそのうち解消され、1時間後には透明な溶液となった。投入後2時間、65℃下攪拌を続けて反応させた後、3℃程度に冷却することで、更なる、微結晶の成長と凝集の発生を止めた。このようにして、0.04モル/Lの濃度の酸化亜鉛コロイドメタノール溶液0.3Lを調製した。
酸化亜鉛1モルに対して0.1モル相当量に当たる3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート(TSMA)0.304gを15mLのメタノールに添加することでTSMAのメタノール溶液を調製した。
これとは別に、酸化亜鉛1モルに対して0.1モル相当量に当たる純度94%フェニルトリメトキシシラン(PTMS)0.256gを15mLのメタノールに添加することでPTMSのメタノール溶液を調製した。
次に、前記酸化亜鉛コロイドメタノールに、前記TSMAのメタノール溶液、及び、前記PTMSのメタノール溶液を、室温にて攪拌しながら、同時に素早く、添加し、その後、ゆっくり60℃まで加熱し、2時間その状態で維持することで、シラン加工物で表面化学修飾された酸化亜鉛コロイドメタノール溶液を得た。
この時点での、実施例1、及びその他の各実施例、各比較例の条件を表1に示す。
このようにして得たシラン表面化学修飾剤で表面化学修飾された酸化亜鉛コロイドDMF溶液に、追加してDMF0.075Lを添加することでトータルの体積を0.136Lとし、更に、アルミナカラムで精製したメチルメタクリレート(MMA)25.9g、及び、このMMA量の2重量%の量の重合開始剤である2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を添加した。このとき、酸化亜鉛のこの溶液中の濃度は、0.43重量%であった。さらに、この溶液中に窒素バブリングすることで、溶存酸素を除いた後、四つ口フラスコ反応容器中で、窒素雰囲気下65℃で5時間、十分な攪拌操作、及び、環流操作を実施しながら、重合反応を実施した。その後、この反応系から熱源を除去し、反応器中に空気を流入させることで、反応を終了させ、実施例1の粘性の液体を得た。
このようにして得た、重合物を含む実施例1の粘性の液体を濾過することで、重合反応中に沈殿した酢酸塩を除去し精製することで、淡黄色の溶液を得た。この淡黄色液体を、室温の0.3Lのメタノールを入れたビーカーに、十分攪拌しながらゆっくり注ぐことで、この液体中のポリマー成分を沈殿させた。十分に沈殿した後に、上澄み液を取り除いて、沈殿物を回収した。
この沈殿物を精製するために、0.1Lのアセトンに溶解した後、再び、前述したのと同様にして、メタノール中に沈殿させその沈殿物を回収した。再度、この溶解、及び、沈殿を繰り返した後、この沈殿物を真空オーブンで80℃にて10時間乾燥して、実施例1の高分子グラフト無機超微粒子を回収した。
実施例1と、その他の各実施例、及び各比較例と、の重合条件、重合後の観察結果、及び精製方法を表2に示す。
実施例1で作製したナノコンポジットをトルエンに溶解した液は、透明清澄であった。図3に、この実施例1で作製したナノコンポジットを、更に、トルエンで希釈した後フィル上で乾燥させたサンプルのTEM写真を示す。この図から、2〜5.2nmの粒径の酸化亜鉛超微粒子が、トルエン中で単独で一次分散していたことが判る。また、この実施例1の高分子グラフト無機超微粒子ナノコンポジットは熱可塑性を示し、無機超微粒子の高い分散性を維持したままで容易に溶融加工できることは、表3示すナノコンポジットシートの結果から明らかである。
実施例1と、その他の各実施例、及び各比較例と、の各種評価結果を表3に示す。
表1、2、及び3に示す量に各々の量を変えた以外は実施例1と同様にして、MMAの重合までを行い、実施例2の粘性の液体を得た。この際、溶媒交換時のメタノールDMFの混合液から18gの混合液の重量減少となるまでメタノールを蒸発させ、0.025LのDMFを添加し0.158Lとした。重合溶液中の酸化亜鉛の濃度は1.0重量%とした。さらに、実施例1と同様にして、実施例2の高分子グラフト無機超微粒子を回収した。実施例2で作製したナノコンポジットをトルエンに溶解した液は、透明清澄であった。
(実施例3)
表1、2、及び3に示す量に各々の量を変えた以外は実施例1と同様にして、MMAの重合までを行い、実施例3の粘性の液体を得た。即ち、実施例3においては、PTMSのメタノール溶液は用いず、また、TSMAのメタノール溶液として、酸化亜鉛1モルに対して0.04モル相当量に当たるTSMA8.11gを120mLのメタノールに添加することでTSMAのメタノール溶液を調製した。この際、溶媒交換時のメタノールDMFの混合液から136.5gの混合液の重量減少となるまでメタノールを蒸発させ、1LのDMFを添加し3.888Lとした。重合溶液中の酸化亜鉛の濃度は1.6重量%であった。
表1、2、及び3に示す量に各々の量を変えた以外は実施例1と同様にして、MMAの重合までを行い、実施例3の粘性の液体を得た。即ち、実施例3においては、PTMSのメタノール溶液は用いず、また、TSMAのメタノール溶液として、酸化亜鉛1モルに対して0.04モル相当量に当たるTSMA8.11gを120mLのメタノールに添加することでTSMAのメタノール溶液を調製した。この際、溶媒交換時のメタノールDMFの混合液から136.5gの混合液の重量減少となるまでメタノールを蒸発させ、1LのDMFを添加し3.888Lとした。重合溶液中の酸化亜鉛の濃度は1.6重量%であった。
実施例3で作製したナノコンポジットをトルエンに溶解した液は、透明清澄であった。即ち、実施例3では、実施例1で0.01当量とした、TSMAの量を0.04当量まで減らしたが、白濁によって観測される凝集は、どの時点でも発生しなかったので、十分な表面被覆がなされ、良好な分散状態がたもたれたものと考えられる。
実施例3のナノコンポジットを、サーモハック社製射出成形装置を用いて、248℃で混練し、金型温度98℃にて射出成形して40mm×10mm×厚み2mmのシート形状の角材を作製した。厚み方向に光を入射した際のヘイズ率は4.3%と非常に小さな値であった。また、この角材の屈折率は1.511であり、ナノコンポジットシートの同じであった。この値を、今回用いたマトリックス樹脂であるポリメタクリル酸メチルの屈折率1.491と比較すると、0.02大きくなっており、これは酸化亜鉛超微粒子が含有されているためである。
(比較例1)
表1、2、及び3に示す量に各々の量を変えた以外は実施例1と同様にして、MMAの重合までを行い、比較例1の粘性の液体を得た。この際、溶媒交換時のメタノールDMFの混合液から33.1gの混合液の重量減少となるまでメタノールを蒸発させ、0.046LのDMFを添加し0.158Lとした。重合溶液中の酸化亜鉛の濃度は1.6重量%であった。
表1、2、及び3に示す量に各々の量を変えた以外は実施例1と同様にして、MMAの重合までを行い、比較例1の粘性の液体を得た。この際、溶媒交換時のメタノールDMFの混合液から33.1gの混合液の重量減少となるまでメタノールを蒸発させ、0.046LのDMFを添加し0.158Lとした。重合溶液中の酸化亜鉛の濃度は1.6重量%であった。
比較例1では重合反応中に、ゲル化が発生したようで、急激に溶液の粘度が上昇した。これは、各高分子鎖の間で架橋反応が起こったためと考えられる。
このようにして得た、ゲル化した重合物を含む若干白濁した粘性の液体を、室温の0.3Lのメタノールを入れたビーカーに注ぎ、その後、ゲル化した重合物を回収した。このようにして回収したゲルを、0.1Lのメタノール、及び、0.1Lのアセトン、からなる混合液中に添加し、それを50℃で2時間環流することで、ゲル粒子の懸濁液を得て、さらに、この懸濁液をフィルター濾過して残ったゲル粒子を回収し、真空オーブンで80℃にて10時間乾燥して、高分子グラフト無機超微粒子を回収した。
上記で、比較例1で精製方法として実施例1とは異なる方法を用いたのは、重合によりゲル化し、即ち、重合溶媒に不溶な成分が生じたためであり、これを精製するためには、ゲル粒子をメタノール、及びアセトンの混合溶液中で懸濁する必要があったからである。
比較例1で作製したサンプルは、トルエンに完全には溶解せず、ゲル成分が残存し白濁していた。これは、高分子グラフト無機超微粒子同士が架橋しているためと考えられる。
また、比較例1のナノコンポジットシートのヘイズ率は48.32%と大きく、透明なシートとはならなかった。これは比較例1のサンプルが十分な熱可塑性でなく、ホットプレス条件下で十分に変形しなかったためである。
(比較例2)
表1、2、及び3に示す量に各々の量を変えた以外は比較例1と同様にして、MMAの重合までを行い、比較例2の粘性の液体を得た。即ち、比較例2では、シラン表面化学修飾剤として、グラフトの起点となるような反応性有機官能基を有さないフェニルトリメトキシシラン(PTMS)のみを使用している点で、各実施例、及び、比較例1とは異なる。この際、溶媒交換時のメタノールDMFの混合液から72gの混合液の重量減少となるまでメタノールを蒸発させ、0.1LのDMFを添加し0.243Lとした。重合溶液中の酸化亜鉛の濃度は1.6重量%であった。
表1、2、及び3に示す量に各々の量を変えた以外は比較例1と同様にして、MMAの重合までを行い、比較例2の粘性の液体を得た。即ち、比較例2では、シラン表面化学修飾剤として、グラフトの起点となるような反応性有機官能基を有さないフェニルトリメトキシシラン(PTMS)のみを使用している点で、各実施例、及び、比較例1とは異なる。この際、溶媒交換時のメタノールDMFの混合液から72gの混合液の重量減少となるまでメタノールを蒸発させ、0.1LのDMFを添加し0.243Lとした。重合溶液中の酸化亜鉛の濃度は1.6重量%であった。
このようにして得た、重合物を含む透明粘性の液体を濾過することで、重合反応中に沈殿した酢酸塩を除去した後、メタノール中に注ぐ前に、60℃でロータリーポンプを用いて減圧し溶媒を蒸発させ0.06Lの粘性液体としたこと以外は、実施例1と同様にして、溶解、及び、沈殿を繰り返した後、乾燥することで比較例2のサンプルを回収した。
比較例2で作製した酸化亜鉛超微粒子を含む重合物をトルエンに溶解した液は、白濁していた。これは、酸化亜鉛微粒子同士が凝集したためと考えられる。図4に、この比較例1で作製したサンプルを、更に、トルエンで希釈した後のサンプルのTEM写真を示す。この図には、35nm、及び59nmの粒径の酸化亜鉛微粒子の凝集物30が存在しており、このような凝集物がトルエン中に存在していることが判る。
以上の実施例、比較例の結果から、本発明の高分子グラフト無機超微粒子得るためにはシラン表面化学修飾剤の質、及び量、及びグラフト重合時の無機超微粒子の濃度が重要であることが判る。
即ち、実施例1、及び実施例2と、比較例1と、では酸化亜鉛超微粒子に対するシラン表面化学修飾剤の量・質は同等であるが、重合反応時の酸化亜鉛微粒子濃度が各々0.43%、及び1.0%と低い実施例1、及び実施例2ではトルエンに溶解する本発明の高分子グラフト無機超微粒子、又は、ナノコンポジットが得られているのに対して、重合反応時の酸化亜鉛微粒子濃度が1.6%と高い比較例2では、重合中にそのシラン表面修飾剤により導入された無機超微粒子表面の反応起点の多さに起因して、ゲル化が発生してしまい、トルエンに不要な生成物しか得られない結果となっている。
また、図5に示すように、メタクリル酸メチルをグラフト重合した酸化亜鉛微粒子を39.8重量%含有する実施例2で作製したナノコンポジットを、更に、180℃でホットプレスしたサンプルでは、38.9重量%の酸化亜鉛微粒子を含み、微粒子間の間隔が狭くマトリックス樹脂が微粒子間を隔てる線状にしか確認できないにもかかわらず、微粒子は凝集無く高分散しており、この様子は、図4に示すメタクリル酸メチルをグラフト重合した酸化亜鉛微粒子を17.6重量%含有する比較例2で作製したナノコンポジットを、更に、トルエンで希釈した後のサンプルで微粒子の凝集が発生している様子と対照的である。
さらに、実施例3では、比較例1と同じく、重合溶媒中の酸化亜鉛粒子の濃度が1.6重量%であるが、TSMAの量が比較例1の0.1モル当量より少ない0.04モル当量であるため、グラフト重合起点が少なくなっており、ゲル化が発生せず、本発明のトルエンに可溶なナノコンポジットが得られている。
またさらに、比較例2ではPTMSのみを用いて表面化学修飾しているため、グラフト反応起点が微粒子表面に無いので、高分子がグラフトしていない酸化亜鉛微粒子はトルエン中で凝集してしまったと考えられ、高分子をグラフトさせる起点を微粒子表面に発生させるためには、官能性基を有するシラン表面化学修飾剤がゆうこうであることが判る。
12 無機超微粒子
14 マトリックス樹脂
30 酸化亜鉛微粒子の凝集物
14 マトリックス樹脂
30 酸化亜鉛微粒子の凝集物
Claims (8)
- 溶液キャスト法による成形、または溶融成形が可能な請求項1に記載の高分子グラフト無機超微粒子ナノコンポジット。
- 前記無機超微粒子が、酸化亜鉛を主成分とする請求項1または2に記載の高分子グラフト無機超微粒子ナノコンポジット。
- 前記高分子が、ビニル系単量体を重合させて得られるものである、請求項1〜3のいずれかに記載の高分子グラフト無機超微粒子ナノコンポジット。
- 前記ビニル系単量体が、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、スチレン、酢酸ビニル、ビニルピロリドンからなる群より選ばれる1種以上の化合物である、請求項1〜4のいずれかに記載の高分子グラフト無機超微粒子ナノコンポジット。
- 前記高分子が、ポリメチルメタクリレートである請求項1から5のいずれかに記載の高分子グラフト無機超微粒子ナノコンポジット。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の高分子グラフト無機超微粒子ナノコンポジットを含む熱可塑性組成物。
- 無機微粒子コロイド溶液を原料として順に、該原料中の無機超微粒子をシラン表面化学修飾剤で修飾し表面化学修飾無機超微粒子とすること、高分子を重合可能な単量体を溶解し、かつ、該表面化学修飾無機超微粒子が分散した重合溶媒を調製すること、該単量体を該表面修飾無機超微粒子上にラジカルグラフト重合すること、及び、該重合溶媒から高分子グラフト無機超微粒子を回収すること、を含む請求項1〜6のいずれかに記載の高分子グラフト無機超微粒子ナノコンポジットの製造方法。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114106271A (zh) * | 2021-12-24 | 2022-03-01 | 贵州大学 | 一种聚合物接枝包覆无水磷石膏的复合微球制备方法 |
CN114685737A (zh) * | 2022-04-18 | 2022-07-01 | 湖北航泰科技有限公司 | 一种纳米二氧化硅-PMMA-b-PS聚合物材料及其制备方法 |
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2007
- 2007-06-20 JP JP2007163192A patent/JP2009001652A/ja active Pending
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CN114106271A (zh) * | 2021-12-24 | 2022-03-01 | 贵州大学 | 一种聚合物接枝包覆无水磷石膏的复合微球制备方法 |
CN114685737A (zh) * | 2022-04-18 | 2022-07-01 | 湖北航泰科技有限公司 | 一种纳米二氧化硅-PMMA-b-PS聚合物材料及其制备方法 |
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