JP2005200605A - 有機ポリマーと金属化合物との複合体の製造方法及び複合体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 有機ポリマーの中にガラスや金属化合物が複合体全域にわたって、小さい粒径で、高い充填率で分散し、更に第2の金属化合物が高い含有率で複合化された有機無機複合体の製造方法の提供。
【解決手段】
珪酸アルカリ及び/または
一方の金属がアルカリ金属である、2種以上の金属元素を有する金属酸化物、金属水酸化物または金属炭酸化物から選ばれる少なくとも一種の金属化合物(1)と、珪酸アルカリ、金属化合物(1)、またはジアミンの濃厚溶液に溶解させた後、希釈した金属化合物(2)と、ジアミンとを含有する塩基性の水溶液(A)と、
ジカルボン酸ハロゲン化物、ジクロロホーメート化合物及びホスゲン系化合物からなる群から選ばれる一種の化合物を有機溶媒に溶解した有機溶液(B)とを
混合攪拌し、重縮合反応させる有機ポリマーと金属化合物との複合体の製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】
珪酸アルカリ及び/または
一方の金属がアルカリ金属である、2種以上の金属元素を有する金属酸化物、金属水酸化物または金属炭酸化物から選ばれる少なくとも一種の金属化合物(1)と、珪酸アルカリ、金属化合物(1)、またはジアミンの濃厚溶液に溶解させた後、希釈した金属化合物(2)と、ジアミンとを含有する塩基性の水溶液(A)と、
ジカルボン酸ハロゲン化物、ジクロロホーメート化合物及びホスゲン系化合物からなる群から選ばれる一種の化合物を有機溶媒に溶解した有機溶液(B)とを
混合攪拌し、重縮合反応させる有機ポリマーと金属化合物との複合体の製造方法。
【選択図】 なし
Description
本発明は、有機ポリマーの中に、ガラスと金属化合物、または2種以上の金属化合物を有する有機無機複合体の製造方法及び該製造方法により得られる有機無機複合体に関する。
有機ポリマーがもつ加工性、柔軟性等の特性と、無機物質が持つ耐熱性、耐摩耗性等、表面硬度等の特性とを兼備させることを目的として、無機微粒子を有機ポリマー内に複合化することは広く検討されている。この方法によって複合化の効果を十分に発揮するには、粒径が極力小さい無機微粒子を高い充填率で有機ポリマーへ複合化することが好ましい。無機微粒子の粒径が小さくなると、無機粒子の重量当たりの表面積が大きくなり有機材料と無機材料との界面領域が広くなることで高い補強効果が期待できる(面積効果)。また、無機微粒子の充填率が高くなると、当然複合化の効果が大きくなる(体積効果)。
上記のような特徴を持つ有機無機複合体中に、さらに多種多様な金属化合物を複数種類、該複合体に複合化する選択肢を広げることは、該複合体に付与する特性を、複合化する金属化合物により選択することで、複合体を設計できるため極めて有用である。しかしながら、有機ポリマーに複数の種類の無機化合物を小粒径(好ましくはナノメートルオーダー)で高い充填率で複合でき、且つ製造が容易な材料は知られていない。
無機材料と有機ポリマーとは表面特性、比重、熱不溶性、薬品不溶性の点で本質的に異なるため、無機材料を均一に高い充填率で微分散状態にするのはそもそもが極めて困難である。その無機材料を複数種類分散させることは、無機材料同士の凝集の可能性も生じるためさらに難しくなる。加えて、ナノメートルオーダーの無機微粒子は通常高価な上、飛散等の恐れがあり取り扱い性が悪い。また、エクストリューダー等の大型分散器を用いて無機微粒子を有機マトリクスに強制的に混合しようとしても、例えば、200℃での溶融混練処理等の多量の熱エネルギーを必要とする(例えば、特許文献1参照。)。
一方で、金属アルコキシドを加水分解重縮合反応させて金属酸化物とする、いわゆるゾル−ゲル法を利用し、有機ポリマーにナノメートルオーダーの金属酸化物を複合化する方法も広く検討されている。本方法では、有機ポリマー中への金属化合物の均一な微分散が容易である上、常温〜150℃程度の比較的低い温度で重縮合反応が生じるためにエネルギー的にも有利である。しかしながら、加水分解、及び重縮合の反応にそれぞれ長時間を要するため製造効率が極めて低い問題点がある。例えば、目的とする複合体を得るためには、加水分解のために室温で48時間攪拌処理した後、重縮合に100℃付近で21時間を要する例が知られている(例えば、特許文献2参照。)。また、それぞれの反応に室温下で1日の後、更に80℃下で1日を要している例も知られている(例えば、特許文献3参照。)。加えて、これらのいずれの方法においても複合化できるのは金属アルコキシドの加水分解重縮合反応の結果により生じる金属酸化物のみである。そのため、金属水酸化物、金属炭酸化物、金属ハロゲン化物等の酸化物以外の金属化合物を複合化することはできない。また、本方法では複数の種類の無機化合物を同一の複合体上に共に微粒子状態で複合することは、金属アルコキシドの種類により、加水分解重縮合反応の速度が大きく異なるため、非常に困難である。
また、ゾル−ゲル法で有機無機複合体を得るためにはゾル−ゲル反応を起こし得る金属アルコキシドが必須である。そのため、アルコキシドを形成しない金属種では複合化自体が不可能である。また、金属アルコキシド類は一般的に高価な材料であるため、複合体の高価格化は免れない。
また、固体高分子化合物にガラス転移温度以上にて、重金属化合物の蒸気を接触させることによる、高分子−金属クラスター複合体の製造方法が開示されている(例えば、特許文献4参照。)。この方法では、担持できるのが重金属化合物に限定されることに加え、重金属の昇華性、揮発性の化合物や錯化物を用いる必要があるため、担持金属の原料が限定される上、高価となってしまう。また、金属化合物が担持される領域は高分子化合物の表層付近に限定されるため、金属化合物による高分子化合物への物理的な補強効果等は皆無である。
本発明が解決しようとする課題は、有機ポリマーの中にガラスと金属化合物を複合化した有機無機複合体や、有機ポリマーの中に2種以上の金属化合物を複合化した有機無機複合体を提供することにある。また、該複合体中の主要無機成分であるガラスや金属化合物が複合体全域にわたって粒径の小さい(好ましくはナノメートルオーダー)状態で、高い充填率で有機ポリマー中に分散することで、有機ポリマーを補強することに加え、第2の無機成分である金属化合物を高い含有率で複合化することにより、金属が持つ各種機能を十分に複合体に付与することができる。また、有機ポリマーの性質である加工性も有する。加えて、このような構造を持つ複合体を容易に製造できる製造方法を提供することである。更に、このような構造を持つ複合体を安価な無機化合物原料を用いて提供することである。
本発明者らは、有機ポリマーとガラスと金属化合物との複合体、または有機ポリマーと2種以上の金属化合物との複合体の製造方法において、
1)珪酸アルカリ及び/または
2種以上の金属元素を有しその金属元素の1種がアルカリ金属である、金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸化物からなる群から選ばれる少なくとも一種の金属化合物(1)と、
2)金属化合物(2)と
3)ジアミンと
を含有する塩基性の水溶液(A)と、
ジカルボン酸ハロゲン化物、ジクロロホーメート化合物及びホスゲン系化合物からなる群から選ばれる一種の化合物を有機溶媒に溶解した有機溶液(B)とを
混合攪拌し、重縮合反応させる有機ポリマーとガラスと金属化合物、及び有機ポリマーと金属化合物との複合体を製造する際に、
金属化合物(2)を出来るだけ多くかつ微細状態で複合化するためには、水溶液(A)中に出来るだけ多くの金属化合物(2)を溶解させる必要があることを見出した。このためには、金属化合物(2)をアルカリ性の高い溶液に溶解することが有用であり、金属化合物(2)を水溶液(A)に含有させる方法が、金属化合物(2)を
i)珪酸アルカリが1モル/L以上含まれる濃度で溶解させた水溶液、
ii)金属化合物(1)が1モル/L以上含まれる濃度で溶解させた水溶液、
iii)ジアミン100%溶液またはジアミンを10質量%以上含有する水溶液
から選ばれる少なくとも1つの溶液に溶解させた後、水で希釈することにより、高い含有率で微細に金属化合物(2)を有機ポリマー中に複合化できることを見出した。本方法により得られる有機無機複合体は、複合化された無機成分が微粒子状態(サブミクロンメートル〜ナノメートルオーダー)であることに加え、主要無機成分の含有率が20質量以上で、更に主要無機成分と別種の無機成分である金属化合物を同様な粒径で複合化した有機ポリマーとガラスと金属化合物との複合体、または有機ポリマーと2種以上の金属化合物の複合体を常温、常圧下での迅速な反応により簡便に製造できることを見出した。
1)珪酸アルカリ及び/または
2種以上の金属元素を有しその金属元素の1種がアルカリ金属である、金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸化物からなる群から選ばれる少なくとも一種の金属化合物(1)と、
2)金属化合物(2)と
3)ジアミンと
を含有する塩基性の水溶液(A)と、
ジカルボン酸ハロゲン化物、ジクロロホーメート化合物及びホスゲン系化合物からなる群から選ばれる一種の化合物を有機溶媒に溶解した有機溶液(B)とを
混合攪拌し、重縮合反応させる有機ポリマーとガラスと金属化合物、及び有機ポリマーと金属化合物との複合体を製造する際に、
金属化合物(2)を出来るだけ多くかつ微細状態で複合化するためには、水溶液(A)中に出来るだけ多くの金属化合物(2)を溶解させる必要があることを見出した。このためには、金属化合物(2)をアルカリ性の高い溶液に溶解することが有用であり、金属化合物(2)を水溶液(A)に含有させる方法が、金属化合物(2)を
i)珪酸アルカリが1モル/L以上含まれる濃度で溶解させた水溶液、
ii)金属化合物(1)が1モル/L以上含まれる濃度で溶解させた水溶液、
iii)ジアミン100%溶液またはジアミンを10質量%以上含有する水溶液
から選ばれる少なくとも1つの溶液に溶解させた後、水で希釈することにより、高い含有率で微細に金属化合物(2)を有機ポリマー中に複合化できることを見出した。本方法により得られる有機無機複合体は、複合化された無機成分が微粒子状態(サブミクロンメートル〜ナノメートルオーダー)であることに加え、主要無機成分の含有率が20質量以上で、更に主要無機成分と別種の無機成分である金属化合物を同様な粒径で複合化した有機ポリマーとガラスと金属化合物との複合体、または有機ポリマーと2種以上の金属化合物の複合体を常温、常圧下での迅速な反応により簡便に製造できることを見出した。
すなわち本発明は、
1)珪酸アルカリ及び/または
2種以上の金属元素を有する金属化合物であって、その一方の金属がアルカリ金属である、金属酸化物、金属水酸化物および金属炭酸化物からなる群から選ばれる少なくとも一種の金属化合物(1)と
2)金属化合物(2)と
3)ジアミンと
を含有する塩基性の水溶液(A)と、
ジカルボン酸ハロゲン化物、ジクロロホーメート化合物及びホスゲン系化合物からなる群から選ばれる一種の化合物を有機溶媒に溶解した有機溶液(B)とを
混合攪拌し、重縮合反応させる有機ポリマーと金属化合物との複合体の製造方法であって、
金属化合物(2)を水溶液(A)に含有させる方法が、金属化合物(2)を
i)珪酸アルカリが1モル/L以上含まれる濃度で溶解させた水溶液、
ii)金属化合物(1)が1モル/L以上含まれる濃度で溶解させた水溶液、
iii)ジアミン100%溶液またはジアミンを10質量%以上含有する水溶液
から選ばれる少なくとも1つの溶液に溶解させた後、水で希釈することを特徴とする有機ポリマーと金属化合物との複合体の製造方法を提供する。
1)珪酸アルカリ及び/または
2種以上の金属元素を有する金属化合物であって、その一方の金属がアルカリ金属である、金属酸化物、金属水酸化物および金属炭酸化物からなる群から選ばれる少なくとも一種の金属化合物(1)と
2)金属化合物(2)と
3)ジアミンと
を含有する塩基性の水溶液(A)と、
ジカルボン酸ハロゲン化物、ジクロロホーメート化合物及びホスゲン系化合物からなる群から選ばれる一種の化合物を有機溶媒に溶解した有機溶液(B)とを
混合攪拌し、重縮合反応させる有機ポリマーと金属化合物との複合体の製造方法であって、
金属化合物(2)を水溶液(A)に含有させる方法が、金属化合物(2)を
i)珪酸アルカリが1モル/L以上含まれる濃度で溶解させた水溶液、
ii)金属化合物(1)が1モル/L以上含まれる濃度で溶解させた水溶液、
iii)ジアミン100%溶液またはジアミンを10質量%以上含有する水溶液
から選ばれる少なくとも1つの溶液に溶解させた後、水で希釈することを特徴とする有機ポリマーと金属化合物との複合体の製造方法を提供する。
さらに、本発明は、上記方法により得られる、有機ポリマーとガラスと金属化合物、または有機ポリマーと2種以上の金属化合物との複合体を提供する。
本発明により得られる有機ポリマーとガラスと金属化合物の複合体及び、有機ポリマーと金属化合物との複合体は、無機主要成分である粒径がサブミクロンメートル〜ナノメートルオーダーのガラス及び、金属化合物(1)からアルカリ金属化合物が除去されることで水に不溶化した金属化合物(本金属化合物を以降、金属化合物(3)と称する。一例を挙げると、タングステン酸ナトリウム(Na2WO4)を金属化合物(1)として用いた場合はWO3が金属化合物(3)に相当する)がポリマー中の全域にわたって微分散している。また、ガラス及び金属化合物(3)の含有量も容易に20質量%以上にすることができる。加えて、該複合体には金属化合物(3)とは別種の金属化合物(2)が、無機主要成分と同様な粒径で密着性よく複合化されている。そのため有機材料の有する加工性や柔軟性と、ポリマー中に高い質量割合で複合化されたガラス及び/または金属化合物(3)が持つ機能(例えば、硬度、触媒能、絶縁性、半導体性、電子導電性、イオン導電性、高比表面積、高耐熱性、耐摩耗性、温度変化や吸湿に対する寸法安定性等)とに加え、金属化合物(2)による各種機能(例えば反応触媒能、光触媒能等)を兼備した有機無機複合体を提供することができる。
また本発明では、以上の特徴を持つ有機無機複合体を、常温常圧下での短時間の操作で得ることができる。
以下に本発明をさらに詳細に説明する。
本発明は、
有機ポリマーに20質量%以上でガラス及び/または金属化合物(3)のサブミクロンメートル〜ナノメートルオーダーの微粒子に加え、同様な粒径の金属化合物(2)を相当量複合化することができる、有機ポリマーと金属化合物との複合体の製造方法である。
有機ポリマーに20質量%以上でガラス及び/または金属化合物(3)のサブミクロンメートル〜ナノメートルオーダーの微粒子に加え、同様な粒径の金属化合物(2)を相当量複合化することができる、有機ポリマーと金属化合物との複合体の製造方法である。
本発明では常温、常圧下での10秒〜十数分程度の攪拌操作により、水溶液(A)中のジアミンと有機溶液(B)中のモノマーとが迅速に反応し有機ポリマーが収率よく得られる。その際、水溶液(A)中のアルカリ源である珪酸アルカリや金属化合物(1)が有するアルカリ金属化合物が、重合の際に発生するハロゲン化水素の除去剤として作用することで有機ポリマーの重合反応を促進するとともに消費される。この反応と同時に、アルカリ金属化合物が存在することで珪酸アルカリや金属化合物(1)として水溶液に溶解していた化合物が、中和に伴うアルカリ源の減少によりガラスや金属化合物(3)として固体へと転化する。その際、有機ポリマーの重合反応と水溶液(A)中に溶解していた珪酸アルカリや金属化合物(1)の固体(つまりガラスや金属化合物(3))への転化とは、どちらか一方のみが生じることはなく平行して起こるため、ガラス及び/または金属化合物(3)の微粒子が有機ポリマーに微分散した有機無機複合体が得られる。
また、本発明では珪酸アルカリや金属化合物(1)として水溶液に溶解していた化合物が、中和に伴うアルカリ源の減少によりガラスや金属化合物(3)として固体へと転化すると同時に、水溶液(A)中に溶解していた、金属化合物(2)も固体へ転化し、ガラス及び/または金属化合物(3)とともに複合化される。
上記、複合されたガラス及び/または金属化合物(3)の粒子サイズはサブミクロン〜ナノメートルオーダーと微粒子状態であり、更にこれらの無機成分含有率も容易に20質量%以上と高い比率とすることができる。また、金属化合物(2)は、溶解していた水相が塩基性から中性へと急激に変化することにともない、粗大化することなく金属化合物(3)と同様にサブミクロン〜ナノメートルオーダーで複合化される。
また、本発明ではジアミンは有機ポリマーへと重縮合反応が進行するのに伴い消費される。この反応にしたがって、ジアミンの存在により溶解していた金属化合物(2)も固体へと転化し、ガラス及び/または金属化合物(3)とともにサブミクロン〜ナノメートルオーダーで複合化される。
珪酸アルカリおよび/または金属化合物(1)の水溶液は水溶液中で塩基性を示す。このとき珪酸アルカリおよび/または金属化合物(1)が1モル/L、好ましくは1.5モル/L以上含まれる、いわゆる濃厚な状態で溶解させた水溶液では、用いる珪酸アルカリおよび/または金属化合物(1)の種類にもよるが、通常pH12以上の強い塩基性を示す。これらの水溶液は、そのアルカリ源の組成のため、水酸化アルカリや炭酸アルカリ等の含アルカリ金属化合物の塩基性水溶液に非常に近い性質を有する。そのため、水酸化アルカリや炭酸アルカリ等に可溶である金属化合物を多量に溶解させることができ、これにより主要無機成分であるガラス及び/または金属化合物(3)以外の金属化合物をも複合化できるのみならず、複合化する金属化合物の量を増すことができる。
一方、ジアミン100%溶液またはジアミンを10質量%以上含有する水溶液は、電子対を供与する、いわゆるルイス塩基的な性質を強く示す。これらの水溶液は、液体アンモニアや、アンモニア水に非常に近い性質を有する。そのためこれらの液体は金属化合物を金属錯体的に転化させることにより溶解させることができる。有機ポリマーの重縮合の際には、ジアミンは有機溶液(B)中のモノマーと優先的に反応するため、重縮合反応が進行するに従ってジアミンと金属錯体を形成することにより溶解していた金属化合物が、ジアミンとの配位結合の消失とともに析出することで金属化合物を複合化することができる。
本発明では、金属化合物(2)を有機無機複合体中に多量(好ましくは5質量%以上)に複合化させるために、金属化合物(2)の溶解工程では、珪酸アルカリと金属化合物(1)が1モル/L以上の濃度の水溶液を用いる必要がある。また、ジアミン側に金属化合物(2)を溶解させる場合はジアミン100%溶液またはジアミンを10質量%以上含有する水溶液を用いる必要がある。これらの濃度が低い場合は、金属化合物(2)が少量しか溶けずに、微粒子状態で多量に複合化できなくなる。また、金属化合物(2)に未溶解の部分があると、粗大粒子として複合化されるため、複合化の効果が十分に発揮できない上、複合体から脱落しやすくなる恐れがある。
本発明において、有機無機複合体の主要無機部分がガラスである際に原料として用いられる珪酸アルカリは、JIS K 1408に記載された水ガラス1号、2号、3号に加え水ガラス4号のA2O・nSiO2の組成式、Aがアルカリ金属、nの平均値が1.8〜4の材料等が挙げられる。これら水ガラスの原液にはアルカリ金属が15〜5質量%含まれており、水溶液に12程度のpH値を有する塩基性を付与し、金属化合物を多量に溶解することができるため、好適に用いられる。また、nの平均値が0.8〜1.1である、メタ珪酸アルカリ(たとえばメタ珪酸ナトリウム1種、2種)の粉末を1モル/L以上の濃度で水に溶解させた液体は13以上の高いpH値を示すため、さらに好適に用いられる。これら珪酸アルカリに含まれるアルカリ金属は重合の際に発生する際の酸除去剤として作用することで重合反応を促進する作用も有する。
本発明において、有機無機複合体の主要無機部分の金属化合物の原料として用いられる、2種以上の金属元素を有する金属化合物であって、その一方の金属がアルカリ金属である、金属酸化物、金属水酸化物および金属炭酸化物からなる群から選ばれる少なくとも一種の金属化合物(1)としては、一般式AxMyBzとして表すことができ、Aがアルカリ金属元素であり、Mがアルカリ金属以外の金属元素からなる群から選ばれる少なくとも1種類以上の金属元素であり、BがO、CO3、OHからなる群から少なくとも1種選ばれる基である化合物が挙げられる。x、y、zは、A、MとBの結合を可能とする数である。上記一般式AxMyBzで表される化合物は、水に溶解し塩基性を示すものが好ましい。また、有機ポリマーに複合化される金属化合物(3)が、水に殆どまたは全く溶解しないことが好ましい。金属化合物(1)に含まれるアルカリ金属もまた、重合の際に発生する際の酸除去剤として作用することで、重合反応を促進するとともに、水溶液に塩基性を付与し、金属化合物を溶解するための作用を有する。
本発明で用いられる金属化合物(1)の内、上記一般式中のBがOである化合物としては、亜鉛酸ナトリウム、アルミン酸ナトリウム、亜クロム酸ナトリウム、モリブデン酸ナトリウム、スズ酸ナトリウム、亜テルル酸ナトリウム、チタン酸ナトリウム、バナジン酸ナトリウム、タングステン酸ナトリウム等のナトリウム複合酸化物や、亜鉛酸カリウム、アルミン酸カリウム、亜クロム酸カリウム、モリブデン酸カリウム、スズ酸カリウム、マンガン酸カリウム、タンタル酸カリウム、亜テルル酸カリウム、鉄酸カリウム、バナジン酸カリウム、タングステン酸カリウム、金酸カリウム、銀酸カリウム等のカリウム複合酸化物、アルミン酸リチウム、モリブデン酸リチウム、スズ酸リチウム等のリチウム複合酸化物のほかルビジウム複合酸化物、セシウム複合酸化物を用いることができる。
上記一般式中のBがCO3とOHとの一方または双方の基を含む金属化合物(1)としては、炭酸亜鉛カリウム、炭酸ニッケルカリウム、炭酸ジルコニウムカリウム、炭酸コバルトカリウム、炭酸スズカリウム等を例示することができる
これらの金属化合物(1)は水に溶解させて用いるため、水和物であっても良い。また、これらは単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。また、前述の珪酸アルカリと同時に用いても良い。
本発明で用いられるジアミンとしては水溶液(A)に用いられ、有機ポリマーの原料モノマーとしての役割を有する。具体的には、1,2−ジアミノエタン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,8−ジアミノオクタンなどの脂肪族ジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,5−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミノナフタレン、2,3−ジアミノナフタレンなどの芳香族ジアミン、あるいはこれら芳香環の水素をハロゲン原子、ニトロ基、またはアルキル基などで置換した芳香族ジアミンなどが例として挙げられる。これらは単独または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
このとき、ジアミンの電子対を供与する、いわゆるルイス塩基的な作用を利用することにより、金属化合物の溶解液としても作用させる場合には、溶解操作を常温で行うときには、常温下で液体である1,5−ジアミノペンタン以下の分子量の脂肪族ジアミンでは100%溶液を用いることができる。常温下で固体である、1,6−ジアミノヘキサン以上の分子量の脂肪族ジアミンや、芳香族ジアミンのm−フェニレンジアミンでは、ジアミンを10質量%以上含む溶液、好ましくは20質量%以上含む溶液として用いることで、金属化合物を好適に溶解させることができる。また、ジアミンの物性を変化させない範囲で加熱を行うことで溶解し、100%溶液を溶解液として用いることもできる。得られる複合体の形状の観点からは、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノヘキサン等の脂肪族ジアミンを使用すると、繊維状の有機無機複合体を容易に得ることができ不織布等へも加工することができるため特に好ましい。
本発明で用いる金属化合物(2)は、それぞれ溶媒として用いられる液体に可溶であることに加え、中性を示す水溶液に不溶性または難溶性であることが好ましい。具体的には金属化合物(2)の中性溶液への溶解量は、pH7付近の常温下の中性水溶液に50mg/L以下であることが好ましい。この量よりも中性水溶液に対する溶解量が大きい場合には、該複合体の合成後のろ過や水洗の工程で金属化合物が流出し、担持効率が低くなり、目的とする担持量が得られにくくなる場合がある。
本発明にて金属化合物(2)として用いられる金属化合物のうち、珪酸アルカリ及び/または金属化合物(1)の1モル/L以上の濃度の水溶液を溶解液として好ましく用いられる化合物としては、水酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化アンチモン(III)、水酸化アンチモン(V)、水酸化イリジウム(III)、水酸化イリジウム(IV)、水酸化金(III)、水酸化クロム(III)、水酸化コバルト(II)、水酸化スズ(II)、水酸化炭酸ニッケル(II)、水酸化タンタル(V)、水酸化ニオブ(V)、水酸化ニッケル(II)、水酸化パラジウム(II)、水酸化ベリリウム等の金属水酸化物、酸化亜鉛(II)、酸化アンチモン(III)、酸化アンチモン(V)、酸化ガリウム(I)、酸化金(III)、酸化水酸化金(III)、酸化水酸化鉛(II)、酸化スズ(II)、酸化スズ(IV)、酸化タングステン(VI) 、酸化チタン(IV)、酸化鉛(II) 、酸化鉛(IV)、酸化ニオブ(V)、酸化バナジウム(III))、酸化バナジウム(IV)、酸化バナジウム(V)、酸化ビスマス(V)、酸化モリブデン(VI)、酸化ルテニウム(VIII)、酸化レニウム(VI)等の酸化物、炭酸亜鉛、炭酸鉛(II)、塩基性炭酸銅(II)等の炭酸化物を例示することができる。これら金属化合物は水に溶解させて用いるため、水和物であっても良い。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。また、前述のとおり濃厚な塩基性水溶液に一定量以上可溶であり、中性水溶液に難溶または不溶な金属化合物であれば、リン酸マンガン等のリン酸塩や塩化銀(I)、塩化銅(I)、ヨウ化タングステン、ヨウ化鉛、ヨウ化白金等の金属ハロゲン化物や硫化アンチモン(III)、硫化アンチモン(V)、硫化タングステン等の金属硫化物やシュウ酸塩等を用いても良い。これらは単独で用いても、複数組み合わせて用いてもよい。
上記金属化合物(2)の中の一部は、塩基性水溶液の塩基源となるアルカリ金属化合物の種類によって溶解性が異なる場合がある。本発明では、金属化合物(2)を多量に塩基性溶液に溶解させることで、有機ポリマーに複合化する無機成分の量を増大させることができる。そのため、金属化合物(2)の塩基性溶液への溶解特性によって、塩基源となるアルカリ金属化合物の種類を適宜選定することが好ましい。一例を挙げると、酸化アンチモン(III)、酸化アンチモン(V)、酸化金(III)等は水酸化カリウムの水溶液に特異的に溶解する。これらの化合物を多量に複合化する場合は、珪酸アルカリとしては珪酸カリウムを、金属化合物(1)としてはアルミン酸カリウム、スズ酸カリウム、亜テルル酸カリウム等のカリウムを有する化合物を用いることが好ましい。
一方、金属化合物(2)の溶解液として、ジアミン100%溶液またはジアミンを10質量%以上含有する水溶液を用いる場合に、金属化合物(2)として好適に用いられる金属化合物は、アンモニア水と類似な挙動をもつルイス塩基溶液に可溶である化合物が好ましく用いられる。これらを例示すると、リン酸リチウム、リン酸亜鉛、リン酸カドミウム、リン酸銀、リン酸コバルト、リン酸銅等のリン酸塩、塩化銀(I)、塩化銅(I)、臭化銅(I)、ヨウ化銀(I)、ヨウ化水銀、ヨウ化銅(I)、ヨウ化白金(II)等の金属ハロゲン化物に加え、水酸化ニッケル(II)、水酸化カドミウム(II)、水酸化炭酸コバルト(II)、水酸化亜鉛、水酸化銅(I)、水酸化銅(II)、水酸化パラジウム(II)等の金属水酸化物、酸化亜鉛(II)、酸化金(III)、酸化銀(I)、酸化銀(II)、酸化銅(I)、酸化銅(II)、酸化ニッケル(III)、酸化水酸化金(III)、酸化スズ(IV)、酸化タングステン(VI)、酸化バナジウム(V)、酸化モリブデン(VI)等の金属酸化物、炭酸銀(I)、炭酸コバルト(II)、炭酸銅(I)、炭酸マグネシウム等の金属炭酸化物を挙げることができる。これら金属化合物は最終的には水に溶解させて用いるため、水和物であっても良い。これらは単独で用いても、複数組み合わせて用いてもよい。
本発明での、塩基性水溶液への金属化合物(2)の溶解は公知慣用の方法でよく、通常のバッチ式攪拌等が用いられ、特に制限はない。溶解の際の温度は常温下でも、各成分の特性を損なわない範囲で加熱をしてもよい。
珪酸アルカリ及び/または金属化合物(1)が1モル/L以上含まれる濃度で溶解させた水溶液と、ジアミン100%溶液またはジアミンを10質量%以上含有する水溶液、の双方に溶解する金属化合物(2)を複合化する場合は、各々の溶液に飽和近くまで金属化合物(2)を溶解させた後、水溶液(A)を調製することで、該複合化量の複合化量を増大させることができる。また、珪酸アルカリ及び/または金属化合物(1)が1モル/L以上含まれる濃度で溶解させた水溶液と、ジアミン100%溶液またはジアミンを10質量%以上含有する水溶液のそれぞれに、異なった化合物を溶解させて複合体を合成することで、複合化する金属化合物の種類をさらに増やすことができることも本発明の特徴の一つである。
本発明では、いわゆる濃厚な珪酸アルカリ及び/または金属化合物(1)の溶液やジアミンの濃厚な溶液を用いて金属化合物(2)を溶解させた溶液を水で希釈する工程を含む。この工程を行うことにより、予め希釈後に相当する希薄な珪酸アルカリ溶液及び/または金属化合物(1)やジアミン希薄溶液に直接金属化合物(2)を溶解させるよりも多量の金属化合物を溶解させることができる上に、該希釈工程を行わないで、水溶液(A)にもう一方の必須成分を加えたときに生じうるゲル化反応や、溶解物の再析出や、溶解不良を防止できる。これらの手法により、複合体に多量の金属化合物(2)を複合化することができる。
該希釈工程により溶解していた金属酸化物(2)が析出することは基本的にはない。しかしながら、用いる金属化合物の種類によっては希釈に伴い溶解状態が不安定になり、長時間放置すると空気中の二酸化炭素等の影響により徐々に析出物が生じる場合がある。析出物が生じると複合化される金属化合物粒子のサイズが大きくなり、前述の面積効果が小さくなることにより複合化の効果が得られにくくなったり、該粒子が脱落しやすくなったりする弊害を生じる可能性がある。そのため、希釈後は直ちに合成を行うことが好ましい。
本発明に用いられている技術では、ポリマーの界面重縮合の際に発生するハロゲン化水素を、水溶状態で合成系内に存在している各種無機化合物原料(本発明では珪酸アルカリ及び/またはアルカリ金属化合物(1))の固形化剤として用いている点を特徴としている。本発明では、いわゆる濃厚な状態のアルカリ金属を有する無機化合物原料やジアミンに、金属化合物を多量に溶解した液を作製後に希釈することにより、ハロゲン化水素の消費を伴わなくとも固体化、析出できる金属化合物を多量に溶解状態で合成系内に共存させることができ、これにより複合化する無機材料の量を増加させることができる。そのため、本発明では、金属化合物(2)を複合化することより、ガラスや金属化合物(3)の主要無機成分の複合化量を低下させてしまうことがない特徴も有している。
本発明での有機溶液(B)に用いるジカルボン酸ハロゲン化物としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸の酸ハロゲン化物、およびイソフタル酸、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸の酸ハロゲン化物、あるいはこれら芳香環の水素をハロゲン原子、ニトロ基、アルキル基などで置換した芳香族ジカルボン酸の酸ハロゲン化物などが例として挙げられ、これらは単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。なかでも、アジポイルクロライド、アゼラオイルクロライド、セバシルクロライド等の脂肪族のジカルボン酸の酸ハロゲン化物を使用すると、繊維状の有機無機複合体を容易に得ることができ、該複合体を不織布等へ加工することもできる。
本発明での有機溶液(B)に用いるジクロロホーメート化合物としては、1.2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール等の脂肪族ジオール類や、1個または2個以上の芳香環に水酸基を2個持つレゾルシン(1,3−ジヒドロキシベンゼン)、ヒドロキノン(1,4−ジヒドロキシベンゼン)、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,2’−ビフェノール、ビスフェノールS、ビスフェノールA、テトラメチルビフェノール等の2価フェノール類の水酸基を全てホスゲン化処理によりクロロホーメート化したものを挙げることができる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明での有機溶液(B)に用いるホスゲン系化合物としてはホスゲン、ジホスゲン及びトリホスゲンを挙げることができる。これらは単独で、または両種を組み合わせて使用することができる。
本発明では有機溶液(B)に用いるモノマーを選択することにより、有機無機複合体のマトリクス有機ポリマーを変えることができる。モノマーとしてジカルボン酸ハロゲン化物を用いた場合はポリアミドを、ジクロロホーメート化合物を用いた場合はポリウレタンを、ホスゲン系化合物を用いた場合にはポリ尿素を、水溶液(A)との反応によって得ることができる。
本発明での有機溶液(B)に用いる有機溶媒としては上記の有機溶液(B)中の各種モノマーやジアミンとは反応せず、有機溶液(B)中の各種モノマーを溶解させるものであれば特に制限なく用いることができる。このうち水と非相溶なものとしてはトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、n−ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、クロロホルム、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素類、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素類を、水と相溶するものとしてはテトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類などを代表的な例として挙げることができる。
有機溶液(B)に用いる有機溶媒として水に対して非相溶なものを用いた場合、生じる重縮合反応は水溶液(A)と有機溶液(B)との界面のみで生じる界面重縮合となる。この場合は得られる有機ポリマーの分子量を容易に高くすることができるため、繊維形状の複合体が得られやすい。また、水溶液(A)と有機溶液(B)との界面で生じた複合体膜を引き上げつつ紡糸することで、強度の高い長繊維を得ることもできる。逆に有機溶媒として水に対して相溶するものを用いた場合には、有機溶媒と水とが乳化した状態で重合が生じるため、粉体形状の複合体が容易に得られる。
本発明での水溶液(A)有機溶液(B)及び中のモノマー濃度としては重合反応が十分に進行すれば特に制限されないが、各々のモノマー同士を良好に接触させる観点から、0.01〜3モル/Lの濃度範囲、特に0.05〜1モル/Lが好ましい。
本発明での有機無機複合体の製造装置は、水溶液(A)と有機溶液(B)とを良好に接触反応させることができる製造装置であればとくに限定されず連続式、バッチ式のいずれの方式でも可能である。連続式の具体的な装置としては大平洋機工株式会社製「ファインフローミルFM−15型」、同社製「スパイラルピンミキサSPM−15型」、あるいは、インダク・マシネンバウ・ゲーエムベー(INDAG Machinenbau Gmb)社製「ダイナミックミキサDLM/S215型」などが挙げられる。バッチ式の場合は有機溶液と水溶液の接触を良好に行わせる必要があるのでプロペラ状翼、マックスブレンド翼やファウドラー翼等を持つような汎用の攪拌装置を用いることができる。
水溶液(A)中の成分に脂肪族ジアミンを、有機溶液(B)中の成分に脂肪族ジカルボン酸ハロゲン化物を用いた場合には、重合操作の際に強固なゲル状物が生成する場合がある。その場合にはゲルを破砕し反応を進行させるために高い剪断力を持つミキサーを用いることが好ましく、例としてはオスタライザー(OSTERIZER)社製ブレンダーなどが挙げられる。
水溶液(A)と有機溶液(B)とを重縮合反応させる温度は、例えば−10〜50℃の常温付近の温度範囲で十分に反応が進行する。加圧、減圧も一切必要としない。また、重合反応は用いるモノマーや反応装置にもよるが通常10分程度で完結する。
以下に実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。特に断らない限り、「部」は「質量部」を表す。
(実施例1:酸化タングステン/酸化アルミニウム/ポリアミド複合体)
アルミン酸ナトリウム水溶液(Al2O3;20質量%、Na2O;19質量%、アルミン酸ナトリウムのモル濃度は7.0モル/L)4.00部に酸化タングステン(VI)0.15部を加えて、60℃で30分間攪拌することで、均質透明な水溶液を得た。該水溶液にイオン交換水73.0部を加え希釈し、5分間攪拌し透明均質水溶液を得たのち、1,6−ジアミノヘキサンの65質量%水溶液2.43部を加え、室温で5分間攪拌し、均質透明な水溶液(A1)を得た。室温下で水溶液(A1)をオスタライザー社製ブレンダー瓶中に仕込み、毎分10000回転で攪拌しながら、アジポイルクロライド2.49部をトルエン44.4部に溶解させた有機溶液(B1)を20秒かけて滴下した。生成したゲル状物をスパチュラで砕き、さらに毎分10000回転で40秒間攪拌した。この操作で得られたパルプ状の生成物が分散した液を、直径90mmのヌッチェを用い目開き4μmのろ紙上で減圧濾過した。ヌッチェ上の生成物をメタノール100部に分散させスターラーで30分間攪拌し減圧濾過することで洗浄処理を行った。引き続き同様な洗浄操作を蒸留水100部を用いて行い、白色の有機無機複合体ウエットケーキを得た。
アルミン酸ナトリウム水溶液(Al2O3;20質量%、Na2O;19質量%、アルミン酸ナトリウムのモル濃度は7.0モル/L)4.00部に酸化タングステン(VI)0.15部を加えて、60℃で30分間攪拌することで、均質透明な水溶液を得た。該水溶液にイオン交換水73.0部を加え希釈し、5分間攪拌し透明均質水溶液を得たのち、1,6−ジアミノヘキサンの65質量%水溶液2.43部を加え、室温で5分間攪拌し、均質透明な水溶液(A1)を得た。室温下で水溶液(A1)をオスタライザー社製ブレンダー瓶中に仕込み、毎分10000回転で攪拌しながら、アジポイルクロライド2.49部をトルエン44.4部に溶解させた有機溶液(B1)を20秒かけて滴下した。生成したゲル状物をスパチュラで砕き、さらに毎分10000回転で40秒間攪拌した。この操作で得られたパルプ状の生成物が分散した液を、直径90mmのヌッチェを用い目開き4μmのろ紙上で減圧濾過した。ヌッチェ上の生成物をメタノール100部に分散させスターラーで30分間攪拌し減圧濾過することで洗浄処理を行った。引き続き同様な洗浄操作を蒸留水100部を用いて行い、白色の有機無機複合体ウエットケーキを得た。
得られた有機無機複合体を、蒸留水に0.2g/dLの濃度に分散させた分散液200gを直径55mmのヌッチェを用い目開き4μmのろ紙上で減圧濾過した。得られたケーキを170℃、5MPa/cm2、の条件で2分間熱プレスを行い不織布を作成した。
(実施例2:水酸化亜鉛/ガラス/ポリアミド複合体)
珪酸ナトリウム3号溶液(Na2O・3SiO2、固形分40質量%、珪酸ナトリウムのモル濃度は2.4モル/L)9.18部に水酸化亜鉛0.25部を加えて、60℃で30分間攪拌することで、均質透明な水溶液を得た。一方、1,6−ジアミノヘキサンの35質量%水溶液4.51部に水酸化亜鉛0.07部を入れ、室温で60分間攪拌し、均質透明な水溶液を得た。水酸化亜鉛と珪酸ナトリウム水溶液にイオン交換水73.0部を加え希釈し、5分間攪拌し透明均質水溶液を得たのち、該水溶液に水酸化亜鉛と1,6−ジアミノヘキサン水溶液を加え、室温で5分間攪拌し、均質透明な水溶液(A2)を得た。水溶液(A1)の代わりに水溶液(A2)を用いた以外は実施例1と同様な方法で複合体ウエットケーキ及び、不織布を得た。得られた不織布は柔軟性に富むものであった。
珪酸ナトリウム3号溶液(Na2O・3SiO2、固形分40質量%、珪酸ナトリウムのモル濃度は2.4モル/L)9.18部に水酸化亜鉛0.25部を加えて、60℃で30分間攪拌することで、均質透明な水溶液を得た。一方、1,6−ジアミノヘキサンの35質量%水溶液4.51部に水酸化亜鉛0.07部を入れ、室温で60分間攪拌し、均質透明な水溶液を得た。水酸化亜鉛と珪酸ナトリウム水溶液にイオン交換水73.0部を加え希釈し、5分間攪拌し透明均質水溶液を得たのち、該水溶液に水酸化亜鉛と1,6−ジアミノヘキサン水溶液を加え、室温で5分間攪拌し、均質透明な水溶液(A2)を得た。水溶液(A1)の代わりに水溶液(A2)を用いた以外は実施例1と同様な方法で複合体ウエットケーキ及び、不織布を得た。得られた不織布は柔軟性に富むものであった。
(比較例1:溶融混練法により作成した酸化タングステン/酸化アルミニウム/ポリアミド複合体)
ポリマーとしてナイロン66ペレット68部と平均粒径100nmの酸化アルミニウム粉末27部及び平均粒径を100nmの酸化タングステン粉末5部を、ツバコー製小型2軸押し出し機MP2015中で270℃で溶融混練することで、ペレット状の有機無機複合体を得た。混練操作に先立つ無機粉体の原料仕込み操作は、各酸化物の粒径が極めて小さいことによる粉体の飛散が生じやすく極めて困難であった。
ポリマーとしてナイロン66ペレット68部と平均粒径100nmの酸化アルミニウム粉末27部及び平均粒径を100nmの酸化タングステン粉末5部を、ツバコー製小型2軸押し出し機MP2015中で270℃で溶融混練することで、ペレット状の有機無機複合体を得た。混練操作に先立つ無機粉体の原料仕込み操作は、各酸化物の粒径が極めて小さいことによる粉体の飛散が生じやすく極めて困難であった。
(参考例1:希薄アルミン酸ナトリウム、ジアミン溶液を用いて合成した酸化タングステン/酸化アルミニウム/ポリアミド複合体)
イオン交換水73.0部に実施例1で用いたのと同じアルミン酸ナトリウム水溶液4.00部を加えたのち、1,6−ジアミノヘキサン1.58部を加え室温で10分間攪拌し、均質透明な水溶液を得た。該水溶液のアルミン酸ナトリウム濃度は0.25モル/L、であり、ジアミン濃度は2質量%である。該水溶液に酸化タングステン(VI)0.15部を加え、40℃に加温しつつ6時間攪拌を行なったが酸化タングステン(VI)の淡黄色の沈殿物が残存し均質透明な水溶液は得られなかった。水溶液(A1)の代わりに該水溶液(A3)を用いた以外は、実施例1に記載した方法と同様にして、有機無機複合体を得た。また、実施例1に記載した方法と同様の方法によって不織布を作成した。得られた不織布では酸化タングステン(VI)と思われる黄色粒子が偏在し斑がある上、黄色粉末が脱落しやすかった。
イオン交換水73.0部に実施例1で用いたのと同じアルミン酸ナトリウム水溶液4.00部を加えたのち、1,6−ジアミノヘキサン1.58部を加え室温で10分間攪拌し、均質透明な水溶液を得た。該水溶液のアルミン酸ナトリウム濃度は0.25モル/L、であり、ジアミン濃度は2質量%である。該水溶液に酸化タングステン(VI)0.15部を加え、40℃に加温しつつ6時間攪拌を行なったが酸化タングステン(VI)の淡黄色の沈殿物が残存し均質透明な水溶液は得られなかった。水溶液(A1)の代わりに該水溶液(A3)を用いた以外は、実施例1に記載した方法と同様にして、有機無機複合体を得た。また、実施例1に記載した方法と同様の方法によって不織布を作成した。得られた不織布では酸化タングステン(VI)と思われる黄色粒子が偏在し斑がある上、黄色粉末が脱落しやすかった。
(参考例2:希薄珪酸ナトリウム、ジアミン溶液を用いて合成した水酸化亜鉛/ガラス/ポリアミド複合体)
イオン交換水73.0部に実施例2で用いたのと同じ珪酸ナトリウム3号溶液9.18部を加えたのち、1,6−ジアミノヘキサン、1.58部を加え室温で10分間攪拌し、均質透明な水溶液を得た。該水溶液の珪酸ナトリウム濃度は0.12モル/L、であり、ジアミン濃度は1.9質量%である。該水溶液に水酸化亜鉛0.32部を加え、40℃に加温しつつ6時間攪拌を行なったが水酸化亜鉛の白色の沈殿物が残存し均質透明な水溶液は得られなかった。該水溶液(A4)を用いた以外は、実施例1に記載した方法と同様にして、有機無機複合体を得た。また、実施例1に記載した方法と同様の方法によって不織布を作成した。得られた不織布では水酸化亜鉛と思われる白色粒子が偏在し斑がある上、白色粉末が脱落しやすかった。
イオン交換水73.0部に実施例2で用いたのと同じ珪酸ナトリウム3号溶液9.18部を加えたのち、1,6−ジアミノヘキサン、1.58部を加え室温で10分間攪拌し、均質透明な水溶液を得た。該水溶液の珪酸ナトリウム濃度は0.12モル/L、であり、ジアミン濃度は1.9質量%である。該水溶液に水酸化亜鉛0.32部を加え、40℃に加温しつつ6時間攪拌を行なったが水酸化亜鉛の白色の沈殿物が残存し均質透明な水溶液は得られなかった。該水溶液(A4)を用いた以外は、実施例1に記載した方法と同様にして、有機無機複合体を得た。また、実施例1に記載した方法と同様の方法によって不織布を作成した。得られた不織布では水酸化亜鉛と思われる白色粒子が偏在し斑がある上、白色粉末が脱落しやすかった。
上記実施例1、2及び比較例1及び参考例1、2で得られた有機無機複合体、および不織布について、以下の項目の測定、あるいは試験を行い、得られた結果を表1及び表2に示した。
(1)無機成分含有率(灰分)の測定法
有機無機複合体に含まれる無機成分の含有率の測定法は以下の通りである。
有機無機複合体絶乾後に精秤(複合体質量)し、これを空気中、600℃で3時間焼成しポリマー成分を完全に焼失させ、焼成後の質量を測定し灰分質量(=無機成分質量)とした。下式により無機分含有率を算出した。
無機成分含有率(質量%)=(灰分質量/複合体質量)×100
有機無機複合体に含まれる無機成分の含有率の測定法は以下の通りである。
有機無機複合体絶乾後に精秤(複合体質量)し、これを空気中、600℃で3時間焼成しポリマー成分を完全に焼失させ、焼成後の質量を測定し灰分質量(=無機成分質量)とした。下式により無機分含有率を算出した。
無機成分含有率(質量%)=(灰分質量/複合体質量)×100
(2)有機無機複合体中の無機成分の定性及び定量
不織布を3cm角に切り出し、これを開口部が直径20mmの測定用ホルダーにセットし測定用試料とした。該試料を理化学電気工業株式会社製蛍光X線分析装置「ZSX100e」を用いて全元素分析を行った。得られた全元素分析の結果を用い、測定用試料の試料データ(与えたデータは、試料形状;フィルム、化合物種;酸化物、補正成分;セルロース、実測した試料の面積当たりの質量値)を装置に与えることにより、FP法(Fundamental Parameter法;試料の均一性、表面平滑性を仮定し装置内の定数を用いて補正を行い成分の定量を行う方法)にて該複合体中の元素存在割合を算出した。尚、比較例1では不織布が得られなかったため、複合体を下記(3)の方法で得たプレス薄片を用いて本測定をおこなった。
不織布を3cm角に切り出し、これを開口部が直径20mmの測定用ホルダーにセットし測定用試料とした。該試料を理化学電気工業株式会社製蛍光X線分析装置「ZSX100e」を用いて全元素分析を行った。得られた全元素分析の結果を用い、測定用試料の試料データ(与えたデータは、試料形状;フィルム、化合物種;酸化物、補正成分;セルロース、実測した試料の面積当たりの質量値)を装置に与えることにより、FP法(Fundamental Parameter法;試料の均一性、表面平滑性を仮定し装置内の定数を用いて補正を行い成分の定量を行う方法)にて該複合体中の元素存在割合を算出した。尚、比較例1では不織布が得られなかったため、複合体を下記(3)の方法で得たプレス薄片を用いて本測定をおこなった。
いずれの実施例で得られた試料でも、検出された金属化合物(2)量は、0.1質量%の誤差範囲内で水溶液(A)への金属化合物の仕込み量から算出した予測値と一致したため、本数値を金属化合物(2)量とした。(ただし、実施例2での水酸化亜鉛は、熱プレス工程で酸化亜鉛に転化したと考えられ、本反応を考慮した予測値と一致した)。また、本結果より、目的とする金属化合物(1)が系外に流出することなく複合体上に高効率で担持されていることが明らかとなった。また、実施例1では酸化アルミニウムが、実施例2ではシリカが主要無機成分として大量に存在していることが示された。尚、本方法で測定した主要無機成分の含有率は1.0質量%の誤差範囲内で水溶液(A)への金属化合物(1)または珪酸アルカリの仕込み量から算出した予測値と一致したため、本数値を金属化合物(1)量とした。また、いずれの実施例でも各無機成分の含有率の和は、(1)で測定した無機成分含有率(灰分)の測定結果と1.0質量%の誤差範囲内で一致した。
(3)主要無機成分の粒径測定
有機無機複合体を170℃、20MPa/cm2、の条件で2時間熱プレスを行い、厚さ約1mmの有機無機複合体からなる薄片を得た。これをマイクロトームを用いて厚さ75nmの超薄切片とした。得られた切片を日本電子社製透過型電子顕微鏡「JEM−200CX」にて100000倍の倍率で観察した。主要無機成分(実施例1では酸化アルミニウム、実施例2ではシリカ)は暗色の像として、明色の有機ポリマー成分に微分散しているのが観察された。100個の無機粒子の粒径を測定し、その平均値を無機成分平均粒径とした。
有機無機複合体を170℃、20MPa/cm2、の条件で2時間熱プレスを行い、厚さ約1mmの有機無機複合体からなる薄片を得た。これをマイクロトームを用いて厚さ75nmの超薄切片とした。得られた切片を日本電子社製透過型電子顕微鏡「JEM−200CX」にて100000倍の倍率で観察した。主要無機成分(実施例1では酸化アルミニウム、実施例2ではシリカ)は暗色の像として、明色の有機ポリマー成分に微分散しているのが観察された。100個の無機粒子の粒径を測定し、その平均値を無機成分平均粒径とした。
(4)金属化合物(2)粒子の表面分散状態の測定
不織布を1cm角に切り出し、炭素を10nmの厚さで蒸着して得た試料を、日立社製電解放射型走査電子顕微鏡「SEM−EDX」を用いて元素マッピングを行い、複合化させた金属化合物(2)粒子の分散状態を測定した。なお、本測定法での金属化合物粒子の大きさの分解能は1μmである。尚、比較例1では不織布が得られなかったため、複合体を上記(3)の方法で得たプレス薄片を用いて本測定をおこなった。
不織布を1cm角に切り出し、炭素を10nmの厚さで蒸着して得た試料を、日立社製電解放射型走査電子顕微鏡「SEM−EDX」を用いて元素マッピングを行い、複合化させた金属化合物(2)粒子の分散状態を測定した。なお、本測定法での金属化合物粒子の大きさの分解能は1μmである。尚、比較例1では不織布が得られなかったため、複合体を上記(3)の方法で得たプレス薄片を用いて本測定をおこなった。
本測定の結果、実施例1及び実施例2で得られた有機無機複合体においては、いずれも1μm以上の粗大な金属化合物(2)粒子が生じておらず、分布状態もきわめて均一であることが確認された。一方、参考例1及び2では希薄水溶液へも溶解したと思われる一部の金属化合物(2)は1μm以下の粒径で分布していたが、かなりの量の粗大粒子が10μ以上の二次粒子を作りつつ不均一な状態で分布していることが確認された。
(5)有機無機複合体不織布の外観
各実施例及び比較例により得られた不織布の外観を、均質性及び地合の観点から目視により3段階で判定を行った。○は均質かつ地合が良好、△はやや均質かつ地合が良好であるが○には劣る、×は不均質かつ地合が不良であることを意味する。
各実施例及び比較例により得られた不織布の外観を、均質性及び地合の観点から目視により3段階で判定を行った。○は均質かつ地合が良好、△はやや均質かつ地合が良好であるが○には劣る、×は不均質かつ地合が不良であることを意味する。
表2で示された通り、参考例1、2では珪酸アルカリ、金属化合物(1)、ジアミンのいずれもが予め希釈された水溶液(A)を用いたため、金属酸化合物(2)が完全に溶解しなかった。そのため、主要無機成分の複合化はナノメートルオーダーで行われたにもかかわらず、金属化合物(2)の粒径がミクロンメートルオーダーに粗大となった。加えて、金属化合物(2)のポリアミドからの脱落が生じやすく、含有率もやや低下した上、得られた不織布外観も悪かった。また、比較例1では平均粒径100nmの酸化物粉末を使用したにもかかわらず、混練の工程で無機成分の凝集が生じ、いずれの酸化物ともナノメートルオーダーの複合を行うことができなかった。一方、表1の実施例1及び2に示されたとおり、本発明によってナノメートルオーダーである主要無機成分を20wt%以上の含有率で有する有機無機複合体に、1ミクロンメートル以下の金属化合物(2)を5質量%以上の含有率で複合化した有機無機複合体を得ることができた。また、該複合体から得られた不織布は優れた外観を有した。また本発明では、以上の特徴を持つ有機無機複合体を、高価な無機原料を用いずに常温常圧下での短時間の操作で得ることができた。
Claims (3)
- 1)珪酸アルカリ及び/または
2種以上の金属元素を有する金属化合物であって、その一方の金属がアルカリ金属である、金属酸化物、金属水酸化物および金属炭酸化物からなる群から選ばれる少なくとも一種の金属化合物(1)と
2)金属化合物(2)と
3)ジアミンと
を含有する塩基性の水溶液(A)と、
ジカルボン酸ハロゲン化物、ジクロロホーメート化合物及びホスゲン系化合物からなる群から選ばれる一種の化合物を有機溶媒に溶解した有機溶液(B)とを
混合攪拌し、重縮合反応させる有機ポリマーと金属化合物との複合体の製造方法であって、
金属化合物(2)を水溶液(A)に含有させる方法が、金属化合物(2)を
i)珪酸アルカリが1モル/L以上含まれる濃度で溶解させた水溶液、
ii)金属化合物(1)が1モル/L以上含まれる濃度で溶解させた水溶液、
iii)ジアミン100%溶液またはジアミンを10質量%以上含有する水溶液
から選ばれる少なくとも1つの溶液に溶解させた後、水で希釈することを特徴とする有機ポリマーと金属化合物との複合体の製造方法。 - 前記金属化合物(2)が、中性の水溶液に不溶性または難溶性である請求項1に記載の有機ポリマーと金属化合物との複合体の製造方法。
- 請求項1または2記載の製造方法により製造される有機ポリマーと金属化合物との複合体。
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JP2004010486A JP2005200605A (ja) | 2004-01-19 | 2004-01-19 | 有機ポリマーと金属化合物との複合体の製造方法及び複合体 |
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JP2012116937A (ja) * | 2010-11-30 | 2012-06-21 | Toyota Central R&D Labs Inc | ポリアミド系複合材料の製造方法 |
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-
2004
- 2004-01-19 JP JP2004010486A patent/JP2005200605A/ja active Pending
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