JP2005154684A - 有機ポリマーと金属化合物との複合体の製造方法および複合体 - Google Patents

有機ポリマーと金属化合物との複合体の製造方法および複合体 Download PDF

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Abstract

【課題】 有機ポリマーの中に多種多様な金属化合物を、粒径の小さい状態で、高充填率で複合化した有機無機複合体およびその製法を提供することにある。
【解決手段】 アルカリ金属を有し水に溶解させると塩基性を呈するアルカリ金属化合物を高塩基性状態で溶解させた濃厚な塩基性水溶液を作製後、水により希釈し、ジアミンを溶解させて水溶液を作製し、一方、ジカルボン酸ハロゲン化物、ジクロロホーメート化合物及びホスゲン系化合物からなる群から選ばれる一種の化合物を有機溶媒に溶解した有機溶液を作製し、両者を混合攪拌し、重縮合反応させる有機ポリマーと金属化合物との複合体の製造方法、及び該製造方法により得られる有機無機複合体。
【選択図】 なし

Description

本発明は、有機ポリマーの中に金属化合物を有する有機無機複合体の製造方法及び該製造方法により得られる有機無機複合体に関する。
有機ポリマーがもつ加工性、柔軟性等の特性と、無機物質が持つ耐熱性、耐摩耗性等、表面硬度等の特性とを兼備させることを目的として、無機微粒子を有機ポリマー内に複合化することは広く検討されている。この方法によって複合化の効果を十分に発揮するには、粒径が極力小さい無機微粒子を高い充填率で複合化することが好ましい。無機微粒子の粒径が小さくなると、無機粒子の重量当たりの表面積が大きくなり有機材料と無機材料との界面領域が広くなることで高い補強効果が期待できる(面積効果)。また、無機微粒子の充填率が高くなると、当然複合化の効果が大きくなる(体積効果)。
上記のような特徴を持つ有機無機複合体中に、該複合体を構成する金属化合物を有機ポリマー全域にわたって小粒径(好ましくはナノメートルオーダー)で高い充填率で分散させることに加えて、複合化する金属化合物の種類の選択可能性を広げることは、該複合体に付与する特性を、金属化合物により選択できることから極めて有用である。しかしながら、有機ポリマーに様々な種類の金属化合物を小粒径(好ましくはナノメートルオーダー)で高い充填率で複合でき、且つ製造が容易な材料は知られていない。
無機材料と有機ポリマーとは表面特性、比重、熱不溶性、薬品不溶性の点で本質的に異なるため、無機材料を均一に高い充填率で微分散状態にするのはそもそもが極めて困難である。加えて、ナノメートルオーダーの無機微粒子は通常高価な上、飛散等の恐れがあり取り扱い性が悪い。また、エクストリューダー等の大型分散器を用いて無機微粒子を有機マトリクスに強制的に混合しようとしても、例えば、200℃での溶融混練処理等の多量の熱エネルギーを必要とする(例えば、特許文献1参照。)。
一方で、金属アルコキシドを加水分解重縮合反応させて金属酸化物とする、いわゆるゾル−ゲル法を利用し、有機ポリマーにナノメートルオーダーの金属酸化物を複合化する方法も広く検討されている。本方法では、有機ポリマー中への金属化合物の均一な微分散が容易である上、常温〜150℃程度の比較的低い温度で重縮合反応が生じるためにエネルギー的にも有利である。しかしながら、加水分解、及び重縮合の反応にそれぞれ長時間を要するため製造効率が極めて低い問題点がある。例えば、目的とする複合体を得るためには、加水分解のために室温で48時間攪拌処理した後、重縮合に100℃付近で21時間を要する例が知られている(例えば、特許文献2参照。)。また、それぞれの反応に室温下で1日の後、更に80℃下で1日を要している例も知られている(例えば、特許文献3参照。)。加えて、これらのいずれの方法においても複合化できるのは金属アルコキシドの加水分解重縮合反応の結果により生じる金属酸化物のみである。そのため、金属水酸化物、金属炭酸化物等の酸化物以外の金属化合物をえることはできない。
また、ゾル−ゲル法で有機無機複合体を得るためにはゾル−ゲル反応を起こし得る金属アルコキシドが必須である。そのため、アルコキシドを形成しない金属種では複合化自体が不可能である。また、金属アルコキシド類は一般的に高価な材料であるため、複合体の高価格化は免れない。
特開平6−279615号公報 実施例1 特開平8−157735号公報 実施例1 特開平8−319362号公報
本発明が解決しようとする課題は、有機ポリマーの中に多種多様な金属化合物を複合化した有機無機複合体を提供することにある。また、その金属化合物は複合体全域にわたって粒径の小さい(好ましくはナノメートルオーダー)状態で、高い充填率で有機ポリマー中に分散することで、有機ポリマーを補強することに加え、該金属化合物が有する各種機能を複合体に付与することができる。また、有機ポリマーの性質である加工性も有する。加えて、このような構造を持つ複合体を容易に製造できる製造方法を提供することである。更に、このような構造を持つ複合体を安価な金属化合物原料を用いて提供することである。
本発明者らは、有機ポリマーと金属化合物との複合体の製造方法において、アルカリ金属を有し水に溶解させると塩基性を呈するアルカリ金属化合物を高塩基性状態で溶解させた濃厚な塩基性水溶液を作製し、該水溶液に可溶である金属化合物(1)を溶解させて、金属化合物(1)の塩基性水溶液を作成後、水により希釈し、ジアミンを溶解させて水溶液を作製し、一方、ジカルボン酸ハロゲン化物、ジクロロホーメート化合物及びホスゲン系化合物からなる群から選ばれる一種の化合物を有機溶媒に溶解した有機溶液を作製し、両者を混合攪拌し、重縮合反応させることで有機ポリマーと金属化合物との複合体を常温常圧下での迅速な反応により簡便に製造できることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、有機ポリマーと金属化合物との複合体の製造方法において、
(1)アルカリ金属を有し水に溶解させると塩基性を呈するアルカリ金属化合物が10質量%以上溶解した塩基性水溶液に、該水溶液に可溶である金属化合物(1)を溶解させて、金属化合物(1)の塩基性水溶液を得る第1工程と、
(2)(1)で得られた水溶液を水により希釈する第2工程と、
(3)(2)で得られた水溶液にジアミンを溶解させ、金属化合物(1)とジアミンとを含有する塩基性の水溶液(A)を得る第3工程と、
(4)該水溶液(A)と、ジカルボン酸ハロゲン化物、ジクロロホーメート化合物及びホスゲン系化合物からなる群から選ばれる一種の化合物を有機溶媒に溶解した有機溶液(B)とを混合攪拌し、反応させる第4工程と、
を有する、有機ポリマーと金属化合物との複合体の製造方法を提供する。
また、本発明は、上記方法により得られる有機ポリマーと金属化合物との複合体を提供する。
本発明により得られる有機ポリマーと金属化合物との複合体は、ナノメートルオーダーの粒径の金属化合物がポリマー中の全域にわたって微分散している。また、該金属化合物の含有量も容易に20質量%以上にすることができる。そのため有機材料の有する加工性や柔軟性と、ポリマー中に高い質量割合で複合化された金属化合物が持つ機能(例えば、硬度、触媒能、絶縁性、半導体性、電子導電性、イオン導電性、高比表面積、高耐熱性、耐摩耗性、温度変化や吸湿に対する寸法安定性等)を有した有機無機複合体を提供することができる。
また本発明では、以上の特徴を持つ有機無機複合体を、常温常圧下での短時間の操作で得ることができる。
以下に本発明をさらに詳細に説明する。
本発明は、有機ポリマーと金属化合物との複合体の製造方法において、
(1)アルカリ金属を有し水に溶解させると塩基性を呈するアルカリ金属化合物が10質量%以上溶解した塩基性水溶液に、該水溶液に可溶である金属化合物(1)を溶解させて、金属化合物(1)の塩基性水溶液を得る第1工程と、
(2)(1)で得られた水溶液を水により希釈する第2工程と、
(3)(2)で得られた水溶液にジアミンを溶解させ、金属化合物(1)とジアミンとを含有する塩基性の水溶液(A)を得る第3工程と、
(4)該水溶液(A)と、ジカルボン酸ハロゲン化物、ジクロロホーメート化合物及びホスゲン系化合物からなる群から選ばれる一種の化合物を有機溶媒に溶解した有機溶液(B)とを混合攪拌し、反応させる第4工程と、
により液中のモノマーの重縮合反応を行うことにより有機ポリマーと金属化合物との複合体を得るものである。
本発明では常温、常圧下での10秒〜数分程度の攪拌操作により、水溶液(A)中のジアミンと有機溶液(B)中のモノマーとが迅速に反応し有機ポリマーが収率よく得られる。その際、水溶液(A)中のアルカリ源であるアルカリ金属化合物が、重合の際に発生するハロゲン化水素の除去剤として作用することで有機ポリマーの重合反応を促進するとともに消費される。この反応と同時に、アルカリ金属化合物が存在することで水溶液に溶解していた金属化合物(1)が中和に伴うアルカリ源の減少により固体へと転化する。その際、有機ポリマーの重合反応と水溶液(A)中に溶解していた金属化合物(1)の固体への転化とは、どちらか一方のみが生じることはなく平行して起こるため、金属化合物(1)の微粒子が有機ポリマーに微分散した有機無機複合体が得られる。
また、複合された金属化合物(1)の粒子サイズはサブミクロン〜ナノメートルオーダーと微粒子状態であり、更に無機成分含有率も20wt%以上と高い比率とすることができる。
本発明で用いる水溶液(A)はアルカリ金属を有し水に溶解させると塩基性を呈する金属化合物が10質量%以上溶解した塩基性水溶液に、該水溶液に可溶である金属酸化物(1)を溶解させ、これを水で希釈したのち、ジアミンを溶解させることで得る。
本発明で用いるアルカリ金属を有し水に溶解させると塩基性を呈するアルカリ金属化合物とは、アルカリ金属を有する化合物の内、水溶時に塩基性を示す化合物である。具体的な化合物の種類としては水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸化物等を例示することができる。これらの内、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウムは水に対する溶解度が高いために、容易にアルカリ金属化合物濃度が高い、濃厚な塩基性溶液を調製できる上、安価であるため特に好ましく用いられる。
本発明でのアルカリ金属を有し水に溶解させると塩基性を呈するアルカリ金属化合物の水溶液中の濃度は、該溶液に強い塩基性を与えることで、多量の金属化合物(1)を溶解させるために、10質量%以上である必要がある。好ましくは、20質量%以上であり、さらに好ましくは30質量%以上である。このとき、用いる金属化合物(1)の種類により、最も大量に溶解できる濃度を調整することで、金属化合物(1)の有機ポリマーへの複合化量を増加させることができる。
本発明での第1工程に相当する、塩基性水溶液への金属化合物(1)の溶解は公知慣用の方法でよく、通常のバッチ式攪拌等が用いられ特に制限はない。溶解の際の温度は常温下でも、加熱をしてもよい。
金属化合物(1)は、塩基性水溶液の塩基源となるアルカリ金属化合物の種類によって溶解性が異なる場合がある。本発明では、金属化合物(1)を多量に塩基性溶液に溶解させることで、有機ポリマーに複合化する無機成分の量を増大させることができる。そのため、金属化合物(1)の塩基性溶液への溶解特性によって、塩基源となるアルカリ金属化合物の種類を適宜選定することが好ましい。一例を挙げると、酸化アンチモン(III)、酸化アンチモン(V)、酸化金(III)、酸化タングステン(VI)等は水酸化カリウムの水溶液に特異的に溶解する。これらの化合物を複合化する場合は、当然のことながら水酸化カリウムを塩基源として用いることが好ましい。
本発明では水溶液(A)中の塩基源となっているアルカリ金属化合物が、有機ポリマー重合の際に発生するハロゲン化水素の除去剤として作用することで有機ポリマーの重合反応を促進するとともに消費され、水溶液が中和することで、塩基源の存在により水溶液に溶解していた金属化合物(1)が固体へと転化する。そのため、本発明で用いる金属化合物(1)としては、塩基性水溶液に可溶であることに加え、中性を示す水溶液に不溶性または難溶性であることが好ましい。具体的には金属化合物(1)の中性溶液への溶解量は、pH7付近の常温下の中性水溶液に50mg/L以下であることが好ましい。この量よりも中性水溶液に対する溶解量が大きい場合には、該複合体の合成後のろ過や水洗の工程で金属化合物(1)が流出し、担持効率が低くなり、目的とする担持量が得られにくくなる場合がある。
本発明では複合化できる金属化合物(1)の量は、上記の反応機構により水溶液中のアルカリ金属化合物量に対する金属化合物(1)の溶解量により決まる。そのため、水溶液(A)中のアルカリ金属化合物量に対する金属化合物(1)の溶解量の比率が高いほど複合化できる金属化合物(1)の量が多くなる。そのため、金属化合物(1)の溶解量は水溶液(A)中のアルカリ金属1モルあたり5g以上が好ましく、さらに好ましくは10g以上である。この量よりも金属化合物(1)の溶解量が少ない場合には複合化できる金属化合物(1)の複合体に対する質量比率が少なくなることにより、複合化の効果が少なくなる場合がある。
本発明にて金属化合物(1)として、好適に用いられる金属化合物を例示すると、水酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化アンチモン(III)、水酸化アンチモン(V)、水酸化イリジウム(III)、水酸化イリジウム(IV)、水酸化金(III)、水酸化クロム(III)、水酸化コバルト(II)、水酸化スズ(II)、水酸化炭酸ニッケル(II)、水酸化タンタル(V)、水酸化ニオブ(V)、水酸化ニッケル(II)、水酸化パラジウム(II)、水酸化ベリリウム等の金属水酸化物、酸化亜鉛(II)、酸化アンチモン(III)、酸化アンチモン(V)、酸化ガリウム(I)、酸化金(III)、酸化水酸化金(III)、酸化水酸化鉛(II)、酸化スズ(II)、酸化スズ(IV)、酸化タングステン(VI) 、酸化チタン(IV)、酸化鉛(II) 、酸化鉛(IV)、酸化ニオブ(V)、酸化バナジウム(III))、酸化バナジウム(IV)、酸化バナジウム(V)、酸化ビスマス(V)、酸化モリブデン(VI)、酸化ルテニウム(VIII)、酸化レニウム(VI)等の酸化物、炭酸亜鉛、炭酸鉛(II)、塩基性炭酸銅(II)等の炭酸化物を例示することができる。これら金属化合物は水に溶解させて用いるため、水和物であっても良い。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。また、前述のとおり濃厚な塩基性水溶液に一定量以上可溶であり、中性水溶液に難溶または不溶な金属化合物であれば、シュウ酸塩、リン酸塩等を用いても良い。このうち、金属酸化物、炭酸化物、水酸化物はアルカリ金属化合物中でも比較的安定なため目的通りの化合物を複合化できる上、安価な材料が多いため特に好ましく用いられる。
本発明では、第2工程としてアルカリ金属を有し水に溶解させると塩基性を呈するアルカリ金属化合物が10質量%以上の溶解した、いわゆる濃厚な塩基性水溶液に、該水溶液に可溶である金属酸化物(1)を溶解させた塩基性水溶液を、水により希釈する工程を含む。濃厚な塩基性水溶液を用いて金属化合物(1)を溶解させてから水で希釈することにより、予め希釈後に相当するアルカリ金属化合物を有する、希薄な塩基性水溶液に直接金属化合物(1)を溶解させるよりも多量の金属化合物(1)を溶解させることができる。この手法により、複合体に多量の金属化合物(1)を複合化することができる。これは濃厚な塩基性溶液に金属化合物(1)を溶解することで、水溶性のアルカリ金属複合化合物に転化しているとも推定される。該希釈工程により金属酸化物(1)が沈殿を生じることは基本的にはない。しかしながら、用いる金属化合物(1)の種類によっては希釈に伴い溶解状態が不安定になり、長時間放置すると空気中の二酸化炭素等の影響により徐々に沈殿物が生じる場合がある。沈殿物が生じると複合化される無機粒子のサイズが大きくなり、前述の面積効果が小さくなることにより複合化の効果が得られにくくなったり、無機粒子が脱落しやすくなったりする弊害を生じる可能性がある。そのため、希釈後は直ちに合成を行うことが好ましい。
本発明では第3工程として、第2工程(水希釈工程)後の塩基性溶液にポリマーの原料モノマーであるジアミンを加える工程を含む。第2工程を行わずにジアミンを直接加えると系がゲル化反応を生じる場合がある。第2の工程(水希釈工程)の後に本工程を行うことで、ゲル化防止しジアミンの溶解を容易にできる。また、ジアミンの水溶液(A)中でのモノマー濃度も調節することができる。
本発明での水溶液(A)に用いるジアミンとしては、有機溶液(B)中の各モノマーと反応し、有機ポリマーを生成するものであれば特に制限なく用いることができる。具体的には、1,2−ジアミノエタン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,8−ジアミノオクタンなどの脂肪族ジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,5−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミノナフタレン、2,3−ジアミノナフタレンなどの芳香族ジアミン、あるいはこれら芳香環の水素をハロゲン原子、ニトロ基、またはアルキル基などで置換した芳香族ジアミンなどが例として挙げられる。これらは単独または2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノヘキサン等の脂肪族ジアミンを使用すると、繊維状の有機無機複合体を容易に得ることができ不織布等へも加工することができるため特に好ましい。
本発明での有機溶液(B)に用いるジカルボン酸の酸ハロゲン化物としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸の酸ハロゲン化物、およびイソフタル酸、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸の酸ハロゲン化物、あるいはこれら芳香環の水素をハロゲン原子、ニトロ基、アルキル基などで置換した芳香族ジカルボン酸の酸ハロゲン化物などが例として挙げられ、これらは単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。なかでも、アジポイルクロライド、アゼラオイルクロライド、セバシルクロライド等の脂肪族のジカルボン酸の酸ハロゲン化物を使用すると、繊維状の有機無機複合体を容易に得ることができ、該複合体を不織布等へ加工することもできる。
本発明での有機溶液(B)に用いるジクロロホーメート化合物としては、1.2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール等の脂肪族ジオール類や、1個または2個以上の芳香環に水酸基を2個持つレゾルシン(1,3−ジヒドロキシベンゼン)、ヒドロキノン(1,4−ジヒドロキシベンゼン)、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,2’−ビフェノール、ビスフェノールS、ビスフェノールA、テトラメチルビフェノール等の2価フェノール類の水酸基を全てホスゲン化処理によりクロロホーメート化したものを挙げることができる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明での有機溶液(B)に用いるホスゲン系化合物としてはホスゲン及びトリホスゲンを挙げることができる。これらは単独で、または両種を組み合わせて使用することができる。
本発明では有機溶液(B)に用いるモノマーを選択することにより、有機無機複合体のマトリクス有機ポリマーを変えることができる。モノマーとしてジカルボン酸ハロゲン化物を用いた場合はポリアミドを、ジクロロホーメート化合物を用いた場合はポリウレタンを、ホスゲン系化合物を用いた場合にはポリ尿素を、水溶液(A)との反応によって得ることができる。
本発明での有機溶液(B)に用いる有機溶媒としては上記の有機溶液(B)中の各種モノマーやジアミンとは反応せず、有機溶液(B)中の各種モノマーを溶解させるものであれば特に制限なく用いることができる。このうち水と非相溶なものとしてはトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、n−ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、クロロホルム、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素類、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素類を、水と相溶するものとしてはテトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類などを代表的な例として挙げることができる。
有機溶液(B)に用いる有機溶媒として水に対して非相溶なものを用いた場合、生じる重縮合反応は水溶液(A)と有機溶液(B)との界面のみで生じる界面重縮合となる。この場合は得られる有機ポリマーの分子量を容易に高くすることができるため、繊維形状の複合体が得られやすい。また、水溶液(A)と有機溶液(B)との界面で生じた複合体膜を引き上げつつ紡糸することで、強度の高い長繊維を得ることもできる。逆に有機溶媒として水に対して相溶するものを用いた場合には、有機溶媒と水とが乳化した状態で重合が生じるため、粉体形状の複合体が容易に得られる。
本発明での水溶液(A)有機溶液(B)及び中のモノマー濃度としては重合反応が十分に進行すれば特に制限されないが、各々のモノマー同士を良好に接触させる観点から、0.01〜3モル/Lの濃度範囲、特に0.05〜1モル/Lが好ましい。
本発明での水溶液(A)には第4の成分として水ガラスが含まれてもよい。水ガラスを共存させた状態で重合反応を行わせることで、有機ポリマーと金属化合物(1)とガラスとからなる複合体を得ることができる。使用する水ガラスとしては、JIS K 1408に記載された水ガラス1号、2号、3号などのAO・nSiOの組成式で表され、Aがアルカリ金属、nの平均値が1.8〜4のものが挙げられる。水ガラス中に含まれるアルカリ金属もまた、金属化合物(1)を水溶させるために用いたアルカリ金属化合物と同様に、重合の際に発生する際の酸除去剤として作用することで、重合反応を促進する。
また、本発明での水溶液(A)には第4の成分として、2種以上の金属元素を有しその金属元素の1種がアルカリ金属である、金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸化物からなる群から選ばれる少なくとも一種の金属化合物(2)が含まれてもよい。金属化合物(2)を共存させた状態で重合反応を行わせることで、有機ポリマーと金属化合物(1)と金属化合物(2)中のアルカリ金属以外の金属元素を有する金属化合物とからなる複合体を得ることができる。使用する金属化合物(2)としては、一般式AxMyBzとして表すことができる化合物を挙げることができる。Aがアルカリ金属元素であり、Mがアルカリ金属以外の金属元素からなる群から選ばれる少なくとも1種類以上の金属元素であり、BがO、CO、OHからなる群から少なくとも1種選ばれる基であるものが挙げられる。x、y、zは、A、MとBの結合を可能とする数である。上記一般式AxMyBzで表される化合物は、水に溶解し塩基性を示すものが好ましい。金属化合物(2)に含まれるアルカリ金属もまた、金属化合物(1)を水溶させるために用いたアルカリ金属化合物と同様に、重合の際に発生する際の酸除去剤として作用することで、重合反応を促進する。
本発明で用いられるアルカリ金属化合物(2)の内、上記一般式中のBがOである化合物としては、亜鉛酸ナトリウム、アルミン酸ナトリウム、亜クロム酸ナトリウム、モリブデン酸ナトリウム、スズ酸ナトリウム、亜テルル酸ナトリウム、チタン酸ナトリウム、バナジン酸ナトリウム、タングステン酸ナトリウム等のナトリウム複合酸化物や、亜鉛酸カリウム、アルミン酸カリウム、亜クロム酸カリウム、モリブデン酸カリウム、スズ酸カリウム、マンガン酸カリウム、タンタル酸カリウム、亜テルル酸カリウム、鉄酸カリウム、バナジン酸カリウム、タングステン酸カリウム、金酸カリウム、銀酸カリウム等のカリウム複合酸化物、アルミン酸リチウム、モリブデン酸リチウム、スズ酸リチウム等のリチウム複合酸化物のほかルビジウム複合酸化物、セシウム複合酸化物を用いることができる。
上記一般式中のBがCOとOHとの双方の基を含むアルカリ金属化合物(2)としては、炭酸亜鉛カリウム、炭酸ニッケルカリウム、炭酸ジルコニウムカリウム、炭酸コバルトカリウム、炭酸スズカリウム等を例示することができる
これらのアルカリ金属化合物(2)は水に溶解させて用いるため、水和物であっても良い。また、これらは単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。また、前述の水ガラスと同時に用いても良い。
本発明での有機無機複合体の製造装置は、水溶液(A)と有機溶液(B)とを良好に接触反応させることができる製造装置であればとくに限定されず連続式、バッチ式のいずれの方式でも可能である。連続式の具体的な装置としては大平洋機工株式会社製「ファインフローミルFM−15型」、同社製「スパイラルピンミキサSPM−15型」、あるいは、インダク・マシネンバウ・ゲーエムベー(INDAG Machinenbau Gmb)社製「ダイナミックミキサDLM/S215型」などが挙げられる。バッチ式の場合は有機溶液と水溶液の接触を良好に行わせる必要があるのでプロペラ状翼、マックスブレンド翼やファウドラー翼等を持つような汎用の攪拌装置を用いることができる。
水溶液(A)中の成分に脂肪族ジアミンを、有機溶液(B)中の成分に脂肪族ジカルボン酸ハロゲン化物を用いた場合には、重合操作の際に強固なゲル状物が生成する場合がある。その場合にはゲルを破砕し反応を進行させるために高い剪断力を持つミキサーを用いることが好ましく、例としてはオスタライザー(OSTERIZER)社製ブレンダーなどが挙げられる。
水溶液(A)と有機溶液(B)とを重縮合反応させる温度は、例えば−10〜50℃の常温付近の温度範囲で十分に反応が進行する。加圧、減圧も一切必要としない。また、重合反応は用いるモノマーや反応装置にもよるが通常10分程度で完結する。
以下に実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。特に断らない限り、「部」は「質量部」を表す。
(実施例1:酸化亜鉛/ポリアミド複合体)
イオン交換水1.18部に水酸化ナトリウム1.18部を加えて、50質量%の水酸化ナトリウム水溶液を得た。該水溶液に酸化亜鉛0.62部を加え、60℃に加温しつつ1時間攪拌を行ない、均質透明な水溶液を得た。該水溶液での水酸化ナトリウム1モルあたりの酸化亜鉛の濃度は21g/モルである。これにイオン交換水40.0部を加えて希釈し5分間攪拌し透明均質水溶液を得たのち、1,6−ジアミノヘキサンの65質量%水溶液を2.43部入れ、室温で15分間攪拌し、均質透明な水溶液(A)を得た。室温下でこの水溶液をオスタライザー社製ブレンダー瓶中に仕込み、毎分10000回転で攪拌しながら、アジポイルクロライド2.49部をトルエン44.4部に溶解させた有機溶液(B)を20秒かけて滴下した。生成したゲル状物をスパチュラで砕き、さらに毎分10000回転で40秒間攪拌した。この操作で得られたパルプ状の生成物が分散した液を、直径90mmのヌッチェを用い目開き4μmのろ紙上で減圧濾過した。ヌッチェ上の生成物をメタノール100部に分散させスターラーで30分間攪拌し減圧濾過することで洗浄処理を行った。引き続き同様な洗浄操作を蒸留水100部を用いて行い、白色の有機無機複合体ウエットケーキを得た。
得られた有機無機複合体を、蒸留水に0.2g/dLの濃度に分散させた分散液200gを直径55mmのヌッチェを用い目開き4μmのろ紙上で減圧濾過した。得られたケーキを170℃、5MPa/cm2、の条件で2分間熱プレスを行い不織布を作成した。
(実施例2:酸化アンチモン(III)/ポリアミド複合体)
イオン交換水1.65部に水酸化カリウム1.65部を加えて、50質量%の水酸化カリウム水溶液を得た。該水溶液に酸化アンチモン(III)0.42部を加え、60℃に加温しつつ1時間攪拌を行ない、均質透明な水溶液を得た。該水溶液での水酸化カリウム1モルあたりの酸化アンチモン(III)の濃度は14g/モルである。これにイオン交換水39.0部を加えて希釈し5分間攪拌し透明均質水溶液を得たのち、1,6−ジアミノヘキサンの65質量%水溶液を2.43部入れ、室温で15分間攪拌し均質透明な水溶液(A)を得た。該水溶液(A)を原料溶液として用いた以外は実施例1に記載した方法と同様にして、白色の有機無機複合体を得た。また、実施例1に記載した方法と同様の方法によって不織布を作成した。得られた不織布は柔軟性に富むものであった。
(比較例1:溶融混練法により作成した酸化亜鉛/ポリアミド複合体)
ポリマーとしてナイロン66ペレット80.0部と平均粒径100nmの酸化亜鉛粉末20.0部とを、ツバコー製小型2軸押し出し機MP2015中で270℃で溶融混練することで、ペレット状の有機無機複合体を得た。混練操作に先立つ無機粉体の原料仕込み操作は、酸化亜鉛の粒径が極めて小さいことによる粉体の飛散が生じやすく極めて困難であった。
(参考例1:希薄水酸化ナトリウム溶液を用いて合成した酸化亜鉛/ポリアミド複合体)
イオン交換水41.18部に水酸化ナトリウム1.18部を加えて、2.80質量%の水酸化ナトリウム水溶液を得た。該水溶液に酸化亜鉛0.62部を加え、60℃に加温しつつ3時間攪拌を行なったが酸化亜鉛の白色沈殿物が残存し均質透明な水溶液は得られなかった。これに1,6−ジアミノヘキサンの65質量%水溶液を2.43部入れ、室温で15分間攪拌し、白濁水溶液(A)を得た。該水溶液(A)を用いた以外は、実施例1に記載した方法と同様にして、白色の有機無機複合体を得た。また、実施例1に記載した方法と同様の方法によって不織布を作成した。得られた不織布では酸化亜鉛と思われる白色粒子が偏在し斑がある上、白色粉末が脱落しやすかった。
(参考例2:希薄水酸化カリウム溶液を用いて合成した酸化アンチモン(III)/ポリアミド複合体)
イオン交換水40.65部に水酸化カリウム1.65部を加えて、3.90質量%の水酸化カリウム水溶液を得た。該水溶液に酸化アンチモン(III)0.42部を加え、60℃に加温しつつ3時間攪拌を行なったが酸化アンチモン(III)の白色沈殿物が残存し均質透明な水溶液は得られなかった。これに1,6−ジアミノヘキサンの65質量%水溶液を2.43部入れ、室温で15分間攪拌し、白濁水溶液(A)を得た。該水溶液(A)を用いた以外は、実施例1に記載した方法と同様にして、白色の有機無機複合体を得た。また、実施例1に記載した方法と同様の方法によって不織布を作成した。得られた不織布では酸化アンチモン(III)と思われる白色粒子が偏在し斑がある上、白色粉末が脱落しやすかった。
上記実施例1、2、比較例1、及び参考例1、2で得られた有機無機複合体、および不織布について、以下の項目の測定、あるいは試験を行い、得られた結果を表1に示した。
(1)無機成分含有率(灰分)の測定法
有機無機複合体に含まれる無機成分の含有率の測定法は以下の通りである。
有機無機複合体絶乾後に精秤(複合体質量)し、これを空気中、700℃で3時間焼成しポリマー成分を完全に焼失させ、焼成後の質量を測定し灰分質量(=無機成分質量)とした。下式により無機分含有率を算出した。
無機成分含有率(質量%)=(灰分質量/複合体質量)×100
(2)有機無機複合体中の金属化合物種の検証
不織布を3cm角に切り出し、これを開口部が直径20mmの測定用ホルダーにセットし測定用試料とした。該試料を理化学電気工業株式会社製蛍光X線分析装置「ZSX100e」を用いて全元素分析を行った。得られた全元素分析の結果を用い、測定用試料の試料データ(与えたデータは、試料形状;フィルム、化合物種;酸化物、補正成分;セルロース、実測した試料の面積当たりの質量値)を装置に与えることにより、FP法(Fundamental Parameter法;試料の均一性、表面平滑性を仮定し装置内の定数を用いて補正を行い成分の定量を行う方法)にて該複合体中の元素存在割合を算出した。いずれの実施例で得られた試料でも目的とする金属化合物が大量に存在していることが示された。尚、本方法で測定した目的とする金属化合物の含有率は0.5質量%の誤差範囲内で(1)での無機含有率の算出結果と一致した。
(3)アルカリ金属除去率の算出
また、(2)で測定した不織布中のアルカリ金属量と原料仕込み時のアルカリ金属含有率を用いて以下の式により算出した
アルカリ金属除去率(%)=(1−R)×100
R=不織布中アルカリ金属含有率(%)/仕込み時アルカリ金属含有率(%)
(4)無機成分の粒径測定
有機無機複合体を170℃、20MPa/cm、の条件で2時間熱プレスを行い、厚さ約1mmの有機無機複合体からなる薄片を得た。これをマイクロトームを用いて厚さ75nmの超薄切片とした。得られた切片を日本電子社製透過型電子顕微鏡「JEM−200CX」にて100000倍の倍率で観察した。無機成分は暗色の像として、明るい有機ポリマーに微分散しているのが観察された。100個の無機粒子の粒径を測定し、その平均値を無機成分平均粒径とした。
有機無機複合体不織布の外観
各実施例及び比較例により得られた不織布の外観を、均質性及び地合の観点から目視により3段階で判定を行った。○は均質かつ地合が良好、△はやや均質かつ地合が良好であるが○には劣る、×は均質かつ地合が不良であることを意味する。
有機無機複合体の収率の算出
有機無機複合体の収率を以下の式で算出した。実際に生成した質量を有機無機複合体の全質量とした。
収率(%)=[生成有機無機複合体の全質量/(理論収率での金属化合物質量+理論収率での有機ポリマー質量)]×100
Figure 2005154684
Figure 2005154684

表2で示された通り、比較例1では平均粒径100nmの酸化亜鉛粉末を使用してにもかかわらず、混練の工程で無機成分の凝集が生じ、ナノメートルオーダーの複合を行うことができなかった。
参考例1および参考例2では予め希釈したアルカリ金属化合物溶液を用いたため、金属化合物(1)が完全に溶解しなかった。そのため、金属化合物(1)の粒径がミクロンメートルオーダーに粗大となった。また、金属化合物(1)のポリアミドからの脱落が生じやすく、収率もやや低下した上、得られた不織布外観も悪かった。
一方、表1の実施例1及び実施例2に示されたとおり、本発明によってナノメートルオーダーである金属化合物(1)微粒子を、20wt%以上の無機成分含有率で有する有機無機複合体を得ることができた。また、該複合体から得られた不織布は優れた外観を有した。また本発明では、以上の特徴を持つ有機無機複合体を、常温常圧下での短時間の操作で得ることができた。

Claims (5)

  1. 有機ポリマーと金属化合物との複合体の製造方法において、
    (1)アルカリ金属を有し水に溶解させると塩基性を呈するアルカリ金属化合物が10質量%以上溶解した塩基性水溶液に、該水溶液に可溶である金属化合物(1)を溶解させて、金属化合物(1)の塩基性水溶液を得る第1工程と、
    (2)(1)で得られた水溶液を水により希釈する第2工程と、
    (3)(2)で得られた水溶液にジアミンを溶解させ、金属化合物(1)とジアミンとを含有する塩基性の水溶液(A)を得る第3工程と、
    (4)該水溶液(A)と、ジカルボン酸ハロゲン化物、ジクロロホーメート化合物及びホスゲン系化合物からなる群から選ばれる一種の化合物を有機溶媒に溶解した有機溶液(B)とを混合攪拌し、反応させる第4工程と、
    を有する、有機ポリマーと金属化合物との複合体の製造方法。
  2. 前記金属化合物(1)が金属酸化物、金属水酸化物及び金属炭酸化物からなる群から選ばれる少なくとも一種である請求項1に記載の有機ポリマーと金属化合物との複合体の製造方法。
  3. 前記水溶液(A)が水ガラスを含有する請求項1または2に記載の有機ポリマーと金属化合物の複合体の製造方法。
  4. 前記水溶液(A)が、2種以上の金属元素を有しその金属元素の1種がアルカリ金属である、金属酸化物、金属水酸化物及び金属炭酸化物からなる群から選ばれる少なくとも一種の金属化合物(2)を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の有機ポリマーと金属化合物の複合体の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法により製造される有機ポリマーと金属化合物との複合体。
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JP2009516757A (ja) * 2005-10-21 2009-04-23 メディバス エルエルシー ポリ(エステルウレア)ポリマーおよび使用法

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