JP4713766B2

JP4713766B2 - 金属インサート−樹脂複合成形品

Info

Publication number: JP4713766B2
Application number: JP2001157354A
Authority: JP
Inventors: 満渡邊; 広和勝地
Original assignee: Polyplastics Co Ltd
Current assignee: Polyplastics Co Ltd
Priority date: 2001-05-25
Filing date: 2001-05-25
Publication date: 2011-06-29
Anticipated expiration: 2021-05-25
Also published as: JP2002347062A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面が鏡面加工された金属部品と熱可塑性樹脂を用いてインサート射出成形された気密性の高い金属インサート−樹脂複合成形品に関する。
【０００２】
【従来の技術】
金属インサート−樹脂複合成形品として、成形時にボスやネジなどの金属部品を金型内にセットした後、射出成形することにより樹脂成形品内に金属部品がインサートされた金属インサート−樹脂複合成形品が一般に使用されている。インサート成形方法は、成形方法が比較的簡単で、得られた金属インサート−樹脂複合成形品は、金属部品が比較的強固に樹脂成形品内に保持されるため、強度や使用中のゆるみを防ぐことができるが、気密性に関しては、必ずしも十分なものは得られていない。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、金属インサート−樹脂間の気密性の高い金属インサート−樹脂複合成形品を提供することを目的とする。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果、表面を予め鏡面加工した金属部品を射出成形機の金型にインサートして特定の熱可塑性樹脂を用いて射出成形することにより、かかる問題点を解決しうることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【０００５】
すなわち本発明は、金属部品が、ポリアセタール、芳香族ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド、液晶性ポリエステルからなる群から選ばれた少なくとも１種以上の熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂にインサートされた金属インサート−樹脂複合成形品であって、予め十点表面粗さ（Ｒｚ）２．５μｍ以下に鏡面加工された前記金属部品を射出成形機の金型にインサートして、熱可塑性樹脂を用いて射出成形して得られる、前記金属部品と樹脂との間の気密性が１．５ＭＰａ以上であることを特徴とする金属インサート−樹脂複合成形品である。
本発明においては、鏡面加工が物理的方法であることが好ましく、該物理的方法は、サンドペーパー、青粉あるいはダイヤモンドペーストを利用するものであることがより好ましい。
また、前記金属部品は、樹脂に埋設される胴部分が円柱部を有することが好ましい。
【０００６】
【発明の実施の形態】
本発明で使用するインサート用の金属部品の形状は、特に限定されるものではないが、例えば、各種のローレットインサートやボス、ネジ等のインサートが挙げられる。ネジ等の形状は、円柱状、角柱状、円管状、角管状（ナット状）等が挙げられる。
気密性の高い金属インサート−樹脂複合成形品を得る場合には、円筒状、円管状のような円柱部を有することが望ましい。金属部品の、樹脂に埋設される胴部分の周上にフランジ部を有していてもよい。例えば、円管状の金属インサート−樹脂複合成形品の場合には、フランジ部は円管の外周の一部に設けられてもよいが、好ましくは３６０゜全体にわたって設けられる。フランジ部は１段でもよいが、２段以上、多段に設けてもよい。
金属部品の胴部分が円柱状ないし円管状の場合、フランジ部の外周形状は、円でもよいが、多角形や、一部を切り欠いたり、出張らせるなどの形状にすることにより、回転によるゆるみ等を防止するようにしてもよい。
フランジ部は胴部分に直角に設けられても、斜めに設けられても、螺旋状に設けられてもよい。フランジ部と胴部分の接続部分はＲを持って滑らかに接続しても、直角等の角度を持って接続してもよい。
フランジの高さは特に制限はなく、成形品の使用目的、寸法にもよるが、例えば、０．１ｍｍ以上、あるいは１ｍｍ以上、さらには１０ｍｍ以上設けることもできる。
フランジ部は、樹脂に全体が埋設されても、フランジ部の一部が埋設されてもよい。
【０００７】
本発明で使用するインサート用の金属部品の材質は、特に限定されるものではないが、例えば、アルミニウム、鉄、ステンレス等が挙げられる。温度差の大きい用途で使用する場合には、これらの金属材質は後述する樹脂との熱膨張の差が小さいものを選び、樹脂と金属の両材質の境界付近にクラックの発生を防ぐようにすることが好ましい。
【０００８】
本発明では、金属部品の表面を、十点表面粗さ（Ｒｚ）で表して、２．５μｍ以下になるように、予め鏡面加工しておくことが重要である。鏡面加工を施した後の金属部品の表面粗さは０．５μｍ以下であることが好ましい。表面粗さがＲｚが、２．５μｍを超えると気密性が低くなる。
【０００９】
表面の鏡面加工には、研磨等の物理的方法、メッキ等の化学的手法、それらの混合手法があるが、コスト的に物理的方法が好ましい。
物理的方法としては、砥石片の押しつけによるホーニング仕上げ、同様の超仕上げ、遊離砥粒を使用したラップ仕上げ、流体を介して遊離砥粒を使用した噴射仕上げなどが挙げられる。それらの仕上げには、砥石（トラバース研磨、プランジ研磨用）；研磨布、バフないしサンドペーパー；青粉あるいはダイヤモンドぺースト；エアブラストないし液体ブラスト用のダイヤモンド、アルミナ、炭化珪素、砂などの砥粒が挙げられる。
【００１０】
鏡面加工面は、金属部品の樹脂に埋設される全部分又はその一部分であり、埋設される胴部の一部又は全部、フランジ部のフランジ面、側面又は全面、及び胴部とフランジ部の両者が例示される。
【００１１】
本発明においては、ポリアセタール、芳香族ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド、液晶性ポリエステルからなる群から選ばれた少なくとも１種の熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂を使用する。
これらは混合して使用することもできる。また、少量成分として他の樹脂を添加してもよい。他の樹脂としては、上記熱可塑性樹脂が挙げられる。
これらの樹脂には、必要に応じて、樹脂添加剤を添加することができる。樹脂添加剤としては、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線安定剤、帯電防止剤、充填材、着色剤、難燃剤、滑剤、ブロッキング防止剤、核剤、可塑剤、抗菌剤、防臭剤、又はこれらの混合物が挙げられる。
【００１２】
インサート成形法としては、特に制限はないが、公知の射出成形法を用いることができ、インサート成形機としては、特に制限はないが、例えば縦型射出成形機が使用できる。
またインサートは、金型にセットする前に、予備加熱をしても構わないし、接着層を予め塗布により設けても構わない。
【００１３】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【００１４】
インサート金属部品として、図１に示すアルミニウム製のフランジ付円柱形ロッドを作製した。
（調製例１および２）
上記アルミ製ロッドを青粉を使用して表１に示す２種類の表面粗さに鏡面加工処理を行いそれぞれ５個（ｎ＝５）づつ作成した。
表面粗さ測定は、ミツトヨ製の表面粗さ・輪郭形状測定機（サーフテストＳＶ−Ｃ６２４）により測定した。結果を表１に示す。
【００１５】
（実施例１および２）
次に、上記鏡面加工処理を行ったアルミ製ロッドを射出成形機金型にインサートして、直鎖型ポリフェニレンサルファイド樹脂フォートロン（登録商標）６１６５（無機充填材６５％入り）（ポリプラスチックス（株）社製）により下記条件で射出成形を行い、図２のような金属インサート−樹脂複合成形品を得た。
射出成形機：ＳｏｄｉｃｋＴＲ４０ＶＲ
射出成形条件
樹脂温度：３２０℃
金型温度：１５０℃
射出速度：３ｍ／ｍｉｎ
（成形品の気密性評価）
金属インサート−樹脂複合成形品を、図３に示すように、パッキンを介在させて耐圧容器にセットし、手動水圧ポンプを使用して、耐水圧気密性試験により気密性を評価した。耐水圧気密性試験は、水圧０．１ＭＰａからスタートし、１分間の静止状態で水漏れが無ければ０．１ＭＰａづつ水圧を上げ、最大２．０ＭＰａまで昇圧して水漏れの有無を確認した。結果を表１に示す。
【００１６】
（比較例１）
鏡面加工処理を行わず、表１に示す表面粗さのアルミ製ナットを使用した以外は実施例１と同様にして金属インサート−樹脂複合成形品を作成し、気密性評価を行った。結果を表１に示す。
【００１７】
【表１】

【００１８】
表１において、表面粗さ及び気密性は、それぞれ５個のサンプル（ｎ＝５）を使用して、５個の平均値で表した。
表１から判るように、金属部品の表面がＲｚ２．５μｍ以下、好ましくは０．５μｍ以下のものでは、気密性の１．５ＭＰａ以上、好ましくは２．０ＭＰａ以上のものが得られた。
【００１９】
【発明の効果】
本発明のように、インサート金属部品の表面を安価な物理的手法により所定の表面粗さＲｚ以下に仕上げることによって、金属インサート−樹脂間の気密性の高いインサート成形品が容易に得られる。
【図面の簡単な説明】
【図１】インサート用金属部品の一例の縦断面図である。
【図２】金属インサート−樹脂複合成形品の一例の縦断面図である。
【図３】耐水圧気密性試験方法を示す図である。
【符号の説明】
１金属インサート−樹脂複合成形品
２金属部品
３胴部
４フランジ
５樹脂

Claims

金属部品が、ポリアセタール、芳香族ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド、液晶性ポリエステルからなる群から選ばれた少なくとも１種の熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂にインサートされた金属インサート−樹脂複合成形品であって、予め十点表面粗さ（Ｒｚ）２．５μｍ以下に鏡面加工された前記金属部品を射出成形機の金型にインサートして、前記樹脂を用いて射出成形して得られる、前記金属部品と樹脂との間の気密性が１．５ＭＰａ以上であることを特徴とする金属インサート−樹脂複合成形品。
前記鏡面加工が物理的方法である請求項１に記載された金属インサート−樹脂複合成形品。
前記物理的方法が、サンドペーパー、青粉あるいはダイヤモンドペーストを利用するものである請求項１又は２に記載された金属インサート−樹脂複合成形品。
前記金属部品において、樹脂に埋設される胴部分が円柱部を有する、請求項１〜３の何れかに記載された金属インサート−樹脂複合成形品。