JP4712760B2 - 効率的かつ正確なフィルタリングおよび補間のための方法およびシステム - Google Patents

効率的かつ正確なフィルタリングおよび補間のための方法およびシステム Download PDF

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Description

(発明の背景)
(発明の分野)
本発明は信号処理に関する。具体的には、本発明は、離散時間入力信号の効率的および正確なフィルタリング技術および補間技術に関する。
(関連技術)
多くの産業処理は、特定の時間に正確な位置によって規定される軌道に沿った移動に関する。フォトリソグラフィーはこのようなプロセスの一例である。フォトリソグラフィーのプロセスにおいて、照射源は照射ビームを投影する。ビームはレチクルを透過するか、またはレチクルから反射されて、レチクルから半導体ウェハなどの基板にレチクル像を転写することが可能になる。
フォトリソグラフィプロセスにおいて走査技術を用いて、レチクル像を基板上に投影する。これらの走査技術は、照射スロットにわたってレチクルを移動して、同時に移動するレチクル像を基板上に露光することを可能にすることに関する。レチクルおよび基板は、1つの次元より多い次元において移動可能なステージ上に配置される。
このようなプロセスにおいて正確な移動を提供するためには、自動コマンドおよび制御システムが必要である。これらのコマンドおよび制御システムは、これらのプロセスを統制する信号処理技術を用いることが多い。しかし、信号処理技術は、計算上、高価であり得、かつ、遅くあり得る。さらに、このような技術を実現する、マイクロコントローラなどの処理プラットフォームは、許容不可能な演算誤差を導入し得る。したがって、必要なのは、このようなシステムに対して、最低数の演算誤差しか誘発せず、最低数の処理動作しか必要とせず、そして最低限の時間量で実行する信号処理技術である。
(発明の要旨)
本発明は、効率的かつ正確な補間技術に関する。本発明の一方法は、第1のサンプリング速度を有する離散入力信号を第2のサンプリング速度を有する離散出力信号に補間するために必要な動作数を減少させる。この方法は、上記入力信号から複数の入力信号値を選択する工程であって、各選択された入力信号値は、上記第1のサンプリング速度での特定の時間的増分に対応する工程と、上記第2のサンプリング速度で発生する時間的増分で、出力信号値を生成する工程とを含む。上記出力信号値を生成する工程は、上記複数の入力信号値と対応する複数のフィルタ応答関数値との内積を計算して、上記内積を時間的に先行する増分出力信号値に加算する工程を含む。
上記第2のサンプリング速度で生じる複数回の増分の間、上記生成工程が繰り返され得る。この繰り返しは対応するセットの離散出力信号値を生成する。
本発明のさらなる方法は、第1のクロック速度を有する離散時間入力信号を第2のクロック速度を有する離散時間出力信号に、最小の演算誤差で正確に処理する。この方法は、上記第1のクロック速度を有する中間信号を生成する上記入力信号をデルタフィルタリングする工程、および上記出力信号を生成する上記中間信号をデルタ補間する工程を含む。
デルタフィルタリングは、上記入力信号から初期値を減算し、フィルタリングされたデルタ信号を生成し、そして、上記フィルタリングされたデルタ信号に上記初期値を加算することによって、入力デルタ信号を計算する工程を含む。デルタ補間は、上記中間信号を上記第2のクロック速度にアップサンプリングする工程、上記アップサンプリングされた中間信号から初期値を減算することによってアップサンプリングされた中間デルタ信号を計算する工程、上記中間デルタ信号をフィルタリングする工程、および上記初期値を上記フィルタリングされた中間デルタ信号に加算する工程を含む。
本発明の別の方法は、第1のクロック速度で生じる複数の入力信号サンプルを有する離散時間入力信号を効率的に処理して、上記第1のクロック速度のR倍の速度の第2のクロック速度を有する離散時間出力信号にする。この方法は、上記入力信号を受信する工程、「0パディング」動作を利用する効率的な様態で、Nフィルタ係数を有するN個のタップの有限の衝撃応答(FIR)フィルタで上記入力信号をフィルタリングする工程を含む。
本発明は有利に、補間関数およびフィルタリング関数を最低数のプロセッサ動作で実行することを可能にする。さらに、本発明は有利に、正確な信号処理結果を提供する。これらの技術は、処理制御などの多くの異なる用途に適用可能である。
(好適な実施形態の詳細な説明)
本明細書に組み込まれ、明細書の一部を形成する添付の図面は、本発明を示し、そして説明と共に、本発明の原理を説明し、そして当業者が本発明を作製および使用することを可能にするようにさらに役立つ。図面中、同様の参照符号は、同一または機能的に同一の要素を示す。したがって、参照符号の最も左の桁(単数または複数)は参照符号が初出する図面を示す。
(I.動作環境)
本発明を詳細に説明する前に、本発明が実現され得る例示的な環境を説明することが有用である。本発明は信号処理技術に関するが、プロファイルプラナーならびにフォトリソグラフィー走査プロセスのコマンドおよび制御などのフォトリソグラフィー用途において特に有用である。図1はこのような環境を示す。
図1は、例示的な動作環境100のブロック図である。動作環境100は、プロファイルプラナー102、プロファイル実行器104、および制御システム106を含む。プロファイルプラナー102は、ユーザ指定要件によるデバイス軌道を設計する。この設計プロセスの結果、フォトリソグラフィツール内の基板ステージまたはレチクルステージに対する走査軌道などの、デバイス用の軌道を規定する状態信号セット108が生成される。プロファイルプラナー102は、2倍精度のコンピュータによって実行されるコンピュータプログラム製品として実現される。しかし、プロファイルプラナー102は、ハードウェアおよび/またはファームウェア内にも実現され得る。プロファイルプラナー102は、オフラインプロセスにおいてこれらの軌道を設計する。したがって、フォトリソグラフィーの場合、基板ステージまたはレチクル走査動作が開始する前に、状態信号セット108が生成される。
状態信号セット108は、制御システム106内に含まれている、基板ステージまたはレチクルステージなどのデバイスの移動を統制する、複数の一定加速状態を規定する。状態信号セット108は、位置状態信号110、速度状態信号112、および加速状態信号114を含む。図2を参照してこれらの信号を以下に説明する。各一定加速状態に関して、状態信号110、112および114は対応する値を有する。これらの一定加速状態は、遅いクロック周期の整数倍である可変長間隔の間存在する。これらの状態信号は、時間的に非等距離間隔で隔てられている値を有する。これらの時間的間隔は、1ミリ秒などの遅いクロック周期の整数倍である。
図2は、例示的な状態信号セット108を示すチャートである。上述したように、状態信号セット108は、位置状態信号110、速度状態信号112、および加速状態信号114を含む。プロファイルプラナー102によって生成されるこれらの状態信号は、基板ステージまたはレチクルステージなどの、デバイスの1つの次元における移動を規定する。
これらの信号間の関係を、P=P+1/2At+VtおよびV=V+Atとして表し得る。これらの式において、Piは位置状態信号110を表し、Pは位置信号(図3を参照して信号350として以下に説明する)を表し、Aは加速状態信号114を表し、Vは速度状態信号112を表し、そしてVは速度信号(図3を参照して以下に説明するプレ処理構成要素340において用いられる)を表す。図2に示すように、位置状態信号110は非等距離でサンプリングされている2次曲線である。したがって、速度状態信号112は、非等距離でサンプリングされている台形信号である。
加速状態信号114は、任意の振幅および幅を有し得る一連の方形パルスおよび/または矩形パルスを含む。これらのパルスは、速度状態信号112の値の遷移に対応する。これらのパルスの立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジにおいて、加速状態信号114は、大きい第1の時間導関数(derivative)を有する。この第1の導関数を本明細書において「ジャーク(jerk)」(図示せず)と呼ぶ。これらの立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジは、方形パルスおよび/または矩形パルスを提供するため、加速状態信号114は無限のジャーク値(すなわち、デルタ関数)を有する。
図2に示すように、速度状態信号112および加速状態信号114の値のみが、プロファイルプラナー102によって規定される特定の時間に変化する。したがって、これらの信号を、均等に時間間隔を取られたセットのサンプルによって表す代わりに、加速状態信号114が変化する特定の瞬間に対応した値によって表す。上述したように、これらの瞬間は遅いクロック周期の整数倍である時間間隔だけ隔てられている。
図1を再度参照すると、プロファイル実行器104はプロファイルプラナー102から状態信号セット108を受信して、これらの信号を出力信号セット116に変換する。出力信号セット116は、リアルタイム位置信号およびリアルタイム加速出力信号を含む。これらの出力信号(図3および図4を参照してより詳細に説明する)は、状態信号セット108に対応するが、固定の速いクロック速度で生じる離散時間信号である。例示的な速いクロック速度は16kHzである。この速いクロック速度で生じる離散時間信号は、0.0625ミリ秒の時間間隔の隔たりがある値を有する。離散時間信号のクロック速度を増加するプロセスを、本明細書において補間と呼ぶ。プロファイル実行器104は出力信号セット116を制御システム106に送信する。
出力信号セット116を生成する際に、プロファイル実行器104は、状態信号セット108の状態信号をフィルタリングして、図2を参照して上述した過度なジャークを減少させる。これを行うと、プロファイル実行器104は、フィルタリングを介して、制御システム106内の既存の特定の共振を回避して、速いクロック速度で離散時間信号を生成する。この速いクロック速度が状態信号セット108に関連付けられた遅いクロック速度より速いため、プロファイル実行器104は、状態信号のフィルタリングおよび補間を実行して、出力信号セット116を生成する。
出力信号セット116は、位置出力信号118および加速出力信号120を含む。状態信号110〜114と同様、これらの信号は離散信号である。しかし、状態信号110〜114とは異なり、速度信号118および加速信号120はそれぞれ、均一な時間間隔で隔てられた値を有する。これらの均一な時間間隔は、上述の速いクロック速度の1つの周期に等しい。
プロファイル実行器104は、マサチューセッツ州NorwoodのAnalog Devices,Inc.製造のSHARC(R)ADSP−21062などの固定精度の算術マイクロコントローラによって実行されるコンピュータプログラム製品として実現される。
図3は、プロファイル実行器104のインプリメンテーション300のブロック図である。インプリメンテーション300は、状態信号インターフェース302、出力信号インターフェース304、遅いクロック部分306および速いクロック部分308を含む。状態信号インターフェース302は、プロファイルプラナー102から状態信号セット108を受信する。出力信号インターフェース304は出力信号セット110を制御システム106に送信する。
遅いクロック部分306と速いクロック部分308とにわたって延びているのは、加速信号経路312および位置信号経路314である。加速信号経路312は、状態信号インターフェース302から加速状態信号114を受信し、加速出力信号120を生成する。位置信号経路314は状態信号インターフェース302から状態信号110、112および114(すなわち、状態信号セット108)を受信する。これらの受信された信号に基づいて、位置信号経路314は位置出力信号118を生成する。
加速信号経路312および位置信号経路314は両方、複数の信号処理成分を含む。これらの成分は、フィルタリング、アップサンプリング、および信号遅延などの動作を実行する。当業者であれば理解するように、これらの成分は、マサチューセッツ州NorwoodのAnalog Devices,Inc.製造のSHARC(R)ADSP−21062などのマイクロコントローラ、または任意の他の適切な処理プラットフォームによって実行されるように書き込まれるソフトウェア機能として実現され得る。
機能の中でも、これらの成分は入力状態信号の補間およびフィルタリングを実行する。信号経路312および314に関して、この補間によって、同じクロック速度を有する出力信号118および120が生成される。
位置状態経路314は、プレ処理構成要素340、プレ補間フィルタ342、補間構成要素344および時間遅延構成要素346を含む。上述したように、位置信号経路314は状態信号セット108を受信して、位置出力信号118を生成する。
プレ処理構成要素340は、位置状態信号110、速度状態信号112および加速状態信号114を受信する。これらの信号は処理されて、統合された位置信号350を生成し、これは遅いクロック速度である。統合された位置信号350は、加速状態信号114、速度状態信号112および位置状態信号110に基づく。統合された位置信号350を生成するために、プレ処理構成要素340は離散時間統合動作を実行する。これを以下の式(1−1)に表す。
=P+nT[V+(nTA/2)] (1−1)
式(1−1)において、Pは統合された位置信号350を表し、Pは位置状態信号110を表し、Vは速度状態信号112を表し、nは遅いクロック速度でのサンプル時間を表す整数であり、Tは遅いクロック周期であり、Aは加速状態信号114を表す。
プレ補間フィルタ342は、位置状態信号110および統合された位置信号350を受信する。プレ処理フィルタ342は、これらの信号を処理して、フィルタリングされた位置信号352を生成する。フィルタリングされた位置信号352を生成することによって、プレ補間フィルタ342は統合された位置信号350をフィルタリングして、信号352が補間構成要素344に送信される前に、信号352の周波数率を制限する。プレ補間フィルタ340は、遅いクロック速度で実行する有限の衝撃応答(FIR)フィルタリング技術を用いる。しかし、プレ補間フィルタ340は、無限の衝撃応答(IIR)フィルタリングなどの、他の種類の離散時間フィルタリング技術を用い得る。
補間構成要素344は、フィルタリングされた位置信号352および位置状態信号110を受信する。これらの信号を受信した後、補間構成要素344は2つの関数を実行する。第1に、補間構成要素344は、速いクロック速度の信号を生成するアップサンプリング動作を実行する。このアップサンプリング動作は各サンプル間にL−1個の0を挿入することに関する。
第2に、補間構成要素344は、アップサンプリングされた信号にフィルタリング動作を実行する。このフィルタリング動作により、高周波の共振成分がアップサンプリング機能によって導入されることが防止される。フィルタリングはローパスのFIRフィルタリング動作を用いて実行される。しかし、IIRフィルタリングなどの他の種類のフィルタリングを用いてもよい。これらのアップサンプリング動作およびフィルタリング動作を共に、本明細書において補間と呼ぶ。この補間動作の結果、補間された信号354が生じ、これは時間遅延構成要素346に送信される。
プレ補間フィルタ342および補間構成要素344は両方、「デルタ処理」技術を用いて、これらが実行するフィルタリング動作および補間動作の精度を増す。これらのデルタ処理技術を図4および図5を参照して以下により詳細に説明する。
時間遅延構成要素346は、補間された信号354を受信する。この構成要素は、速いクロック速度で動作し、そして、位置信号経路314の伝播時間および位相を調整することを可能にする。時間遅延構成要素346は、位置信号118を生成して、これを出力信号インターフェース304に送信する。
ここで、説明を加速信号経路312に向ける。加速信号経路312は、補間構成要素320および時間遅延構成要素322を含む。加速信号経路312は、状態信号インターフェース302から加速状態信号114を受信して、加速出力信号120を生成する。
補間構成要素344と同様、補間構成要素320は2つの関数を実行する。第1に、補間構成要素320は、補間速度Lで信号加速状態信号114をアップサンプリングする。第2に、補間構成要素320は、このアップサンプリングされたデータにフィルタリング動作を実行する。このFIRフィルタリング動作は、高周波の共振成分がアップサンプリング関数によって導入されることを防止する。これらの関数の結果、補間構成要素322は、補間された加速信号330を生成し、これは、時間遅延構成要素322に伝送される。
時間遅延構成要素322は、補間された加速信号330を受信して、加速信号経路312の伝播時間および位相を調整することを可能にする。このような遅延を被ることによって、時間遅延構成要素322は加速出力信号120を生成し、これは出力インターフェース304に送信される。
(II デルタ処理)
フィルタ342および補間構成要素344などのプロファイル実行器104はデルタ処理の機能を用いる。この機能により、位置出力信号118などの出力信号内の演算誤差が減る。デルタ処理は、絶対位置を表す時間可変信号から位置状態信号110を減算することを含む。この減算により、絶対位置を表す対応する信号より小さい動的範囲を有する「デルタ信号」が得られる。
図4は、デルタ処理を用いるフィルタ342のインプリメンテーション400を示すブロック図である。インプリメンテーション400は、絶対位置アレイ402、FIR係数アレイ404、第1のスカラー加算ノード406、ベクトル乗算ノード408、ベクトル加算ノード410、第2のスカラー加算ノード412および遅延モジュール414を含む。
絶対位置アレイ402は、プレ処理構成要素340から入力信号428(すなわち、統合された位置信号350)を受信する。絶対位置アレイ402は、統合された位置信号を処理して、平行位置信号のセット430を供給する。平行位置信号のセットは、複数の離散時間信号を含む。これらの離散時間工程のそれぞれに関して、これらの信号は信号350から選択された複数の隣接値を含む。したがって、平行位置信号のセット430を介して、絶対位置アレイ402は、スカラー加算ノード406、信号350からの複数の隣接値を同時に送信する。
スカラー加算ノード406は、平行位置信号のセット430および位置状態信号110を受信する。スカラー加算ノード406は、平行信号セット430内の信号それぞれから位置状態信号110を減算する。この減算により、デルタ平行信号のセット432が生成され、これはベクトル乗算ノード408に送信される。信号セット432はデルタ等級尺度を有する。この尺度は、信号セット430の絶対等級尺度より小さい。
ベクトル乗算ノード408は、デルタ平行信号のセット432およびFIR係数アレイ404内に格納されている複数のFIRフィルタ係数上で要素ごとの乗算を実行する。この乗算により、平行積算信号のセット434が生成され、これは、ベクトル加算ノード410に送信される。
ベクトル加算ノード410は、平行積算信号のセット434内の各信号を加算する。この加算の結果、1つの(すなわち、スカラー)デルタフィルタリングされた信号436が生じる。
スカラー加算ノード412は、デルタフィルタリングされた信号436および遅延位置状態信号438を受信する。遅延位置状態信号438は、遅延モジュール414によって所定の遅延時間が遅延された位置状態信号110である。この所定の遅延時間は、加算ノード406と412との間での信号の上述の伝送に関連付けられた伝播の遅延と一致する。
スカラー加算ノード412は、デルタフィルタリングされた信号436および遅延位置状態信号438を加算し、これにより、フィルタリングされた位置信号352が得られる。この加算により、フィルタリングされた信号436がデルタスケールから絶対スケールに返される。本明細書に説明するように、フィルタリングされた位置信号352は補間構成要素344に送信される。
インプリメンテーション400のデルタ処理アプローチにより、フィルタ342が、フィルタリング動作に関連付けられた、演算(すなわち、加算および乗算)によって生じる切り上げ誤差を最小限に抑えることが可能になる。この誤差を最小限に抑えることは、スカラー加算ノード406における平行位置信号のセット430から位置状態信号110を減算することを介して達成される。この減算の結果、信号セット432が得られ、これは信号セット430より小さい等級を有する。
固定された正確な処理環境において、固定された正確な数的表示に起因した切り上げ誤差は、入力信号の等級の直接関数である。デルタの平行信号セット432のように、入力信号の等級を下げると、ノード408および410において実行される演算が最小限に抑えられる。この最小化により、より小さい誤差を有する出力信号440(すなわち、フィルタリングされた位置信号352)が得られる。
図5は、補間構成要素344のインプリメンテーション500を示すブロック図である。インプリメンテーション500はインプリメンテーション400に類似する。しかし、インプリメンテーション500は、入力信号520(すなわち、フィルタリングされた位置信号352)のサンプリング速度を増加させるアップサンプリングモジュール502を含む。これにより、アップサンプリングされた信号522が生成され、これは、絶対位置アレイ402に送信される。インプリメンテーション500はさらに、図4を参照して上述したインプリメンテーション400のデルタ処理機能を用いるために、位置状態信号110を受信する。したがって、インプリメンテーション400と同様、インプリメンテーション500によって用いられるデルタ処理技術は、より小さい誤差を有する出力信号520(すなわち、補間された信号354)を生成する。
したがって、本発明は、第1のクロック速度を有する離散時間入力信号p(n)を効率的に処理して、第2のクロック速度を有する離散時間出力信号にする技術を含む。この技術は演算誤差を最小限に抑える。
図6は、この効率的な処理技術の動作を示すフローチャートである。この動作は工程602で開始する。工程602において、入力信号は、第1のクロック速度を有する中間信号を生成するようにフィルタリングされたデルタである。一実施例としてプロファイル実行器104のインプリメンテーション300を用いて、フィルタ342は工程602を実行する。したがって、この実施例において、入力信号は位置信号350であり、中間信号はフィルタリングされた位置信号352である。
工程602は、d(n)=p(n)−p(但し、pはp(n)の初期値である場合の入力デルタ信号)によって、d(n)を計算する工程を含む。フィルタ342のインプリメンテーション400を参照すると、pは位置状態信号110であり、この計算はスカラー加算ノード406によって実行される。工程602はさらに、d(n)からフィルタリングされたデルタ信号f(n)を生成する工程、およびpをf(n)に加算する工程を含み、これにより、中間信号が生成される。デルタフィルタリングされた信号436は例示的なf(n)を供給する。
次に、工程604において、中間信号はデルタ補間されて、出力信号を生成する。再度、プロファイル実行器104を例として用いて、補間構成要素344は工程604を実行する。したがって、この例において、出力信号は補間された信号354である。
工程604は、中間信号を第2のクロック速度にアップサンプリングする工程を含む。アップサンプリングモジュール502は、この工程の例示的な実行を提供し、アップサンプリングされた信号522はアップサンプリングされた中間信号の例である。工程604はさらに、u(n)=i(n)−p(但し、i(n)はアップサンプリングされた中間信号であり、pはp(n)の初期値である場合のアップサンプリングされた中間デルタ信号)によって、u(n)を計算する工程を含む。補間モジュール344のインプリメンテーション500を参照すると、位置状態信号110はpの一例を提供し、デルタ平行信号のセット432はu(n)の一例を提供する。
さらに、工程604は、u(n)からフィルタリングされた中間デルタ信号g(n)を生成する工程を含む。補間構成要素344のインプリメンテーション500を参照して、デルタフィルタリング信号436はg(n)の一例である。工程604はさらに、pをg(n)に加算する工程を含み、これにより、出力信号が生成される。上述したように、補間された信号354は一つの例示的な出力信号である。
(III 位相のバランス調整)
プロファイル実行器104は、所望されるより高い性能に応じて、位相内または位相外のいずれかで、加速出力信号120および位置出力信号118を生成する柔軟性を有する。時間遅延構成要素324および346によって生じる時間遅延を用いて、各経路の総合的な位相の遅延を調整し得る。これらの位相の遅延を、下の式(2−1)および(2−2)に量的に表す。式(2−1)は、加速信号経路312の位相の遅延を表す。式(2−2)は位置信号経路314の位相の遅延を表す。
Figure 0004712760

式(2−1)および(2−2)に関して、
TDAは加速信号経路312の伝播の遅延であり、
STは遅いクロック速度の周期であり、
TFIRPSはフィルタ342内のタップ数であり、
TDPは位置信号経路314の伝播の遅延であり、
FTは速いクロック速度の周期であり、
eqは補間構成要素344によって用いられるフィルタ内のタップ数であり、
TFIRASは補間構成要素320によって用いられるフィルタ内のタップ数である。
式(2−2)は、1つの遅いクロック速度の周期、STのさらなる時間の遅延を含む。この用語は、補正信号316を生成する上述の2段階2重統合プロセスを説明する。
図7は、加速出力信号120を示すグラフである。図2を参照して本明細書に説明するように、プロファイル実行器104によって状態信号のセット108から、この出力信号を生成する。
図1〜図3を参照して本明細書に説明するように、プロファイル実行器104は、位置出力信号118および加速出力信号120を含む出力信号のセット116を生成する。この信号のセットは、1つの軸における移動を規定する。基板およびレチクルステージなどのデバイスは、多次元(例えば、3−D)の移動が可能である。このようなデバイスに関して、プロファイルプラナー(planner)102、プロファイル実行器104および制御システム106を各次元に対して用いて、各次元において、移動が制御される。
(IV フィルタリング技術)
図3〜図5を参照して説明したように、プロファイル実行器104はフィルタリングの機能性を含む。離散時間FIRフィルタを用いてこの機能性を実現し得る。FIRフィルタは継続時間が限られている衝撃応答関数を有するフィルタである。無限の衝撃応答(IIR)フィルタとして、これらの離散時間フィルタをさらに実現し得る。FIRフィルタと対照的に、IIRフィルタは、期間が無限である衝撃応答関数を有する。
補間構成要素320および344によって実行されるアップサンプリング関数は非線形である。これらが非線形であるため、これらの補間構成要素によって実行されるフィルタリング特性は重要である。上述したように、これらの構成要素は、遅いクロック速度で入力信号を受信し、対応して再構築された信号を速いクロック速度で出力する。適切なフィルタリング技術を用いない限り、このような再構築に関連付けられた非線形性により、信号経路312および314にノイズが導入され得る。
補間構成要素320および344は種々のフィルタリング設計を用い得る。このような設計の1つを、L個のサンプルごとに、L−1個の連続した0でインターリーブされたシーケンス上に用いた場合、この設計は、最も近いゼロではないサンプルを用いて理想的な帯域が制限された補間を実行する線形位相FIRフィルタリングアプローチである。元の帯域制限α(0<α≦1)×ナイキスト周波数が想定されている。
ある種類の補間フィルタ設計は、L個のサンプルごとに、L−1の連続した0でインターリーブされたシーケンス上に、n次のラグランジュ多項式の補間を実行するFIRフィルタリングアプローチである。フィルタリング技術は、nが偶数の場合には(n+1)Lの長さを有し、nが奇数の場合には(n+1)L−1の長さを有する。但し、nは補間を実行するために用いられるタップ数である。
図8〜図14は、線形位相FIRフィルタリングアプローチおよびラグランジュFIRフィルタリングアプローチの3つの異なる設計の周波数応答を示す1セットのグラフである。
3つの線形位相FIRアプローチに関して、アプローチのうちの1つは5つのタップのフィルタリングを用い、一方、他の2つのアプローチは2つのタップのフィルタリングを用いる。これらの2つのタップのフィルタリングアプローチに関して、αはそれぞれ、1/5および1/20に等しい。ラグランジュアプローチは3つのタップのみを用いる。
図7〜図12に示すように、線形位相の2つのタップのFIRフィルタリングアプローチの形状および3次のラグランジュフィルタリングアプローチの形状は類似している。しかし、これらの名前にも関わらず、線形位相フィルタリングアプローチの結果、完全な線形位相は生じない。したがって、ラグランジュアプローチの方が好ましい。
これらのフィルタリングアプローチによって導入される誤差を、以下の式(3−1)から(3−5)に表す。これらの式において、Y(ω)は、補間構成要素322または補間構成要素330の出力信号の離散時間フーリエ変換(DTFT)を表す。さらに、H(ω)は構成要素のフィルタリング関数のDTFTを表し、X(ω)は対応するアップサンプリングされた(すなわち、補間された)信号のDTFTを表し、これはフィルタリングされていない。
フーリエ変換のたたみこみの特性に起因して、Y(ω)を以下のように書き得る。
Y(ω)=H(ω)X(ω) (3−1)
この関係を以下のようにも表し得る。
Figure 0004712760

式(3−2)において、φは信号位相を表す。
補間フィルタリングアプローチのいずれかの位相を以下の式(3−3)に表す。
Figure 0004712760

式(3−3)において、
Figure 0004712760

は線形位相構成要素を表し、
Figure 0004712760

は非線形位相構成要素を表す。上述のラグランジュフィルタリングアプローチに関して、この非線形構成要素は0である。したがって、ラグランジュアプローチに関して、Y(ω)を以下の式(3−4)のように書き得る。
Figure 0004712760

式(3−4)から、Y(ω)、y(k)の逆フーリエ変換は式(3−5)に従う。
Figure 0004712760

式(3−5)において、
Figure 0004712760

は理想的な出力を表す。
Figure 0004712760

が0に等しい場合、補間構成要素320および344の出力は理論的出力と同一である。
上述したように、補間構成要素320および344はアップサンプリングされた信号上でフィルタリング動作を用いる。このような補間構成要素に関して、遅いクロック入力信号の形状の知識があれば、補間フィルタリング技術を選択することが可能になり、この技術により、結果として生じる補間された信号と元の入力データ(これに「遅いクロック」信号が基づく)との間の誤差が最小限に抑えられる。
補間構成要素344は、統合された位置信号350に関する形状情報を用いて、
補間された信号354内の誤差を最小限に抑える。プロファイル実行器104の場合、以下の式(4−1)に示すように、2次の多項式によって任意の時間tに位置状態信号110を表し得る。
P(t)=P(t)+V(t)(t−t)+1/2A(t)(t−t (4−1)
式(4−1)において、P(t)は統合された位置信号350を表し、V(t)は速度状態信号112を表し、A(t)は加速状態信号114を表し、tは開始時間値を表す。
統合された位置信号350(およびフィルタリングされた位置信号352)を2次の多項式として表し得るため、統合された位置信号350の理想的な補間フィルタを調整すると、2次の信号が「再生」される。3つのタップ(3次)のラグランジュ補間フィルタは、このような2次の再生を実行する。さらに、本明細書に説明するように、このようなフィルタは線形位相を有する。この線形位相により、これらの経路が同じ補間フィルタを用いない場合に、加速信号経路312と位置信号経路314との間の信号の位相のバランス調整を行うことが可能になる。さらに、ラグランジュ補間フィルタは有利に、「速いクロック」のナイキスト周波数より下の周波数が切り捨てられている。したがって、補間構成要素344はこのような3つのタップのラグランジュフィルタリングを用いる。
(V 制御システム)
図15は制御システム106のブロック図である。制御システム106は、補正モジュール1502、フィルタリングモジュール1504、フィードフォワードゲインモジュール1506、プラント1508ならびに加算ノード1510および1512を含む。制御システムは、位置出力信号118および加算出力信号120をプロファイル実行器104から受信して、軸位置1514を生成する。軸位置はプラント1508の移動を表す時間可変信号である。
プラント1508は、プロファイル実行器104から受信された出力信号セット116の形態の命令を介して制御システム106の制御下にある、基板ステージまたはレチクルステージなどのデバイスである。
(VI.効率的な補間およびフィルタリング)
プロフィール実行器104のインプレメンテーション300には、複数の信号経路(すなわち、信号経路312および314)がある。これらの経路にはそれぞれ、アップサンプリング(upsampling)機能およびフィルタリング機能を離散時間入力シーケンスに行う補間コンポーネントがある。本発明は、これらの機能の性能を効率的に組み合わせる技術を提供する。この技術を用いると、加速信号経路312の補間コンポーネント320によって行なわれるこれらの補間機能およびフィルタリング機能を最少数のプロセッサを動作させるたけで行なうことが可能となるため、有利である。プロセッサの動作回数を最小限にすると、出力信号セット116の生成に関連する実行時間およびエラーが低減する。
プロフィール実行器104は、プロフィール計画器102から状態信号セット108を受信する。本明細書中に説明するように、状態信号セット108は、複数の離散時間信号を含む。離散時間信号は、複数のパルスからなる列である。
補間コンポーネント320は、加速状態信号114を受信する加速信号経路312内にある。図2を参照して上述したように、加速状態信号114は、一連の実質的に方形のパルスを含む。
図16Aは、例示的な方形信号1600を示すグラフである。任意の方形信号(例えば、加速状態信号114)を、それぞれが所定の振幅および遅延を有するステップ信号のシーケンスとして表すことが可能である。この原理を図16Bに示す。図16Bは、方形信号1600を一連のステップ信号1602、1604および1606に分解した様子を示す。このステップ信号を数式(5−1)で表したものを以下に示す。
Figure 0004712760

数式(5−1)において、A(t)は方形信号1600を表し、aμ(t−T)は、k=1、3のときの各ステップ信号1602〜1604を表す。
補間コンポーネント320によって行なわれるアップサンプリング機能およびフィルタリング機能の性能を、振幅および継続時間が加速状態信号114と同じ一連の箱型フィルタのたたみこみと、補間コンポーネント320のインパルス応答関数を有する(決定論的)入力信号による上述したフィルタリングアプローチとしてみなすことにより、補間コンポーネント320が信号に補間およびフィルタリングを行なう際に必要とする動作数を低減することができる。
方形信号を表した数式(5−1)を考えると、補間コンポーネント320によって行なわれるこの信号のアップサンプリングおよびフィルタリング動作は、以下の数式(6−1)によって表される。
Figure 0004712760

数式(6−1)において、F(t)は、補間コンポーネント320によって用いられるフィルタリングを用いたアプローチの長さNのインパルス応答関数であり、ここで、t=0、1、2、...、N−1である。しかし、F(α)がゼロ以外の数値となるのは、0≦α≦Nの場合のみである。
計算コストが最も高くなる場合としては、符号が異なる2つのパルス(またはステップ)が続けて発生した場合でありかつその発生の間の遅延間隔が当該フィルタがフィルタ長さ以内で調整するほどには十分に長くない場合がある。代数演算を行なうことにより、この場合における数式(6−1)を長く表したものを以下の数式(6−2)として示す。
Figure 0004712760

数式(6−2)において、αは第1のステップの振幅であり、αは第2のステップの振幅であり、α=α−αである。
数式(6−2)は、補間コンポーネント320の補間機能およびフィルタリング機能を行なうのに必要な動作数は、フィルタ長さNに依存しないことを示す。数式(6−2)は、高速クロックレートで行なわれる6つの動作(3つの乗算および3つの加算)を明らかにしたものである。
別の状況では、2つのパルスが用いられるFIRフィルタよりも幅が小さく、パルス間の間隔は、フィルタが整定するのに十分ではない。この状況において、
Figure 0004712760

数式(6−3)において行なわれる計算に必要な動作はわずか5つである。本発明における他の場合では、必要な計算は5つよりも少ないこともある。計算能力を大量に必要とする場合が他に無い間は、用いられるフィルタ長さは、フィルタを整定させるために割り当てられた遅延時間よりも短かくありさえすればよい。
一般的には、効率的なフィルタリング技術および補間技術は、以下の数式(7−1)によって表される。
Figure 0004712760

数式(7−l)において、Lは、フィルタ長さNの間に発生し得る入力パルスの最大数である。また、数式(7−1)において、F(t−T)が発生するたびに、数式(5−1)において表される遅延入力階段関数の1つに対応するFIRフィルタ係数が得られる。
数式(7−1)に示す効率的なフィルタリングおよび補間アプローチを用いると、動作数を2*Nから3*Lまで低減することができる。そのため、L<<Nの場合、計算効率を実質的に増加させ、またエラーを最低限にすることができる。
図17は、上述したような効率的なフィルタリングおよび補間の動作シーケンスを示すフローチャートである。この動作は、ステップ1702から開始する。ステップ1702において、プロフィール実行器104は、入力信号(例えば、加速状態信号114)から複数の入力信号値を選択する。選択された入力信号値はそれぞれ、低速のクロックレートにおける特定の時間増分に対応する。このステップの性能は、数式(5−1)に示すような方形信号を一連のステップ信号として表すステップを含む。
次に、ステップ1704において、プロフィール実行器104は、高速のクロックレートにおいて発生する時間増分で出力信号値の生成を行う。ステップ1704は、積の合計を計算し、この積合計値と先行する時間増分の出力信号値とを加算するステップを含む。これらの計算ステップは、上記の数式(7−1)に示している。
ステップ1704は、複数の出力信号値を生成するための高速クロックレートにおいて発生する時間増分で繰り返すことが可能である。その結果、完全に補間された信号330が生成される。
(VII.効率的な補間―ゼロパディング)
本発明は、補間プロセスにおいてフィルタ動作を効率的に行なうための技術を含む。この技術は、アップサンプリングの間にゼロが加算されることを利用したものであり、これにより、フィルタリング動作の計算による負荷を低減する。補間コンポーネント344は、この技術を用いている。
補間は、補間コンポーネント344および320によって行なわれる。上述したように、補間工程では、アップサンプリングプロセスおよびフィルタリングプロセスが行なわれる。サンプリングレート7を用いて未知の信号をより高速のサンプリング期間T=T/R(Rは整数)にアップサンプリングする場合、R−1ゼロをサンプル間に導入する。例えば、T=64ミリ秒でありかつTは1ミリ秒である場合、このようなアップサンプリングでは、63個のゼロをサンプル間に挿入する。図18は、1/10にアップサンプルされた低速のクロックレートにおけるランプ関数を示すグラフである。
図18に示すように、このアップサンプルされた信号は、オリジナルの「低速クロック」間隔におけるオリジナルの信号のみと等しい。このような「低速クロック」間隔間におけるポイントを「補間」するためには、アップサンプルされた信号を高速クロックレートでフィルタリングする必要がある。この補間フィルタリングは、「高速クロック」と関連付けられたナイキスト周波数以下のカットオフ周波数を有する任意のローパスフィルタによって行なうことが可能である。例示的なフィルタについては、上記にて図8〜14を参照しながら説明した。
本明細書中、補間のアップサンプリングプロセスを用いてゼロを導入する工程を「ゼロパディング」と呼ぶ。補間コンポーネント344は、このゼロパディングを利用して、自身の各フィルタリング動作に必要な動作数を低減するものである。以下に、この効率的な補間フィルタリング機能を数学的に分析した結果を示す。
本明細書中において説明したように、補間コンポーネント344は、アップサンプリング機能およびフィルタリング機能を低速のクロックレートから高速クロックレートで行なう。これらの機能は補間比Rを持ち、この補間比Rを以下の数式(8−1)中に示す。
Figure 0004712760

数式(8−1)において、Tは低速のクロックレートを表し、Tは高速のクロックレートを表す。
FIRフィルタリングを一例として用いて、「N個の」タップ(tap)のFIRフィルタの各補間コンポーネントのフィルタリング動作、出力、y(t)を数式(8−2)によって表す。
Figure 0004712760

数式(8−2)において、bは1番目のフィルタ係数を表し、u(t)は時間tにおける入力信号を表し、Tは高速クロックサンプリング期間を表す。
u(t−kT)(k=0、1、2、...、R−l)を非補間信号の最終値とすることにより(kTfは複数の低速のクロックである点に留意されたい)、先行するR−1サンプルはゼロとなる。これを以下の数式(8−3)に示す。
Figure 0004712760

次に、t−kT=mT−kT(Tは低速のクロックサンプリング期間)にすることにより、数式(8−3)を以下の数式(8−4)に示すようにすることができる。
Figure 0004712760

数式(8−4)は、i=0、1、...R−1の場合に当てはまる。
ここで、数式(8−4)を通じて、数式(8−2)を以下の数式(8−5)に示すように表すことが可能となる。
Figure 0004712760

数式(8−5)において、関数上限(A)を、A以上の最も近似の整数に丸める。
数式(8−5)は、最小数の動作数で補間フィルタリング動作を行なう。この最小数の動作数を数式(8−6)において表す。プロフィール実行器の動作数N−1はRよりも多い場合が多い。
Figure 0004712760

ここで、3つのタップ(N=3)のFIRフィルタリングプロセスおよび2の補間ファクタ(R=2)を用いて補間フィルタの最適化を行なう例について説明する。数式(9−1)は、この例示的な補間プロセスによって生成された出力シーケンスを表したものである。
Figure 0004712760

数式(9−1)において、u(t)は補間フィルタリングプロセスに対する入力を表し、y(t)はプロセスによる出力を表す。係数b、b、およびbは、FIRフィルタリング係数を表す。
u(t−kT)=u(mT)(ここで、k=0、1およびm=1、2、3...)とすることにより、入力シーケンスu(k)の特徴を数式(9−2)および(9−3)に示す。
Figure 0004712760

従って、この実施例に必要な動作の最大数を数式(9−4)に示す。
Figure 0004712760

数式(9−4)に示すように、この例示的な補間フィルタリング機能を行なう際に必要な数は3つだけである。
この特徴は、一連の複数のたたみこみを用いたフィルタ(例えば、FIRフィルタ)にも適用される。一連のFIRフィルタは、1つのFIRフィルタに対応する。この等価なフィルタの応答関数は、一連のFIRフィルタ全ての離散たたみこみである。そのため、この対応するFIRフィルタのタップ数は、たたみこみを用いた個々のフィルタのタップの合計数である。一連に構成された2つのフィルタ(例えば、補間コンポーネント344内のFIRフィルタおよび補間コンポーネント344の出力に結合された補間後フィルタ(図示せず))の一例を以下に示す。
を、複数のフィルタパラメータb(k=0、1、2、...N−1)を有する第1のFIRフィルタのタップ数を表すものとし、NおよびNcを、第1のFIRフィルタと連続する第2のFIRフィルタのタップ数を表すものとする。第2のFIRフィルタは、N個のタップと、対応する複数のフィルタパラメータc、(l=1、2、...N−1)とを含む。第1のフィルタおよび第2のフィルタのたたみこみから得られたフィルタのパラメータをを以下の数式(10−1)に示す。
Figure 0004712760

数式(10−1)において、
Figure 0004712760

そのため、効率的な補間フィルタリング技術を用いて、これらの2つの一連のフィルタの出力を以下の数式(10−2)および(10−3)に表す。
Figure 0004712760

数式(10−3)に示す出力を得るために必要な動作の合計を、以下の数式(10−4)に示す。
Figure 0004712760

ここで、この一連のフィルタリングの一例についてプロフィール実行器104を参照しながら説明する。例示的な補間コンポーネント344は79個のタップのFIRフィルタを用い、補間された信号354をフィルタリングする補間後フィルタ(図示せず)は、50個のタップのFIRフィルタである。この実施例において、補間コンポーネント344は、信号352にアップサンプリング動作を20回行なう。従来の一連のフィルタリングによるアプローチでは、79*2+50*2=259回の動作が必要となる。しかし、数式(10−5)に示すように、効率的な補間フィルタリング機能を用いることにより、この補間フィルタリングを行なうのに必要な動作数を29回まで少なくする。
Figure 0004712760

このようにして動作数を低減すると、動作回数が減るたけではなく、処理プラットフォームによって行われる計算(例えば、限定された精密演算を用いた計算)を通じて累積するエラーも減る。この機能は、高速のクロックレートで行なわれる。
(VIII.インプレメンテーション)
本明細書中に記載の機能は、ハードウェア、ソフトウェアまたはこれらの組み合わせを用いてインプリメントすることが可能であり、コンピュータシステムまたは他の処理システムとしてインプリメントすることも可能である。実際、一実施形態において、本発明は、本明細書中に記載の機能を実施することが可能なコンピュータシステムに関する。例示的なコンピュータシステム1901を図19に示す。コンピュータシステム1901は、プロセッサ(例えば、プロセッサ1904)を1つ以上含む。プロセッサ1904は、通信バス1902に接続される。様々なソフトウェアの実施形態について、この例示的コンピュータシステムを用いて説明する。当業者にとって、この説明を読めば、他のコンピュータシステムおよび/またはコンピュータアーキテクチャを用いて本発明をインプリメントする方法は明らかである。
コンピュータシステム1902は、メインメモリ1906(好適にはランダムアクセスメモリ(RAM))も含み、2次メモリ1908も含んでもよい。2次メモリ1908は、例えば、ハードディスクドライブ1910および/またはリムーバブル格納ドライブ1912(例えば、フロッピー(登録商標)(R)ディスクドライブ、磁気テープドライブ、光学ディスクドライブなど)を含み得る。リムーバブル格納ドライブ1912は、リムーバブル格納ユニット1914に対する読出しおよび/または書き込みを周知の方法で行なう。リムーバブル格納ユニット1914としては、フロッピー(R)ディスク、磁気テープ、光学ディスクなどがあり、格納ユニット1914に対する読出しおよび書き込みはリムーバブル格納ドライブ1912によって行なわれる。理解されるように、リムーバブル格納ユニット1914は、コンピュータソフトウェアおよび/またはデータを内部に格納しているコンピュータによる使用が可能な格納媒体を含む。
別の実施形態において、2次メモリ1908は、コンピュータプログラムまたは他の命令をコンピュータシステム1901にロードするための他の簡単な手段を含み得る。このような手段を挙げると、例えば、リムーバブル格納ユニット1922およびインターフェース1920がある。このようなものの例を挙げると、プログラムカートリッジおよびカートリッジインターフェース(例えば、ビデオゲームデバイスに見受けられるようなもの)、リムーバブルメモリチップ(例えば、EPROMまたはPROM)および関連付けられたソケット、ならびにソフトウェアおよびデータをリムーバブル格納ユニット1922からコンピュータシステム1901に転送することを可能にする他のリムーバブル格納ユニット1922およびインターフェース1920がある
コンピュータシステム1901は、通信インターフェース1924も含み得る。通信インターフェース1924を用いると、ソフトウェアおよびデータをコンピュータシステム1901と外部デバイスとの間で転送することが可能になる。通信インターフェース1924の例を挙げると、モデム、ネットワークインターフェース(例えば、イーサネット(登録商標)(R)カード)、通信ポート、PCMCIAスロットおよびカードなどがある。通信インターフェース1924を介して転送されるソフトウェアおよびデータは信号の形態をしており、信号形態としては、通信インターフェース1924による受信が可能な電子信号、電磁気信号、光学信号または他の信号であればよい。これらの信号1926は、チャンネル1928を介して通信インターフェースに提供される。このチャンネル1928は、信号1926を搬送し、ワイヤまたはケーブル、光ファイバ、電話線、セルラー電話リンク、RFリンクおよび他の通信チャンネルを用いてインプリメントすることが可能である。
本文書において、「コンピュータプログラム媒体」および「コンピュータによる使用が可能な媒体」という用語を、リムーバブル格納デバイス1912、ハードディスクドライブ1910に取り付けられたハードディスク、および信号1926などの媒体を指すものとして頻繁に用いる。これらのコンピュータプログラム商品は、コンピュータシステム1901にソフトウェアを提供するための手段である。
コンピュータプログラム(コンピュータ制御論理とも呼ばれる)は、メインメモリおよび/または2次メモリ1908に格納される。通信インターフェース1924を介してコンピュータプログラムを受信することも可能である。このようなコンピュータプログラムは、実行されると、コンピュータシステム1901が本明細書中にて説明したような本発明の機能を行なうことを可能にする。詳細には、コンピュータプログラムは、実行されると、プロセッサ1904が本発明の機能を行なうことを可能にする。従って、このようなコンピュータプログラムは、コンピュータシステム1901の制御器を表す。
本発明をソフトウェアを用いてインプリメントした一実施形態において、このソフトウェアをコンピュータプログラム商品に格納し、リムーバブル格納ドライブ1912、ハードドライブ1910または通信インターフェース1924を用いてコンピュータシステム1901にロードすることができる。制御論理(ソフトウェア)は、プロセッサ1904によって実行されると、本明細書中にて述べたような機能をプロセッサ1904に行なわせる。
別の実施形態において、例えばハードウェアコンポーネント(例えば、特定用途向け集積回路(ASIC))を用いたハードウェアとして本発明を主にインプリメントする。本明細書中に記載の機能を行なうためのハードウェアステートマシンのインプレメンテーションは、関連分野(単数または複数)の当業者にとって明らかである。
さらに別の実施形態において、ハードウェアおよびソフトウェアの組み合わせを用いて本発明をインプリメントする。このような組み合わせの例を挙げると、マイクロコントローラがある(ただし、これに限定されない)。
(IX.結論)
本発明の様々な実施形態について説明してきたが、これらの実施形態はひとえに例示目的のために示したものであり、限定目的のために示したものではないことが理解される。よって、本発明の範囲は、上述した例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、本明細書中の特許請求の範囲およびその均等物のみによって規定されるべきである。
図1は、例示的な動作環境のブロック図である。 図2は、例示的な状態信号セット108を示すチャートである。 図3は、プロファイル実行器のインプリメンテーションのブロック図である。 図4は、デルタ処理を用いるフィルタのブロック図である。 図5は、デルタ処理を用いる補間構成要素のブロック図である。 図6は、効率的な処理技術の動作を示すフローチャートである。 図7は、加速出力信号を示すグラフである。 図8は、種々のフィルタ応答を示すグラフである。 図9は、種々のフィルタ応答を示すグラフである。 図10は、種々のフィルタ応答を示すグラフである。 図11は、種々のフィルタ応答を示すグラフである。 図12は、種々のフィルタ応答を示すグラフである。 図13は、種々のフィルタ応答を示すグラフである。 図14は、種々のフィルタ応答を示すグラフである。 図15は、制御システムのブロック図である。 図16Aは、例示的な方形信号の表示を示すグラフである。 図16Bは、例示的な方形信号の表示を示すグラフである。 図17は、効率的な補間およびフィルタリングに関する動作の連続を示すフローチャートである。 図18は、アップサンプリングされた遅いクロック速度のランプ関数を示すグラフである。 図19は、例示的なコンピュータシステムのブロック図である。

Claims (15)

  1. 第1のクロックレートを有する離散時間入力信号p(n)を第2のクロックレートを有する離散時間出力信号に処理する方法であって、
    前記入力信号から該入力信号の初期値を減算し、該初期値を減算した入力信号をフィルタリングしてデルタ信号を生成し、該生成したデルタ信号に前記初期値を加算するデルタフィルタリングを行なって、前記第1のクロックレートを有する中間信号を生成する工程と、
    該中間信号を前記第2のクロックレートにアップサンプリングし、該アップサンプリングした前記中間信号から前記初期値を減算して中間デルタ信号を生成し、該生成した中間デルタ信号をフィルタリングし、該フィルタリングした中間デルタ信号に前記初期値を加算するデルタ補間を行なって、前記出力信号を生成する工程と、
    を包含する、方法。
  2. 前記デルタフィルタリング工程は、
    d(n)=p(n)−pに従って入力デルタ信号d(n)を計算する工程であって、pはp(n)の初期値である、工程と、
    フィルタリングされたデルタ信号f(n)をd(n)から生成する工程と、
    f(n)にpを加算し、これにより前記中間信号を生成する工程と、
    を包含する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記生成する工程は、有限インパルス応答(FIR)によってフィルタリングされたデルタ信号f(n)をd(n)から生成する工程を包含する、請求項2に記載の方法。
  4. 前記デルタ補間する工程は、
    前記中間信号を前記第2のクロックレートにアップサンプリングする工程と、
    アップサンプリングされた中間デルタ信号u(n)をu(n)=i(n)−pに従って計算する工程であって、i(n)は該アップサンプリングされた中間信号であり、pはp(n)の初期値である、工程と、
    フィルタリングされた中間デルタ信号g(n)をu(n)から生成する工程と、
    g(n)にpを加算し、これにより前記出力信号を生成する工程と、
    を包含する、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記中間デルタ信号g(n)を生成する工程は、有限インパルス応答(FIR)によってフィルタリングされたデルタ信号g(n)をu(n)から生成する工程を包含する、請求項4に記載の方法。
  6. 前記第2のクロックレートは、前記第1のクロックレートの整数倍である、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記入力信号は位置信号である、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記出力信号は、フォトリソグラフィーによる走査動作を制御する制御システムへと送られる、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 第1のクロックレートを有する離散時間入力信号p(n)を第2のクロックレートを有する離散時間出力信号に処理するシステムであって、
    前記入力信号から該入力信号の初期値を減算し、該初期値を減算した入力信号をフィルタリングしてデルタ信号を生成し、該生成したデルタ信号に前記初期値を加算するデルタフィルタリングを行なって、前記第1のクロックレートを有する中間信号を生成する手段と、
    該中間信号を前記第2のクロックレートにアップサンプリングし、該アップサンプリングした前記中間信号から前記初期値を減算して中間デルタ信号を生成し、該生成した中間デルタ信号をフィルタリングし、該フィルタリングした中間デルタ信号に前記初期値を加算するデルタ補間を行なって、前記出力信号を生成する手段と、
    を包含する、システム。
  10. 前記デルタフィルタリング手段は、
    d(n)=p(n)−pに従って入力デルタ信号d(n)を計算する手段であって、pはp(n)の初期値である、手段と、
    フィルタリングされたデルタ信号f(n)をd(n)から生成する手段と、
    f(n)にpを加算し、これにより前記中間信号を生成する手段と、
    を備える、請求項9に記載のシステム。
  11. 前記生成する手段は、有限インパルス応答(FIR)によってフィルタリングされたデルタ信号f(n)をd(n)から生成する手段を備える、請求項10に記載のシステム。
  12. 前記デルタ補間する手段は、
    前記中間信号を前記第2のクロックレートにアップサンプリングする手段と、
    該アップサンプリングされた中間デルタ信号u(n)をu(n)=i(n)−pに従って計算する手段であって、i(n)は該アップサンプリングされた中間信号であり、pはp(n)の初期値である、手段と、
    フィルタリングされた中間デルタ信号g(n)をu(n)から生成する手段と、
    g(n)にpを加算し、これにより前記出力信号を生成する手段と、
    を備える、請求項9〜請求項11のいずれか1項に記載のシステム。
  13. 前記中間デルタ信号g(n)を生成する手段は、有限インパルス応答(FIR)によってフィルタリングされたデルタ信号g(n)をu(n)から生成する手段を備える、請求項12に記載のシステム。
  14. 前記第2のクロックレートは、前記第1のクロックレートの整数倍である、請求項9〜請求項13のいずれか1項に記載のシステム。
  15. 前記出力信号は、フォトリソグラフィーによる走査動作を制御する制御システムへと送られる、請求項9〜請求項14のいずれか1項に記載のシステム。
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