JP4710065B2 - 反応安定化を図った発酵装置並びにその管理方法 - Google Patents
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Description
まず発酵装置1について説明する。この発酵装置1は、一例として槽構造体10を鉄筋コンクリート等で構成するものであり、その底床部を処理床11とし、更に処理床11の長手方向両側に立ち上がるように側壁12を形成し、これによって実質的に区画される長槽状部分を処理部110とするものである。もちろん請求項1で定義するように、処理床11の上部が実質的に処理部110となるものであるから、側壁12等を具えないものも本発明の技術思想として包含し得るものである。
この処理部110の底部を構成する処理床11には、散気トラフ13が設けられるものであって、適宜寸法の溝状に処理床11を凹陥させたものである。この散気トラフ13は、長手方向に延びる処理床11に対しては、その長手方向と直交する幅方向に沿うように適宜間隔で複数本並行して形成されている。
以下この切り崩し装置17について説明する。
まずこの切り崩し装置17は、散気トラフ13の内側壁等に固定した軸受17aに対し散気トラフ13の長手方向に沿って延びるシャフト17bを回動自在に支持させ、このシャフト17bに対し突起状に切り崩し片17cを設けるものである。そして前記シャフト17bを適宜回動操作することにより、切り崩し片17cを水平の収まり状態から上方に起き上がった状態とし、処理床11の底部寄りに堆積する被処理物Aすなわち下層側の被処理物Aの一部を切り起こし、作用空気Vの供給も円滑に行い得るようにする。なおこれら導入管15、排水管16、更には切り崩し装置17等の側壁12Aから外部の部分についての構成については後述する。
なお割栗石Sとは、天然石はもちろんであるほか、砕石、造粒石等を含むものである。更にこれらのような形状保持機能を有するものであれば、割栗石Sとして樹脂製の粒体を用いることも差し支えない。
なお配水基管190の始端は、通常は水道管につながれ、配水支管191には処理水Lとしての水道水が供給される。
(1)被処理物の投入
被処理物Aは、例えば発酵装置1が長手方向に延びている形態の場合、その例えば一端を投入端として適宜投入する。もちろんこの投入については処理時間等を考慮して必ずしもその端部に投入することを要件とせず、その途中から下流側に向かうように投入することももとより差し支えない。そして実際の被処理物Aの投入は、例えばダンプカーによる投入、あるいは別途ショベルドーザ、ベルトコンベヤ等による投入であり、投入状態すなわち被処理物Aの堆積形状が平均化しないことも予想されるので、この場合には適宜攪拌装置2を稼働して攪拌ロータ25によって被処理物Aの堆積した頂部を削るようにして、少なくとも側壁12の高さより低くなるように均す。
このようにして少なくとも被処理物Aが投入されている範囲、すなわち散気トラフ13から見ると、被処理物Aで覆われている範囲については、散気管14の散気孔14aから作用空気Vを供給して、被処理物Aに対してその下方から作用空気Vを供給する。この操作は前述のとおり、エアコック183を開放した状態でブロワ181を起動し、必要に応じてヒータ182によって作用空気Vを加熱した状態で導入管15から散気管14内に供給する。このとき導入管15が短導入管15aと長導入管15bの、例えば二本形成されているときには、それぞれ散気管14から見ると、その処理部110の幅方向で側壁12Aと仕切側壁12Cとの間をほぼ3分配したそれぞれの位置で短導入管15aと長導入管15bとの先端部から作用空気Vが導入されることになり、全体としては均一な作用空気Vの供給を受け、複数の散気孔14aのいずれからも平均した散気がなされる。
なおこのとき排水ピット161内に張られた処理水Lのレベルは、排水外部配管160の端部よりレベルが高く、外気が散気トラフ13内に入り込むおそれはない。
このようにして例えば処理部110の長さが65mで、被処理物Aが焼酎搾りかすの場合、順次攪拌装置2によって被処理物Aを送り込みつつ、攪拌をも合わせて行い、その空いたスペースに新たな被処理物Aを投入してゆくとすると、概ね全体として25日程度の処理期間をもって被処理物Aの発酵がなされ、処理が完了する。なおこのとき発酵が充分に行い得ない場合には、被処理物Aから水分が発生しがちであるが、そこで生じた水分は、先ず散気トラフ13内に流入する。そして図3(b)に示すように排水管16の下面寄りに設けられた捕集部16aのレベルよりも高い水分については、この捕集部16aから排水管16内に入り、排水管16の傾斜に沿って外部に排出され、排水ピット161内に捕集される。
更にこのような稼働が継続されると、特に被処理物Aの発酵が不充分な場合、発生した水あるいはその水によって移動した被処理物Aの粉粒体等により散気管14の散気孔14aが塞がれることもある。このような場合には前記外部空気配管180におけるエアコック183を閉鎖し、代わりに配水支管191の導水コック192を開放する。これによって処理水Lが導入管15を通り、その端部から散気管14内に供給され、その内部を満たすようにし、更にその水圧によって前記散気孔14aの目詰まりを取り除くような作用をして、散気孔14aにおける通気状態を確保する。当然このような操作によって散気トラフ13内には処理水Lが散水されるが、この処理水Lは先に述べたような排水管16の作用により外部に順次円滑に排出される。
またこのような目詰まりのほかにも、上述したように排水管16の捕集部16aのレベルに満たない被処理物Aから生じた水分は、散気トラフ13の底部に停滞してしまう。このためこの異物を含んだ水分は、徐々に水分が蒸発し、異物などがペースト状に変化しながら散気トラフ13内に堆積する。このペースト状の異物によって捕集部16aの孔部を塞いでしまう場合には、導入管15から処理水Lを供給させることにより、ペースト状の異物を希釈させて、捕集部16aから排出させることができる。
更にこのような稼働が続けられると、被処理物Aの下層部すなわち発酵装置1における処理床11の近い部分においては、攪拌装置2における攪拌ロータ25の攪拌板25aが作用しない部分が生じ、その部位での被処理物Aの密度が高まり、通気が円滑になされない現象も生じ、被処理物Aの発酵反応が均一に行われなくなってしまう。
このような状態において、本発明の主要部材である切り崩し装置17を作用されることにより円滑な作用空気Vの供給を可能とし、被処理物Aの安定的な発酵反応を維持することができる。具体的な操作としては、図に示すようにレバー受端170が収められているシールドケース172の蓋板172aを開放して、レバー受端170を外部から操作できるようにし、そこにシフトレバー171を嵌め込み、足踏みないしは手押しによる操作により前記シャフト17bを回動させ、切り崩し片17cを持ち上げるように作動させ、下層の被処理物Aを切り崩すようにするのである。また攪拌装置2の作動に併せてこの切り崩し片17cを操作することも差し支えない。この場合、処理床11付近に堆積した塊状の被処理物Aは、まず切り崩し片17cによって切り崩されながら持ち上げられ、そして攪拌装置2の攪拌板25aによって、図5に示すよう処理床11付近の塊状の被処理物Aは、前方に押し剥がされる。このため、塊状の被処理物Aの上方にあって充分な発酵のための空気を得られずにいた被処理物Aは、これらが除去されることにより充分な空気を得ることができる。
このような運転を継続しながら前記被処理物Aは順次発酵を進めて希望する発酵状態を得て、処理床11の終端に至り、そこから適宜ショベルドーザあるいは適宜のコンベヤ等によって外部に排出され、搬送されてゆくのである。
なお、この被処理物Aの切り崩し作業は、通気が阻害されている常態でのときに行ったり、あるいは適宜の時間的間隔で繰り返し行うものであり、具体的には作業者が所定の時間ごとに各シャフト17bを操作して行うほか、図示は省略するが機械的にシャフト17bを回動できるようにシャフト17bの一端にアクチュエータを取り付け、タイマーを具えた制御装置により自動で切り崩し装置17を稼動するように制御しても差し支えない。
本発明は以上述べた実施例を一例とするが、更に次のような改変が考えられる。
(1)処理床態様に関する他の実施例
まず本装置の主要部である切り崩し装置17が設置される処理床11の態様については、前述したようなコンクリート等による槽構造体10に区画された処理床11とするに配置する必要はない。要するに被処理物Aを定置状態に確保できる場所であればよく、例えば単なる平盤状に処理床11を構成し、ここに切り崩し装置17を配置したタイプの発酵装置1としても差し支えない。
また図6に示すように処理部110が槽状であっても平盤状であっても、いずれでも給気エリアEが、千鳥状等に配置される場合において、給気エリアEの近傍に切り崩し装置17を配置することができる。なお図6においては、切り崩し装置17の図示は省略した。
また前述したように切り崩し装置17は、一例として図1や図3に示すように、上述した実施例ではトラフ状の部位である散気トラフ13の内側に取り付けられているが、このほかにも図7(a)に示すように、散気管14などを含まない切り崩し装置17を収めるためだけのトラフ130の内側に対して取り付けることも可能である。
更に図7(b)に示す発酵装置1は、処理床11の表面に切り崩し装置17を取り付けたものであっても差し支えない。
更に前述した本発明の切り崩し装置17のシャフト17bに取り付けられた切り崩し片17cについては、他の形態がとり得る。
まず図3(a)に示すように切り崩し片17cを矩形板状のものとし、これをシャフト17bに形成するにあたり、偏向的に縦配置したものとしてもよい、また図8(a)に示すものは帯状板を「く」の字状に折り曲げて切り崩し片17cを構成し、これを先尖り状にシャフト17bに設けたものである。
また図8(b)に示すものは、切り崩し片17cとして矩形状の薄い板をシャフト17bの長手方向に向けて取り付けたものである。
更にまた、図8(c)に示すものは、切り崩し片17cとしてアングル材をシャフト17bの長手方向に直行する向きで取り付けたものである。
前述した発酵装置1に取り付けられた切り崩し装置17は、回動自在に支持されているシャフト17bに対して切り崩し片17cが取り付けられて、シャフト17bの回転によって切り崩し片17cが擺動する構造であったが、このほかにも例えば図9に示すように、処理床11に穿設され孔部に対して、油圧シリンダ等が収められており、そのシリンダの一端に切り崩し片17cを取り付けたものを用いることもできる。
2 攪拌装置
3 建屋
10 槽構造体
11 処理床
110 処理部
110A 処理部
110B 処理部
12 側壁
12A 側壁
12B 側壁
12C 仕切側壁
13 散気トラフ
14 散気管
14a 散気孔
15 導入管
15a 短導入管
15b 長導入管
16 排水管
16a 捕集部
160 排水外部配管
161 排水ピット
162 フロート弁
17 切り崩し装置
17a 軸受
17b シャフト
17c 切り崩し片
170 レバー受端
171 シフトレバー
172 シールドケース
172a 蓋板
18 作用空気供給装置
180 外部空気配管
181 ブロワ
182 ヒータ
183 エアコック
19 水供給装置
190 配水基管
191 配水支管
192 導水コック
20 走行台車
20a 走行輪
20b 規制輪
21 横行フレーム
21a 横行輪
21b サブフレーム
21c ピボット軸
23 揺動アーム
24 上昇シリンダ
25 攪拌ロータ
25a 攪拌板
25b 支持杆
A 被処理物
C コーキング
E 給気エリア
L 処理水
M ロータ駆動モータ
S 割栗石
V 作用空気
Claims (5)
- 処理部を形成する処理床上に被処理物を適宜時間堆積貯留し、処理床側から作用空気を供給し、被処理物の発酵を促す装置において、前記処理床には、被処理物の一部を持ち上げる動作をする切り崩し装置を具えたことを特徴とする反応安定化を図った発酵装置。
- 前記切り崩し装置は、回動軸に対し切り崩し片が取り付けられ、回動軸の回動に伴い切り崩し片が上方に回動して、被処理物の一部を持ち上げることを特徴とする前記請求項1記載の反応安定化を図った発酵装置。
- 前記切り崩し装置は、処理床の一部が溝状に凹陥するように形成された部位に、収納されるような状態に設けられていることを特徴とする前記請求項1または2記載の反応安定化を図った発酵装置。
- 前記切り崩し装置は、作用空気の供給がその近傍で行われていることを特徴とする前記請求項1、2または3記載の反応安定化を図った発酵装置。
- 前記請求項1から4のいずれかに記載の反応安定化を図った発酵装置を用いて有機廃棄物等の被処理物を処理するにあたっては、適宜時間ごとに切り崩し片を持ち上げて被処理物の一部を切り崩すことを特徴とする反応安定化を図った発酵装置の管理方法。
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