JP4710065B2 - 反応安定化を図った発酵装置並びにその管理方法 - Google Patents

反応安定化を図った発酵装置並びにその管理方法 Download PDF

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Description

本発明は、例えば焼酎の搾り残滓等の廃棄物を堆肥や土壌改良材に再利用するための処理装置として好適な反応安定化を図った発酵装置並びにその管理方法に関するものである。
この種の発酵装置により、安定した発酵反応を得るべく、先ずその安定的な運転を阻害する要因の究明、およびそれを解決する工夫が種々の視点からなされている。例えば特許文献1のような空気供給の改良に係るものがある。更にそのひとつの技術課題として発酵処理を続けるにしたがい、被処理物の下層部の密度が高まり下層からの空気の供給が均等になされなくなることに起因して、発酵が阻害される現象が生じることが従来から確認されており、その対策が求められていた。
特開2002−223744公報
本発明はこのような発酵を阻害する要因が存在することについての知見に基づいてなされたものであって、常に被処理物に対して好適な作用空気を供給されるようにし、好ましい発酵状態を維持した発酵装置並びにその管理方法の開発を試みたものである。
すなわち請求項1記載の反応安定化を図った発酵装置は、処理部を形成する処理床上に被処理物を適宜時間堆積貯留し、処理床側から作用空気を供給し、被処理物の発酵を促す装置において、前記処理床には、被処理物の一部を持ち上げる動作をする切り崩し装置を具えたことを特徴として成るものである。
また請求項2記載の反応安定化を図った発酵装置は、前記要件に加え、前記切り崩し装置については、回動軸に対し切り崩し片が取り付けられ、回動軸の回動に伴い切り崩し片が上方に回動して、被処理物の一部を持ち上げることを特徴として成るものである。
また請求項3記載の反応安定化を図った発酵装置は、前記要件に加え、前記切り崩し装置については、処理床の一部が溝状に凹陥するように形成された部位に、収納状態に設けられていることを特徴として成るものである。
また請求項4記載の反応安定化を図った発酵装置は、前記要件に加え、前記切り崩し装置については、作用空気の供給がその近傍で行われていることを特徴として成るものである。
また請求項5記載の反応安定化を図った発酵装置の管理方法は、前記請求項1から4のいずれかに記載の反応安定化を図った発酵装置を用いて有機廃棄物等の被処理物を処理するにあたっては、適宜時間ごとに切り崩し片を持ち上げて被処理物の一部を切り崩すことを特徴として成るものである。
請求項1記載の発明によれば、切り崩し装置により目詰まりを起こしている下層部を切り崩し、その上方に堆積された本来処理すべき被処理物に作用空気を供給することができるので、被処理物の安定した発酵反応を促すことができる。
請求項2記載の発明によれば、回動軸に取り付けられた切り崩し片、回動軸の回動運動により持ち上げることができるので、簡単な構造とすることができる。
請求項3記載の発明によれば、切り崩し装置が処理床上に横架するトラフ状の部位に設置されることにより、その処理床表面を比較的に平滑にすることができ、このため攪拌するための装置を具える場合には、処理床の底部付近まで被処理物を攪拌することが可能となる。
請求項4記載の発明によれば、切り崩し装置の近傍で作用空気の供給が行われていることにより、切り崩し装置で密度が高かった被処理物が切り崩されて、通気に適した状態の被処理物に対して作用空気を供給することができるので、発酵反応を安定的に行える。
請求項5記載の発明によれば、適した時間ごとに切り崩し装置を稼動させて、下層部にある被処理物の密度が高まること防止し、常に被処理物に対し適切な作用空気の供給が行われるような状態を維持し、安定的な発酵反応を確保することができる。
本発明を実施するための最良の形態は、以下の実施例に述べるものをその一つとするとともに、更にその技術思想内において改良し得る種々の手法をも含むものである。
以下本発明を図示の実施例に基づいて具体的に説明する。符号1は本発明たる発酵装置であって、このものは必要に応じて発酵装置1の一部となる攪拌装置2を具え、更に被処理物Aである有機廃棄物残滓等の処理環境を安定的に保つように適宜の建屋3により覆われることが好ましい。
まず発酵装置1について説明する。この発酵装置1は、一例として槽構造体10を鉄筋コンクリート等で構成するものであり、その底床部を処理床11とし、更に処理床11の長手方向両側に立ち上がるように側壁12を形成し、これによって実質的に区画される長槽状部分を処理部110とするものである。もちろん請求項1で定義するように、処理床11の上部が実質的に処理部110となるものであるから、側壁12等を具えないものも本発明の技術思想として包含し得るものである。
この実施例では、長槽状の処理部110は、一例として並行して二基設けられるものであり、このため側壁12は槽構造体10の両側に位置する両側壁12A、12Bと、その中間に立ち上げ形成される仕切側壁12Cとにより構成されている。なお、これらの処理部110を区別する必要がある場合には、図1に示すようように向かって左側を処理部110Aとし、右側を処理部110Bと表す。
この処理部110の底部を構成する処理床11には、散気トラフ13が設けられるものであって、適宜寸法の溝状に処理床11を凹陥させたものである。この散気トラフ13は、長手方向に延びる処理床11に対しては、その長手方向と直交する幅方向に沿うように適宜間隔で複数本並行して形成されている。
散気トラフ13内には散気管14が配設されるものである。散気管14は合成樹脂あるいは金属等、被処理物Aを勘案して腐食等が生じない材料で形成された一例として円管状部材を適用するものであり、例えば塩化ビニル管等が好ましい。このものはその胴部に散気孔14a有するものであり、その開口位置は図3で示すように散気管14の断面方向に見て下部寄り斜め両側に空気流が指向するような位置に形成されている。もちろんこの散気孔14aは単なる円孔を散気管14の長手方向に整列状態に連設するほか、適宜千鳥状に配設したり、あるいは一つの散気孔14a単位をより小径の幾つかの散気孔14aで形成し、且つそれらの集合により空気流の指向方向が螺旋状になるような構成等、適宜とり得るものである。もちろんスリット状等、他の形状であってもよい。
このような散気管14に対し、作用空気V、あるいは処理水Lを導入する導入管15が挿入状態に配設される。導入管15は適宜の耐蝕性等を考慮した樹脂材料の管状部材であり、一本または複数本が散気管14内に設けられる。この実施例では、図4に示すように一例として導入管15は二本設けられるものであり、短導入管15aと長導入管15bと組み合わせて構成される。これにより側壁12Aと仕切側壁12Cとの間をほぼ3分配した位置で、それぞれの導入管15から作用空気Vの導入経路が形成されることになり、散気管14内において均等な空気流を得ることができる。なおこの散気管14の側壁側端部は導入管15の周辺をモルタル等のコーキングCにより埋め込み、散気トラフ13内の散気管14については散気孔14a以外では外気と連通しないようなシール状態を構成している。
更に散気トラフ13には散気管14の外部において、これに沿うように排水管16を配設するものであり、排水管16はその下部に捕集部16aを形成している。この捕集部16aは排水管16の断面方向下面寄りに適宜間隔で円孔を形成したり、更には長手のスリット状に形成する等、適宜の形状がとり得る。なお前記排水管16の排水作用を考慮し、前記散気トラフ13は側壁12A側に向かって散気トラフ13の底部に対し排水傾斜を形成する。
なお、この導入管15の組みについては、前述した長槽状の処理部110を二基並設している場合においては、いずれの処理部110A、110Bに対しても一方の側壁12A、12B側に集中して延長配置することが好ましい。そのため図1と図3においては、散気トラフ13内の散気管14に並設される導入管15の組みは、並設されている他方の長槽状の処理部110Bに送られるものである。
更にこの散気トラフ13内には、本発明の主要部材である切り崩し装置17を設ける。
以下この切り崩し装置17について説明する。
まずこの切り崩し装置17は、散気トラフ13の内側壁等に固定した軸受17aに対し散気トラフ13の長手方向に沿って延びるシャフト17bを回動自在に支持させ、このシャフト17bに対し突起状に切り崩し片17cを設けるものである。そして前記シャフト17bを適宜回動操作することにより、切り崩し片17cを水平の収まり状態から上方に起き上がった状態とし、処理床11の底部寄りに堆積する被処理物Aすなわち下層側の被処理物Aの一部を切り起こし、作用空気Vの供給も円滑に行い得るようにする。なおこれら導入管15、排水管16、更には切り崩し装置17等の側壁12Aから外部の部分についての構成については後述する。
更に散気トラフ13内には、ここに配設される散気管14、排水管16及び切り崩し装置17の間隙を埋めるように割栗石Sを詰めるように敷き並べることが好ましい。これによって散気孔14aからの作用空気Vは割栗石Sの間を抜けるようにして整流化した流れとなって、被処理物Aに供給される。なおこのような割栗石Sを詰めることに因み前記切り崩し装置17における切り崩し片17cは、作動の確実性から薄い板状の形状のものを偏向的に縦配置したものであることが好ましいが、後述するように切り崩し片17cについては、種々の形態がとり得るものである。
なお割栗石Sとは、天然石はもちろんであるほか、砕石、造粒石等を含むものである。更にこれらのような形状保持機能を有するものであれば、割栗石Sとして樹脂製の粒体を用いることも差し支えない。
次に以上述べた各種部材に関し、側壁12(12A)の外部に配設される機器について説明する。符号18は作用空気供給装置であって、このものは外部空気配管180の始端となるブロワ181と、その下流部に設けられるヒータ182とを有し、更に前記外部空気配管180の途中にはエアコック183が設けられている。なおこのブロワ181とヒータ182とのユニットは適宜前記散気トラフ13を一例として数基ごと分担するように設けられている。
更に前記側壁12の外部下方には、図4に示すように処理水Lを水供給装置19から供給するための配水基管190が設けられる。この配水基管190からそれぞれ分岐して配水支管191を形成し、その配水支管191はその下流側において前記外部空気配管180に対して合流する。そして各配水支管191は、配水基管190との間に導水コック192を具える。従って前記処理部110Aにおける散気トラフ13内の散気管14に内挿されている導入管15に対しては、導水コック192を閉鎖し、一方エアコック183を開放し、この状態でブロワ181によって作用空気Vを供給したときには、導入管15から散気管14内に作用空気Vが供給される。一方、エアコック183を閉鎖し、導水コック192を開放したときには配水基管190から処理水Lが散気管14内に供給される。
なお配水基管190の始端は、通常は水道管につながれ、配水支管191には処理水Lとしての水道水が供給される。
次に前記排水管16に対する外部構造について説明すると、側壁12から外部に延長された排水外部配管160は、外部において排水ピット161にその端部が垂れ下がるように下方に向けて延長されるものである。そしてこの排水ピット161は常に一定のレベル、すなわち排水外部配管160の開放端レベルより上方のレベルに処理水Lを張ることにより、いわゆる水シールが形成される。因みに、フロート弁162により別途水道水等が供給され、一定のレベル維持が行われ、例えば風圧が300mm水柱とすれば、水シール作用を充分とするために400mmの深さが保たれるようにしている。
次に本発明の主要部を構成する前記切り崩し装置17に関する外部構造について説明する。まず一例として切り崩し装置17におけるシャフト17bの端部は、レバー受端170となって側壁12の外部に延長形成されるものであり、レバー受端170は一例としてその末端部を角形断面としている。そしてこのレバー受端170に対して嵌め込み自在とした別途管理ツールとしてのシフトレバー171を嵌め込み、必要の都度シフトレバー171を手動または足踏み動作により回動させ、これに伴い切り崩し片17cを上方に回動させる動作を行うのである。そしてこのレバー受端170の外部とのシールド構造は、レバー受端170全体が円筒状のシールドケース172に収められ、常時はそのシールドケース172が蓋板172aによって閉鎖されることにより、レバー受端170が外部に露出しないような構成をとる。
なお、これらの散気トラフ13にある散気管14、導入管15や排水管16などの各部材が作用する範囲を給気エリアEと呼ぶ。図1に示す基本的な実施例は、散気トラフ13が一定間隔を空けて平行に設けられており、縞状に給気エリアEを構成する。このほかにも、図6(a)に示すように、櫛刃状の給気エリアEが互い違いになるようにした構成のものも可能である。更に図6(b)に示すように、処理床11上に、千鳥状に配したアイランド状の給気エリアEを設けたものであっても差し支えない。
次にこのような処理部110に対し設けられる攪拌装置2について説明する。符号20は走行台車であって、一例として図5に示すように、例えば梯子状の鋼製機枠によって構成され、走行輪20aが前記槽構造体10における側壁12の上端部を走行することにより、処理部110の長手方向に沿って全体が移動できるように構成されている。なお走行台車20には、その走行を安定的に規制するため、外側の走行輪20aの近傍に前記側壁12の外側面に当接する規制輪20bを縦軸配置する。
このような走行台車20に対し横行フレーム21が搭載される。このような横行フレーム21を設ける理由は、前記走行台車20が一例として二基並設された処理部110を全幅に亘って跨ぐようなタイプであることに因み、それぞれの処理部110A、110Bの幅に対応した幅寸法の横行フレーム21が、各々隣り合った処理部110A、110Bの間を必要に応じ行き来して、攪拌を行うようにするための構成である。従って処理部110が一基の場合にはこのような構成をとる必要がない。走行台車20に対し直接、以下述べるような作動機材を搭載するだけでよい。横行フレーム21はこのような作動を行うため、その下面に横行輪21aを設けるとともに、その上方に突出するようにサブフレーム21bを設け、ここに揺動アーム23の回動基端となるピボット軸21cを設け、揺動アーム23の基端を支持するものである。
すなわち揺動アーム23は、上シリンダ24によってその先端を上下動するようにシフトされるものであり、その揺動アーム23の作用端先端には回転する攪拌ロータ25が設けられる。この攪拌ロータ25は被処理物Aを攪拌し、更に移送する作用をするものであり、攪拌板25aが支持杆25bに取り付けられている。なお攪拌ロータ25は、揺動アーム23に対し搭載されたロータ駆動モータMによって回転駆動される。なお揺動アーム23の揺動範囲は、上死点については作業を完了した処理部110Aから隣の処理部110Bに移動することができるように、少なくとも側壁12の高さより上方に攪拌ロータ25が逃げるような範囲まで上昇させる。一方下死点は一定の安全寸法を確保した状態で処理床11にできるだけ接近する範囲にまで移動できるようにするものであり、その移動範囲は例えば下死点側においてはその位置を設定自在に切り替えられることが好ましい。
以下このような発酵装置1の稼働態様について説明する。
(1)被処理物の投入
被処理物Aは、例えば発酵装置1が長手方向に延びている形態の場合、その例えば一端を投入端として適宜投入する。もちろんこの投入については処理時間等を考慮して必ずしもその端部に投入することを要件とせず、その途中から下流側に向かうように投入することももとより差し支えない。そして実際の被処理物Aの投入は、例えばダンプカーによる投入、あるいは別途ショベルドーザ、ベルトコンベヤ等による投入であり、投入状態すなわち被処理物Aの堆積形状が平均化しないことも予想されるので、この場合には適宜攪拌装置2を稼働して攪拌ロータ25によって被処理物Aの堆積した頂部を削るようにして、少なくとも側壁12の高さより低くなるように均す。
(2)作用空気の供給
このようにして少なくとも被処理物Aが投入されている範囲、すなわち散気トラフ13から見ると、被処理物Aで覆われている範囲については、散気管14の散気孔14aから作用空気Vを供給して、被処理物Aに対してその下方から作用空気Vを供給する。この操作は前述のとおり、エアコック183を開放した状態でブロワ181を起動し、必要に応じてヒータ182によって作用空気Vを加熱した状態で導入管15から散気管14内に供給する。このとき導入管15が短導入管15aと長導入管15bの、例えば二本形成されているときには、それぞれ散気管14から見ると、その処理部110の幅方向で側壁12Aと仕切側壁12Cとの間をほぼ3分配したそれぞれの位置で短導入管15aと長導入管15bとの先端部から作用空気Vが導入されることになり、全体としては均一な作用空気Vの供給を受け、複数の散気孔14aのいずれからも平均した散気がなされる。
この作用空気Vは、更に散気トラフ13内に敷き詰められた割栗石Sの間を縫うように上昇分散するものであるから、被処理物Aに対してもその下面から平均した状態で、しかも緩やかな流れで供給される。なおこの導入管15からの作用空気Vに関しては加熱した状態のほか、例えば一定の湿度を要求される場合、前記配水支管191の導水コック192を幾分か開放して一部処理水Lが混じるような形態としても差し支えない。前記特許請求の範囲に言う選択自在に供給されるという場合であっても、必ずしも導入管15から作用空気Vあるいは処理水Lいずれか一方のみを選択して導入することに限られず、それぞれを併せて供給することも含むものである。すなわち双方を選択した状態で供給しても差し支えないのである。
なおこのとき排水ピット161内に張られた処理水Lのレベルは、排水外部配管160の端部よりレベルが高く、外気が散気トラフ13内に入り込むおそれはない。
(3)排水
このようにして例えば処理部110の長さが65mで、被処理物Aが焼酎搾りかすの場合、順次攪拌装置2によって被処理物Aを送り込みつつ、攪拌をも合わせて行い、その空いたスペースに新たな被処理物Aを投入してゆくとすると、概ね全体として25日程度の処理期間をもって被処理物Aの発酵がなされ、処理が完了する。なおこのとき発酵が充分に行い得ない場合には、被処理物Aから水分が発生しがちであるが、そこで生じた水分は、先ず散気トラフ13内に流入する。そして図3(b)に示すように排水管16の下面寄りに設けられた捕集部16aのレベルよりも高い水分については、この捕集部16aから排水管16内に入り、排水管16の傾斜に沿って外部に排出され、排水ピット161内に捕集される。
(4)目詰まり管理
更にこのような稼働が継続されると、特に被処理物Aの発酵が不充分な場合、発生した水あるいはその水によって移動した被処理物Aの粉粒体等により散気管14の散気孔14aが塞がれることもある。このような場合には前記外部空気配管180におけるエアコック183を閉鎖し、代わりに配水支管191の導水コック192を開放する。これによって処理水Lが導入管15を通り、その端部から散気管14内に供給され、その内部を満たすようにし、更にその水圧によって前記散気孔14aの目詰まりを取り除くような作用をして、散気孔14aにおける通気状態を確保する。当然このような操作によって散気トラフ13内には処理水Lが散水されるが、この処理水Lは先に述べたような排水管16の作用により外部に順次円滑に排出される。
またこのような目詰まりのほかにも、上述したように排水管16の捕集部16aのレベルに満たない被処理物Aから生じた水分は、散気トラフ13の底部に停滞してしまう。このためこの異物を含んだ水分は、徐々に水分が蒸発し、異物などがペースト状に変化しながら散気トラフ13内に堆積する。このペースト状の異物によって捕集部16aの孔部を塞いでしまう場合には、導入管15から処理水Lを供給させることにより、ペースト状の異物を希釈させて、捕集部16aから排出させることができる。
(5)被処理物の切り崩し
更にこのような稼働が続けられると、被処理物Aの下層部すなわち発酵装置1における処理床11の近い部分においては、攪拌装置2における攪拌ロータ25の攪拌板25aが作用しない部分が生じ、その部位での被処理物Aの密度が高まり、通気が円滑になされない現象も生じ、被処理物Aの発酵反応が均一に行われなくなってしまう。
このような状態において、本発明の主要部材である切り崩し装置17を作用されることにより円滑な作用空気Vの供給を可能とし、被処理物Aの安定的な発酵反応を維持することができる。具体的な操作としては、図に示すようにレバー受端170が収められているシールドケース172の蓋板172aを開放して、レバー受端170を外部から操作できるようにし、そこにシフトレバー171を嵌め込み、足踏みないしは手押しによる操作により前記シャフト17bを回動させ、切り崩し片17cを持ち上げるように作動させ、下層の被処理物Aを切り崩すようにするのである。また攪拌装置2の作動に併せてこの切り崩し片17cを操作することも差し支えない。この場合、処理床11付近に堆積した塊状の被処理物Aは、まず切り崩し片17cによって切り崩されながら持ち上げられ、そして攪拌装置2の攪拌板25aによって、図5に示すよう処理床11付近の塊状の被処理物Aは、前方に押し剥がされる。このため、塊状の被処理物Aの上方にあって充分な発酵のための空気を得られずにいた被処理物Aは、これらが除去されることにより充分な空気を得ることができる。
このような運転を継続しながら前記被処理物Aは順次発酵を進めて希望する発酵状態を得て、処理床11の終端に至り、そこから適宜ショベルドーザあるいは適宜のコンベヤ等によって外部に排出され、搬送されてゆくのである。
なお、この被処理物Aの切り崩し作業は、通気が阻害されている常態でのときに行ったり、あるいは適宜の時間的間隔で繰り返し行うものであり、具体的には作業者が所定の時間ごとに各シャフト17bを操作して行うほか、図示は省略するが機械的にシャフト17bを回動できるようにシャフト17bの一端にアクチュエータを取り付け、タイマーを具えた制御装置により自動で切り崩し装置17を稼動するように制御しても差し支えない。
〔他の実施例〕
本発明は以上述べた実施例を一例とするが、更に次のような改変が考えられる。
(1)処理床態様に関する他の実施例
まず本装置の主要部である切り崩し装置17が設置される処理床11の態様については、前述したようなコンクリート等による槽構造体10に区画された処理床11とするに配置する必要はない。要するに被処理物Aを定置状態に確保できる場所であればよく、例えば単なる平盤状に処理床11を構成し、ここに切り崩し装置17を配置したタイプの発酵装置1としても差し支えない。
また図6に示すように処理部110が槽状であっても平盤状であっても、いずれでも給気エリアEが、千鳥状等に配置される場合において、給気エリアEの近傍に切り崩し装置17を配置することができる。なお図6においては、切り崩し装置17の図示は省略した。
また前述したように切り崩し装置17は、一例として図1や図3に示すように、上述した実施例ではトラフ状の部位である散気トラフ13の内側に取り付けられているが、このほかにも図7(a)に示すように、散気管14などを含まない切り崩し装置17を収めるためだけのトラフ130の内側に対して取り付けることも可能である。
更に図7(b)に示す発酵装置1は、処理床11の表面に切り崩し装置17を取り付けたものであっても差し支えない。
(2)切り崩し片に関する他の実施例
更に前述した本発明の切り崩し装置17のシャフト17bに取り付けられた切り崩し片17cについては、他の形態がとり得る。
まず図3(a)に示すように切り崩し片17cを矩形板状のものとし、これをシャフト17bに形成するにあたり、偏向的に縦配置したものとしてもよい、また図8(a)に示すものは帯状板を「く」の字状に折り曲げて切り崩し片17cを構成し、これを先尖り状にシャフト17bに設けたものである。
また図8(b)に示すものは、切り崩し片17cとして矩形状の薄い板をシャフト17bの長手方向に向けて取り付けたものである。
更にまた、図8(c)に示すものは、切り崩し片17cとしてアングル材をシャフト17bの長手方向に直行する向きで取り付けたものである。
(3)切り崩し装置のシフト構成に関する他の実施例
前述した発酵装置1に取り付けられた切り崩し装置17は、回動自在に支持されているシャフト17bに対して切り崩し片17cが取り付けられて、シャフト17bの回転によって切り崩し片17cが擺動する構造であったが、このほかにも例えば図9に示すように、処理床11に穿設され孔部に対して、油圧シリンダ等が収められており、そのシリンダの一端に切り崩し片17cを取り付けたものを用いることもできる。
本発明の発酵装置の構成を示す斜視図と、その一部である散気トラフ内部の構成を示した断面図である。 本発明の発酵装置を構成する槽構造体と攪拌装置との関係を示した断面図である。 本発明の発酵装置を構成する散気トラフの構造を示す斜視図と、断面図である。 散気トラフの配置状態を示す断面図である。 本発明にかかる発酵装置を構成する攪拌装置を表す側面図である。 散気トラフよる給気エリアの種々の形態を示す平面図である。 本発明の発酵装置を構成する切り崩し装置の設置態様を示した断面図である。 本発明の切り崩し装置に取り付けられる種々の切り崩し片を示した斜視図である。 油圧シリンダ等を用いたタイプの切り崩し装置を示した側面図である。
1 発酵装置
2 攪拌装置
3 建屋
10 槽構造体
11 処理床
110 処理部
110A 処理部
110B 処理部
12 側壁
12A 側壁
12B 側壁
12C 仕切側壁
13 散気トラフ
14 散気管
14a 散気孔
15 導入管
15a 短導入管
15b 長導入管
16 排水管
16a 捕集部
160 排水外部配管
161 排水ピット
162 フロート弁
17 切り崩し装置
17a 軸受
17b シャフト
17c 切り崩し片
170 レバー受端
171 シフトレバー
172 シールドケース
172a 蓋板
18 作用空気供給装置
180 外部空気配管
181 ブロワ
182 ヒータ
183 エアコック
19 水供給装置
190 配水基管
191 配水支管
192 導水コック
20 走行台車
20a 走行輪
20b 規制輪
21 横行フレーム
21a 横行輪
21b サブフレーム
21c ピボット軸
23 揺動アーム
24 上シリンダ
25 攪拌ロータ
25a 攪拌板
25b 支持杆
A 被処理物
C コーキング
E 給気エリア
L 処理水
M ロータ駆動モータ
S 割栗石
V 作用空気

Claims (5)

  1. 処理部を形成する処理床上に被処理物を適宜時間堆積貯留し、処理床側から作用空気を供給し、被処理物の発酵を促す装置において、前記処理床には、被処理物の一部を持ち上げる動作をする切り崩し装置を具えたことを特徴とする反応安定化を図った発酵装置。
  2. 前記切り崩し装置は、回動軸に対し切り崩し片が取り付けられ、回動軸の回動に伴い切り崩し片が上方に回動して、被処理物の一部を持ち上げることを特徴とする前記請求項1記載の反応安定化を図った発酵装置。
  3. 前記切り崩し装置は、処理床の一部が溝状に凹陥するように形成された部位に、収納されるような状態に設けられていることを特徴とする前記請求項1または2記載の反応安定化を図った発酵装置。
  4. 前記切り崩し装置は、作用空気の供給がその近傍で行われていることを特徴とする前記請求項1、2または3記載の反応安定化を図った発酵装置。
  5. 前記請求項1から4のいずれかに記載の反応安定化を図った発酵装置を用いて有機廃棄物等の被処理物を処理するにあたっては、適宜時間ごとに切り崩し片を持ち上げて被処理物の一部を切り崩すことを特徴とする反応安定化を図った発酵装置の管理方法。
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