JP4030012B2 - 汚染土壌浄化処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、汚染土壌の浄化処理技術に関する。より詳細には、本発明は、石油会社の施設、精油所、ガソリンスタンドの跡地や、産業施設跡地等の現地浄化の様に、汚染土壌を掘削する作業を伴う場合における浄化処理技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
重質油等で汚染された土壌の浄化処理に際しては、当該汚染された土壌を掘削しなければならない場合がある。例えば、石油会社の施設、精油所、ガソリンスタンドの跡地や、産業施設跡地等の現地浄化がこれに相当する。
【0003】
重質油で汚染された土壌を加熱処理で浄化する場合、高温で加熱すると、油分の燃焼分解と同時に、土壌そのものの土壌としての成分が変成・変質する可能性があり、浄化処理後の土壌を再利用して埋戻土としてリサイクルできない可能性がある。
このような問題に対応するために、低温で加熱する低温加熱浄化処理が浄化処理後に埋戻土としてリサイクル利用するうえで好適であり、ダスト再加熱式残留式油分除去方法(特願2001-278530号)等が本出願人によって提案されている。
【0004】
低温加熱浄化処理を含む汚染土壌の加熱処理技術は、閉鎖系である処理施設で実行され、処理施設に供給される汚染土壌(処理するべき汚染土壌)中の水分の除去程度が、処理施設中の加熱炉の燃費に多大な影響を与える。
すなわち、処理するべき汚染土壌中の水分を、どの程度まで前処理段階において除去することが出来るかにより、汚染土壌の低温加熱処理全体のコストが左右される。
【0005】
降雨・積雪等の荒天時には、掘削された汚染土壌が処理施設に供給されるまでの間に大量の水分を吸収している。大量の水分を吸収した汚染土壌をそのまま低温加熱処理するとコストが非常に高くなるため、処理を中止して、乾燥させるプロセスが必要になる。
降雨・積雪等の荒天時であっても掘削を伴う汚染土壌の現地浄化を継続して実行することが望まれているが、係る事情により、荒天時には浄化処理を行えないのが現状である。
【0006】
低温加熱処理自体は、汚染土壌の供給から処理済土壌の排出まで閉鎖系(クローズドサーキット)で実行されるが、掘削を伴う汚染土壌の浄化処理については、クローズドサーキットで実行されるにも拘らず、汚染土壌の前処理プロセスでの含水状態に依存するため作業の可否が天候に依存するのが実情である。
掘削を伴う汚染土壌の浄化処理をどの様な天候でも実行したいという要請はあるものの、従来、そのような要請に応えることが出来る技術は確立していなかった。
【0007】
一方、汚染物質の分解処理を微生物を利用して行う技術が知られており、汚染土壌を閉鎖系である加熱処理施設に投入する以前の前処理段階で、油分の様な汚染物質を、微生物を利用して分解処理することが出来れば、汚染土壌浄化処理が非常に効率的に行われることが予想される。
しかし、微生物を用いて汚染物質を効率良く分解処理するためには、一定以上の温度が必要であり、従来の掘削作業を伴う汚染物質の現地処理施設では、微生物の作用を活性化させるための保温設備、或いは加温設備を別途用意することがコスト面、用地調達面で困難であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、降雨・積雪等の荒天時であってもコストの高騰を招くこと無く浄化処理を実行することが出来て、しかも、微生物を利用した汚染物質の分解処理を活性化することが可能な汚染土壌浄化処理装置の提供を目的としている。
【0009】
【発明を解決するための手段】
本発明の汚染土壌浄化処理装置によれば、掘削現場からの異物や大きな塊を除去した汚染土壌(M)を通常の天候時に運搬する天日乾燥領域(3)と前記汚染土壌(M)を荒天時に搬入する人工乾燥ハウス(2)とを備え、前記天日乾燥領域(3)で天日乾燥され水分を除かれた汚染土壌(M)が搬送されて排出側に定量切出し装置(41a)を有するホッパ本体(41)のある屋根付ホッパ(4)を備え、そのホッパ本体(41)には前記人工乾燥ハウス(2)からの屋根付のベルトコンベア(5)が配置され、前記ホッパ本体(41)の排出側には加熱浄化装置(1)の乾燥用回転ドラム(11)に接続される別の屋根付きのベルトコンベア(5)が配置され、前記加熱装置(1)の脱臭炉(12)から前記人工乾燥ハウス(2)に排気ガスを送る排気ガスライン(6)を具備している。
【0010】
係る構成を具備する本発明によれば、加熱浄化装置(1)(の脱臭炉12)の排気ガスを、排気ガスライン6を介して前処理手段(人工乾燥ハウス及び/又はバイオハウス2)へ供給することにより、当該排気ガスが保有する熱量により、前処理手段(の人工乾燥ハウスとして作用する区画2)に搬入された汚染土壌(産業施設跡地7などから掘削された汚染土壌)Mを乾燥して、その含水率を低減させる事が出来る。
その結果、降雨・積雪等の荒天時に掘削された汚染土壌Mであっても、加熱浄化装置(1)(の脱臭炉12)へ供給される際には含水率が低下して、加熱浄化装置(1)(の脱臭炉12))の燃費を向上して、汚染土壌の浄化コストを低減させる事が可能となる。
従って本発明によれば、降雨・積雪等の荒天時であっても、コストの高騰を招くこと無く浄化処理を実行することが出来て、天候に拘らず浄化処理を行うことが出来るのである。
【0011】
また本発明の汚染土壌の浄化処理装置によれば、加熱浄化装置(1)(の脱臭炉12)の排気ガスを、排気ガスライン6を介して前処理手段(人工乾燥ハウス及び/又はバイオハウス2)へ供給することにより、当該排気ガスが保有する熱量により、前処理手段(におけるバイオハウスとして作用する区画2)の温度を一定以上に保温・加温することが出来るので、前処理手段(のバイオハウスとして作用する区画2)に搬入された汚染土壌(産業施設跡地などから掘削された汚染土壌M)に含まれる汚染物質に対して微生物が生物学的な作用を及ぼして、当該汚染物質を分解する事が出来る。
ここで、排気ガスは加熱浄化装置(1)(の脱臭炉12)を作動させることにより発生するものであるため、微生物を活性化するための保温・加温施設を別途設けること無く、微生物を利用した汚染物質分解処理施設(バイオハウス2)を効率的に作動させることが出来る。そして、微生物により汚染物質が分解処理される結果、汚染土壌の浄化処理の効率が向上する。
【0012】
本発明の実施に際して、前記前処理手段(人工乾燥ハウス及び/又はバイオハウス2)は、その床面(24、25)を2重にして当該2重の床面(24、25)間に中空領域(20)を形成し、中空領域(20)には前記排気ガスライン(6)が連通していると共に、保温性を有する材料(27)が充填されているのが好ましい。
ここで、前記床面(24)及び床面の支持部材(26)(例えば、鋼板製)は、構造部材として搬入された汚染土壌(M)を支持する事が出来るだけの強度を有しており、前記保温性を有する材料(27)は汚染土壌(M)の重量を負荷することが無いように構成されているのが好ましい。
また、前記前処理手段(2)における微生物による処理を行う区画(バイオハウス2)には、散水手段(31)を設けるのが好ましい。微生物を活性化するのに、一定以上の湿度が必要となる場合に対処するためである。
【0013】
この様に構成すれば、前記前処理手段(人工乾燥ハウス及び/又はバイオハウス2)に貯留された汚染土壌(M)は、前記2重の床面(24、25)間の中空領域(20)に流入する排気ガスが保有する熱量により、下方から満遍なく保温・加温される。
そして、前記中空領域(20)に保温性を有する材料(27)を充填することにより、流入する排気ガスが中空領域(20)に長時間滞在し、その保有する熱量が確実に中空領域(20)内(或いは保温性を有する材料27)に投入される。そして、保温性のある材料(27)が中空領域(20)内に充填された結果、前記中空領域(20)から、上方の汚染土壌(M)に対して、長時間に亘って熱量が投入されるのである。
【0014】
ここで、前記保温性のある材料(27)は、長時間に亘って熱量を保持出来る様な材料であれば良い。そして、上述した通り、汚染土壌(M)の重量は構造部材である床(24)及び支持部材(26)が負荷するので、保温性のある材料(27)には強度は不要である。
また、高温ガスの流通のため通気性が必要である。但し、通気性が良過ぎてもよろしくない(交換ガスの熱量を保温性材料27に投入する以前に、排気ガスが通過してしまうから)。高温ガスが保有する熱量を、確実に、保温材(27)に投入出来る程度の通気性があればよい。
【0015】
本発明の実施に際して、掘削された汚染土壌を一時的に貯留する領域(天日乾燥領域及び/又はバイオフォーミング領域3)が設けられており、当該領域(3)は全体が傾斜(36)しており、低い方の縁部(31)に集水ピット(32)を形成しているのが好ましい。
【0016】
その様に構成すれば、係る領域に産業施設跡地等(7)から掘削された汚染土壌(M)を貯留すると、貯留された汚染土壌(M)は天日乾燥されて含水率が低減する。
それと共に、汚染土壌(M)自体の自重により、下方領域に含有される水分が土壌外に押し出され、当該領域の傾斜(36)に沿って、低い方の縁部(31)に形成された集水ピット(32)に集水されて、然るべく排水される。これにより、汚染土壌(M)の前処理とて、含水率が低減されるのである。
また、汚染土壌(M)が一時的に貯留される間に、微生物により、汚染物質の分解が進行するという作用も奏する。
【0017】
換言すれば、上述の領域(3)は、好天時において汚染土壌(M)の前処理を行う手段として機能するのである。
そして、天候の良い場合(降雨・積雪が無く、掘削された汚染土壌がさらに水を吸収してしまう恐れが無い場合)には、上述した傾斜した領域(3)へ掘削された汚染土壌(M)を貯留し、荒天時(降雨・積雪により、掘削された汚染土壌Mがさらに水を吸収してしまう恐れがある場合)には、掘削された土壌(M)を前記前処理手段(人工乾燥ハウス及び/又はバイオハウス2)内に貯留するのが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0019】
図1〜図11を参照して、第1実施形態を説明する。
図1において、汚染土壌浄化装置は、中核となる加熱浄化装置1と、前処理手段である人工乾燥ハウス及び/又はバイオハウス2と、天日乾燥領域及び/又はバイオファーミング領域3と、屋根つきホッパ4と、その屋根つきホッパ4と前処理手段(人工乾燥ハウス及び/又はバイオハウス)2及び前記加熱浄化装置(の乾燥用回転ドラム11)1とを接続するベルトコンベア5と、前記加熱浄化装置(脱臭炉12)1と前記前処理手段(人工乾燥ハウス及び/又はバイオハウス)2とを接続し低温加熱浄化装置(脱臭炉12)1で生じた排気ガスを前処理手段(人工乾燥ハウス及び/又はバイオハウス)2に搬送するための排気ガスライン6と、によって構成されている。
【0020】
なお、図1において符号7は施工するべき汚染土壌の掘削現場を、符号8は掘削及び異物篩分けを行う作業用車両を、符号9は土壌搬送用トラックを、符合Mは処理対象の汚染土壌を示す。
【0021】
前記加熱浄化装置1は、乾燥用回転ドラム11と脱臭炉12と冷却用回転ドラム13と浄化土サイロ14と乾燥ガス排出装置15とを有している。
【0022】
前処理手段である人工乾燥ハウス及び/又はバイオハウス2は、前述のように低温加熱浄化装置1の脱臭炉12から排気ガスを送り込まれることにより、排気ガスが保有する熱量により、前処理手段(におけるバイオハウスとして作用する区画)2の温度を一定以上に保温・加温することが出来る。
したがって、前処理手段(のバイオハウスとして作用する区画)2に搬入された汚染土壌(産業施設跡地などから掘削された汚染土壌)Mに含まれる汚染物質に対して微生物が生物学的な作用を及ぼして、汚染物質を分解する事が出来る。
ここで、排気ガスは加熱浄化装置1の脱臭炉12を作動させることにより発生するものであるため、微生物を活性化するための保温・加温施設を別途設けること無く、微生物を利用した汚染物質分解処理施設(バイオハウス)を効率的に作動させることが出来る。そして、微生物により汚染物質が分解処理される結果、汚染土壌の浄化処理の効率が向上する。
【0023】
前処理手段(人工乾燥ハウス及び/又はバイオハウス)2の構造を図3〜図5を参照して、更に詳しく説明する。
図3において、前処理手段2は、基礎21に立脚し、四辺を包囲するように設けられた壁部材22と、その壁部材の上縁部を塞ぐように設けられた屋根部材23とを有している。
【0024】
図示において左右の基礎21の上面を橋渡し、且つ左右の壁部材22に当接するように第1の床部材24が設けられ、第1の床部材24から所定の高さだけ離れた上方位置に第2の床部材25(排気余熱保温床)が左右の壁部材22に当接するように設けられている。
尚第1の床部材24は断熱性の高い材料とし、第2の床部材25は熱伝導率の高い鋼板製とすることが好ましい。
【0025】
前記第1の床部材24と第2の床部材25と左右の壁部材22とで形成される空間20は、第2の床部材25の支持部材としての機能を有する複数の隔壁26によって横方向に等分に区画されている。そして、この区画された空間20aには、保温を目的として例えば割栗石27が空間いっぱいに満たされている。
なお、保温を目的とした材料は、割栗石27のみにあらず、長時間にわたって熱量を保持出来るような材料であればよいが、供給する排気ガスを空間20全域に到達させるためにも、各保温材料間には「適度な空隙」が形成されるものが好ましい。
ここで「適度な空隙」とは、排気ガスの熱量が保温材料に十分熱量を与えられるような排気ガスの流過速度となるような空隙である。
【0026】
前記隔壁26には、図4に示すように排気ガスが隣の領域(隔壁同士で囲まれた領域)に流通するためと、軽量化とを兼ねた通風孔26aが形成されている。
【0027】
前処理手段(人工乾燥ハウス及び/又はバイオハウス)2における微生物による処理を行う区画(バイオハウス)には、微生物の活性化に一定以上の湿度が必要となる場合に対処するために、散水手段31を設けている。
【0028】
図5は、第1と第2の床部材24、25の間における水平断面図であり、図示の左方の壁部材22を貫通するように前記排気ガスライン6の開放端6aが挿入され、前記加熱浄化装置の脱臭炉から排出された排気ガスが前処理手段(人工乾燥ハウス及び/又はバイオハウス)2内に供給可能に構成されている。
また、図5(図3をも参照)の右方の壁部材22の近傍には排気塔30が垂直に配置されており、前処理手段(人工乾燥ハウス及び/又はバイオハウス)2内を暖めた排気ガスはその排気塔30から室外に排出される。
【0029】
ここで、排気ガスの室内(空間)20、20aへの流入方向は、隔壁26と平行であることがガスの流通を円滑にする上で肝要なことであり、排気ガスを空間20全域に行き亙らせるために、排気塔30はガスライン6の開放端6aと反対側の壁部材側に配置されることが好ましい。
【0030】
図3を再び参照して、前記壁部材22には、排気ダクト28が壁を貫通するように設けられており、室内の排気を、排気ダクト28を介して外部に設置された活性炭吸着槽29に導き、活性炭吸着槽29内の図示しない活性炭を通過させることによって、排気に含まれる有害物質を除去した上で大気に排出されるように構成されている。
【0031】
なお、図6に示すように、排気ガスライン6は、第1の床部材と第2の床部材の間の割栗石27で満たされた空間20を貫通し、その空間20領域では、排気ガスライン6には排気ガスライン6に直交するように複数の分岐管6bが設けられ、その分岐管6bの末端まで排気ガスが届くように構成することも出来る。
或いは、分岐管の部分は中空の板状体で、第1の床部材と第2の床部材の双方に当接する高さ寸法を有し、図3〜図5で示した前述の隔壁26のように第2の床材の上部の荷重を支えるように構成することも出来る。
【0032】
次に、図7〜図9を参照して、汚染土壌一次貯留領域(天日乾燥領域及び/又はバイオファーミング領域;以降、傾斜式天日乾燥床と言う)3について説明する。
当該汚染土壌浄化装置のエリア内には、図7で構造を立体的に示す、掘削された汚染土壌Mを一時的に貯留する傾斜式天日乾燥床3が設けられている。
【0033】
この傾斜式天日乾燥床3は床全体が傾斜しており、地表よりも下方に位置する低い方の縁部31には集水ピット32が形成されている。
【0034】
その集水ピット32の底部32aには回収用の水ポンプ33が設置されており、その水ポンプ33は地表Gに設けた集水層34に配水管35で接続されている。
なお、図7、及び図8では明確に描かれてはいないが、傾斜面36の両側縁部には傾斜面36の全長に亙って堤部37が形成されていることが水を領域外に漏らさぬ上で好ましい(図9参照)。
また、傾斜面36を含む領域には、遮水シート3Sを敷き、水分(汚水)の漏洩を防止している。
そのように構成されることによって、当該領域(傾斜面)36に堆積した処理対象の汚染土壌Mに含まれる水分は水分自身の重さで当該傾斜斜面36に到達した後、斜面36に沿って低い方の縁部31に一旦流入し、その後集水ピット32に集められる。集水ピット32に集められた水は、排水用の水ポンプ33によって配水管35を介して集水層34に集められる。
【0035】
集水層34に集められた水は、有害物質で汚染されているので、図示しない例えば、汚染水無害化処理設備に搬送された後、その汚染水無害化処理設備において無害化処理され、無害化された水は河川に放水、或いは再利用される。
【0036】
図10及び図11を参照して、前記屋根付ポッパ4及び屋根付ベルトコンベア5について詳細に説明する。
図10において、屋根付ポッパ4は排出側に定量切出し装置41aを有するホッパ41本体と、そのポッパ本体41の上部を覆う屋根部材42と、その屋根部材42を支える複数の支柱43と、で構成されている。
【0037】
前記ホッパ本体41の開口部41bには図示の右方(前記前処理手段である人工乾燥ハウス及び/又はバイオハウス2側)から上り勾配をもって屋根付のベルトコンベア5が配置されている。
また、ホッパ本体41の排出側には図示の左方の加熱浄化装置1(の乾燥用回転ドラム11)に接続するように、上り勾配をもって延在する屋根付のベルトコンベア5が配置されている。
【0038】
前記ベルトコンベア5は、図11に示すように、溝状体51の上方開口部を屋根部材52によって覆われている。
その溝状体51の溝内には、中央が下がるように傾斜して配置された左右対のローラ53が溝の長手方向に一定間隔を持って設けられている。そして、その左右対のローラ53の上部にはベルトコンベア本体54が移動可能に載置されている。
そのようにベルトコンベア本体54は四方を囲われた状態であり、そのベルトコンベアで搬送される処理対象土壌Mは雨水の影響は受けない。
【0039】
次に図2及び図1をも参照して、汚染土壌浄化処理の流れを説明する。
ステップS1において、施工するべき掘削現場7において作業用車両8によって汚染土壌Mを掘削し、次のステップS2において同じく作業用車両8により混合異物を篩い分けする。
【0040】
次のステップS3では、異物や大きな塊を除去した汚染土壌Mを運搬用トラック9で篩い分けして、以下の場所に運搬する。即ち、当日の天候が通常の天候か、或いは荒天かによって運搬先及び処理ルートが異なる。
【0041】
通常の天候であれば処理ルートはステップS5以降を辿り、荒天であればステップS8以降を辿る。
【0042】
ステップS5では傾斜式天日乾燥床3へ汚染土壌Mを搬入し、土壌を天日乾燥させる(ステップS6)。ここでは、汚染土壌に含まれる水分は水分自身の重さで傾斜式天日乾燥床3の傾斜斜面36に到達した後、傾斜面36に沿って低い方の縁部31に一旦流入し、その後集水ピット32に集められる。
一方、水分が抜け天日によって半乾燥状態になった汚染土壌Mを傾斜式天日乾燥床3からトラック9によって搬出して低温加熱浄化装置1(ステップS13以降)に搬出する。
なお、傾斜式天日乾燥床3での処理の一部として、微生物を汚染土壌に移植して汚染土壌中の例えば油成分等を分解するようにしてもよい。
【0043】
荒天の場合には(ステップS8で)、掘削した汚染土壌Mを加熱浄化装置(DS装置)からの排気ガス(乾燥ガス)を用いる人工乾燥床(人工乾燥ハウス及び/又はバイオハウス)2へトラック9によって搬入する。
次のステップS9では、加熱浄化装置1からの乾燥ガスによって汚染土壌Mを半乾燥状態に乾燥させるとともに、微生物によって汚染土壌中の例えば油成分等を分解させる。
【0044】
次のステップS10では、半乾燥状態の汚染土壌を屋根付ベルトコンベア5で屋根付ホッパ4へ搬出し、ホッパ本体41内に投入する(ステップS11)。
【0045】
次のステップS12では、ホッパ41内から一定量の汚染土壌を定量切り出し装置41aで量り、その一定量の汚染土壌が低温加熱浄化装置1側に通じる屋根付ベルトコンベア5で搬出され、加熱浄化装置1の例えば乾燥用回転ドラム11に投入され、以降、公知の装置及び方法により浄化処理が行われる。
【0046】
一方、加熱浄化装置1では、乾燥用に燃料を燃焼させており、燃焼時に乾燥ガスが発生し、その乾燥ガスを前述のように人工乾燥床2へ送り込む(ステップS14)。
【0047】
加熱浄化処理(DS処理)が完了した後、浄化(済み)土壌をトラック9によって汚染土壌が掘削された跡地7へ搬送して、浄化済みの浄化土壌で埋め戻して(ステップS16)、土壌のリサイクル利用を行うことによって浄化処理全体が完了する。
【0048】
上述したような装置及び方法の第1実施形態によれば、加熱浄化装置1(の脱臭炉12)の排気ガスを、排気ガスライン6を介して人工乾燥ハウス及び/又はバイオハウス2へ供給することにより、当該排気ガスが保有する熱量により、人工乾燥ハウス及び/又はバイオハウス2の人工乾燥ハウスとして作用する区画に搬入された汚染土壌(産業施設跡地などから掘削された汚染土壌M)を乾燥して、その含水率を低減させる事が出来る。
その結果、降雨・積雪等の荒天時に掘削された汚染土壌Mであっても、加熱浄化装置1(の脱臭炉12)へ供給される際には含水率が低下して、加熱浄化装置1(の脱臭炉12)の燃費を向上して、汚染土壌の浄化コストを低減させる事が可能となる。
従って第1実施形態によれば、降雨・積雪等の荒天時であっても、コストの高騰を招くこと無く浄化処理を実行することが出来る。
【0049】
また加熱浄化装置1(の脱臭炉12)の排気ガスを、排気ガスライン6を介して人工乾燥ハウス及び/又はバイオハウス2へ供給することにより、当該排気ガスが保有する熱量により、人工乾燥ハウス及び/又はバイオハウス2におけるバイオハウスとして作用する区画の温度を一定以上に保温・加温することが出来るので、搬入された汚染土壌(産業施設跡地などから掘削された汚染土壌)Mに含まれる汚染物質に対して微生物が生物学的な作用を及ぼして、当該汚染物質を分解する事が出来る。
ここで、排気ガスは加熱浄化装置1(の脱臭炉12)を作動させることにより発生するものであるため、微生物を活性化するための保温・加温施設を別途設けること無く、微生物を利用した汚染物質分解処理施設(バイオハウス)2を効率的に作動させることが出来る。そして、微生物により汚染物質が分解処理される結果、汚染土壌の浄化処理の効率が向上する。
【0050】
また、第1実施形態は、全体が傾斜した傾斜式天日乾燥床(天日乾燥領域及び/又はバイオフォーミング領域)3が設けられており、その傾斜式天日乾燥床3に産業施設跡地等7から掘削された汚染土壌Mを貯留すると、貯留された汚染土壌Mは天日乾燥されて含水率が低減する。
それと共に、汚染土壌M自体の自重により、汚染土壌Mに含まれる水分が土壌外に押し出され、当該領域の傾斜に沿って、低い方の縁部に形成された集水ピットに集水されて、然るべく排水される。このような作用によって、たとえ汚染土壌の前処理であっても、含水率が低減される。
また、汚染土壌が一時的に貯留される間に、微生物により、汚染物質の分解が進行するという作用も奏する。
【0051】
図1〜図11の第1実施形態では、乾燥処理とバイオ処理とがそれぞれ独立して並列に行われるが、乾燥処理の後にバイオ処理を行っても良いし、バイオ処理の後に乾燥処理を行っても良い。
【0052】
そこで、バイオ処理の後に乾燥処理を行うように配置したのが第2実施形態(図12)である。
図12を参照して、第2実施形態を説明する。
図12において、棟続きで上流側から下流側に向かってバイオ処理を行うバイオハウス2Aと乾燥処理を行う人工乾燥ハウス2Bが配置されている。
【0053】
加熱浄化装置1(の脱臭炉12)から供給される排気ガスライン6は、例えば人工乾燥ハウス2B側から供給し、バイオハウス側から排出30してもよいし、図示はしないが、並列に人工乾燥ハウス2B側と、バイオハウス側の双方に供給して、人工乾燥ハウス2B側と、バイオハウス側の双方から排出してもよい。
【0054】
処理に際しては、トラック9によって汚染土壌Mがバイオハウス2A側に搬入される。所定時間かけて微生物の分解によって特定の汚染物質が分解される。
所定時間経過した汚染土壌は、図示しない例えばベルトコンベアのような搬送手段によって、バイオハウス2Aから人工乾燥ハウス2B側に搬入され、人工乾燥ハウス2Bで半乾燥状態になるまで乾燥させられる。処理された汚染土壌は加熱浄化装置1に、図1〜図11の第1実施形態と同様の手段、方法によって搬入される。
第2実施形態におけるその他の構成及び作用効果については、図1〜図11の第1実施形態と同様であり、以降の説明は省略する。
【0055】
乾燥処理の後に、処理土を冷却して微生物を投入し、バイオ処理を行うように配置したのが第3実施形態(図13)である。
図13の第3実施形態は、図12の第2実施形態とバイオハウス2Aと人工乾燥ハウス2Bの配置順序を逆にしたのみで、その他の構成及び効果は図12の第2実施形態及び図1〜図11の第1実施形態と同様である。
【0056】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない旨を付記する。
【0057】
【発明の効果】
本発明の汚染土壌浄化処理装置の効果を、以下に列挙する。
(1) 加熱浄化装置の排気ガスを、排気ガスラインを介して前処理手段へ供給することにより、当該排気ガスが保有する熱量により、前処理手段に搬入された汚染土壌を乾燥して、その含水率を低減させる事が出来る。
(2) 汚染土壌中の含水率を低減させることが出来る結果、降雨・積雪等の荒天時に掘削された汚染土壌であっても、加熱浄化装置へ供給される際には含水率が低下して、加熱浄化装置の燃費を向上して、汚染土壌の浄化コストを低減させる事が可能となる。
(3) 加熱浄化装置の排気ガスを、排気ガスラインを介して前処理手段へ供給することにより、当該排気ガスが保有する熱量により、前処理手段の温度を一定以上に保温・加温することが出来、前処理手段に搬入された汚染土壌に含まれる汚染物質に対して微生物が生物学的な作用を及ぼして、当該汚染物質を分解する事が出来る。
(4) 排気ガスを利用するため、微生物を活性化するための保温・加温施設を別途設ける必要がない。
(5) 前処理手段の2重の床面間の中空領域に排気ガスラインを連通させると共に、保温性を有する材料を充填しているので、流入する排気ガスが中空領域に長時間滞在し、その保有する熱量が確実に中空領域内、或いは保温性を有する材料に投入される。そして、中空領域から、上方の汚染土壌に対して、長時間に亘って熱量が投入される。
したがって、効率よく且つ効果的に汚染物質を乾燥することが出来る。
また、微生物によって特定の汚染物質を効果的に分解出来る。
(6) 全体が傾斜した傾斜式天日乾燥床によって、汚染土壌中に含まれる水分が効率よく集水ピットに集められ排水される。この作用によって汚染土壌中の含水率は相当量低減される。
(7) また、汚染土壌が傾斜式天日乾燥床に一時的に貯留される間に、微生物により、汚染物質の分解が進行する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の全体構成図。
【図2】第1実施形態の処理手順を示すフローチャート。
【図3】第1実施形態で用いられる人工乾燥ハウス及び/又はバイオハウスを示す断面図。
【図4】人工乾燥ハウス及び/又はバイオハウスの中空部を詳細に示した斜視図。
【図5】人工乾燥ハウス及び/又はバイオハウスの中空部の水平断面図。
【図6】人工乾燥ハウス及び/又はバイオハウスの中空部の他の例の水平断面図。
【図7】第1実施形態で用いられる乾燥床及びバイオファームを示す斜視図。
【図8】図7に対応する平面図。
【図9】図7に対応する側断面図。
【図10】第1実施形態で用いられる搬送システムを示す側面図。
【図11】図10のX−X断面矢視図。
【図12】第2実施形態の人工乾燥ハウスとバイオハウスの配置関係を示す斜視図。
【図13】第3実施形態の人工乾燥ハウスとバイオハウスの配置関係を示す斜視図。
【符号の説明】
1・・・加熱浄化装置
2・・・人工乾燥ハウス及び/又はバイオハウス
3・・・傾斜式天日乾燥床
4・・・屋根付ホッパ
5・・・屋根付ベルトコンベア冷却用回転ドラム
6・・・排気ガスライン
7・・・汚染土壌の掘削現場(跡地)
8・・・作業用車両
9・・・搬送用トラック
11・・・乾燥用回転ドラム
12・・・脱臭炉
20・・・空間
24・・・第1の床部材
25・・・第2の床部材
27・・・割栗石
M・・・汚染土壌
Claims (3)
- 掘削現場からの異物や大きな塊を除去した汚染土壌(M)を通常の天候時に運搬する天日乾燥領域(3)と前記汚染土壌(M)を荒天時に搬入する人工乾燥ハウス(2)とを備え、前記天日乾燥領域(3)で天日乾燥され水分を除かれた汚染土壌(M)が搬送されて排出側に定量切出し装置(41a)を有するホッパ本体(41)のある屋根付ホッパ(4)を備え、そのホッパ本体(41)には前記人工乾燥ハウス(2)からの屋根付のベルトコンベア(5)が配置され、前記ホッパ本体(41)の排出側には加熱浄化装置(1)の乾燥用回転ドラム(11)に接続される別の屋根付きのベルトコンベア(5)が配置され、前記加熱装置(1)の脱臭炉(12)から前記人工乾燥ハウス(2)に排気ガスを送る排気ガスライン(6)を具備することを特徴とする汚染土壌浄化処理装置。
- 前記人工乾燥ハウス(2)が棟続きで上流側から下流側に向ってバイオ処理を行うバイオハウス(2A)と乾燥処理を行う人工乾燥ハウス(2B)により成る請求項1記載の汚染土壌浄化処理装置。
- 前記人工乾燥ハウス(2)が棟続きで上流側から下流側に向って乾燥処理を行う人工乾燥ハウス(2B)とバイオ処理を行うバイオハウス(2A)とより成る請求項1記載の汚染土壌浄化処理装置。
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