JP2010234271A - 有機性資材の乾燥及び保管方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高含水の有機性資材をバイオマス資源として利用、活用するため、乾燥と保管を同じ場所で行うことで省スペース化を図る。
【解決手段】有機性資材2を適当な層厚で敷設して乾燥させた後、この有機性資材2の上に遮水シート3を敷設し、この遮水シート3の上に未乾燥の有機性資材2を適当な層厚で敷設するといった工程を繰り返すことによって、有機性資材2,2,・・・と遮水シート3,3,・・・を交互に積層する。このため、有機性資材2,2,・・・の乾燥と、乾燥した有機性資材2,2,・・・の保管が同じ場所で行われ、少ない用地で効率良くバイオマス資源を得ることができる。
【選択図】図10

Description

本発明は、高含水の有機性資材をバイオマス資源として有効に利用・活用するために効率よく乾燥して保管する技術に関するものである。
近年、地球温暖化対策や廃棄物の減量化を目的として、生ごみや下水汚泥等の有機性資材を肥料やエネルギーに変換し、資源として循環利用することの重要性が高まっている。間伐材、剪定枝、稲わら、アオサなどの植物由来の資材も、その有効利用が求められている有機性資材のひとつである。
植物由来の資材の中には、沈水植物のように、含水率が高く繁茂の季節変動の大きい有機性資材もあり、バイオマス資源として利用するには脱水及び乾燥が必要である。これらの資材は脱水・乾燥することによって減量化されるため輸送や保管効率が高まるだけでなく、有機物の腐敗を防ぎ、バイオマス資源としての価値を高めることができる。
有機性資材の中でも含水率が高いもののひとつである沈水植物は、水中に自生する植物であるが、かつてはその成分組成から有用な緑肥として湖沼周辺の農家に利用されていた。しかし現在では、居住地域の拡大により湖沼周辺の農地や農家敷地が減少してしまい、天日乾燥用の敷地面積が確保しにくいことや、化成肥料の普及によって、農家が緑肥製造のために自発的に沈水植物の回収、乾燥、保管を行うことがなくなり、かつてのような労力をかけた天日乾燥を行うことが難しくなっている。
一方、オオカナダモのような外来種の沈水植物が大量に繁茂して、湖沼において船舶の航行障害や景観阻害の問題を引き起こしている事例もみられる。このような地域においては、植物の刈り取り除去が行われるが、回収された植物体は限られた用地に野積みにされて保管されることが多い。野積みにされた沈水植物は雨水による再浸潤や通気性の悪さから乾燥速度が遅く、このため腐敗が進み、バイオマス資源としての価値も下がり、利用、活用をより難しくしている。
従来、省力化を図りながら有機性資材を短期間で乾燥させる手法としては、遠赤外線などを利用した加熱乾燥や、農業用ハウスなどの建屋内に資材を搬入し送風することで乾燥する手法が採用されている。しかし、この手法はコストがかかり、エネルギーを大量に必要とするため、対象は農作物や飼料など、付加価値の高いものに限られている。
なお、高含水の有機性資材の天日乾燥技術としては、汚泥を対象とした方法が下記の特許文献に開示されている。
特開2006−239634号公報 特開2001−198600号公報
しかしながらこれらの先行技術は、効果的に排水を行うことによって乾燥速度を向上させる技術であって、乾燥した汚泥は別に移動させ保管しなければならない。このため、乾燥施設のほかに保管場所が必要になるといった問題がある。
また、送風乾燥や加熱乾燥は短期間での乾燥が可能なため、使用する用地は少なくて済むが、装置のイニシャルコスト及びランニングコストが高くなり、かつ乾燥処理対象の有機性資材をエネルギー資源として考える場合、その製造のために大量のエネルギーを消費してしまうことは、大きな問題である。
本発明は、以上のような点に鑑みてなされたものであって、その技術的課題は、高含水の有機性資材をバイオマス資源として利用、活用するため、乾燥と保管を同じ場所で行うことで省スペース化を図りながら、少ない用地で天日乾燥及び保管を行うことを可能とすることにある。
上述した技術的課題を有効に解決するための手段として、請求項1の発明に係る有機性資材の乾燥及び保管方法は、有機性資材を適当な層厚で敷設して乾燥させた後、この有機性資材の上に遮水シートを敷設し、この遮水シートの上に未乾燥の有機性資材を適当な層厚で敷設する工程を繰り返すことによって、前記有機性資材と遮水シートを交互に積層するものである。なお、ここでいう有機性資材とは、緑肥、堆肥、液肥などの肥料として、あるいはメタン発酵、アルコール発酵、燃焼発電などのエネルギーとして利用できるバイオマス資源をさし、例えば生ごみや下水汚泥、畜産糞尿、食品残渣のほか、剪定枝、稲わら等の農業残渣、海藻類、抽水植物、浮葉植物、浮遊植物、沈水植物などの植物由来の資材を総称するものである。
請求項2の発明に係る有機性資材の乾燥及び保管方法は、請求項1に記載の方法において、乾燥を天日乾燥により行うことを特徴とするものである。
請求項3の発明に係る有機性資材の乾燥及び保管方法は、請求項1に記載の方法において、遮水シートが透湿性素材からなるものであることを特徴とするものである。なお、ここでいう透湿性素材は、1000g/m2・24h以上の水蒸気透過度を有するものであることが好ましい。
請求項4の発明に係る有機性資材の乾燥及び保管方法は、請求項1に記載の方法において、遮水シートが生分解性の素材からなるものであることを特徴とするものである。
請求項5の発明に係る有機性資材の乾燥及び保管方法は、請求項1に記載の方法において、最下層の有機性資材を敷設する床が排水床からなることを特徴とするものである。
請求項6の発明に係る有機性資材の乾燥及び保管方法は、請求項1に記載の方法において、最下層の有機性資材を敷設する床が勾配を有することを特徴とするものである。
請求項7の発明に係る有機性資材の乾燥及び保管方法は、請求項1に記載の方法において、乾燥させた有機性資材の上面を、勾配をもつように整形してから遮水シートを敷設することを特徴とするものである。
請求項1の発明に係る有機性資材の乾燥及び保管方法によれば、層状に敷設した有機性資材が乾燥したら、その上に遮水シートを介して未乾燥の有機性資材を層状に敷設して乾燥させるため、有機性資材の乾燥と、乾燥した有機性資材の保管が同じ場所で行われ、少ない用地で効率良くバイオマス資源を得ることができるといった効果が実現できる。
請求項2の発明に係る有機性資材の乾燥及び保管方法によれば、請求項1による効果に加え、送風や加熱等の人工のエネルギーを必要としないため、ランニングコストを低く抑えることができるといった効果が実現できる。
請求項3の発明に係る有機性資材の乾燥及び保管方法によれば、請求項1による効果に加え、有機性資材が、その上に未乾燥の有機性資材を敷設した後も透湿性素材からなる遮水シートを介して継続的に乾燥が行われるので、効率良く乾燥させることができる。
請求項4の発明に係る有機性資材の乾燥及び保管方法によれば、請求項1による効果に加え、遮水シートが経時的に生分解されるため、後で除去する必要がなく、バイオマス資源を肥料やエネルギーとして利用する場合に悪影響も来たさない。
請求項5の発明に係る有機性資材の乾燥及び保管方法によれば、請求項1による効果に加え、最下層の有機性資材から滲出した水の排水性が良く、しかも通気性も向上するので、効率良く乾燥させることができる。
請求項6の発明に係る有機性資材の乾燥及び保管方法によれば、請求項1による効果に加え、有機性資材からの滲出水が、勾配を有する床によって良好に排出されるので、効率良く乾燥させることができる。
請求項7の発明に係る有機性資材の乾燥及び保管方法によれば、請求項1による効果に加え、有機性資材の上面を、勾配をもつように整形することによって、その上に敷設された遮水シートも勾配をもつことになり、遮水シート上に新たに積層された未乾燥の有機性資材からの滲出水が良好に排出されるので、効率良く乾燥させることができる。
本発明に係る有機性資材の乾燥及び保管方法において、排水床を設置した状態を示す説明図である。 本発明に係る有機性資材の乾燥及び保管方法において、排水床の上に第一層目の未乾燥有機性資材を敷設した状態を示す説明図である。 本発明に係る有機性資材の乾燥及び保管方法において、第一層目の有機性資材が乾燥した状態を示す説明図である。 本発明に係る有機性資材の乾燥及び保管方法において、乾燥した第一層目の有機性資材を山形に整形した状態を示す説明図である。 本発明に係る有機性資材の乾燥及び保管方法において、乾燥した第一層目の有機性資材の上面に遮水シートを敷設した状態を示す説明図である。 本発明に係る有機性資材の乾燥及び保管方法において、遮水シート上に第二層目の未乾燥有機性資材を敷設した状態を示す説明図である。 本発明に係る有機性資材の乾燥及び保管方法において、第二層目の有機性資材が乾燥した状態を示す説明図である。 本発明に係る有機性資材の乾燥及び保管方法において、乾燥した第二層目の有機性資材を山形に整形した状態を示す説明図である。 本発明に係る有機性資材の乾燥及び保管方法において、乾燥した第二層目の有機性資材の上面に遮水シートを介して第三層目の未乾燥有機性資材を敷設した状態を示す説明図である。 本発明に係る有機性資材の乾燥及び保管方法において、乾燥した第三層目の有機性資材を山形に整形した状態を示す説明図である。 比較例に係る有機性資材の乾燥及び保管方法による乾燥場所と保管場所との関係を示す説明図である。 本発明に係る有機性資材の乾燥及び保管方法による乾燥場所と保管場所との関係を示す説明図である。 本発明に係る有機性資材の乾燥及び保管方法において、乾燥手法を選定するための試算方法を示すフローチャートである。
以下、本発明に係る有機性資材の乾燥及び保管方法について、図面を参照しながら工程順に説明する。
まず、図1に示されるように、地面GLに排水床1を設置する。この排水床1は、その上に敷設される有機性資材からの滲出水を速やかに排出させるためのもので、例えば砕石、砂、透水性舗装など、透水係数で1.0×10-2以上のもの、あるいはグレーチングやパレットなど、排水性の良好な構造物を用いることができる。また、コンクリートなどの難透水性素材を用いて排水床1を形成する場合は、その上面に適当な勾配を設けることによって排水性を確保する。
なお、この排水床1は、その上に敷設される有機性資材が大雨のときに容易に冠水することのないように、あるいは通気性を確保する観点から、地面GLからの高さhを5cm以上とすることが望ましい。
次に図2に示されるように、排水床1の上に第一層目の未乾燥の有機性資材2を撒き出して敷設し、天日乾燥させる。なお、本発明において乾燥及び保管の対象となる有機性資材は、先に説明したように、例えば生ごみや下水汚泥、畜産糞尿、食品残渣のほか、剪定枝、稲わら等の農業残渣、海藻類、抽水植物、浮葉植物、浮遊植物、沈水植物などが含まれる。
敷設した有機性資材2の撒き出し厚さtと乾燥速度は反比例の関係にあるため、基本的には用地の面積に応じて最薄の厚さを選択することが望ましい。但し、1回の撒き出し厚さtは、10cm以下とする。
有機性資材2に含まれる水分は、天日乾燥によって表面から大気中へ蒸発し、含水率の高い資材である場合は、水分の一部が滲出して落下し、排水床1を介して排水される。このため有機性資材2は、経時的に含水率が低下して行く。図3は、有機性資材2の含水率が低下した状態を、図2と異なるハッチングで示している。
そしてこの第一層目の有機性資材2が、腐敗しにくい10%以下の含水率まで乾燥したら、例えば図4に示されるように、この有機性資材2を排水床1上の中央部に集めて山形をなすように整形してから、図5に示されるように、前記有機性資材2の上を覆うように遮水シート3を敷設する。遮水シート3としては、1000g/m2・24h以上の水蒸気透過度を有する透湿性の生分解性プラスチックなどからなるものが用いられる。すなわちこの遮水シート3は、液体の水の通過は遮断するが水蒸気の透過は許容するものである。
なお、排水床1の上面が適当な勾配を持つものであれば、上述のような有機性資材2の整形作業は不要である。
次に図6に示されるように、遮水シート3の上に、第二層目の未乾燥の有機性資材2を撒き出して敷設する。第二層目の有機性資材2の撒き出し厚さも、第一層目と同程度とすれば良い。
未乾燥の有機性資材2を積み増しすることによって、その重量で第一層目の乾燥した有機性資材2が圧縮され、減容される。
積み増しされた第二層目の有機性資材2に含まれる水分は、天日乾燥によって表面から大気中へ蒸発する。また、この有機性資材2が含水率の高い資材である場合は、水分の一部が滲出して落下するが、その下側には遮水シート3が敷設されているため、滲出水が、乾燥した第一層目の有機性資材2へ浸透してその含水率を上昇させてしまうことはない。しかもこの遮水シート3は、第一層目の有機性資材2の上面に倣って適当な勾配を有するため、第二層目の有機性資材2からの滲出水は、遮水シート3上を低位側へ流れて、更に排水床1を介して排水される。このため図7に示されるように、第二層目の有機性資材2は、経時的に含水率が低下して行く。
そして第二層目の有機性資材2が、所要の含水率(好ましくは10%以下)まで乾燥したら、図8に示されるように、この有機性資材2を遮水シート3上の中央部に集めて山形をなすように整形してから、図9に示されるように、前記有機性資材2の上を覆うように、第一層目の遮水シート3と同材質の遮水シート3を敷設し、その上に第三層目の未乾燥の有機性資材2を撒き出して敷設する。
また、未乾燥の有機性資材2を積み増しすることによって、その重量で第一層目及び第二層目の乾燥した有機性資材2,2が圧縮され、減容される。
そして積み増しされた第三層目の有機性資材2に含まれる水分は、天日乾燥によって表面から大気中へ蒸発する。そしてこの有機性資材2からの滲出水は、適当な勾配を有する遮水シート3上を低位側へ流れて、更に排水床1を介して排水されるので、その下の第二層目の有機性資材2へ浸透してその含水率を上昇させてしまうことはない。このようにして、第三層目の有機性資材2も、経時的に含水率が低下して行く。
図10は乾燥した第三層目の有機性資材2を山形に整形した状態を示しているが、下層の有機性資材の上面が、ある程度の勾配になっている場合は、必ずしもこのような整形作業を行わなくても良い。
このようにして、敷設した有機性資材を乾燥させた後、その上に遮水シートを敷設し、未乾燥の有機性資材を適当な層厚で積み増す工程を繰り返すことによって、有機性資材2,2,・・・と遮水シート3,3,・・・を交互に積層して行く。このため、有機性資材2,2,・・・の乾燥と、乾燥した有機性資材2,2,・・・の保管が同じ場所で行われることになり、少ない用地で効率良くバイオマス資源を得ることができる。
また、各層の有機性資材2,2,・・・の間に介在する遮水シート3,3,・・・は、水蒸気透過度が1000g/m2・24h以上の良好な透湿性を有するものであるため、未乾燥の有機性資材が積み増された後も、その下層の有機性資材の乾燥が前記遮水シートを介して継続される。このため、有機性資材の含水率が10%以下まで低下するのを待たずに、その上に遮水シートを介して未乾燥の有機性資材を積み増すこともでき、これによって処理効率を向上させることができる。
そしてこのような工程によって適当な積層高さまで積み増し乾燥が完了したら、最上層の有機性資材を、遮水シート3,3,・・・と同材質の遮水シートで覆うことによって、雨水による再浸潤や風による飛散などを防ぎながら、乾燥及び保管を継続することができる。
積層された有機性資材2,2,・・・に介在する遮水シート3,3,・・・は、生分解性であるため、乾燥が完了した有機性資材を、堆肥、緑肥、液肥、メタン発酵など、バイオマス資源として利用する際には、遮水シート3,3,・・・ごと搬送することができる。
次に、本発明による省スペース効果について、比較例を示す図11及び本発明を示す図12を参照しながら説明する。
比較例及び本発明とも、設定条件として、有機性資材の一回あたりの撒き出し厚さを5cmとし、一定量の有機性資材が一定の時間間隔ごとに供給されるものとする。また、乾燥後の有機性資材の積み増し高さの限度を25cmとした。図中の数字は、各ブロックの厚さを示しているが、遮水シートの厚さは1mm未満であるため無視している。
図11に示される比較例では、ステップS1で天日乾燥させた第一層目の有機性資材20を、ステップS2のように移動させて積み重ね、ステップS3において、この有機性資材20に隣接した領域に、第二層目の有機性資材20を敷設して天日乾燥させ、この有機性資材20を、ステップS4のように第一層目の有機性資材20側へ移動させて積み重ね、ステップS5において、有機性資材20に隣接した領域に、第三層目の有機性資材20を敷設して天日乾燥させ、以下、同様の工程の繰り返しとする。この方法では、乾燥のための撒き出し場所と、乾燥物の保管場所が異なるため、未乾燥有機性資材が供給されるたびに新たな用地が必要になる。
これに対し、本発明では図12に示されるように、ステップS1で天日乾燥した第一層目の有機性資材2の上に、ステップS2で遮水シート3を敷設してステップS3で第二層目の有機性資材2を積み重ねて天日乾燥させ、以下、同様に積み増して行くものであるため、積み増し高さの限度(この例では25cm)に達するまで、必要用地の面積が増えることはない。
そしてこの例では、最終的に保管する面積は比較例と変わらないが、一定期間における単位面積あたりの乾燥処理能力が向上するため、沈水植物などのように回収量の季節変動が大きいバイオマス資源の乾燥処理にはきわめて有用である。
しかも、先に説明したように、透湿性を有する遮水シートを用いることにより、含水率が10%以下となるまで乾燥しなくても新たな有機性資材を積み増すことができる。この場合、遮水シートを介して乾燥が行われる分だけ乾燥に必要な期間は長くなるが、一定期間における単位面積あたりの処理能力は向上する。
また本発明では、対象となる有機性資材を乾燥するにあたり、トリータビリティ試験として目標とする含水率、撒き出し厚さ、密度、乾燥日数、圧搾などによる脱水率の調査を行い、それに発生量や雨天による変動率を加えることにより乾燥手法別の必要乾燥面積を算出する。その値と実際の面積から最適な手法の選択を行う。この選択は、図13に示すようなフローチャートに従って行われる。
すなわち、式1によって、天日乾燥による必要乾燥面積より用地面積が大きいかを試算し(ステップS1)、その結果Yesであれば天日乾燥を選択する。
また、ステップS1=Noであった場合は、式2によって、積み上げ乾燥による必要乾燥面積より用地面積が大きいかを試算し(ステップS2)、その結果Yesであれば積み上げ乾燥を選択する。
また、ステップS2=Noであった場合は、式3によって、脱水+積み上げ乾燥による必要乾燥面積より用地面積が大きいかを試算し(ステップS3)、その結果Yesであれば脱水+積み上げ乾燥を選択する。
ここで、フローチャートに記載された式1における「乾燥処理能力1」とは天日乾燥による乾燥処理能力のことであり、式2における「乾燥処理能力2」とは積み上げ乾燥による乾燥処理能力のことであり、式3における「乾燥処理能力3」とは脱水+積み上げ乾燥の乾燥処理能力のことである。積み上げ乾燥には、本発明である積層状の乾燥方法および袋を利用した乾燥方法など立体的に乾燥する手法が含まれる。脱水には圧搾などによる脱水手法が含まれる。乾燥処理能力1〜3は次の式(A)で算出する。
乾燥処理能力(kg/m2・日)
=撒き出し厚さ×密度×発生量変動係数×雨天乾燥減速係数/乾燥日数・・・(A)
また、式(A)において、「発生量変動係数」は、植物系資材のように発生量の季節変動が大きい場合に月間の平均値と最大値の差から算出し、「雨天乾燥減速係数」は、期間の日平均降水量と蒸発量の差から算出する。
沈水植物を実施例として挙げる。200kg/日の発生量があり、乾燥に使用できる面積が500m2だとする。事前の沈水植物の天日乾燥トリータビリティ試験の結果、目標含水率10%、撒き出し厚さ3cm、密度0.2g/cm3、乾燥日数6日と設定された。また圧搾による脱水を行った結果、搾汁率50%であった。この結果を、上述の式(A)に代入することによって、沈水植物の場合は、天日乾燥による乾燥処理能力1は0.15kg/m2、積み上げ乾燥による乾燥処理能力2は0.50kg/m2、脱水+積み上げ乾燥の乾燥処理能力3は1.00kg/m2・日と試算された。これを図13のフローチャートに従うと、
式1の右辺=1333m2
式2の右辺=400m2
式3の右辺=200m2
となるため、用地面積が500m2であるこの実施例ではステップS2=Yesとなるため、積み上げ乾燥手法を選択することが適当であることが導き出せた。また用地面積が200m2以下であった場合は、その他の手法として、発生量を調整、資材の一部を他の場所へ搬出、機械式乾燥、メタン発酵などの手法を行う。
なお、ステップS3=Noであった場合は、式(A)の設定係数を変更して、ステップS1からの試算を繰り返すことも可能である(ステップS4)。その場合変更可能な係数は、目標含水率及び脱水率である。含水率及び脱水率は式(A)の乾燥日数に係る数値である。水分の蒸発量は乾燥日数にほぼ反比例することから、目標含水率を10%から20%に変更する場合、約0.9倍日数は短縮される。また脱水率については圧搾で50%の搾汁率であれば乾燥日数は0.5倍短縮されると考える。そのためこれらの値を増加させることにより、乾燥日数が短縮され乾燥処理能力を上げることが可能となる。
1 排水床
,2,・・・ 有機性資材
,3,・・・ 遮水シート

Claims (7)

  1. 有機性資材を適当な層厚で敷設して乾燥させた後、この有機性資材の上に遮水シートを敷設し、この遮水シートの上に未乾燥の有機性資材を適当な層厚で敷設する工程を繰り返すことによって、前記有機性資材と遮水シートを交互に積層することを特徴とする有機性資材の乾燥及び保管方法。
  2. 乾燥を天日乾燥により行うことを特徴とする請求項1に記載の有機性資材の乾燥及び保管方法。
  3. 遮水シートが透湿性素材からなるものであることを特徴とする請求項1に記載の有機性資材の乾燥及び保管方法。
  4. 遮水シートが生分解性の素材からなるものであることを特徴とする請求項1に記載の有機性資材の乾燥及び保管方法。
  5. 最下層の有機性資材を敷設する床が排水床からなることを特徴とする請求項1に記載の有機性資材の乾燥及び保管方法。
  6. 最下層の有機性資材を敷設する床が勾配を有することを特徴とする請求項1に記載の有機性資材の乾燥及び保管方法。
  7. 乾燥させた有機性資材の上面を、勾配をもつように整形してから遮水シートを敷設することを特徴とする請求項1に記載の有機性資材の乾燥及び保管方法。
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