JP4709921B2 - セルラー移動通信ネットワークにおけるソフトハンドオフ - Google Patents

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Description

本発明は、符号分割多元接続(CDMA)セルラーネットワークのようなセルラー移動通信ネットワークに係り、特に、いわゆる「マイクロセル」及びカバレッジ・エリアが狭いその他のセルを有するネットワークにおけるソフトハンドオフに関する。
添付図面の図1には、1994年10月の米国電子通信工業会(TIA)/電子工業会(EIA)規格であるStandard TIA/EIA/IS-95(以下の説明では、IS95と称する)に準拠したセルラー移動電気通信ネットワークの一部が示されている。3局の基地トランシーバー局(BTS)4の各局BTS1、BTS2及びBTS3は、固定ネットワーク5を介して基地局コントローラ(BSC)6に接続され、BSCは移動交換センタ(MSC)7に接続される。BSC6は、たとえば、ハンドオフを実行し、無線チャネルを割り当てることにより、接続されたBTS4の無線リソースを管理する。MSC7は、交換機能を有するとともに座標位置登録及び呼配信を行う。
各BTS4は、セル8にサービスを行う。移動局(MS)10が、二つ以上のセルが重なり合う、いわゆるソフトハンドオフ(SHO)領域にあるとき、移動局は、重なり合うセルのそれぞれのBTSから同等の強度及び品質を有する送信信号(ダウンリンク信号)を受信可能である。移動局(MS)によって生成された送信信号(アップリンク信号)は、移動局がSHO領域9にあるとき、これら異なるBTSによって同等の強度及び品質で受信可能である。
図2には、MS10がSHO領域9内にあり、複数のBTS4によって受信されるようなアップリンク信号を送信する状況が示されている。IS95標準によれば、MS10からこのようなアップリンク信号を受信するBTS4は、固定ネットワークの専用コネクションライン5を介してBSC6へ信号を中継する。BSC6において、遅延された信号の中の一つは、各受信信号の品質の比較に基づいて選択され、選択された信号はMSC7へ中継される。この選択はセレクション・ダイバーシチと呼ばれる。
同様に、図3には、MS10がSHO領域9内に存在し、複数のBTS4からダウンリンク信号を受信する状況が示されている。IS95標準によれば、BSC6によって受信されたMSC7からのダウンリンク信号は、固定ネットワーク5のそれぞれのコネクションラインを介して、ソフトハンドオフに関連した全てのBTS4に中継され、次に、全てのBTS4によってMS10に送信される。MS10において、多数の信号は、たとえば、最大比合成法(MRC)を用いて合成され、或いは、多数の信号の中の一つの信号が信号強度又は信号品質に基づいて、すなわち、アップリンクの場合と同じようにセレクション・ダイバーシチを用いて選択される。
たとえば、欧州デジタル移動電話方式(Global System for Mobile Communication:GSM)ネットワークに対し、CDMAネットワークの場合、各BTS4は同じ周波数で送信する。その結果として、干渉問題を最小限に抑えるために、送信電力を慎重に制御し続ける必要がある。
IS95標準によると、信号は一連のフレームによって送信される。図4に示されるように、各フレーム長は20msであり、フレームは16個の1.25msのタイムスロットを含む。タイムスロット毎に、数ビットのユーザデータ及び/又は制御情報が送信される。
MS10からBTS4への送信電力の制御(アップリンク電力制御)は、IS95では以下のようにして達成される。BTS4がMS10から信号を受信したとき、BTS4は、予め決められた受信信号の特性(たとえば、絶対信号レベル、信号対雑音比(SNR)、信号対干渉比(SIR)、ビット誤り率(BER)又はフレーム誤り率(FER))が予め選択された閾値レベルを超えるかどうかを判定する。この判定に基づいて、BTS4は、MS10に対し、次のタイムスロットにおける送信電力を減少若しくは増加させることを命令する。
この目的のため、BTS4からMS10へのパイロットチャネル(PCH)の全てのタイムスロット中の2ビットは、アップリンク電力制御のため割り付けられる(図4を参照のこと)。両方のビットは同じ値をとるので、以下の説明では、単数形で電力制御ビット(PCB)と称する。MS10が送信電力を1dBだけ増加させることを要求される場合、電力制御ビットにはBTS4によって値0が割り当てられ、MS10が送信電力を1dBだけ減少させることを要求される場合、電力制御ビットには値1が割り当てられる。BTS4は、MS10が同じ送信電力を維持するよう直接的に要求し得ず、電力制御ビットに1と0を交互に送ることによって、送信電力が同じレベルに維持される。
MS10がSHO領域9内に存在するとき、MS10は、ソフトハンドオフに含まれた各BTS4から受信された複数の電力制御ビットに基づいて、アップリンク送信電力を増加すべきか、又は、減少すべきかを決定するよう要求される。その結果として、論理和(OR)関数演算が全ての電力制御ビットに関して行われる。このOR関数演算の結果が0であるならば、MS10はアップリンク送信の電力を増加させ、その結果が1であるならば、MS10はアップリンク送信の電力を減少させる。かくして、アップリンク送信電力は、全てのBTS4が増加を要求する場合に限り増加される。
BTS4からMS10への送信電力の制御(ダウンリンク電力制御)は、IS95の場合に、以下のように達成される。MS10が、トラヒックチャネル(TCH)を介して、BTS4(或いは、ソフトハンドオフ動作中の複数のBTSの中の各BTS)からダウンリンク信号を受信したとき、トラヒックチャネル信号が、たとえば、雑音によって損なわれる程度を反映した信号のFERは、MS10によって計算される。このFERは、次に、MS10によって、当該ダウンリンク信号を送信したBTS4に中継され、BTS4は、ダウンリンク送信電力に変更を加えるべきか否かを決めるためこのFERを使用する。
上記のソフトハンドオフシステムは、MS10が個別のセルの境界付近のセルオーバーラップ領域に存在する場合に、MS10とネットワークの間の信号伝送を向上させる際に有効である。1局のBTS4を使用する際のこれらの領域における信号品質は余り良好ではないが、2局以上のBTS4を使用することにより、信号品質は実質的に改善される。
しかし、本明細書中、後で詳述するように、IS95によるソフトハンドオフシステムは、他のハンドオフアルゴリズム及び技術と共に、各セル(マクロセル)の各アンテナが平均ルーフトップのレベルを超える、いわゆるマクロセルラー環境で動作するよう設計され、最適化される。このようなマクロセルは、セル又はセルのセクタの全域に略均一の伝搬特性を備えたかなり広いカバレッジ・エリアを有する。
このようなマクロセルは、ネットワーク容量に対する要求が比較的小さいセルラーネットワークの第1の展開段階で研究された。しかし、ネットワーク容量の要求が高まると共に、ネットワークは、スペクトラム利用可能性に関して物理的制約が課されるので、ネットワーク容量は、セル「フットプリント(受信可能地域)」の縮小によって、すなわち、いわゆるマイクロセルのセル分割又は展開によってのみ増加させることがきる。
マイクロセルの場合、アンテナは平均ルーフトップよりも低い。このようなマイクロセルにおける伝搬特性は、指向性が高く、たとえば、個々の通りに沿って伝播する。
マイクロセル及びその他の小型セルの場合、セル・カバレッジ・エリアは縮小されるので、ソフトハンドオフシステムの要求項目は、非常に煩雑になり、特に、ソフトハンドオフシステムの動作の速度は高められるべきである。
小型セルの受信可能地域の問題は、たとえば、移動局が街角付近を移動するときに、非常に素早く登場するセルと、姿を消すセルを生じさせるマイクロセル伝搬特性によって悪化される。すべてのセルラーネットワークは、移動局が移動するときの信号レベルの有意な変動(ログ・ノーマル(log-normal)変動とも称される)に対処できるように設計されるので、ネットワークは無線の弱い部分を扱うことができる。しかし、マイクロセルラー環境で街角周辺を移動するとき、信号レベルは、30dB程度上下し、通常のネットワークが適合するよう設計されたログ・ノーマル変動の範囲を超える。
このような状況で、ソフトハンドオフに関連したアクティブな近傍セルの集合に対する信号強度を測定し、平均化し、通知しなければならない移動局は、ハンドオフが成功するための信頼性の高い動作時間を超えた処理時間が必要になる。
マイクロセルラー環境内で移動局がコーナーを占めるとき、新しいセルが殆ど瞬時的に現れ、サービスを行うセルと関連したアップリンク信号レベル及びダウンリンク信号レベルは、著しいフェージングを受け、ハンドオフシグナリング用の信頼性の高い通信リンクが失われるか、或いは、長期間に亘り過剰な送信電力(20乃至30dB)の送信が生じる。多数の移動局が同時にこのようなハンドオフ状況にあると考えられるとき、過剰に強力な送信によって生じるネットワーク容量の損失は深刻である。
したがって、マイクロセル及びその他の小型セルで使用するため十分に高速に動作することができるソフトハンドオフシステムを提供することが望ましい。
本発明の第1の局面によれば、セルラー通信ネットワークは、
ネットワークの移動局に対する呼を設定する呼設定処理中に動作的であり、移動局とネットワークの複数の基地トランシーバー局の中の第1の基地トランシーバー局との間に、対応したアップリンクチャネル及びダウンリンクチャネルを割り当て、移動局と上記複数の基地トランシーバー局の中で上記第1の基地トランシーバー局の近傍にある少なくとも一つの別の基地トランシーバー局に、上記少なくとも一つの別の基地トランシーバー局と移動局との間に対応したアップリンクチャネル及びダウンリンクチャネルを割り当てるために移動局及び上記少なくとも一つの別の基地トランシーバー局によって使用される呼設定情報を供給する呼設定手段と、
呼設定処理の完了直後には動作的であり、上記第1の基地トランシーバー局を、上記第1の基地トランシーバー局に対応した上記アップリンクチャネル及び上記ダウンリンクチャネルが使用中である活性(アクティブ)状態に設定し、上記少なくとも一つの別の基地トランシーバー局を、上記少なくとも一つの別の基地トランシーバー局に対応したアップリンクチャネル及びダウンリンクチャネルが使用中ではない休止状態に設定し、呼の途中で移動局が上記少なくとも一つの別の基地トランシーバー局と通信すべきであると判定されたときに動作的であり、上記少なくとも一つの別の基地トランシーバー局を休止状態からアクティブ状態へ移すために呼設定処理中に供給された呼設定情報を利用する、ハンドオフ制御手段と、
を有する。
このようなネットワークにおいて、新たにサービスを行うBTSのための必要な呼設定情報は呼設定処理中に先に供給されているので、サービスを行うBTSの変更は望み通りに素早く行える。少なくとも一つの別のBTSの間のチャネル競合解消シグナリングは、呼設定時に行われ、BTSの変更が要求されたときに、新たにサービスを行うBTSを簡単にアクティブ状態にすることができる。
本発明の第2の局面によれば、セルラー通信ネットワークで使用される移動局は、
ネットワークと移動局との間に呼を設定する呼設定処理中に動作的であり、ネットワークの第1の基地トランシーバー局から、移動局と少なくとも一つの別のトランシーバー局との間に対応したアップリンクチャネル及びダウンリンクチャネルを割り当てるため移動局によって使用される呼設定情報を受信する呼設定情報受信手段と、
受信した呼設定情報を記憶する呼設定情報記憶手段と、
上記呼設定処理の終了後に最初に動作的であり、移動局を上記第1の基地トランシーバー局と通信させ、呼の途中で移動局が上記少なくとも一つの別の基地トランシーバー局と通信すべきであると判定されたときに動作的であり、移動局と上記少なくとも一つの別の基地トランシーバー局との間の上記アップリンクチャネル及び上記ダウンリンクチャネルをアクティブ状態にするため、呼設定処理中に受信され、記憶された呼設定情報を利用するハンドオフ制御手段と、
を有する移動局。
本発明の第3の局面によれば、セルラー通信ネットワークで使用される基地トランシーバー局は、
ネットワークと該基地トランシーバー局の近傍にあるネットワークの別の基地トランシーバー局から現在サービスを受けているネットワークの移動局との間に呼を設定する呼設定処理中に動作的であり、該基地トランシーバー局と移動局との間に対応したアップリンクチャネル及びダウンリンクチャネルを割り当てるため該基地トランシーバー局によって使用される呼に関係した呼設定情報を受信する呼設定情報受信手段と、
受信した呼設定情報を記憶する呼設定情報記憶手段と、
上記呼設定処理の終了後に最初に動作的であり、該基地トランシーバー局を上記アップリンクチャネル及び上記ダウンリンクチャネルが使用中ではない休止状態に維持し、移動局は該基地トランシーバーと通信すべきであるとネットワークによって判定されたとき、該基地トランシーバー局を、休止状態から、上記アップリンクチャネル及び上記ダウンリンクチャネルが使用中であるアクティブ状態へ変更するため、呼設定処理中に受信され記憶された呼設定情報を利用するハンドオフ制御手段と、
を有する。
本発明の第4の局面によれば、セルラー通信ネットワークで使用される通信方法は、
呼設定処理中に、ネットワークの移動局のための呼を設定する手順と、
移動局とネットワークの複数の基地トランシーバー局の中の第1の基地トランシーバー局との間に対応したアップリンクチャネル及びダウンリンクチャネルを割り当てる手順と、
移動局と上記複数の基地トランシーバー局の中で上記第1の基地トランシーバー局の近傍にある少なくとも一つの別の基地トランシーバー局に、上記少なくとも一つの別の基地トランシーバー局と移動局との間に対応したアップリンクチャネル及びダウンリンクチャネルを割り当てるため移動局及び少なくとも一つの別の基地トランシーバー局によって使用される呼設定情報を供給する手順と、
呼設定処理の終了後に、最初に第1の基地トランシーバー局を、第1の基地トランシーバー局と移動局との間の上記アップリンクチャネル及び上記ダウンリンクチャネルが使用中であるアクティブ状態に設定する手順と、
少なくとも一つの別の基地トランシーバー局を、上記少なくとも一つの別の基地トランシーバー局と移動局との間の上記アップリンクチャネル及び上記ダウンリンクチャネルが使用中ではない休止状態に設定する手順と、
呼の途中で移動局が少なくとも一つの別の基地トランシーバー局と通信すべきであると判定されたとき、少なくとも一つの別の基地トランシーバー局を上記休止状態からアクティブ状態に変更するため、呼設定処理中に供給された呼設定情報を利用する手順と、
を有する。
本発明の第5の局面によれば、セルラー通信ネットワークは、
ネットワークの複数の基地トランシーバー局との通信に使用するため、同じアップリンクチャネル及び/又は同じダウンリンクチャネルがネットワークによってネットワークの移動局へ割り当てられ、
移動局は、移動局が上記複数の基地トランシーバー局の中の一つの基地トランシーバー局から上記複数の基地トランシーバー局の中の別の基地トランシーバー局へハンドオフされるハンドオフ動作の前後で、上記割り当てられた同じチャネルを使用する。
以下、添付図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。
IS95に準拠したセルラー移動電気通信ネットワークの構成図である。 図1のネットワークによって行われるソフトハンドオフ動作におけるアップリンク信号の処理を説明するための概略図である。 ソフトハンドオフ動作におけるダウンリンク信号の処理を説明するための概略図である。 図1のネットワークにおけるタイムフレームのフォーマットの説明図である。 図1のネットワークにおけるソフトハンドオフ動作の手順のシーケンスチャートである。 本発明を実施するセルラー通信ネットワークにおけるソフトハンドオフ動作の手順のシーケンスチャートである。 本発明を実施する移動局の構成図である。 図7の移動局の一部を詳細に示す図である。 本発明を実施する基地トランシーバー局の構成図である。 図9の基地トランシーバー局の一部を詳細に示す図である。 従来のセルラー通信ネットワークの概略図である。 本発明の更なる局面を実施するセルラー通信ネットワークの概略図である。
本発明の好ましい実施例を説明する前に、本発明がよりよく理解されるように、IS95に準拠したネットワークにおける従来のソフトハンドオフ動作を、図5を参照して説明する。図5の例では、説明の便宜上、二つの基地局BTSA及びBTSBだけがソフトハンドオフ動作に関連している場合を考える。
最初(ステップ(i))、すなわち、移動局がソフトハンドオフ領域に入る前、移動局はBTSAによるサービスを受け、対応した順方向トラヒックチャネル及び逆方向トラヒックチャネルがBTSAとの通信のため割り当てられていると仮定する。
この時点で、移動局は、現在サービスを提供中のBTSAのセルの近傍にあるセルの所定のグループの各セル内のBTS(BTSB)によって放送された共通制御チャネルCCCHの信号強度を測定する。これらの信号強度測定の結果を与える強度測定メッセージは、現在サービス提供中のBTSAに割り当てられた移動局アップリンクトラヒックチャネル(逆方向トラヒックチャネル)を介して送信される(ステップ(ii))。
強度測定メッセージは、現在サービス提供中の基地局BTSAによって受信され、BSC(図1のBSC6)へ転送される。ソフトハンドオフ動作を開始するため、メッセージに基づいて決定が行われるのは、BSCである。BSCは、どのBTSがソフトハンドオフ動作のためアクティブなBTSの組に属するかを決定する。BSCは、それに応じてネットワーク・コンポーネントへ通知する。かくして、図5に示されるように、BSCが、移動局で受信された基地局BTSBのCCCHの信号強度(パイロット"B"強度)が閾値T_ADDを超えている、と判定したとき、BTSA及びBTSBから構築されたハンドオフの目的のためのアクティブな組を形成することを決定する。MSとBTSBの間の順方向トラヒックチャネル及び逆方向トラヒックチャネルは、この時点で割り付けられる。
ステップ(iii)において、BTSBは、(順方向トラヒックチャネルを介して)移動局へダウンリンク方向にトラヒックを送信し始める。この時点以降、移動局への全てのダウンリンク通信は、アクティブな組の中の両方の基地局によって実行される。同様に、移動局からのアップリンク通信は、両方の基地局によって受信され、処理される。BTSBのための逆方向トラヒックチャネルは、MS内の送信機回路を簡略化するため、BTSAのための逆方向トラヒックチャネルと同じチャネルである。
したがって、ステップ(iv)及び(v)において、それぞれ、基地局BTSA及びBTSBは、それぞれの順方向トラヒックチャネルを介して移動局へハンドオフ方向メッセージを送信する。ハンドオフ方向メッセージに従って、移動局は、基地局BTSBを獲得し、ネットワークからのトラヒックを受信するため、基地局BTSAと基地局BTSBの両方のダウンリンク信号を使用する。ハンドオフ方向は、移動局にソフトハンドオフモードへ入るよう通知する。ハンドオフ方向メッセージは、ソフトハンドオフ用のBTSのアクティブな組を識別する。たとえば、メッセージは、移動局へ割り当てられた順方向トラヒックチャネル(すなわち、トラヒックチャネル"A"、トラヒックチャネル"B"、以下同様)を識別するパラメータを含む。移動局は、チャネルBを受信するため回路を作動させる。このパラメータによって、本例の場合に、移動局は、トラヒックチャネルBを獲得し、トラヒックチャネルBと同期するようになる。
ステップ(vi)及び(vii)において、それぞれ、移動局は、逆方向トラヒックチャネルを介してBTSA及びBTSBへハンドオフ方向メッセージを送信する。このメッセージは、移動局がソフトハンドオフモードに入ったことを確認する。ステップ(viii)によって、移動局は、データトラヒックの送信及び受信を再開する。
この時点以降、移動局は、ソフトハンドオフになる。移動局がBTSAとBTSBの両方と通信するソフトハンドオフ期間中に、アクティブな組のBTS(BTSA及びBTSB)の信号強度の連続的な監視及び報告が行われる。さらに、移動局は、アクティブな組に含まれない残りの明確な近傍セルの信号強度を連続的に測定し報告する。この信号強度の報告は、パイロット強度測定メッセージの形式で逆方向トラヒックチャネルを介してアクティブな組の各基地局へ送信される(ステップ(ix)及び(x))。
パイロット強度測定メッセージは、アクティブな組の受信中BTSによって、ソフトハンドオフ動作を終了させるときを決定するためメッセージを使用するBSCへ転送される。この時点(ステップ(xi)及び(xii))で、両方のアクティブなBTSは、対応した順方向トラヒックチャネルを介して、たとえば、BTSAとの関係を断つための移動局に対する命令のようなハンドオフ方向メッセージを送信する。
ステップ(xiii)において、受信されたハンドオフ方向メッセージに応じて、移動局は、逆方向トラヒックチャネルを介して、ハンドオフ完了メッセージを送信する。これに応じて、BTSAは、順方向トラヒックチャネルを介した移動局への送信を中止する。
ハンドオフ完了メッセージは、新たにサービスを提供する基地局BTSBによって逆方向トラヒックチャネルを介して受信される(ステップ(xiv))。
図5に示されたソフトハンドオフ手続は、マイクロセル及びその他の小さいセルに適用されたとき多数の問題を生ずる。
1.ソフトハンドオフ前の信号強度測定
ソフトハンドオフ状態において、移動局は、現在セルの近傍にある各セルのCCCHの信号強度を連続的に測定しなければならない。通常、ネットワークは、所与の現在サービス中のセルに対し、近傍にあるセルのグループを定義する。移動局は、このように定義された各近傍セルの信号強度を監視する必要がある。これらの測定は、発信元のBTSを識別するため、セルCCCH(パイロットチャネル)の捕捉を必要とする。また、レイリー・フェージング及び(ある程度の)ログ・ノーマル・フェージング(シャドーイング)によって生じる信号変動が取り除かれるように、測定量を多数のフレームに亘って平均化することが必要である。
GSMネットワークにおける測定期間は、典型的480msであり、ハンドオフは最大で4秒を要する場合がある。
4秒のハンドオフ遅延は、マイクロセルラー環境において許容可能であるが、マイクロセルラー環境では、測定処理は、特に、多数の明確な近傍セルを監視しなければならない場合に、非常に長くなる平均化時間を含む。
2.ソフトハンドオフ前の近傍セルに対する信号強度測定メッセージ
上記の1.における測定結果の通知は、専用物理制御チャネルDPCCH又は専用物理データチャネルDPDCHを用いて実行される。何れの場合も、メッセージは、一般的に、保護され(すなわち、誤り検出/訂正符号で符号化され)、及び/又は、(通常、音声サービスよりも)インターリーブされる必要があるので、セルの端で通常起こるようなSN比(SNR)が低い条件下でも、正確な受信が保証される。メッセージの復号化によって、少なくとも1フレーム区間(たとえば、10ms)の遅延が生じ、メッセージが数フレームに亘ってインターリーブされるとき、BTSが完全な協働測定メッセージを受信できるまでに、より多くの遅延が生じる。
場合によっては、移動局は、明確な近傍セルの全てについてまでは、ネットワークへ報告しなくてもよい。たとえば、GSMネットワークにおいて、移動局は、最大で12個の明確な近傍セルの測定を実行することが要求されるが、その中の6個だけについて報告することが要求される。たとえ、そうであっても、報告に付随する遅延は、マイクロセルラー環境の場合には過剰である。
3.サービス中のBTS(BTSA)とMSの間のソフトハンドオフ前のシグナリング
移動局は、ハンドオフ・シグナリングをサービス中のBTSと交換することが要求される(ステップ(iv)及び(vi))。このようなシグナリングは、必然的に待ち時間を生じさせる。その上、サービス提供中のセルが20dBを超えるシャドー・フェージングを受けるマイクロセルラー環境における「街角効果」では、高送信電力がアップリンク方向とダウンリンク方向の両方向で必要とされる。高送信電力は、顕著な容量損を生じさせる。最悪の場合、ネットワークと移動局の間の通信リンク全体の損失(すなわち、呼の取り止め)が起こる。
4.新しいBTS候補(BTSB)とMSの間のソフトハンドオフ前のシグナリング
BTSBとの通信が始まる前に、チャネル競合解消シグナリングが必要とされる。このシグナリングは、ハンドオフ処理に更なる遅延を生じる。その上、移動局は同時にBTSAによって電力制御されるので、BTSBとのシグナリング用の送信電力は、正しい復号化のために必要とされる量を遥かに超えるので、容量の損失が生じる。
5.ソフトハンドオフ期間中の近傍セル信号強度測定及びメッセージ
ソフトハンドオフ期間中に、アクティブなセル及び残りの明確な近傍セルの連続的な監視及び報告が移動局で要求される。マイクロセル及びその他の小さいセルの場合、ハンドオフ領域が占める面積は狭く、信号強度測定及び報告は効果的ではない。
6.先行のサービス提供側BTS(BTSA)とMSとの間のソフトハンドオフ後のシグナリング
先行のサービス提供側BTS(BTSA)との間で要求されるハンドオフ後のシグナリングは、マイクロセルラー環境において、移動局が新しいサービス提供側セルBから電力制御されている場合、成功しない。ハンドオフ完了メッセージをBTSAへ送信するため、更なる容量損失を生じ得る過剰な送信電力が必要とされる。
7.固定ネットワークにおけるソフトハンドオフ前後のシグナリング
固定ネットワークにおけるソフトハンドオフ前のシグナリング及びソフトハンドオフ後のシグナリングは、エアー・インタフェース(air interface)に対するオーバーヘッドを構成しないが、ハンドオフ処理に更なる遅延を生じる。固定ネットワークの遅延と、エアー・インタフェースの遅延の累積効果として、ハンドオフ処理はマイクロセル及びその他の小さいセルに対し不適当になる。さらに、固定ネットワークにおける必要なシグナリングを減少させるためには、閾値及びハンドオフ・ヒステリシスを(継続的なBTSスワッピングのピンポン効果を低減するため)使用する必要があり、これらの測定量は全体的な性能の顕著な損失を表す。
8.固定ネットワーク・バックホール
通常のソフトハンドオフ技術は、固定ネットワークにおいて、多数のセルとの間で一定の通信を要求し、これにより、著しいバックホール要求が生じる。
次に、図6を参照して本発明を実施するソフトハンドオフ手続を説明する。
図6の手続は、特に、マイクロセルラー環境で使用するため適当である。
図6の手続と図5の従来技術の手続との間の第1の相違点は、呼が特定のMSに対し設定された直後に、MSが、現在の最良サーバーセルと好ましい近傍セルの組とを用いてソフトハンドオフモードで継続的に動作することである。かくして、図6の手続において、(MS発、又は、MS着のどちらでも構わない)呼が設定されたとき、ネットワークは、好ましい近傍セルの組並びに現在の最良サーバーセルを用いてソフトハンドオフモードで呼を設定する。
従来の呼設定処理と同様に、現在の最良サーバーセル(セルA)の場合、対応した順方向及び逆方向トラヒックチャネルTCHは、基地局コントローラBSCと、基地局BTSAとの間、及び、基地局BTSAと移動局MSとの間に割り当てられる(ステップ1)。
ステップ2において、呼設定処理の更なる一部として、ネットワーク(BSC)は、好ましい組の中の残りのセル(本例の場合、セルB)に、移動局との間で設定された呼を通知する。好ましい組のセルへ送信されたこの情報は、呼設定に必要とされる(サービス・レート、チャネル化符号などの)全ての情報を含む。
場合によっては、後で詳細に説明されるように、特定のチャネル化符号及びスクランブル化符号の組を、各移動局へ割り当てることが可能であり、この組は、移動局がマイクロセルラーネットワーク内のどこにあっても移動局に適用される。これは、提案されている欧州広帯域CDMA(W-CDMA)システム(UTRA)に実現可能である。なぜならば、UTRAの場合に、各BTSは、多数のスクランブル化符号を有するからである。本例の場合、特定の移動局へ割り当てられたチャネル化符号及びスクランブル化符号の組は、先行してネットワークにはわかっているので、呼設定時に移動局とネットワークの間で転送されるべき情報の量は、著しく削減され、呼設定処理に伴う待ち時間が短縮する。
ステップ3において、ネットワークは、近傍セル(すなわち、ソフトハンドオフ動作に関連させられるセル)の好ましい組のセルのリスト(アクティブなセルのリスト)を、本例の場合には、セルBだけを、現在の最良サーバーであるセルAに転送する。このような関連したセル毎に、ネットワークは、最良サーバーであるセルAに、アクティブな集合の残りの各セルと通信するため必要なスクランブル化符号のような情報を通知する。
現在の最良サーバーであるセルAは、アクティブなセルのリスト、及び、関連した情報を、移動局へ転送し、移動局は、リスト及び情報を受信し記憶する。上述の如く、マイクロセルラーネットワークの全域で使用するためのチャネル化符号とスクランブル化符号の同じ組が移動局に割り当てられた場合、ステップ3で転送されるべき情報の量は著しく削減される。
このようにして呼が設定された後、ステップ4において、移動局は、現在の最良サーバー・セルと好ましい組のセルとを用いて、修正ソフトハンドオフモードで動作する。この修正ソフトハンドオフモードは、現在の最良サーバーであるセル(セルA)が最初に移動局と通信する点で、図5に示されたソフトハンドオフモードと相違する。残りのセル(セルB)は、ネットワークから移動局との間で情報を送受信するように通知されるまで、移動局との間で情報を送受信しない。したがって、残りのセルは、休止状態セルと呼ばれる。
一つの最良サーバーであるセル(セルA)とだけ通信する移動局は、ハンドオフ動作に関連した現在休止状態の全てのセル(すなわち、セルB)の(放送された制御チャネルBCCH又は同期チャネルSCHのような)CCCHを継続的に監視する。たとえば、CCCHの受信信号強度(RSS)が測定される。(フレーム、又は、フレーム内のタイムスロットである)各監視期間中に、移動局は、前の監視期間に取得された測定量に基づいて、最良のサービス提供セルを選択する。ステップ5において、たとえば、移動局は、最良サーバー・セルとして依然としてセルAを選択し、逆方向専用制御チャネルDCCH(たとえば、図6に示されるように、UTRAシステムにおける専用物理制御チャネルDPCCH)を介して、アップリンク制御メッセージ(UCM)を送信する。このアップリンク制御メッセージは、移動局によって選択された最良サーバー・セルを識別する。
最良サーバー・セルを識別するアップリンク制御メッセージUCMは、その情報内容を保護するため、好ましくは、インターリーブ及び/又は符号化される。
修正ソフトハンドオフモードの動作中のある時点で、移動局は、新しい最良サーバー・セルとして休止状態セルの中の一つのセルを選択する。かくして、本例の場合、ステップ7において、移動局は、休止状態セルBを新しい最良サーバー・セルとして識別する。セルBの識別情報を与えるUCMは、次に、逆方向DPCCHを介して、既存の最良サーバー・セルAへ送信される。
既存の最良サーバー・セルAで、UCMによって与えられた新しい最良サーバー・セルの識別情報は、セルの固有識別情報と比較される。これらの識別情報が相違するとき、既存の最良サーバー・セルは、BSCに新しい最良サーバー・セルの識別情報を通知するため、新しい最良サーバー・メッセージ(NSM)をBSCへ送信する。選択的に、既存の最良サーバーであるセルAは、移動局が新しい最良サーバーであるセルBから次のフレームを受信する予定であることを確認するため、ダウンリンク制御メッセージを移動局へ送信する。次に、セルAは、アクティブ状態から休止状態へ変化する。これ以降、移動局は、休止状態セルAのCCCHを監視する。
ステップ8において、BSCは、セルBが着目中の移動局に対する新しい最良サーバー・セルであることを通知するアクティブ状態メッセージ(ASM)をセルBへ送信する。セルBは、移動局への送信用の次のダウンリンクフレームが転送される。このフレームは、(移動局と通信しない)休止状態にある前の最良サーバーであるセルAには転送されない。
移動局情報の全ては、呼が設定されたとき、好ましい組の全てのセル(初期的に休止状態のセル)に供給されているので、ハンドオフのために要求されるメッセージは最小限であると考えられる。このため、1フレーム内で新しい最良サーバー・セルを識別し、次のフレームの間にそのセルへ切り換えることが可能である。このような切り換えは、次の最良サーバー・セルと通信するときに、移動局に適用されるチャネル化符号及びスクランブル化符号の組が異なる場合でも実現可能である。
動作は、識別された最良サーバーであるセルBと通信する移動局を用いて継続する(ステップ9)。
電力供給ハンドオフは、共通制御チャネルCCCH送信電力に基づくので、新しいセルBは、最初に、前の最良サーバーであるセルAと同じ電力設定値(CCCH電力レベルと順方向トラヒックチャネルTCH電力レベルとの間の差)を用いて送信する。しかしながら、移動局は、当然に、新しいセルからの電力制御に従う。
移動局又は新しい最良サーバーBTSの高速獲得は、セルがマイクロセルラー環境において非常に小さいので、問題にはならず、ソフトハンドオフに関連した別個のBTSの間の遅延差が最小限である(1チップ周期未満である)。
修正ソフトハンドオフモードは、ステップ10において、呼が終了するか、或いは、別のレイヤへ渡されるまで続く(たとえば、制御は、マイクロセルとは異なる周波数を有するピコセルへ移されるまで続く)。
図6に示された手続は、図5に示された手続よりも以下の点で有利である。
1.近傍セルの信号強度測定の高速化
セル選択の前に長い平均化時間を要する図5の手続に対し、図6の手続における新しい最良サーバー・セルの選択は、フレーム毎に行われる。高速フェージングを追跡する能力は、特に、高速フェージング・ヌルが20波長だけ離れる可能性があるマイクロセルの場合に望ましい。したがって、図6の手続は、マイクロセル環境内のシャドーイングを適切に取り扱うことができる。
2.近傍セル信号強度測定メッセージの回避
図6に示された手続において、セル選択は移動局で行われる。移動局は、選択された最良サーバー・セルの識別情報を送信するだけでよい。たとえば、4ビット・ワード(3ビットと1パリティ検査ビット)は、最大8個の異なるセルを選択するため使用される。これは、図5に示された手順における近傍セル測定結果報告よりも遥かにオーバーヘッドが少ない。また、待ち時間はさらに短縮される。その理由は、最良サーバー・セルを識別するメッセージが短く、図5における報告の場合のように多数のフレームに亘ってインターリーブさせる必要が無いからである。
3.既存の最良サーバー・セルと移動局との間のハンドオフ前のシグナリングの減少
現在の最良サーバー・セルと移動局との間で必要とされる唯一のシグナリングは、最良サーバー・セルを識別する継続中のUCM(セル選択メッセージ)である。移動局によって新しい最良サーバー・セルが識別された後、短いセル選択メッセージ(たとえば、4ビット・ワード)がハンドオフのため必要である。
4.新しい最良サーバー・セルと移動局との間のハンドオフ前のシグナリングの回避
新しい最良サーバー・セルは、要求された全てのチャネル割り当て情報と、移動局の既存の呼に関連したその他の情報とを有し、移動局は、アクティブ・セル・リスト中のBTSの全ての詳細について既にわかっているので、新しい最良サーバーBTSを選択するときに、移動局と新しい最良サーバーBTSとの間で付加的なシグナリングは必要が無い。
5.近傍セル信号強度測定及びメッセージング
図5のソフトハンドオフ手続において、信号強度測定は、数フレームに亘る平均化を必要とし、このため、新しい最良サーバー・セルの選択が遅れる。また、非常に長く、かつ、データ精度を要求する測定結果報告は、符号化及び/又はインターリーブを必要とするので、待ち時間が更に加わる。これらの問題点は、図6に示された手続では、上述の1.及び2.の理由によって解決されている。
6.前の最良サーバー・セルと移動局との間のソフトハンドオフ後のシグナリングの回避
図5におけるソフトハンドオフ手続との相違点として、図6における手続は、ハンドオフ完了メッセージが不要であり、移動局と前の最良サーバー・セルとの間でシグナリングが不要である。
7.固定ネットワークにおけるシグナリングの削減
固定ネットワークにおけるシグナリング必要量は、特に、同じBSCがソフトハンドオフ動作に関連した全てのアクティブBTSにサービスを提供する場合に、最低限に抑えられる。BSCが次の最良サーバー・セルの識別情報を(現在の最良サーバー・セルによって)通知されると、次のダウンリンク送信フレーム(或いは、場合によってはタイムスロット)は、適当なBTSへ送信され、送受信シーケンスを始動させる。
8.固定ネットワーク・バックホールの削減
図5に示されたソフトハンドオフ手続は、多数のセルとの間で一定の通信を必要とし、固定ネットワーク内で過剰なバックホール要求を生じる。これに対し、図6に示されたソフトハンドオフ手続は、ネットワーク・バックホールを著しく削減する。
図6の手続における最良サーバー・セル識別のため必要な継続的アップリンク・シグナリング(UCM)は、ネットワークのアップリンク容量を減少させることが認められる。容量損失の程度は、ネットワーク内で活性状態にあるサービスに依存する。しかし、音声及びビデオのような殆どのサーキット・スイッチ・サービスは、ダウンリンク容量が制限される。したがって、図6の手続は、一般的に、ネットワークの全体的な容量の上昇をもたらすことが期待される。
図7は、本発明の一実施例に使用される移動局の部品を示す構成図である。移動局20は、(たとえば、図示しない送受切替器を介して)受信部(Rx)24及び送信部(Tx)26に接続されるアンテナ素子22を有する。移動局20は、移動局20が現在通信しているBTSからのダウンリンク信号DSiを受信部24を通して受信する。ソフトハンドオフ制御部28は、アップリンク制御信号UCMを送信部26へ供給する。
図7の移動局に含まれるソフトハンドオフ制御部28の構成の一例は、図8に示されている。
図8において、ソフトハンドオフ制御部28は、信号強度測定部281と、最良サーバー選択部282と、メッセージ選択部283と、アクティブ・セル・リスト管理部284と、アクティブ・セル・リスト記憶部285とを有する。
図6の手続のステップ3において、移動局は、現在サービス中のBTS(BTSA)からアクティブ・セルのリストと、関連したパラメータとを受信する。この情報は、BTSAからの移動局によって受信されたダウンリンク信号の一つから、アクティブ・セル・リスト管理部284によって検出され、アクティブ・セル・リスト記憶部285に記憶される。
図6の手続のステップ4乃至9において、移動局が修正ソフトハンドオフモードで動作するとき、信号強度測定部281は、アクティブ・セル・リスト管理部284によって、アクティブ・セル・リスト記憶部に記憶されたアクティブ・リスト内の各セルの識別情報が供給される。このようなアクティブ・セル毎に、信号強度測定部281は、着目中のアクティブ・セルのCCCHの受信信号強度RSSの測定を行う。この測定は、たとえば、タイムスロットのようなフレームの一部分に亘って実行される。
各アクティブ・セルに対し得られた受信信号強度測定量RSSi(ここで、iはアクティブな組の中のセル数を表す)は、信号強度測定部281から最良サーバー選択部282へ供給され、最良サーバー選択部282は、異なるアクティブ・セルに対するRSS測定量を比較し、現在の最良サーバー・セルであるアクティブ/セルを決定する。
決定された最良サーバー・セルの識別情報IDBSは、最良サーバー選択部282によってメッセージ部283へ供給される。メッセージ部283は、移動局20の送信部26が現在の最良サーバー・セルへ送信できるように、アップリンク制御メッセージの形式を整える。このアップリンク制御メッセージは、データ送信の完全性を高めるため、必要に応じて、符号化及び/又はインターリーブされる。
最良サーバーの選択がRSS測定に基づいて行われることは不可欠ではないことが認められるであろう。各アクティブ・セルの信号対干渉比(SIR)のような他の測定量、或いは、種々の測定量の組み合わせ(たとえば、RSSとSIRの組み合わせ)に基づいて最良サーバーを選択してもよい。
また、信号強度測定部281は、アクティブな組の中の種々のBTSに関するRSS(及び/又はSIR)測定量の過去の履歴を記憶するため記憶部を具備してもよい。この場合、最良サーバー選択部282は、一時的な受信現象によって生ずる望ましくない影響や、BTS選択が非常に頻繁に変化することによって生ずる別の問題を回避するため、最良サーバーの選択に関してより複雑な意思決定を利用することができる。
新しい最良サーバー・セルが最良サーバー選択部282によって選択されたとき、アクティブ・セル・リスト管理部284は、アクティブ・セル・リスト記憶部285から、呼が設定される時点で先に受信された呼設定情報の中で新しい最良サーバー・セルに適用できる呼設定情報を取り出す。これにより、移動局は、新しい最良サーバー・セルとの通信用のアップリンクチャネル及びダウンリンクチャネルを、チャネル競合解消などを行うことなく、非常に素早くアクティブ状態にすることができる。
図9は、本発明の一実施例で使用されるBTS30の構成要素を示すブロック図である。BTS30は、図6の手続のステップ2における呼設定情報と、図6の手続のステップ5、7及び9においてMS20によって送信されたアップリンク制御メッセージUCMとを受信し、処理するように特に適合している。
アンテナ素子32は、(たとえば、図示しない送受切替器を介して)受信部34及び送信部36に接続される。ソフトハンドオフ制御部38は、受信部34からアップリンク信号USを受信し、受信したアップリンク信号US(又は、USから取り出された信号)を、BSCへ送信するため固定ネットワーク5に転送する。ソフトハンドオフ制御部38は、BSCからダウンリンク信号DSを受信し、受信したダウンリンク信号DS(又は、DSから取り出された信号)を、BTS30によってカバーされたセル領域内の移動局へ送信するため、送信部36へ選択的に転送する。
図10は、図9に示されたソフトハンドオフ制御部38の構成の一例を表す図である。
ソフトハンドオフ制御部38は、ダウンリンク部382及びアップリンク部383を有する転送用制御部381と、呼設定情報処理部384と、呼設定情報記憶部385と、アップリンク制御メッセージ処理部386と、最良サーバー比較部387と、アクティブ/休止状態制御部388と、新しい最良サーバー通知部389とを具備する。
既に説明した通り、呼が設定されたとき、現在のサービス提供中のセル(セルA)だけが呼設定処理に関連しているのではなく、所定のアクティブなセルの組内の各近傍セル(セルB)も呼設定処理に関連する。したがって、BTS30がこのような近傍セルのBTSである場合、図6に示された手続のステップ2において、BTSの呼設定情報処理部384は、BSCから設定中の呼に対する呼設定情報を受信する。呼設定情報は、この段階で休止状態BTSにおいて、無線リソース制御目的及びその他の統計的目的のため使用することができるが、或いは、後で使用される場合のために、呼設定情報記憶部385に記憶するだけでもよい。
呼設定情報が記憶された後、アクティブ/休止状態制御部388は、BTSを休止状態へ移す。休止状態では、送信機又は受信機のリソースがBTS内で移動局へ割り当てられない。
呼が設定されたとき(セルA)、BTS30が現在サービス提供中のセルのBTSである場合、図6の手続のステップ3において、呼設定情報処理部384は、BSCから受信したアクティブ・セル・リスト及び関連したパラメータを、転送用制御部381を介して、移動局への送信用の送信部36へ転送する。
BTS30がアクティブ状態であるとき、アップリンク制御メッセージ処理部386は、移動局からの逆方向DCCHを監視し、アップリンク制御メッセージUCMが逆方向DCCHに含まれている時点を検出する。このようなUCMが検出されたとき、アップリンク制御メッセージ処理部は、メッセージを処理し、移動局によって識別された最良サーバー・セルの識別情報IDBSをメッセージから取得する。最良サーバー識別情報IDBSは、BTSの固有のIDと比較される。比較の結果は、アクティブ/休止状態制御部388へ送られる。
アクティブ/休止状態制御部388において、アクティブ状態と休止状態の間の切り換えは、以下の通り行われる。BTSがアクティブ状態であり、取得されたIDBSがBTSの固有のIDと一致しない場合、アクティブ/休止状態制御部388は、新しい最良サーバー・セルが移動局によって選択されたと判定する。この場合、アクティブ/休止状態制御部388は、BTSを休止状態へ切り換え、制御信号を新しい最良サーバー通知部389へ供給し、新しい最良サーバー通知部389は、新しいサーバー・メッセージ(NSM)をBSCへ送信し、BSCに新しい最良サーバー・セルの識別情報IDBSを通知する。
これに対し、BTS30が休止状態であるとき、BTS30の受信部34は、移動局と通信しないので、この場合、アクティブ/休止状態制御部388は、BSCによって供給されたアクティブ状態メッセージASMによって、アクティブ状態に入るべきである旨が通知される。この場合、BTSのダウンリンク部382及びアップリンク部383は、BSCと着目中のMSとの間でアップリンク信号及びダウンリンク信号を転送するためアクティブ状態になる。
次に、図11及び12を参照して、本発明の更なる局面を説明する。
殆ど全ての既存のセルラー移動通信ネットワーク並びに提案中の将来のセルラー移動通信ネットワークは、移動局がエンド・アプリケーションへのコネクションを維持したままネットワーク中を移動することができるという原理に基づいて動作する。すなわち、移動局は、時々、一方のセルから別のセルへのハンドオフを実行しなければならないことを意味する。これにより、通常、移動局とネットワークの間の通信チャネルに変更が生じる。周波数再利用が隣接したセル間で要求されるので、この通信チャネルの変更は、従来から必要とされている。かくして、二つのセル間での移動局の受け渡しは、送信及び/又は受信搬送周波数を変更する必要があり、この搬送周波数は通信チャネルを実効的に定義していた。しかし、拡散スペクトラム変調、たとえば、IS95及びW-CDMAに基づく新しいセルラーネットワークの出現と共に、周波数再利用は必要では無くなり、全てのセルが同じ搬送周波数で動作する。このようなシステムの場合、二つの隣接したセルの間のハンドオフは、依然として移動局に、一つ以上の符号を用いて定義された移動局の通信チャネルを変更させる。
ハンドオフを実行する際にチャネルを変更するためには、屡々、インタフェース内でかなりのシグナリングが必要とされ、待ち時間が発生し、ネットワークの信頼性が低下する。
図11には、二つのセルを含むセルラーネットワークが示されている。このネットワークにおいて、各セルで使用される通信チャネルは、当該セルと関連付けられ、セルの特性として定義される。セルに対する通信チャネルは、
アナログシステムにおける搬送周波数と、
GSMシステムにおける搬送周波数及びタイムスロットと、
周波数ホッピングを行うGSMシステムにおける搬送周波数の組、タイムスロット、及び、ホッピングシーケンスと、
直接拡散符号分割多元接続(DS-CDMA)システムにおけるチャネル化符号、拡散符号又はスクランブル化符号(若しくは、これらの符号の組み合わせ)と、
によって定義される。
上記のタイプのチャネル定義の他に、チャネルは、周波数、時間、符号、及び、異なる多元接続ユーザーを区別することができるその他のパラメータの適当な組み合わせによって定義される。
図11のネットワークにおけるソフトハンドオフ動作の場合、移動局は、通常、一つの通信チャネルだけで送信することができるので、セルA及びBは、アップリンク方向で同じ通信チャネルを共用する必要がある。この共用チャネルは、一方のセル(セルA又はセルB)の特性であり、他方のセルはこのチャネルへ瞬時的にアクセスすることだけが許可される。ダウンリンク方向では、各セルは、同じ情報を送信するため別々の通信チャネルを使用し、移動局は、各チャネルを個別に復号化する。
図12は、本発明の上記の更なる局面を実現するセルラーネットワークを示す図である。このネットワークの場合、ネットワーク内でアクティブ状態にある各移動局は、固有の個別の通信チャネルが割り当てられる。すなわち、チャネルは、所定のセル内において、移動局の特性であり、ネットワークのどこからでも使用することができる。チャネルは、呼設定時に割り当てられ(かつ、そのときのネットワークの各BTS又は近くの各BTSへ通知され)、移動局が多数のセルと通信する場合であっても、一般的に、呼の区間を通じて変化することがない。ハンドオフ動作中に、ネットワークは、新しいサービス提供用基地局に、移動局へ割り当てられた通信チャネルを使用するよう指令する。ネットワークから新しいサービス提供用基地局へ、移動局との通信に使用する通信チャネルを識別するために情報を送信する必要が無い。なぜならば、この情報は、呼設定処理から全てのBTSへ知らされているからである。
たとえば、元のチャネルが特定のセルで既に使用中であるため、特定の移動局へ割り当てられたチャネルを、呼の途中に変更しなければならない場合がある。この場合、ネットワークは、全てのBTSへ、変更されたチャネルを通知する必要がある。
たとえば、セルB内の移動局が、ダウンリンク方向で、チャネル1(拡散符号1)及びスクランブル化符号1を使用し、最初にセルA内にある別の移動局は、チャネル1(拡散符号1)及びスクランブル化符号2(符号セット[1,2])を使用する場合を考える。別の移動局がセルAとセルBの間のソフトハンドオフ領域に移動したとき、セルB内のBTSは、この別の移動局と通信するため、チャネル1及びスクランブル化符号2を使用する。しかし、これは、セルB内で拡散符号1を使用する2台の移動局の符号セットの間に相互相関が生じ、多重使用干渉が起こることを意味する。このため、セルB内では既に符号セット[1,1]が使用されていることを考慮して、移動局がセルB内に移動し、ソフトハンドオフが完了した後、2台の移動局に割り当てられた符号セットの間で直交性が再現されるように、その移動局のチャネルを符号セット[2,1]へ変更するため、いわゆるイントラ・セル(セル内)ハンドオフが実行される。
ネットワーク全域で使用するための特定のチャネルを移動局へ割り当てることは、数台のBTSと同時に通信するためにアップリンクチャネルとダウンリンクチャネルの唯一のペアしか必要とされないので、ソフトハンドオフにも適用可能である。
特定の符号セットの移動局への割り当ては、セル(多重識別情報セル)毎に幾つかのスクランブル化符号が定義されている提案中の欧州広帯域CDMAシステム(UTRA)において容易に実現することができる。これらのスクランブル化符号は、ピコセル又はマイクロセルで使用するための有効符号セットの範囲を拡大するため、元の可変拡散係数(OVSF)ツリーのチャネル化符号とペアにすることができる。
チャネルが呼設定時に割り当てられる場合、割り当てられたチャネルは、呼区間の一部の間だけで使用され、次に、呼を継続するため別のチャネルへ切り換えられる。これにより、ネットワークのマイクロセル/ピコセル・レイヤ上で呼を開始し、ネットワークのマクロセル・レイヤ上で呼を継続させることが可能になる。
同様に、通常のハンドオフ(又は、ソフトハンドオフ)が使用される場合、割り当てられたチャネルは、幾つかのセルを横断し、呼を継続する間、維持され得る(すなわち、呼がネットワークのマクロセル上で開始され、マイクロセル/ピコセル・レイヤへ引き継がれる)。さらに、マイクロセル/ピコセル・レイヤで呼を終了させるのではなく、呼を終了する前に、呼をマクロセル・レイヤへ返すことも可能である。レイヤ間の多重ホップは、このようにして呼の間に生じ得る。
20 移動局
22 アンテナ素子
24 受信部
26 送信部
28 ソフトハンドオフ制御部
281 信号強度測定部
282 最良サーバー選択部
283 メッセージ選択部
284 アクティブ・セル・リスト管理部
285 アクティブ・セル・リスト記憶部
30 基地トランシーバー局
32 アンテナ素子
34 受信部
36 送信部
38 ソフトハンドオフ制御部
381 転送用制御部
382 ダウンリンク部
383 アップリンク部
384 呼設定情報処理部
385 呼設定情報記憶部
386 アップリンク制御メッセージ処理部
387 最良サーバー比較部
388 アクティブ/休止状態制御部
389 最良サーバー通知部

Claims (9)

  1. ネットワークの複数の基地トランシーバー局との通信に使用するため、同じアップリンクチャネル及び/又は同じダウンリンクチャネルがネットワークによってネットワークの移動局へ割り当てられ、
    前記移動局と前記複数の基地トランシーバー局の中の一つの基地トランシーバー局との間で呼を設定するために使用された呼設定情報が、前記複数の基地トランシーバー局の中の別の1又は複数の前記基地トランシーバー局に通知され、
    前記別の1又は複数の前記基地トランシーバー局は、前記移動局のハンドオーバ動作時に、予め通知されている前記呼設定情報を前記移動局に適用してチャネル設定し、
    移動局は、移動局が前記複数の基地トランシーバー局の中の一つの基地トランシーバー局から前記複数の基地トランシーバー局の中の別の基地トランシーバー局へハンドオフされるハンドオフ動作の前後で、前記割り当てられた同じチャネルを使用し、
    前記呼設定情報は、同一のサービス・レートと、チャネル化符号と、スクランブル化符号の中の少なくとも一つを含む、
    ことを特徴とするセルラー通信ネットワーク。
  2. 同じ搬送周波数が、アップリンク及び/又はダウンリンク方向で前記複数の基地トランシーバー局の中の全ての基地トランシーバー局と通信するため、移動局へ割り当てられる、
    請求項1記載のセルラー通信ネットワーク。
  3. 同じ搬送周波数及び同じタイムスロットが、ダウンリンク及び/又はアップリンク方向で前記複数の基地トランシーバー局の全ての基地トランシーバー局と通信するため、移動局へ割り当てられる、
    請求項1記載のセルラー通信ネットワーク。
  4. 同じ搬送周波数の組と、同じタイムスロットと、同じホッピングシーケンスが、アップリンク方向及び/又はダウンリンク方向で前記複数の基地トランシーバー局の全ての基地トランシーバー局と通信するため、移動局へ割り当てられる、周波数ホッピングを利用する、
    請求項1記載のセルラー通信ネットワーク。
  5. 同じ符号のセットが、アップリンク方向及び/又はダウンリンク方向で前記複数の基地トランシーバー局の全ての基地トランシーバー局と通信するため、移動局へ割り当てられる、符号分割多元接続(CDMA)ネットワークである
    請求項1記載のセルラー通信ネットワーク。
  6. 同じアップリンクチャネル及び/又は同じダウンリンクチャネルの移動局への割り当ては、ネットワークと移動局の間で呼が設定されたときに行われ、
    割り当てられた同じアップリンクチャネル及び/又は同じダウンリンクチャネルは、呼の全部の区間又は一部の区間に、前記複数の基地トランシーバー局の中の異なる基地トランシーバー局との通信のため移動局によって使用される、
    請求項1乃至5のうちいずれか一項記載のセルラー通信ネットワーク。
  7. 同じアップリンクチャネル及び/又は同じダウンリンクチャネルは、ネットワークの全ての基地トランシーバー局との通信に使用するため、ネットワークによって移動局へ割り当てられる、
    請求項1乃至6のうちいずれか一項記載のセルラー通信ネットワーク。
  8. 割り当てられたチャネルはトラヒックチャネルである、
    請求項1乃至7のうちいずれか一項記載の通信ネットワーク。
  9. 前記ハンドオフ動作は、前記移動局がネットワークの二つ以上の基地トランシーバー局と通信するソフトハンドオフ動作である、
    請求項1乃至8のうちいずれか一項記載の通信ネットワーク。
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