JP4709725B2 - 染毛剤組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、染毛剤組成物に関する。
毛髪の染色には、アルカリ剤、酸化剤等の共存下での酸化染料中間体(プレカーサーとカップラー)の酸化カップリング反応を利用した染毛剤組成物が広く使用されている。しかしながら、酸化剤を含有する染毛剤組成物は毛髪損傷を引き起こし易く、その結果キューティクルのリフトアップや剥離、システイン酸の生成、毛髪内脂質の減少が生じるだけでなく、染毛した髪の感触や外観が悪くなりやすい。感触や外観の悪化現象としては、シャンプー時又は乾燥時に指のひっかかり感、きしみ感、ごわつき感等を生じたり、髪の色つや、まとまりが悪くなったりすることが知られている。このような毛髪損傷は、染色又は脱色を繰り返すと蓄積されるために毛先部分で顕著であり、その症状として毛先部分の跳ねやうねりにつながる。また、根元部分と毛先部分での損傷度の違いは、染色むらが生じやすくなったり、毛先部分の色がシャンプーによる洗髪で落ちやすくなったりする等の問題も引き起こす。
そこで毛髪損傷及び感触・外観の悪化を解決する1つの方法として、コンディショニング作用を持つ添加剤を使用することが行われている。例えば、酸化染毛剤にある種のアミノ変性ポリシロキサン等のシリコーン誘導体を添加すること(特許文献1参照)、カチオン性ポリマーを添加すること(特許文献2参照)などが提案されている。しかしこれらのコンディショニング成分は、十分な効果を発揮するのに必要な量を配合すると染色力又は脱色力を低下させてしまうという欠点があり、満足しうるものではなかった。
毛髪を真直ぐにする方法としては、特定の有機酸とスルホン酸、及び有機溶剤を併用することにより、高温を使用せずとも可能なくせ毛の矯正方法が提案されている(特許文献3参照)。しかしながら、これは、くせ毛を矯正するものであり、毛髪の損傷などにより毛先に生じる跳ねやうねりを抑えて本来の状態に回復させたり、感触の悪化を抑えたりできるものではなく、また染色力・脱色力を満足させるものでもなかった。
特開昭63-51315号公報 米国特許第4362528号明細書 特開平8-92043号公報
したがって、本発明の目的は、過度の傷みの蓄積した毛先に生じる跳ねやうねりを抑えて本来の状態に回復させ、毛髪の感触悪化を抑え、かつ根本から毛先まで均一に染色(脱色)することができる染毛剤組成物を提供することにある。
本発明者らは、酸化剤及びアルカリ剤を含有する染毛剤組成物に、以下の一般式(1)で表されるアンモニウム塩を特定量含有させることにより、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は、成分(a)、(b)及び(c)を含有する染毛剤組成物を提供するものである。
(a)一般式(1)で表され、全炭化水素基R1中、炭素数10以下の炭化水素基の占める割合が、R1の化学式量として30〜100%、残余が炭素数11以上の炭化水素基である第4級アンモニウム塩
Figure 0004709725
〔式中、R1は、炭素数6〜18の炭化水素基を示し、R2及びR3は同一でも異なってもよい炭素数1〜3のアルキル基を示し、nは0〜2の整数を示し、X-はアニオンを示す。〕
(b)酸化剤
(c)アルカリ剤
本発明の染毛剤組成物は、毛髪の傷みの蓄積による損傷、特に毛先に生じる跳ねやうねりを抑えて本来の状態に回復させて、感触の悪化を抑えることができ、根本から毛先まで均一に染色(脱色)することができる。
本発明において、「染毛剤」とは、染料を含む毛髪染色剤に加え、染料を含まない毛髪脱色剤をも包含する。また、「染色する」とは、染料を含む染毛剤では毛髪を脱色すると共に染めることであり、染料を含まない脱色剤では毛髪を脱色することをいう。
本発明の染毛剤は、アルカリ剤を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤よりなる二剤型として、又は、更に第3剤として過硫酸塩等の造粒物からなる粉末状酸化剤を組み合わせてなる三剤型の形態をとる。以下、本発明において「全組成物」とは、二剤型の場合には第1剤及び第2剤を混合した使用直前の組成物全体をいい、三剤型の場合は、第1剤、第2剤及び第3剤を混合した使用直前の組成物全体をいう。
成分(a)は、一般式(1)で表される第4級アンモニウム塩であり、一般式(1)中のR1で示される炭素数6〜18の炭化水素基は、鎖長に分布を有していてもよく、炭素数10以下の炭化水素基の占める割合が、R1の化学式量として30〜100%、残余が炭素数11以上の炭化水素基であるが、好ましくは、炭素数10以下の炭化水素基の占める割合が、R1の化学式量として60〜100%、特に90〜100%、残余が炭素数11以上の炭化水素基である。R1で示される炭化水素基は、飽和及び不飽和、直鎖状及び分岐鎖状のいずれであってもよく、アルキル基及びアルケニル基、特にアルキル基が好ましい。R2及びR3はメチル基が好ましく、nは1が好ましい。X-のアニオンとしては、ハロゲン化物イオンが好ましい。ハロゲン化物イオンとしては、フッ化物イオン、塩化物イオン、ヨウ化物イオン、臭化物イオン等が挙げられ、このうち塩化物イオンが好ましい。
成分(a)の例として、ヘキシルベンジルジメチルアンモニウムクロリド、オクチルベンジルジメチルアンモニウムクロリド、デシルベンジルジメチルアンモニウムクロリド、これらの混合物等を挙げることができる。
成分(a)の第4級アンモニウム塩の含有量は、洗髪中の感触の良さ及び安定性の観点から、全組成物中の0.05〜5質量%であるが、さらに0.05〜3質量%、特に0.1〜2質量%が好ましい。
成分(b)の酸化剤は、第2剤に含まれる(成分(b)としての酸化剤には、第3剤に使用される過硫酸塩は含まない)。酸化剤としては、過酸化水素、及び過酸化水素又は酸素の発生剤である過酸化尿素、過酸化メラミン、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム等が挙げられ、特に過酸化水素が好ましい。
成分(b)は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。成分(b)の酸化剤の含有量は、十分な染毛・脱色効果、及び毛髪損傷や頭皮刺激の低減の点から、過酸化水素換算量として全組成物中の0.1〜12質量%、更には0.5〜9質量%、特に1〜6質量%が好ましい。
成分(c)のアルカリ剤としては、アンモニア及びその塩;モノエタノールアミン、イソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチルプロパノール、2-アミノブタノール等のアルカノールアミン及びその塩;1,3-プロパンジアミン等のアルカンジアミン及びその塩;炭酸グアニジン、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸塩等が挙げられる。第1剤は、アルカリ剤を含有する。
これらのアルカリ剤は、2種以上を併用してもよく、またその含有量は、十分な染毛・脱色効果の点、及び毛髪損傷や頭皮刺激の低減の点から、全組成物中の0.05〜15質量%、更には0.1〜10質量%、特に0.2〜5質量%が好ましい。
上記アルカリ剤のうち、アンモニア、アルカノールアミン及びそれらの塩が好ましい。アンモウム塩としては、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムが好ましく、アルカノールアミン及びその塩としてはモノエタノールアミン及びその塩が好ましい。アンモニア、アルカノールアミン及びそれらの塩を用いる場合、これらの含有量が下記範囲であることが好ましい。すなわち、全組成物中のアンモニア及びその塩をアンモニアとして換算した場合の含有量(X)と、モノエタノールアミン及びその塩をモノエタノールアミンとして換算した場合の含有量(Y)の合計が、十分な染毛・脱色効果の点、及び毛髪損傷や頭皮刺激、嗅覚刺激の低減の点から、全組成物中の0.05〜15質量%、更には0.1〜10質量%、特に0.2〜5質量%であることが好ましい。また、質量比X:Yが、0.01:1〜10:1、更には0.02:1〜5:1、特に0.05:1〜3:1であることが好ましい。
本発明の染毛剤組成物は、第1剤に直接染料又は酸化染料中間体を含有することができる。
直接染料としては、酸性染料、ニトロ染料、分散染料、塩基性染料、特開2003-342139号公報記載の直接染料等が挙げられる。酸性染料としては、青色1号、紫色401号、黒色401号、だいだい色205号、赤色227号、赤色106号、黄色203号、酸性橙3等が挙げられ、ニトロ染料としては、2-ニトロパラフェニレンジアミン、2-アミノ-6-クロロ-4-ニトロフェノール、3-ニトロ-p-ヒドロキシエチルアミノフェノール、4-ニトロオルトフェニレンジアミン、4-アミノ-3-ニトロフェノール、4-ヒドロキシプロピルアミノ-3-ニトロフェノール、HC青2、HC橙1、HC赤1、HC黄2、HC黄4、HC黄5、HC赤3、N,N-ビス-(2-ヒドロキシエチル)-2-ニトロパラフェニレンジアミン等が挙げられ、分散染料としては、分散紫1、分散青1、分散黒9等が挙げられ、塩基性染料としては、塩基性青99、塩基性茶16、塩基性茶17、塩基性赤76、塩基性赤51、塩基性黄57、塩基性黄87、塩基性橙31等が挙げられる。
直接染料は、2種以上を併用してもよく、酸化染料中間体と併用してもよい。直接染料の含有量は、全組成物中の0.001〜5質量%、特に0.01〜3質量%が好ましい。
酸化染料中間体としては、通常染毛剤に使用されている公知のプレカーサー及びカップラーを用いることができる。プレカーサーとしては、例えばパラフェニレンジアミン、トルエン-2,5-ジアミン、オルトクロルパラフェニレンジアミン、N-フェニルパラフェニレンジアミン、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)パラフェニレンジアミン、3-メチル-4-アミノフェノール、2-ヒドロキシエチルパラフェニレンジアミン、パラアミノフェノール、パラメチルアミノフェノール、4-アミノ−メタクレゾール、オルトアミノフェノール、及びこれらの塩等が挙げられる。
また、カップラーとしては、例えばレゾルシン、2-メチルレゾルシン、1-ナフトール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、5-アミノオルトクレゾール、メタフェニレンジアミン、メタアミノフェノール、2,4-ジアミノフェノキシエタノール、2,6-ジアミノピリジン、2-メチル-5-ヒドロキシエチルアミノフェノール、2-アミノ-3-ヒドロキシピリジン、及びこれらの塩等が挙げられる。
プレカーサーとカップラーは、それぞれ2種以上を併用してもよく、その含有量はそれぞれ全組成物中の0.01〜5質量%、特に0.1〜4質量%が好ましい。
本発明の染毛剤組成物には、界面活性剤を含有することができる。界面活性剤としては、カチオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、アニオン界面活性剤のいずれを使用することもできる。
カチオン界面活性剤としては、モノ長鎖アルキル四級アンモニウム塩が好ましく、具体的には、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化アラキルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム等が挙げられ、特に塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムが好ましい。
非イオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、高級脂肪酸ショ糖エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、高級脂肪酸モノ又はジエタノールアミド、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、アルキルサッカライド系界面活性剤、アルキルアミンオキサイド、アルキルアミドアミンオキサイド等が挙げられる。これらのうち、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテルが特に好ましい。
両性界面活性剤としてはイミダゾリン系、カルボベタイン系、アミドベタイン系、スルホベタイン系、ヒドロキシスルホベタイン系、アミドスルホベタイン系等が挙げられる。
アニオン界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル又はアルケニルエーテル硫酸塩、アルキル又はアルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α-スルホン脂肪酸塩、N-アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノ又はジエステル型界面活性剤、スルホコハク酸エステル等が挙げられる。アルキルエーテル硫酸塩としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩が挙げられる。これら界面活性剤のアニオン性残基の対イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン;カルシウムイオン、マグネシウムイオン等のアルカリ土類金属イオン;アンモニウムイオン;炭素数2又は3のアルカノール基を1〜3個有するアルカノールアミン(例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等)を挙げることができる。
界面活性剤の含有量は、感触、乳化性能の点で、全組成物中の0.1〜30質量%、特に0.5〜20質量%が好ましい。
本発明の染毛剤組成物は、カチオン性ポリマーを、第1剤、第2剤及び第3剤のいずれか1以上に含有してもよい。
カチオン性ポリマーとは、カチオン基又はカチオン基にイオン化され得る基を有するポリマーをいい、全体としてカチオン性となる両性ポリマーも含まれる。すなわち、カチオン性ポリマーとしては、ポリマー鎖の側鎖にアミノ基又はアンモニウム基を含むか、又はジアリル4級アンモニウム塩を構成単位として含む水溶液のもの、例えばカチオン化セルロース誘導体、カチオン性澱粉、カチオン化グアーガム誘導体、ジアリル4級アンモニウム塩の重合体又は共重合体、4級化ポリビニルピロリドン誘導体等が挙げられる。これらのうち、特にシャンプー時の柔らかさ、滑らかさ及び指の通り易さ、乾燥時のまとまり易さ及び保湿性という効果及び剤の安定性の点から、ジアリル4級アンモニウム塩を構成単位として含むポリマー、4級化ポリビニルピロリドン誘導体、カチオン化セルロース誘導体が好ましく、ジアリル4級アンモニウム塩の重合体又は共重合体、カチオン化セルロース誘導体がより好ましい。
ジアリル4級アンモニウム塩の重合体の骨格としては、次の一般式(2)又は(3)で示されるものが好ましい。
Figure 0004709725
〔式中、R4及びR5は同一でも異なってもよく、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、アリール基(フェニル基等)、ヒドロキシアルキル基、アミドアルキル基、シアノアルキル基、アルコキシアルキル基又はカルボアルコキシアルキル基を示し、R6及びR7は同一でも異なってもよく、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基又はフェニル基を示し、An-は陰イオン(塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硫酸アニオン、スルホン酸アニオン、メチル硫酸アニオン、リン酸アニオン、硝酸アニオン等)を示す。〕
ジアリル4級アンモニウム塩と共重合体を構成するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸又はこれらの塩、アクリルアミドが挙げられ、特にアクリル酸、メタクリル酸又はこれらの塩が好ましい。アクリル酸、メタクリル酸又はこれらの塩とジアリル4級アンモニウム塩との共重合体は、ジアリル4級アンモニウム塩の構成比率が高く、全体としてカチオン性ポリマーとなる。
ジアリル4級アンモニウム塩の重合体又は共重合体の具体例としては、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド重合体(ポリクオタニウム-6,例えばマーコート100;ONDEO Nalco社)、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド/アクリル酸共重合体(ポリクオタニウム-22,例えばマーコート280,同295;ONDEO Nalco社)、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド/アクリルアミド共重合体(ポリクオタニウム-7,例えばマーコート550;ONDEO Nalco社)等が挙げられ、なかでもマーコート280、同295が好ましい。
4級化ポリビニルピロリドン誘導体としては、次の一般式(4)で表されるものが好ましい。
Figure 0004709725
〔式中、R8は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示し、R9、R10及びR11は同一でも異なってもよく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アミドアルキル基、シアノアルキル基、アルコキシアルキル基又はカルボアルコキシアルキル基を示し、Bは酸素原子又はイミノ基を示し、rは1〜10の整数を示し、sとtはその和が20〜8000となる数を示し、An-は前記と同じ意味を示す。〕
本発明で用いられる4級化ポリビニルピロリドン誘導体の分子量としては1万〜200万、特に5万〜150万が好ましい。市販品としては、ガフコート734、同755、同755N(以上、アイエスピー・ジャパン社)等が挙げられる。
カチオン化セルロース誘導体としては、例えば次の一般式(5)で表されるものが好ましい。
Figure 0004709725
〔式中、Gはアンヒドログルコース単位の残基を示し、fは50〜2万の整数を示し、R12は、それぞれ次の一般式(6)で表される置換基を示す。〕
Figure 0004709725
〔式中、R13及びR14は炭素数2又は3のアルキレン基を示し、gは0〜10の整数を示し、hは0〜3の整数を示し、iは0〜10の整数を示し、R15は炭素数1〜3のアルキレン基又はヒドロキシアルキレン基を、R16、R17及びR18は同一でも異なってもよく、炭素数10までのアルキル基、アリール基又はアラルキル基を示し、また式中の窒素原子を含む複素環を形成してもよい。An-は前記と同じ意味を示す。〕
カチオン化セルロース誘導体のカチオン置換度、すなわちアンヒドログルコース単位当りのhの平均値は反応収率の点より、0.01〜1、特に0.02〜0.5が好ましい。また、g+iの合計は平均1〜3が好ましい。ここで用いるカチオン化セルロース誘導体の分子量は10万〜300万が好ましい。市販品としては、レオガードG、同GP(以上、ライオン社)、ポリマーJR-125、同JR-400、同JR-30M、同LR-400、同LR-30M(以上、ユニオンカーバイド社)等が挙げられる。その他のカチオン化セルロース誘導体としてはヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリドが挙げられ、市販品としてはセルコートH-100、同L-200(以上、ナショナルスターチアンドケミカル社)等が挙げられる。
これらカチオン性ポリマーは、2種以上を併用してもよく、感触の向上の点から、カチオン性ポリマーの含有量は、全組成物中の0.001〜20質量%が好ましく、更には0.01〜10質量%、特に0.05〜5質量%が好ましい。
本発明の染毛剤組成物は、優れた使用感を付与するために、シリコーン類を含有することが好ましい。シリコーン類としては、ポリシロキサン類、変性シリコーン類(例えば、アミノ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、アルキル変性シリコーン等)、環状ポリシロキサンが挙げられるが、ポリシロキサン類、アミノ変性シリコーンが好ましく、特にジメチルポリシロキサンとアミノ変性シリコーンを併用することがより好ましい。
ポリシロキサン類としては、例えば、数平均重合度1000以上、更には1500以上、特に2000以上20000未満の高重合シリコーンが挙げられ、SH200-1,000,000cs(東レ・ダウコーニング社)、TSF451-100MA(GE東芝シリコーン社)、BY11-026(東レ・ダウコーニング社;高重合シリコーンの低粘度シリコーンによる希釈溶液)、KF9008(信越シリコーン社;高重合シリコーンの環状シリコーンによる希釈溶液)、BY22-050A(東レ・ダウコーニング社;高重合シリコーンのカチオンエマルション)、BY22-060(東レ・ダウコーニング社;高重合シリコーンを低粘度シリコーンで希釈した溶液のカチオンエマルション)、BY22-020(東レ・ダウコーニング社;高重合シリコーンを流動パラフィンで希釈した溶液のカチオンエマルション)、KM904(信越シリコーン社;高重合シリコーンを低粘度シリコーンで希釈した溶液のカチオンエマルション)等として市販されているものを用いることができる。
アミノ変性シリコーンとしては、アミノ基又はアンモニウム基を有するシリコーン類であればよく、例えば、末端水酸基の全て又は一部がメチル基等で封鎖されたアミノ変性シリコーンオイル、末端が封鎖されていないアモジメチコーンなどがある。好ましいアミノ変性シリコーンとしては、以下の一般式(7)で表されるものが挙げられる。
Figure 0004709725
〔式中、R19は水酸基、水素原子又はRを示し、Rは置換又は非置換の炭素数1〜20の一価炭化水素基を示し、DはR、基−R'−(NHCH2CH2)mNH2、基OR又は水酸基を示し、R'は炭素数1〜8の二価炭化水素基を示し、mは0〜3の数を示し、p及びqはその和が数平均で、10以上20000未満、好ましくは10以上3000未満、より好ましくは30以上1000未満、更に好ましくは40以上800未満となる数を示す。アミノ当量は200g/mol〜10万g/mol、好ましくは200g/mol〜3万g/mol、より好ましくは400g/mol〜1万g/mol、更に好ましくは600g/mol〜5000g/molである。〕
アミノ変性シリコーンの好適な市販品の具体例としては、SF8451C(東レ・ダウコーニング社、粘度600mm2/s、アミノ当量1700g/mol)、SF8452C(東レ・ダウコーニング社、粘度700mm2/s、アミノ当量6400g/mol)、SF8457C(東レ・ダウコーニング社、粘度1200mm2/s、アミノ当量1800g/mol)、KF8003(信越化学工業社、粘度1850mm2/s、アミノ当量2000g/mol)、KF867(信越化学工業社、粘度1300mm2/s、アミノ当量1700g/mol)等のアミノ変性シリコーンオイルや、SM8704C(東レ・ダウコーニング社、アミノ当量1800g/mol)等のアモジメチコーンエマルションが挙げられる。また、アミノ変性シリコーンオイルは、エマルションの形で配合してもよい。アミノ変性シリコーンのエマルションは、機械的乳化(アミノ変性シリコーンと水との高剪断機械混合)、化学的乳化(アミノ変性シリコーンを水及び乳化剤で乳化)、若しくはこれらの組み合わせによって、又は乳化重合によっても調製することができる。
上記シリコーン類の総含有量は、十分な効果とベタツキの抑制の点から、本発明染毛剤組成物の全組成物中の0.02〜40質量%が好ましく、更には0.1〜20質量%、特に0.2〜15質量%が好ましい。また、各シリコーン類の含有比率は、次式で表される換算アミノ当量が、500〜10万g/molとなる範囲が好ましく、更には1000〜8万g/mol、特に2000〜5万g/molとなる範囲が好ましい。
換算アミノ当量(g/mol)=〔全組成1g中の全シリコーン類の総質量(g/g)〕/〔全組成1g中のアミノ変性シリコーンのアミノ基、イミノ基及びアンモニウム基の総モル数(mol/g)〕
ここで、「全組成1g中の全シリコーン類の総質量(g/g)」、及び「全組成1g中のアミノ変性シリコーンのアミノ基、イミノ基及びアンモニウム基のモル数(mol/g)」は、以下のようにして求める。
まず、第1剤と第2剤(三剤型の場合には、更に第3剤)の各々からシリコーン類を分画し、各剤中の全シリコーン類の総質量(g)及びアミノ変性シリコーンのアミノ基、イミノ基及びアンモニウム基の総モル数(mol)を定量する。そして全組成における各剤の混合比率を勘案し、「全組成1g中の全シリコーン類の総質量(g/g)」、並びに「全組成1g中のアミノ変性シリコーンのアミノ基、イミノ基及びアンモニウム基の総モル数(mol/g)」を算出する。
シリコーン類及びカチオン性ポリマーを含有する場合、全組成物中のカチオン性ポリマー(アクティブ量):シリコーン類の質量比は、50:1〜1:50が好ましく、50:1〜1:10がより好ましい。
本発明の染毛剤組成物には、感触改善、安定性の観点から、第1剤、第2剤及び第3剤のいずれか1以上に、高級アルコールを含有することが好ましい。これは、界面活性剤と構造体を形成して染毛剤組成物の分離を防ぐと共に、すすぎ時の感触を改善する効果がある。
高級アルコールとしては、炭素数8〜22、特に16〜22のものが好ましく、具体的には、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等、及びこれらの混合物が挙げられる。
高級アルコールは、2種以上を併用してもよく、またその含有量は、全組成物中の0.01〜20質量%、特に0.1〜10質量%が好ましい。
本発明の染毛剤組成物には、媒体として、水及び必要により有機溶剤が使用される。有機溶剤としては、エタノール、2-プロパノール等の低級アルカノール類、ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール等の芳香族アルコール類、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、ジエチレングリコール、グリセリン等のポリオール類、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類、エチルカルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール類が挙げられる。
本発明の染毛剤組成物には、上記成分のほかに通常化粧品原料として用いられる他の成分を加えることができる。このような任意成分としては、炭化水素類、動植物油脂、高級脂肪酸類、天然又は合成の高分子、エーテル類、蛋白誘導体、加水分解蛋白、アミノ酸類、防腐剤、キレート剤、安定化剤、酸化防止剤、植物性抽出物、生薬抽出物、ビタミン類、香料、紫外線吸収剤が挙げられる。
本発明の染毛剤組成物は、使用時(混合時)の25℃におけるpHが8〜12であるが、染毛・脱色効果と皮膚刺激性の点から特にpHが9〜11であるのが好ましい。pH調整剤としては、成分(c)アルカリ剤のほか、塩酸、リン酸等の無機酸、クエン酸、グリコール酸、乳酸等の有機酸、塩酸モノエタノールアミン等の塩酸塩、リン酸二水素一カリウム、リン酸一水素二ナトリウム等のリン酸塩等が挙げられる。また、混合前の第1剤のpHは8〜12が好ましく、混合前の第2剤のpHは2〜5が好ましい。
本発明の染毛剤組成物は、成分(c)アルカリ剤を含有する第1剤と過酸化水素等の成分(b)酸化剤を含有する第2剤からなる二剤型として、又は脱色力向上のため、更に第3剤として過硫酸塩(過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等)等の造粒物からなる粉末状酸化剤を組み合わせてなる三剤型として提供される。
第1剤及び第2剤の剤型は、例えば、液状、乳液状、クリーム状、ゲル状、ペースト状、ムース状などとすることができ、エアゾール形態とすることもできる。第1剤と第2剤(三剤型の場合は更に第3剤)を混合し、毛髪に塗布したときに液だれしにくいような粘度になることが望ましく、本発明の染毛剤組成物は、25℃においてヘリカルスタンド付きB型回転粘度計(B8R型粘度計、TOKIMEC社)で測定した全組成物の粘度が2000〜10万mPa・sであるのが好ましい。ここで、粘度は、ローターT-Cを用い、10rpm、1分間回転させた後の値とする。
本発明の染毛剤組成物は、後記実施例に示すとおり、傷みの蓄積による跳ねやうねりを真直ぐにする効果を示すので、例えば、染毛剤組成物による傷みの蓄積した毛髪に対して好適に用いられる。本発明の染毛剤組成物を用いて染毛処理するには、例えば本発明の組成物の第1剤と第2剤(三剤型の場合は更に第3剤)を使用直前に混合した後、毛髪に適用し、所定時間放置後、洗い流し、乾燥すればよい。毛髪への適用温度は15〜45℃が好ましく、適用時間は1時間以内が好ましく、3〜45分間、更に5〜30分間、特に10〜30分間がより好ましい。この場合、まず染毛剤を水で軽く洗い流した後、アニオン界面活性剤を含有するシャンプーを用いて洗髪し、次いで水洗すると、染毛剤組成物にカチオン性ポリマー及びシリコーン類を用いる場合には、カチオン性ポリマーは適度に流出し、シリコーン類は適度に毛髪に残留し、良好なコンディショニング効果を示す。シャンプーとしては、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス-1 硫酸ナトリウム、ラウレス-2 硫酸ナトリウム、ラウレス-3 硫酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤を5〜20質量%程度含有する一般的な水性シャンプーが好適である。
実施例1〜6及び比較例1〜5
表3及び表4に示す組成からなる第1剤、及び表5に示す組成からなる第2剤を常法により調製した。得られた第1剤及び第2剤を組み合わせてなる染毛剤組成物について、以下の評価方法によって、「すすぎ時の滑らかさ」、「傷みの蓄積によるうねりの発生を抑制する効果」、「毛先の跳ねやうねりを真直ぐな状態にする効果」及び「染色性」を調べた。結果を表3及び表4にそれぞれ併せて示す。
「すすぎ時の滑らかさ」
長さ20cm、幅1.5cm、重さ1.0gの未化学処理毛束に、表3又は表4に示す組成からなる第1剤と、表5に示す組成からなる第2剤をそれぞれ1:2の質量比で混合し、浴比(剤:毛髪)=1:1で塗布した。この際、使用直前の染毛剤組成物のpHは9.90であった。25℃で30分放置した後、約40℃の水ですすいだ。すすぎ時の滑らかさについて、5人のパネラーにより以下の評価基準に従って評価した。表3及び表4には、評価の合計点を示した。
・評価基準
4:よく滑る
3:やや滑る
2:あまり滑らない
1:滑らない
「傷みの蓄積によるうねりの発生を抑制する効果」
長さ20cm、幅1.5cm、重さ1.0gの未化学処理毛束に、表3又は表4に示す組成からなる第1剤と、表5に示す組成からなる第2剤をそれぞれ1:2の質量比で混合し、浴比(剤:毛髪)=1:1で塗布した。25℃で30分放置した後、約40℃の水ですすぎ、表1に示す組成からなるシャンプーで洗浄、水洗し、表2に示す組成からなるリンスを塗布した後、水ですすぎ、タオルで拭き、乾燥させた。その後、洗髪と乾燥を90回繰り返した。このような染毛剤の塗布から洗髪と乾燥90回の繰り返しまでの過程を8回繰り返した。その後、目視により毛先のうねりの発生具合を評価した。評価は5人のパネラーにより以下の評価基準に従って行い、表3及び表4にはその評価の合計値を示した。
・評価基準
4:うねりが発生していない
3:あまりうねりが発生していない
2:ややうねりが発生している
1:うねりが発生している
「毛先の跳ねやうねりを真直ぐな状態にする効果」
あらかじめブリーチ処理を8回、洗髪と乾燥を720回繰り返したダメージ毛を用いて作成した、長さ20cm、幅1.5cm、重さ1.0gの毛束に、表3又は表4に示す組成からなる第1剤と表5に示す組成からなる第2剤をそれぞれ1:2の質量比で混合し、浴比(剤:毛髪)=1:1で塗布した。25℃で30分放置した後、約40℃の水ですすぎ、表1に示す組成からなるシャンプーで洗浄、水洗し、表2に示す組成からなるリンスを塗布した後、水ですすぎ、タオルで拭き、乾燥させた。その後、目視により以下の評価基準で毛先の跳ねやうねりの取れ具合を評価し、毛先の跳ねやうねりを真直ぐな状態にする効果とした。評価は5人のパネラーにより以下の評価基準に従って行い、表3及び表4にはその評価の合計値を示した。
・評価基準
4:うねりが取れている
3:ややうねりが取れている
2:あまりうねりが取れていない
1:うねりが取れていない
Figure 0004709725
Figure 0004709725
「染色性」
表3又は表4に示す組成からなる第1剤と表5に示す組成からなる第2剤とをそれぞれ1:2の質量比で混合し、浴比(剤:毛髪)=1:1で毛束に塗布した。毛束としては、山羊毛又はダメージ毛を用いた。ダメージ毛は、中国人の毛髪にブリーチ処理を8回、洗髪と乾燥を720回繰り返して作製した。25℃で30分放置した後、約40℃の水ですすぎ、表1に示す組成からなるシャンプーで洗浄、水洗し、表2に示す組成からなるリンスを塗布した後、水ですすぎ、タオルで拭き、乾燥させた。このように処理して得られた毛束の色合いを、色差計(コニカミノルタセンシング社製色彩色差計CR-400)を用いてCIE表色系(L*,a*,b*)で計測し、下記の式によりΔE*を算出した。ΔE*が大きいほど染色性が優れている。表3及び表4に、ΔE*の値を示すとともに、実施例1及び比較例1の第1剤を用いた染毛剤組成物については、具体的な値を表6に示す。
Figure 0004709725
Figure 0004709725
Figure 0004709725
Figure 0004709725
Figure 0004709725
表3、表4及び表6に示すとおり、実施例1〜6の染毛剤組成物は、すすぎ時の感触がなめらかで、傷みの蓄積によるうねりの発生を抑制でき、また、傷みの蓄積による毛先の跳ねやうねりを真直ぐな状態にする効果に優れ、かつ、染色性も優れたものであった。
実施例7〜12
表7及び表8に示す組成からなる第1剤を常法により調製し、表5に示す組成からなる第2剤と組み合わせてなる染毛剤組成物について、実施例1〜6と同様に評価した。実施例7〜12の染毛剤組成物は、すすぎ時の感触がなめらかで、傷みの蓄積によるうねりの発生を抑制でき、また、傷みの蓄積による毛先の跳ねやうねりを真直ぐな状態にする効果に優れ、かつ、染色性も優れたものであった。
Figure 0004709725
Figure 0004709725
実施例13〜18
表3又は表4に示す組成からなる第1剤1〜6の1質量部に対して、表5に示す組成にからなる第2剤1質量部、及び表9に示す組成からなる第3剤0.3〜1質量部を組み合わせてなる染毛剤組成物(順に実施例13〜18)について、これらの成分を混合した後、30℃でダメージ毛に適用し、30分間の作用時間を置いて毛髪を表1に示す組成からなるシャンプーで洗浄し乾燥した。ダメージ毛としては、ブリーチ処理を8回、洗髪と乾燥を720回繰り返して作製したものを用いた。
得られた染色毛の色調を観察した結果、実施例13〜18の染毛剤組成物のいずれも、染色性・シャンプー堅牢性が良好であった。また、実施例1〜6についての方法と同様の方法で評価したところ、これらの染毛剤組成物も、すすぎ時の感触がなめらかで、傷みの蓄積によるうねりの発生を抑制でき、また、傷みの蓄積による毛先の跳ねやうねりを真直ぐな状態にする効果に優れ、かつ、染色性も優れたものであった。
Figure 0004709725

Claims (2)

  1. 成分(a)、(b)及び(c)を含有する染毛剤組成物。
    (a)一般式(1)で表され、全炭化水素基R1中、炭素数10以下の炭化水素基の占める割合が、R1の化学式量として30〜100%、残余が炭素数11以上の炭化水素基である第4級アンモニウム塩
    Figure 0004709725
    〔式中、R1は、炭素数6〜18の炭化水素基を示し、R2及びR3は同一でも異なってもよい炭素数1〜3のアルキル基を示し、nは0〜2の整数を示し、X-はアニオンを示す。〕
    (b)酸化剤
    (c)アルカリ剤
  2. 成分(a)を全組成中0.05〜5質量%含有する請求項1記載の染毛剤組成物。
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