JP4709382B2 - 安定な神経幹細胞系 - Google Patents
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Description
発明の背景
1 .発明の分野
本出願は、安定な神経幹細胞系とニューロン前駆細胞系を樹立するための系統的かつ効率的方法を開示する。得られる細胞系は、正常な核型と正常なニューロン表現型を維持しながら、ヒトおよび他の哺乳動物ニューロンの強靭かつ単純で、再現性のある培養物を商業的に有用な量で提供する。
【0002】
2.関連技術の説明
発生中の胎児脳は、発達して成体脳の細胞になるすべての細胞と、これらを組織化してニューロンの最終網状構造を作るのに必要なすべてのプログラムを含んでいる。発生の初期段階では、神経系は胚芽細胞で占められ、発生の以後の段階でここから他のすべての細胞(主に、ニューロン、星状細胞および乏突起膠細胞)が誘導される。正常な脳の発達の前駆細胞であるそのような胚芽細胞は、これらの胚芽細胞が単離され、増殖され、成熟細胞型に分化するならば、遺伝子ベースの治療および細胞ベースの治療に理想的であろう。
【0003】
基礎的研究と治療への応用の両方に対する単離された初代細胞の有用性は、単離された細胞が脳の中の細胞にどの程度似ているかに依存する。発生中の脳にどれだけの異なる種類の神経前駆細胞があるかは不明である。しかし、いくつかの特徴的な型の細胞が存在する:
ニューロンのみに対する単分化能前駆体(「約束された神経前駆細胞」または「神経芽細胞」)、
乏突起膠細胞のみに対する単分化能前駆体(「乏突起神経膠芽細胞」)、
星状細胞のみに対する単分化能前駆体(「神経膠芽細胞」)、
ニューロンまたは乏突起膠細胞、ニューロンまたは星状細胞、および乏突起膠細胞または星状細胞のいずれかになることができる二分化能前駆体、および
3つの型の細胞のいずれかに分化する能力を維持する多分化能前駆体。
【0004】
CNS幹細胞は、哺乳動物の中枢神経系(CNS)のすべての主要な型の細胞(ニューロン、星状細胞、および乏突起膠細胞を含む)に分化する固有の性質を有する多分化能前駆細胞である。CNS幹細胞の単離と分化方法および分化した細胞型の性状解析法は、すでに米国特許第5,753,506号(Johe)に詳細に記載されている。簡単に説明すると、CNS幹細胞は、唯一の分裂促進因子として塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGF)を含有する化学的に規定された無血清培地で増殖される。その培養条件は、大量培養物およびクローン性培養物の両方として、長期間、CNS幹細胞のほぼ純粋な集団を与える。
【0005】
しかしCNS幹細胞の分裂促進能力は有限である。従来の培養条件では、約30回の細胞倍加(この時点で、大多数の細胞は、神経分化能力を喪失し、多分化能幹細胞としてよりグリア前駆体として増殖する)を超えてCNS幹細胞を増殖することは困難であった。この限界の機序はいまだに不明である。
【0006】
本発明者らは、分裂性CNS幹細胞が、有糸分裂のG1期に細胞周期に入ることを抑制する1種以上の自己分泌性因子を分泌すると仮定した。これは、bFGFの分裂作用に有効に拮抗し、分化経路を開始するであろう。すなわち、これは、CNS幹細胞の増殖を自己制御し、in vivoで発生中のニューロンとグリアの形成を制限する作用機序である。高い細胞密度が、bFGFの存在下でもかつ継代時間に無関係に、CNS幹細胞を迅速に分化させるという観察結果は、この作用機序に一致している。
【0007】
30回の細胞倍加は、細胞の109倍の増殖をもたらすが、CNS幹細胞のさらに顕著な増殖方法は、商業的価値が高いであろう。本明細書において我々は、CNS幹細胞中のc-mycタンパク質の構成的活性化は、高細胞密度で自然発生的分化を防止し、グリア分化に対する抵抗性を与え、60回を超える細胞倍加分裂能を与えることを開示する。従って本方法は、CNS幹細胞の1018倍を超える増殖を与える。
【0008】
発明の概要
本出願は、in vitroで哺乳動物の神経前駆細胞の安定な細胞系を産生する方法を開示する。本方法は、無血清培地中で神経前駆細胞の培養物を調製する工程;第1の分裂促進因子の存在下で神経前駆細胞を培養する工程(ここで、第1の分裂促進因子は、aFGF、bFGF、EGF、TGFαおよびこれらの組合せよりなる群から選択される);該細胞に取り込まれてc-myc遺伝子を発現することができる物質に該細胞を接触させる工程;および第1の分裂促進因子と第2の分裂促進因子とを含有する培地中で該細胞をさらに培養する工程(ここで、第2の分裂促進因子はaFGF、bFGF、EGF、TGFα、血清およびこれらの組合せよりなる群から選択されるが、第2の分裂促進因子は第1の分裂促進因子とは異なるものである)を含んでなる。
【0009】
本方法の好適な実施形態において、c-myc遺伝子は他のDNA成分と融合されており、ここで該他のDNA成分は、エストロゲン受容体、アンドロゲン受容体、プロゲステロン受容体、グルココルチコイド受容体、甲状腺ホルモン受容体、レチノイド受容体、およびエクジソン受容体のリガンド結合ドメインよりなる群から選択される少なくとも1つの成分を含んでなる。
【0010】
本方法の別の好適な実施形態において、第1の分裂促進因子と第2の分裂促進因子とを含有する培地は、β−エストラジオール、RU38486、デキサメタゾン、甲状腺ホルモン、レチノイドおよびエクジソンよりなる群から選択されるmyc活性化化学物質をさらに含む。
【0011】
本方法のさらに好適な実施形態において、哺乳動物の神経前駆細胞はヒト由来のものである。本方法の別のより好適な実施形態において、哺乳動物の神経前駆細胞は、多能性の胚性幹細胞のin vitro培養物から得られる。
【0012】
本出願はまた、本方法に従って産生される細胞系を開示する。この細胞系の好適な実施形態において、該細胞は、ニューロン、星状細胞および乏突起膠細胞に分化する多分化能を保持する。この細胞系の他の好適な実施形態において、該細胞は、ニューロンと星状細胞または星状細胞と乏突起膠細胞に分化する二分化能を保持する。
【0013】
前記細胞系のより好適な実施形態において、該細胞は、ニューロンまたは星状細胞に分化する単分化能を保持する。
【0014】
本出願はまた、in vitroで哺乳動物の神経前駆細胞の安定なクローン性細胞系を産生する方法を開示する。本方法は、無血清培地中で神経前駆細胞の培養物を調製する工程;第1の分裂促進因子の存在下で神経前駆細胞を培養する工程(ここで、第1の分裂促進因子は、aFGF、bFGF、EGF、TGFαおよびこれらの組合せよりなる群から選択される);該細胞に取り込まれてc-myc遺伝子と選択マーカーを発現することができる物質に該細胞を接触させる工程;および第1の分裂促進因子と第2の分裂促進因子とを含有する培地中で該細胞をさらに培養する工程(ここで、第2の分裂促進因子は、aFGF、bFGF、EGF、TGFα、血清およびこれらの組合せよりなる群から選択されるが、第2の分裂促進因子は第1の分裂促進因子とは異なるものである);c-myc処理細胞を回収し、これを、選択マーカーを含まずかつ第1の分裂促進因子と第2の分裂促進因子とを含有する培地中でc-myc処理細胞の生存を支援することができるフィーダー細胞と共培養する工程(ただし、第2の分裂促進因子は第1の分裂促進因子とは異なるものである)とを含んでなる。
【0015】
本方法の好適な実施形態において、c-myc遺伝子は他のDNA成分と融合されており、ここで該他のDNA成分は、エストロゲン受容体、アンドロゲン受容体、プロゲステロン受容体、グルココルチコイド受容体、甲状腺ホルモン受容体、レチノイド受容体、およびエクジソン受容体のリガンド結合ドメインよりなる群から選択される少なくとも1つの成分を含んでなる。
【0016】
本方法の別の好適な実施形態において、第1の分裂促進因子と第2の分裂促進因子とを含有する培地は、β−エストラジオール、RU38486、デキサメタゾン、甲状腺ホルモン、レチノイドおよびエクジソンよりなる群から選択されるmyc活性化化学物質をさらに含む。
【0017】
本方法のさらに好適な実施形態において、哺乳動物の神経前駆細胞はヒト由来のものである。本方法の別のより好適な実施形態において、哺乳動物の神経前駆細胞は、多能性の胚性幹細胞のin vitro培養物から得られる。
【0018】
本出願はまた、本方法に従って産生される細胞系を開示する。この細胞系の好適な実施形態において、該細胞は、ニューロン、星状細胞および乏突起膠細胞に分化する多分化能を保持する。この細胞系の他の好適な実施形態において、該細胞は、ニューロンと星状細胞または星状細胞と乏突起膠細胞に分化する二分化能を保持する。
【0019】
前記細胞系のより好適な実施形態において、該細胞は、ニューロンまたは星状細胞に分化する単分化能を保持する。
【0020】
好適な実施形態の詳細な説明
培養物中の神経細胞は形成性が高い。血清のような最適ではない培養条件下に短時間接触させても、細胞の表現型に対して小さいが有意な長期的作用を有する。ほとんどすべての報告された神経培養物は、分裂促進因子の主要な供給源として血清を使用する。我々および他の研究者は、幹細胞と他の細胞の本質的分化能力を維持するためには、血清への細胞の暴露を減少させることが決定的に重要であり、無血清培地中の別個の増殖因子(特に、bFGF)および/または表皮増殖因子EGF)は、種々の異なる型の細胞を、単一の培養物中で増殖させることができることを証明した(Johe、米国特許第5,735,506号;Weissら、米国特許第5,851,832号)。
【0021】
各型の細胞についての特定の分子マーカーの非存在下では、単一の培養物中に存在しうる何千もの可能な異なる型の神経細胞を単離することは現実的ではなかった。以前の研究で我々は、培養物中に種々の異なるニューロンを与える方法および別個のCNS幹細胞集団の組成物を記載した。ここでは、神経細胞の分化能を安定化させかつ安定なクローン性細胞系を単離するための、c-myc遺伝子の過剰発現を利用する再現性がありかつ効率的な方法を説明する。
【0022】
連続的継代でCNS幹細胞は、ニューロンに分化する能力を徐々に喪失して、グリア前駆細胞になる。このプロセスを加速する条件には、増殖中の高細胞密度、細胞外マトリックス被覆表面への細胞の付着の不足、グリア促進因子(例えば、CNTF(毛様体神経栄養因子)、LIF(白血病阻害因子)、BMP(骨形態発生因子)および血清)への暴露がある。CNS幹細胞の神経分化能のこの不安定性を克服するために、我々は、その活性が細胞外分子であるβ−エストラジオールの有無により制御することができる、細胞性癌原遺伝子c-mycを細胞に導入した。
【0023】
融合遺伝子を有するヒトおよびラットCNS幹細胞を、培養培地中の分裂促進因子とβ−エストラジオールの継続的存在下で増殖させた。細胞の増殖は、有意により強固であり、より速い分裂速度、自然分化への抵抗、および増殖中のより大きな全体的安定性を示す。細胞は、新生物性形質転換または異常増殖パターンもしくは形態の兆候を示さなかった。分裂促進因子とβ−エストラジオールを除去すると、細胞は速やかに分化を開始し、ニューロンとグリアに特徴的な不均質な形態を示した。神経分化は効率的であり、未改変の親CNS幹細胞と本質的に区別できない分子発現パターン、ニューロン特異的タンパク質の局在化、および細胞形態と挙動を示した。
【0024】
ニューロン集団は、種々の神経伝達物質表現型から構成され、ニューロン中にチロシンヒドロキシラーゼ陽性ドーパミン作動性表現型を10〜20%含んでいた。かかる神経分化能は、60回の細胞倍加を超えて安定であり、幹細胞由来のニューロンとグリアの数が少なくとも1×1018倍増加した。すなわち、本明細書に記載の遺伝的改変と幹細胞培養法は、発生中の哺乳動物の脳のすべての領域に由来する実質的に無限な数のCNS幹細胞の安定な単離を可能にし、各CNS幹細胞クローンは、潜在的に異なるニューロンのサブタイプを無限に生み出す。その結果として、成熟脳の多様な細胞表現型を示す異なる分子/遺伝子レパートリーを有する哺乳動物ニューロン(ヒトを含む)のライブラリーが得られる。
【0025】
実施例
c-Myc- エストロゲン受容体発現レトロウイルスの構築
SV40プロモーター制御下にネオマイシン耐性遺伝子を含有するレトロウイルスベクターをEcoRIで線状化し、ヒトc-Myc cDNAとヒトエストロゲン受容体cDNAとの融合遺伝子をコードするDNAのEcoRI断片に連結した(Eilerら、1989, Nature 340: 60-68)。融合遺伝子を、MMLV長末端反復配列(LTR)の制御下に置いた。最終的なレトロウイルスベクターpMycERの全体的配列を、図1に示す。
【0026】
プロデューサー細胞系の作成
MycERレトロウイルスを安定に産生する細胞系を樹立するために、両栄養性パッケージング細胞系を、pMycERプラスミドでトランスフェクションした。安定なクローンをG418(1mg/ml、Life Technology Inc.,メリーランド州)で4週間かけて選択した。常法に従ってHela細胞に対する高力価産生について、20個のクローンをスクリーニングした。ラット線条体幹細胞の感染による測定で、105pfu/mlのレトロウイルス力価を有する細胞系MycER.10を以後の実験のために選択した。
【0027】
ラットとヒトの CNS 幹細胞の感染
ラットとヒトのCNS幹細胞を、既に報告された方法(米国特許第5,753,506号)に従って調製した。継代1の細胞を、100mmのプレートにつき0.5×106細胞でプレートし、無血清N2培地+10ng/ml bFGF中でさらに3日間増殖させた。MycER.10細胞を、DMEM/10%胎児牛血清中で50〜75%コンフルエンスになるまで増殖させ、次にDMEMで3回洗浄し、レトロウイルス採取培地(IFM)中で4〜16時間インキュベートした。IFMは、DMEM中の標準的N2成分(25mg/Lヒト組換えインスリン、100mg/Lヒトアポトランスフェリン、プロゲステロン、プトレッシン、亜セレン酸ナトリウム)+10ng/ml bFGFと1μg/mlのヒト血漿フィブロネクチン(hFN)から成っていた。IFMを含有するレトロウイルスを、1400rpmと3000rpmで2回遠心分離して清澄化した。上清を、最終濃度がそれぞれ10ng/mlと1μg/mlの新鮮なbFGFとhFNと、1:1の比で新鮮なN2に混合させ、50〜75%コンフルエントなCNS幹細胞培養物にアプライした。感染期間は典型的には6時間であった。ヒトCNS幹細胞は、2〜3日の期間で1〜3回感染させて、その遅い分裂速度を補った。次に細胞を、Ca2+とMg2+を含まないハンクス平衡塩類溶液(HBSS)で3回洗浄し、継代し、さらにN2+10ng/ml bFGFで増殖した。
【0028】
MycER 発現 CNS 幹細胞の選択
MycERレトロウイルスの安定に取り込んだCNS幹細胞を、感染後1〜2日に継代し、0.5×106細胞/100mmプレートで再度プレートし、感染の2日後から0.1〜0.2mg/mlのG418(pH7.4)で選択した。完全な最適増殖培地(IGM)は、DMEM/F12(1:1)、25mg/Lヒト組換えインスリン、100mg/Lヒトアポトランスフェリン、プロゲステロン、プトレッシン、亜セレン酸ナトリウム、10ng/ml bFGF、0.2μM β−エストラジオール、0.1mg/ml G418、および10ng/ml EGFまたは1%胎児牛血清から成っていた。新鮮なbFGF(10ng/ml、最終濃度)を毎日加え、培地を2日毎に交換した。細胞を、HBSSで3回洗浄し、トリプシン(1×)処理して、約50〜75%コンフルエンスで継代した。トリプシン活性は、大豆トリプシンインヒビター(1mg/ml最終濃度)を加えて停止させた。
【0029】
クローンの単離
14日間のG418処理の最後に、細胞を継代し、100mmプレート当たり約200〜1000細胞を再度プレートした。プレートした24時間以内に、充分単離した1種類の細胞を、培養プレートの底に3mmの丸でマークした。時に、完全な培養培地を、細胞の生存理率を高めるために高細胞密度の同じ細胞により調整した培地の等量と混合した。マークしたクローンを、クローニングリングの使用とトリプシン処理により採取した。個々のクローンを、大量培養して増殖し、凍結保存した。
【0030】
培養条件は、高密度培養物のためのものと同じであったが、こうして作成したほとんどすべてのクローンは、結局グリア形態を取り、ニューロンに分化しなかった。すなわち、血清の存在下でのMycER改変細胞は、その本来の分化能力を維持し生存するために、比較的高細胞密度を必要とすることが明らかになった。従って、MycER発現細胞のクローン性密度を未改変初代幹細胞で補足することにより、細胞密度を、0.5×106〜1.0×106細胞/100mmプレートの範囲で維持した。0.1mg/ml G418で5〜8日間にわたっって抗生物質選択を維持することにより、フィーダー細胞集団は徐々に死滅し、一方その最適増殖を維持するためにG418耐性MycER細胞の局所的細胞密度は徐々に上昇した。抗生物質選択は、以後の増殖の間維持され、すべての残存細胞がMycER改変細胞であることを確実にした。
【0031】
神経幹細胞に加え、ヒトおよびラット起源の未成熟グリア細胞および成熟星状細胞とも有効であった。繊維芽細胞も有効であったが、その急速な増殖速度とG418に対する強い耐性のために、管理が困難であった。ニューロンもまた有効でありうるが、分裂後の性質のために、G418に対してより耐性になった。ガンマ線照射したかまたは分裂インヒビター(例えば、アラビノシドCまたはマイトマイシン)で処理した非分裂性繊維芽細胞および他の非神経細胞もまた、c-myc改変神経細胞を維持するのに有効でありうる。
【0032】
分裂が増強された CNS 幹細胞の分化と特性評価
100,000細胞/cm2またはより高細胞密度で細胞をプレートし、増殖培地をbFGF、血清、およびβ−エストラジオールを含まないN2で置換することにより、MycERを安定に発現するCNS幹細胞を分化させた。典型的には、免疫組織学的分析の6〜30日前に、細胞を分化させた。
【0033】
結果
1. CNS 幹細胞の分裂能力を強化する追加因子の探索
唯一の分裂促進因子としてbFGFを含むN2培地中のヒトCNS幹細胞の倍加時間は約60時間であり、これは、同一培養条件下のラットCNS幹細胞の24時間よりも著しく遅い。これは、特定の細胞の自律性における種差、例えば、DNA複製速度または細胞周期の他の分裂期(G1またはG2)の差によるものかも知れない。我々は、ヒトCNS幹細胞の分裂速度を加速する他の因子を調査した。
【0034】
bFGFの分裂活性を強化する能力に関して、多くの精製組換えヒト増殖因子を試験した。ヒトCNS幹細胞の分裂速度は、分裂標識物であるブロモデオキシウリジン(BrdU)を24時間で取り込んだ細胞の割合を測定することにより評価した。bFGFに加えて各増殖因子を、1日1回培養物に供給した。bFGF+EGFおよびbFGF+TGFα(トランスフォーミング増殖因子α)の組合せだけが、ヒトCNS幹細胞のbFGF誘導分裂速度を超えて加速した。両方の条件において、細胞の倍加時間は、bFGF単独の1.5倍の40時間に増大した。bFGFと1%又は10%の胎児牛血清との組合せもまた、CNS幹細胞のbFGF誘導分裂速度としてのBrdU取り込み速度を、同様な速度まで加速させた。
【0035】
2.自然分化に対する CNS 幹細胞の抵抗性
EGF、TGFα、1% FBS、または10% FBS+bFGFは、ヒトCNS幹細胞の分裂速度を増大させたが、このような条件下でさえ、CNS幹細胞は、コンフルエントに近い細胞密度では自然分化を受けやすく、また、多回継代培養ではグリア前駆細胞状態に陥りがちである。CNS幹細胞の分裂能力の強化およびニューロン分化能力に対する安定性を向上させるために、我々は、MMLV長末端反復配列の下にヒトc-mycとヒトエストロゲン受容体遺伝子との融合タンパク質を発現するレトロウイルスベクターを構築した(図1)。
【0036】
分裂している哺乳動物CNS幹細胞を、高い効率で両栄養性レトロウイルスに感染させ、生じた細胞をG418処理に対する耐性により選択した。融合タンパク質(MycER)におけるc-mycの転写活性は、培地中のエストロゲン受容体リガンドであるβ−エストラジオールの有無により制御した。さらに、長末端反復配列のプロモーター活性は、ニューロンへのCNS幹細胞分化中は封じられており、有効にMycER転写産物を排除している。分裂促進因子の除去、β−エストラジオールの欠失、及びLTRの転写活性の制限の組合せによって、未改変親細胞と区別がつかないような、CNS幹細胞の効率的な構成的分化が起こった。
【0037】
ヒト胎児脳の種々の部位および発生段階のものに由来するCNS幹細胞を、継代1でMycER発現レトロウイルスで感染させた。感染細胞をG418耐性により選択して、bFGF、10ng/mlのEGFまたは1%のFBS、およびβ−エストラジオールを含むN2B培地(フェノールレッドを含まないN2)中で増殖させた。MycER自体の発現は、細胞の分裂速度に有意な変化を引き起こさなかった;しかしEGFおよび/またはFBSの添加によって、分裂速度が有意に増大して、培養物の総合的な安定性が強化された。強固に増殖した細胞は、安定な形態を多数回の連続的継代培養にわたって維持し、そしてコンフルエントに近い細胞密度においてさえ、自然分化を伴わないその多分化能性を持続していた。増殖培地を、分裂促進因子とβ−エストラジオールを含まないN2Bで置換すると、幹細胞は急速に分化して、ニューロン、星状細胞および乏突起膠細胞が生じた。
【0038】
3.分裂強化 CNS 幹細胞系の増殖能力
MycER改変ヒトCNS幹細胞系の分裂および分化能力の程度を確かめるために、細胞を連続80日間増殖させ、感染から12回の継代培養により増殖させた。この間その時点の細胞数の計算上の増大分を定量し、各継代時の細胞収量を測定して分裂速度の経時的安定性を測定した(図2)。全体的に、細胞は約54回の倍加を重ねて細胞数が1015倍増大した。細胞の倍加時間は、1分裂あたり約40時間と顕著に一定であり、親の初代ヒトCNS幹細胞の時間と同じである(図2)。
【0039】
また、同じヒトCNS幹細胞調製物を、MycERレトロウイルスに感染させ、bFGF単独、またはbFGFとEGF中で増殖させた。分裂促進因子としてbFGF単独では、MycER発現CNS幹細胞は、未改変細胞よりも強化された分裂能力を示したが、bFGF+1%FBSよりもはるかに小さい増殖能力であった。未改変親細胞と同様に、MycER細胞もまた、bFGF単独で60時間の倍加時間を保持した。一方、bFGF+EGFでは、MycER発現幹細胞は、分裂速度の増大、分裂能力の増大、ニューロン分化能力の安定性の増大を示し、そしてbFGF+1%FBS条件と全く同様に自然分化に対して抵抗性であった。MycER発現がないとき、同じ3つの条件によって、増殖の同様なパターンが得られたが、安定性は低かった。重要なことに、bFGF+1%FBS条件は、より効率的な細胞増殖を引き起こすが、必ずニューロン分化能力の消失をもたらした。これは、これらの細胞における構成的c-myc機能は非常に小さいことを証明している:これは、より安定な多分化能と分裂能力の強化を提供するが、明白な分裂促進因子非依存性や形質転換は提供しない。
【0040】
構成的に活性なc-mycのこれらの効果もまた、ラットおよびヒト胎児脳の全ての部位に由来するCNS幹細胞にも拡張できるであろう。
【0041】
4. MycER 強化 CNS 幹細胞のニューロン分化
MycER強化CNS幹細胞を、外来因子の添加なしに、分裂促進因子とβ−エストラジオールを培地から除去することにより分化させた。ニューロンおよびグリア細胞の形態の分岐は、2日以内に起こり始めた。第3日目には、ニューロンの形態は明らかに識別可能であった。ニューロンは、そこから3〜5週間かけて完全に機能性のニューロンへ成熟し続けた。
【0042】
異なる継代数でのMycER強化ヒトCNS幹細胞からの分化培養物を、種々の異なる細胞型特異的抗体を用いる免疫組織化学により分析した。分化の10日目に、全細胞の約50%が、MAP2c、タウ、およびチューブリンIIIbタンパク質(全て、比較的初期のニューロン分化のマーカー)を発現した。全細胞の約20〜30%は、ニューロンの成熟マーカーであるMAP2aおよびMAP2bタンパク質を発現した。種々の神経フィラメント抗体が、ニューロンの同様の比を示した。ニューロンの中で、約70%がGABA陽性であった。また同様の比率のニューロンがカルレチニン(calretinin)陽性であった。ニューロンの約10〜20%が、ドーパミンの重要な生合成酵素であるチロシンヒドロキシラーゼ(TH)を発現した。すべての免疫陽性ニューロンは典型的なニューロンの形態を示し、グリア細胞マーカーGFAPを同時発現しなかった。すなわち、MycER強化細胞系は、種々の神経伝達物質表現型を示すニューロンを高率に発生させるように分化する。
【0043】
ニューロンの割合と神経伝達物質表現型は、多数回の継代を通じて安定であった(図3A〜L)。54回の幹細胞倍加の初めから終わりまで、ニューロンの割合と種々の生成する神経伝達物質表現型の両方において、ニューロン分化能力の低下はなかった。
【0044】
5.領域特異的幹細胞系
神経幹細胞の単離に使用される無血清培養条件は、多数回の細胞分裂を通じて、領域同一性およびその関連神経伝達物質表現型の安定な遺伝を可能とした。このことは、ニューロンとグリア細胞に分化するその能力において同じではあっても、培養中の幹細胞が極めて多様であることを意味する。すなわち、培養開始時の各幹細胞を、その未変性状態で不死化することができ、かつこの方法が、単一の培養皿において何千もの幹細胞をサンプリングするのに好適であれば、多様なニューロン表現型は、細胞系の形で永久に「捕捉」することができるであろう。
【0045】
c-mycによる神経幹細胞の遺伝子改変によって、強固で非常に再現性が高くかつ安定な細胞培養系が得られた。改変プロセス自体は、非常に効率的であり、2日間にわたって1回のレトロウイルス感染あたり5,000〜50,000個の独立クローンが得られる。これは、必要であれば、レトロウイルス粒子を増大させるか、または標的細胞密度の数を増大させることにより、容易にスケールアップできるであろう。
【0046】
c-mycの過剰発現が、神経伝達物質表現型の分化能力に影響するかどうかを確かめるために、ラットおよびヒトの胎児脳の多くの異なる領域からの幹細胞を、MycERレトロウイルスにより改変した。これらの領域は、皮質、中隔、海馬、中脳、菱脳 、線条、および脊髄を含んでいた。本方法の再現性を評価するために、いくつかの異なる在胎齢からの皮質、中脳、および脊髄培養物の多数の例を検査した。全てのケースで、得られる独立したクローンのプールは、非常に再現性の高いニューロン対グリア細胞の比を示した。予想されるように、ニューロンの形態、抗原性プロフィール、およびその相対比もまた、領域毎に細胞系で明確に識別できた。
【0047】
すなわち、8週齢のヒト胎児の中脳組織由来のいくつかの細胞系のプールを検査すると、全細胞の約0.1%が一貫してTH陽性ドーパミン作動性ニューロンであったが、これはまた未改変幹細胞培養物において見い出される比である。クローン分析によって、TH発現はクローン的に制限されていることが明らかになった。すなわち、大多数のクローンは、THを発現するニューロンを含まなかった。これらを含有したものでは、その比はクローンごとに様々であった。17〜20週齢のヒト胎児の皮質組織由来の細胞系のいくつかのプールも検査した。興味深いことに全ての皮質細胞は、未改変幹細胞に比較して著しく増大したTH陽性ニューロンを発生させた。TH陽性ニューロンの比は、全細胞の2〜4%であった。次にクローン分析によって、TH陽性ニューロンの分布における類似したパターンが明らかになった。大多数はなにも含んでいなかったが、THを生成するものは、種々の比で存在していた。このパターンはまた、いくつかの異なる領域由来の未改変幹細胞のクローン、およびいくつかの異なる抗原マーカーで観察されていた。
【0048】
6〜10週齢のヒト胎児の脊髄由来の細胞系も樹立した。ニューロン分化のパターンは、他の領域由来のものと同じであったが、これらの幹細胞形態および増殖特性は特異的であった。
【0049】
このように、c-mycによる神経幹細胞の遺伝子改変は、本来備わっている分化能力を変化させない。全ての細胞系において長期連続培養期間を通して、腫瘍形成または他の異常形質転換の証拠は得られなかった。継代14の1つのプールのヒト皮質細胞系の核型分析により、異常型再配列を伴わない正常倍数染色体パターンが観察された。すなわち、通常すべての真核生物細胞に存在する細胞遺伝子であり、かつ細胞周期機構の周知の重要なレギュレーターであるc-mycによる分裂能力の制御は発ガン性ではなく、かつv-mycやSV40ラージT抗原のようなウイルス癌遺伝子を使用する他の方法よりも著しく有利である。
【0050】
6.他の細胞型
c-mycによる遺伝子改変は、培養期間のいつでも行うことができる。c-myc自体の発現は分裂促進性ではなく非形質転換性であるため、特定の神経前駆細胞集団の増殖を促進する培養条件が必要である。aFGF(酸性繊維芽細胞増殖因子)、bFGF、EFGおよびTGFαのような精製した増殖因子は、種々の異なる神経細胞型を増殖させることができる。上記の説明の多くは、1つの優勢な細胞集団としての多分化能CNS幹細胞に関するものであったが、クローン分析中にいくつかの異なる細胞型が観察された。
【0051】
1つの重要な細胞集団は、分化すると、乏突起膠細胞が明らかに存在せずに、ニューロンと星状細胞が発生する二分化能前駆細胞であった。これらの二分化能前駆細胞は、増殖中の形態が多分化能幹細胞とほとんど同様であった。分化パターンも同様であって、約50%のニューロンと50%の星状細胞が発生した。すなわち、2つの細胞集団の間の重要な確定的な差は、分化培養物に乏突起膠細胞が存在しないことである。
【0052】
初代神経培養物のc-myc改変に由来して発生する第2の細胞集団は、ニューロンのみからなる単分化能ニューロン前駆細胞クローンであった。これらのニューロン前駆細胞クローンは、クローンサイズが小さく、増殖中に識別し得る未成熟なニューロンの形態をとっており、そしてタウタンパク質および/またはベータ−チューブリンIIIを発現した。例を図5に示す。2つの識別し得る細胞型が観察された(図5A)。1つの型は、細胞体から分岐した非常に短い単一の突起を有する小型の細胞であり、これらは密な集団になった。分裂中、これらの細胞は、抗タウ抗体と免疫反応性であったが、抗チューブリンIIIb抗体とは反応しなかった(図5b)。他の型の細胞は、拡張的な分岐なしに識別し得るように延長した神経突起を有する細胞であり、より小さくばらつきあるパターンを示し、高い遊走能力を示唆した。第1の型とは対照的に、これらはまた抗タウ抗体と抗チューブリンIIIb抗体の両方と免疫反応性であった(それぞれ図5Cおよび5D)。しばしば第2の細胞型は、第1の細胞型の近くにまたはこれと混合して見い出されたが、このことは、これらがニューロン前駆細胞になることが約束された、単一の連続的系統の2つの段階であることを示唆している(タウ+/TuJ1+状態がより成熟した状態)。
【0053】
c-myc改変神経細胞培養物から発生する第3の細胞集団は、グリア細胞のみからなるクローンの集団であった。これらのクローンの多くは、ほとんどまたは全く乏突起膠細胞を含まない星状細胞であった。
【0054】
これらの結果は、多くの神経前駆細胞系統が、c-mycの過剰発現に対して同様に応答することを示している。哺乳動物の神経系組織から調製した初代神経培養物に加えて、胚性幹細胞培養物における最近の進歩は、種々の神経前駆細胞が、in vitroで分化全能または分化多能胚性幹細胞および長期培養で維持される細胞系の分化の間に生じることを示している(Renoncourtら, Mech. Dev. (1998) 78, 185;Svendsenら, Trends Neurosci. (1999) 22, 357;Brustleら, Science (1999) 285, 754)。これらの培養物は、ネスティング陽性神経前駆細胞を生じさせることができ、次にこれらを無血清培地に移し、次いでbFGFおよび/またはEGFと共に短期間増殖させることができる。初期の神経前駆細胞の形成が効率的でないため、長期の大量増殖は未だ実現可能になっていない。しかし本明細書に記載されるc-myc遺伝子による遺伝子改変法を利用することにより、これらの一時的な神経前駆細胞を、安定な細胞系に変えることができる。
【0055】
多分化能神経幹細胞を含む神経前駆細胞は、成体の脳から単離することができ、かつ無血清条件で培養することができる。しかしこの方法は、効率的でなく少数の増殖性細胞しか得られない。しかし本明細書に記載されるようなc-myc遺伝子の移送により、神経組織生検試料から得られるこのような少数の細胞から安定な細胞系を樹立することができる。
【0056】
c-mycは、細胞周期制御の他に、アポトーシスのような多くの異なる細胞内プロセスに関与している。c-mycは従来は、非神経由来細胞を形質転換するために使用されてきた。しかし、これらの以前の研究は、3T3繊維芽細胞系のような既に安定な細胞系を用いて、そして、分裂促進因子非依存性を与える自然の染色体異常に基づき選択されていた細胞系の腫瘍状態を発生させるために行われた。他の研究は、分裂後ニューロンを再び細胞周期に入れるための不死化プロセスを利用しようとした。
【0057】
CNS幹細胞は既に分裂性であり、そして30回の細胞倍加までの長期増殖のための分裂促進性培養条件が既に確立している。すなわち我々の目的は、30回の細胞倍加を十分に超えて、少なくとも、60〜80回の細胞周期の間で起こると考えられている老化の開始時まで増殖能力を増大させることである。60回の細胞倍加とは、細胞数の1×1018倍の増大に相当するが、これはそれぞれが500,000種の化合物からなる100万個の化学物質ライブラリーをスクリーニングするのに十分な、または500億人のパーキンソン病患者に細胞治療を提供するのに十分な大きさである。重要な概念は、初代CNS幹細胞について確立された培養条件下で増殖能力を強化しながら、その本来備わっているニューロン分化能力を破壊しない、細胞の「穏やかな」改変法を見い出すことである。
【0058】
活性c-mycタンパク質の濃度を増大させることにより、安定なヒトCNS幹細胞系の生成へとつながる。この効果は、細胞周期の分裂性パラメーターおよび分化パラメーターを明白に脱制御することによってではなく、グリア前駆細胞状態への多分化能性の制限を誘導するオートクリンおよびパラクリン因子に対する抵抗性を提供することによって生じる。この結果は、細胞の発ガン性形質転換ではなく、むしろ細胞増殖の安定化である。すなわち、コンフルエントな細胞密度で存在するもののような、分化を引き起こす内因性シグナルは、なお有効である。細胞分裂はさらに、bFGFおよび/またはEGFおよび/または血清のような適正な外因性の分裂促進因子の供給に依存している。成熟機能性ニューロンへの幹細胞系の分化は、60回の細胞倍加の最後でも未改変初代細胞と同様の効率である。種々の神経伝達物質表現型およびそれらの相対比は、増殖の間を通して維持される。
【0059】
これらの例の中のc-myc活性は、エストロゲン受容体タンパク質の断片に融合したc-mycのキメラタンパク質を構築することにより制御された(Eilerら, Nature (1988) 340, 60)。エストロゲンの意図される役割は、細胞で誘導される機能的に活性なc-mycの量を制御することである。キメラタンパク質のエストロゲン受容体部分は、β−エストラジオールまたはタモキシフェンのような細胞透過性アゴニストまたはアンタゴニストと結合すると、活性化される。
【0060】
核受容体スーパーファミリーの多くのメンバーは同様に作用し、細胞透過性リガンドがプラズマ二重層を通って拡散してその受容体に結合し、次に複合体として核まで輸送され、種々の転写関連イベントを誘導する。これらの核受容体タンパク質のリガンド結合ドメインとそのリガンドは、融合c-mycタンパク質残基の機能を制御するために、エストロゲン受容体とβ−エストラジオールを置換することができる。このような核受容体の例は、グルココルチコイド受容体、プロゲステロン受容体、アンドロゲン受容体、ビタミンD受容体、甲状腺ホルモン受容体、レチノイン酸受容体、およびエクジソン受容体である。これらの受容体はそれぞれ、培地にその適切なリガンドを添加することにより、細胞内で活性化することができる。かかるリガンドの例は、グルココルチコイドまたはデキサメタゾンのようなステロイドホルモン、甲状腺ホルモン、レチノイン酸のようなレチノイド、ビタミンD、および昆虫脱皮ホルモン、エクジソン、さらにはそれぞれの受容体において作用するように設計されたこれらの合成類似体である。これら全ての化合物は、一旦細胞の外から供給されると、細胞膜を通り抜けることのできる疎水性低分子である。
【0061】
いくつかの受容体−リガンド系は、過剰発現c-mycを制御するという目的には、他のものよりも適している。例えば、疾患の治療としてc-myc改変細胞を組織中に移植するという目的には、c-myc受容体キメラタンパク質が内因性の生理的リガンドに応答しないことが望ましいであろう。本明細書に記載されるc-myc−エストロゲン受容体は、女性患者に存在する潜在的に高レベルのエストロゲンが、予期しない作用を細胞に及ぼしうるという欠点がある。別の例では、培養物中のc-myc活性を調節するために使用されるリガンドは、内因性受容体に対するそれ自身の関連のない作用を持つかもしれない。このように、理想的な受容体−リガンド系は、融合タンパク質の受容体部分は内因性リガンドを認識せず、かつリガンドが細胞に有害な作用を及ぼさない合成化合物である。このような1つの可能な系は、ヒトプロゲステロン受容体とそのアンタゴニストリガンドであるRU38486である。ヒトプロゲステロン受容体のリガンド結合断片は、内因性リガンドであるプロゲステロンには応答しないが、プロゲステロンの合成類似体であるRU38486により高感度に活性化され、一方RU38486は、内因性の全長プロゲステロン受容体を活性化しないことが確立されている(Wangら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1994) 91, 8180)。
【0062】
すなわち、安定な細胞系を生成させるための1つの強化c-myc発現系とは、ヒトc-myc遺伝子が、12個のアミノ酸がC末端で欠失してヒトプロゲステロン受容体のリガンド結合ドメインに融合しているプラスミドを構築し、融合DNA(c-mycPR)を切り出し、5'LTRの下流でレトロウイルスプラスミドpLXSNに連結し、そしてキメラタンパク質であるc-myc−プロゲステロン受容体(MycPR)を発現する無傷のレトロウイルスを作製するというものであろう。
【0063】
分裂強化CNS幹細胞の商業的有用性は、以下の通りである:パーキンソン病を治療するためのTH陽性ドーパミン作動性ニューロンの細胞移植;可能性ある薬理学的化合物をスクリーニングするための基質;特異的薬剤によりまたは疾患過程を表す/模倣するように設計されたプロトコールにより影響される、細胞の遺伝子とタンパク質レベルの再現性ある供給源;新規な遺伝子およびタンパク質の再現性ある供給源;3次元の組織および神経プロテーゼの操作のためのニューロンとグリア細胞の再現性ある供給源;アルツハイマー病を治療するためのNGFのような、可能性ある治療用高分子化合物の送達ビヒクル;および、増殖性TH発現ニューロン細胞のような、種々のニューロン前駆細胞集団になることが約束された種々の細胞を、in vitroでさらに誘導するための出発細胞集団。
【0064】
本発明は、現在最も実際的で好ましい実施形態と考えられるものに関して記述したが、本発明は開示された実施形態に限定されるのではなく、添付される請求の範囲の精神と範囲の中に含まれる種々の改変および同等な組合せをカバーすることが意図されると理解されたい。すなわち、本発明では、請求の範囲に定義される本発明の新規な側面から逸脱することなく、変法を実施できると理解されたい。本明細書に引用される全ての特許や論文は、参照することによりその全体を本明細書の一部とする。
【図面の簡単な説明】
【図1】レトロウイルスプラスミドpMycERの配列。ヒトエストロゲン受容体遺伝子(Eilerら、1989, Nature 340: 60-68)のリガンド結合ドメインに融合したヒトc-myc遺伝子を含有する線状化EcoRI断片を、pLXSNレトロウイルス発現プラスミド(Clontech)の5'LTRの下流に連結した。最終構築体はまた、SV40プロモーター(PSV40)の下に選択マーカー、ネオマイシン耐性遺伝子(Neor)を含有する。
【図2】MycER改変ヒトCNS幹細胞の増殖能。増殖速度と増殖能を測定するために、18週令のヒト胎児皮質組織から得られたMycER改変ヒトCNS幹細胞系のプール(HK18.2)を、約80日間培養物中で連続的に増殖した。各継代(黒丸)で、細胞を採取し、計測し、一部を新しいプレートに再度プレートした。この操作を12継代繰り返した。最初の摂取密度から採取の時までに増加した細胞数を、1継代当たりの培養時間で割って、およその倍加時間を推定した(白三角)。グラフを横切る点線は、全培養期間の平均倍加時間である。各継代で増加した細胞数の倍数を掛けて、細胞の累積増殖を算出し、0日での初期細胞数に対する「累積増殖倍数」として表した。0日の初期の出発細胞数は、5.0×106細胞であった。
【図3】MycER改変ヒトCNS幹細胞のニューロン分化の安定性。
A.分化し、抗MAP2ab抗体で免疫染色した未改変CNS幹細胞;
B.分化し、抗TH抗体で免疫染色した未改変CNS幹細胞;
C.分化し、抗MAP2ab抗体で免疫染色し、低倍率で見た、継代4でのMycER改変ヒト皮質細胞;
D.分化し、抗MAP2ab抗体で免疫染色し、高倍率で見た、継代4でのMycER改変ヒト皮質細胞;
E.分化し、抗TH抗体で免疫染色し、低倍率で見た、継代4でのMycER改変ヒト皮質細胞;
F.分化し、抗TH抗体で免疫染色し、高倍率で見た、継代4でのMycER改変ヒト皮質細胞;
G.分化し、抗GABA抗体で免疫染色し、低倍率で見た、継代4でのMycER改変ヒト皮質細胞;
H.分化し、抗GABA抗体で免疫染色し、高倍率で見た、継代4でのMycER改変ヒト皮質細胞;
I.分化し、抗MAP2ab抗体で免疫染色し、低倍率で見た、継代9でのMycER改変ヒト皮質細胞;
J.分化し、抗MAP2ab抗体で免疫染色し、高倍率で見た、継代9でのMycER改変ヒト皮質細胞;
K.分化し、抗TH抗体で免疫染色し、低倍率で見た、継代9でのMycER改変ヒト皮質細胞;
L.分化し、抗TH抗体で免疫染色し、高倍率で見た、継代9でのMycER改変ヒト皮質細胞。
【図4】ニューロン分化の安定性。MycER改変ヒト皮質細胞系は継代4と11で分化した。MAP2abまたはTHタンパク質について免疫染色したニューロンの数を定量し、総細胞に対するその比率を報告する。
【図5】MycER改変ニューロン前駆細胞。
A.抗tau抗体で免疫染色した、MycER改変ラット線条体前駆細胞;
B.抗tau抗体で免疫染色した、tau+/TuJ1-ニューロン前駆細胞の形態と配列。
C.抗tau抗体で免疫染色した、tau+/TuJ1+ニューロン前駆細胞の形態と配列。
D.抗TuJ1抗体で免疫染色した、Cのtau+/TuJ1+ニューロン前駆細胞の形態と配列。
Claims (9)
- in vitroで哺乳動物の神経前駆細胞の安定な細胞系を産生する方法であって、
a)無血清培地中で神経前駆細胞の培養物を調製する工程;
b)第1の分裂促進因子の存在下で神経前駆細胞を培養する工程、
ここで、第1の分裂促進因子はaFGF、bFGF、EGF、TGFαおよびこれらの組合せよりなる群から選択されること;
c)該細胞にc-myc構築物を導入する工程、
ここで、該c-myc構築物は、エストロゲン受容体、アンドロゲン受容体、プロゲステロン受容体、グルココルチコイド受容体、甲状腺ホルモン受容体、レチノイド受容体、およびエクジソン受容体よりなる群から選択される核受容体のリガンド結合ドメインのDNAと融合したc-myc cDNAを含むこと;および
d)第1の分裂促進因子と血清とを含有する培地中で、分化の前に少なくとも30回の細胞倍加を介して該細胞を増殖させる工程、
ここで、第1の分裂促進因子と血清とを含有する前記培地が、安定な細胞系を維持するのに十分な量のc-myc活性化化学物質をさらに含み、かつc-myc活性化化学物質が核受容体のリガンド結合ドメインに結合できること;
を含んでなる上記方法。 - 神経前駆細胞は多能性の胚性幹細胞のin vitro培養物に由来するものである、請求項1に記載の方法。
- 前記細胞はニューロン、星状細胞および乏突起膠細胞に分化する多分化能を保持する、請求項1に記載の方法。
- 前記細胞はニューロンと星状細胞とに分化する二分化能を保持する、請求項1に記載の方法。
- 前記細胞は星状細胞と乏突起膠細胞とに分化する二分化能を保持する、請求項1に記載の方法。
- 前記c-myc活性化化学物質は、β−エストラジオール、RU38486、デキサメタゾン、甲状腺ホルモン、レチノイドおよびエクジソンよりなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
- 前記細胞系はクローン性細胞系である、請求項1に記載の方法。
- 前記細胞はニューロンに分化する単分化能を保持する、請求項1に記載の方法。
- 前記細胞は星状細胞に分化する単分化能を保持する、請求項1に記載の方法。
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