JP4707881B2 - 計算機ホログラム作成方法および装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、照明光の入射により再生光を生じさせて目標再生像を再生する計算機ホログラムを作成する方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ホログラムは、照明光の入射により再生光を生じさせて再生像を再生するものである。このようなホログラムは、物体光と参照光とを写真乾板上で干渉させることにより作成される他、計算によっても作成され得る。計算により作成されるホログラムは計算機ホログラムと呼ばれる。この計算機ホログラムは例えば空間光変調素子に呈示され、この空間光変調素子に照明光が照射されると、空間光変調素子から再生光が生じて再生像が再生される。
【0003】
この計算機ホログラムの作成技術として以下のものが知られている(例えば特開平9−258643号公報を参照)。先ず、目標再生像が複数の輝点の集合からなり、これら複数の輝点それぞれから発生した球面波がホログラム面上に達するものと仮定される。ホログラム面上の各画素点について、目標再生像上の複数の輝点それぞれとの間の伝搬関数値が計算され、これらの伝搬関数値の総和が求められて、ホログラム値(再生時に入射する照明光の振幅および位相の双方または何れか一方を変調して再生光とする際の変調度)が計算される。そして、ホログラム面上の全ての画素点それぞれについてホログラム値が計算されて、これにより計算機ホログラムが作成される。
【0004】
しかし、この公報に開示された計算機ホログラム作成技術では、ホログラム面上の全ての画素点について、目標再生像上の複数の輝点それぞれとの間の伝搬関数値が計算され加算されるので、目標再生像上の輝点の数が多くなると、計算時間が多大になる。したがって、実時間で計算機ホログラムを計算して空間光変調素子に呈示することが困難である。
【0005】
そこで、より高速に計算機ホログラムを作成する技術として以下のものが提案されている(例えば、文献「Mark Lucente, "Interactive Computation of Holograms Using a Look-up Table", Journal of Electronic Imaging, Vol.2, No.1, pp.28-34 (1993)」や特開平10−171781号公報を参照)。先ず、目標再生像が複数の輝点の集合からなるものとみなされ、これら複数の輝点それぞれとホログラム面上の各画素点との距離が離散化される。その離散化された各距離に応じた波面の伝搬関数値が予め計算されて記憶部に記憶される。ホログラム面上の各画素点について、目標再生像上の複数の輝点それぞれとの間の実際の距離から上記の離散化された距離が求められ、その求められた離散化された距離に応じた伝搬関数値が記憶部から読み出され、これらの伝搬関数値の総和が求められて、ホログラム値が計算される。そして、ホログラム面上の全ての画素点それぞれについてホログラム値が計算されて、これにより計算機ホログラムが作成される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のLucenteの文献や特開平10−171781号公報に記載された技術では、離散化された各距離に応じた伝搬関数値が予め計算されて記憶部に記憶されていて、この記憶されている伝搬関数値が用いられるので、伝搬関数値を都度計算する場合と比較して、計算機ホログラムが短時間に作成される。しかしながら、ホログラム面上の全ての画素点それぞれについて、伝搬関数値の総和が求められる必要があるので、やはり、計算時間が多大になる。特に、再生像の画質を向上させるべく目標再生像上の輝点の数を多くすると、実時間で計算機ホログラムを計算して空間光変調素子に呈示することが困難になる。
【0007】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、高品質の再生像を再生することができる計算機ホログラムを高速に作成することができる方法および装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る計算機ホログラム作成方法は、照明光の入射により再生光を生じさせて目標再生像を再生する計算機ホログラムを作成する方法であって、(1) 目標再生像が複数の輝点の集合からなるものとみなし、複数の輝点それぞれとホログラム面上の各画素点との間の距離を離散化して、複数の輝点それぞれについて中間位置に輝点を想定した場合の伝搬関数値を予め伝搬関数値記憶部に記憶しておき、(2) その伝搬関数値記憶部に記憶された伝搬関数値に基づいてホログラム面上の各画素点のホログラム値を計算する、ことを特徴とする。
【0009】
本発明に係る計算機ホログラム作成装置は、照明光の入射により再生光を生じさせて目標再生像を再生する計算機ホログラムを作成する装置であって、(1) 目標再生像が複数の輝点の集合からなるものとみなし、複数の輝点それぞれとホログラム面上の各画素点との間の距離を離散化して、複数の輝点それぞれについて中間位置に輝点を想定した場合の伝搬関数値を予め記憶する伝搬関数値記憶部と、(2) その伝搬関数値記憶部に記憶された伝搬関数値に基づいてホログラム面上の各画素点のホログラム値を計算する計算部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る計算機ホログラム作成方法(装置)によれば、伝搬関数値記憶部により予め記憶されている伝搬関数値は、目標再生像上の複数の輝点それぞれとホログラム面上の各画素点との間の距離が離散化されて、これら複数の輝点それぞれについて中間位置(1つでも複数でもよい)に輝点を想定した場合の伝搬関数値であって、目標再生像上の何れかの輝点から発生した光波の波面の伝搬関数値と、中間位置に想定された輝点から発生した光波の波面の伝搬関数値と、の和で表される。そして、この伝搬関数値記憶部により予め記憶されている伝搬関数値に基づいて、ホログラム面上の各画素点のホログラム値が計算されて、計算機ホログラムが作成される。このようにすることで、高品質の再生像を再生することができる計算機ホログラムが短時間に作成される。
【0011】
また、本発明に係る計算機ホログラム作成方法は、(1) 複数の輝点それぞれに順次に注目したときに各々の注目する輝点に対して隣接する輝点の存否に応じて異なる中間位置に輝点を想定した場合の伝搬関数値を予め伝搬関数値記憶部に記憶しておき、(2) 複数の輝点それぞれに順次に注目したときに各々の注目する輝点に対して隣接する輝点の存否を検知して、(3) この検知された隣接する輝点の存否に基づいて、伝搬関数値記憶部に記憶されている伝搬関数値を取得しホログラム値を計算する、ことを特徴とする。また、本発明に係る計算機ホログラム作成装置は、(1) 複数の輝点それぞれに順次に注目したときに各々の注目する輝点に対して隣接する輝点の存否を検知する隣接輝点検知部を更に備え、(2) 伝搬関数値記憶部が、複数の輝点それぞれに順次に注目したときに各々の注目する輝点に対して隣接する輝点の存否に応じて異なる中間位置に輝点を想定した場合の伝搬関数値を予め記憶しており、(3) 計算部が、隣接輝点検知部により検知された隣接する輝点の存否に基づいて、伝搬関数値記憶部に記憶されている伝搬関数値を取得しホログラム値を計算する、ことを特徴とする。
【0012】
この場合には、伝搬関数値記憶部により予め記憶されている伝搬関数値は、目標再生像上の複数の輝点それぞれとホログラム面上の各画素点との間の距離が離散化されて、これら複数の輝点それぞれについて中間位置に輝点を想定した場合の伝搬関数値であって、複数の輝点それぞれに順次に注目したときに各々の注目する輝点に対して隣接する輝点の存否に応じて異なる中間位置に輝点を想定した場合のものである。そして、複数の輝点それぞれに順次に注目したときに各々の注目する輝点に対して隣接する輝点の存否が検知され、この検知結果に基づいて伝搬関数値記憶部から読み出された何れかの伝搬関数値に基づいて、ホログラム面上の各画素点のホログラム値が計算されて、計算機ホログラムが作成される。このようにすることで、更に高品質の再生像を再生することができる計算機ホログラムが短時間に作成される。
【0013】
また、本発明に係る計算機ホログラム作成方法は、(1) 複数の輝点それぞれに順次に注目したときに各々の注目する輝点に対して隣接する輝点の存否および輝度に応じて異なる伝搬関数値を予め伝搬関数値記憶部に記憶しておき、(2) 複数の輝点それぞれに順次に注目したときに各々の注目する輝点に対して隣接する輝点の存否および輝度を検知して、(3) この検知された隣接する輝点の存否および輝度に基づいて、伝搬関数値記憶部に記憶されている伝搬関数値を取得しホログラム値を計算する、ことを特徴とする。また、本発明に係る計算機ホログラム作成装置は、(1) 隣接輝点検知部が、複数の輝点それぞれに順次に注目したときに各々の注目する輝点に対して隣接する輝点が存在する場合に対して隣接する輝点の輝度を検知し、(2) 伝搬関数値記憶部が、複数の輝点それぞれに順次に注目したときに各々の注目する輝点に対して隣接する輝点の存否および輝度に応じて異なる伝搬関数値を予め記憶しており、(3) 計算部が、隣接輝点検知部により検知された隣接する輝点の存否および輝度に基づいて、伝搬関数値記憶部に記憶されている伝搬関数値を取得しホログラム値を計算する、ことを特徴とする。
【0014】
この場合には、伝搬関数値記憶部により予め記憶されている伝搬関数値は、目標再生像上の複数の輝点それぞれとホログラム面上の各画素点との間の距離が離散化されて、これら複数の輝点それぞれについて中間位置に輝点を想定した場合の伝搬関数値であって、複数の輝点それぞれに順次に注目したときに各々の注目する輝点に対して隣接する輝点の存否および輝度に応じて異なるものである。すなわち、伝搬関数値記憶部により予め記憶されている伝搬関数値は、目標再生像上の何れかの輝点から発生した光波の波面の伝搬関数値に或る係数を付加したものと、中間位置に想定された輝点から発生した光波の波面の伝搬関数値に或る係数を付加したものと、の和で表されるものであるが、付加される各係数が隣接輝点の存否および輝度に応じて異なる。そして、複数の輝点それぞれに順次に注目したときに各々の注目する輝点に対して隣接する輝点の存否および輝度が検知され、この検知結果に基づいて伝搬関数値記憶部から読み出された何れかの伝搬関数値に基づいて、ホログラム面上の各画素点のホログラム値が計算されて、計算機ホログラムが作成される。このようにすることで、更に高品質の再生像を再生することができる計算機ホログラムが短時間に作成される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0016】
図1は、本実施形態に係る計算機ホログラム作成装置1の概略構成図である。この図に示される計算機ホログラム作成装置1は、制御部2、計算部3、伝搬関数値記憶部4、ホログラム記憶部5および隣接輝点検知部6を備える。制御部2は、計算機ホログラム作成装置1の全体の動作を制御するものであって、特に、ホログラム面上の各画素点の座標値(xh,yh)を順次に発生して、これを計算部3およびホログラム記憶部5に与える。なお、x軸およびy軸それぞれはホログラム面上にあり、z軸はホログラム面に垂直である。
【0017】
計算部3は、制御部2より与えられた座標値(xh,yh)の画素点について、目標再生像上の複数の輝点(座標値(xo,yo,zo))それぞれとの間の距離を求めて、これに基づいて更に、離散化された距離を求める。離散化された距離を求めるに当っては、x軸,y軸およびz軸それぞれの方向成分について行なう。以降では、離散化された距離に対応する整数値をix,iy,izと表す。
【0018】
なお、このような距離の離散化に関連して、ホログラム面上の各画素点がx軸方向に間隔pxで配置されy軸方向に間隔pyで配置されているとすると、ホログラム面上の各画素点の座標値は(ihxpx,ihypy,0)の如く表され、目標再生像上の各輝点の座標値は(ioxpx,ioypy,iozpz)の如く表される。ここで、ihxおよびihyそれぞれは、計算機ホログラムが呈示される空間光変調素子の各画素点に対応して、或る連続した数値範囲に含まれる整数値である。しかし、iox,ioyおよびiozそれぞれは、必ずしも、或る連続した数値範囲に含まれる任意の整数値となり得るものでなくてもよく、例えば公差N(Nは2以上の整数)の等差数列に含まれる整数値であってもよい。離散化された距離に対応する各整数値は、ix=iox−ihx,iy=ioy−ihy,iz=ioz なる式で表される。
【0019】
そして、計算部3は、この整数値の組み合わせ(ix,iy,iz)に対応するアドレスが示す伝搬関数値記憶部4の記憶位置に予め記憶されている伝搬関数値HT(ix,iy,iz)を読み出す。さらに、計算部3は、目標再生像上の複数の輝点それぞれについて、伝搬関数値HT(ix,iy,iz)と輝度値I(ix,iy,iz)とを乗算し、この積HT・Iの総和を求めることで、ホログラム面上の座標値(xh,yh)の画素点のホログラム値H(xh,yh)を求める。
【0020】
ホログラム記憶部5は、制御部2より与えられた座標値(xh,yh)を受け取るとともに、計算部3により計算されたホログラム値H(xh,yh)を受け取って、座標値(xh,yh)に対応するアドレスが示す記憶位置にホログラム値H(xh,yh)を記憶する。ホログラム面上の各画素点の座標値(xh,yh)が制御部2により順次に発生させられることで、ホログラム面上の全ての画素点それぞれのホログラム値Hがホログラム5に記憶される。これにより、計算機ホログラムが作成される。
【0021】
隣接輝点検知部6は、計算部3において目標再生像上の複数の輝点のうち或る輝点(座標値(xo,yo,zo))に注目しているときに、その注目する輝点に対して隣接する輝点の存否を検知し、更に、その注目する輝点に対して隣接する輝点が存在する場合に当該隣接輝点の輝度を検知して、その検知結果を計算部3に通知する。この検知結果を受け取った計算部3は、その検知結果に対応する伝搬関数値HT(ix,iy,iz)を伝搬関数値記憶部4より読み出す。
【0022】
伝搬関数値記憶部4は、計算部3がホログラム値を計算する際に利用する伝搬関数値を予め記憶している。整数値の組み合わせ(ix,iy,iz)に対応するアドレスが示す記憶位置に記憶されている伝搬関数値HT(ix,iy,iz)は、
【0023】
【数1】
または、
【数2】
なる式で表される。
【0024】
これらの式の右辺にある基本伝搬関数値HT0(ixpx,iypy,izpz)は、位置(ixpx,iypy,izpz)にある輝点(以下「本来輝点」と言う。)から発生した光波が原点に達したときの波面を表す伝搬関数値であり、
【数3】
なる式で表される。λは照明光の波長であり、kは波数である。
【0025】
また、上記(2a)式は、(2b)式および(2c)式の関係式を満たす位置(ixpx+Δxn,iypy+Δyn,izpz)に存在すると仮定した輝点(以下「中間輝点」と言う。)から発生した光波が原点に達したときの波面を表す基本伝搬関数値HT0(ixpx+Δxn,iypy+Δyn,izpz)と上記基本伝搬関数値HT0(ixpx,iypy,izpz)とを加えたものである。中間輝点の個数は、1であってもよいし、複数であってもよい。
【0026】
計算部3は、伝搬関数値記憶部4より読み出した上記(1)式または(2)式で表される伝搬関数値HT(ix,iy,iz)、隠面消去処理が既に施された輝度分布関数値I(xo,yo)および距離関数値Z(xo,yo)に基づいて、
【0027】
【数4】
なる式の計算を行って、ホログラム面上の位置(xh,yh)におけるホログラム値H(xh,yh)を求める。
【0028】
図2は、本実施形態に係る計算機ホログラム作成装置1の計算部3におけるホログラム値H(xh,yh)の計算を説明する図である。この図には、目標再生像上の複数の本来輝点のうちの輝点P1および輝点P2が示されており、ホログラム面上の複数の画素点のうちの画素点H1および画素点H2が示されている。また、輝点P1から輝点P2への移動方向および移動量は、画素点H1から画素点H2への移動方向および移動量と等しいものとする。このとき、輝点P2から発生した光波が画素点H2に達したときの波面を表す伝搬関数値は、輝点P1から発生した光波が画素点H1に達したときの波面を表す伝搬関数値と等しい。したがって、ホログラム面上の位置(xh,yh)におけるホログラム値H(xh,yh)は、目標再生像上の複数の本来輝点それぞれについて、その本来輝点の位置とホログラム面上の位置(xh,yh)との間の離散化された距離を表す整数値の組み合わせ(ix,iy,iz)を求め、この整数値の組み合わせに対応する伝搬関数値HT(上記(1)式または(2)式)に基づいて、上記(4)式に従って求めることができる。
【0029】
図3は、本実施形態に係る計算機ホログラム作成装置1により作成された計算機ホログラムを用いた再生像の再生を説明する図である。この図に示された再生光学系10は、空間光変調素子11、レンズ12およびマスク13を備える。空間光変調素子11は、透過する光の振幅および位相の双方または何れか一方を各々変調することができる多数の液晶セルが2次元配列されたものである。計算機ホログラムの画素点は空間光変調素子11の液晶セルと対応しており、計算機ホログラムは空間光変調素子11に呈示される。
【0030】
空間光変調素子11が振幅変調のみ可能である場合、空間光変調素子11には、その半平面(例えばy>0の範囲)のみに、ホログラム値Hの実数部および虚数部の何れか一方の値が呈示される。このように、ホログラム値Hの実数部および虚数部の何れか一方の値のみを計算するには、上記(4)式に替えて、
【0031】
【数5】
なる計算式が用いられるので、計算量が低減され、計算時間が短時間となる。図3に示された再生光学系10は、このような場合に用いられるものである。
【0032】
空間光変調素子11に波長λの照明光30が入射したときに再生される再生像のうち、ホログラム面から+z方向に距離zhだけ離れた位置に再生される輝点21、および、この輝点21の共役像である輝点22を考える。輝点21から発生したように観測される再生光の波面31は、マスク13の開口13A(x軸方向の開口幅がλf/px、y軸方向の開口範囲が−λf/2py〜0)を通過して、マスク13の右方であってy=0の位置にある観測視点50で観測される。ここで、fは、レンズ12の焦点距離であり、レンズ12とマスク13との間の距離でもある。また、pxはx軸方向の隣接する画素間距離、pyはy軸方向の隣接する画素間距離である。これに対して、共役像である輝点22から発生したように観測される共役再生光の波面32は、マスク13により遮断されて、観測視点50で観測されない。このようにマスク13を設けることで、共役像を観測することなく、再生像のみを観測することができる。
【0033】
このとき観測視点50に到達する波面31はレンズ12により虚像化されて、観測視点50からは虚像の輝点41として観測される。この虚像の輝点41とマスク13との間の距離をL41と表す。同様に、共役像である輝点22から発生したように観測される波面32はレンズ12により虚像化されて、観測視点50からは虚像の輝点42として観測される。この虚像の輝点42とマスク13との間の距離をL42と表す。
【0034】
なお、図3に示される再生光学系10を用いる場合、計算機ホログラムの作成の際に必要な空間光変調素子11と再生される輝点21,22との間の間隔zhは、観測視点50からレンズ12越しに観測される輝点21,22の虚像の輝点41,42までの距離L41,L42に基づいて、
【0035】
【数6】
なる関係式により求められる。
【0036】
以上に説明した事項は、以下に説明する各実施形態において共通の事項である。以下では、各実施形態に係るホログラム作成装置および方法について説明し、特に、伝搬関数値記憶部4に記憶される伝搬関数値HT(ix,iy,iz)について説明する。
【0037】
(第1実施形態)
次に、第1実施形態に係るホログラム作成装置および方法について説明する。図4は、第1実施形態に係るホログラム作成装置および方法における本来輝点および中間輝点それぞれの配置の説明図である。本実施形態では、この図に示されるように、目標再生像上の複数の本来輝点それぞれについて、各本来輝点(図中で黒く塗りつぶした位置)に対して、3つの中間輝点(図中でハッチングを施した位置)の割合で各中間輝点を想定する。本来輝点の間隔px,pyを6とする(ただし、空間光変調素子における隣接画素間距離を単位距離とする。以下同様。
)。
【0038】
そして、本来輝点の位置は
(ixpx,iypy,izpz)であるとし、
3つの中間輝点それぞれの位置は
(ixpx,iypy+py/2,izpz)、
(ixpx+px/2,iypy,izpz)、
(ixpx+px/2,iypy+py/2,izpz)
であるとする。
【0039】
このとき、伝搬関数値HT(上記(2)式)は、
【0040】
【数7】
なる式で表される。この伝搬関数値HTは、上記(3)式の基本伝搬関数値HT0と、本来輝点をx軸方向にpx/2だけ移動させた場合の基本伝搬関数値HT0と、本来輝点をy軸方向にpy/2だけ移動させた場合の基本伝搬関数値HT0と、本来輝点をx軸方向にpx/2だけ移動させ且つy軸方向にpy/2だけ移動させた場合の基本伝搬関数値HT0と、の和として表される。
【0041】
この(7)式で表される伝搬関数値HTが用いられ、上記(4)式に従ってホログラム面上の全ての画素点についてホログラム値H(xh,yh)が計算されて、計算機ホログラムが作成される。そして、この計算機ホログラムが空間光変調素子に呈示され、この空間光変調素子に照明光が入射することで、再生像が再生される。このようにして再生された再生像上には本来輝点だけでなく中間輝点も再生される。
【0042】
px=py=6として配置された本来輝点のみについての伝搬関数値を用いる場合と比較して、本来輝点に加えて中間輝点も含めた伝搬関数値HTが用いられる本実施形態では、計算機ホログラムの作成に要する時間は同じであるにも拘わらず、再生像上の輝点の数は4倍である。また、px=py=3として配置された本来輝点のみについての伝搬関数値を用いる場合と比較して、px=py=6として配置された本来輝点に加えて中間輝点も含めた伝搬関数値HTが用いられる本実施形態では、再生像上の輝点の数は同数あるにも拘わらず、計算機ホログラムの作成に要する時間は1/4である。このように、本実施形態では、高品質の再生像を再生することができる計算機ホログラムが短時間に作成される。
【0043】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係るホログラム作成装置および方法について説明する。図5は、第2実施形態に係るホログラム作成装置および方法における本来輝点および中間輝点それぞれの配置の説明図である。本実施形態では、この図に示されるように、目標再生像上の複数の本来輝点それぞれについて、各本来輝点(図中で黒く塗りつぶした位置)に対して、8つの中間輝点(図中でハッチングを施した位置)の割合で各中間輝点を想定する。本来輝点の間隔px,pyを9とする。
【0044】
そして、本来輝点の位置は
(ixpx,iypy,izpz)であるとし、
8つの中間輝点それぞれの位置は
(ixpx,iypy+py/3,izpz)、
(ixpx,iypy+2py/3,izpz)、
(ixpx+px/3,iypy+py,izpz)、
(ixpx+px/3,iypy+py/3,izpz)、
(ixpx+px/3,iypy+2py/3,izpz)、
(ixpx+2px/3,iypy+py,izpz)、
(ixpx+2px/3,iypy+py/3,izpz)、
(ixpx+2px/3,iypy+2py/3,izpz)
であるとする。
【0045】
このとき、伝搬関数値HT(上記(2)式)は、
【0046】
【数8】
なる式で表される。この(8)式で表される伝搬関数値HTが用いられ、上記(4)式に従ってホログラム面上の全ての画素点についてホログラム値H(xh,yh)が計算されて、計算機ホログラムが作成される。そして、この計算機ホログラムが空間光変調素子に呈示され、この空間光変調素子に照明光が入射することで、再生像が再生される。このようにして再生された再生像上には本来輝点だけでなく中間輝点も再生される。
【0047】
px=py=9として配置された本来輝点のみについての伝搬関数値を用いる場合と比較して、本来輝点に加えて中間輝点も含めた伝搬関数値HTが用いられる本実施形態では、計算機ホログラムの作成に要する時間は同じであるにも拘わらず、再生像上の輝点の数は9倍である。また、px=py=3として配置された本来輝点のみについての伝搬関数値を用いる場合と比較して、px=py=9として配置された本来輝点に加えて中間輝点も含めた伝搬関数値HTが用いられる本実施形態では、再生像上の輝点の数は同数あるにも拘わらず、計算機ホログラムの作成に要する時間は1/9である。このように、本実施形態では、高品質の再生像を再生することができる計算機ホログラムが短時間に作成される。
【0048】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係るホログラム作成装置および方法について説明する。図6〜図13は、第3実施形態に係るホログラム作成装置および方法における本来輝点および中間輝点それぞれの配置の説明図である。本実施形態では、これらの図に示されるように、注目する或る1つの本来輝点(図中で黒く塗りつぶした位置)に対して、隣接する位置に他の本来輝点が存在する場合に、その隣接する本来輝点の存在位置に応じて、中間輝点(図中でハッチングを施した位置)を想定する。本来輝点の間隔px,pyを6とする。そして、注目する本来輝点の位置は(ixpx,iypy,izpz)であるとする。
【0049】
図6(a)に示されるように、注目する本来輝点に対して3つの隣接位置(ixpx+px,iypy,izpz)、(ixpx,iypy+py,izpz)および(ixpx+px,iypy+py,izpz)の何れにも他の本来輝点が存在しない場合には、同図(b)に示されるように、注目する本来輝点に対して中間輝点を想定しない。この場合における伝搬関数値HTは、
【0050】
【数9】
なる式で表される。
【0051】
図7(a)に示されるように、注目する本来輝点に対して上記3つの隣接位置のうち位置(ixpx+px,iypy,izpz)のみに他の本来輝点が存在する場合には、同図(b)に示されるように、注目する本来輝点に対して、位置(ixpx+px/2,iypy,izpz)のみに中間輝点を想定する。この場合における伝搬関数値HTは、
【0052】
【数10】
なる式で表される。
【0053】
図8(a)に示されるように、注目する本来輝点に対して上記3つの隣接位置のうち位置(ixpx,iypy+py,izpz)のみに他の本来輝点が存在する場合には、同図(b)に示されるように、注目する本来輝点に対して、位置(ixpx,iypy+py/2,izpz)のみに中間輝点を想定する。この場合における伝搬関数値HTは、
【0054】
【数11】
なる式で表される。
【0055】
図9(a)に示されるように、注目する本来輝点に対して上記3つの隣接位置のうち位置(ixpx+px,iypy+py,izpz)のみに他の本来輝点が存在する場合には、同図(b)に示されるように、注目する本来輝点に対して、位置(ixpx+px/2,iypy+py/2,izpz)のみに中間輝点を想定する。この場合における伝搬関数値HTは、
【0056】
【数12】
なる式で表される。
【0057】
図10(a)に示されるように、注目する本来輝点に対して上記3つの隣接位置のうち2つの位置(ixpx+px,iypy,izpz)および(ixpx+px,iypy+py,izpz)のみに他の本来輝点が存在する場合には、同図(b)に示されるように、注目する本来輝点に対して、2つの位置(ixpx+px/2,iypy,izpz)および(ixpx+px/2,iypy+py/2,izpz)それぞれのみに中間輝点を想定する。この場合における伝搬関数値HTは、
【0058】
【数13】
なる式で表される。
【0059】
図11(a)に示されるように、注目する本来輝点に対して上記3つの隣接位置のうち2つの位置(ixpx,iypy+py,izpz)および(ixpx+px,iypy+py,izpz)のみに他の本来輝点が存在する場合には、同図(b)に示されるように、注目する本来輝点に対して、2つの位置(ixpx,iypy+py/2,izpz)および(ixpx+px/2,iypy+py/2,izpz)それぞれのみに中間輝点を想定する。この場合における伝搬関数値HTは、
【0060】
【数14】
なる式で表される。
【0061】
図12(a)または図13(a)に示されるように、注目する本来輝点に対して上記3つの隣接位置のうち少なくとも2つの位置(ixpx,iypy+py,izpz)および(ixpx+px,iypy+py,izpz)に他の本来輝点が存在する場合には、同図(b)に示されるように、注目する本来輝点に対して、3つの位置(ixpx+px/2,iypy,izpz)、(ixpx,iypy+py/2,izpz)および(ixpx+px/2,iypy+py/2,izpz)それぞれに中間輝点を想定する。この場合における伝搬関数値HTは上記(7)式で表される。
【0062】
そして、本実施形態では、図1に示された計算機ホログラム作成装置1において、上記(7)式および(9)式〜(14)式それぞれの伝搬関数値HTが伝搬関数値記憶部4に予め記憶されている。注目する本来輝点に対して上記3つの隣接位置のうち何れの位置に他の本来輝点が存在するか否かが隣接輝点検知部6により検知される。その検知結果に対応した伝搬関数値HTが伝搬関数値記憶部4より計算部3へ読み出される。そして、計算部3において、上記(4)式に従ってホログラム面上の全ての画素点についてホログラム値H(xh,yh)が計算されて、計算機ホログラムが作成される。そして、この計算機ホログラムが空間光変調素子に呈示され、この空間光変調素子に照明光が入射することで、再生像が再生される。
【0063】
このようにして再生された再生像上には本来輝点だけでなく中間輝点も再生される。特に本実施形態では、注目する本来輝点に対して隣接する本来輝点の有無および配置に応じて所定位置に中間輝点を想定して伝搬関数値HTを異なるものとすることにより、コンピュータグラフィックスの分野でジャギーと呼ばれる輪郭線のギザギザの程度が低減されて、再生される再生像の輪郭が滑らかになる。本実施形態では、この点でも高品質の再生像を再生することができる計算機ホログラムが短時間に作成される。
【0064】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態に係るホログラム作成装置および方法について説明する。本実施形態では、図4に示されたように、1つの本来輝点(図中で黒く塗りつぶした位置)に対して3つの中間輝点(図中でハッチングを施した位置)の割合で各中間輝点を想定する。本実施形態では、注目する或る1つの本来輝点に対して、隣接する位置に他の本来輝点が存在する場合に、その隣接する本来輝点の相対的な輝度に応じて、適切な伝搬関数値が選択される。
【0065】
本実施形態では、上記(7)式および下記(15)式〜(32)式それぞれで表される伝搬関数値HTが、計算機ホログラム作成装置1の伝搬関数値記憶部4に予め記憶されている。注目する本来輝点に対して隣接位置する他の本来輝点の相対的輝度が隣接輝点検知部6により検知される。その検知結果に対応した伝搬関数値HTが伝搬関数値記憶部4より計算部3へ読み出される。計算部3において、上記(4)式に従ってホログラム面上の全ての画素点についてホログラム値H(xh,yh)が計算されて、計算機ホログラムが作成される。そして、この計算機ホログラムが空間光変調素子に呈示され、この空間光変調素子に照明光が入射することで、再生像が再生される。
【0066】
【数15】
【0067】
【数16】
【0068】
【数17】
【0069】
【数18】
【0070】
【数19】
【0071】
【数20】
【0072】
【数21】
【0073】
【数22】
【0074】
【数23】
【0075】
【数24】
【0076】
【数25】
【0077】
【数26】
【0078】
【数27】
【0079】
【数28】
【0080】
【数29】
【0081】
【数30】
【0082】
【数31】
【0083】
【数32】
伝搬関数値記憶部4に記憶された伝搬関数値HTのうちから何れを選択するに際しては以下のようにして行われる。すなわち、注目する本来輝点の位置を(ixpx,iypy,izpz)とし、注目する本来輝点の輝度を1としたときに、隣接位置(ixpx+px,iypy,izpz)にある本来輝点の輝度をIxとし、隣接位置(ixpx,iypy+py,izpz)にある本来輝点の輝度をIyとし、隣接位置(ixpx+px,iypy+py,izpz)にある本来輝点の輝度をIxyとする。
【0084】
そして、比Ix:Iy:Ixyの値が以下に示されるように何れの値に最も近いかが隣接輝点検知部6により検知されて、その検知結果に応じて上記(7)式および上記(15)式〜(32)式((7)式の右辺の4つの項それぞれに係数が付加されたもの)の伝搬関数値HTの何れかが伝搬関数値記憶部4より計算部3へ読み出される。具体的には、比Ix:Iy:Ixyが1:1:1に近ければ、上記(7)式の伝搬関数値HTが選択される。
【0085】
比Ix:Iy:Ixyが0.25:1:0.25に近ければ、上記(15)式の伝搬関数値HTが選択される。比Ix:Iy:Ixyが0.5:1:0.5に近ければ、上記(18)式の伝搬関数値HTが選択される。比Ix:Iy:Ixyが0.75:1:0.75に近ければ、上記(21)式の伝搬関数値HTが選択される。
【0086】
比Ix:Iy:Ixyが1:0.25:0.25に近ければ、上記(16)式の伝搬関数値HTが選択される。比Ix:Iy:Ixyが1:0.5:0.5に近ければ、上記(19)式の伝搬関数値HTが選択される。比Ix:Iy:Ixyが1:0.75:0.75に近ければ、上記(22)式の伝搬関数値HTが選択される。
【0087】
比Ix:Iy:Ixyが0.625:0.625:0.25に近ければ、上記(17)式の伝搬関数値HTが選択される。比Ix:Iy:Ixyが0.875:0.875:0.5に近ければ、上記(20)式の伝搬関数値HTが選択される。比Ix:Iy:Ixyが0.9375:0.9375:0.75に近ければ、上記(23)式の伝搬関数値HTが選択される。
【0088】
比Ix:Iy:Ixyが4:1:4に近ければ、上記(24)式の伝搬関数値HTが選択される。比Ix:Iy:Ixyが2:1:2に近ければ、上記(27)式の伝搬関数値HTが選択される。比Ix:Iy:Ixyが1.33:1:1.33に近ければ、上記(30)式の伝搬関数値HTが選択される。
【0089】
比Ix:Iy:Ixyが1:4:4に近ければ、上記(25)式の伝搬関数値HTが選択される。比Ix:Iy:Ixyが1:2:2に近ければ、上記(28)式の伝搬関数値HTが選択される。比Ix:Iy:Ixyが1:1.33:1.33に近ければ、上記(31)式の伝搬関数値HTが選択される。
【0090】
比Ix:Iy:Ixyが1.6:1.6:4に近ければ、上記(26)式の伝搬関数値HTが選択される。比Ix:Iy:Ixyが1.14:1.14:2に近ければ、上記(29)式の伝搬関数値HTが選択される。比Ix:Iy:Ixyが1.07:1.07:1.33に近ければ、上記(32)式の伝搬関数値HTが選択される。
【0091】
このように、本実施形態では、注目する本来輝点に対して隣接位置する他の本来輝点の相対的輝度の比Ix:Iy:Ixyに対応した伝搬関数値HTが伝搬関数値記憶部4より計算部3へ読み出されて、上記(4)式に従ってホログラム面上の全ての画素点についてホログラム値H(xh,yh)が計算され、計算機ホログラムが作成される。そして、この計算機ホログラムが空間光変調素子に呈示され、この空間光変調素子に照明光が入射することで、再生像が再生される。
【0092】
このようにして再生された再生像上には本来輝点だけでなく中間輝点も再生される。特に本実施形態では、注目する本来輝点に対して隣接する本来輝点の輝度比に応じて伝搬関数値HTを異なるものとすることにより、濃淡の変化が滑らかとなって、再生される再生像の輪郭が滑らかになる。本実施形態では、この点でも高品質の再生像を再生することができる計算機ホログラムが短時間に作成される。
【0093】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態に係るホログラム作成装置および方法について説明する。本実施形態では、図4に示されたように、1つの本来輝点(図中で黒く塗りつぶした位置)に対して3つの中間輝点(図中でハッチングを施した位置)の割合で各中間輝点を想定する。本実施形態では、注目する或る1つの本来輝点に対して、隣接する位置に他の本来輝点が存在する場合に、その隣接する本来輝点の相対的な輝度に応じて、適切な伝搬関数値が選択される。
【0094】
本実施形態では、上記(1)式および上記(7)式それぞれで表される伝搬関数値HTが、計算機ホログラム作成装置1の伝搬関数値記憶部4に予め記憶されている。注目する本来輝点に対して隣接位置する他の本来輝点の相対的輝度が隣接輝点検知部6により検知される。その検知結果に対応した伝搬関数値HTが伝搬関数値記憶部4より計算部3へ読み出される。計算部3において、上記(4)式に従ってホログラム面上の全ての画素点についてホログラム値H(xh,yh)が計算されて、計算機ホログラムが作成される。そして、この計算機ホログラムが空間光変調素子に呈示され、この空間光変調素子に照明光が入射することで、再生像が再生される。
【0095】
伝搬関数値記憶部4に記憶された伝搬関数値HTのうちから何れを選択するに際しては以下のようにして行われる。すなわち、注目する本来輝点の位置を(ixpx,iypy,izpz)とし、注目する本来輝点の輝度を1としたときに、隣接位置(ixpx+px,iypy,izpz)にある本来輝点の輝度をIxとし、隣接位置(ixpx,iypy+py,izpz)にある本来輝点の輝度をIyとし、隣接位置(ixpx+px,iypy+py,izpz)にある本来輝点の輝度をIxyとする。
【0096】
また、Ix1,Iy1およびIxy1それぞれを値1より小さいが値1に近い値とし、Ix2,Iy2およびIxy2それぞれを値1より大きいが値1に近い値としたときに、
【0097】
【数33】
なる関係式が満たされるか否かが隣接輝点検知部6により検知される。そして、上記(33)式が満たされる場合には、注目する本来輝点については上記(7)式の伝搬関数値HTが選択されてホログラム値Hが計算され、上記3つの隣接位置それぞれにある本来輝点についてのホログラム計算が省略される。一方、上記(33)式が満たされない場合には、上記(1)式の伝搬関数値HTが選択されて、ホログラム値Hが計算される。
【0098】
このように、本実施形態では、注目する本来輝点に対して隣接位置する他の本来輝点の相対的輝度の比Ix:Iy:Ixyに対応した伝搬関数値HTが伝搬関数値記憶部4より計算部3へ読み出されて、上記(4)式に従ってホログラム面上の全ての画素点についてホログラム値H(xh,yh)が計算され、計算機ホログラムが作成される。そして、この計算機ホログラムが空間光変調素子に呈示され、この空間光変調素子に照明光が入射することで、再生像が再生される。
【0099】
このようにして再生された再生像上には本来輝点だけでなく、必要に応じて中間輝点も再生される。特に本実施形態では、注目する本来輝点に対して隣接する本来輝点の輝度比に応じて伝搬関数値HTを異なるものとすることにより、濃淡の変化が滑らかとなって、再生される再生像の輪郭が滑らかになる。本実施形態では、この点でも高品質の再生像を再生することができる計算機ホログラムが短時間に作成される。また、上記(33)式が満たされる場合(この確率は低い)には計算量が更に低減されるので、この点でも計算機ホログラムが短時間に作成される。
【0100】
(変形例)
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、目標再生像の本来輝点とは別に想定される中間輝点の数および配置は任意である。また、本来輝点の持つ距離に対応した基本伝搬関数値HT0と前記本来輝点の持つ距離と異なる中間輝点の距離に対応した基本伝搬関数値HT0とを加算した新たな伝搬関数値HTを用いることにより、再生される再生像の距離感を滑らかにすることも可能である。さらに、再生光学系は図2に示されたものに限らず、他の光学系であっても本発明は適用され得る。
【0101】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したとおり、本発明によれば、伝搬関数値記憶部により予め記憶されている伝搬関数値は、目標再生像上の複数の輝点それぞれとホログラム面上の各画素点との間の距離が離散化されて、これら複数の輝点それぞれについて中間位置に輝点を想定した場合の伝搬関数値であって、目標再生像上の何れかの輝点から発生した光波の波面の伝搬関数値と、中間位置に想定された輝点から発生した光波の波面の伝搬関数値と、の和で表される。そして、この伝搬関数値記憶部により予め記憶されている伝搬関数値に基づいて、ホログラム面上の各画素点のホログラム値が計算されて、計算機ホログラムが作成される。このようにすることで、高品質の再生像を再生することができる計算機ホログラムが短時間に作成される。
【0102】
また、伝搬関数値記憶部により予め記憶されている伝搬関数値は、目標再生像上の複数の輝点それぞれとホログラム面上の各画素点との間の距離が離散化されて、これら複数の輝点それぞれについて中間位置に輝点を想定した場合の伝搬関数値であって、注目する輝点に対して隣接する輝点の存否に応じて異なる中間位置に輝点を想定した場合のものであるのが好適である。そして、注目する輝点に対して隣接する輝点の存否が検知され、この検知結果に基づいて伝搬関数値記憶部から読み出された何れかの伝搬関数値に基づいて、ホログラム面上の各画素点のホログラム値が計算されて、計算機ホログラムが作成される。このようにすることで、再生像の輪郭線のギザギザの程度が低減されて再生像の輪郭が滑らかになり、更に高品質の再生像を再生することができる計算機ホログラムが短時間に作成される。
【0103】
また、伝搬関数値記憶部により予め記憶されている伝搬関数値は、目標再生像上の複数の輝点それぞれとホログラム面上の各画素点との間の距離が離散化されて、これら複数の輝点それぞれについて中間位置に輝点を想定した場合の伝搬関数値であって、注目する輝点に対して隣接する輝点の存否および輝度に応じて異なるものであるのが好適である。そして、注目する輝点に対して隣接する輝点の存否および輝度が検知され、この検知結果に基づいて伝搬関数値記憶部から読み出された何れかの伝搬関数値に基づいて、ホログラム面上の各画素点のホログラム値が計算されて、計算機ホログラムが作成される。このようにすることで、濃淡の変化が滑らかとなって、再生される再生像の輪郭が滑らかになり、更に高品質の再生像を再生することができる計算機ホログラムが短時間に作成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る計算機ホログラム作成装置1の概略構成図である。
【図2】本実施形態に係る計算機ホログラム作成装置1の計算部3におけるホログラム値H(xh,yh)の計算を説明する図である。
【図3】本実施形態に係る計算機ホログラム作成装置1により作成された計算機ホログラムを用いた再生像の再生を説明する図である。
【図4】第1実施形態に係るホログラム作成装置および方法における本来輝点および中間輝点それぞれの配置の説明図である。
【図5】第2実施形態に係るホログラム作成装置および方法における本来輝点および中間輝点それぞれの配置の説明図である。
【図6】第3実施形態に係るホログラム作成装置および方法における本来輝点および中間輝点それぞれの配置の第1の説明図である。
【図7】第3実施形態に係るホログラム作成装置および方法における本来輝点および中間輝点それぞれの配置の第2の説明図である。
【図8】第3実施形態に係るホログラム作成装置および方法における本来輝点および中間輝点それぞれの配置の第3の説明図である。
【図9】第3実施形態に係るホログラム作成装置および方法における本来輝点および中間輝点それぞれの配置の第4の説明図である。
【図10】第3実施形態に係るホログラム作成装置および方法における本来輝点および中間輝点それぞれの配置の第5の説明図である。
【図11】第3実施形態に係るホログラム作成装置および方法における本来輝点および中間輝点それぞれの配置の第6の説明図である。
【図12】第3実施形態に係るホログラム作成装置および方法における本来輝点および中間輝点それぞれの配置の第7の説明図である。
【図13】第3実施形態に係るホログラム作成装置および方法における本来輝点および中間輝点それぞれの配置の第8の説明図である。
【符号の説明】
1…計算機ホログラム作成装置、2…制御部、3…計算部、4…伝搬関数値記憶部、5…ホログラム記憶部、6…隣接輝点検知部、10…再生光学系、11…空間光変調素子、12…レンズ、13…マスク。
Claims (6)
- 照明光の入射により再生光を生じさせて目標再生像を再生する計算機ホログラムを作成する方法であって、
前記目標再生像が複数の輝点の集合からなるものとみなし、前記複数の輝点それぞれとホログラム面上の各画素点との間の距離を離散化して、前記複数の輝点それぞれについて中間位置に輝点を想定した場合の伝搬関数値を予め伝搬関数値記憶部に記憶しておき、
その伝搬関数値記憶部に記憶された伝搬関数値に基づいて前記ホログラム面上の各画素点のホログラム値を計算する、
ことを特徴とする計算機ホログラム作成方法。 - 前記複数の輝点それぞれに順次に注目したときに各々の注目する輝点に対して隣接する輝点の存否に応じて異なる中間位置に輝点を想定した場合の伝搬関数値を予め伝搬関数値記憶部に記憶しておき、
前記複数の輝点それぞれに順次に注目したときに各々の注目する輝点に対して隣接する輝点の存否を検知して、
この検知された隣接する輝点の存否に基づいて、前記伝搬関数値記憶部に記憶されている伝搬関数値を取得しホログラム値を計算する、
ことを特徴とする請求項1記載の計算機ホログラム作成方法。 - 前記複数の輝点それぞれに順次に注目したときに各々の注目する輝点に対して隣接する輝点の存否および輝度に応じて異なる伝搬関数値を予め伝搬関数値記憶部に記憶しておき、
前記複数の輝点それぞれに順次に注目したときに各々の注目する輝点に対して隣接する輝点の存否および輝度を検知して、
この検知された隣接する輝点の存否および輝度に基づいて、前記伝搬関数値記憶部に記憶されている伝搬関数値を取得しホログラム値を計算する、
ことを特徴とする請求項2記載の計算機ホログラム作成方法。 - 照明光の入射により再生光を生じさせて目標再生像を再生する計算機ホログラムを作成する装置であって、
前記目標再生像が複数の輝点の集合からなるものとみなし、前記複数の輝点それぞれとホログラム面上の各画素点との間の距離を離散化して、前記複数の輝点それぞれについて中間位置に輝点を想定した場合の伝搬関数値を予め記憶する伝搬関数値記憶部と、
その伝搬関数値記憶部に記憶された伝搬関数値に基づいて前記ホログラム面上の各画素点のホログラム値を計算する計算部と、
を備えることを特徴とする計算機ホログラム作成装置。 - 前記複数の輝点それぞれに順次に注目したときに各々の注目する輝点に対して隣接する輝点の存否を検知する隣接輝点検知部を更に備え、
前記伝搬関数値記憶部が、前記複数の輝点それぞれに順次に注目したときに各々の注目する輝点に対して隣接する輝点の存否に応じて異なる中間位置に輝点を想定した場合の伝搬関数値を予め記憶しており、
前記計算部が、前記隣接輝点検知部により検知された隣接する輝点の存否に基づいて、前記伝搬関数値記憶部に記憶されている伝搬関数値を取得しホログラム値を計算する、
ことを特徴とする請求項4記載の計算機ホログラム作成装置。 - 前記隣接輝点検知部が、前記複数の輝点それぞれに順次に注目したときに各々の注目する輝点に対して隣接する輝点が存在する場合に前記隣接する輝点の輝度を検知し、
前記伝搬関数値記憶部が、前記複数の輝点それぞれに順次に注目したときに各々の注目する輝点に対して隣接する輝点の存否および輝度に応じて異なる伝搬関数値を予め記憶しており、
前記計算部が、前記隣接輝点検知部により検知された隣接する輝点の存否および輝度に基づいて、前記伝搬関数値記憶部に記憶されている伝搬関数値を取得しホログラム値を計算する、
ことを特徴とする請求項5記載の計算機ホログラム作成装置。
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