JP3872124B2 - ホログラム作成装置、ホログラム表示装置、ホログラフィシステム、ホログラム作成方法およびホログラム表示方法 - Google Patents

ホログラム作成装置、ホログラム表示装置、ホログラフィシステム、ホログラム作成方法およびホログラム表示方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、物体の3次元情報を元に前記物体のホログラムを作成するホログラム作成装置、および、前記物体のホログラムを用いて前記物体の3次元像を表示するホログラム表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
物体の3次元像の表示技術としてホログラフィ技術が注目されている。このホログラフィ技術は、物体の3次元情報を作成するホログラム作成技術と、ホログラム作成技術によって記録された物体の3次元情報を読み出して物体の3次元像を表示するホログラム表示技術とから構成される。
【0003】
従来のホログラフィ技術は、一般に、ホログラム作成にあたって、記録素子が高分解能を有することを前提として構築されており、ホログラム作成装置の記録素子として高分解能の写真乾板やサーモプラスチックを用いるものが大部分である。これらは、高い解像度を有するという特質を活かして、参照光と物体光との成す角の角度を比較的大きく設定し、実際に撮像したり、計算機などによる計算結果を記録してホログラムを作成する。こうして得られたホログラムは、いわゆるoff−axisな再生が可能となり、共役像による画質の悪化を避けることができる。
【0004】
こうした作成技術は、高分解能であるが故に、基本的に高度な写真技術であるため、ホログラム撮像には多大の労力を必要とする。また、写真乾板やサーモプラスチックの現像を要するので実時間性に乏しい。
【0005】
そこで、比較的低分解能の撮像素子であるCCDカメラを用いたホログラフィ技術が、「佐藤 他、テレビジョン学会誌 Vol.45,No.7,pp.873−875(1991)」(以後、従来例1と呼ぶ)や「橋本、画像電子学会誌 Vol.22,No.4,pp.315−322(1991)」(以後、従来例2と呼ぶ)に提案されている。
【0006】
従来例1は、ホログラム撮像技術で通常は使用されるレンズを使用しない、フレネル型ホログラフィ技術の例である。また、従来例2に開示されているホログラム撮像技術は、実像の空間分解能を撮像素子の空間分解能に合せるように、結像レンズを用い、結像レンズの物体側直前に開口を配置し、off−axis型のホログラムを得ようとしている。
【0007】
また、計算機ホログラムを低分解能の液晶空間光変調器で再生するホログラフィ技術が、「前野 他、3次元画像コンファレンス’94講演論文集、pp.165−170」(以後、従来例3と呼ぶ)に提案されている。従来例3は、再生したい実像の周りにマスクを置き、共役像からの光の除去を図っている。
【0008】
また、再生像の観察時での共役像の除去の方法としては、シングルサイドバンド法(O.Bryngdahl et al., J. Opt. Soc. Am. 58, 620, 1968)が知られている。
【0009】
この方法では、まず、位相成分に変化の無い2次元平面物体について、共焦点光学系で共役像を得て、この共役像のフレネルホログラムを得る。この共役像のフレネルホログラムは、共焦点光学系のフーリエ面に物体光のフーリエ成分の片側のみを通過させるマスクを配置し、通過した物体光のフーリエ成分のみで形成された像のフレネルホログラムを記録して得られる。
【0010】
次に、記録時と同距離だけホログラムからフレネル伝搬させた波面が前焦点面となる共焦点光学系を用い、記録時にマスクされなかった側のフーリエ成分をマスクし、通過した光で像形成することにより、共役像を除去して再生像を得る。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
従来のホログラム撮像装置やホログラム表示装置は上記のように構成されるので、以下のような問題点があった。
【0012】
従来例1および従来例2のホログラム撮像装置では、一般にCCDの空間分解能は10μm程度であることから、物体光と参照光との成す角度は2〜3°以内である必要である。物体光と参照光との成す角度が大きくなると、干渉縞の間隔が撮像素子の分解能よりも小さくなってしまい、コントラス良く干渉縞を撮像することができない。
【0013】
そこで、従来例1のホログラム撮像装置では、撮像対象物の大きさをCCDの大きさ程度とするとともに、撮像対象物とCCDとの距離を大きくとっている。しかしながら、撮像対象物とCCDとの距離の最適化の指針がなく、従って、性能を維持しつつ小型化を図ることが困難である。
【0014】
また、従来例1のホログラム撮像装置では、レンズを使用しないことから、視野を可変とすることができない。
【0015】
従来例2のホログラム撮像装置では結像レンズの撮像対象物側の直前に絞りを配置するので、視野を大きくとるためには縮小系を選択しなければならない。したがって、視野を大きくとると物体光の光軸に対する角度は、レンズ通過後にレンズ入射前よりも拡大されることになる。
【0016】
そこで、物体光と参照光との角度を小さく保つために絞りの開口を小さく絞ることになる。しかし、レンズ中心を通過する物体光は、レンズ光軸に対するレンズへの入射角とレンズ光軸に対するレンズへの出射角とは同一である。したがって、レンズ中心を通過する物体光に対しては、絞りの開口を小さく絞ることは、参照光と干渉した後の空間周波数を低減することにならない。
【0017】
このため、参照光の進行方向を光軸方向から傾け、off−axis型のホログラムを得る方法が考えられるが、off−axis型のホログラムが得られる前提である物体の空間周波数がキャリア周波数より小さいとの要請を、一般には満足できない。
【0018】
また、開口を小さく絞ると、物体光を有効に使用することができない。したがって、撮像対象物として反射率の高い物体を選択しなければならないという制約や、強力な光源が必要となるという制約が課されることになる。
【0019】
従来例1および従来例2のホログラム表示装置は、撮像素子であるCCDの画素ピッチ、画素サイズと、画像再生時に使用される空間変調素子の画素ピッチ、画素サイズとは異なる。
【0020】
従来例1のホログラム表示装置はフルネル型ホログラム方式を採用しているのにもかかわらず、表示光学系にレンズが使用されている。また、従来例2のホログラム表示装置は結像タイプの表示光学系とはなっていない。
【0021】
すなわち、従来例1および従来例2では、ホログラム撮像時の光学系と画像再生時の光学系とが異なるため、再生表示像の位置による拡大率が本質的に異なることとなるので歪が発生することになる。
【0022】
また、従来例1のホログラム表示装置のホログラム表示装置では、像の再生にあたって、強度ホログラムあるいは位相ホログラムによる場合に必然的に発生する共役像の除去ができないので、質の良い再生像の観察ができない。
【0023】
また、従来例2のホログラム表示装置では、レンズの後焦点面に0次光マスクを配置し、観察時における0次光の除去を行っているが、+1次光および−1次光のいずれか一方を通過させるフィルタとはなっていないので、共役像の除去ができないので、質の良い再生像の観察ができない。
【0024】
従来例3の技術は不十分なoff−axisの例であり、実像とレンズの焦点とを結んだ延長上に視点を設定して観察する場合には、共役像からの光の混入を避けることはできず、実像の画像を劣化させる。
【0025】
従来例4の技術は、位相成分に変化の無い2次元平面物体にのみ適用することが可能であり3次元物体には適用できないこと、および、撮像物体の位置を共焦点光学系の前焦点面に設置しなければならないという配置上の制約がある。
【0026】
本発明は、上記を鑑みてなされたものであり、計算機ホログラムであって、比較的低い空間分解能の記録素子を使用して、質が高く、再生時に共役像の除去が容易なホログラムを作成するホログラム作成装置を提供することを目的とする。
【0027】
また、本発明は、本発明のホログラム作成装置で作成したホログラムから原像に対する歪を低減するとともに、共役像を除去して表示可能なホログラム表示装置を提供することを目的とする。
【0028】
【課題を解決するための手段】
本発明のホログラム作成装置は、仮想3次元空間中の仮想物体に関する、平面状の仮想ホログラム面上のホログラムを作成するホログラム作成装置であって、(a)観察対象となるべき虚像の所定位置から、正の屈折力を有する第1の結像光学系に応じて、虚像に対応する実像の位置を算出する第1の位置算出手段と、(b)実像の位置での物体光の光強度分布を算出する第1の光強度分布算出手段と、(c)物体光の伝搬の伝搬関数を、伝搬する軸と垂直な平面内の伝搬する軸と垂直な所定の方向側の半平面内でのみ値を持つように限定し、半平面伝搬関数を算出する領域限定手段と、(d)実像の位置での物体光の光強度分布とホログラム面での半平面伝搬関数との畳み込み積分を演算し、ホログラム面上での物体光の波面を算出する畳み込み積分手段とを備えることを特徴とする。
【0029】
ここで、(e)ホログラム面上での物体光の波面と参照光の波面との複素和を算出し、実数成分を取り出してホログラムデータを得る干渉演算手段を更に備えることを特徴としてもよい。
【0030】
こうしたホログラム作成装置は、計算機システムを使用して好適に実現できる。
【0031】
本発明のホログラム作成装置では、まず、観察対象となるべき虚像の位置を決定し、第1の位置算出手段が、この虚像の所定位置から、虚像に応じた実像の位置を算出する。この実像位置の算出は、第1の結像光学系に関するガウスの結像公式を用い、虚像位置を与えることによって算出される。引き続き、第1の光強度分布算出手段が、第1の位置算出手段によって算出された実像位置における物体光の光強度分布を算出する。
【0032】
一方、領域限定手段が、物体光の伝搬を表現する伝搬関数を、伝搬する軸と垂直な平面内の伝搬する軸と垂直な所定の方向側の半平面内でのみ値を持つように限定した半平面伝搬関数を算出する。すなわち、領域限定手段は、伝搬する軸と垂直な平面内の伝搬する軸と垂直な所定の方向側の半平面内では、伝搬関数を元のままとし、伝搬する軸と垂直な平面内の伝搬する軸と垂直な所定の方向と反対の方向側の半平面内では、伝搬関数を0とする。
【0033】
そして、畳み込み積分手段が、実像の位置での物体光の光強度分布とホログラム面での半平面伝搬関数との畳み込み積分を演算して、ホログラム面上での物体光の波面を算出する。
【0034】
この後に、ホログラム面上での物体光の波面と参照光の波面との複素和を算出して参照光との干渉を演算し、実数部分を取り出すとホログラムデータが得られるが、参照光がホログラム面に垂直に入射する一様な強度を有するin−line型の場合には、複素和の実数成分はホログラム面上での物体光の波面の実数成分に比例するので、複素和演算を省略できる。
【0035】
in−line型でない場合には、ホログラム面上での物体光の波面と参照光の波面との複素和を算出して参照光との干渉を演算する干渉演算手段を更にも受け、算出した複素和の実数部分を取り出してホログラムデータを得る。
【0036】
他の本発明のホログラム作成装置は、仮想3次元空間中の仮想物体に関する、平面状の仮想ホログラム面上のホログラムを作成するホログラム作成装置であって、(a)観察対象となるべき虚像の所定位置から、正の屈折力を有する第1の結像光学系に応じて、虚像の各点に対応するホログラム面上の位置を算出する第2の位置算出手段と、(b)虚像の各点での光の光強度分布を算出する第2の光強度分布算出手段と、(c)虚像の各点からホログラム面までの光の伝搬の伝搬関数をフーリエ変換したものを、伝搬する軸と垂直な平面内の前記軸と垂直な所定の方向側の半平面内でのみ値を持つように限定して、新たな半平面伝搬関数を算出する領域限定手段と、(d)虚像の各点での光の光強度分布とホログラム面での半平面伝搬関数との畳み込み積分を演算し、ホログラム面上での物体光の波面を算出する畳み込み積分手段と、を備えることを特徴とする。
【0037】
ここで、(e)ホログラム面上での物体光の波面と参照光の波面との複素和を算出し、実数成分を取り出してホログラムデータを得る干渉演算手段を更に備えることを特徴としてもよい。
【0038】
こうしたホログラム作成装置は、計算機システムを使用して好適に実現できる。
【0039】
他の本発明のホログラム作成装置では、まず、観察対象となるべき虚像の位置を決定し、第2の位置算出手段が、この虚像の所定位置から、虚像の各点に応じたホログラム面上の位置を算出する。このホログラム面上の位置の算出は、第1の結像光学系の位置を基準とした、虚像位置とホログラム面位置とから算出される。引き続き、第2の光強度分布算出手段が、虚像の各点における光の光強度分布を算出する。
【0040】
一方、領域限定手段が、虚像の各点からホログラム面までの光の伝搬の伝搬関数をフーリエ変換したものを、伝搬する軸と垂直な平面内の伝搬する軸と垂直な所定の方向側の半平面内でのみ値を持つように限定した新たな半平面伝搬関数を算出する。すなわち、領域限定手段は、伝搬関数をフーリエ変換し、伝搬する軸と垂直な平面内の伝搬する軸と垂直な所定の方向側の半平面内では、フーリエ変換結果をそのままとし、伝搬する軸と垂直な平面内の伝搬する軸と垂直な所定の方向と反対の方向側の半平面内では、フーリエ変換結果を0とする。なお、ここで、伝搬関数は、第1の結像光学系を含めた伝搬関数である。
【0041】
以後、前述と同様にして、ホログラムデータを得る。
【0042】
本発明のホログラム表示装置は、上記の本発明のホログラム作成装置で作成されたホログラムに基づいて仮想物体の像を表示するホログラム表示装置であって、(a)ホログラム作成装置で作成されたホログラムデータを入力する情報入力部と、(b)情報入力部から通知された前記ホログラムデータに基づいて、ホログラムを形成するホログラム形成部と、(c)ホログラムを形成する波面の光を入力し、仮想物体の虚像を結像する、ホログラム作成装置の第1の結像光学系と同等の正の屈折力を有する第2の結像光学系と、(d)第2の結像光学系のホログラム側とは反対側の焦点に配置された0次光を遮光する第1の遮光手段と、(e)第2の結像光学系のホログラム側とは反対側の焦点面上に配置され、ホログラムを形成する波面の光が第2の結像光学系を介して、実像を結像する波面を遮光する第2の遮光手段とを備えることを特徴とする。
【0043】
ここで、ホログラムの位置と第2の結像光学系のホログラム側の焦点面との距離を変化させる移動手段を更に備えることが可能である。
【0044】
本発明のホログラム表示装置では、まず、読み出し光などを使用して、ホログラム形成部が、本発明のホログラム作成装置で作成されたホログラムを形成する。ホログラム形成部によって形成されたホログラムを介した光は、後の第2の結像光学系を介した後に観察に好適な虚像となる実像を形成する波面を有する光と、この実像の共役像である虚像を形成する波面を有する光とを含んでいる。そして、共役像である虚像を形成する波面を有する光は、第2の結像光学系を介した後に実像を形成するが、観察にとって邪魔物となる。
【0045】
すなわち、ホログラム形成部によって形成されたホログラムを介した光は、観察に好適な虚像を形成する波面を有する光と、観察にとって余分な実像を形成する波面を有する光と、やはり観察にあたっては余分な0次光とが含まれている。
【0046】
本発明のホログラム表示装置では、観察にあたって余分な0次光を第2の結像光学系のホログラム側とは反対側の焦点に設置された第1の遮光手段によって、観察にとって余分な実像を形成する波面を有する光を第2の結像光学系のホログラム側とは反対側の焦点面に設置された第1の遮光手段によってマスクする。
【0047】
この結果、第2の結像光学系のホログラム側とは反対側の焦点面よりも遠方には、観察に好適な虚像を形成する波面を有する光のみが到達する。したがって、第2の結像光学系のホログラム側とは反対側の焦点面よりも遠方から、観察に好適な虚像を形成する波面を有する光のみを入力することにより、質の高い再生像を観察することができる。
【0048】
なお、ホログラム形成部、第2の結像光学系、第1の遮光手段、および第2の遮光手段の機能は、計算機を用いた演算処理によっても実現することが可能である。
【0049】
また、本発明に係るホログラフィシステムは、上述のホログラム作成装置と上述のホログラム表示装置とを備えるものである。
【0050】
また、本発明に係るホログラム作成方法は、上述のホログラム作成装置と同一の技術的思想を有する。本発明に係るホログラム表示方法は、上述のホログラム表示装置と同一の技術的思想を有する。
【0051】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明のホログラム作成装置およびホログラム表示装置の実施の形態を説明する。なお、図面の説明にあたって同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0052】
[ホログラム作成装置の実施形態]
(第1実施形態)
図1は、本発明のホログラム作成装置の第1実施形態の構成図である。図1に示すように、この装置は、(a)観察対象となるべき虚像の所定位置から、正の屈折力を有する結像光学系に応じて、虚像に対応する実像の位置を算出する位置算出手段110と、(b)実像の位置での物体光の光強度分布を算出する光強度分布算出手段210と、(c)物体光の伝搬の伝搬関数を、伝搬する軸と垂直な平面内の伝搬する軸と垂直な所定の方向側の半平面内でのみ値を持つように限定し、半平面伝搬関数を算出する領域限定手段300と、(d)実像の位置での物体光の光強度分布とホログラム面での前記半平面伝搬関数との畳み込み積分を演算し、ホログラム面上での物体光の波面を算出する畳み込み積分手段400と、(e)ホログラム面上での物体光の波面と参照光の波面との複素和を算出し、実数成分を取り出してホログラムデータを得る干渉演算手段500とを備える。こうしたホログラム作成装置は、関数演算機能を有する計算機システムを使用して好適に実現される。
【0053】
図2は、本実施形態の装置でのホログラム作成にあたって想定した光学系の説明図である。図2に示すように、本実施形態の装置では、像の観察時には、結像光学系111(焦点距離=f)を介して虚像IMを観察することを想定する。なお、図2では、図示のように、結像光学系111の光軸方向をZ方向、紙面上方向をY方向、紙面垂直方向をX方向としている。そして、結像光学系111の中心位置を原点としている。更に、ホログラム面115を、観察時に想定する視点側とは反対側の結像光学系111の焦点面位置に配置する。
【0054】
本実施形態のホログラム作成装置は、以下のようにして、ホログラムデータを得る。図3および図4は、本実施形態のホログラム作成装置の動作を説明するフローチャートである。
【0055】
本実施形態のホログラム作成装置では、まず、観察対象となるべき虚像の位置(Z=bz)を決定し、位置算出手段110が、ガウスの結像公式を使用して、虚像IMの各点の位置(bx,by,bz)から、虚像IMの各点に応じた実像RLの各点の位置(ax,ay,az)を、
ax=f・bx/(bz−f) …(1)
ay=f・by/(bz−f) …(2)
az=f・bz/(bz−f) …(3)
より算出する。このとき、ホログラム面と実像RLとの距離Lは、
L=f/(f−bz) …(4)
となる。
【0056】
引き続き、光強度分布算出手段210が、位置算出手段110によって算出された実像位置(ax,ay,az)における物体光の光強度分布O(X,Y)を算出する。
【0057】
一方、領域限定手段300が、物体光の伝搬に関する、ホログラム面116上の伝搬関数f(X,Y)を、伝搬する軸と垂直な平面内の伝搬する軸と垂直な所定の方向側の半平面内でのみ値を持つように限定した半平面伝搬関数を算出する。すなわち、領域限定手段は、伝搬する軸と垂直な平面内の伝搬する軸と垂直な所定の方向側の半平面内では、伝搬関数を元のままとし、伝搬する軸と垂直な平面内の伝搬する軸と垂直な所定の方向と反対の方向側の半平面内では、ホログラム面116上の伝搬関数f(X,Y)=0とする。
【0058】
なお、ホログラム面116上での伝搬関数f(X,Y)は、
f(X,Y)=(1/r)exp[j・k・r] …(5)
ここで、r=(X2+Y2+Z21/2
k:波数
である。
【0059】
そして、畳み込み積分手段400が、ホログラム面116上での物体光の波面u(X,Y)を、
u(X,Y)=F-1[F[O(X,Y)]・F[f(X,Y)]*] …(6)
により、実像の位置での物体光の光強度分布O(X,Y)とホログラム面での半平面伝搬関数f(X,Y)との畳み込み積分の演算により、実像の位置での物体光の光強度分布O(X,Y)の逆フレネル変換として算出する。なお、距離を近似したフレネル変換は、近距離の場合や数百分の1波長の精度を必要とする場合には適用できない。
【0060】
実際の計算では、離散的な演算が行われるので、常に、ナイキスト間隔の吟味が必要となる。したがって、伝搬関数f(X,Y)を機械的にフーリエ変換するのでは無く、F[f(X,Y)]を解析に解いて近似した、
F[f(X,Y)]=exp[jkL(1−μ2λ21/2] …(7)
ここで、μ:空間周波数
λ:波長
を使用してもよい。なお、使用にあたっては、上記と同様に半平面で値を有することとする。
【0061】
以上を離散的に表現した場合について説明する。
【0062】
フレネル伝搬距離L、ホログラムのピッチhp、実像位置での物体の光強度分布O(hpm,hpn)、ホログラム面116での波面をH(hpm,hpn)とすると、
H(hpm,hpn)=F-1[F[O(hpm,hpn)]
×F[f(hpm,hpn)]*] …(8)
f(hpm,hpn)=(1/r)exp[jkr] …(9)
r=((hpm)2+(hpn)2+L21/2
ここで、m=−N/2〜(N/2)−1の整数
n=−N/2〜(N/2)−1の整数
となる。
【0063】
ただし、f(hpm,hpn)は半平面でのみ値を有し、他の領域では0とする。半平面をXの正領域とすると、m=0〜(N/2)−1の整数、およびn=−N/2〜(N/2)−1の整数の場合に、f(hpm,hpn)は値を有する。また、半平面をXの負領域とすると、m=−N/2〜0の整数、およびn=−N/2〜(N/2)−1の整数の場合に、f(hpm,hpn)は値を有する。半平面をYの正領域とすると、m=−N/2〜(N/2)−1の整数、およびn=0〜(N/2)−1の整数の場合に、f(hpm,hpn)は値を有する。また、半平面をYの負領域とすると、m=−N/2〜(N/2)−1の整数、および、n=−N/2〜0の整数の場合に、f(hpm,hpn)は値を有する。
【0064】
以上の半平面のみに値を有するようにする変換を、以後、
ch[f(hpm,hpn)]
と表記する。
【0065】
フレネル伝搬距離Lの値によっては、
F[f(hpm,hpn)]
=exp[kL(1−(mλ/(hpN))2
−(nλ/(hpN))21/2] …(10)
を用いる方が好適である。
【0066】
これを利用するにあたっては、逆フーリエ変換した後、半平面を0とする。この演算は、
ch[F-1[exp[kL(1−(mλ/(hpN))2
−(nλ/(hpN))2)1/2]]] …(11)
と表すことができる。
【0067】
次に、干渉演算手段500が、ホログラム面上での物体光の波面H(hpm,hpn)と参照光の波面との複素和を算出し、実数成分を取り出してホログラムデータを得る。
【0068】
なお、in−line型の場合には、干渉演算手段500による干渉演算は必要なく、ホログラム面116での波面をH(hpm,hpn)の実数成分を取り出せばよい。
【0069】
(第2実施形態)
図5は、本発明のホログラム作成装置の第2実施形態の構成図である。図5に示すように、この装置は、(a)観察対象となるべき虚像の所定位置から、正の屈折力を有する第1の結像光学系に応じて、虚像の各点に対応するホログラム面上の位置を算出する位置算出手段120と、(b)虚像の各点での光の光強度分布を算出する光強度分布算出手段220と、(c)虚像の各点からホログラム面までの光の伝搬の伝搬関数をフーリエ変換したものを、伝搬する軸と垂直な平面内の伝搬する軸と垂直な所定の方向側の半平面内でのみ値を持つように限定し、新たな半平面伝搬関数を算出する領域限定手段300と、(d)虚像の各点での光の光強度分布とホログラム面での半平面伝搬関数との畳み込み積分を演算し、ホログラム面上での物体光の波面を算出する畳み込み積分手段400と、(e)ホログラム面上での物体光の波面と参照光の波面との複素和を算出し、実数成分を取り出してホログラムデータを得る干渉演算手段500とを備える。こうしたホログラム作成装置は、関数演算機能を有する計算機システムを使用して好適に実現される。
【0070】
図6は、本実施形態の装置でのホログラム作成にあたって想定した光学系の説明図である。図6に示すように、本実施形態の装置では、像の観察時には、結像光学系111(焦点距離=f)を介して、結像光学系111の一方の焦点面を観測面として、虚像IMを観察することを想定する。なお、図6では、図示のように、結像光学系111の光軸方向をZ方向、紙面上方向をY方向、紙面垂直方向をX方向としている。そして、ホログラム面115を、観察時に想定する視点側とは反対側の結像光学系111の焦点面位置に配置する。
【0071】
本実施形態のホログラム作成装置は、以下のようにして、ホログラムデータを得る。図7は、本実施形態のホログラム作成装置の動作を説明するフローチャートである。
【0072】
図6において、結像光学系111が無く、かつ、観測面からの距離Lの光軸上に点光源δ(X)があると想定する。この場合、観測面上での物体光の波面f(X,Y)は、
f(X,Y)=(1/r)exp[jkr] …(12)
ここで、r=(X2+Y2+L21/2
k:波数
となる。また、ホログラム面116の直後の波面をu(X,Y)とすると、結像光学系111が存在する場合の観測面での波面は、
F[u(X,Y)]
ここで、F:フーリエ変換
となる。
【0073】
ここで、
f(X,Y)=F[u(X,Y)] …(13)
とすると、
u(X,Y)=F-1[(1/r)exp[jkr]] …(14)
となる。この波面u(X,Y)は、図6の光学系において、観測面から距離Lの面(虚像面)上の光軸上に点光源を再生するホログラムの物体波である。すなわち、結像光学系111を含めた伝搬関数となる。
【0074】
次に、虚像面上の任意の位置(X’,Y’)に存在する点光源を再生する場合を考える。この場合には、
ホログラム面116上の位置(X,Y)を、
X=(f/L)X’ …(15)
Y=(f/L)Y’ …(16)
で計算し、この位置に上記のu(X,Y)と同様の波面を設定すればよい。
【0075】
すなわち、まず、位置算出手段120が、(15)式および(16)式によって、虚像面上の位置(X’,Y’)に対応するホログラム面116上の位置(X,Y)を算出する。
【0076】
引き続き、光強度分布算出手段220が、虚像の各点の光強度分布O(X,Y)を算出する。
【0077】
一方、領域限定手段320は、虚像の各点からホログラム面までの光の伝搬の伝搬関数をフーリエ変換したものを、伝搬する軸と垂直な平面内の伝搬する軸と垂直な所定の方向側の半平面内でのみ値を持つように限定した新たな半平面伝搬関数を算出する。すなわち、領域限定手段320は、伝搬関数をフーリエ変換し、伝搬する軸と垂直な平面内の伝搬する軸と垂直な所定の方向側の半平面内では、フーリエ変換結果をそのままとし、伝搬する軸と垂直な平面内の伝搬する軸と垂直な所定の方向と反対の方向側の半平面内では、フーリエ変換結果を0とする。
【0078】
そして、畳み込み積分手段400が、ホログラム面116上での物体光の波面U(X,Y)を、
U(X,Y)=F-1[F[O(X,Y)]×F[F-1[f(X,Y)]]] …(17)
により、畳み込み積分を演算して求める。
【0079】
以上を離散的に表現した場合について説明する。
【0080】
フレネル伝搬距離L、ホログラムのピッチhp、虚像位置の光強度分布O(hpm,hpn)、ホログラム面116での波面をU(hpm,hpn)とすると、
U(hpm,hpn)=F-1[F[O(hpm,hpn)]
×F[ch[F-1[f(hpm,hpn)]]]]
…(18)
f(hpm,hpn)=(1/r)exp[jkr]
r=((hpm)2+(hpn)2+L21/2
ここで、m=−N/2〜(N/2)−1の整数
n=−N/2〜(N/2)−1の整数
となる。
【0081】
ただし、f(hpm,hpn)は半平面でのみ値を有し、他の領域では0とする。半平面をXの正領域とすると、m=0〜(N/2)−1の整数、およびn=−N/2〜(N/2)−1の整数の場合に、f(hpm,hpn)は値を有する。また、半平面をXの負領域とすると、m=−N/2〜0の整数、およびn=−N/2〜(N/2)−1の整数の場合に、f(hpm,hpn)は値を有する。半平面をYの正領域とすると、m=−N/2〜(N/2)−1の整数、およびn=0〜(N/2)−1の整数の場合に、f(hpm,hpn)は値を有する。また、半平面をYの負領域とすると、m=−N/2〜(N/2)−1の整数、および、n=−N/2〜0の整数の場合に、f(hpm,hpn)は値を有する。
【0082】
以上の半平面のみに値を有するようにする変換を、(18)では、
ch[f(hpm,hpn)]
と表記している。
【0083】
次に、干渉演算手段500が、ホログラム面上での物体光の波面H(hpm,hpn)と参照光の波面との複素和を算出し、実数成分を取り出してホログラムデータを得る。
【0084】
なお、in−line型の場合には、干渉演算手段500による干渉演算は必要なく、ホログラム面116での波面をU(hpm,hpn)の実数成分を取り出せばよい。
【0085】
[ホログラム表示装置の実施形態]
(第1実施形態)
図8は、本発明のホログラム表示装置の実施形態の構成図である。本実施形態のホログラム表示装置は、図1または図5のホログラム作成装置によって作成された強度ホログラムに基づいて、像を再生表示する装置である。
【0086】
図8に示すように、この装置は、(a)図5のホログラム作成装置により作成されたホログラム情報を入力する情報入力部600と、(b)情報入力部600を介したホログラム情報を入力し、このホログラム情報に基づいてホログラム117を形成するホログラム形成部700と、(c)ホログラム117を形成する波面の光を入力して結像する、図2の結像光学系111と同等の結像光学系112と、(d)結像光学系112のホログラム117側とは反対側の焦点位置に配置された0次遮光板810と、(e)結像光学系112のホログラム117側とは反対側の焦点面の紙面下方に配置された遮光板820とを備える。
【0087】
ホログラム形成部700は、(i)情報入力部600から通知された情報に基づいて、画像表示する表示装置710と、(ii)表示装置710で表示された画像のを書き込む、空間光変調器720と、(iii)空間光変調器720に照射する、平面波である可干渉光を発生するレーザ光源730と、(iv)レーザ光源730から出力された光を空間光変調器720へ導くリレー光学系740と、(v)空間光変調器652で位相変調された光を入力し、空間光変調器720のホログラム117を形成するアフォーカル光学系750とを備える。
【0088】
まず、情報入力部600からホログラム情報である画像情報を入力し、表示装置710に表示して、その画像情報を空間光変調器720に書き込む。表示装置710としては小型CRTを、空間光変調装置720としては、光書き込み型液晶空間光変調素子を好適に使用できる。
【0089】
引き続き、レーザ光源730から出射された光がリレー光学系740を介して空間光変調器720に照射される。そして、空間光変調器720で位相変調された光はアフォーカル光学系750を介して、空間光変調器720のホログラム117を形成する。
【0090】
図9は、再生時における虚像の観察の説明図である。ホログラム117に作成時の参照光の共役波である平行光、すなわち、読み出し光を照射すると、実像RL1を形成する波面の光が発生する。この光は結像光学系112に入力し、虚像IM1を形成する波面の光となる。図9に示すように、虚像IM1を形成する波面の光は、結像光学系112のホログラム117側とは反対側の焦点面において、焦点の紙面上方を通過するので、結像光学系112のホログラム117側とは反対側の焦点面の後方から、この光を観察することにより虚像IM1を観察することにより、正しい像方向の像の全体像が歪が無しで好適に観測される。
【0091】
図10は、再生時における共役像の除去の説明図である。図10に示すように、ホログラム117に作成時の参照光の共役波である平行光、すなわち、読み出し光を照射すると、実像RL1の共役像である虚像IM2を形成する波面の光が発生する。この光は結像光学系112に入力し、実像RL2を形成する波面の光となる。図10に示すように、実像RL2を形成する波面の光は、結像光学系112のホログラム117側とは反対側の焦点面において、焦点の紙面下方を通過するので、0次遮光板810または遮光板820によって遮光される。この結果、図9で説明した、結像光学系112のホログラム117側とは反対側の焦点面の後方からの虚像IM1の観測にあたって、実像RL2を形成する波面の光が混入することが無く、好適な像観察ができる。
【0092】
【発明の効果】
以上、詳細に説明した通り、本発明のホログラム作成装置および方法によれば、伝搬関数を半平面でのみ値を持つように制限して、ホログラムを計算によって作成するので、再生時に共役像の除去が容易であり、質の高いホログラムを作成することができる。
【0093】
また、他の本発明のホログラム作成装置および方法によれば、伝搬関数の逆フーリエ変換を半作成でのみ値を持つように制限して、ホログラムを計算によって作成するので、再生時に共役像の除去が容易であり、質の高いホログラムを作成することができる。
【0094】
また、本発明のホログラム表示装置および方法によれば、ホログラム作成時に想定された結像光学系と同等の結像光学系を採用するとともに、結像光学系によって結像される共役像を形成する波面の光を遮光するので、本発明のホログラム作成装置で作成したホログラムから、共役像に係る光を除去し、良質の像の再生表示が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のホログラム作成装置の第1実施形態の構成図である。
【図2】 第1実施形態のホログラム作成装置が想定する光学系の説明図である。
【図3】 第1実施形態のホログラム作成装置の動作(前半)のフローチャートである。
【図4】 第1実施形態のホログラム作成装置の動作(後半)のフローチャートである。
【図5】 本発明のホログラム作成装置の第2実施形態の構成図である。
【図6】 第2実施形態のホログラム作成装置が想定する光学系の説明図である。
【図7】 第2実施形態のホログラム作成装置の動作のフローチャートである。
【図8】 本発明のホログラム表示装置の実施形態の構成図である。
【図9】 実施形態のホログラム表示装置における再生像の観察の説明図である。
【図10】 実施形態のホログラム表示装置における共役像の除去の説明図である。
【符号の説明】
110,120…位置算出手段、111,112…結像光学系、210,220…光強度分布算出手段、300…領域限定手段、400…畳み込み積分手段、500…干渉演算手段、600…情報入力部、700…ホログラム形成部、810…0次光遮光板、820…遮光板。

Claims (9)

  1. 仮想3次元空間中の仮想物体に関する、平面状の仮想ホログラム面上のホログラムを作成するホログラム作成装置であって、
    観察対象となるべき虚像の所定位置から、正の屈折力を有する第1の結像光学系に応じて、前記虚像に対応する実像の位置を算出する第1の位置算出手段と、
    前記実像の位置での物体光の光強度分布を算出する第1の光強度分布算出手段と、
    前記物体光の伝搬の伝搬関数を、伝搬する軸と垂直な平面内の前記軸と垂直な所定の方向側の半平面内でのみ値を持つように限定し、半平面伝搬関数を算出する領域限定手段と、
    前記実像の位置での物体光の光強度分布と前記ホログラム面での前記半平面伝搬関数との畳み込み積分を演算し、前記ホログラム面上での物体光の波面を算出する畳み込み積分手段と、
    を備えることを特徴とするホログラム作成装置。
  2. 仮想3次元空間中の仮想物体に関する、平面状の仮想ホログラム面上のホログラムを作成するホログラム作成装置であって、
    観察対象となるべき虚像の所定位置から、正の屈折力を有する第1の結像光学系に応じて、前記虚像の各点に対応する前記ホログラム面上の位置を算出する第2の位置算出手段と、
    前記虚像の各点での光の光強度分布を算出する第2の光強度分布算出手段と、
    前記虚像の各点から前記ホログラム面までの光の伝搬の伝搬関数をフーリエ変換したものを、伝搬する軸と垂直な平面内の前記軸と垂直な所定の方向側の半平面内でのみ値を持つように限定して、新たな半平面伝搬関数を算出する領域限定手段と、
    前記虚像の各点での光の光強度分布と前記ホログラム面での前記半平面伝搬関数との畳み込み積分を演算し、前記ホログラム面上での物体光の波面を算出する畳み込み積分手段と、
    を備えることを特徴とするホログラム作成装置。
  3. 前記ホログラム面上での物体光の波面と参照光の波面との複素和を算出し、実数成分を取り出してホログラムデータを得る干渉演算手段を更に備えることを特徴とする請求項1または2に記載のホログラム作成装置。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載のホログラム作成装置で作成されたホログラムに基づいて仮想物体の像を表示するホログラム表示装置であって、
    前記ホログラム作成装置で作成されたホログラムデータを入力する情報入力部と、
    前記情報入力部から通知された前記ホログラムデータに基づいて、ホログラムを形成するホログラム形成部と、
    前記ホログラムを形成する波面の光を入力し、前記仮想物体の虚像を結像する、前記ホログラム作成装置の第1の結像光学系と同等の正の屈折力を有する第2の結像光学系と、
    前記第2の結像光学系の前記ホログラム側とは反対側の焦点に配置された0次光を遮光する第1の遮光手段と、
    前記第2の結像光学系の前記ホログラム側とは反対側の焦点面上に配置され、前記ホログラムを形成する波面の光が前記第2の結像光学系を介して、実像を結像する波面を遮光する第2の遮光手段と、
    を備えることを特徴とするホログラム表示装置。
  5. 仮想3次元空間中の仮想物体に関する、平面状の仮想ホログラム面上のホログラムを作成する請求項1〜3の何れか1項に記載のホログラム作成装置と、
    このホログラム作成装置で作成されたホログラムに基づいて仮想物体の像を表示する請求項4記載のホログラム表示装置と、
    を備えることを特徴とするホログラフィシステム。
  6. 仮想3次元空間中の仮想物体に関する、平面状の仮想ホログラム面上のホログラムを作成するホログラム作成方法であって、
    観察対象となるべき虚像の所定位置から、正の屈折力を有する第1の結像光学系に応じて、前記虚像に対応する実像の位置を算出し、
    前記実像の位置での物体光の光強度分布を算出し、
    前記物体光の伝搬の伝搬関数を、伝搬する軸と垂直な平面内の前記軸と垂直な所定の方向側の半平面内でのみ値を持つように限定し、半平面伝搬関数を算出し、
    前記実像の位置での物体光の光強度分布と前記ホログラム面での前記半平面伝搬関数との畳み込み積分を演算し、前記ホログラム面上での物体光の波面を算出する、
    ことを特徴とするホログラム作成方法。
  7. 仮想3次元空間中の仮想物体に関する、平面状の仮想ホログラム面上のホログラムを作成するホログラム作成方法であって、
    観察対象となるべき虚像の所定位置から、正の屈折力を有する第1の結像光学系に応じて、前記虚像の各点に対応する前記ホログラム面上の位置を算出し、
    前記虚像の各点での光の光強度分布を算出し、
    前記虚像の各点から前記ホログラム面までの光の伝搬の伝搬関数をフーリエ変換したものを、伝搬する軸と垂直な平面内の前記軸と垂直な所定の方向側の半平面内でのみ値を持つように限定して、新たな半平面伝搬関数を算出し、
    前記虚像の各点での光の光強度分布と前記ホログラム面での前記半平面伝搬関数との畳み込み積分を演算し、前記ホログラム面上での物体光の波面を算出する、
    ことを特徴とするホログラム作成方法。
  8. 前記ホログラム面上での物体光の波面と参照光の波面との複素和を算出し、実数成分を取り出してホログラムデータを得ることを特徴とする請求項6または7に記載のホログラム作成方法。
  9. 請求項6〜8の何れか1項に記載のホログラム作成方法で作成されたホログラムに基づいて仮想物体の像を表示するホログラム表示方法であって、
    前記ホログラム作成方法で作成されたホログラムデータを情報入力部により入力し、
    前記情報入力部から通知された前記ホログラムデータに基づいてホログラム形成部によりホログラムを形成し、
    前記ホログラム作成方法の第1の結像光学系と同等の正の屈折力を有する第2の結像光学系により、前記ホログラムを形成する波面の光を入力し、前記仮想物体の虚像を結像し、
    前記第2の結像光学系の前記ホログラム側とは反対側の焦点に配置された第1の遮光手段により0次光を遮光し、
    前記第2の結像光学系の前記ホログラム側とは反対側の焦点面上に配置された第2の遮光手段により、前記ホログラムを形成する波面の光が前記第2の結像光学系を介して実像を結像する波面を遮光する、
    ことを特徴とするホログラム表示方法。
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