JP4705123B2 - 量子暗号鍵配送システム - Google Patents

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本発明は、量子暗号鍵配送システムに関し、特に、時間位置もつれ光子による量子暗号鍵配送システムに関する。
近年、光子1個レベルの光を用いることにより、物理的に安全性が保証された量子暗号通信の研究が進められている。量子暗号は、離れた2つの通信装置の間で暗号通信を行なうための秘密鍵を共有するためのものであり、量子鍵配送とも呼ばれている。量子鍵配送にも各種方式があるが、ここでは、時間位置もつれ光子による量子鍵配送システムについて説明する。
図1に、従来の時間位置もつれ光子による量子鍵配送システムの一例を示す(特許文献1)。このシステム100は、時間位置もつれ光子対を発生する光子対発生器と、互いに離れた地点で秘密鍵を生成する1組の受信機AおよびBとを備えている。時間位置もつれ光子対発生器は、ポンプ光源と、光非線形媒質とを有し、光パラメトリック過程を起こす光非線形媒質にポンプ光源からのポンプ光を入射することにより、量子もつれ関係にある一定時間間隔Tの光パルス列(シグナル光子およびアイドラー光子)を受信機A,Bに配送する。ここで、光子対発生器は、平均1光子対/パルス未満となる光レベルに設定される。シグナル光子とアイドラー光子は、エネルギー保存則を満たすために、必ず対で発生する。さらに、任意の連続する光子対をみた時に、シグナル光子同士の位相差Δθsとアイドラー光子同士の位相差Δθiの和(Δθs+Δθi)は必ず一定であるという関係がある。このような相関を持った光子のペアを時間位置もつれ光子対という。
時間位置もつれ光子対発生器から出力されたシグナル・アイドラーパルス列は、それぞれ伝送路を経て受信機A,Bに到達する。各受信機は同じ構成であり、それぞれ、光位相変調器と、1パルス遅延干渉計と、干渉計での干渉状態に応じて光子を検出する2つの光子検出器を備えている。各受信機は、パルス間隔Tのパルス列を受信し、各パルスを位相変調器により0またはπ/2で位相変調する。位相変調した各パルスは、光分岐器C1,C3により2つに分岐され、光遅延経路により分岐経路間に遅延Tが加えられた後、2×2の光カップラC2,C4により合波される。光遅延経路の遅延Tは、パルス間隔Tに等しくなるように設定されているので、前後のパルス列が重なり合って合波される。すなわち、合波カップラC2,C4において、前後のパルス列の光子が干渉し、その干渉状態に応じて、光子が合波カップラの2つの出力ポートのいずれかに出力される。そのため、光子の干渉状態に応じて、2つの出力ポートに接続された光子検出器A1およびA2,B1およびB2のいずれかで光子が検出される。位相変調器での位相変調情報に加えて、光子検出器での検出時刻および検出結果が情報処理装置CPUに供給される。情報処理装置は、2つの受信機AおよびBの間で情報を交換することができるように構成されている。
以上の構成において、受信機AおよびBが共に光子を検出した場合には、時間位置もつれ光子対の性質により、受信機Aの光子検出結果と受信機Bの光子検出結果には、各受信機が加える位相変調に応じて、表1のような相関がある。
Figure 0004705123
それぞれの受信機は各パルスを0またはπ/2で位相変調しているので、この位相変調により干渉を起こす2つの連続パルスに与えられる位相差(差動位相量)は、−π/2,0またはπ/2である。一方の受信機で与えられる差動位相量が3通りあるので、2つの受信機で与えられる差動位相量の組み合わせは9通りである。表1は、それぞれの組み合わせについての光子検出の相関関係を示している。
表1において、Δθa、Δθbはそれぞれ受信機A,Bで与えられる差動位相量を表わす。また、「A1−B2」は、検出器A1が光子を検出すれば必ず検出器B2が光子を検出することを表わしている。「A2−B1」、「A1−B1」および「A2−B2」も同様である。さらに、「?」は、2つの受信機の光子検出事象には相関がなく、各光子検出器は全くランダムに光子を検出することを表わしている。上記の相関関係をまとめると、Δθa+Δθb=±πのときは「A1−B2」または「A2−B1」、Δθa+Δθb=0のときは「A1−B1」または「A2−B2」、Δθa+Δθb=±π/2のときは「?」となっている。なお、表1の相関関係の式を用いた詳細な説明は、特許文献1で述べられている。
以上の構成を用いて、受信機AおよびBは次の手順により秘密鍵を共有することができる。
(1)まず、各受信機は、パルス列を受信し、上記のように光子を検出する。この際、光子を検出した時刻とどちらの検出器で光子を検出したかを情報処理装置CPUに記録する。
(2)必要な所定数だけ光子を受信した後、各受信機は、光子を検出した時刻(光子検出時刻)と共に差動位相量(または位相変調器での位相変調量)を情報処理装置CPUを用いて通常の伝送路を介して互いに送受する。
(3)そして、両受信機は、同時刻に光子を検出した場合について、予め定めた規則(たとえば、Δθa+Δθb=±πの場合には、検出器A1/B2による検出事象をビット「0」、検出器A2/B1による検出事象をビット「1」、Δθa+Δθb=0の場合には、検出器A1/B1による検出事象をビット「0」、検出器A2/B2による検出事象をビット「1」とする規則。)に従って鍵ビットを生成する。Δθa+Δθb=±π/2の場合にはビットを生成しない。
時間位置もつれ光子対の性質により、上記のように受信機A,Bの両者が生成したビットは互いに必ず一致する。これにより、2つの受信機AおよびBは秘密鍵として同じビット列を共有することができる。
この手順において、受信機AおよびBの間で通常の伝送路を通じて送受される情報は光子検出時刻と差動位相量であり、ビット情報は外部には出ない。また、これらの送受される情報から他人が鍵ビットを生成することもできない。光子対発生器から送られているのはパルス当り平均1光子未満の光なので、盗聴者が信号の一部を分岐してビット情報を得ることはできない。なぜなら、光子は2分割されることはないので、盗聴者が分岐により光子を検出すると、その光子は受信機に届かず、2つの受信機が獲得するビット列にはならないからである。
次に、別の従来例について説明する。図2に、従来の時間位置もつれ光子対による量子鍵配送システムの別の一例を示す(非特許文献1)。基本的には図1の従来例と同様であるが、図2のシステム200では、各受信機に位相変調器が備えられていない。
このように構成すると、各受信機A,Bが同時に光子を検出する相関特性は、表1においてΔθa=Δθb=0とした場合と同じものになる。すなわち、検出器A1が光子を検出すれば必ず検出器B1が光子を検出し、検出器A2が光子を検出すれば必ず検出器B2が光子を検出することになる。
以上の構成を用いて、受信機AおよびBは次の手順により秘密鍵を共有することができる。
(1)まず、各受信機は、パルス列を受信し、上記のように光子を検出する。この際、格子を検出した時刻とどちらの検出器で光子を検出したかを情報処理装置CPUに記録する。
(2)必要な所定数だけ光子を受信した後、各受信機は、光子を検出した時刻(光子検出時刻)を情報処理装置CPUを用いて通常の伝送路を介して互いに送受する。
(3)そして、両受信機は、同時刻に光子を検出した場合について、予め定めた規則(例えば、検出器A1/B2による検出事象をビット「0」、検出器A2/B2による検出事象をビット「1」、とする規則。)に従って鍵ビットを生成する。
時間位置もつれ光子対の性質により、上記のように受信機A,Bの両者が生成したビットは互いに必ず一致する。これにより、2つの受信機AおよびBは秘密鍵として同じビット列を共有することができる。
この手順において、受信機AおよびBの間で通常の伝送路を通じて送受される情報は、光子検出時刻であり、ビット情報は外部には出ない。また、この送受される情報から他人が鍵ビットを生成することもできない。
特開2006−179982号公報 K. Inoue and H. Takesue, "Quantum key distribution using entangled-photon trains with no basis selection," Physical Review A, vol.73, 032332, 2006.
図1の従来例では、各受信機において、光子対発生器から伝送されてきた受信信号に対して位相変調を与えている。これには光位相変調器が用いられるが、通常、光位相変調器の変調効率は入力光の偏波状態に依存する。すなわち、常に0またはπ/2の位相変調を与えるためには、入力光の偏波状態を所定の状態に保たなければならない。ところが、一般に光ファイバ伝送路を透過した光の偏波状態はランダムであり、かつ時間的にも揺らいでいる。したがって、図1の従来例においてシステムを安定に動作させるためには、図示していないが、各受信機で伝送信号光の偏波状態を制御する手段が必要である。平均光子数が1個/パルス未満の光に対してこのような制御を行なうには高度な技術が必要であり装置の煩雑化を招く。
図2の従来例では、位相変調器は用いられていないが、他の光部品や装置に偏波依存性がある場合がある。例えば、受信機で用いられる光子検出器として、図3に示す波長変換型の光子検出器に関する研究が進められている。
波長変換型光子検出器300では、波長1.5μmの信号光子を波長1.3μm(または0.9μm)のポンプ光と合波して、光非線形素子に入力する。光非線形素子では、光パラメトリック相互作用と呼ばれる光のミキンシング現象により、波長1.5μmの信号光子が短波長の光子に変換される。これを光フィルターで取り出し、Si−アバランシェフォトダイオード(Si−APD)で検出する。Si−APDは、1.5μm帯用のInGaAs−アバランシェフォトダイオード(InGaAs−APD)より高速性に優れている。そのため、1.5μmの光子を速いレートで検出することができ、結果として量子鍵配送システムの鍵生成レートを高めることができる。
しかしながら、この波長変換型光子検出器300には、偏波依存性が存在する。これは、光非線形素子内で起こる光パラメトリック相互作用の効率が、ポンプ光と信号光の偏波状態に依存するためであり、その結果、光子検出器としての検出効率が信号光子の偏波状態に依存することになる。したがって、図2の従来例において波長変換型光子検出器を用いる場合には、図1の従来例と同様に、各受信機において伝送信号光の偏波状態を制御する手段が必要となる。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、信号光の偏波制御を必要としない時間位置もつれ光子による量子鍵配送システムを提供することにある。
本発明は、このような目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、量子鍵配送システムであって、一定時間間隔Tのシグナル光子のパルス列と、一定時間間隔Tのアイドラー光子のパルス列とからなる時間位置もつれ光子対を発生する光子対発生器と、前記シグナル光子のパルス列を受信する第1の受信機と、前記アイドラー光子のパルス列を受信する第2の受信機とを備え、前記光子対発生器は、各パルス列について、隣り合うパルスの偏波状態が互いに直交したパルス列を送出し、前記各受信機は、受信したパルス列を分岐し、その分岐経路間に前記一定時間間隔Tの2倍の遅延を与えることによって前記偏波状態が一致するパルス同士を干渉させて光子を検出し、光子を検出した時刻を互いに送受することによって互いに共通する量子鍵を生成する構成であることを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、量子鍵配送システムであって、一定時間間隔Tのシグナル光子のパルス列と、一定時間間隔Tのアイドラー光子のパルス列とからなる時間位置もつれ光子対を発生する光子対発生器と、前記シグナル光子のパルス列を受信する第1の受信機と、前記アイドラー光子のパルス列を受信する第2の受信機とを備え、前記光子対発生器は、各パルス列について、隣り合うパルスの偏波状態が互いに直交したパルス列を送出し、前記各受信機は、受信したパルス列を位相変調した後に分岐し、その分岐経路間に前記一定時間間隔Tの2倍の遅延を与えることによって前記偏波状態が一致するパルス同士を干渉させて光子を検出し、前記位相変調における位相変調量と光子を検出した時刻とを互いに送受することによって互いに共通する量子鍵を生成する構成であることを特徴とする。
また、請求項に記載の発明は、請求項1または2に記載の量子鍵配送システムであって、前記光子対発生器は、ポンプ光のパルス列を発生するポンプ光源と、前記ポンプ光のパルス列について、隣り合うパルスの偏波状態を直交させる偏波変調手段と、前記隣り合うパルスの偏波状態が直交したポンプ光のパルス列から前記シグナル光子のパルス列と前記アイドラー光子のパルス列とを生成する光非線形媒質とを備えたことを特徴とする。
また、請求項に記載の発明は、請求項1または2に記載の量子鍵配送システムであって、前記光子対発生器は、ポンプ光のパルス列を発生するポンプ光源と、前記ポンプ光のパルス列から前記シグナル光子のパルス列と前記アイドラー光子のパルス列とを生成する光非線形媒質と、前記シグナル光子および前記アイドラー光子の各パルス列について、隣り合うパルスの偏波状態を直交させる偏波変調手段とを備えたことを特徴とする。
本発明によれば、量子もつれ光子による秘密鍵配送システムにおいて、偏波依存性のある光部品や装置を用いつつ、システム全体としては偏波依存性のない鍵生成動作を達成することができる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図4は、本発明の第1の実施形態に係る量子鍵配送システムの構成例である。基本的には図1の従来例と同様であるが、図4のシステム400では、次の2つの点で相違している。第1に、時間位置もつれ光子対発生器において、光非線形媒質に入射するポンプ光を偏波変調している。第2に、各受信機において、遅延干渉計で与える時間遅延量が、パルス間隔の2倍(2T)となっている。すなわち、各受信機における干渉計は2パルス遅延干渉計となっている。また、各受信機における位相変調手段の前段には、もっとも変調効率の高い直線偏波状態のみを透過する検光子が備えられているものとする。この検格子は、通常、位相変調器に組み込まれているため、図示していない。
時間位置もつれ光子対発生器において、ポンプ光源からのポンプ光は、光非線形媒質への入射偏波状態がパルスごとに互いに直交関係となるように偏波変調される。例えば、横直線偏波(H)−縦直線偏波(V)−横直線偏波(H)−縦直線偏波(V)…、といった具合である。光ファイバのような等方的な非線形媒質においては、光パラメトリック過程により発生するシグナル・アイドラー光の偏波状態はポンプ光と同一となる性質がある。このため、このような光非線形媒質に上記のように偏波変調されたポンプ光が入射されると、非線形媒質からパルスごとに偏波状態が直交するシグナル・アイドラーパルス列が発生する。
時間位置もつれ光子対発生器から出力されたシグナル・アイドラーパルス列は、それぞれ伝送路を経て受信機A,Bに到達する。各受信機は同じ構成であり、それぞれ、光位相変調器と、2パルス遅延干渉計と、干渉計での干渉結果を検出する2つの光子検出器を備えている。各受信機A,Bは、パルス間隔Tのパルス列を受信し、各パルスを位相変調器により0またはπ/2で位相変調する。位相変調した各パルスは、光分岐器C1,C3により2つに分岐され、光遅延経路により分岐経路間に遅延2Tが加えられた後、2×2の光カップラC2,C4により合波される。光遅延経路の遅延2Tは、パルス間隔Tの2倍に等しくなるように設定されているので、図5に示すように、1パルスおきにパルス列が重なり合って合波される。すなわち、合波カップラC2,C4において、1パルスおきにパルス列の光子が干渉し、その干渉状態に応じて、光子が合波カップラの2つの出力ポートのいずれかに出力される。そのため、光子の干渉状態に応じて、2つの出力ポートに接続された光子検出器A1およびA2,B1およびB2のいずれかで光子が検出される。位相変調器での位相変調情報に加えて、光子検出器での検出時刻および検出結果が情報処理装置CPUに供給される。情報処理装置は、2つの受信機AおよびBの間で情報を交換することができるように構成されている。
前述のように、時間位置もつれ光子対発生器から出力されるシグナル・アイドラーパルス列は、隣り合うパルスの偏波状態が互いに直交している。このようなパルス列が2ビット遅延干渉計を透過すると、合波カップラで重なり合うパルスの偏波状態は一致する(図5)。したがって、重なり合ったパルスは干渉を起こし、その干渉状態に応じて2つの光子検出器のいずれかで光子が検出されることになる。
干渉の結果、受信機A,Bが共に光子を検出した場合の光子検出の相関関係は、表1と同様となる。ただし、表1では、{Δθa、Δθb}は隣り合うパルス間の差動位相量であったが、図4の構成では、1パルスおきのパルス間の差動位相量となる。
以上の構成を用いて、受信機AおよびBは次の手順により秘密鍵を共有することができる。
(1)まず、各受信機は、パルス列を受信し、上記のように光子を検出する。この際、光子を検出した時刻とどちらの検出器で光子を検出したかを情報処理装置CPUに記録する。
(2)必要な所定数だけ光子を受信した後、各受信機は、光子を検出した時刻(光子検出時刻)と共に差動位相量(または位相変調器での位相変調量)を情報処理装置CPUを用いて通常の伝送路を介して互いに送受する。
(3)そして、両受信機は、同時刻に光子を検出した場合について、予め定めた規則(たとえば、Δθa+Δθb=±πの場合には、検出器A1/B2による検出事象をビット「0」、検出器A2/B1による検出事象をビット「1」、Δθa+Δθb=0の場合には、検出器A1/B1による検出事象をビット「0」、検出器A2/B2による検出事象をビット「1」、とする規則。)に従って鍵ビットを生成する。Δθa+Δθb=±π/2の場合には、ビットを生成しない。
時間位置もつれ光子対の性質により、上記のように受信機A,Bの両者が生成したビットは互いに必ず一致する。これにより、2つの受信機AおよびBは秘密鍵として同じビット列を共有することができる。得られたビット列が外部に知られていない秘密鍵となることは、従来例と同様である。
上記のように構成すると、各受信機の光子検出特性は、伝送信号光の偏波状態には依存しなくなる。その理由を以下に述べる。
まず、各受信機の光位相変調器は、x方向の直線偏波光に対して変調効率が最大、y方向の直線偏波光に対しては変調効率最小であるとする。ただし、{x,y}は直交座標系である。任意の偏波状態の光子の確率振幅(光電場の複素振幅に相当)は、{x,y}直交座標系でA(cos[θ],sin[θ]exp[iψ])と表わされる。また、2つの光E1,E2が直交関係にあるということは、式の上で、(E1・E2 *)=0と表わされる。ただし、(・)はベクトルの内積、*は複素共役である。
光位相変調器への入力偏波状態は、ファイバ伝送により一般にはランダムであるが、直交関係は保たれている。すなわち、時間位置もつれ光子対発生器の出力段で直交偏波関係にあった2つのパルスの偏波関係は、光位相変調器の入力段においても直交している。したがって、光位相変調器の入力において奇数番目のパルスの偏波状態を一般的にA(cos[θ0],sin[θ0]exp[iψ0])と表わすと、偶数番目の偏波状態はこれに直交する状態としてA(sin[θ0],−cos[θ0]exp[−iψ0])と表わすことができる。
本実施形態の説明の冒頭で述べたように、光位相変調器には、効率最大となる偏波成分を透過させる検光子が備えられている。したがって、x成分だけが変調器を透過する。これにより、奇数番目のパルスの出力振幅はAcos[θ0]、偶数番目のパルスの出力振幅はAsin[θ0]となる。光子が検出される確率は振幅の絶対値の二乗に比例するので、奇数番目のパルスからの光子検出確率はA2cos2[θ0]に比例し、偶数番目のパルスからの光子検出確率はA2sin2[θ0]に比例する。したがって、パルス全体の平均光子検出数は、A2cos2[θ0]+A2sin2[θ0]=A2に比例することになる。すなわち、パルス全体の平均光子検出数は、位相変調器への入力偏波状態に依存しない定数となり、受信機の光子検出特性は偏波無依存となる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、時間位置もつれ光子対発生器において、光非線形媒質への入射ポンプ光を偏波変調することにより、パルスごとに偏波状態が直交したシグナル・アイドラー光子パルス列を発生させたが、第2の実施形態では、図6に示すように、シグナル・アイドラー光子対発生後に偏波を変調した後、光フィルターなどの手段によりシグナル光とアイドラー光を分離する構成としている。この場合も、パルスごとに偏波状態が直交したシグナル・アイドラー光子パルス列を生成することができる。また、光フィルターに代えて光カップラを用いることもできる。
このような光子対発生器の構成によっても、第1の実施形態と同様の原理により、入力偏波状態に依存しない光子検出特性を得ることができる。
(第3の実施形態)
図7は、本発明の第3の実施形態に係る量子鍵配送システムの構成例である。基本的には図2の従来例と同様であるが、図7のシステム700では、次の2つの点で相違している。第1に、時間位置もつれ光子対発生器において、光非線形媒質に入射するポンプ光を偏波変調している。第2に、各受信機において、遅延干渉計で与える時間遅延量が、パルス間隔の2倍(2T)となっている。すなわち、各受信機における干渉計は2パルス遅延干渉計となっている。
時間位置もつれ光子対発生器の構成は、第1の実施形態と同様である。これにより、時間位置もつれ光子対発生器からは、パルスごとに偏波状態が直交したシグナル・アイドラーパルス列が生成される。
各受信機の構成は、第1の実施形態で示した受信機構成から位相変調手段を除いたものである。これにより、合波カップラでは1パルスおきにパルス同士が干渉し、その結果、受信機A,Bが共に光子を検出した場合の光子検出の相関関係は、表1においてΔθa+Δθb=0とした場合と同様になる。ただし、表1では、{Δθa、Δθb}は隣り合うパルス間の差動位相量であったが、図6の構成では、1パルスおきのパルス間の差動位相量となる。
以上の構成を用いて、受信機AおよびBは次の手順により秘密鍵を共有することができる。
(1)まず、各受信機は、パルス列を受信し、上記のように光子を検出する。この際、光子を検出した時刻とどちらの検出器で光子を検出したかを情報処理装置CPUに記録する。
(2)必要な所定数だけ光子を受信した後、各受信機は、光子を検出した時刻(光子検出時刻)を情報処理装置CPUを用いて通常の伝送路を介して互いに送受する。
(3)そして、両受信機は、同時刻に光子を検出した場合について、予め定めた規則(例えば、検出器A1/B1による検出事象をビット「0」、検出器A2/B2による検出事象をビット「1」、とする規則。)に従って鍵ビットを生成する。
時間位置もつれ光子対の性質により、上記のように受信機A,Bの両者が生成したビットは互いに必ず一致する。これにより、2つの受信機A,Bは秘密鍵として同じビット列を共有することができる。得られたビット列が外部に知られていない秘密鍵となることは、従来例と同様である。
次に、上記の構成により、各受信機の光子検出器が偏波依存性を持つ場合でも、システムとしての鍵ビット生成特性が偏波無依存となる。その理由を以下で説明する。
まず、各受信機の光子検出器は、x方向の直線偏波光に対してのみ検出効率があるものとする。これに対し、奇数番目のパルスはA(cos[θ0],sin[θ0]exp[iψ0])、偶数番目のパルスはA(sin[θ0],−cos[θ0]exp[−iψ0])である偏波状態のパルス列が入力されたとする。第1の実施形態で述べたように、このように表記すると、奇数番目のパルスと偶数番目のパルスの偏波状態は直交していることになる。すると、奇数番目のパルスからの光子検出確率はA2cos2[θ0]に比例し、偶数番目のパルスからの光子検出確率はA2sin2[θ0]に比例する。これより、全体の平均光子検出数は、A2cos2[θ0]+A2sin2[θ0]=A2に比例することになる。すなわち、光子検出器への入力偏波状態に依存しない定数となり、受信機の光子検出特性は偏波無依存となる。
(第4の実施形態)
第3の実施形態では、時間位置もつれ光子対発生器において、光非線形媒質への入射ポンプ光を偏波変調することにより、パルスごとに偏波状態が直交したシグナル・アイドラー光子パルス列を発生させたが、第4の実施形態では、図8に示すように、シグナル・アイドラー光子対発生後に偏波を変調した後、光フィルターなどの手段によりシグナル光とアイドラー光を分離する構成としている。この場合も、パルスごとに偏波状態が直交したシグナル・アイドラー光子パルス列を生成することができる。
このような光子対発生器の構成によっても、第3の実施形態と同様の原理により、入力信号光の偏波状態に依存しない光子検出特性を得ることができる。
以上、本発明について、具体的にいくつかの実施形態について説明したが、本発明の原理を適用できる多くの実施可能な形態に鑑みて、ここに記載した実施形態は、単に例示に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。ここに例示した実施形態は、本発明の趣旨から逸脱することなくその構成と詳細を変更することができる。さらに、説明のための構成要素および手順は、本発明の趣旨から逸脱することなく変更、補足、またはその順序を変えてもよい。
従来の時間位置もつれ光子による量子鍵配送システムの一例を示す図である。 従来の時間位置もつれ光子による量子鍵配送システムの別の一例を示す図である。 波長変換型の光子検出器の一例を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係る量子鍵配送システムの構成例を示す図である。 本発明の量子鍵配送システムにおいて1パルスおきにパルス列が重なり合って合波される様子を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係る量子鍵配送システムの構成例を示す図である。 本発明の第3の実施形態に係る量子鍵配送システムの構成例を示す図である。 本発明の第4の実施形態に係る量子鍵配送システムの構成例を示す図である。
符号の説明
100,200,400,600,700,800 量子鍵配送システム
300 波長変換型光子検出器
C1,C3 光分岐器
C2,C4 光カップラ

Claims (4)

  1. 量子鍵配送システムであって、
    一定時間間隔Tのシグナル光子のパルス列と、一定時間間隔Tのアイドラー光子のパルス列とからなる時間位置もつれ光子対を発生する光子対発生器と、
    前記シグナル光子のパルス列を受信する第1の受信機と、
    前記アイドラー光子のパルス列を受信する第2の受信機と
    を備え、
    前記光子対発生器は、各パルス列について、隣り合うパルスの偏波状態が互いに直交したパルス列を送出し、
    前記各受信機は、受信したパルス列を分岐し、その分岐経路間に前記一定時間間隔Tの2倍の遅延を与えることによって前記偏波状態が一致するパルス同士を干渉させて光子を検出し、光子を検出した時刻を互いに送受することによって互いに共通する量子鍵を生成する構成であることを特徴とする量子鍵配送システム。
  2. 量子鍵配送システムであって、
    一定時間間隔Tのシグナル光子のパルス列と、一定時間間隔Tのアイドラー光子のパルス列とからなる時間位置もつれ光子対を発生する光子対発生器と、
    前記シグナル光子のパルス列を受信する第1の受信機と、
    前記アイドラー光子のパルス列を受信する第2の受信機と
    を備え、
    前記光子対発生器は、各パルス列について、隣り合うパルスの偏波状態が互いに直交したパルス列を送出し、
    前記各受信機は、受信したパルス列を位相変調した後に分岐し、その分岐経路間に前記一定時間間隔Tの2倍の遅延を与えることによって前記偏波状態が一致するパルス同士を干渉させて光子を検出し、前記位相変調における位相変調量と光子を検出した時刻とを互いに送受することによって互いに共通する量子鍵を生成する構成であることを特徴とする量子鍵配送システム。
  3. 請求項1または2に記載の量子鍵配送システムであって、
    前記光子対発生器は、
    ポンプ光のパルス列を発生するポンプ光源と、
    前記ポンプ光のパルス列について、隣り合うパルスの偏波状態を直交させる偏波変調手段と、
    前記隣り合うパルスの偏波状態が直交したポンプ光のパルス列から前記シグナル光子のパルス列と前記アイドラー光子のパルス列とを生成する光非線形媒質と
    を備えたことを特徴とする量子鍵配送システム。
  4. 請求項1または2に記載の量子鍵配送システムであって、
    前記光子対発生器は、
    ポンプ光のパルス列を発生するポンプ光源と、
    前記ポンプ光のパルス列から前記シグナル光子のパルス列と前記アイドラー光子のパルス列とを生成する光非線形媒質と、
    前記シグナル光子および前記アイドラー光子の各パルス列について、隣り合うパルスの偏波状態を直交させる偏波変調手段と
    を備えたことを特徴とする量子鍵配送システム。
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