JP4699277B2 - 無線装置及び異常検出方法 - Google Patents
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Description
非特許文献1では、この消費電力低減の課題を、間欠受信待ち受け動作の時間を短くすることにより解決し、主に電力消費を低減することができ、また、その結果として電池駆動では電池寿命を延ばすことのできる技術が述べられている。この技術を図9に示す。同図においては、(a)に示す間欠待受時間を、自分宛の電波がない場合には(b)に示すようにより短い時間へと改善している。
超小型・低消費電力の双方向小電力無線モジュールを開発,[online],2005年5月19日,松下電器産業,[平成18年3月6日検索],インターネット<http://panasonic.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn050519-1/jn050519-1.html>
そして、複数の無線装置から、センサでの取得情報や過去に蓄積した履歴情報などを相互に送信して、これら送信された情報を受信し、この受信した他の無線装置に関する情報と無線装置自身の情報とを比較する。これら2つの情報間の相関値が所定の閾値以下である場合など、大きな差異がある場合には、LED(Light Emitting Diode)の発光やブザー音の発生などのアクチュエータ(ここでは、何らかの作動を行う装置やデバイスのことを指す)を駆動したり、警報信号を電波送信したり、さらにはこの異常をログとしてメモリに記録するなどを行う。
また、複数個の無線装置同士で、ある無線装置の送信タイミングと他の無線装置の受信タイミングを合わせた同期状態を確立することができる。このように、複数の無線装置間で送受信の同期が確立されるため、受信待機時間を短くすることができ、電力消費を低減することができる。
図1は、本実施の形態による情報共有する複数の無線タグを示す図である。
同図においては、8個の無線タグ1として無線タグ1a〜1hがある。これらの無線タグ1a〜1hの配置は活用される状況により決まるが、ここでは無作為な配置としている。また、これらの無線タグ1は相互に自身が持つ情報を発信して情報の共有を図っている。この情報の発信は、電波などの無線により行われており、その信号が受信できる範囲で相互の情報共有が可能である。この図1では簡単に隣り合う無線タグ間が相互に情報共有をしていることを双方向矢印で示している。
ここで、無線タグ1が多数ある(図1では簡単な例として8個を示している)場合、隣り合う無線タグ間の相互の情報共有を、ある無線タグ1は幾つか行うことができる。例えば、図1の無線タグ1aは、隣り合う無線タグ間の相互の情報共有を5個の他の無線タグ1b、1c、1d、1e、1fと行っている。つまり、同図において、無線タグ1aとその隣り合う5個の無線タグ1b、1c、1d、1e、1fとの間の双方向矢印が5本ある。
このように、無線タグ1(図1では無線タグ1a)は、周囲の他の無線タグ1(図1では無線タグ1b、1c、1d、1e、1f)からの情報を受け、この受信した情報と自身の持つ情報とを比較して、凡そ同じなのか、それとも、大きく異なるのかを判定することができる。
以上のように周囲の無線タグと同じ情報を持っているものが図1では無線タグ1b、1c、1d、1e、1f、1g、1hであり、周囲と異なる情報を持つ無線タグが無線タグ1aであるとする。
相互に共有する情報が室温の場合は、無線タグ1aが配置された場所だけが火災の出火時の火元であるとか、暖房を開始した直後のストーブなどの近くであるなどということも想定できる。また、振動センサの情報であれば、その無線タグ1aが取り付けられた対象物が移動したというようなことも分かるし、もしも周囲が同時に振動すれば地震で建物全体が揺れている場合と区別できる。さらに他の事例としては、周囲の他の無線タグからそれらの移動履歴を受信して、ある無線タグのみがそれらの(多くは同じ)履歴から違うことを検知することができる。このように周囲とは異なる履歴を検知した際には、同じ目的地へ移動する複数の無線タグから離れてこの無線タグが孤立した可能性が高い。
こうした状況を判断して、警報信号を無線タグ自ら発信することも可能になる。
図2は、本実施の形態による無線タグ1の構成を示すブロック図である。
同図において、無線装置としての無線タグ1は、CPU(central processing unit)10、電池11、LF(Low Frequency)受信機能/センサ部12、送受信制御部13(異常検出手段、送受信制御手段)、送信機能部14(送信手段)、受信機能部15(受信手段)、送受信切替器16、アンテナ17、電力制御部18、及び、タイマー19を備える。CPU10は、時間管理をつかさどり、電池11及びタイマー19以外の各部を制御する。電池11は、LF受信機能/センサ部12、送受信制御部13、送信機能部14に電力を供給する。LF受信機能/センサ部12は、LF送信器2からのLF信号を受信する機能を有するLF受信器及び各種センサであるが、LF受信器を持たないものもある。送受信制御部13は、タイマー19から得る時刻の情報を用いて、他の無線タグ1との間の無線信号の送受信を制御する。送信機能部14は、データを送信周波数にアップコンバートし、アンテナ17から他の無線タグ1へ無線信号を送信する。受信機能部15は、アンテナ17により他の無線タグ1からの受信した無線信号を受信周波数からダウンコンバートして復調し、データを取得する。送受信切替器16は、時間により送信機能部14と受信機能部15との切替を行う。電力制御部18は、アンテナ17から送信する無線の強さに応じて電池11から送信機能部14へ供給する電力を制御する。タイマー19は、スリープ状態の時間をカウントする。
次に、図1を参照しながら説明していた無線タグ間の相互の情報共有を行うために必要な同期確立の方法と周囲の無線タグとの違い(他と異なる異常な状況の把握など)を判断して通知する方法について述べる。これらの方法について示したものが、図3の同期確立と異常状態の通知の流れである。
図3を説明する前に、複数の無線タグが同期して動作する必要性について述べる。
無線タグは、サイズを小さくすることが求められており、そのために僅かなエネルギーで動作している。このために無線タグ間で電波などの無線により情報をやり取りする際には、常時あるいは無作為な時間で動作するとエネルギーの消耗が著しい。すなわち、無線タグからの情報の送信が無作為な時間で行われると、この情報を受ける側の無線タグは常時受信状態を維持して待機しなければならない。また、過去の履歴情報を蓄積する際も、どの程度の頻度で追加更新がされるのかを想定することができないため、できる限りの容量や常時稼動可能な状況としなければならない。
図3に示す無線タグ1の動作の流れには、大きく2つの部分がある。
一つは、4つ処理ステップS110〜S140までの前半部であり、複数の無線タグ間での同期確立である。もう一つは、4つ目の処理ステップS110とそれ以降の後半部であり、同期確立の維持と異常時の検出およびその報知である。
この前半部における複数の無線タグ間で同期を確立することにより、無線タグ間で相互に情報をやり取りして情報共有を図ることができる。そして、情報共有を行った結果、周囲の他の無線タグ1の情報と自身が持つ情報を比較判断することで、異常を検知してその報知を行うことが可能になる。
まず、図3の前半部、複数の無線タグ間で同期を確立することを詳しく述べる。
複数の無線タグ1は、「LFまたはセンサによりactivate」において起動する(ステップS110)。「LFによるactivate」とは、無線タグ1の装備するLF受信機能/センサ部12がリーダ(質問器)または設定器の機能を有する場合に、LF送信器2から送信された、起動信号としてのLF信号の受信によって無線タグ1を起動させることを指す。もう一方の「センサによりactivate」は、例えば、複数の無線タグ1が装備するLF受信機能/センサ部12が振動センサである場合に、この複数の無線タグ1が同じテーブルなどにおかれた状態でこのテーブルを叩いて一斉に全ての無線タグ1を振動させて起動させる。また別の例として、LF受信機能/センサ部12が照度センサである無線タグ1に対しては、これら複数の無線タグ1に向けてカメラのフラッシュを浴びせて一斉に照度の閾値を越えるようにすることで、それら無線タグ1を起動させるような場合である。
続いて、図3の後半部、同期確立の維持と異常時の検出及びその報知について、詳細を述べる。
上述のステップS140における「Beacon及びセンサデータ送信」の状態はこの後も継続される。これにより、同期確立が維持される。この同期確立の維持と同時に、それぞれの無線タグ1から送信されているBeaconとセンサデータとを別の無線タグ1が受信するとともに、別の無線タグ1からのBeaconとセンサデータとを当該無線タグ1が受信する。この無線タグ1における受信により「他無線タグの情報収集」が行われる(ステップS150)。なお、この周囲にある他の無線タグ1の情報を収集して共有情報にしていることについては図1の説明で詳しく述べた。
そのため、送受信制御部13は、両者の情報の相関値ρを、例えば、次式により求める(ステップS160)。ただし、Xは自身の時系列データ、Yは受信した他無線タグの時系列データ、Nは過去の一定時間(たとえば24時間)のデータ取得数である。なお、ここでは、受信データ数と自身のデータ数は同じであると仮定する。
ここで、他の無線タグ1とある程度相関がある(相関値が所定の閾値を越える)、つまり、周囲や隣の無線タグ1とほぼ同じ情報を当該無線タグ1が持つ場合には、図3中にある判断条件「相関値が所定の閾値以下か」(ステップS170)の判定は”NO”となり、再び「周囲の情報収集」(ステップS140)へ戻る。
図4は、図3におけるステップS120〜S130における無線タグ1の同期確立のデータ送受信シーケンスを示す図である。
LF送信器2などの無線タグのリーダまたは設定器(以下、アクティベータ)から起動された無線タグ1は、アクティベータ(activator)から現在時刻情報、間欠動作時間情報、および、送信スロット情報を受信する。アクティベータから受信する間欠動作時間情報、および送信すべきスロット情報は、例えば、以下のような情報である。
(2)受信ウィンドウのサイズ(受信時間)は、動作開始時は1s(秒)、同期確立後は20ms(ミリ秒)、
(3)60回(1時間)の受信ウィンドウの開放のうち、3回目(例えば、1時03分)にビーコン、あるいは、ビーコン及びセンサデータ(もしくは履歴データ)を送信する。
図5は、同期確立後の無線タグ間でのデータ送受信シーケンスを示す。
各無線タグ1の送信タイミングは、図4に示す同期確立の際に、送信スロットの情報として割り当てられている。これにより、各無線タグ1が送信するビーコンおよびセンサデータ同士が衝突することはない。ここで、「ビーコン間隔(受信間隔の整数倍)>受信間隔(数秒〜数分オーダ)≫受信時間(最大で100ms程度)>同期ずれ(50ppm程度)」である。
図6は、同期確立後の無線タグ1からのビーコンの送信に用いられるスロットを示す図である。同図においては、アクティベータからのスロット位置の指示が3、かつ、ビーコン送信間隔が3である場合、受信ウィンドウ内の3番目のスロットを用いたビーコン信号を、無線タグ間欠動作3回目毎に送信する。また、無線タグ1は、受信ウィンドウにおいて、他の無線タグ1からのビーコン信号を受信した場合は、受信ウィンドウ内のスロット位置を除いた拡張ウィンドウの時間を減少させる。同図においては、(送信間隔)3回×(1受信ウィンドウ内のスロット数)10個=30個のスロットがあることになる。
図7は、図4の同期確立におけるアクティベータのシーケンスを示す図である。
アクティベータは、電源がONされると(ステップS210)、LF信号を定期的に送信し、無線タグ1のアクティベートを行う(ステップS220)。アクティベータは、無線タグ1からの応答受信待ち状態になり、応答を受信できない場合には(ステップS230:NO)、再び応答受信待ち状態に遷移する。そして、応答信号に設定されている無線タグ1のIDを参照して、まだスロットを割り当てていない無線タグ1から応答信号を受信したと判断した場合(ステップS230:YES)、まだどこにも割り当てていないスロットを当該応答信号の送信元の無線タグ1へ割り当て、現在時刻情報、間欠動作時間情報等と併せて通知する(ステップS240)。
図8は、図4の同期確立における無線タグ1のシーケンスを示す図である。
同図において、無線タグ1の電源がONされると、電池11からの電力の供給が開始される(ステップS310)。その後、無線タグ1におけるLF受信機能/センサ部12の有するLF受信機能が、アクティベータからLF信号を受信する。LF受信機能/センサ部12は、送受信制御部13にLF受信を通知して、当該無線タグ1をアクティベートする(ステップS320)。これにより、無線タグ1は、アクティベータへ自IDの情報を含む応答を無線により通知する。つまり、送受信制御部13は、送信機能部14へ自IDのデータを出力する。送受信切替器16は送信機能側へ機能を切り替え、送信機能部14は、アンテナ17により自IDの情報を含む無線応答をアクティベータへ送信する(ステップS330)。
そして、送受信制御部13は、受信ウィンドウサイズが最小であると判断した場合(ステップS400:YES)、受信ウィンドウサイズ縮小処理を終了する(ステップS410)。これにより、無線タグ間での同期が完了する(ステップS420)。
上記のように、複数の無線タグが取得する情報を相互に活用することににより、異常状態を検知し、その旨を通報したり、あるいは、履歴として保存したりすることができる。また複数の無線タグ間で送受信の同期が確立されるため、受信待機時間を短くすることができ、電力商品を低減することが可能となる。
そして、どれかの無線タグに異常な状態になった場合や、あるいはリーダがない場所からリーダの電波到達範囲に移動するなどして起動や同期確立のトリガーがかかった場合には、複数の無線タグがお互いに情報を共有して、アクチュエータの動作(LEDの発光やブザーの警報音発生など、何らかの作動を行う装置やデバイスの動作)、警報信号電波の発信、異常のログの保存などを行うこともできる。
2…LF送信器
10…CPU
11…電池
12…LF受信機能/センサ部
13…送受信制御部
14…送信機能部
15…受信機能部
16…送受信切替器
17…アンテナ
18…電力制御部
19…タイマー
Claims (4)
- 他の無線装置との間で相互に通信を行う無線装置であって、
センサと、
自身の備える前記センサによる検出内容を示すセンサ情報、または、当該センサから取得したセンサ情報の履歴を示す履歴情報を他の無線装置に送信する送信手段と、
他の無線装置から、当該他の無線装置におけるセンサ情報、または、履歴情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により他の無線装置から受信したセンサ情報または履歴情報と、自身のセンサ情報または履歴情報とを比較し、これらの情報間に大きな差異があると判定するための所定の条件を満たしていると判断した場合に、所定の異常通知処理または異常履歴の保存処理を行う異常検出手段と、
外部からの起動信号の受信、または、自身の備える前記センサから入力された信号に基づき、前記受信手段による受信タイミングと他の無線装置との送信タイミング、及び、前記送信手段による送信タイミングと他の無線装置との受信タイミングを合わせて同期状態を確立する送受信制御手段と
を備え、
前記送受信制御手段は、前記同期状態の確立にあたり、
受信ウィンドウサイズを所定の最大値に設定し、該受信ウィンドウサイズの時間間隔のみ前記受信手段により他の無線装置からの信号を受信するとともに、指定されたタイミングで前記送信手段により信号を送信する間欠動作を開始させ、
前記受信手段が他の無線装置からの信号を受信した場合に前記受信ウィンドウサイズを縮小する処理を、前記受信ウィンドウサイズが所定の最小値になるまで繰り返す
ことを特徴とする無線装置。 - 前記送受信制御手段は、前記受信タイミングを除き前記受信手段の動作を停止させ、前記送信タイミングを除き前記送信手段の動作を停止させる
ことを特徴とする請求項1に記載の無線装置。 - 他の無線装置との間で相互に通信を行う無線装置に用いられる異常検出方法であって、
送信手段が、自身の備えるセンサによる検出内容を示すセンサ情報、または、当該センサから取得したセンサ情報の履歴を示す履歴情報を他の無線装置に送信する送信ステップと、
受信手段が、他の無線装置から、当該他の無線装置におけるセンサ情報、または、履歴情報を受信する受信ステップと、
異常検出手段が、前記受信ステップにおいて他の無線装置から受信したセンサ情報または履歴情報と、自身のセンサ情報または履歴情報とを比較し、これらの情報間に大きな差異があると判定するための所定の条件を満たしていると判断した場合に、所定の異常通知処理または異常履歴の保存処理を行う異常検出ステップと、
送受信制御手段が、外部からの起動信号の受信、または、自身の備える前記センサから入力された信号に基づき、前記受信手段による受信タイミングと他の無線装置との送信タイミング、及び、前記送信手段による送信タイミングと他の無線装置との受信タイミングを合わせて同期状態を確立する同期確立ステップと
を有し、
前記同期確立ステップでは、前記送受信制御手段が、前記同期状態の確立にあたり、
受信ウィンドウサイズを所定の最大値に設定し、該受信ウィンドウサイズの時間間隔のみ前記受信手段により他の無線装置からの信号を受信するとともに、指定されたタイミングで前記送信手段により信号を送信する間欠動作を開始させ、
前記受信手段が他の無線装置からの信号を受信した場合に前記受信ウィンドウサイズを縮小する処理を、前記受信ウィンドウサイズが所定の最小値になるまで繰り返す
ことを特徴とする異常検出方法。 - 前記送受信制御手段は、前記受信タイミングを除き前記受信手段の動作を停止させ、前記送信タイミングを除き前記送信手段の動作を停止させる
ことを特徴とする請求項3に記載の異常検出方法。
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