JP4699141B2 - 並列複数気筒エンジン - Google Patents

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本発明は、並列複数気筒エンジンに関し、特に、気筒毎に一対の吸気弁孔を備え、各気筒用の吸気通路を仕切り壁によりそれぞれ一対の分岐吸気通路部に分岐し、各分岐吸気通路部を前記一対の吸気弁孔にそれぞれ連通し、前記吸気通路の吸気上流側の入口に、インジェクターを備えたスロットルボディ等の吸気通路形成体をそれぞれ接続している並列複数気筒エンジンに関する。
気筒毎に一対の吸気弁孔を備えた並列複数気筒エンジンにおいて、エンジンの燃焼効率及び燃焼性能を高く保つためには、各分岐吸気通路部に略均等に燃料を供給することにより、各吸気弁孔から燃焼室に供給される燃料(混合気の濃度)を均等化することが望ましい。
そのため、一般に、各気筒用のインジェクターを備えた吸気通路形成体、たとえばインジェクターを備えたスロットルボディは、各インジェクターの中心線がクランク軸の軸長方向において対応する気筒のボア中心線と略同一位置にくるように、配設され、また、二股状に分岐する分岐吸気通路部は、対称形状に形成されている。すなわち、ボアピッチとインジェクターの中心線間のピッチが略一致するようにスロットルボディを配設し、かつ、分岐吸気通路部を対称な形状とすることにより、各吸気弁孔への略均等な燃料供給を行えるようにすると共に、シリンダヘッドの製造の容易性も確保している。先行技術文献としては特許文献1等がある。
特公平2−5904号公報(第2図)
並列複数気筒エンジンにおいて、エンジン本体周りのコンパクト性を維持する必要性、又は、スロットルボディ及びエンジン本体周りに配置される他の付属部品等の配置スペースを効率良く確保する必要性から、各気筒用のインジェクターの中心線間のピッチをボアピッチと一致させずに、ボア中心線に対してインジェクターの中心線がクランク軸の軸長方向にずれるように、スロットルボディを配置する場合がある。
たとえば、並列複数気筒エンジンを自動二輪車に搭載する場合、スロットルボディは、丁度、ライダーの膝辺りに位置することが多く、スロットルボディの車幅方向の配置スペースが広くなると、車体フレームの車幅方向の寸法が大きくなり、重量が増加すると共に、ライダーのニーグリップの開きが大きくなり、乗車のフィーリングが低下するおそれがあり、その対策として、少なくともクランク軸の軸長方向の両端部に配置されるスロットルボディを、それらのインジェクターの中心線が対応する気筒のボア中心線よりも内方側に来るように配設し、それにより、スロットルボディを車幅方向にコンパクトに配置できるようにしている。
ところが、ボア中心線に対してインジェクターの中心線をクランク軸の軸長方向に変位させると、前述のように、エンジン本体周りや車体フレームのコンパクト化は達成できるが、インジェクターから噴射される燃料を、各分岐吸気通路部へ均等に供給することが困難になり、燃焼効率及び燃焼性能の向上が期待できなくなる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、並列複数気筒エンジンにおいて、エンジン本体周りのコンパクト性を維持しつつ、エンジン本体内の吸気通路の各分岐吸気通路部及び一対の吸気弁孔に対し、インジェクターからの燃料を、一方の吸気弁孔等に偏らせず、略均等に供給できるようにすることにより、燃焼効率及び燃焼性能を高く維持できるようにすることを目的としている。
上記課題を解決するため本願請求項1記載の発明は、気筒毎に一対の吸気弁孔(11)を備え、シリンダヘッド(5)に形成された各気筒用の吸気通路を仕切り壁(35-1〜35-4)によりそれぞれ一対の分岐吸気通路部に分岐し、該各分岐吸気通路部を一対の前記吸気弁孔(11)にそれぞれ連通し、前記各吸気通路の吸気上流側の入口に、前記シリンダヘッド(5)とは別部材であってインジェクター(33-1〜33-4)を備えた吸気通路形成体をそれぞれ接続している並列複数気筒エンジンにおいて、前記吸気通路形成体は、前記インジェクター(33-1〜33-4)の中心線(V1〜V4)が、対応する気筒のボア中心線(C1〜C4)に対してクランク軸の軸長方向に変位するように配設され、前記シリンダヘッド(5)に取り付けられており、前記分岐吸気通路部の前記仕切り壁(35-1〜35-4)は、吸気上流側の先端(T1〜T4)の近傍を除いた部分が、対応する気筒のボア中心線(C1〜C4)を通りクランク軸芯(O1)と直交する面(L1〜L4)に沿って延び、かつ、前記仕切り壁(35-1〜35-4)の吸気上流側の先端(T1〜T4)が、前記クランク軸の軸長方向において対応するボア中心線(C1〜C4)よりも前記インジェクター中心線(V1〜V4)側に寄るように、湾曲しており、前記各一対の分岐吸気通路部は、前記仕切り壁(35-1〜35-4)の吸気上流側の先端(T1〜T4)の近傍を除いた部分が、前記各面(L1〜L4)を対称面として略対称形状に形成されている
上記構成によると、インジェクターを備えた吸気通路形成体のエンジン本体周りの配置自由度が増え、吸気通路形成体及び他の付属部品をエンジン本体周りにコンパクトに配置することが可能となり、しかも、一対の吸気弁孔の一方への燃料供給量の偏りを減らし、略均等に供給できるようにすることにより、燃焼効率及び燃焼性能の低下を防ぐことができる。また、インジェクターから各分岐吸気通路部及び一対の吸気弁孔へ燃料を略均等に供給でき、燃焼効率及び燃焼性能が向上する。
請求項2記載の発明は、請求項1において、前記吸気通路形成体は、前記インジェクター(5)と共にスロットル弁を備えたスロットルボディであり、記インジェクター(33-1〜33-4)は、その中心線(V1〜V4)が、前記スロットルボディ内に形成された吸気通路のクランク軸の軸長方向の幅の略中央に位置するように配設され、該スロットル弁として、前記各インジェクター(5)の吸気下流側近傍にメインスロットル弁を、前記各インジェクター(5)の吸気上流側近傍にサブスロットル弁を配置している。
上記構成によると、前記請求項1と同様の効果を得ることができる。
要するに本発明によると、インジェクターを備えた吸気通路形成体のエンジン本体周りの配置自由度が増え、吸気通路形成体及び他の付属部品をエンジン本体周りにコンパクトに配置することが可能となり、かつ、インジェクターから各分岐吸気通路部及び一対の吸気弁孔へ燃料を略均等に供給でき、燃焼効率及び燃焼性能を高く維持することができる。
図面に基づいて本発明の一実施の形態を説明する。図1〜図6は本発明の実施の形態の一例であり、図1は本発明による吸気装置を備えた並列4気筒エンジンの左側面を示している。この図1において、エンジン本体1は、下部クランクケース部材2と、該下部クランクケース部材2の上面に締結された上部クランクケース部材3と、該上部クランクケース部材3に一体に形成されたシリンダブロック4と、該シリンダブロック4の上面に締結されたシリンダヘッド5と、該シリンダヘッド5の上面に締結されたヘッドカバー6から主構成されている。なお、説明の都合上、クランク軸7と直交する水平方向のシリンダブロック4配置側を、矢印で示すように「前方」とし、クランク軸7の軸長方向(以下、「クランク軸長方向」と称する)を左右方向とし、かつ、エンジン後方から見た左方及び右方を、それぞれエンジンの左方及び右方として、以下、説明する。
シリンダヘッド5の底面図である図3において、エンジンは、クランク軸長方向の左側から順に、第1〜第4の4つの気筒A1、A2、A3、A4を備えており、各気筒A1、A2、A3、A4のボア中心線C1、C2、C3、C4間の距離、いわゆるボアピッチは、同一値P1に設定されている。
シリンダヘッド5の底面には、気筒A1、A2、A3、A4毎に、一対の吸気弁孔11と一対の排気弁孔12とがそれぞれ形成されており、各一対の吸気弁孔11は、各ボア中心線C1、C2、C3、C4よりも後側に配置されると共に、各ボア中心線C1、C2、C3、C4を通りクランク軸芯O1と直角な面L1、L2、L3、L4を対称面として左右対称に配置されている。各一対の排気弁孔12は、各ボア中心線C1、C2、C3、C4よりも前側に配置されると共に、前記各面L1、L2、L3、L4を対称面として左右対称に配置されている。また、各ボア中心線C1、C2、C3、C4よりも前側にずれた位置に、それぞれ点火プラグ取付孔13が開口している。
シリンダヘッド5の前面には、気筒A1、A2、A3、A4毎に、前向きに開口する排気通路出口20−1、20−2、20−3、20−4が形成され、シリンダヘッド5の後面には、シリンダヘッド5の平面図である図2に示すように、気筒A1、A2、A3、A4毎に、後上方に向いて開口する吸気通路入口22−1、22−2、22−3、22−4が形成されている。各吸気通路入口22−1、22−2、22−3、22−4には、マウント9(図1及び図5参照)を介して、第1〜第4気筒A1、A2、A3、A4用のスロットルボディ25−1、25−2、25−3、25−4がそれぞれ着脱自在に取り付けられている。
各スロットルボディ25−1、25−2、25−3、25−4の吸気通路26−1、26−2、26−3、26−4内には、吸気下流側の端部近傍にメインスロットル弁(バタフライ弁)27−1、27−2、27−3、27−4が回動可能に設けられ、吸気上流側の端部近傍にサブスロットル弁(バタフライ弁)30−1、30−2、30−3、30−4が回動可能に設けられている。各メインスロットル弁27−1、27−2、27−3、27−4は、たとえばスロットルグリップ等のスロットル操作部にケーブル伝動機構を介して連動連結し、スロットル操作部の動作に連動して開閉し、一方、各サブスロットル弁30−1、30−2、30−3、30−4は、たとえばケーブル伝動機構を介してモータ等の駆動機構に連動連結し、エンジンの運転状況に応じて自動的に開閉するようになっている。
各スロットルボディ25−1、25−2、25−3、25−4は、本実施の形態における吸気通路形成体であり、それらの下壁(後下壁)には、各メインスロットル弁27−1、27−2、27−3、27−4の吸気下流側近傍位置に燃料を噴射するインジェクター33−1、33−2、33−3、33−4がそれぞれ取り付けられており、各インジェクター33−1、33−2、33−3、33−4は、それらの中心線V1、V2、V3、V4が、各スロットルボディ25−1、25−2、25−3、25−4の吸気通路26−1、26−2、26−3、26−4の左右幅の略中央にそれぞれ位置するように配設されている。
(スロットルボディのレイアウト)
図2において、各スロットルボディ25−1、25−2、25−3、25−4は、それらのインジェクター中心線V1、V2、V3、V4が、対応する気筒A1、A2、A3、A4のボア中心線C1、C2、C3、C4に対し、クランク軸長方向の一方又は他方に、すなわち左方又は右方に所定距離dだけ変位するように、それぞれ配設されている。該実施の形態においては、第1、第3気筒A1、A3用のスロットルボディ25−1、25−3は、それらのインジェクター中心線V1、V3が、対応するボア中心線C1、C3よりも右方に所定距離dだけ変位するように配設され、一方、第2、第4気筒A2、A4用のスロットルボディ25−2、25−4は、それらのインジェクター中心線V2、V4が、対応するボア中心線C2、C4よりも左方に所定距離dだけ変位するように、配設されている。言い換えると、クランク軸長方向の両端部(左右両端部)の第1、第4気筒A1、A4用のスロットルボディ25−1、25−4は、それらのインジェクター中心線V1、V4が、対応するボア中心線C1、C4に対し、クランク軸長方向の内方側に変位するように配設され、一方、クランク軸長方向の内方側の第2、第3気筒A2、A3用のスロットルボディ25−2、25−3は、それらのインジェクター中心線V2、V3が、対応するボア中心線C2、C3に対し、クランク軸長方向の外方側に変位するように配設されている。
(スロットルボディの取付構造)
図5は、マウント9の後面図(図1のV矢視図)であり、マウント9は、第1〜第4気筒用の4個のゴム製ダクト24−1、24−2、24−3、24−4と、第1、第2気筒共用のめがね形の金属製プレート23−1と、第3、第4気筒共用のめがね形の金属製プレート23−2から構成されており、第1、第2気筒用のゴム製ダクト24−1、24−2は第1、第2気筒共用の金属製プレート23−1の各嵌着孔に嵌着され、第3、第4気筒用のゴム製ダクト24−3、24−4は第3、第4気筒共用の金属製プレート23−2の各嵌着孔に嵌着されている。各ゴム製ダクト24−1、24−2、24−3、24−4の外周面には、締結バンド29−1、29−2、29−3、29−4がそれぞれ嵌められており、第1、第2気筒用のゴム製ダクト24−1、24−2の締結バンド29−1、29−2は共通の締め付けねじ31により縮径可能となっており、第3、第4気筒用のゴム製ダクト24−3、24−4の締結バンド29−3、29―4は共通の締め付けねじ32により縮径可能となっている。各金属製プレート23−1、23−2は、ボルト28によりシリンダヘッド5に取り付けられている。
図6は、シリンダヘッド5に形成された第1、第2気筒A1、A2用の吸気通路21−1、21−2と、第1、第2気筒A1、A2用のスロットルボディ25−1、25−2との接続構造を示す断面図(図1のVI-VI断面拡大図)である。この図6において、第1気筒A1用のゴム製ダクト24−1は、吸気下流側端面の開口中心E1が、第1気筒A1のボア中心線C1と、クランク軸長方向において同一位置に位置し、吸気上流側端面の開口中心F1が、第1気筒A1用のインジェクター中心線V1と、クランク軸長方向において同一位置に位置している。同様に、第2気筒A2用のゴム製ダクト24−2も、吸気下流側端面の開口中心E2が、第2気筒A2のボア中心線C2と、クランク軸長方向において同一位置に位置し、吸気上流側端面の開口中心F2が、第2気筒A2用のインジェクター中心線V2と、クランク軸長方向において略同一位置に位置している。
第1、第2気筒A1、A2用の各ゴム製ダクト24−1、24−2の吸気上流側部分の内周面には、それぞれ対応するスロットルボディ25−1、25−2の吸気下流側の端部が嵌合し、前記締結バンド29−1、29−2によりそれぞれ締結されている。各スロットルボディ25−1、25−2の吸気上流側の端部は、図示しないエアクリーナに接続している。なお、図2の第3、第4気筒A3、A4用のスロットルボディ25−3、25−4も、前記第1、第2気筒A1、A2用のスロットルボディ25−1、25−2と同様に、図5のマウント9を介してシリンダヘッド5に取り付けられている。
(吸気通路の形状)
図6において、シリンダヘッド5内に形成された第1、第2気筒A1、A2用の吸気通路21−1、21−2は、途中から仕切り壁35−1、35−2によりそれぞれ左右の分岐吸気通路部21−1L、21−1R、21−2L、21−2Rに仕切られ、各分岐吸気通路部21−1L、21−1R、21−2L、21−2Rは第1、第2気筒A1、A2の各吸気弁孔11、11、11、11にそれぞれ連通している。
第1気筒A1用の左右の分岐吸気通路部21−1L、21−1Rは、仕切り壁35−1の吸気上流側の先端T1近傍の形状を除いては、第1気筒A1のボア中心線C1を通りクランク軸芯O1と直交する前記面L1を対称面として略左右対称形状に形成されており、仕切り壁35−1の先端T1近傍部分が、吸気上流側に向かって右方に湾曲する形状に形成され、それにより、仕切り壁先端T1は、クランク軸長方向において第1気筒A1用のインジェクター33−1の中心線V1と略同一位置に位置せしめられている。
また、第2気筒A2用の左右の分岐吸気通路部21−2L、21−2Rも、仕切り壁35−2の吸気上流側の先端T2近傍の形状を除いては、第2気筒A2のボア中心線C2を通りクランク軸芯O1と直交する前記面L2を対称面として略左右対称形状に形成されており、仕切り壁35−2の先端T2近傍部分が、吸気上流側に向かって左方に湾曲する形状に形成され、それにより、仕切り壁先端T2が、クランク軸長方向において第2気筒A2用のインジェクター33−2の中心線V2と略同一位置に位置せしめられている。
図4は、シリンダヘッド5の第1気筒A1に対応する部分の縦断面図であり、シリンダヘッド5内の吸気通路21−1の仕切り壁35―1の先端T1は、側面視で概ねV字状に形成されている。
なお、図2、図3の第3、第4気筒A3、A4用のスロットルボディ25−3、25−4のインジェクター中心線V3、V4と、第3、第4気筒A3、A4のシリンダヘッド5内の吸気通路の仕切り壁の先端との関係も、前記図6の第1、第2気筒A1、A2用の吸気通路21−1、21−2と同様に構成されている。よって、詳細な説明は省く。
(作用)
図6により、第1、第2気筒A1、A2への吸気の供給についてのみ説明する。エアクリーナ等のエア取入装置から各スロットルボディ25−1、25−2の吸気通路26−1、26−2内に供給されたエアは、サブスロットル弁30−1、30−2及びメインスロットル弁27−1、27−2により流量が調節されると共に、各インジェクター33−1、33−2から噴射される燃料が混合し、各ゴム製ダクト24−1、24−2及び吸気入口22−1、22−2を通ってシリンダヘッド5内の各吸気通路21−1、21−2に供給される。
シリンダヘッド5の各吸気通路21−1、21−2内では、仕切り壁35−1、35−2により左右の分岐吸気通路部21−1L、21−1R、21−2L、21−2Rにそれぞれ分岐し、各気筒A1、A2の各吸気弁孔11、11、11、11へ供給される。
このような吸気(混合気)の流れにおいて、仕切り壁35−1、35−2により混合気が分岐される時、仕切り壁35−1、35−2の各吸気上流側の先端T1、T2が、クランク軸長方向において対応するインジェクター中心線V1、V2と略同一位置に形成されているので、燃料とエアの混合気は、それぞれ左右の分岐吸気通路部21−1L、21−1R、21−2L、21−2Rに略均等に分配される。
勿論、図2の第3、第4気筒A3、A4においても、前記第1、第2気筒A1、A2と同様に、左右の分岐吸気通路部に略均等に混合気が分配される。
(実施の形態の効果)
(1)図2及び図3に示す並列4気筒エンジンにおいて、クランク軸長方向両端(左右両端)の第1、第4気筒A1、A4用のスロットルボディ25−1、25−4を、それらのインジェクター中心線V1、V4が、対応する第1、第4気筒A1、A4のボア中心線C1、C4に対して、クランク軸長方向の内方側に変位するように、配設しているので、第1、第4気筒A1、A4用のスロットルボディ25−1、25−4のインジェクター中心線V1、V4間のピッチ(P2+P3+P2)は、第1、第4気筒A1、A4のボア中心線C1、C4間のピッチ(3P1)よりも小さくなり、全体のスロットルボディ配置スペースをクランク軸長方向にコンパクトにできる。特に、自動二輪車では、車体フレームの左右幅もコンパクト化でき、軽量化に役立つと共に、スロットルボディ25−1等の配置位置が、丁度、ライダーの膝辺りにくる場合、車体フレームの左右方向の寸法をコンパクトにできることにより、ライダーのニーグリップの幅が広くなり過ぎるのを防ぐことができる。
(2)第1、第2気筒A1、A2用のスロットルボディ25−1、25−2のインジェクター中心線V1、V2間のピッチP2は、第1、第2気筒A1、A2のボア中心線C1、C2間のピッチP1よりも小さくなっており、また、第3、第4気筒A3、A4用のスロットルボディ25−3、25−4のインジェクター中心線V3、V4間のピッチP2も、第3、第4気筒A3、A4のボア中心線C3、C4間のピッチP1よりも小さくなっているので、図5のマウント9の各金属製プレート23−1、23−2の左右幅もコンパクトにすることができる。
(3)第2、第3気筒A2、A3用のスロットルボディ25−2、25−3のインジェクター中心線V2、3間のピッチP3が、第2、第3気筒A2、A3のボア中心線C2、C3間のピッチP1よりも広くなっているので、前記のように、スロットルボディ25−1、25−2、25−3、25−4の全体の配置ピッチ(P2+P3+P2)をコンパクトにしながらも、第2、第3気筒A2、A3用のスロットルボディ25−2、25−3間のスペースを大きく取ることができ、たとえば前記マウント9の金属製プレート23−1、23−2の取付作業がし易くなる。
(4)前記のように、各インジェクター中心線V1、V2、V3、V4が、対応するボア中心線C1、C2、C3、C4からクランク軸長方向に変位するように各スロットルボディ25−1、25−2、25−3、25−4を配置しながらも、シリンダヘッド5内の各吸気通路21−1、21−2の仕切り壁35−1、35−2の先端T1、T2のクランク軸長方向の位置を、対応するインジェクター中心線V1、V2、V、3、V4に略一致させているので、吸気通路21−1、21−2に供給される混合気(燃料とエア)を、左右の分岐吸気通路部21−1L、21−R、21−2L、21−2Rに略均等に分配でき、燃焼効率及び燃焼性能を高く維持することができる。
(その他の実施の形態)
(1)本発明は、図6に示す実施の形態のように、仕切り壁の吸気上流側の先端の位置が、クランク軸長方向において、対応するインジェクターの中心線と略一致する構造には限定されず、対応する気筒の特性等に応じて、仕切り壁の吸気上流側の先端の位置を、対応するインジェクターの中心線に対して、クランク軸長方向の一方にずらし、それにより、インジェクターからの燃料を略均等に供給できるようにする構造も含まれる。ただし、その場合でも、仕切り壁の吸気上流側の先端部近傍は、クランク軸長方向において、少なくとも、対応するボア中心線よりも対応するインジェクターの中心線側へ湾曲又は偏倚させる構造となる。
(2)前記実施の形態では、インジェクターを備えた吸気通路形成体として、スロットル弁を備えたスロットルボディを用いているが、インジェクターのみを有する吸気通路形成体を備えた構造にも、本発明を適用することができる。
(3)並列2気筒、3気筒又は5気筒以上の複数気筒エンジンにも本発明を適用することは可能である。
(4)対応する気筒のボア中心線に対して、インジェクター中心線をクランク軸長方向のいずれに変位させるかは、必要に応じて適宜選択できるものであり、たとえば図2のような並列4気筒エンジンにおいて、第1〜第4気筒用の各スロットルボディを、それらのインジェクター中心線がすべてクランク軸長方向の中央部側に変位するように、配置する構成とすることも可能である。
(5)図6に示すシリンダヘッド5内の吸気通路21−1、21−2の分岐吸気通路部21−L、21−1R、21−2L、21−2Rは、先端T1、T2近傍の形状を除いて、略左右対称に形成されているが、各先端T1、T2は、クランク軸長方向において対応するインジェクター中心線V1、V2と一致させた状態で、分岐吸気通路部21−L、21−1R、21−2L、21−2を左右非対称形状とすることも可能である。
本発明にかかる並列複数気筒エンジンは、自動二輪車、乗鞍型四輪走行車及び小形滑走艇等、各種乗物用エンジンに利用可能である。
本発明にかかる並列4気筒エンジンであって、スロットルボディを分離した状態を示す左側面図である。 図1のエンジンのシリンダヘッドの平面図である。 図1のエンジンのシリンダヘッドの底面図である。 図1のシリンダヘッドの第1気筒部分の縦断面図である。 図1のエンジンのスロットルボディ取付用のマウントの後面図である。 図1のVI-VI断面拡大図である。
符号の説明
1 エンジン本体
5 シリンダヘッド(エンジン本体の構成部材)
7 クランク軸
11 吸気弁孔
21−1、21−2 シリンダヘッド内の吸気通路
21−1L、21−1R、21−2L、21−2R 分岐吸気通路部
25−1、25−2、25−3、25−4 スロットルボディ(吸気通路形成体)
33−1、33−2、33−3、33−4 インジェクター
35−1、35−2 仕切り壁
O1 クランク軸芯
A1、A2、A3、A4 気筒
C1、C2、C3、C4 ボア中心線
V1、V2、V3、V4 インジェクター中心線
T1、T2 仕切り壁の先端

Claims (2)

  1. 気筒毎に一対の吸気弁孔を備え、シリンダヘッドに形成された各気筒用の吸気通路を仕切り壁によりそれぞれ一対の分岐吸気通路部に分岐し、該各分岐吸気通路部を一対の前記吸気弁孔にそれぞれ連通し、前記各吸気通路の吸気上流側の入口に、前記シリンダヘッドとは別部材であってインジェクターを備えた吸気通路形成体をそれぞれ接続している並列複数気筒エンジンにおいて、
    前記吸気通路形成体は、前記インジェクターの中心線が、対応する気筒のボア中心線に対してクランク軸の軸長方向に変位するように配設され、前記シリンダヘッドに取り付けられており、
    前記分岐吸気通路部の前記仕切り壁は、吸気上流側の先端の近傍を除いた部分が、対応する気筒のボア中心線を通りクランク軸芯と直交する面に沿って延び、かつ、前記仕切り壁の吸気上流側の先端が、前記クランク軸の軸長方向において対応するボア中心線よりも前記インジェクター中心線側に寄るように、湾曲しており、
    前記各一対の分岐吸気通路部は、前記仕切り壁の吸気上流側の先端の近傍を除いた部分が、前記面を対称面として略対称形状に形成されている、ことを特徴とする並列複数気筒エンジン。
  2. 請求項1に記載の並列複数気筒エンジンにおいて、
    前記吸気通路形成体は、前記インジェクターと共にスロットル弁を備えたスロットルボディであり、
    前記インジェクターは、その中心線が、前記スロットルボディ内に形成された吸気通路のクランク軸の軸長方向の幅の略中央に位置するように配設され、
    該スロットル弁として、前記各インジェクターの吸気下流側近傍にメインスロットル弁を、前記各インジェクターの吸気上流側近傍にサブスロットル弁を配置している、並列複数気筒エンジン。
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