JP4699071B2 - ステージ装置およびその露光装置 - Google Patents

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Description

本発明は、可動台が非接触に支持され、リニアモータで駆動され、任意の位置に位置決めされるステージ装置、およびこのステージ装置を備えた露光装置に関するものである。
半導体集積回路や液晶基板の回路基板を感光基板に転写するために、投影露光装置が使用されている(例えば、特許文献1)。
特開2002−261000号公報(第10頁、第1図)
近年マスクパターンの微細化が進み、そこに使用されるステージ装置はより精密な位置決め性能が要求されるようになってきた。
図10は精密な位置決め性能を満たす特許文献1記載の従来のステージ装置の斜視図である。
図において、100は従来のステージ装置で、これは固定フレーム101と、固定フレーム101に対してX方向に可動なスライダ102と、半導体ウェハWを保持するサポートプラットフォーム103とからなっている。サポートプラットフォーム103は、Y方向に沿って動くようにスライダ102に取り付けられている。ステージ装置100は、さらに、X方向にスライダ102を動かす2つのXリニアモータ105と、サポートプラットフォーム104がY方向に動かされるYリニアモータ106を備えている。サポートプラットフォーム104が非接触支持される場合、前記サポートプラットフォーム104と固定フレーム101間の間隙を計測するために、静電容量型などの高精度変位センサが用いられている。ステージ装置100は、サポートプラットフォーム104を正規の姿勢に保ち、X方向およびY方向に正確に位置決めしている。
以上のように、従来のステージ装置おいて、可動台もしくは被搬送物の位置計測用としてレーザ式干渉計などの光学式計測器を導入しているので、精密な位置決め性能を有していた。しかしながら、レーザの光軸を通す空間を確保することが必要であり、このことが小型化を要求されるステージ装置において容易ではなかった。また、静電容量式や渦電流式等のギャップセンサを用いる場合でも、ギャップセンサが高分解能になるほど検出距離が小さく検出範囲も狭くなるため、ギャップセンサとターゲットは非常に接近して使用することになり、ステージが浮上しすぎた場合にターゲットがギャップセンサに衝突してギャップセンサを破損させたり、浮上用電磁石や浮上用磁性片を破損させる危険性があった。また、下降時にもギャップセンサの検出範囲から外れないようにするには検出範囲が広いギャップセンサを使う必要があり、そうすると分解能を上げることができないという問題があった。
また、非接触軸受けにて支持されたステージの場合は、非浮上時は可動台の拘束が解かれるため固定台に対して可動台が水平面内で傾く可能性がある。その状態から浮上させるためには、可動台が傾いても検出可能なように許容アジマス角度範囲が大きいセンサを用いる必要があった。
さらに、ステージ装置は可動台を正規の姿勢に保ち、X方向およびY方向に正確に位置決めが行われるものであるが、可動台を浮上制御するために、可動台と固定台間の間隙を計測する静電容量型などの高精度変位センサが使用されていたところ、このようなセンサは高精度になるほど計測範囲が狭小化するので、可動台と固定子間の間隙を高精度センサの計測範囲の間隙で組み上げることが非常に難しいという問題があった。
通常、前記可動台を固定台に挿入し組み上げる際には、前記可動台を前記固定台に挿入するために±0.5mm程度の間隙が必要であるが、この間隙量は、高精度のギャップセンサの計測範囲を超えるため間隙の計測は不可能になった。
よって、可動台が下降して固定台上に着地している状態では計測範囲から外れるため、可動台を着地点から高精度ギャップセンサの計測範囲に入るまで、可動台を浮上制御する計測範囲の広い別センサを設ける必要があった。
また、ステージには、この低精度のギャップセンサやセンサターゲットを取り付けるスペースが必要で、ステージは大きくなり、質量も増加した。
これに伴い、浮上および走行用のアクチュエータや駆動アンプが大きくなり、ステージ部の発熱増大にもつながった。数10nm以下の位置決め精度が必要になる投影露光装置のような半導体製造装置のステージにおいては、発熱の増大は走行性能や姿勢精度に影響するとともに、フットプリント(設置面積)の増大にもつながるため大きな問題になった。
さらに、ステージ装置が大型化することにより、駆動電流が増大するために、発熱による熱膨張が機構部品に生じ、走行性能や姿勢精度が低下するという問題も生じていた。
そこで、本発明は上記課題を解決するためになされたもので、ステージが浮上しすぎた場合にターゲットがギャップセンサに衝突してギャップセンサを破損させることなく、高精度な浮上位置決めが可能であり、可動台が傾いた状態からも浮上させることができるステージ装置を提供することを目的とするものである。
また、本来の磁気浮上制御に必要なギャップのみ検出するギャップセンサを装着して、小型のステージ装置を提供することを目的とするものである。
さらに、可動台の位置が変化しても可動台の浮上量を常に一定となるようにして制御性を向上させ、走行性能や姿勢精度が低下することなく、安定した浮上制御が可能なステージ装置を提供することを目的とするものである。
そして、これらの小型のステージ装置を用いることで、簡素な構造でかつ小型で高精度の露光装置を提供することを目的とするものである。
請求項記載の発明は、ステージ装置に係り、浮上用電磁石を配設して成る固定台と、前記浮上用電磁石に作用する浮上用磁性片を備えて非接触磁気浮上方式により前記固定台内に支持される可動台と、前記可動台を2次元平面内で制御駆動するリニアモータから成るステージ装置において、
前記可動台の中央に2次元リニアセンサを配設し、
前記リニアモータが前記2次元リニアセンサの検出信号を基に制御駆動し、
前記固定台を、2次元平面の1軸方向の両端が開口するとともに、下面に前記軸方向に伸びる溝状の開口を備えた略矩形の形状にし、
前記可動台を前記固定台の前記開口内に支持し、
前記可動台と前記固定台間のギャップを計測する高精度ギャップセンサを前記可動台に設け、
前記高精度ギャップセンサの検出対象であるターゲットを前記固定台に設け、
前記高精度ギャップセンサの計測範囲内まで前記可動台を上下移動させる可動台昇降機構を前記固定台に備えたことを特徴としている。
請求項記載の発明は、請求項記載のステージ装置において、前記可動台昇降機構は微動アクチュエータを有する伸縮機構と、前記微動アクチュエータの微動を変位し拡大する変位拡大機構とから成ることを特徴としている。
請求項記載の発明は、請求項記載のステージ装置において、前記微動アクチュエータがピエゾアクチュエータであることを特徴としている。
請求項記載の発明は、請求項記載のステージ装置において、前記変位拡大機構が、前記固定台に固定される支持台と、前記支持台にその中央直角部位を回転自在に支持されたL字状輪郭を有するローラサポートと、前記ローラサポートのL字の一端に回転自在に支持されたローラと、で構成されたことを特徴としている。
請求項記載の発明は、ステージ装置に係り、浮上用電磁石を配設して成る固定台と、前記浮上用電磁石に作用する浮上用磁性片を備えて非接触磁気浮上方式により前記固定台内に支持される可動台と、前記可動台を2次元平面内で制御駆動するリニアモータから成るステージ装置において、前記可動台の中央に2次元リニアセンサを配設し、前記リニアモータが前記2次元リニアセンサの検出信号を基に制御駆動し、前記固定台を、2次元平面の1軸方向の両端が開口するとともに、下面に前記軸方向に伸びる溝状の開口を備えた略矩形の形状にし、前記可動台を前記固定台の前記開口内に支持し、前記可動台と前記固定台間のギャップを計測する高精度ギャップセンサを前記可動台に設け、前記高精度ギャップセンサの検出対象であるターゲットを前記固定台に設け、前記高精度ギャップセンサの検出対象であるターゲットを上下移動させるターゲット昇降機構を前記固定台に備えたことを特徴としている。
請求項記載の発明は、請求項記載のステージ装置において、前記ターゲット昇降機構が微動アクチュエータから成ることを特徴としている。
請求項記載の発明は、露光装置に係り、真空チャンバ内に、光源と、前記光源からの光を反射・集光する光学系と、下面にマスクを取付けることのできるステージ装置と、ウエハを載置するウエハステージと、を備えた露光装置において、前記ステージ装置として、請求項1〜のいずれか1項記載のステージ装置を備え、前記ステージ装置および前記ウエハステージを相対的に移動させて、前記マスク上に描かれた回路パターンの縮小像を前記ウエハ上に形成することを特徴としている。
上記の構成により、光学機器からの光軸が通じる貫通斜面穴が固定台に具備されたことで、別途に光路が設けられることがなくなるため、ステージ装置は小型化される。小型化されることにより、駆動用リニアモータの発熱量は低減され、熱膨張が抑制されることにより、走行性能や姿勢精度は向上する。
また、可動台に作用する浮上力の作用点と可動台の重心位置の相対関係および発生する浮上力が、可動台の移動位置に係わらず一定となるように浮上用電磁石および浮上用磁性片の形状が形成されたことにより、可動台の位置が変化しても可動台の浮上量は常に一定となることから制御性が向上する。
リニアモータの固定子および可動子の一方または両方の表面を非磁性材料で覆うことや、浮上時に低精度ギャップセンサを用い、浮上後に高精度ギャップセンサの信号を用いて浮上ギャップを制御することで、ステージが浮上しすぎた場合にターゲットがギャップセンサに衝突してギャップセンサを破損させることなく、高精度な浮上位置決めが可能であり、ターゲットのX方向のギャップセンサ情報に基づいて可動台の回転角度を計測することで、可動台が傾いた状態からも浮上させることができる。
また、可動台全体を昇降させる機構を前記固定台の下部に設ける、または、固定台と可動台との間隙を計測するためのギャップセンサのセンサターゲットを上下動させる機構を設けることにより、可動台が固定子の下部に着地した状態でも間隙計測が可能な長い計測範囲を持つギャップセンサとそのセンサターゲットを取り除くことができ、ステージの小型化と軽量化および装置の省フットプリントが達成できるとともに、安価なステージ装置が得られる。
可動台が非接触に支持されたステージ装置により、簡素な構造でかつ小型で高精度の露光装置が得られる。
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
図1は本発明に係るステージ装置を説明する図で、(a)はステージ装置の上面図、(b)は、同じくY軸方向から見た側面図である。
図において、1はステージ装置、2は固定台、3は可動台、4は浮上用電磁石、5はY軸リニアモータ、6はX軸リニアモータ、8は2次元リニアセンサである。
ステージ装置1は、浮上用電磁石4と、Y軸リニアモータ5と、X軸リニアモータ6と、2次元リニアセンサ8等を具備した固定台2と、Y軸リニアモータおよびX軸リニアモータ6から位置決めされる可動台3から構成されている。
固定台2は、Y軸方向の両端が開口するとともに、下面にY軸方向に伸びる溝状の開口を備えた略矩形の形状をしており、貫通斜面穴9が天板に設けられている。貫通斜面穴9は、可動台3またはこの可動台3の下部に取付けられた被搬送物15の位置を計測する光学式計測器の光軸を通すために、光軸に沿って傾斜して貫通している。光軸が被搬送物15に当たるように可動台3と交わる箇所に穴16が設けられている。
また、固定台2は、互いに平行に配置された2組のY軸リニアモータ5と1組のX軸リニアモータ6を備えている。
また、固定台2の天板と底板には、浮上用電磁石4、Y軸リニアモータ5およびX軸リニアモータ6の固定子が上下対称に配置され、浮上用電磁石4は少なくとも3個、ここでは、4分割して図1(a)に示すように互いに間隔を開けて光軸を避けて配置されている。
可動台3は固定台2に取り付けられた浮上用電磁石4で支持され、X軸およびY軸方向に自在に移動できる。また、可動台3の上面および下面に、浮上用磁性片17、Y軸リニアモータ5およびX軸リニアモータ6の可動子が配置されている。可動台3はX軸リニアモータ6とY軸リニアモータ5によって駆動されて、X軸およびY軸方向に自在に移動する。ただし、本実施例ではX軸方向のストロークはY軸方向に比べて小さい。
2次元リニアスケール7は、可動台3の中央、2組のY軸リニアモータ5の中間にY軸リニアモータ5と平行に固定されている。2次元リニアスケール7はX軸方向およびY軸方向の位置を検出する目盛を刻んだリニアスケールであり、例えば独ハイデンハイン社の2軸座標測長システム(PP271R、PP281R)などが用いられる。
2次元リニアセンサ8は、固定台2にY軸方向(図1(b)で紙面に垂直方向)に所定の間隔を開けて2台取り付けられている。2次元リニアセンサ8は2次元リニアスケール7の目盛を読んで、X軸方向およびY軸方向の位置を求めるセンサであり、例えば、前述の独ハイデンハイン社のPP271R、PP281Rの2次元リニアエンコーダセンサなどが用いられる。
高精度ギャップセンサ10は可動台3の上面に設けられ、対向する固定台2にそのターゲット11が配置されている。
また、低精度ギャップセンサ12は固定台2に設置され、対向する可動台3にそのターゲット13が配置されている。
回転検出ギャップセンサ14は固定台2にY軸方向(図1(b)で紙面に垂直方向)に所定の間隔を開けて2個配置されており、対向する可動台3上にY軸ストローク分の長さをもつターゲット13が配置されている。ターゲット13は低精度ギャップセンサ12用と兼用されているのが1つの特徴である。
以上のように、本発明が特許文献1と異なる部分は、固定台2は矩形形状であり、かつ2箇所に斜面穴が設けられ、可動台3の移動位置に係わらず対向するように浮上用電磁石4と浮上用磁性片17が具備された点である。
このように、光学式計測器の光路が通じる穴を固定台に具備したことで、ステージ装置が小型化される。小型化されることにより、発熱量が低減され、熱膨張が抑制されることにより、走行性能や姿勢精度が向上する。
次に、本発明に係る磁気浮上機構について図2に基づいて説明する。
図2に示すように、磁気浮上機構は、磁気コア4aと巻線コイル4bとから成る浮上用電磁石4と、磁気コア4aの先端から所定の空隙を介して配置される浮上用磁性片17とから構成されている。そして、浮上用電磁石4および浮上用磁性片17の一方または両方は、PTFE(polytetrafluoroethylene)のような樹脂材料やステンレスのような金属材料等からなる非磁性材料20で覆われている。
また、この所定の空隙は高精度ギャップセンサ10(図1)とそのターゲット11(図1)の間隔よりも小さくなるように形成されている。
このように、非磁性材料20が浮上用電磁石4および浮上用磁性片17の少なくとも一方をリニアモータの可動子又は固定子の少なくとも一方とを覆うので、可動台が浮上しすぎた際に浮上用電磁石4および浮上用磁性片17が衝突したとしても樹脂材料で保護されている浮上用電磁石4および浮上用磁性片17の双方共に破損することがない。
さらに、浮上用電磁石4と浮上用磁性片17のギャップ間隔を高精度ギャップセンサ10とターゲット11のギャップ間隔よりも小さくなるように形成されているので、狭小ギャップの高精度ギャップセンサ10がターゲット11に衝突しないようにストッパとして作用するため、高精度ギャップセンサ10とターゲット11が衝突することがなく、高価な高精度ギャップセンサ10が破損されることもない。
次に、実施例3に係る可動台平行化機構について図3を基に説明する。
回転検出ギャップセンサ14(図1)は可動台3のX方向位置を計測し、2つのセンサ回転検出ギャップ14、14の各信号の差分値から、固定台2に対する可動台3のX方向の傾きが求められる。矩形状可動台3はその辺が常に固定台2の縁部に対して平行状態に維持されなければならないのであるが、何らかの原因で矩形状可動台3が固定台2の縁部に対して傾いた場合、実施例3に係る可動台平行化機構によって簡単に回転補正される。例えば、図3(a)に示すように可動台3が2次元リニアセンサ8の許容相対角度以上の傾きを持っていた場合には、互いに距離を設けて配置されている2個の直動のアクチュエータ18、18がそのプッシャ18a、18aで図3(b)に示すように可動台3に向けて押し出すので、可動台3が固定台2の反対方向に設けた2個の位置決めブロック19に押し付けられることによって、可動台3を簡単に固定台2と平行にすることができるというものである。
このように、可動台平行化機構によって可動台3が固定台2と平行にされたら、次に、可動台3は低精度ギャップセンサ12の検出信号を基に着地位置から高精度ギャップセンサ10の計測範囲まで浮上され、その後、高精度ギャップセンサ10の検出信号に基づいて精密な浮上制御がなされるようになり、可動台3は2次元リニアセンサ8の位置信号に基づいてX軸リニアモータ6とY軸リニアモータ5によって駆動され、被搬送物15は目標位置に位置決めされる。
次に、移動位置における浮上用電磁石4と浮上用磁性片17との対向関係について 図4を用いて説明する。
可動台3が浮上した場合の浮上用電磁石4と浮上用磁性片17は、図4(a)に示すように一定距離で対向した位置関係である。また、可動台3が平面内で移動して位置決めされた場合も、浮上用電磁石4と浮上用磁性片17は、図4(b)に示されるように一定距離で対向した位置関係が保たれている。このように可動台3の位置決め位置に係わらず、浮上用電磁石4と浮上用磁性片17は、常に一定距離で対向するように配置されている。
図5は本発明の実施例4に係るステージ装置で、(a)はステージ装置の上面図、(b)は、同じくY軸方向から見た側面図である。
図5の装置が図1の装置と異なる点は、可動台3を浮上制御可能な計測範囲内まで昇降させる可動台昇降機構26を可動台3の下部側に複数箇所(少なくとも4箇所が好ましい)個で配備している点である。休止時には可動台3を装置の下方に休止させておき、動作時に可動台昇降機構26で可動台3を持ち上げ、の浮上制御用センサ10の計測範囲に入るまで浮上させ、以後、浮上制御用センサ10のコントロール内に置く。このように可動台昇降機構26を配備することで、下方に休止している可動台3の距離をセンシングすることのできる高価な制御用センサを用いなくてもよくなる。
図6は可動台昇降機構26の正面図と側面図である。
ローラサポート29が支持台30に回転自在に支持されている。ローラサポート29はL字状輪郭を有しており、その一端にローラ28を回転自在に支持しており、その他端にはピエゾアクチュエータ21のロッド22の先端が接している。
ロッド22が伸縮することによって、ローラサポート29が支持点23を中心に回転し、ローラ28の位置を昇降させる仕組みになっている。
この場合、支持点からロッド22の接する点29aまでの距離よりも、支持点からローラ28の回転取付け点29bまでの距離を長くすることによって、ロッド22が例え微動アクチュエータであっても、その水平方向の微動を垂直方向に変位させると共に、拡大することができる。
次に、実施例4に係るステージ装置の動作を図5および図6を用いて説明する。
可動台3(図5)が着地点まで下降し、ローラ28(図6)上で静止している場合は、浮上制御用の高精度のギャップセンサ10は計測範囲から外れている。よって、少なくとも4個のローラ部18に組み込まれた昇降機構26を駆動させて、可動台3を浮上制御用センサ10の計測範囲に入るまで機械的に浮上させる。この固定台2と可動台3間の間隙値を計測して記憶しておく。この値は、浮上制御しながら可動台3を下降させローラ28上に着地させるときに用いられる。可動台3を高精度ギャップセンサ10の計測範囲内まで持ち上げた状態で、浮上電磁石4と浮上制御用センサ10によって浮上制御し、前記可動台3を磁気的に非接触支持する。
非接触支持が完了したら、昇降機構26を駆動してローラ28を下降させる。
次に、ステージ運転停止時にローラ28上に可動台3を着地させるときの手順を示す。可動台3の走行を停止し、可動台3を浮上させた位置まで移動させた後、昇降機構26のローラを昇降させる。可動台3を浮上制御しながら、先の可動台3を昇降させた時に記憶した間隙値に一致するまで、可動台3を低速で下降させ、ローラ28上に着地させる。可動台3の浮上制御を停止させたのち、ローラ28の昇降機構26にて可動台3全体を下降させて、着地動作を完了させる。
以上のように、本発明に係るステージ装置によれば、可動台3が着地時に支持するローラ28に昇降機構26を付加することにより、可動台3を着地点から浮上、または、着地点まで下降させるために設けていた低精度のギャップセンサ12を無くすことができ、小型のステージ装置が得られる。
図7は、本発明の実施例5に係るステージ装置で、(a)はステージ装置の上面図、(b)は、同じくY軸方向から見た側面図である。
図7の装置が図1の装置と異なる点は、高精度のギャップセンサ10のターゲット11を上下動させるターゲット上下動機構を備えた点である。ギャップセンサターゲット11を上下動させる機構27には、ピエゾアクチュエータ24が組み込まれている。
図8は本発明に係るターゲット上下機構の側面図である。
固定台2の天板に設けた貫通穴にピエゾアクチュエータ24、24を取付け、その各ロッド25、25は固定台2の天板の下まで伸縮自在に貫通している。一対のピエゾアクチュエータ24のロッド25、25の先端間にはセンサターゲット11が取付けられており、ロッド25の伸縮によりセンサターゲット11を上下動させる仕組みになっている。
次に、ターゲット上下機構27の動作について図7および図8を用いて説明する。可動台3(図7)が昇降機構26のローラ28(図6)上に着地し静止している位置では、浮上制御用の高精度ギャップセンサ10(図7)の計測範囲から外れている。よって、固定台2の上部天板の下面に設けられ4個のセンサターゲット11(図7,図8)のターゲット上下機構27を駆動し、センサターゲット11を最下点まで下降させる。この位置は、浮上制御用の高精度ギャップセンサ10が計測可能な領域である。センサターゲット11を最下点まで下降したときの固定台2と可動台3間の間隙値を計測して記憶しておく。この間隙値は、可動台3を浮上制御しながら降下させ昇降機構26のローラ28に静かに着地させる際に用いられる。センサターゲット11が最下点の位置で、浮上電磁石4と高精度ギャップセンサ10で浮上制御し、可動台3を磁気的に非接触支持する。この状態からターゲット上下機構27によってセンサターゲット11を徐々に低速で上昇させ、センサターゲット11を最初の位置まで戻す。この位置が通常の浮上走行制御を行わせる位置である。
逆に、可動台3を下降させ昇降機構26のローラ28上に着地させるときの手順を示す。可動台3の走行を停止し、可動台3を降下させる位置まで可動台3を移動させる。浮上制御した状態で、センサターゲット11との間隙値を保ちながら、センサターゲット11を徐々に下降させながら可動台3を下降させて可動台昇降機構26のローラ28上に可動台3を着地させる。可動台昇降機構26のローラ28に着地させる位置は、先に記憶させていたセンサターゲット11を最下点まで下降させたときの固定台2と可動台3間の間隙値である。可動台3の着地が完了したら浮上制御をオフし、可動台3の下降動作を完了させる。
以上のように、本発明に係るステージ装置によれば、可動台3を浮上制御可能な位置まで、センサターゲット11を下降させ、浮上制御しながら通常の浮上走行制御を行う位置までセンサターゲット11を上昇させる機構27を設けることにより、着地点からの浮上用に設けていた低精度の長い計測範囲を有すギャップセンサ12を無くすことができ、小型のステージ装置が得られる。
図9は、本発明の実施例6に係るステージ装置を備えた露光装置の図である。
31は露光装置であり、32は露光装置31を収納する真空チャンバーである。33は光源であり、波長13.5〜400nmのEUV光を発する。34はステージ装置であり、前記第1から3の実施例で説明したいずれかの2軸位置決め装置である。ステージ装置34の下面にはマスク35が取り付けられている。マスク35にはウェハ36に形成される回路のパターンが描かれている。ウェハ36はウェハステージ37に載置されている。
光源33を発したEUV光は集光ミラー38で集光され、マスク35で反射され、凹面ミラー39、凸面ミラー40、41、凹面ミラー42の順に反射を繰り返して、ウェハ36に達する。また、ステージ装置34およびウェハステージ37は、ウェハ36の表面にマスク35上に描かれた回路パターンの縮小像をウェハ36上に形成するように、相対的に位相を合せて移動する。
このステージ装置34として、本発明に係るステージ装置を使用することにより、簡素な構造でかつ小型で高精度の露光装置が得られる。
本発明は、半導体製造等の分野で、対象物を平面内で自在に位置決めするステージ装置として有用である。
本発明に係るステージ装置を説明する図で、(a)はステージ装置の上面図、(b)は、同じくY軸方向から見た側面図である。 本発明に係る磁気浮上機構の正面図である。 本発明に係る可動台平行化機構の動作を説明する平面図で、(a)は平行化する前、(b)は平行化後である。 浮上用電磁石と浮上用磁性片との対向関係を説明する正面図で、(a)は移動前、(b)は移動後である。 本発明に係るステージ装置で、(a)はステージ装置の上面図、(b)は、同じくY軸方向から見た側面図である。 本発明に係る可動台昇降機構の正面図(a)と側面図(b)である。 本発明に係るステージ装置で、(a)はステージ装置の上面図、(b)は、同じくY軸方向から見た側面図である。 本発明に係るターゲット上下機構の側面図である。 本発明に係るステージ装置を備えた露光装置の原理図である。 従来のステージ装置の斜視図である。
符号の説明
1 ステージ装置
2 固定台
3 可動台
4 浮上用電磁石
4a 磁気コア
4b 巻線コイル
5 Y軸リニアモータ
6 X軸リニアモータ
8 2次元リニアセンサ
9 貫通斜面穴
10 高精度ギャップセンサ
11 高精度ギャップセンサターゲット
12 低精度ギャップセンサ
13 低精度ギャップセンサ及び回転検出ギャップセンサ兼用ターゲット
14 回転検出ギャップセンサ
15 被搬送物
17 浮上用磁性片
18 直動アクチュエータ
18a プッシャ
19 位置決めブロック
20 非磁性材料
21 ピエゾアクチュエータ
22 ロッド
23 支持点
24 ピエゾアクチュエータ
25 ロッド
26 可動台昇降機構
27 ターゲット上下機構
28 ローラ
29 ローラサポート
29a 接点
29b ローラ付け点
20 支持台
31 露光装置
32 真空チャンバー
33 光源
34 ステージ装置
35 マスク
36 ウェハ
37 ウェハステージ
38 集光ミラー
39、42 凹面ミラー
40、41 凸面ミラー

Claims (7)

  1. 浮上用電磁石を配設して成る固定台と、前記浮上用電磁石に作用する浮上用磁性片を備えて非接触磁気浮上方式により前記固定台内に支持される可動台と、前記可動台を2次元平面内で制御駆動するリニアモータから成るステージ装置において、
    前記可動台の中央に2次元リニアセンサを配設し、
    前記リニアモータが前記2次元リニアセンサの検出信号を基に制御駆動し、
    前記固定台を、2次元平面の1軸方向の両端が開口するとともに、下面に前記軸方向に伸びる溝状の開口を備えた略矩形の形状にし、
    前記可動台を前記固定台の前記開口内に支持し、
    前記可動台と前記固定台間のギャップを計測する高精度ギャップセンサを前記可動台に設け、
    前記高精度ギャップセンサの検出対象であるターゲットを前記固定台に設け、
    前記高精度ギャップセンサの計測範囲内まで前記可動台を上下移動させる可動台昇降機構を前記固定台に備えたことを特徴とするステージ装置。
  2. 前記可動台昇降機構は微動アクチュエータを有する伸縮機構と、前記微動アクチュエータの微動を変位し拡大する変位拡大機構とから成ることを特徴とする請求項1記載のステージ装置。
  3. 前記微動アクチュエータがピエゾアクチュエータであることを特徴とする請求項記載のステージ装置。
  4. 前記変位拡大機構が、前記固定台に固定される支持台と、前記支持台にその中央直角部位を回転自在に支持されたL字状輪郭を有するローラサポートと、前記ローラサポートのL字の一端に回転自在に支持されたローラと、で構成されたことを特徴とする請求項記載のステージ装置。
  5. 浮上用電磁石を配設して成る固定台と、前記浮上用電磁石に作用する浮上用磁性片を備えて非接触磁気浮上方式により前記固定台内に支持される可動台と、前記可動台を2次元平面内で制御駆動するリニアモータから成るステージ装置において、
    前記可動台の中央に2次元リニアセンサを配設し、
    前記リニアモータが前記2次元リニアセンサの検出信号を基に制御駆動し、
    前記固定台を、2次元平面の1軸方向の両端が開口するとともに、下面に前記軸方向に伸びる溝状の開口を備えた略矩形の形状にし、
    前記可動台を前記固定台の前記開口内に支持し、
    前記可動台と前記固定台間のギャップを計測する高精度ギャップセンサを前記可動台に設け、
    前記高精度ギャップセンサの検出対象であるターゲットを前記固定台に設け、
    前記高精度ギャップセンサの検出対象であるターゲットを上下移動させるターゲット昇降機構を前記固定台に備えたことを特徴とするステージ装置。
  6. 前記ターゲット昇降機構が微動アクチュエータから成ることを特徴とする請求項5記載のステージ装置。
  7. 真空チャンバ内に、光源と、前記光源からの光を反射・集光する光学系と、下面にマスクを取付けることのできるステージ装置と、ウエハを載置するウエハステージと、を備えた露光装置において、
    前記ステージ装置として、請求項1〜6のいずれか1項記載のステージ装置を備え、
    前記ステージ装置および前記ウエハステージを相対的に移動させて、前記マスク上に描かれた回路パターンの縮小像を前記ウエハ上に形成することを特徴とする露光装置。
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