JP4698883B2 - 伸縮装置の回転防止装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の円筒部材が入れ子式に摺動して伸縮可能に構成される伸縮装置の回転防止装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、複数のシリンダが入れ子式に摺動して伸縮駆動するテレスコープ式のシリンダ装置が用いられている。
【0003】
このようなシリンダ装置には、通常、円筒状のシリンダが用いられるので、そのままでは周方向に回転してしまう可能性がある。そのため、これを例えば高さ調整の可能な支柱として用いるときには、回転を防止するための装置を併用する必要がある。
【0004】
そのような回転防止装置として、従来においては、角筒が入れ子式に摺動して伸縮移動する装置を、当該シリンダ装置と平行に配置して連結したり、またはそのような回転防止装置の中に当該シリンダ装置を挿入して一体的に伸縮駆動するように構成する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、従来においては、回転防止装置の構造が複雑で、形状寸法が大きいため、全体の装置が大掛かりなものとなっていた。
【0006】
また、シリンダ装置それ自体に角筒状のシリンダを用いて回転しないように構成することも可能であるが、そうした場合には流体漏れを防ぐためのシールを完全にすることが難しい。また、メンテナンス上の問題もある。
【0007】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、シリンダ装置などに適用して回転を防止することのできる構造の簡単な回転防止装置を提供することを目的とする。
【0008】
本発明の1つの形態による装置は、複数の円筒部材が入れ子式に摺動して伸縮可能に構成される伸縮装置の回転防止装置であって、半径方向の内側と外側で互いに隣合う2つの前記円筒部材の間に円筒状のスペーサが挿入されており、前記スペーサには、軸方向に延び且つ表裏に貫通するキー溝に嵌まり込み且つ当該キー溝と軸方向の長さが同じであって当該キー溝から半径方向両側に突出するキー部材が設けられ、前記キー部材は、その半径方向に突出した部分が前記2つの円筒部材の外周面または内周面に設けられたキー溝に嵌まり込んで周方向に相対回転不能に係合しており、前記2つの円筒部材のうちの内側の円筒部材の外周面に設けられたキー溝は、軸方向に延びて、前記2つの円筒部材が軸方向に相対移動可能に構成され、前記2つの円筒部材のうちの外側の円筒部材の内周面に設けられたキー溝は、外側の円筒部材の先端面に開放されるように、かつ、前記キー部材と当該キー溝とが軸方向の一方に係合して前記スペーサが軸方向に固定されるように設けられている。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の装置を適用したシリンダ装置1の外形を示す正面図、図2はシリンダ装置1を伸長した状態を示す正面図、図3はシリンダ装置1の上面図、図4はシリンダ装置1の先端側を拡大して示す断面図、図5はシリンダ装置1の下端側を拡大して示す断面図、図6は円筒部材の先端部を示す斜視図、図7はスペーサの斜視図、図8はキー部材の斜視図、図9は球状体によるキー部材の斜視図である。
【0011】
図1〜図3において、シリンダ装置1は、最も外側から内側まで順に入れ子式に挿入された7つの筒部材11a〜11g、それぞれの筒部材11a〜11gの先端部に設けられたカバー部材12a〜12gなどからなる。
【0012】
つまり、シリンダ装置1は、7つの円筒部材11a〜11gからなる6段のテレスコープ式のものである。このようなテレスコープ式のシリンダ装置それ自体の構造および動作については公知であるので、ここでの説明は省略する。なお、いずれかの段または全ての段について言うときには、a,b,cなどの符号を省略することがある。
【0013】
図4および図5に示されるように、円筒部材11の先端部外周面には雄ねじが設けられ、これがカバー部材12の内周面に設けられた雌ねじに螺合することにより、それらが一体に固定される。なお、円筒部材11とカバー部材12の間には、スリーブ40の先端部が挟み込まれている。スリーブ40は、円筒部材11の外周面との摺動性を良好にするための摺動軸受けの役目を果たす。
【0014】
最も外側の円筒部材11aの下端部には、カバー部材13aがねじ結合によって取り付けられる。他の円筒部材11b〜11gの下端部には、ピストン部材13b〜13gがねじ結合によって取り付けられる。各ピストン部材13には、摺動のためのウエアリング16、およびシールのためのパッキン17などが装着される。なお、図示は省略したが、圧流体を給排するためのポートが適当な位置に設けられている。
【0015】
半径方向の内側と外側で互いに隣合う2つの円筒部材11fと11g、11eと11f…などの間に、円筒状のスペーサ21が挿入される。なお、それぞれの2つの円筒部材の間に挿入されるスペーサ21の構造はほぼ同じであるので、それぞれに同じ符号を付し、そのうちの1つについて説明する。
【0016】
図6ないし図8をも参照して、スペーサ21には、軸方向に延び且つ表裏に貫通するキー溝31が設けられる。キー溝31には、そこに丁度嵌まり込み、且つ半径方向両側に突出するキー部材41が設けられる。キー溝31の長さ、つまりキー部材41の長さは、キー部材41、キー溝31(スペーサ21)、キー溝45,46(円筒部材11)の強度などに応じて、回転外力に充分に耐えられるようにしておけばよい。つまり、キー部材41の長さを必要なだけ長くすることができる。
【0017】
キー部材41は、その半径方向に突出した部分が、その両側の各円筒部材11fと11g、11eと11f…などに設けられたキー溝45,46に嵌まり込む。これによって、隣合う円筒部材11fと11g、11eと11f…、および各スペーサ21が、周方向に相対回転不能に係合する。
【0018】
つまり、キー溝45は円筒部材11の内周面に、キー溝46は円筒部材11の外周面に設けられる。いずれのキー溝45,46も、各円筒部材11の先端面に開放されるように設けられる。
【0019】
円筒部材11の内周面に設けられるキー溝45の軸方向の長さは、シリンダ装置1が組み立てられたときに、スペーサ21が余り移動しないよう、キー部材41が丁度嵌まり込む長さである。これにより、スペーサ21は、外側の円筒部材11に対して軸方向にほぼ一定の位置に固定される。
【0020】
円筒部材11の外周面に設けられるキー溝46の軸方向の長さは、下端部にピストン部材13が設けられている近辺まで延びる。したがって、内側の円筒部材11は、スペーサ21およびキー部材41に対して、各ストロークの全長にわたって軸方向に相対移動可能である。
【0021】
次に、シリンダ装置1の動作について説明する。
シリンダ室に圧流体を供給することにより、シリンダ装置1は伸長駆動する。圧流体を排出することにより、シリンダ装置1は収縮駆動する。その間において、それぞれのスペーサ21に設けられたキー部材41は、それぞれの円筒部材11の外周面に設けられたキー溝46の中を摺動する。半径方向の内側と外側で隣合うそれぞれの円筒部材11は、キー部材41によって周方向に相対回転しないように規制されているので、全体として、円筒部材11の回転が防止される。キー部材41の長さを適当なだけ長くできるので、キー部材41を摩耗に強い充分な強度のものとし、また、強い回転外力に対して充分に耐えるものとすることができる。
【0022】
因みに、カバー部材12の中にキー部材を設けた場合には、カバー部材12を長くすることはできないから、キー部材の長さも短くなり、強度および回転の防止力の面で問題が生じる。
【0023】
カバー部材12を円筒部材11から取り外すことにより、スペーサ21およびキー部材41を先端側から引き抜き、または挿入することができる。したがって、スペーサ21およびキー部材41の交換が容易であり、且つシリンダ装置1の組み立てが容易である。
【0024】
シリンダ装置1が伸長したときには、ピストン部材13がスペーサ21の端面に当接する。つまり、スペーサ21はストローク端のストッパの役目をも果たす。したがって、スペーサ21の長さを調整することによって、各円筒部材11のストロークを調整することができる。
【0025】
上に述べたキー部材41に代えて、図9に示す球状体によるキー部材42を用いてもよい。つまり、キー部材42は、複数個の、ここでは5個の鋼球からなる。これらの鋼球をスペーサ21のキー溝31に入れる。そうすると、キー溝31からはみ出した部分がキー溝45,46に入る。
【0026】
球状体によるキー部材42を用いた場合は、球状体が回転しながら摺動し、また点接触に近いので、摺動が円滑である。なお、球状体の回転をさらに円滑にするために、球状体が循環するようにしてもよい。
【0027】
なお、キー部材41,42を各円筒部材間に1つのみ用いたが、周方向の等角度位置に、2個、または3個など、複数個を設けることとしてよい。
上の実施形態では、6段のテレスコープ式のシリンダ装置1としたが、1段、2段、3段など、種々の段数のシリンダ装置に適用できる。また、シリンダ装置に適用する他、入れ子式のシリンダ、または駆動を行うことなく単に伸縮移動のみを行う装置などにも適用することができる。例えば、テレビなどのスタジオにおいて照明器具などを天井から吊り下げるための伸縮装置にも適用することができる。
【0028】
上の実施形態において、スペーサ21、キー部材41、キー溝45,46、またはシリンダ装置1の全体または各部の構造、形状、寸法、個数、および材質などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【0029】
【発明の効果】
本発明によると、シリンダ装置などに適用して回転を防止することができる。しかも、構造が簡単である。また、キー部材の長さを必要なだけ長くできるので、キー部材を摩耗に強い充分な強度のものとし、また、強い回転外力に対して充分に耐えるものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の装置を適用したシリンダ装置の外形を示す正面図である。
【図2】シリンダ装置を伸長した状態を示す正面図である。
【図3】シリンダ装置の上面図である。
【図4】シリンダ装置の先端側を拡大して示す断面図である。
【図5】シリンダ装置の下端側を拡大して示す断面図である。
【図6】円筒部材の先端部を示す斜視図である。
【図7】スペーサの斜視図である。
【図8】キー部材の斜視図である。
【図9】球状体によるキー部材の斜視図である。
【符号の説明】
1 シリンダ装置
11 円筒部材
21 スペーサ
31 キー溝
41,42 キー部材
45,46 キー溝

Claims (3)

  1. 複数の円筒部材が入れ子式に摺動して伸縮可能に構成される伸縮装置の回転防止装置であって、
    半径方向の内側と外側で互いに隣合う2つの前記円筒部材の間に円筒状のスペーサが挿入されており、
    前記スペーサには、軸方向に延び且つ表裏に貫通するキー溝に嵌まり込み且つ当該キー溝と軸方向の長さが同じであって当該キー溝から半径方向両側に突出するキー部材が設けられ、
    前記キー部材は、その半径方向に突出した部分が前記2つの円筒部材の外周面または内周面に設けられたキー溝に嵌まり込んで周方向に相対回転不能に係合しており、
    前記2つの円筒部材のうちの内側の円筒部材の外周面に設けられたキー溝は、軸方向に延びて、前記2つの円筒部材が軸方向に相対移動可能に構成され
    前記2つの円筒部材のうちの外側の円筒部材の内周面に設けられたキー溝は、外側の円筒部材の先端面に開放されるように、かつ、前記キー部材と当該キー溝とが軸方向の一方に係合して前記スペーサが軸方向に固定されるように設けられている、
    ことを特徴とする伸縮装置の回転防止装置。
  2. 前記外側の円筒部材の先端部にカバー部材がねじによって取り付けられ、当該外側の円筒部材と当該カバー部材との間にはスリーブの先端部が挟み込まれ、
    前記スペーサは、その軸方向の一方の端面が前記スリーブの端面に当接するように設けられている、
    請求項1記載の伸縮装置の回転防止装置。
  3. 前記キー部材は、複数個の球状体からなる、
    請求項1記載の伸縮装置の回転防止装置。
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