JP4698372B2 - 安全タイヤ用空気のうを製造する装置及び方法 - Google Patents
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Description
この発明は、気体不透過性のチューブと、該チューブの外面全体を密着包囲する張力支持層とを具える安全タイヤ用空気のうを製造する装置及び方法に関し、特にかかる空気のうの製造時の効率及び安全性の向上を図る。
パンク等によってタイヤ内圧が急激に低下したランフラット状態においてもある程度の距離の走行が可能である安全タイヤとしては、補強チューブ、補強ゴム、補強ベルト等の補強部材、又は発泡体、弾性体、中子等にタイヤ負荷を肩代わり支持させるタイヤや、シーラント剤を塗布又は充填してタイヤに生じた孔等の損傷部を塞いで内圧低下を防止したタイヤ等が知られている。しかし、これら従来の安全タイヤは、製造方法が複雑になる上、装着時の取扱いに難点がある場合が多かった。
かかる問題を解消するため、例えば特許文献1には、空気不透過性のチューブと、このチューブの外面全体を密着包囲する環状支持体とを具え、タイヤの内圧の低下に伴って拡径変形して荷重の支持をタイヤから肩代わりする中空円管状の安全タイヤ用空気のうが記載されている。
かかる中空円管状の空気のうの製造に当たっては、特許文献1の図3及び4に記載されているように、幅断面の中央部が両端部よりも大径である環状支持体用リング状シートの内面側にチューブを挿入し、チューブの外面に沿わせながらリング状シートの側部を折り曲げて、チューブの外面全体をリング状シートで密着包囲することが行われる。従来、この作業は、成型ドラムからリング状シートを取り出す搬送装置上で行われており、搬送装置の両脇に配備された各1名の作業員が、それぞれ一方の側部の折り曲げを担当している。しかし、リング状シートの下半分の折り曲げ作業は比較的容易であるが、上半分の折り曲げ作業は上向きで行わざるを得ないため作業性に劣る。また、2名での作業は製造コスト上昇の要因となり、これを1名で行おうとすると、一方の側部の折り曲げ作業を終了した後、他方の折り曲げ作業を開始する前に、作業員が搬送装置の反対側に移動する必要があるため、やはり作業性に劣る。加えて、搬送装置上での折り曲げ作業は、成型ドラム等の他の可動部付近での作業となるため、危険を伴う場合がある。このため、安全な領域内で折り曲げ作業ができ、かつ作業姿勢を変えることが比較的少ない、空気のうの製造装置及び方法に対する要求がある。
この発明は、従来技術が抱えるこのような問題点を解決することを課題とするものであり、その目的は、製造効率及び作業員の安全性の双方の向上することのできる安全タイヤ用空気のうの製造装置及び製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するため、この発明の安全タイヤ用空気のうの製造装置は、気体不透過性のチューブと、該チューブの外面全体を密着包囲する張力支持層とを具える安全タイヤ用空気のうを製造する装置において、該装置は、幅断面の中央部が両端部よりも大径であるリング状の張力支持部材を成型するための成型部と、該成型部から取り外した前記張力支持部材を外面から支持する貼着部とを具え、該貼着部は、張力支持部材の軸線に直交する方向を中心軸として180度反転可能であり、かつ張力支持部材をその周方向に少なくとも180度回動可能であることを特徴とする。
張力支持部材を成型部から貼着部に移すために、成型部が貼着部に向かって移動し、貼着部に張力支持部材を引き渡してもよく、反対に、貼着部が成型部に向かって移動し、成型部から張力支持部材を取り外してもよく、また、張力支持部材を成型部から取り外し貼着部に移送する移送部をさらに設けてもよい。
張力支持部材の回動を容易にするために、貼着部は、軸線が互いに平行となるように配置された複数のローラーを具えることが好ましい。
そして、この発明の安全タイヤ用空気のうの製造方法は、気体不透過性のチューブと、該チューブの外面全体を密着包囲する張力支持層とを具える安全タイヤ用空気のうを製造する方法において、幅断面の中央部が両端部よりも大径であるリング状の張力支持部材を成型し、該張力支持部材の中央部の内面側に加硫済のチューブを挿入し、前記張力支持部材及びチューブをそれらの周方向に回動しつつ、張力支持部材の一方の端部をチューブの外面に沿わせて折り曲げ、チューブの半部を張力支持部材で密着包囲し、前記張力支持部材の軸線に直交する方向を中心軸として、チューブを挿入した張力支持部材を180度反転し、前記張力支持部材及びチューブをそれらの周方向に回動しつつ、張力支持部材の他方の端部をチューブの外面に沿わせて折り曲げ、チューブの全部を張力支持部材で密着包囲してなる円管状体を形成し、この円管状体を加硫成型して空気のうを得ることを特徴とする。
この発明によれば、安全な領域内で折り曲げ作業ができ、かつ作業姿勢を変えることが比較的少ないことから、空気のうの製造時の製造効率及び作業員の安全性の双方が向上する。
次に、図面を参照しつつこの発明の実施の形態を説明する。図1は、この発明に従う安全タイヤ用空気のう(以下「空気のう」という。)の代表的な製造装置の全体を概略的に示す。
図1に示す装置1は成型部2を具えており、この成型部2の上に、幅断面の中央部が両端部よりも大径である、すなわち中央部が径方向外側に膨出したリング状の張力支持部材が成型される。なお、図1には、張力支持部材の成型前から成型部2の中央領域が径方向外側に膨出した態様を示したが、成型前には成型部2の中央領域と両側領域が略同一の径であり、張力支持部材の成型時に中央領域が径方向外側に拡大する態様のものを用いることもできる。前者の場合には、成型部2がいわゆるハードコアであり、この上に狭幅のストリップを巻回することで、所望の外輪郭形状を有する張力支持部材が成型される。後者の場合には、成型部2がいわゆるドラムであり、この上に広幅のシートを貼り付け、成型部2の中央領域を拡大してシートの中央部を拡張させることで、所望の外輪郭形状を有する張力支持部材が成型される。なお、成型部2は、その上に成型した張力支持部材の取り外しを容易にするために、径方向に拡縮可能であることが好ましい。
また、図1に示す装置1は、成型部2で成型された後に取り外された張力支持部材を外面から支持する貼着部3を具える。貼着部3は、張力支持部材の軸線に直交する方向、図1に示す態様では上下方向を中心軸として180度反転可能である。また、貼着部3は、その上で張力支持部材を周方向に少なくとも180度、好ましくは360度以上回動可能できるように構成されている。
次に、このように構成してなる製造装置1を用いて空気のうを製造する方法について説明する。まず、上述したいずれかの手順により、図2に示すように、成型部2の上に所望の外輪郭形状を有するリング状の張力支持部材4を成型する。その張力支持部材4は、空気のうの張力支持層となるべきものであり、不織布、不織布とゴムの複合体、樹脂シート等の従来の空気のうの張力支持層又は補強層として用いられている材料で構成される。その後、張力支持部材4を成型部2から取り外し、貼着部3に移す。この態様では、図3に示すように、成型部2が貼着部3に向かって移動し、貼着部3上に張力支持部材4を載置した後、成型部2の径を縮小してこれを張力支持部材4から引き抜いて、張力支持部材4を貼着部3に引き渡す。
この実施態様において、図示しない作業員は貼着部3の右側に配備されている。上記のようにして外面の一部を貼着部3で支持された張力支持部材4の中央部の内面側に、加硫済のチューブ5を挿入する。このチューブ5は、ブチルゴム製チューブ等の従来の空気のうに用いられるチューブとすることができる。次いで、張力支持部材4の一方の端部、図5では右側の端部をチューブ5の外面に沿わせて折り曲げる。この際、作業性を考慮して、まず折り曲げ作業を張力支持部材4の例えば下半分について行った後、張力支持部材4及びチューブ5を、貼着部3の上で、図5において符合Aで示される張力支持部材4の軸線の周りに、すなわち周方向に180度回動させると、張力支持部材4の折り曲げられていない部分が下半分になるので、上記と同様にして右側の端部を折り曲げれば、図6に示すように、作業姿勢を大きく変えることなく張力支持部材4の一方の端部の折り曲げ作業が完了し、チューブ5の右半部が張力支持部材4で密着包囲される。また、張力支持部材4を回動できる範囲が180度未満であると、必然的に作業者が上向き姿勢となって折り曲げを行う必要が生じるため、製造効率が低下し、かつ作業者に与える負担が大きいが、180度以上回動可能に構成することで、かかる上向き姿勢での作業を排除することができる。
なお、作業姿勢の変更を最小限とし、製造効率を一層向上する観点からは、一回の作業で折り曲げる範囲を小さくし、折り曲げと回動を少しずつ交互に行うことが好ましく、折り曲げ作業を行いながら回動を行うことがさらに好ましい。かかる場合には、張力支持部材を周方向に1回転(360度)回動可能であることが好ましい。
次に、張力支持部材4の軸線Aに直交する方向Bを中心軸として、貼着部3を180度反転させると、図7に示すように、作業員のいる右側に、張力支持部材4の貼り付け作業の完了してない他方の端部が位置する。この他方の端部を、上記と同様にして順次に折り曲げれば、作業員が移動することなく張力支持部材4の他方の端部の折り曲げ作業も完了し、チューブ5の全部が張力支持部材4で密着包囲され、図8に示すように、未加硫の円管状体6が形成される。
この円管状体6を装置1から取り外して、図示しない加硫金型内で加硫成型すれば、気体不透過性のチューブと、このチューブの外面全体を密着包囲する張力支持層とを具える中空の空気のうが得られる。
このように、この発明の製造装置及び製造方法によれば、張力支持部材の折り曲げを行う作業員が、装置内を移動することなく、かつ作業姿勢を大幅に変更することなく折り曲げ作業を完了することができるので、1名の作業員で効率よく折り曲げ作業を行うことができる。また、通常、折り曲げ作業と平行して、成型部2の上では次の折り曲げ作業に供するための張力支持部材の成型作業が行われており、成型部2のコア又はドラムが回転していたり、ストリップ又はシートの供給装置が移動していたりする。このため、成型部2付近での作業には巻き込まれや挟まれの危険が伴うが、この発明の製造装置及び製造方法によれば、貼着部3を安全な領域に配置し、かつ作業員を装置1の外側に配備することで、かかる危険を排除して安全に作業をすることができる。
上記の説明では、成型部2が貼着部3に向かって移動する態様を例に挙げたが、図9及び10に示すように、装置1を、貼着部3が成型部2に向かって移動するように構成してもよい。この場合には、貼着部3を、その上に張力支持部材4が載置される位置まで移動した後、成型部2の径を縮小し、この状態で張力支持部材4を載置した貼着部3を成型部2から離れる向きに移動することで、張力支持部材4を成型部2から取り外す。そして、貼着部3を作業領域に復帰させた後は、上記と同様にして折り曲げ作業を行う。
また、成型部2及び貼着部3を固定してもよい。この場合には、張力支持部材が比較的小型・軽量であれば、作業員が張力支持部材4の成型部2からの取外し及び貼着部3への取り付けを行ってもよいが、成型部2と貼着部3の間を往復移動可能な移送部を設けてもよい。図11〜15は、このような移送部7を具える装置1の例を示す。この例において、移送部7は、成型部2の上に成型された張力支持部材4を外面から把持し、これを成型部2から取り外す取外手段8と、取外手段8に把持された張力支持部材4を内面から保持し、これを貼着部3に取り付ける拡縮自在な取付手段9とで構成されている。
まず、上記と同様にして成型部2の上に張力支持部材4を成型する。次いで、成型部2の外周上に取外手段8を移動し、張力支持部材4を把持させる。成型部2の径を縮小した後、取外手段8を、成型部2から離れる方向に移動し、図12に示すように、これに保持された張力支持部材4の内部に取付手段9を配置する。次に、張力支持部材4の内面に当接するまで取付手段9を拡径し、取外手段8及び取付手段9の一方又は両方を移動して、図13に示すように、取付手段9により張力支持部材4を保持させる。取付手段9をさらに移動し、図14に示すように、貼着部3内に張力支持部材4を載置した後、取付手段9を縮径し、これを貼着部3から離れる方向に移動し、貼着部3に張力支持部材4を引き渡す。そして、図15に示すように、張力支持部材4の中央部の内面側に加硫済のチューブ5を挿入する。その後の折り曲げ作業は上述したとおりである。
図16は、貼着部3の一実施態様の斜視図である。この実施態様では、貼着部3が複数のローラー10を具えており、これらローラー10は、軸線が互いに平行となるように、かつこれらローラー10により形成される支持面が張力支持部材の所望の外輪郭形状に沿うように配置されており、いわゆるローラーコンベア状となっている。このように貼着部3がローラー10を具えると、張力支持部材の回動が円滑となり、かつ回動時に張力支持部材を損傷するおそれもない点で有利である。各ローラーを、動力に接続されていない状態の、いわゆるフリーローラーとし、作業員が手動で張力支持部材を回動してもよいが、少なくとも1個のローラーをモーター等の動力に接続し、自動で張力支持部材を回動することもできる。また、図示は省略するが、ローラー間にベルトを掛け渡した、いわゆるベルトコンベア状とすることもできる。
また、貼着部3及び/又は移送部7にロードセル等の計量手段を組み込むこともできる。これによれば、張力支持部材4の質量を測定することで、空気のうの構成部材の貼り過ぎ又は貼り忘れを検知することができるので、品質保証上有用である。
さらに、貼着部3の下部に油圧シリンダー等の昇降手段を組み込み、貼着部3の折り曲げ作業領域の高さを上下方向に可動に構成することもできる。これによれば、折り曲げ作業を行うに当たり、作業員が最も楽な高さを選択することが可能となるので、製造効率が一層向上する上、作業員に与える負担が軽減される。
なお、上述したところは、この発明の実施形態の一部を示したにすぎず、この発明の趣旨を逸脱しない限り、これらの構成を相互に組み合わせたり、種々の変更を加えたりすることができる。
1 安全タイヤ用空気のう製造装置
2 成型部
3 貼着部
4 張力支持部材
5 チューブ
6 円管状体
7 移送部
8 取外手段
9 取付手段
10 ローラー
2 成型部
3 貼着部
4 張力支持部材
5 チューブ
6 円管状体
7 移送部
8 取外手段
9 取付手段
10 ローラー
Claims (6)
- 気体不透過性のチューブと、該チューブの外面全体を密着包囲する張力支持層とを具える安全タイヤ用空気のうを製造する装置において、
該装置は、幅断面の中央部が両端部よりも大径であるリング状の張力支持部材を成型するための成型部と、該成型部から取り外した前記張力支持部材を外面から支持する貼着部とを具え、
該貼着部は、張力支持部材の軸線に直交する方向を中心軸として180度反転可能であり、かつ張力支持部材をその周方向に少なくとも180度回動可能であることを特徴とする安全タイヤ用空気のうの製造装置。 - 前記成型部が貼着部に向かって移動し、貼着部に張力支持部材を引き渡す、請求項1に記載の製造装置。
- 前記貼着部が成型部に向かって移動し、成型部から張力支持部材を取り外す、請求項1に記載の製造装置。
- 前記張力支持部材を成型部から取り外し貼着部に移送する移送部をさらに具える、請求項1に記載の製造装置。
- 前記貼着部は、軸線が互いに平行となるように配置された複数のローラーを具える、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造装置。
- 気体不透過性のチューブと、該チューブの外面全体を密着包囲する張力支持層とを具える安全タイヤ用空気のうを製造する方法において、
幅断面の中央部が両端部よりも大径であるリング状の張力支持部材を成型し、
該張力支持部材の中央部の内面側に加硫済のチューブを挿入し、
前記張力支持部材及びチューブをそれらの周方向に回動しつつ、張力支持部材の一方の端部をチューブの外面に沿わせて折り曲げ、チューブの半部を張力支持部材で密着包囲し、
前記張力支持部材の軸線に直交する方向を中心軸として、チューブを挿入した張力支持部材を180度反転し、
前記張力支持部材及びチューブをそれらの周方向に回動しつつ、張力支持部材の他方の端部をチューブの外面に沿わせて折り曲げ、チューブの全部を張力支持部材で密着包囲してなる円管状体を形成し、
この円管状体を加硫成型して空気のうを得ることを特徴とする製造方法。
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JP2005292257A JP4698372B2 (ja) | 2005-10-05 | 2005-10-05 | 安全タイヤ用空気のうを製造する装置及び方法 |
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JP2005178596A (ja) * | 2003-12-19 | 2005-07-07 | Bridgestone Corp | 安全タイヤ用補強空気のう及びその製造方法 |
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