(実施形態1)
以下に、図1〜図4を参照して、本発明の表示装置およびその駆動方法の第1の実施形態を説明する。本実施形態の表示装置は液晶表示装置である。
図1は、本実施形態の液晶表示装置100の模式的な回路図である。図1に示すように、液晶表示装置100は、複数の第1電極112と、複数の画素電極116と、第1電極112と画素電極116との電気的な接続を制御する複数の双方向サイリスタ114と、複数の第2電極122と、表示媒体層(本実施形態では、液晶層)130と、双方向サイリスタ114を非導通状態から導通状態に遷移させる第1駆動回路140と、第2電極122にデータ電圧を印加する第2駆動回路150とを備える。第1電極112と、双方向サイリスタ114、画素電極116、第2電極122および表示媒体層130は、表示部105内に設けられている。液晶表示装置100において、第1駆動回路140は第1電極112に走査電圧を印加する。
双方向サイリスタ114は、固有のターンオン電圧および臨界オフ電圧上昇率を有している。双方向サイリスタ114に印加される電圧が臨界オフ電圧上昇率以上の電圧変化率で変化すると、双方向サイリスタ114は非導通状態から導通状態に遷移する。臨界オフ電圧上昇率は、例えば、測定温度25℃において直線立ち上がり法で測定される。なお、双方向サイリスタは双方向2端子素子であり、ゲート端子を有していない。
双方向サイリスタ114のターンオン電圧は例えば15Vであり、双方向サイリスタ114の臨界オフ電圧上昇率は例えば10V/μsecである。双方向サイリスタ114に印加される電圧の絶対値がターンオン電圧以上である場合、双方向サイリスタ114は非導通状態から導通状態に遷移する。また、双方向サイリスタ114に印加される電圧の変化率が臨界オフ電圧上昇率以上である場合、双方向サイリスタ114は非導通状態から導通状態に遷移する。双方向サイリスタ114が導通状態に遷移すると、第1電極112は双方向サイリスタ114を介して画素電極116と電気的に接続される。
以下に、図2および図3を参照して、液晶表示装置100の表示部105について説明する。
図2に示すように、第1基板110の主面上には複数の第1電極112が設けられており、双方向サイリスタ114は、第1基板110の主面および第1電極112上に配置されている。双方向サイリスタ114を配置した第1基板110上に層間絶縁膜115が設けられている。層間絶縁膜115上には画素電極116が設けられており、画素電極116上には第1配向膜118が設けられている。第2基板120の液晶層130側には第2電極122が設けられており、第2電極122上には第2配向膜124が設けられている。第1基板110の画素電極116と第2基板120の第2電極122とは液晶層130を介して対向しており、液晶層130の厚さを決めるためのスペーサ131が画素電極116と第2電極122との間に配置されている。
図3に示すように、第1電極112および第2電極122は、互いに直交する方向に延びたストライプ状の電極である。画素電極116と第2電極122とが重なる部分に個々の画素が規定され、画素電極116のうちの第2電極122と重なる部分と、第2電極122のうちの画素電極116と重なる部分と、前記二つの部分に挟まれた液晶層130とによって画素容量素子160が形成される。画素容量素子160には所定の電圧が充電される。液晶層130の光透過率は、画素容量素子160に充電された電圧に応じて変化し、これにより、階調表示が行われる。
図2および図3に示すように、双方向サイリスタ114は画素電極116に対してランダムに配置されている。1つの画素電極116と1つの第1電極112との間に複数の双方向サイリスタ114が存在することもあり、画素電極116と第1電極112との電気的な接続に寄与しない双方向サイリスタ114が存在してもよい。なお、双方向サイリスタ114を画素電極116に対してランダムに配置しているので、製造プロセスを簡略化することができる。
ここで再び図1を参照する。液晶表示装置100には、k本(k≧2)の第1電極112およびp本(p≧2)の第2電極122が設けられている。第1駆動回路140は、第1電極112の電圧が所定の時間走査電圧になるように第1電極112に走査信号を供給する。複数の第1電極112のそれぞれに走査電圧を順次印加することにより、1番目の第1電極112からk番目の第1電極112までを順次選択する。第1電極112の電圧が0Vから走査電圧に達するまで第1電極112の電圧変化率は例えば約15V/μsecであり、本明細書において、電圧変化率とは、単位時間当たりの電圧変化量の絶対値を意味する。この電圧変化率は、双方向サイリスタ114の臨界オフ電圧上昇率よりも大きい。なお、走査電圧は約±15Vであり、走査電圧の印加時間は約0.1μsecである。
第2駆動回路150は、第2電極122の電圧が所定の時間データ電圧になるように第2電極122にデータ信号を供給する。第1駆動回路140が複数の第1電極112のうちの1つに走査電圧を印加するのに対応して、第2駆動回路150は複数の第2電極122のそれぞれにデータ電圧を印加する。第2駆動回路150により、第2電極122の電圧は、第1駆動回路140が走査電圧を第1電極112に印加するのに対応して、あるデータ電圧から別のデータ電圧に変化する。本実施形態の液晶表示装置100では、複数の第2電極122のそれぞれの電圧は同じ時間(例えば、第2電極122の電圧の変化を開始してから約1.3μsec後)にデータ電圧に達しており、第2電極122の電圧が変化を開始してからデータ電圧に達するまで第2電極122の電圧変化率は、データ電圧の変化量に応じて変化する。この電圧変化率のうちの最大値は約8V/μsecであり、これは、双方向サイリスタ114の臨界オフ電圧上昇率よりも小さい。この最大値は、データ電圧の変化量がデータ電圧の最大振れ幅に等しいときの電圧変化率である。データ電圧は階調に応じて変化し、データ電圧の範囲は−5Vから+5Vである。第2駆動回路150は、第1駆動回路140が第1電極112に印加する電圧の変化を開始してから所定のオフセット時間(本実施形態では、約1μsec)が経過した後、第2電極122の電圧の変化を開始する。
図4は、本実施形態の液晶表示装置100の駆動方法を説明するための走査信号およびデータ信号の波形図である。図4には、例示としてn本目および(n+1)本目の第1電極112の走査信号ならびにm本目および(m+1)本目の第2電極122のデータ信号の波形図を示している。以下に、図1および図4を参照して、本実施形態の液晶表示装置100の駆動方法を説明する。
第1駆動回路140は、n本目の第1電極112(以下、「第1電極112n」と示す場合がある)の電圧を0Vから約−15Vの走査電圧まで約15V/μsecの電圧変化率で変化させ、約0.1μsec間、約−15Vの走査電圧を印加する。この電圧変化率は双方向サイリスタ114の臨界オフ電圧上昇率よりも大きいので、第1電極112nに接続されたすべての双方向サイリスタ114(以下、「双方向サイリスタ114n」と示す場合がある)は、第1電極112nの電圧の変化によって非導通状態から導通状態に遷移する。その後、第1駆動回路140は、第1電極112nの電圧を0Vにする。
第1駆動回路140が第1電極112nの電圧の変化を開始してから所定のオフセット時間(約1μsec)が経過した後、第2駆動回路150は第2電極122の電圧の変化を開始する。第2駆動回路150によって複数の第2電極122に印加されるデータ電圧は、−5Vから0Vの範囲内で階調に応じて異なっている。データ電圧は、双方向サイリスタ114を介して保持電流を流すために必要な電圧に、双方向サイリスタ114nに接続された画素容量素子160(以下、「画素容量素子160n」と示す場合がある)に印加すべき電圧(階調に応じた電圧)を加えた電圧であることが好ましい。第2電極122の電圧がデータ電圧に達するまで第2電極122の電圧は、約8V/μsec以下の電圧変化率で変化する。本実施形態では、第2駆動回路150によって印加されるデータ電圧の極性は、第1駆動回路140によって印加される走査電圧の極性と同じであり、双方向サイリスタ114に印加される電圧の絶対値はターンオン電圧よりも小さい。また、第2駆動回路150は、第2電極122の電圧の変化を、1/(60×k)sec毎に開始する。
双方向サイリスタ114nが導通状態に遷移すると、双方向サイリスタ114nを介して電流が流れ、第2電極122に印加されたデータ電圧が画素容量素子160nに充電される。画素容量素子160nへの充電が十分行われると、画素容量素子160nに接続されている双方向サイリスタ114nを流れる電流が小さくなる。双方向サイリスタ114nを流れる電流がある電流(保持電流)よりも少なくなると、双方向サイリスタ114nは導通状態から非導通状態に遷移する。これにより、第1電極112nと第1電極116とが電気的に切断され、画素容量素子160nに充電されたデータ電圧が保持される。また、双方向サイリスタ114nが非導通状態に遷移するので、その後、第2電極122の電圧が変化しても、画素容量素子160nに充電されたデータ電圧は変化しない。
続いて、第1電極112nの電圧の変化を開始してから1/(60×k)sec後に、(n+1)本目の第1電極112(以下、「第1電極112(n+1)」と示す場合がある)についても上記と同様の動作を行う。具体的には、第1駆動回路140は、第1電極112(n+1)の電圧を0Vから約+15Vの走査電圧まで約15V/μsecの電圧変化率で変化させ、約0.1μsec間、約+15Vの走査電圧を印加する。この電圧変化率は、双方向サイリスタ114の臨界オフ電圧上昇率よりも大きいので、第1電極112(n+1)に接続されたすべての双方向サイリスタ114(以下、「双方向サイリスタ114(n+1)」と示す場合がある)は、第1電極112(n+1)の電圧の変化によって非導通状態から導通状態に遷移する。その後、第1駆動回路140は、第1電極112(n+1)の電圧を0Vにする。
第1駆動回路140が第1電極112(n+1)の電圧の変化を開始してから所定のオフセット時間(約1μsec)が経過した後、第2駆動回路150は第2電極122の電圧の変化を開始する。第2駆動回路150によって複数の第2電極122に印加されるデータ電圧は、0Vから+5Vの範囲内で階調に応じて異なっている。第2電極122の電圧がデータ電圧に達するまで第2電極122の電圧は、約8V/μsec以下の電圧変化率で変化する。第2駆動回路150によって印加されるデータ電圧の極性は、第1駆動回路140によって印加される走査電圧の極性と同じである。
双方向サイリスタ114(n+1)が導通状態に遷移すると、双方向サイリスタ114(n+1)を介して電流が流れ、第2電極122に印加されたデータ電圧が画素容量素子160(n+1)に充電される。画素容量素子160(n+1)への充電が十分行われると、画素容量素子160(n+1)に接続されている双方向サイリスタ114(n+1)を流れる電流が小さくなる。双方向サイリスタ114(n+1)を流れる電流が保持電流よりも少なくなると、双方向サイリスタ114(n+1)は導通状態から非導通状態に遷移する。これにより、画素容量素子160(n+1)に充電されたデータ電圧が保持される。また、双方向サイリスタ114(n+1)が非導通状態に遷移するので、その後、第2電極122の電圧が変化しても、画素容量素子160(n+1)に充電されたデータ電圧は変化しない。
この動作を第1電極112のすべてに対して行い、1画面(1フィールドまたは1フレーム)の表示を行う。ここでは、典型的な例として、1画面を構成するために必要な時間を1/60secとしている。その後、次の画面を表示するために、第1電極112のすべてについて同様の動作を行う。ここでは、画素容量素子160nおよび画素容量素子160(n+1)に充電を行う場合について説明する。
第1駆動回路140は、第1電極112nの電圧を0Vから約+15Vの走査電圧まで約15V/μsecの電圧変化率で変化させ、約0.1μsec間、約+15Vの走査電圧を印加する。この電圧変化率は双方向サイリスタ114の臨界オフ電圧上昇率よりも大きいので、双方向サイリスタ114nは、第1電極112nの電圧の変化によって非導通状態から導通状態に遷移する。その後、第1駆動回路140は、第1電極112nの電圧を0Vにする。
第1駆動回路140が第1電極112nの電圧の変化を開始してから所定のオフセット時間(約1μsec)が経過した後、第2駆動回路150は第2電極122の電圧の変化を開始する。第2駆動回路150によって複数の第2電極122に印加されるデータ電圧は、0Vから+5Vの範囲内で階調に応じて異なっている。第2電極122の電圧がデータ電圧に達するまで第2電極122の電圧は、約8V/μsec以下の電圧変化率で変化する。本実施形態では、第2駆動回路150によって第2電極122に印加されるデータ電圧の極性は、第1駆動回路140によって第1電極112に印加される走査電圧の極性と同じである。
双方向サイリスタ114nが導通状態に遷移すると、双方向サイリスタ114nを介して電流が流れ、第2電極122に印加されたデータ電圧が画素容量素子160nに充電される。画素容量素子160nへの充電が十分行われると、画素容量素子160nに接続されている双方向サイリスタ114nを流れる電流が小さくなる。双方向サイリスタ114nを流れる電流が保持電流よりも少なくなると、双方向サイリスタ114nは導通状態から非導通状態に遷移する。これにより、画素容量素子160nに充電されたデータ電圧が保持される。また、双方向サイリスタ114nが非導通状態に遷移するので、その後、第2電極122の電圧が変化しても、画素容量素子160nに充電されたデータ電圧は変化しない。
続いて、第1電極112nの電圧の変化を開始してから1/(60×k)sec後に、第1電極112(n+1)についても上記と同様の動作を行う。具体的には、第1駆動回路140は、第1電極112(n+1)の電圧を0Vから約−15Vの走査電圧まで約15V/μsecの電圧変化率で変化させ、約0.1μsec間、約−15Vの走査電圧を印加する。この電圧変化率は、双方向サイリスタ114の臨界オフ電圧上昇率よりも大きいので、双方向サイリスタ114(n+1)は、第1電極112(n+1)の電圧の変化によって非導通状態から導通状態に遷移する。ここで、データ電圧の極性は、前の画面を表示する際に第1電極112(n+1)に印加したデータ電圧の極性と反対である。その後、第1駆動回路140は、第1電極112(n+1)の電圧を0Vにする。
第1駆動回路140が第1電極112(n+1)の電圧の変化を開始してから所定のオフセット時間(約1μsec)が経過した後、第2駆動回路150は第2電極122の電圧の変化を開始する。第2駆動回路150によって複数の第2電極122に印加されるデータ電圧は、−5Vから0Vの範囲内で階調に応じて異なっている。第2電極122の電圧がデータ電圧に達するまで第2電極122の電圧は、約8V/μsec以下の電圧変化率で変化する。第2駆動回路150によって印加されるデータ電圧の極性は、第1駆動回路140によって第1電極112(n+1)に印加される走査電圧の極性と同じである。
双方向サイリスタ114(n+1)が導通状態に遷移すると、双方向サイリスタ114(n+1)を介して電流が流れ、第2電極122に印加されたデータ電圧が画素容量素子160(n+1)に充電される。画素容量素子160(n+1)への充電が十分行われると、画素容量素子160(n+1)に接続されている双方向サイリスタ114(n+1)を流れる電流が小さくなる。双方向サイリスタ114(n+1)を流れる電流が保持電流よりも少なくなると、双方向サイリスタ114(n+1)は導通状態から非導通状態に遷移する。これにより、画素容量素子160(n+1)に充電されたデータ電圧が保持される。また、双方向サイリスタ114(n+1)が非導通状態に遷移するので、その後、第2電極122の電圧が変化しても、画素容量素子160(n+1)に充電されたデータ電圧は変化しない。
この動作を第1電極112のすべてに対して行い、1画面(1フィールドまたは1フレーム)の表示を行う。上述した動作を複数の画面について繰り返すことによって液晶表示装置100は連続した画面を表示する。
以上のように、本実施形態の液晶表示装置100によれば、第2電極122の電圧が変化を開始してからデータ電圧に達するまで第2電極122の電圧変化率が双方向サイリスタ114の臨界オフ電圧上昇率よりも小さいので、第2電極122の電圧の変化によって双方向サイリスタ114が誤って導通状態に遷移することを防ぐことができ、それにより、液晶表示装置100は表示を適切に行うことができる。
また、本実施形態の液晶表示装置100によれば、第1電極112の電圧が変化を開始してから走査電圧に達するまで第1電極112の電圧変化率が双方向サイリスタ114の臨界オフ電圧上昇率以上であるので、走査信号が配線抵抗および寄生容量によって遅延することなく双方向サイリスタ114をほぼ同時に導通状態にすることができ、それにより、画素容量素子160に適切に充電が行われ、液晶表示装置100の表示品位を良好にすることができる。
また、本実施形態の液晶表示装置100によれば、第2駆動回路150が第2電極122の電圧の変化を開始するよりもオフセット時間だけ前に第1駆動回路140が第1電極112の電圧の変化を開始するので、第1電極112に供給される走査信号が第2電極122に供給されるデータ信号に対して遅延することを防ぐことができ、結果として、液晶表示装置100の表示品位の低下を防ぐことができる。
ここで再び図2および図3を参照して、液晶表示装置100についてさらに説明する。
第1基板110は、例えば、ガラス基板、石英基板やプラスチック基板など透明で、絶縁性の高い基板である。第1電極112は、例えば、ITOやSnO2などの透明導電材料やAl、Mo、Taなどの金属材料を用いてストライプ状に形成される。第1電極112の厚さは、用いる材料および第1電極112に要求される導電性に応じて適宜設定されるが、約100nm以上(例えば300nm)である。
双方向サイリスタ114は、例えば直径が約11μmの円柱状で、複数の第1電極112同士の間隔は約11μmを超えるように形成されている。これにより、双方向サイリスタ114をランダムに配置しても、隣接する第1電極112が短絡することが防止される。
双方向サイリスタ114を配置した第1基板110上に層間絶縁膜115が形成されている。双方向サイリスタ114の高さは約3μmで、層間絶縁膜115の厚さはこれよりも大きく形成されている。
液晶表示装置100が透過光を利用して表示を行う場合、ITO等の透明導電膜を例えば100〜200nmの厚さに成膜し、フォトリソグラフィプロセスによりパターニング行い、例えば塩化鉄および塩酸を含む溶液によりエッチングを行い、画素電極116が形成される。あるいは、液晶表示装置100が反射光を利用して表示を行う場合、Al等の金属膜、Al/Mo等の積層金属膜を成膜する。例えばAlの場合、厚さは約100nm〜200nmであり、積層金属膜の場合、Alの厚さは約100nm〜150nm、Moの厚さは約50nm〜100nmである。その後、フォトリソグラフィプロセスによりパターニングを行い、シュウ酸等を含む溶液によりエッチングを行い、画素電極116が形成される。必要に応じて、第1配向膜118は、例えばポリイミド膜をスクリーン印刷により成膜して、所定の方向にラビングを行うことによって形成される。
第2基板120も、第1基板110と同様、例えば、ガラス基板、石英基板やプラスチック基板などの透明基板である。但し、液晶表示装置100を反射型液晶表示装置とする場合には、第1基板110および第2基板120の内の観察者側に配置される基板が少なくとも透光性を有していればよい。また、第1基板110および第2基板120はフィルム状であってもよい。
第2基板120の液晶層130側に設けられている第2電極122は、ストライプ状の透明電極である。第2電極122はITOやSnO2等から形成されており、約100nm以上の厚さを有している。第2電極122の延びる方向は、第1電極112の延びる方向に対して直交し、それぞれの第2電極122が画素電極116と重なり、重なった部分が個々の画素を構成する。第2電極122上には第2配向膜124が必要に応じて形成されている。第2配向膜124のラビング方向と第1配向膜118のラビング方向と所定の角度(例えばTNモードの場合、約90°)を成すように、第1基板110と第2基板120が配置されている。
画素電極116と第2電極122とが互いに対向するように、スペーサ131を介して、第1基板110と第2基板120とが貼り合わせられる。スペーサ131の直径を調整することによって、液晶層130の厚さが決められる。液晶層130の厚さは、例えば、約3.5μm〜5μmである。第1基板110と第2基板120との間に液晶材料を注入、封止することよって液晶層130が形成される。このようにして液晶表示装置100が形成される。
(実施形態2)
以下に、本発明による表示装置およびその駆動方法の第2の実施形態を説明する。本実施形態の表示装置は、実施形態1において図1〜図3を参照して説明したのと同様の構成を有する液晶表示装置100であり、冗長さを避けるために、重複する説明を省略する。
双方向サイリスタ114の臨界オフ電圧上昇率は約10V/μsecであり、双方向サイリスタ114のターンオン電圧は約15Vである。第1電極112の電圧が変化を開始してから走査電圧に達するまで第1電極112の電圧変化率は、約15V/μsecであり、双方向サイリスタ114の臨界オフ電圧上昇率よりも大きい。走査電圧は約±15Vであり、走査電圧の印加時間は約0.1μsecである。第2電極122の電圧が変化を開始してからデータ電圧に達するまで第2電極122の電圧変化率の最大値は約8V/μsecであり、双方向サイリスタ114の臨界オフ電圧上昇率よりも小さい。データ電圧は階調に応じて−5Vから+5Vの範囲内で変化する。第2駆動回路150は、第1駆動回路140が第1電極112の電圧の変化を開始してから所定のオフセット時間(本実施形態では、約1μsec)が経過した後、第2電極122の電圧の変化を開始する。
図5は、本実施形態の液晶表示装置100の駆動方法を説明するための走査信号およびデータ信号の波形図である。図5には、例示としてn本目および(n+1)本目の第1電極112の走査信号ならびにm本目および(m+1)本目の第2電極122のデータ信号の波形図を示している。以下に、図5を参照して、本実施形態の駆動方法を説明する。
第1駆動回路140は、第1電極112nの電圧を0Vから約+15Vの走査電圧まで約15V/μsecの電圧変化率で変化させ、約0.1μsec間、約+15Vの走査電圧を印加する。この電圧変化率は双方向サイリスタ114の臨界オフ電圧上昇率よりも大きいので、双方向サイリスタ114nは、第1電極112nの電圧の変化によって非導通状態から導通状態に遷移する。その後、第1駆動回路140は、第1電極112nの電圧を0Vにする。
第1駆動回路140が第1電極112nの電圧の変化を開始してから所定のオフセット時間(約1μsec)が経過した後、第2駆動回路150は第2電極122の電圧の変化を開始する。第2駆動回路150によって複数の第2電極122に印加されるデータ電圧は、−5Vから+5Vの範囲内で階調に応じて異なっている。データ電圧は、双方向サイリスタ114を介して保持電流を流すために必要な電圧に、画素容量素子160nに印加すべき電圧(階調に応じた電圧)を加えた電圧とすることが好ましい。第2電極122の電圧がデータ電圧に達するまで第2電極122の電圧は、約8V/μsec以下の電圧変化率で変化する。第2駆動回路150によってm番目の第2電極122(以下、「第2電極122m」と示す場合がある)に印加されるデータ電圧の極性は、第2駆動回路150によって(m+1)番目の第2電極122(以下、「第2電極122(m+1)」と示す場合がある)に印加されるデータ電圧の極性と反対である。
双方向サイリスタ114nが導通状態に遷移すると、双方向サイリスタ114nを介して電流が流れ、第2電極122に印加されたデータ電圧が画素容量素子160nに充電される。画素容量素子160nへの充電が十分行われると、画素容量素子160nに接続されている双方向サイリスタ114nを流れる電流が小さくなる。双方向サイリスタ114nを流れる電流が保持電流よりも少なくなると、双方向サイリスタ114nは導通状態から非導通状態に遷移する。これにより、画素容量素子160nに充電されたデータ電圧が保持される。また、双方向サイリスタ114nが非導通状態に遷移するので、その後、第2電極122の電圧が変化しても、画素容量素子160nに充電されたデータ電圧は変化しない。
続いて、第1電極112nの電圧の変化を開始してから1/(60×k)sec後に、第1電極112(n+1)についても上記と同様の動作を行う。具体的には、第1駆動回路140は、第1電極112(n+1)の電圧を0Vから約+15Vの走査電圧まで約15V/μsecの電圧変化率で変化させ、約0.1μsec間、約+15Vの走査電圧を印加する。第1電極112(n+1)に印加される走査電圧の極性は、第1電極112nに印加した走査電圧の極性と同じである。この電圧変化率は双方向サイリスタ114の臨界オフ電圧上昇率よりも大きいので、双方向サイリスタ114(n+1)は、第1電極112(n+1)の電圧の変化によって非導通状態から導通状態に遷移する。その後、第1駆動回路140は、第1電極112(n+1)の電圧を0Vにする。
第1駆動回路140が第1電極112(n+1)の電圧の変化を開始してから所定のオフセット時間(約1μsec)が経過した後、第2駆動回路150は第2電極122の電圧の変化を開始する。第2駆動回路150によって複数の第2電極122に印加されるデータ電圧は、−5Vから+5Vの範囲内で階調に応じて異なっている。第2電極122の電圧がデータ電圧に達するまで第2電極122の電圧は、約8V/μsec以下の電圧変化率で変化する。第2駆動回路150によって第2電極122mに印加されるデータ電圧の極性は、第2駆動回路150によって第2電極122(m+1)に印加されるデータ電圧の極性と反対である。また、画素容量素子160(n+1)に充電するために第2電極122mに印加されるデータ電圧の極性は、画素容量素子160nに充電するために第2電極122mに印加したデータ電圧の極性と反対である。第2駆動回路150は、第2電極122の電圧の変化を、1/(60×k)sec毎に開始する。
双方向サイリスタ114(n+1)が導通状態に遷移すると、双方向サイリスタ114(n+1)を介して電流が流れ、第2電極122に印加されたデータ電圧が画素容量素子160(n+1)に充電される。画素容量素子160(n+1)への充電が十分行われると、画素容量素子160(n+1)に接続されている双方向サイリスタ114(n+1)を流れる電流が小さくなる。双方向サイリスタ114(n+1)を流れる電流が保持電流よりも少なくなると、双方向サイリスタ114(n+1)は導通状態から非導通状態に遷移する。これにより、画素容量素子160(n+1)に充電されたデータ電圧が保持される。また、双方向サイリスタ114(n+1)が非導通状態に遷移するので、その後、第2電極122の電圧が変化しても、画素容量素子160(n+1)に充電されたデータ電圧は変化しない。
この動作を第1電極112のすべてに対して行い、1画面(1フィールドまたは1フレーム)の表示を行う。ここでは、典型的な例として、1画面を構成するために必要な時間を1/60secとしている。その後、次の画面を表示するために、第1電極112のすべてについて同様の動作を行う。ここでは、画素容量素子160nおよび画素容量素子160(n+1)に充電を行う場合について説明する。
第1駆動回路140は、第1電極112nの電圧を0Vから約+15Vの走査電圧まで約15V/μsecの電圧変化率で変化させ、約0.1μsec間、約+15Vの走査電圧を印加する。この電圧変化率は双方向サイリスタ114の臨界オフ電圧上昇率よりも大きいので、双方向サイリスタ114nは、第1電極112nの電圧の変化によって非導通状態から導通状態に遷移する。その後、第1駆動回路140は、第1電極112nの電圧を0Vにする。
第1駆動回路140が第1電極112nの電圧の変化を開始してから所定のオフセット時間(約1μsec)が経過した後、第2駆動回路150は第2電極122の電圧の変化を開始する。第2駆動回路150によって複数の第2電極122に印加されるデータ電圧は、−5Vから+5Vの範囲内で階調に応じて異なっている。第2電極122の電圧がデータ電圧に達するまで第2電極122の電圧は、約8V/μsec以下の電圧変化率で変化する。本実施形態では、第2駆動回路150によって第2電極122mに印加されるデータ電圧の極性は、第2駆動回路150によって第2電極122(m+1)に印加されるデータ電圧の極性と反対である。
双方向サイリスタ114nが導通状態に遷移すると、双方向サイリスタ114nを介して電流が流れ、第2電極122に印加されたデータ電圧が画素容量素子160nに充電される。画素容量素子160nへの充電が十分行われると、画素容量素子160nに接続されている双方向サイリスタ114nを流れる電流が小さくなる。双方向サイリスタ114nを流れる電流が保持電流よりも少なくなると、双方向サイリスタ114nは導通状態から非導通状態に遷移する。これにより、画素容量素子160nに充電されたデータ電圧が保持される。また、双方向サイリスタ114nが非導通状態に遷移するので、その後、第2電極122の電圧が変化しても、画素容量素子160nに充電されたデータ電圧は変化しない。
続いて、第1電極112nの電圧の変化を開始してから1/(60×k)sec後に、第1電極112(n+1)についても上記と同様の動作を行う。具体的には、第1駆動回路140は、第1電極112(n+1)の電圧を0Vから約+15Vの走査電圧まで約15V/μsecの電圧変化率で変化させ、約0.1μsec間、約+15Vの走査電圧を印加する。この電圧変化率は双方向サイリスタ114の臨界オフ電圧上昇率よりも大きいので、双方向サイリスタ114(n+1)は、第1電極112(n+1)の電圧の変化によって非導通状態から導通状態に遷移する。その後、第1駆動回路140は、第1電極112(n+1)の電圧を0Vにする。
第1駆動回路140が第1電極112(n+1)の電圧の変化を開始してから所定のオフセット時間(約1μsec)が経過した後、第2駆動回路150は第2電極122の電圧の変化を開始する。第2駆動回路150によって複数の第2電極122に印加されるデータ電圧は、−5Vから+5Vの範囲内で階調に応じて異なっている。第2電極122の電圧がデータ電圧に達するまで第2電極122の電圧は、約8V/μsec以下の電圧変化率で変化する。第2駆動回路150によって印加される第2電極122mのデータ電圧の極性は、第2駆動回路150によって第2電極122(m+1)に印加されるデータ電圧の極性と反対である。
双方向サイリスタ114(n+1)が導通状態に遷移すると、双方向サイリスタ114(n+1)を介して電流が流れ、第2電極122に印加されたデータ電圧が画素容量素子160(n+1)に充電される。画素容量素子160(n+1)への充電が十分行われると、画素容量素子160(n+1)に接続されている双方向サイリスタ114(n+1)を流れる電流が小さくなる。双方向サイリスタ114(n+1)を流れる電流が保持電流よりも少なくなると、双方向サイリスタ114(n+1)は導通状態から非導通状態に遷移する。これにより、画素容量素子160(n+1)に充電されたデータ電圧が保持される。また、双方向サイリスタ114(n+1)が非導通状態に遷移するので、その後、第2電極122の電圧が変化しても、画素容量素子160(n+1)に充電されたデータ電圧は変化しない。
この動作を第1電極112のすべてに対して行い、1画面(1フィールドまたは1フレーム)の表示を行う。上述した動作を複数の画面について繰り返すことによって液晶表示装置100は連続した画面を表示する。
以上のように、本実施形態の液晶表示装置100によれば、第2電極122の電圧が変化を開始してからデータ電圧に達するまで第2電極122の電圧変化率が双方向サイリスタ114の臨界オフ電圧上昇率よりも小さいので、第2電極122の電圧の変化によって双方向サイリスタ114が誤って導通状態に遷移することを防ぐことができ、それにより、液晶表示装置100は表示を適切に行うことができる。
また、本実施形態の液晶表示装置100によれば、第1電極112の電圧が変化を開始してから走査電圧に達するまで第1電極112の電圧変化率が双方向サイリスタ114の臨界オフ電圧上昇率以上であるので、走査信号が配線抵抗および寄生容量によって遅延することなく双方向サイリスタ114をほぼ同時に導通状態にすることができ、それにより、画素容量素子160に適切に充電が行われ、液晶表示装置100の表示品位を良好にすることができる。
また、本実施形態の液晶表示装置100によれば、第2駆動回路150が第2電極122の電圧の変化を開始するよりもオフセット時間だけ前に第1駆動回路140が第1電極112の変化を開始するので、第1電極112に供給される走査信号が第2電極122に供給されるデータ信号に対して遅延することを防ぐことができ、結果として、液晶表示装置100の表示品位の低下を防ぐことができる。
さらに、本実施形態の液晶表示装置100では、隣接する第2電極122に極性が異なるデータ電圧を印加し、いわゆるドット反転駆動を行うので、高品質な画像を得ることができる。
さらに、本実施形態の液晶表示装置100では、画素容量素子160nに充電する電圧の極性を1画面毎に反転しているので、画素容量素子160nに同じ極性の電圧を印加し続けるときに生じる焼付けを防ぐことができる。
さらに、本実施形態の液晶表示装置100によれば、第1電極112に同じ極性を有する走査電圧を印加するので、走査信号の最大振幅を減少することができ、走査信号を供給する第1駆動回路140の耐電圧を下げることができる。これにより、液晶表示装置100のコストを低減することができる。
ただし、第2電極122の電圧の絶対値がある値以下(例えば、第2電極122の電圧の絶対値が約1.9V以下)である場合、実験上、画素容量素子160に印加される電圧が不安定になることがあるため、ある値よりも絶対値の大きなしきい値電圧を有する画素容量素子を使用して、ある値よりも絶対値の大きな電圧を第2電極122に印加することが好ましい。
第2電極122の電圧の絶対値がある値以下である場合に画素容量素子160に印加される電圧が不安定になる理由は、以下のように推測される。ある画素容量素子160ではデータ電圧の極性が走査電圧の極性と反対であり、双方向サイリスタ114に印加される電圧の極性が反転する。第2電極122に印加される電圧の絶対値が小さいと、双方向サイリスタ114に印加される電圧が小さく、双方向サイリスタ114を流れる電流の量が小さくなり、結果として、画素容量素子160への充電が不十分な状態で、走査電圧によって導通状態になった双方向サイリスタ114が非導通状態に移行してしまうことになる。
ここで、双方向サイリスタ114に印加される電圧の極性の反転により、双方向サイリスタ114が非導通状態になるためにはある程度の時間が必要と推測されるが、第2電極122の電圧の絶対値が大きいと、双方向サイリスタ114が非導通状態に移行する前に導通状態を維持するのに十分な電圧が双方向サイリスタ114に印加され、結果として、双方向サイリスタ114を流れる電流の量が大きくなり、画素容量素子160への充電を十分行うことができる。
なお、画素容量素子160のしきい値電圧とは、液晶層130の液晶分子が動き始め、液晶層130の透過率に変化が生じ始めるときの電圧である。画素容量素子160のしきい値電圧は、液晶分子の分子量、分子構造、および、液晶層130に隣接する配向膜の厚さなど種々の条件を変更することにより、制御することができる。
(実施形態3)
上述した実施形態1〜2では、表示装置の一つの形態として液晶表示装置について説明したが、本発明はこれに限定されない。
以下に、本発明の表示装置および表示装置の駆動方法の第3の実施形態を説明する。本実施形態の表示装置は、有機EL表示装置である。本実施形態の有機EL表示装置100Aは、表示媒体層130が異なる点を除いて、図1〜図3を参照して説明した液晶表示装置100と同様の構成を有している。冗長さを避けるために、重複する説明を省略する。
図6は、有機EL表示装置100Aにおける表示部105の模式的な断面図である。有機EL表示装置100Aは、表示媒体層として発光層(有機EL層)130を有している。あるいは、有機EL表示装置100Aは、発光層130に加えて正孔輸送層および/または電子輸送層をさらに含んでもよく、公知の有機EL素子の構成を広く採用できる。画素電極116と第2電極122との間に設けられた発光層130に電流を供給することによって表示が行われる。なお、発光層130を保護するための保護層125が第1基板110のほぼ全面を覆うように形成されている。また、保護層125に代わって第2基板(不図示)を配置し、第1基板110と第2基板とをシール剤などを用いて貼り合わせて、発光層130を保護してもよい。
発光層130において生成された光は、第1基板110側から出射してもよいし、保護層125側から出射してもよい。第1基板110側から光を出射する場合、第1基板110、第1電極112および画素電極116を透明な材料で構成し、第2電極122を反射電極とする。一方、保護層125側から光を出射する場合、画素電極116を反射電極とし、第2電極122を透明電極とする。第1電極112は透明導電材料で形成してもよいし、金属材料で形成してもよい。
本実施形態において、双方向サイリスタ114の臨界オフ電圧上昇率は10V/μsecであり、また、第1電極112が変化を開始してから走査電圧に達するまで第1電極112の電圧変化率は、約15V/μsecであり、双方向サイリスタ114の臨界オフ電圧上昇率よりも大きい。走査電圧の印加時間は約0.1μsec程度である。また、第2電極122が変化を開始してからデータ電圧に達するまで第2電極122の電圧変化率の最大値は、約8V/μsecであり、双方向サイリスタ114の臨界オフ電圧上昇率よりも小さい。複数の第2電極122に印加されるデータ電圧は階調に応じて異なっている。第2駆動回路150は、第1駆動回路140が第1電極112の電圧の変化を開始してから所定のオフセット時間(本実施形態では、約1μsec)が経過した後、第2電極122の電圧の変化を開始する。
以下に、図7を参照して、有機EL表示装置100Aを駆動するための駆動方法を説明する。図7には、例示としてn本目および(n+1)本目の第1電極112の走査信号ならびにm本目および(m+1)本目の第2電極122のデータ信号の波形図を示している。
ここでは、第2電極122側に銅フタロシアニン等の正孔注入層が接続され、画素電極116側にAlq3等の発光材料が接続されており、双方向サイリスタ114のターンオン電圧を−15Vとし、発光層130に印加するデータ電圧を0〜+5Vの範囲内の任意の電圧としている。
第1駆動回路140は、第1電極112nの電圧を、0Vから−15Vまで約15V/μsecの電圧変化率で変化させ、約0.1μsec間、−15Vに保持する。印加時間がこの程度であれば視認上の問題は無い。この電圧変化率は双方向サイリスタ114の臨界オフ電圧上昇率よりも大きいので、双方向サイリスタ114nは、第1電極112の電圧の変化によって非導通状態から導通状態に遷移する。その後、第1駆動回路140は、第1電極112nの電圧を0Vにする。
第1駆動回路140が第1電極112nの電圧の変化を開始してから所定のオフセット時間(約1μsec)が経過した後、第2駆動回路150は第2電極122の電圧の変化を開始する。第2駆動回路150によって複数の第2電極122に印加されるデータ電圧は、0V〜+5Vの範囲内で階調に応じて異なっている。第2電極122の電圧がデータ電圧に達するまで第2電極122の電圧は、約8V/μsec以下の電圧変化率で変化する。第2駆動回路150によって第2電極122mに印加されるデータ電圧の極性は、第2駆動回路150によって第2電極122(m+1)に印加されるデータ電圧の極性と同じである。双方向サイリスタ114nが導通状態に遷移すると、双方向サイリスタ114nに接続された画素電極116nと、これらの画素電極116nのそれぞれに対向する第2電極122との間の発光層130に、第2電極122に印加されたデータ電圧に応じた電流が流れ、発光する。
次に、発光を所望の時間後に停止するために、第1駆動回路140は約+5Vの電圧を第1電極112nに約1〜2μsec間印加することによって、双方向サイリスタ114nを流れる電流が反転もしくは減少し、これにより双方向サイリスタ114nが非導通状態になり、発光が停止する。このとき、電圧変化率は約8V/μsec以下で電圧を変化させる。また、双方向サイリスタ114nが非導通状態に遷移するので、その後、第2電極122の電圧が変化しても、画素電極116nと画素電極116nに対向する第2電極122との間の発光層130は発光しない。第1電極112nに−15Vの電圧が印加されてから+5Vの電圧が印加され終わるまでの時間は例えば1/(60×k)secである。
続いて、第1電極112nの電圧の変化を開始してから1/(60×k)sec後に、第1電極112(n+1)についても上記と同様の動作を行うことにより、画素電極116(n+1)とそれぞれに対向する第2電極122(n+1)との間の発光層130が発光する。
この動作を第1電極112のすべてに対して行い、1画面(1フィールドまたは1フレーム)の表示を行う。ここでは、典型的な例として、1画面を構成するために必要な時間を1/60secとしている。上述した動作を複数の画面について繰り返すことによって有機EL表示装置100Aは連続した画面を表示する。
なお、上述した説明では、第2電極122側に銅フタロシアニン等の正孔注入層が接続され、画素電極116側にAlq3等の発光材料が接続されている場合について説明したが、本実施形態はこれに限定されず、第2電極122にAlq3等の発光材料が接続され、画素電極116に銅フタロシアニン等の正孔注入層が接続されてもよい。なお、この場合には、上記の印加電圧の極性を全て反対の極性とすればよい。
以下に、再び図6を参照して、有機EL表示装置100Aについてさらに詳細に説明する。
画素電極116をITOで形成する場合、画素電極116上に、例えば、銅フタロシアニンを約100〜200nm、α−NPD等の正孔輸送材料を約50nm、Alq3(8−hydroxyquionoline aluminum)等の発光材料を約50nmの厚さで順次積層し、発光層130を形成する。あるいは、画素電極116上にAlq3等の発光材料を約50nm、α−NPD(N、N−Di(naphthalene−1−yl)−N、N’−diphenyl−benzidine)等の正孔輸送材料を約50nm、銅フタロシアニンを100〜200nm順次積層し、発光層130を形成してもよい。
第2電極122がAlq3と接触する場合、厚さ約100〜200nmのAlを電極材料とし、フォトリソグラフィプロセスで第1電極112に直交し、かつ画素電極116と重なるようにストライプ状にパターニングを行い、ストライプ状の第2電極122を形成する。なお、このとき発光層130も第2電極122をマスクとしてエッチングすることによってストライプ状にパターニングしてもよい。
第2電極122が銅フタロシアニンと接触する場合、厚さ約100〜200nmのAuを電極材料とし、フォトリソグラフィプロセスで第1電極112に直交し、かつ画素電極116と重なるようにストライプ状にパターニングを行い、ストライプ状の第2電極122を形成する。このとき発光層130も第2電極122をマスクとしてエッチングすることによってストライプ状にパターニングしてもよい。
あるいは、画素電極116をAlもしくはAl/Moを用いて形成する場合、Al上にAlq3等の発光材料を約50nm、α−NPD等の正孔輸送材料を約50nm、銅フタロシアニンを約100〜200nmの厚さで順次積層し、発光層130を形成する。この場合、第2電極122は厚さ100nm以上のITOによって形成される。フォトリソグラフィプロセスで第1電極112に直交し、かつ画素電極116と重なるようにストライプ状にパターニングを行い、ストライプ状の第2電極122を形成する。このとき発光層130も第2電極122をマスクとしてエッチングすることによってストライプ状にパターニングしてもよい。
保護層125は水分を透過させない性質を有する必要があるため、例えば、CVD法等により、厚さ約3μmの窒化シリコン膜を成長させる。その後、第1電極112および第2電極122へ電気信号を印加するための端子部を露出させる。表示領域外に位置する第1電極112および第2電極122上の保護層125および残存していれば発光層130を除去する。例えば、このとき窒化シリコン膜はバッファードフッ酸等によるウェットエッチングにより除去してもよいし、CF4によるドライエッチングにより除去してもよい。
(実施形態4)
以下に、本発明の表示装置および駆動方法の第4の実施形態を説明する。本実施形態の表示装置は、多孔質シリコンを用いた表示装置である。本実施形態の多孔質シリコンを用いた表示装置100Bは、表示媒体層130が異なる点を除いて、図1〜図3を参照して説明した液晶表示装置100と同様の構成を有している。冗長さを避けるために、重複する説明を省略する。
図8は、多孔質シリコンを用いた表示装置100Bにおける表示部105の模式的な断面図である。多孔質シリコンを用いた表示装置100Bの表示媒体層130は、画素電極116上に形成されたSi層132と、Si層132上に形成された多孔質Si層133と、多孔質Si層133上に形成されたSiNx層134とを有している。画素電極116と第2電極122との間に印加した電圧に応じて、多孔質Si層133が発光することによって表示を行う。本来Siは間接遷移型半導体であり一般に発光しないが、Siの結晶粒径が約10nm以下になると電子とホールが閉じ込められ、直接遷移的な再結合が起こり発光する(例えば、Applied Physics Letters、vol.57、p.1046、1990やApplied Physics Letters、vol.60、p.347、1992参照)。なお、多孔質シリコンを用いた表示装置100Bでは、表示媒体層130を保護するための保護層125が第1基板110のほぼ全面を覆うように形成されている。
なお、Si層132は公知の薄膜堆積技術を用いて堆積した後、例えば、HCl+SF6混合ガスによるドライエッチング法等でパターニングすることによって形成される。多孔質Si層133は例えば、多結晶SiをHF水溶液中で陽極化成(例えば電流密度20mA/cm2)することによって形成される。あるいは、プラズマCVD法によってSiをドット状に堆積することによって形成することもできる。画素電極116は、透明電極であってもよいし、反射電極であってもよい。
本実施形態において、双方向サイリスタ114の臨界オフ電圧上昇率は10V/μsecであり、また、第1電極112の電圧が変化を開始してから走査電圧に達するまで第1電極112の電圧変化率は、約15V/μsecであり、双方向サイリスタ114の臨界オフ電圧上昇率よりも大きい。走査電圧の印加時間は約0.1μsecである。また、第2電極122の電圧が変化を開始してからデータ電圧に達するまで第2電極122の電圧変化率の最大値は、約8V/μsecであり、双方向サイリスタ114の臨界オフ電圧上昇率よりも小さい。複数の第2電極122に印加されるデータ電圧は階調に応じて異なっている。第2駆動回路150は、第1駆動回路140が第1電極112の電圧の変化を開始してから所定のオフセット時間(本実施形態では、約1μsec)が経過した後、第2電極122の電圧の変化を開始する。
多孔質シリコンを用いた表示装置100Bを駆動するための駆動方法は、第1電極112側に負極性の電圧が印加され、第2電極122側に正極性の電圧が印加される点を除いて、図7を参照して説明した有機EL表示装置の駆動方法と同様である。このように電圧を印加することにより、多孔質Si層133を発光させることによって表示を行うことができる。
(実施形態5)
以下に、本発明の表示装置および表示装置の駆動方法の第5の実施形態を説明する。本実施形態の表示装置は、マイクロカプセル型電気泳動表示装置である。以下に、マイクロカプセル型電気泳動表示装置を、単に「電気泳動表示装置」と称する。本実施形態の電気泳動表示装置100Cは、表示媒体層130が異なる点を除いて、図1〜図3を参照して説明した液晶表示装置100と同様の構成を有している。冗長さを避けるために、重複する説明を省略する。
図9は、電気泳動表示装置100Cにおける表示部105の模式的な断面図である。電気泳動表示装置100Cの表示媒体層130は、マイクロカプセル136を有する。マイクロカプセル136は透明な材料で形成されており、マイクロカプセル136内に白色微粒子136aと青色の液体136bとが封入されている。白色微粒子136aは負に帯電されている。このマイクロカプセル136としては、例えば、特開平1−86116号公報に開示されているものを好適に用いることができる。画素電極116と第2電極122との間に電圧を印加し、白色微粒子136aを電気泳動させることによって、白と青からなる画像を表示する。
なお、画素電極116は、透明電極であってもよいし、反射電極であってもよい。また、マイクロカプセル136を有する表示媒体層130は、公知の塗布法などを用いて形成され得る。
本実施形態において、双方向サイリスタ114の臨界オフ電圧上昇率は20V/μsecである。第1電極112に印加される走査電圧は±50Vであり、また、第1電極112の電圧が0Vから走査電圧に達するまで第1電極112の電圧変化率は、約50V/μsecであり、双方向サイリスタ114の臨界オフ電圧上昇率よりも大きい。走査電圧の印加時間は約1〜2μsecである。また、第2電極122の電圧が変化を開始してからデータ電圧に達するまで第2電極122の電圧変化率は、約10V/μsecであり、双方向サイリスタ114の臨界オフ電圧上昇率よりも小さい。複数の第2電極122に印加されるデータ電圧は±20Vである。第2駆動回路150は、第1駆動回路140が第1電極112の電圧の変化を開始してから所定のオフセット時間(本実施形態では、約1μsec)が経過した後、第2電極122の電圧の変化を開始する。
以下に、図10を参照して、電気泳動表示装置100Cの駆動方法を説明する。図10には、例示としてn本目および(n+1)本目の第1電極112の走査信号ならびにm本目および(m+1)本目の第2電極122のデータ信号の波形図を示している。
第1駆動回路140は、第1電極112nの電圧を、0Vから−50Vまで約50V/μsecの電圧変化率で変化させ、約1〜2μsec間、−50Vに保持する。この電圧変化率は双方向サイリスタ114の臨界オフ電圧上昇率よりも大きいので、双方向サイリスタ114nは、第1電極112の電圧の変化によって非導通状態から導通状態に遷移する。その後、第1駆動回路140は、第1電極112nの電圧を0Vにする。
第1駆動回路140が第1電極112nの電圧の変化を開始してから所定のオフセット時間(約1μsec)が経過した後、第2駆動回路150は第2電極122の電圧の変化を開始する。第2駆動回路150は、約10V/μsecの電圧変化率で第2電極122の電圧を0Vから+20Vまで変化させる。その後、第2駆動回路150は、第2電極122の電圧を0Vにする。
双方向サイリスタ114nが導通状態に遷移すると、双方向サイリスタ114nに接続された画素電極116nと、これらの画素電極116nのそれぞれに対向する第2電極122との間のマイクロカプセル136に、第2電極122に印加されたデータ電圧が印加され、白色微粒子136aは第2電極122側に移動する。
画素容量素子160nへの充電が十分行われると、画素容量素子160nに接続されている双方向サイリスタ114nを流れる電流が小さくなる。双方向サイリスタ114nを流れる電流が保持電流よりも少なくなると、双方向サイリスタ114nは導通状態から非導通状態に遷移する。これにより、画素容量素子160nに充電されたデータ電圧が保持される。また、双方向サイリスタ114nが非導通状態に遷移するので、その後、第2電極122の電圧が変化しても、画素容量素子160nに充電されたデータ電圧は変化しない。このようにして、白表示が行われる。
次いで、第1駆動回路140は、第1電極112nの電圧の変化を開始したときから500msec後に、第1電極112nの電圧を、0Vから+50Vまで約50V/μsecの電圧変化率で変化させ、約1〜2μsec間、+50Vに保持する。この電圧変化率は双方向サイリスタ114の臨界オフ電圧上昇率よりも大きいので、双方向サイリスタ114nは、第1電極112の電圧の変化によって非導通状態から導通状態に遷移する。その後、第1駆動回路140は、第1電極112nの電圧を0Vにする。
第1駆動回路140が第1電極112nの電圧の変化を開始してから所定のオフセット時間(約1μsec)が経過した後、第2駆動回路150は第2電極122の電圧の変化を開始する。第2駆動回路150は、約10V/μsecの電圧変化率で第2電極122の電圧を0Vから−20Vまで変化させる。その後、第2駆動回路150は、第2電極122の電圧を0Vにする。
双方向サイリスタ114nが導通状態に遷移すると、双方向サイリスタ114nに接続された画素電極116nと、これらの画素電極116nのそれぞれに対向する第2電極122との間のマイクロカプセル136に、第2電極122に印加されたデータ電圧が印加され、白色微粒子136aは画素電極116側に移動する。
画素容量素子160nへの充電が十分行われると、画素容量素子160nに接続されている双方向サイリスタ114nを流れる電流が小さくなる。双方向サイリスタ114nを流れる電流が保持電流よりも少なくなると、双方向サイリスタ114nは導通状態から非導通状態に遷移する。これにより、画素容量素子160nに充電されたデータ電圧が保持される。また、双方向サイリスタ114nが非導通状態に遷移するので、その後、第2電極122の電圧が変化しても、画素容量素子160nに充電されたデータ電圧は変化しない。このようにして、青表示が行われる。
第1電極112nに電圧を印加してから500×2msec後に(n+1)本目の第1電極112についても上記と同様の操作を行うことにより、画素容量素子160(n+1)にデータ電圧が充電される。これを複数の第1電極112のすべてに行うことで、1画面(1フレームまたはフィールド)の表示を行う。1画面を構成するために必要な時間は(500×2k)msecである。上述した動作を複数の画面について繰り返すことによって電気泳動表示装置100Cは連続した画面を表示する。
(実施形態6)
以下に、本発明の表示装置および表示装置の駆動方法の第6の実施形態を説明する。本実施形態の表示装置は、トナー表示装置である。本実施形態のトナー表示装置100Dは、表示媒体層130が異なる点を除いて、図1〜図3を参照して説明した液晶表示装置100と同様の構成を有している。冗長さを避けるために、重複する説明を省略する。
図11は、トナー表示装置100Dにおける表示部105の模式的な断面図である。トナー表示装置100Dの表示媒体層130は、黒トナー137と白色粒子138とを有している。例えば、黒トナー137にはカーボンブラック顔料を含有した真球状樹脂粒子を用い、白色粒子138には酸化チタン顔料を含有した真球状樹脂粒子を用いる。画素電極116と第2電極122との間に電圧を印加し、白黒の粒子を基板間で移動させることによって、白と黒とからなる画像を表示する。トナー表示装置の基本的な動作原理は、例えば、Japan Hardcopy 2001 論文集に記載されている。
なお、表示媒体層130は、例えば、黒トナー137と白色粒子138とを第1基板110または第2基板120の表面に散布した後、これらの基板を所定の間隙を設けて貼り合わせることによって形成される。画素電極116は、透明電極であってもよいし、反射電極であってもよい。
本実施形態において、双方向サイリスタ114の臨界オフ電圧上昇率は20V/μsecであり、また、第1電極112の電圧が0Vから走査電圧に達するまで第1電極112の電圧変化率は約50V/μsecであり、この電圧変化率は双方向サイリスタ114の臨界オフ電圧上昇率よりも大きい。走査電圧の印加時間は約1〜2μsecである。また、第2電極122の電圧が変化を開始してからデータ電圧に達するまで第2電極122の電圧変化率は、約10V/μsecであり、双方向サイリスタ114の臨界オフ電圧上昇率よりも小さい。第2駆動回路150は、第1駆動回路140が第1電極112の電圧の変化を開始してから所定のオフセット時間(本実施形態では、約1μsec)が経過した後、第2電極122の電圧の変化を開始する。
トナー表示装置100Dを駆動するための駆動方法は、第2電極122にデータ電圧を印加する印加時間が約1msecである点を除いて、図10を参照して説明した電気泳動表示装置の駆動方法と同様である。
(実施形態7)
以下に、本発明の表示装置および表示装置の駆動方法の第7の実施形態を説明する。本実施形態の表示装置は、ツイストボール方式の表示装置である。本実施形態のツイストボール方式の表示装置100Eは、表示媒体層130が異なる点を除いて、図1〜図3を参照して説明した液晶表示装置100と同様の構成を有している。冗長さを避けるために、重複する説明を省略する。
図12は、ツイストボール方式の表示装置100Eにおける表示部105の模式的な断面図である。ツイストボール方式の表示装置100Eは、表示媒体層130として、2色粒子139が樹脂(例えばシリコーン樹脂)中に分散された層を有している。2色粒子139は、例えば、白側が負、黒側が正に帯電し、双極子を形成する。画素電極116と第2電極122との間の電圧に応じて、2色粒子139の配向が変化することによって表示を行う。ツイストボール方式の表示装置の基本的な動作原理は、例えば、米国特許4,126,854号明細書に記載されている。
表示媒体層130は、例えば、2色粒子139を分散した樹脂層を第1基板110または第2基板120の表面に塗布した後、これらの基板を貼り合わせることによって形成される。画素電極116は、透明電極であってもよいし、反射電極であってもよい。
本実施形態において、双方向サイリスタ114の臨界オフ電圧上昇率は100V/μsecであり、また、第1電極112の電圧が0Vから走査電圧に達するまで第1電極112の電圧変化率は、約150V/μsecであり、双方向サイリスタ114の臨界オフ電圧上昇率よりも大きい。走査電圧の印加時間は約1〜2μsecである。また、第2電極122の電圧が変化を開始してからデータ電圧に達するまで第2電極122の電圧変化率は、約50V/μsecであり、双方向サイリスタ114の臨界オフ電圧上昇率よりも小さい。第2駆動回路150は、第1駆動回路140が第1電極112の電圧の変化を開始してから所定のオフセット時間(本実施形態では、約1μsec)が経過した後、第2電極122の電圧の変化を開始する。
ツイストボール方式の表示装置100Eを駆動するための駆動方法は、双方向サイリスタ114の臨界オフ電圧上昇率が100V/μsec、第1電極112の電圧が0Vから走査電圧に達するまで第1電極112の電圧変化率が約150V/μsec、第2電極122の電圧が変化を開始してからデータ電圧に達するまで第2電極122の電圧変化率が約50V/μsec、第1電極112に印加する走査電圧が±250V、第2電極122に印加するデータ電圧が±100V、データ電圧を印加時間が100msecである点を除いて、図10を参照して説明した電気泳動表示装置の駆動方法と同様である。
(実施形態8)
以下に、本発明の表示装置および表示装置の駆動方法の第8の実施形態を説明する。本実施形態の表示装置は、エレクトロクロミック表示装置である。本実施形態のエレクトロクロミック表示装置100Fは、表示媒体層130が異なる点を除いて、図1〜図3を参照して説明した液晶表示装置100と同様の構成を有している。冗長さを避けるために、重複する説明を省略する。
図13は、エレクトロクロミック表示装置100Fにおける表示部105の模式的な断面図である。エレクトロクロミック表示装置100Fの表示媒体層130は、厚さ約0.3μm〜1.0μmのWO3層142と、過塩素酸リチウム等の電解質層143とを有する。画素電極116と第2電極122の間に印加される電圧に応じて、WO3層のエレクトロクロミック反応によって表示を行う。エレクトロクロミック表示装置の基本的な動作原理は、例えば、Philos.Mag.vol.27、p.801(1973)に記載されている。
表示媒体層130は、例えば、画素電極116上にWO3層142を形成した第1基板110と第2基板120とを貼り合わせた後、これらの間隙に電解質を注入することによって作製することができる。画素電極116は、透明電極であってもよいし、反射電極であってもよい。
本実施形態において、双方向サイリスタ114の臨界オフ電圧上昇率は10V/μsecであり、また、第1電極112の電圧が0Vから走査電圧に達するまで第1電極112の電圧変化率は、約15V/μsecであり、双方向サイリスタ114の臨界オフ電圧上昇率よりも大きい。走査電圧の印加時間は約1〜2μsecである。また、第2電極122の電圧が変化を開始してからデータ電圧に達するまで第2電極122の電圧変化率は、約4V/μsecであり、双方向サイリスタ114の臨界オフ電圧上昇率よりも小さい。第2駆動回路150は、第1駆動回路140が第1電極112の電圧の変化を開始してから所定のオフセット時間(本実施形態では、約1μsec)が経過した後、第2電極122の電圧の変化を開始する。
エレクトロクロミック表示装置100Fを駆動するための駆動方法は、双方向サイリスタ114の臨界オフ電圧上昇率が10V/μsec、第1電極112の電圧が0Vから走査電圧に達するまで第1電極112の電圧変化率が約15V/μsec、第2電極122の電圧が変化を開始してからデータ電圧に達するまで第2電極122の電圧変化率は、約4V/μsec、第1電極112に印加する走査電圧が±15V、第2電極122に印加するデータ電圧が±5V、データ電圧の印加時間が500msecである点を除いて、図10を参照して説明した電気泳動表示装置の駆動方法と同様である。
(実施形態9)
以下に、本発明の表示装置および表示装置の駆動方法の第9の実施形態を説明する。本実施形態の表示装置は、光走査型液晶表示装置100Gである。本実施形態の光走査型液晶表示装置100Gは、導光路149が設けられている点を除いて、図1〜図3を参照して説明した液晶表示装置100と同様の構成を有している。冗長さを避けるために、重複する説明を省略する。
図14は、光走査型液晶表示装置100Gにおける表示部105の模式的な断面図である。液晶表示装置100Gは、第1電極112と平行に設けられた導光路149を有している。導光路149は、第1電極112の幅方向の一端に配置されており、導光路149のコア147を覆うクラッド148の第1電極112の幅方向の他端側に高屈折率部148aを有している。
光走査型の液晶表示装置100Gでは、第1駆動回路140が走査電圧を発光部(図示せず)に印加すると、発光部によって発せられた光は導光路149を伝搬し、高屈折率部148a側から出射される。この高屈折率部148a側から出射される光が、双方向サイリスタ114の半導体積層構造の側面から入射することによって双方向サイリスタ114が非導通状態から導通状態に遷移する。ここで用いる双方向サイリスタ114の側面は遮光層によって覆われていない。高屈折率部148aは、例えばクラッド148を部分的にイオン交換することによって形成される。画素電極116は、反射電極である。
光走査型の液晶表示装置100Gを例示したが、光を用いたアドレス方法は他の表示装置にも適用することができる。本発明を適用することができる光アドレス表示装置は例えば特開平6−301050号公報に記載されている。
なお、光走査型液晶表示装置100Gでは、第2駆動回路150が第2電極122の電圧を所望のデータ電圧にした後で、第1駆動回路140は双方向サイリスタ114を非導通状態から導通状態に遷移させている。
本実施形態において、双方向サイリスタ114の臨界オフ電圧上昇率は10V/μsecである。第2電極122の電圧が変化を開始してからデータ電圧に達するまで第2電極122の電圧変化率の最大値は、約8V/μsecであり、双方向サイリスタ114の臨界オフ電圧上昇率よりも小さい。複数の第2電極122に印加されるデータ電圧は階調に応じて異なっている。
光走査型の液晶表示装置100Gを駆動するための駆動方法では、上述した液晶表示装置100の駆動方法と異なり、第1電極112に走査信号を供給せず、第1電極112の電圧は常に0Vとし、第1電極112に走査信号を供給する代わりに、光ファイバ149に光を導入する。光ファイバ149に導入された光は高屈折率部148aから双方向サイリスタ114に照射され、双方向サイリスタ114が導通状態になる。光によって第1電極112と画素電極116とを電気的に接続すること以外は、実施形態1において図1〜4を参照して説明した液晶表示装置100と同様に駆動される。
なお、上述した実施形態1〜9の同一の表示装置における複数の双方向サイリスタ114の臨界オフ電圧上昇率は同じであることに限定されず、異なっていてもよい。また、同一の表示装置における第2電極122の電圧変化率は同じであることに限定されず、異なっていてもよい。それらが異なる場合であっても、第2電極122の電圧が変化を開始してからデータ電圧に達するまで第2電極122の電圧変化率が、対応する双方向サイリスタ114の臨界オフ電圧上昇率よりも小さければ、第2電極122の電圧の変化によって双方向サイリスタ114が誤って導通状態に遷移することを防ぐことができる。
また、上述した実施形態1〜9において説明した表示装置は、本発明の例示にすぎず、本発明は、任意の表示装置に適用することができる。