JP4694239B2 - ピストン測温装置 - Google Patents
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Description
そこで、電磁誘導法のピストン測温装置への利用を実用化させる試みがなされてきた(たとえば、特許文献1、2)。
電磁誘導法の計測原理を図20、図21を参照して説明する。
送信コイル2aと受信コイル2bをコイル軸方向に間隔をおいて配置し、ピストン1が下死点に達したときに上下方向で送信コイル2aと受信コイル2bの中間位置付近にくるように共振コイル3aを配置し、抵抗測温素子5を共振コイル3aに直列閉回路を形成するように接続する。送信コイル2aに高周波送受信器からの高周波電流を流すと、受信コイル2bおよび共振コイル3aに誘導電流が生じるが、温度によって抵抗測温素子5の電気抵抗が変わり、それによって共振コイル3aの誘導電流も変化する。そのため、受信コイル2bの出力電圧の波高値をオシロスコープ等の電圧測定器により測定することによって、抵抗測温素子5部位の温度を演算することができる。
このように、電磁誘導式のピストン温度測定方法はすでに確立されている。
また、送信コイル2aと受信コイル2bと送信コイル2aおよび受信コイル2bが巻きつけられるフェライトコア2cとを有する固定側モジュール2は、高温およびエンジンの振動を受ける箇所に設置されるため、これらの条件に耐え得るだけの強度が必要である。
さらに、ピストン1の下死点とその付近では、運動側モジュール3の共振コイル3aが固定側モジュール2のフェライトコア2cのまわりに達するが、ピストン1の下死点とその近傍では、両モジュール2、3間のクリアランスを十分かつ正確に確保することで計測精度を向上でき、さらに測温センサの信頼性を向上できる。
したがって、ピストン測温を行うためにピストン測温装置の運動側モジュールと固定側モジュールの構造は重要である。
(1) (a)送信コイルと、受信コイルと、前記送信コイルと前記受信コイルが取付けられるフェライトコアと、該フェライトコアを保持するステーと、を備える固定側モジュールと、
(b)共振コイルを備える運動側モジュールと、
を有し、
前記固定側モジュールのステーは2分割構造であり前記フェライトコアを挟み込んで保持しており、
前記固定側モジュールは、該固定側モジュールの外部に配置される外部用配線と前記送信コイルおよび前記受信コイルとの間に設けられる中継要素を備えており、
前記中継要素は前記2分割されたステーの間に配置されている、
ピストン測温センサを有するピストン測温装置。
(2) 前記固定側モジュールは、前記中継要素と前記送信コイルおよび前記受信コイルとの間に設けられるコイル配線と、前記フェライトコアの周りに設けられ前記コイル配線を保護する保護部材と、を備える、(1)記載のピストン測温センサを有するピストン測温装置。
(3) 前記固定側モジュールと前記運動側モジュールとの相対位置を決める位置決め機構を有し、
前記位置決め機構は、位置決めピンと、前記固定側モジュールと前記運動側モジュールの一方に設けられ前記位置決めピンが取付けられるピン取付け用穴と、前記固定側モジュールと前記運動側モジュールの他方に設けられ前記位置決めピンが挿入される挿入穴と、を備える、(1)または(2)記載のピストン測温センサを有するピストン測温装置。
(4) 前記運動側モジュールは、コイルボビン用穴を備えピストンに取り付けられたときに該ピストンにより前記コイルボビン用穴のコイルボビン挿入口が閉塞されるボビンボデーと、前記コイルボビン用穴に配置されるコイルボビンと、を備える、(1)〜(3)の何れか1つに記載のピストン測温センサを有するピストン測温装置。
(5) 前記運動側モジュールは、前記共振コイルが取付けられるコイルボビンと、該コイルボビンを保持するボビンボデーと、を備えており、
前記コイルボビンの外形は横断面非円形とされている(1)〜(4)の何れか1つに記載のピストン測温センサを有するピストン測温装置。
(6) 前記運動側モジュールは、ボビンボデーと、該ボビンボデーに保持されるコイルボビンと、前記ボビンボデーと前記コイルボビンとの間の隙間に設けられる接着剤と、を備える、(1)〜(5)の何れか1つに記載のピストン測温センサを有するピストン測温装置。
(7) 前記運動側モジュールはピストンに取付けられており、
前記運動側モジュールは、端子取付け用穴を備えるコイルボビンと、該コイルボビンの端子取付け用穴に挿入される端子と、前記コイルボビンに取付けられ前記端子と前記ピストンとの間に配置されるボビンカバーと、を備える、(1)〜(6)の何れか1つに記載のピストン測温センサを有するピストン測温装置。
(8) 前記固定側モジュールは内燃機関の運動しない箇所にねじにて取付けられており、
前記固定側モジュールは、前記ステーに形成されており前記ねじが挿通される取付けねじ部と、該ステーの取付けねじ部に設けられるカラーと、を備える、(1)〜(7)の何れか1つに記載のピストン測温センサを有するピストン測温装置。
(9) 前記運動側モジュールはピストンにねじにて取付けられており、
前記運動側モジュールは、前記ねじが挿通される取付けねじ部を備えるボビンボデーと、該ボビンボデーの取付けねじ部に設けられるカラーと、を備える、(1)〜(8)の何れか1つに記載のピストン測温センサを有するピストン測温装置。
また、中継要素が2分割ステーの間に配置されているので、中継要素が設けられていない場合に比べて、配線が断線することを防止できる。
上記(2)のピストン測温装置では、保護部材でコイル配線を保護できる。また、保護部材がフェライトコアの周りに設けられているので、送信コイルおよび受信コイルがフェライトコアからほどけることを防止できる。
上記(3)のピストン測温装置では、固定側モジュールと運動側モジュールの相対的な位置を決めることができる。その結果、固定側モジュールと運動側モジュールが接触してピストン測温装置が破損することを防止できる。
上記(4)のピストン測温装置では、ピストンによってコイルボビン挿入口が閉塞されるコイルボビン用穴にコイルボビンが配置されるので、コイルボビンやコイルボビンに取付けられる部材をピストンとボビンボデーで保護でき、コイルボビンやコイルボビンに取付けられる部材が破損することを防止できる。
上記(5)のピストン測温装置では、コイルボビンがボビンボデーに対して回転することを防止できる。その結果、コイルボビンやコイルボビンに取付けられる部材が破損することを防止できる。
上記(6)のピストン測温装置では、運動側モジュールがボビンボデーとコイルボビンとの間の隙間に設けられる接着剤を備えるので、コイルボビンがボビンボデーに対して振動し運動側モジュールが破損することを防止できる。
上記(7)のピストン測温装置では、運動側モジュールが端子を備え該端子がコイルボビンの端子取付け用穴に挿入されているので、端子がコイルボビンによって保護され端子が破損することを防止できる。また、運動側モジュールがボビンカバーを備えるので、端子が導電性部品であるピストンと接触して回路が短絡することを防止できる。
上記(8)のピストン測温装置では、取付けねじ部にカラーが設けられているので、ステーに変形が生じてもねじの緩みを防止することができる。
上記(9)のピストン測温装置では、取付けねじ部にカラーが設けられているので、ボビンボデーに変形が生じてもねじの緩みを防止することができる。
本発明実施例1と実施例2にわたって共通する部分には、本発明実施例1と実施例2にわたって同じ符号を付してある。
まず、本発明実施例1と実施例2にわたって共通する部分を、たとえば図1〜4、図8、図10〜図14を参照して、説明する。
本発明実施例のピストン測温装置10は、図1に示すように、電磁誘導法を用いて内燃機関のピストン1の温度を測定する装置である。ピストン測温装置10は、ピストン測温センサ10aと、高周波送受信装置52と、記録装置53と、電圧測定器54と、演算装置55と、を有する。
ピストン測温センサ10aは、固定側モジュール20と、運動側モジュール30と、位置決め機構40(図11参照)と、外部用配線50と、抵抗測温素子51と、を有する。
固定側モジュール20は、図2または図4に示すように、送信コイル21と、受信コイル22と、フェライトコア23と、ステー24と、中継要素25と、コイル配線26と、保護部材27と、止めねじ28と、を備える。
フェライトコア23は、上下方向に延びている。フェライトコア23は、少なくとも下端部でステー24に保持されている。フェライトコア23の上端部は、ステー24の上面より上方に位置する。
中継要素25は、フレキシブル基板等からなる。中継要素25は、ステー24に対して固定されている。中継要素25は、図4に示すように、固定側モジュール20の外部に配置される外部用配線50と、送信コイル21および受信コイル22との間に設けられる。中継要素25は薄板形状であり、その厚みは外部用配線50の太さよりも小である。
コイル配線26は、中継要素25と、送信コイル21および受信コイル22との間に設けられる。
止めねじ28は、図2に示すように、ステー24に形成される止めねじ用穴24cにねじ込まれる。止めねじ28は、ステー24の側面から止めねじ用穴24cに挿入され、フェライトコア23の側面をフェライトコア23の両側から押さえつける。
ボビンボデー32は、上方に開放するコイルボビン用穴32cを有する。コイルボビン用穴32cに、コイルボビン33が配置される。コイルボビン用穴32cの形状は、コイルボビン33の外形形状と同じまたはほぼ同じとされており、コイルボビン用穴32cにコイルボビン33が配置されたときに穴32c内でコイルボビン33ががたつかない形状とされている。コイルボビン用穴32の上方の開口(コイルボビン挿入口)32dは、ボビンボデー32がピストン1に取り付けられたときにピストン1によって閉塞される。
コイルボビン33とボビンボデー32との間の隙間には、接着剤33aが充填される。
固定側モジュール20と運動側モジュール30を内燃機関に取付ける際には、両モジュール20、30の相対的な位置関係を、フェライトコア23とコイルボビン33が同軸となるような位置関係にすることが必要である。この同軸度が狂うとフェライトコア23とコイルボビン33とが接触して固定側モジュール20や運動側モジュール30が破損する等の問題が発生するからである。
位置決め機構40は、図10、図11に示すように、位置決めピン41と、固定側モジュール20と運動側モジュール30の一方に設けられ位置決めピン41が取付けられるピン取付け用穴42と、固定側モジュール20と運動側モジュール30の他方に設けられ位置決めピン41が挿入される挿入穴43(図2参照)と、を備える。
両モジュール20、30を内燃機関に取付ける際に、位置決めピン41が挿入穴43に挿入されるような位置に各モジュール20、30を取付けることで、フェライトコア23とコイルボビン33の同軸度を保つ。
(a)固定側モジュール20がコイル配線26を保護する保護部材27を備えるので、保護部材27でコイル配線26を保護できる。また、保護部材27がフェライトコア23の周りに設けられているので、送信コイル21および受信コイル22がフェライトコア23からほどけることを防止できる。
(b)位置決め機構40が設けられているので、固定側モジュール20と運動側モジュール30の相対的な位置を決めることができる。その結果、固定側モジュール20と運動側モジュール30が接触してピストン測温センサ10aが破損することを防止できる。
(d)コイルボビン33の横断面形状は非円形とされており、コイルボビン用穴32cの形状がコイルボビン33の外形形状と同じまたはほぼ同じとされているので、コイルボビン33がボビンボデー32に対して回転することを防止できる。その結果、コイルボビン33やコイルボビン33に取付けられる端子34が破損することを防止できる。
(e)ボビンボデー32とコイルボビン33との間の隙間に接着剤33aが充填されるので、コイルボビン33がボビンボデー32に対して振動し運動側モジュール30が破損することを防止できる。
(f)端子34の共振コイル31への接続側34aは共振コイル31の巻き線箇所のごく近くに位置しており、コイル配線を短くすることで共振コイル31の配線が断線することを防止できる。
(g)運動側モジュール30が端子34を備え端子34がコイルボビン33の端子取付け用穴33bに挿入されているので、端子34が振動することにより配線が断線することを防止できる。
(h)運動側モジュール30がボビンカバー35を備えるので、端子34が導電性部品であるピストン1と接触して回路が短絡することを防止できる。
(j)ボビンボデー32の取付けねじ部32aにカラー32bが設けられているので、樹脂製ボビンボデー32の熱膨張や膨潤によりねじ30aが緩みボビンボデー32の取付け力が低下することを防止できる。
(k)固定側モジュール20が中継要素25を備えているので、中継要素25が設けられていない場合に比べて、コイル配線26が断線することを防止できる。
[実施例1](図1〜図14)
本発明実施例1では、図2に示すように、固定側モジュール20のステー24は2分割構造24d、24eでありフェライトコア23を挟み込んで保持(固定)する。2分割構造のステー24d、24e同士は、ねじ24fで固定されている。図6に示すように、2分割構造のステー24d、24eの、フェライトコア23を挟み込む挟み込み部24g、24hの少なくとも一方は、三角型の面とされている。挟み込み部24g、24hの一方のみが三角型の面とされている場合、挟み込み部24g、24hのもう一方は平らな面とされている。挟み込み部24g、24hとフェライトコア23との間の隙間には、接着剤24iが充填されている。
中継要素25は2分割されたステー24d、24eの間に配置されている。
2分割構造のステー24d、24eの、フェライトコア23を挟み込む挟み込み部24g、24hの少なくとも一方が三角型の面とされているので、挟み込み部24g、24hの両方が平らな面とされている場合に比べて、フェライトコア23を確実に固定でき、また軸芯位置が精度よく固定される。
挟み込み部24g、24hとフェライトコア23との間の隙間には、接着剤24iが充填されているので、接着剤が充填されていない場合に比べてフェライトコア23がステー24から抜け難くなる。
本発明実施例2では、フェライトコア23は、図18に示すように、ステー24に形成されるフェライトコア用穴24jに挿入される(差込まれる)。フェライトコア用穴24jは横断面円形である。フェライトコア23とステー24との間の隙間には接着剤24kが充填されている。中継要素25は、ステー24の上面に配置されている。
中継要素25がステー24の上面に配置されているので、ステー24の上面に外部用配線50が通ることがなくなる。そのため、中継要素25の厚みを外部用配線50の太さよりも小とすることで運動側モジュール30と固定側モジュール20の上下方向のクリアランスを広く確保でき、運動側モジュール30と外部用配線50が接触して断線することを防止できる。
10 ピストン測温装置
10a ピストン測温センサ
20 固定側モジュール
20a ねじ
20b 支持部材
21 送信コイル
22 受信コイル
23 フェライトコア
24 ステー
24a 取付けねじ部
24b カラー
24d、24e 2分割構造ステー
24g、24h 2分割構造ステーの挟み込み部
24i、24k 接着剤
25 中継要素
26 コイル配線
27 保護部材
28 止めねじ
30 運動側モジュール
30a ねじ
31 共振コイル
32 ボビンボデー
32a 取付けねじ部
32b カラー
32c コイルボビン用穴
32d コイルボビン用穴のコイルボビン挿入口
33 コイルボビン
33a 接着剤
34 端子
35 ボビンカバー
40 位置決め機構
41 位置決めピン
42 ピン取付け用穴
43 挿入穴
50 外部用配線
51 抵抗測温素子
52 高周波送受信装置
53 記録装置
54 電圧測定器
55 演算装置
Claims (9)
- (a)送信コイルと、受信コイルと、前記送信コイルと前記受信コイルが取付けられるフェライトコアと、該フェライトコアを保持するステーと、を備える固定側モジュールと、
(b)共振コイルを備える運動側モジュールと、
を有し、
前記固定側モジュールのステーは2分割構造であり前記フェライトコアを挟み込んで保持しており、
前記固定側モジュールは、該固定側モジュールの外部に配置される外部用配線と前記送信コイルおよび前記受信コイルとの間に設けられる中継要素を備えており、
前記中継要素は前記2分割されたステーの間に配置されている、
ピストン測温センサを有するピストン測温装置。 - 前記固定側モジュールは、前記中継要素と前記送信コイルおよび前記受信コイルとの間に設けられるコイル配線と、前記フェライトコアの周りに設けられ前記コイル配線を保護する保護部材と、を備える、請求項1記載のピストン測温センサを有するピストン測温装置。
- 前記固定側モジュールと前記運動側モジュールとの相対位置を決める位置決め機構を有し、
前記位置決め機構は、位置決めピンと、前記固定側モジュールと前記運動側モジュールの一方に設けられ前記位置決めピンが取付けられるピン取付け用穴と、前記固定側モジュールと前記運動側モジュールの他方に設けられ前記位置決めピンが挿入される挿入穴と、を備える、請求項1または請求項2記載のピストン測温センサを有するピストン測温装置。 - 前記運動側モジュールは、コイルボビン用穴を備えピストンに取り付けられたときに該ピストンにより前記コイルボビン用穴のコイルボビン挿入口が閉塞されるボビンボデーと、前記コイルボビン用穴に配置されるコイルボビンと、を備える、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のピストン測温センサを有するピストン測温装置。
- 前記運動側モジュールは、前記共振コイルが取付けられるコイルボビンと、該コイルボビンを保持するボビンボデーと、を備えており、
前記コイルボビンの外形は横断面非円形とされている請求項1〜請求項4の何れか1項に記載のピストン測温センサを有するピストン測温装置。 - 前記運動側モジュールは、ボビンボデーと、該ボビンボデーに保持されるコイルボビンと、前記ボビンボデーと前記コイルボビンとの間の隙間に設けられる接着剤と、を備える、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載のピストン測温センサを有するピストン測温装置。
- 前記運動側モジュールはピストンに取付けられており、
前記運動側モジュールは、端子取付け用穴を備えるコイルボビンと、該コイルボビンの端子取付け用穴に挿入される端子と、前記コイルボビンに取付けられ前記端子と前記ピストンとの間に配置されるボビンカバーと、を備える、請求項1〜請求項6の何れか1項に記載のピストン測温センサを有するピストン測温装置。 - 前記固定側モジュールは内燃機関の運動しない箇所にねじにて取付けられており、
前記固定側モジュールは、前記ステーに形成されており前記ねじが挿通される取付けねじ部と、該ステーの取付けねじ部に設けられるカラーと、を備える、請求項1〜請求項7の何れか1項に記載のピストン測温センサを有するピストン測温装置。 - 前記運動側モジュールはピストンにねじにて取付けられており、
前記運動側モジュールは、前記ねじが挿通される取付けねじ部を備えるボビンボデーと、該ボビンボデーの取付けねじ部に設けられるカラーと、を備える、請求項1〜請求項8の何れか1項に記載のピストン測温センサを有するピストン測温装置。
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