JP4693782B2 - インクジェット用記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、微細多孔質部位を有する物品(写真画像が形成される媒体や通常印刷されるラベル等の被印刷媒体、或いは弾性微細多孔質体や膨潤可能な微細多孔質体及びこれらを部分的に有する物品)における黄変防止技術に関し、特に、水性インクを使用したインク記録に適する高画質と長期にわたって黄変防止能力のある新規の黄変防止剤を有する記録媒体、その製造方法及び保存方法に関する。また、本発明は微細多孔質部位をアルミナ水和物で構成した際のインク記録特性を損なわず、ファイル保存時の白地黄変防止機能を有し、製造後、海上輸送で海外まで輸送し、販売される物流保存期間は無論のこと長期間にわたって、黄変防止性能が発揮できるインクジェット用記録媒体、その製造方法、並びに黄変防止に適した保存方法に関する。
インクジェット記録方法は、インク等の記録用の液体(記録液)の微小液滴を種々の作動原理により飛翔させて、微細多孔質部位を有する記録媒体に付着させ、画像や文字等の高画質プリントを行なうものが多く、デジタルカメラ、デジタルビデオ、スキャナー、パーソナルコンピューター等の普及と相まって、インクジェット記録方式を採用したプリンターが極めて好適に用いられるようになってきている。インクジェット用の記録媒体には、高い速乾性、優れた色材の発色性、高い表面光沢性、高い解像性を有する画像形成が必要とされる。銀塩系写真と遜色のない画像を提供可能である記録媒体として、微細な無機顔料(シリカやアルミナ等)とそのバインダーを用い、高い空隙率を持つインク受容層としての微細多孔質部位を支持体上に層状に設けたインクジェット用記録媒体が実用化されている。
特許文献1には、アルミナ水和物は正電荷を持っているためインク中の染料の定着が良く、発色性に優れた画像が得られ、インク受容層に用いる材料として好ましい点が記載されている。アルミナ水和物の中でもベーマイト構造を有するアルミナ水和物は、染料の吸着性とインク吸収性および透明性が良いのでより好ましい。しかしながら、多孔質層をインク受容層として設けた記録媒体への印画後に、記録媒体をファイル保管すると、経時的に画像の白地部分が黄変する場合がある。従って、このような多孔質構造の色材受容層を有する記録材料にとって、白地の黄変の抑制は非常に重要な特性である。
上記のような構造の記録媒体の微細多孔質部位は多くの微小空隙を有することから、樹脂製のファイルに挿入して保管した場合に、ファイルから記録媒体のインク受容層にBHT(2,6−ジ−t−ブチル−p−メチルフェノール)に代表されるフェノール系酸化防止剤が遊離吸着して、経時で微細多孔質部位に吸着されたフェノール系酸化防止剤が酸化されて黄色の酸化物になり、黄変が発生することが知られている。このBHTに起因する黄変については、例えば、非特許文献1、2、3、4などに、フェノール系酸化防止剤が酸化されてキノンメチド構造となり、二量化され、更に酸化されてスチルベンキノン構造をなす黄色の化合物となることが記載されている。
特許文献2には、非吸水性支持体上にインク受容層(シリカ含有)に、メルカオプト基を有しない含イオウ有機酸化合物とフェノール系化合物とを含む記録媒体について記載されており、チオエーテル系化合物,チオウレア系化合物,ジスルフィド系化合物,メルカプト系化合物,スルフィン酸系化合物,チオスルフィン酸系化合物等の含イオウ有機化合物とフェノール系化合物及びヒンダードアミンを列挙するものの実施例レベルでは、酸により受容層の膜面pHを4.0に調整し、単に複数の添加剤を添加したものでしかない。この実施例による黄変防止効果は不十分であって、黄変は防止できないものであった。
一方、特許文献3は、耐光剤及び耐オゾン性向上剤として、フェノールにスルフィン類が付加されている構造の化合物に関する発明が開示されている。この文献には、一般的な、インクジェット記録媒体のpH調整剤用の酸として、トルエンスルフィン酸とベンゼンスルフィン酸が例示されているが、pH3.5のインクジェット記録媒体の実施例には使用されていない。但し、前記発明の化合物を含まない比較例には、この化合物に代えてトルエンスルフィン酸を用いており、黄変を防止できないことが明記されている。
特開平7−232475号公報 特開2002−219857号公報 特開2004−1354号公報 Polymer Degradation and Stability 50(1995)313〜317 Textile Praxis International October(1980)1213〜1215 Textile Chemist and Colorist April(1983) Vol.15 No4 52〜56 Text.Progr.15(1987)16
本発明者達は、上記従来技術に関して技術的に黄変防止効果が発揮できない理由を追求するとともに、更に継続的な効果を維持するために必要な技術を追求することで、強酸域の記録媒体に対して生じている現象を把握し、これを解決できる弱酸乃至弱アルカリ域におけるスルフィン酸塩の拡散可能な状態を確保することから本発明に至った。
従って、本発明の主たる目的は、物品全般に対してファイル黄変を防止でき(第1課題)、継続的に効果を持続でき(第2課題)、物品の黄変を長期的に防止できる基本的な技術を提供することにある。具体的な物品の例としては、インクジェット用記録媒体を挙げるがこれに限定されるものではない。この例では、微細多孔質部位を備えたインク受容層(顔料としてはアルミナ水和物やシリカ粒子)に対して、ファイルなどでの印字後のインクジェット用記録媒体を保存した時の白地の黄変を防止すること(第1課題)と、製造後から商品寿命に相当する期間において上記黄変防止効果を維持すること(第2課題)と、を同時に解決できる黄変防止技術を提供することである。
更に本発明の第3課題は、インク記録に関して、記録画像濃度を確保すること(第3課題)と前記第1,2課題をも同時に解決できるインクジェット用記録媒体の提供、及びこの特性を確実に実現できる製造方法と物品の保存方法を提供することである。
本発明者達は、上記課題について検討を行った結果、本来、微細多孔質部位に吸着した際の黄変原因物となり得るフェノール誘導体の酸化体であるフェノール誘導体とスルフィン酸化合物との反応生成物に着目し、その効用を確認した。これは、本発明のスルホニル基を有するフェノール化合物の一例であった。このスルホニル基を有するフェノール化合物と拡散可能なスルフィン酸塩とを共に、インク受容層に含有することで、ファイルから受容層に吸着したBHTによる白地の黄変を解消することを見出した。
ここで、拡散可能なスルフィン酸塩(または、pHが5.0以上8.5以下に維持された状態のスルフィン酸)が、主として継続的且つ長期的な黄変防止作用をもたらし、前記スルホニル基を有するフェノール化合物は構造上ラジカル連鎖反応を阻害する機能を持つと推測され、BHTに代表される黄変原因物質が微細多孔質内に吸着後、黄変原因物質が酸化される過程で生じた活性ラジカル種を捕捉することで、黄変原因物質の黄変化反応を阻害しているものと推測している。従って、前記スルホニル基を有するフェノール化合物は遷移状態やフェノキシラジカルの安定性に影響された際に、ヒドロキシラジカルを放出しやすい構造であることが好ましく、フェノール誘導体のオルト位またはパラ位に電子供与性で嵩高い官能基で置換されていることが好ましい。
従って、本発明は、以下に態様によって、上記課題を解決し、物品全般(特にインク記録媒体)に対して従来にはない格別の効果を得ることができる。特にインク記録媒体に対しては、印字後樹脂ファイルに長期保存した際の白地黄変防止効果の維持及び製造後、海上輸送で海外まで輸送するのにかかる物流保存期間内での黄変防止性能の維持が同時に達成出来た。
上記の特徴にかかる本発明は以下の態様を含む。
(1)支持体上に微細多孔質構造のインク受容層を有するインクジェット用記録媒体であって、
前記微細多孔質構造のインク受容層、スルホニル基を有するフェノール化合物と、拡散可能なスルフィン酸塩と、を有し、
前記スルホニル基を有するフェノール化合物は、下記式(I)で表される化合物及び下記式(II)で表される化合物のうち少なくとも1種である
ことを特徴とするインクジェット用記録媒体。
Figure 0004693782
(上記式中、R1、R2は水素、または置換、無置換の直鎖、分岐又は環状のアルキル基(炭素数1〜30)、アルコキシ基(炭素数1〜20)、置換または無置換のアリール基(炭素数6〜30)、1もしくは2置換アミノ基(炭素数1〜20のアルキル基、アシル基、アルケニル基)、スルフィド、ジスルフィド、アミド基、エステル基、アルケニル基、ヒドロキシル基、置換または無置換のウレイド基(炭素数1〜20)であり、またビス体を形成しても良い。R1、R2は両方とも水素であることはなく、水素ではないR1、R2の少なくとも一つはオルト位に位置している。R3は炭素数1〜30の置換又は無置換の飽和又は不飽和アルキレン基、カルボニル基、チオカルボニル基を示し、R4は、飽和アルキル基,アルコキシ基、アルケニル基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換のアリールオキシ基を示し、これらの官能基はヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキル基、で置換されてもよい。)
Figure 0004693782
(上記式中、R1、R2は水素、または置換、無置換の直鎖、分岐又は環状のアルキル基(炭素数1〜30)、アルコキシ基(炭素数1〜20)、置換または無置換のアリール基(炭素数6〜30)、1もしくは2置換アミノ基(炭素数1〜20のアルキル基、アシル基、アルケニル基)、スルフィド、ジスルフィド、アミド基、エステル基、アルコキシ基、アルケニル基、ヒドロキシル基、置換または無置換のウレイド基(炭素数1〜20)であり、またビス体を形成しても良い。R1、R2は両方とも水素であることはなく、水素ではないR1、R2の少なくとも一つはオルト位に位置している。R3は、飽和アルキル基,アルコキシ基、アルケニル基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換のアリールオキシ基を示し、これらの官能基はヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキル基、で置換されてもよい。)
(2)記インク受容層の表面pH及び内部pHが5.0以上8.5以下であることを特徴とする上記(1)に記載のインクジェット用記録媒体。
(3)前記インク受容層は無機顔料を有し、前記無機顔料に対して、前記スルホニル基を有するフェノール化合物と、前記拡散可能なスルフィン酸塩との総和が1.5質量%以上13.0質量%以下である上記(1)または(2)に記載のインクジェット用記録媒体。
(4)前記インク受容層は無機顔料を有し、前記無機顔料に対して、前記スルホニル基を有するフェノール化合物と、前記拡散可能なスルフィン酸塩との総和が1.5質量%以上7.0質量%以下である上記(1)または(2)に記載のインクジェット用記録媒体。
(5)支持体上に微細多孔質体であるインク受容層を形成する工程と、
前記インク受容層に所定モル数のスルフィン酸化合物を含む塗工液を塗工する工程と、
前記インク受容層に前記スルフィン酸化合物のモル数より少ないモル数のフェノール誘導体を供給する工程と、
前記インク受容層中で前記スルフィン酸化合物の一部と前記フェノール誘導体とを反応させて下記式(I)で表される化合物及び下記式(II)で表される化合物のうち少なくとも1種と、拡散可能なスルフィン酸塩とを共に存在させる工程と、
を有することを特徴とするインクジェット用記録媒体の製造方法。
Figure 0004693782
(上記式中、R1、R2は水素、または置換、無置換の直鎖、分岐又は環状のアルキル基(炭素数1〜30)、アルコキシ基(炭素数1〜20)、置換または無置換のアリール基(炭素数6〜30)、1もしくは2置換アミノ基(炭素数1〜20のアルキル基、アシル基、アルケニル基)、スルフィド、ジスルフィド、アミド基、エステル基、アルケニル基、ヒドロキシル基、置換または無置換のウレイド基(炭素数1〜20)であり、またビス体を形成しても良い。R1、R2は両方とも水素であることはなく、水素ではないR1、R2の少なくとも一つはオルト位に位置している。R3は炭素数1〜30の置換又は無置換の飽和又は不飽和アルキレン基、カルボニル基、チオカルボニル基を示し、R4は、飽和アルキル基,アルコキシ基、アルケニル基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換のアリールオキシ基を示し、これらの官能基はヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキル基、で置換されてもよい。)
Figure 0004693782
(上記式中、R1、R2は水素、または置換、無置換の直鎖、分岐又は環状のアルキル基(炭素数1〜30)、アルコキシ基(炭素数1〜20)、置換または無置換のアリール基(炭素数6〜30)、1もしくは2置換アミノ基(炭素数1〜20のアルキル基、アシル基、アルケニル基)、スルフィド、ジスルフィド、アミド基、エステル基、アルコキシ基、アルケニル基、ヒドロキシル基、置換または無置換のウレイド基(炭素数1〜20)であり、またビス体を形成しても良い。R1、R2は両方とも水素であることはなく、水素ではないR1、R2の少なくとも一つはオルト位に位置している。R3は、飽和アルキル基,アルコキシ基、アルケニル基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換のアリールオキシ基を示し、これらの官能基はヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキル基、で置換されてもよい。)
(6)前記フェノール誘導体を供給する工程が、フェノール誘導体を塗工後、前記インク受容層内でフェノール誘導体を酸化してキノメタン型酸化体とする酸化工程を含む上記(5)に記載のインクジェット用記録媒体の製造方法。
(7)前記フェノール誘導体を供給する工程が、フェノール誘導体を含む高分子材料からなる密閉可能なフィルム容器に、インク受容層にスルフィン酸化合物を含むインクジェット用記録媒体を密封し、前記フェノール誘導体を該容器内の気相を介してインク受容層に供給後、該インク受容層内に供給されたフェノール誘導体を酸化して前記キノメタン型酸化体を形成することにより行う上記(5)に記載のインクジェット用記録媒体の製造方法。
(8)前記インク受容層は、アルミナ水和物とバインダーを含む塗工液を塗工して形成された擬べーマイト層である上記(5)乃至(7)のいずれかに記載のインクジェット用記録媒体の製造方法。
上記態様(1)によれば、インク記録される媒体自体の白色維持効果を発揮でき、インク記録された後、樹脂ファイルに長期保存しても白地部の黄変防止効果を維持できる。上記態様(2)のpH範囲によれば、スルフィン酸塩が拡散可能な状態で維持できるので,インクジェト用記録媒体を製造後、海上輸送で海外まで輸送するのにかかる物流保存期間内で発生する黄変防止性能の維持が達成出来るほか、印字後の白地部の黄変防止効果を維持できる。上記態様(5)乃至(8)のいずれも、上述した白地黄変防止効果をもつ記録媒体を、効率よく製造できる製造方法を提供することができる。
上記第3課題を解決する態様(3)によれば、上述した長期的且つ高信頼性の黄変防止効果に加えて、印字濃度の低下を抑制する効果があり、上記態様(4)によれば、印字濃度の低下がなく、印字後の印字品質を損なわず、長期にわたる画像保存性とファイル保存時の白地黄変防止ができ、物流保存期間内でも、ファイル保存でも黄変防止効果がある。
インク記録される媒体自体の白色維持効果を発揮でき、インク記録された後、樹脂ファイルに長期保存しても白地部の黄変防止効果を維持できる。
本発明にかかる物品(好ましくは微細多孔質部位を有する物品)は、スルホニル基を有するフェノール化合物と、拡散可能なスルフィン酸塩と、を有する。このスルホニル基を有するフェノール化合物は、黄変防止効果を有するスルフィン酸塩と、フェノール誘導体の酸化により得られるキノメタン型酸化体(以下キノメタン型誘導体とする)と、の反応によって得ることができる。特に、微細多孔質部位中にスルホニル基を有するフェノール化合物と、拡散可能なスルフィン酸塩と、を有することで、黄変しやすい部分が効果的に黄変防止効果が発揮できる。
微細多孔質部位に拡散可能な状態でスルフィン酸塩を含有させておき、黄変原因物質であるフェノール誘導体が微細多孔質部位に供給され、酸化されるとキノメタン型誘導体が形成され、このキノメタン型誘導体とスルフィン酸塩が反応して、スルホニル基を有するフェノール化合物が形成される。この反応を介して黄変が防止される。
更に、この反応で形成されたスルホニル基を有するフェノール化合物は、それ自体もフェノール誘導体の還元作用を有し、その還元作用により黄変が更に防止される。しかも、この化合物は微細多孔質部位中のフェノール誘導体が供給されてくる領域で生成されその位置に留まる(非拡散性)ため、フェノール誘導体の微細多孔質部位中への侵入を防御する効果も有する。
更に、スルフィン酸塩は分散可能であるので、スルフィン酸由来の構造とケトン構造とを有する化合物がフェノール誘導体の還元に消費されても、他の部位から移動したスルフィン酸塩によって上記の黄変防止効果が補充され、黄変防止効果の継続が一層可能となる。
尚、本発明で言う「微細多孔質部位」は、層構成の場合はその全体は無論のこと、その一部でも良いことを意味する。例えば、複数の微細多孔質体からなる部品の場合、その一部又は全部或いは複数層にまたがっているが全部ではない部分領域を意味する。
本発明の最良の形態は、インクジェット用記録媒体の微細多孔質部位からなるインク受容層に、スルホニル基を有するフェノール化合物と、拡散可能なスルフィン酸塩と、を有するものである。ここで、スルフィン酸塩は一般式(III)で表される。
Figure 0004693782
(式中、R5は、置換もしくは未置換の飽和脂肪族鎖、置換もしくは未置換の不飽和脂肪族鎖、置換もしくは未置換のアリール又は置換もしくは未置換のヘテロアリール基を表し、Z4、は独立にO、S、N−R6またはN−NR78を表し、Z5は酸素又は硫黄を表し、MはZ5の負の電荷を相殺することが出来る対イオンであり、R6は置換もしくは未置換の飽和脂肪族鎖、置換もしくは未置換の不飽和脂肪族鎖又は水酸基を示し、R7及びR8はそれぞれ独立して置換もしくは未置換の飽和脂肪族鎖あるいは置換もしくは未置換の不飽和脂肪族鎖を表す。)。
R1及びR5が置換されている場合における置換基としては、電子供与基であることが好ましく、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アリールスルホニル基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、エステル基、ヒドロキシ基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基などの置換基を挙げることができ、これらの1種、または2種以上が置換されていてもよい。これらの置換基は互いに連結して環を形成していてもよい。またこれらの置換基はホモポリマー又はコポリマー鎖の一部となっていてもよい。
一般式(III)の化合物の中で好ましいものとしては、Z4、Z5が共に酸素であり、メタンスルフィン酸、エタンスルフィン酸、ナフタレンスルフィン酸、p−トルエンスルフィン酸、ベンゼンスルフィン酸、3−アセトアミド−4−メトキシベンゼンスルフィン酸、アミノエタンスルフィン酸等が挙げられる。
また、キノメタン型誘導体はフェノール誘導体の酸化体であり、これとスルフィン酸化合物との反応生成物であるフェノール誘導体はヒドロキシラジカルを放出しやすい構造であることが好ましく、更に、フェノール誘導体のオルト位またはパラ位に電子供与性で嵩高い官能基で置換されていることが好ましい。好ましくは、オルト位が電子供与性の官能基であり、置換、無置換の直鎖、分岐又は環状のアルキル基、(炭素数1〜30)、アルコキシ基(炭素数1〜20)、置換または無置換のアリール基(炭素数6〜30)、1もしくは2置換アミノ基(置換基は炭素数1〜20のアルキル基、アシル基、アミド基、エステル基、アルコキシ基、アルケニル基、ヒドロキシル基、置換または無置換のウレイド基(炭素数1〜20)であり、より好ましくは、炭素数1〜6の直鎖又は分岐状のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、である。また炭素数1〜5の2価の結合基によって、ビス体を形成したものでもよい。スルフィド、ジスルフィド、アルケニル基等の酸化防止能力を有する基であっても良い。より好ましくは、炭素数1〜3の2価の結合基によってビス体を形成したものである。
また、前記フェノール誘導体は、ヒンダーフェノールとして樹脂の安定化剤として使用されているものがあり、ヒンダードフェノールであれば、ヒドロキシラジカルを放出しやすい構造であり、前記スルフィン酸化合物との反応生成物は黄変防止能力を有すると推測している。
前記フェノール誘導体の好ましい例1〜43を以下に記載した。
1 :2,6−ジ−t−ブチルフェノール、
2 :2,4−ジ−t−ブチルフェノール、
3 :2−t−ブチル−4−メトキシフェノール、
4 :2−t−ブチル−4,6−ジ−メチルフェノール、
5 :2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、
6 :2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、
7 :2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、
8 :2,6−t−ブチル−4−ヒドロキシメチルフェノール、
9 :2,6−ジ−t−ブチル−2−ジメチルアミノ−p−クレゾール、
10:1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルベンゼン)
11:3,9−bis〔1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェノール)プロピオニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン
12:n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル4’−ヒドロキシフェニル)−プロピネート、
13:2,4−bis−(n−オクチノ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−チアゾリン、
14:2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアセテート
15:2,2’−メチレン−Bis−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)
16:2,2’−メチレン−Bis−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)
17:2,2’−メチレン−Bis−(6−シクロヘキシル−4−メチルフェノール)
18:1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン
19:2,2’−エチリデン−Bis−(2,4−ジ−t−ブチルフェノール)
20:2,2’−ブチリデン−Bis−(2−t−ブチル−4−メチルフェノール)
21:4、4’−メチレン−bis−(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)
22:4、4’−ブチリデン−bis−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)
23:1,6−ヘキサンジオール−bis−〔3−(3、5−ジ−t−ブチル−5−メチル−(4−ヒドロキシルフェノール)
24:トリエチレングリコール−bis−〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシルフェニル)−プロピネート〕
25:N,N’−bis−〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシルフェニル)−プロピニル〕ヒドラジン
26:N,N’−Bis−3−(3‘,5’)−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール、
27:プロピニルヘキサメチレンジアミン、
28:4,4‘−チオ−bis−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、
29:4,4’−チオ−bis−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、
30:2,2‘−チオ−ジエチレン−bis−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピネート〕、
31:bis〔2−t−ブチル−4−メチル−6−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシル)フェニル〕テレフタレート
32:1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニルブタン
33:1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン
34:トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアネート
35:トリス〔2−(3’,5‘−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナモイルオキシエチル)イソシアネート
36:トリス(4−t−ブチル−2,6−ジーメチル−3−ヒドロキシベンジル)イソシアネート
37:テトラkis−〔メチレン−3−〔3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル〕プロピネート〕メタン
38:プロピル−3,4,5−トリヒドロキシルベンゼンカルボネート
39:オクチル−3,4,5−トリヒドロキシルベンゼンカルボネート
40:ドデシル−3,4,5−トリヒドロキシルベンゼンカルボネート
41:2,2’−メチレン−bis−(4−m−エチル−6−t−ブチルフェノール)
42:4,4−メチレン−bis−(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)
43:1,1−bis−(4−ヒドロキシフェニル)シクロへキサン
より好ましくは、スルフィン酸塩との反応性が高く、炭素数1〜30の置換又は無置換の飽和又は不飽和アルキレン基が好ましい。より好ましい化合物を以下に記載した。2−t−ブチル−4,6−ジ−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−t−ブチル−4−ヒドロキシメチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル4’−ヒドロキシフェニル)−プロピネート、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアセテート、2,2’−メチレン−Bis−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−Bis−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−Bis−(6−シクロヘキシル−4−メチルフェノール)、2,2’−ブチリデン−Bis−(2−t−ブチル−4−メチルフェノール)、4、4’−ブチリデン−bis−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオ−bis−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−チオ−ジエチレン−bis−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピネート〕、bis〔2−t−ブチル−4−メチル−6−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシル)フェニル〕テレフタレート、2,2’−メチレン−bis−(4−m−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4−メチレン−bis−(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン
また、前記フェノール誘導体の酸化物であるキノメタン型誘導体とスルフィン酸化合物の反応生成物は、前記一般式(I)、(II)で表され、キノメタン型誘導体とスルフィン酸化合物の代表的な反応を以下に記載した。
Figure 0004693782
また、上記反応は、スルフィン酸化合物と前記フェノール誘導体を溶媒に溶解後、酸化工程を経ることでキノメタン型誘導体が形成され、これがスルフィン酸化合物と反応してアルキルスルホニル基を有するフェノール化合物が得られる。フェノール誘導体とスルフィン酸化合物が共溶可能な溶媒に溶解後、酸素を通気することによる酸化反応及び過酸化水素等の酸化剤を使用した酸化処理を行うことでスルフィン酸化合物とフェノール誘導体の反応生成物を得ることも出来る。酸化剤は適宜選択可能であるが、インク受容層に添加した際の変色を防止するため、無色もしくは白色のものが好ましい。
酸化処理により、フェノール化合物はヒドロキシラジカルを放出して、R3部位がカルボカチオン化したR3’となりキノメタン型誘導体になる。さらにR3’にスルフィン酸が電気的に反応を起こして反応生成物が得られる。また、反応は常温(25℃)でも進むが、反応効率の面で50℃以上の反応温度で還流することが好ましい。
しかし、前記フェノール化合物の酸化体であるキノメタン型誘導体は黄色化合物のものが多く、この経時で変色しやすい化合物を微細多孔質体をもつインク受容層に存在することは保存安定性の面で好ましくない。よって、未反応の残留フェノール誘導体を蒸留,分離クロマトグラフィーなどを用いて完全に除去することが好ましい。
一方、スルフィン酸化合物は前記インク受容層に添加しても、残留フェノール誘導体のような経時で変色する等の不具合は起こりにくいため、残留スルフィン酸化合物の除去を行わなくても良い。このため、予め、スルフィン酸化合物をフェノール誘導体に対して過剰な状態で反応させることで、未反応のフェノール誘導体の残留を防止出来、更に、未反応物を除去せずに反応生成物をインク受容層に添加することが出来るので、前記の除去工程を省略することが可能になり、生産効率の面で好ましい。このとき、フェノール誘導体に対するスルフィン酸のモル比は、1.0より大きいことが好ましく、より好ましくは、10.0以上200以下である。
いずれにしても、反応後のpHを5.0以上8.5以下にすることで、前記スルフィン酸化合物のモル数より少ないモル数のフェノール誘導体との反応結果として、本発明の「スルホニル基を有するフェノール化合物と、拡散可能なスルフィン酸塩と、を有する共存状態」を簡単に形成することができ、同時にフェノール誘導体の残渣も無くすことができる。
また、前記フェノール誘導体はpH5.0以下の酸性領域では比較的安定であるため、キノメタン型誘導体になりにくく、十分に反応が進まないため、効率良く反応生物を得るためには前記反応は中性付近で行うことが好ましい。好ましい反応時のpHは5.0より大きく、より好ましくは5.0より大きく8.5以下である。また、スルフィン酸化合物は、解離pHより低い場合に構造が不安定であり、容易に分解を起こすため、スルフィン酸の安定性の面でも前記反応は中性付近で行うことが好ましい。スルフィン酸化合物の安定性の面で好ましい反応pHは3.0以上であり、より好ましくは拡散可能なスルフィン酸塩を保持するためにはpH5.0以上8.5以下が最適である。
また、前記反応生成物は、NMRを使用して構造を確認することが可能である。また、反応生成物中にフェノール誘導体が残留していないことは、高速液体クロマトグラフィーを用いて確認することが出来る。また、反応生成物中には経時で変色しやすいフェノール誘導体の残留を防止するためスルフィン酸化合物を過剰に使用した反応生成物を前記微細多孔質からなるインク受容層を添加した場合、前記受容層の表面及び内部pHが低いとスルフィン酸が不安定な遊離酸となり、経時でスルホン酸化合物を生成して、前記受容層pHを下げる。支持体に紙を使用した吸水性支持体を用いた記録媒体でスルホン酸化合物の生成による前記受容層pHの低下が起きると、支持体が劣化して記録媒体の長期保存性の低下を引き起こす。また、印字後の受容層のpHが経時で低下すると、印字画像の長期保存性が低下を引き起こす。このため、長期保存性の面で前記受容層pHはスルフィン酸化合物の解離pH以上にするのが好ましい、好ましい受容層pHとしては5.0以上8.5以下であり、より好ましくは6.0以上7.5以下である。
なお、インク受容層形成工程後のインク受容層の表面及び内部pHを各塗工液のpH調整によって最適なpHレンジになるように調整しても良いし、インク受容層形成工程後にアルカリ又は酸を塗工して所定の表面及び内部pHに調整しても良い。pH調整用として用いられる酸は、硝酸、硫酸、塩酸、燐酸等の無機酸であってもコハク酸、マレイン酸、マロン酸、酢酸、蟻酸等の有機酸でもよいが、これらに限定されることはない。好ましいアルカリ剤として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等が挙げられるが、これに限定されることはない。
表面pHの測定は、日本紙パルプ技術協会(J.TAPPI)の定めた表面及び内部pHの測定の内A法(塗布法)により、測定を行う。例えば、前記A法に相当する株式会社共立理化研究所製の紙面用pH測定キット(形式MPC)を使用して、インク受容層の表面pHを測定することが出来る。また、インク受容層の内部pHは、上記方法で表面pH測定後にミクロトームで作製した断面をマイクロスコープを用いることで、測定可能であり、表面pH測定の際に、上記方法で検査キットの塗布液がインク受容層に完全に浸透するように塗布後、ミクロトームで作製した断面をマイクロスコープで確認し、記録面から支持体までの範囲の呈色レベルを検査キットの色見本と目視で比較することで、測定することができる。
本発明の「スルホニル基を有するフェノール化合物と、拡散可能なスルフィン酸塩と、を有する共存状態」である微細多孔質部位を備えたインク受容層は、以下の方法で形成できる。支持体上にインク受容層を形成する工程と、前記インク受容層に相対的に多いスルフィン酸塩と相対的に少ないフェノール誘導体との反応生成物を含む塗工液を塗工する工程とからなり、支持体上にアルミナ水和物及びバインダーを含む塗工液を塗布して塗工層を形成し、これを乾燥させてインク受容層とする。この乾燥工程は、塗工層中に含まれるアルミナ水和物の粒子同士をバインダーによって結着し、インク受容層としての特性を有する多孔質構造を確定するために行なわれるもので、この多孔質構造の確定に必要な温度及び時間などの条件下で行なわれる。乾燥温度は80℃以上170℃以下が好ましく、より好ましくは90℃以上150℃以下である。塗工液にバインダーの架橋剤を含む場合には、この架橋剤によってバインダーの結着機能を強化してインク受容層の構造をより強固なものとすることができる。
このようにしてインク受容層としての構造が確定した段階で、スルフィン酸化合物とフェノール誘導体との反応生成物を含む塗工液を塗工して、前記反応生成物をインク受容層内に添加する。この方法であればバインダーによってインク受容層内に固定されているので、後述するようなスルフィン酸化合物の添加による凝集を生じることはなく、インク受容層の構造が維持される。また、BHT等の付着による黄変は、インク受容層の表面付近で起こりやすいため、前記インク受容層にスルフィン酸化合物とフェノール誘導体との反応生成物はインク受容層形成後の受容層にオーバーコートして、インク受容層の表面付近に分布させることが好ましい。
これに対して、インク受容層形成用塗工液の塗工直後等の塗工層が液状であるうち、あるいは所望とする多孔質構造が確定していない段階で、反応生成物を加えると反応生成物内に残留するスルフィン酸化合物とアルミナ水和物とスルフィン酸化合物が塩を形成して、アルミナ水和物の凝集を生じさせて細孔径の増大等による受容層物性を変化させて印字品位に悪影響を与えてしまう。よって、同一塗工液中に前記反応生成物とアルミナ水和物の両方を含有させることはない。
支持体上に微細多孔質部位としてインク受容層を形成する工程後に、前記インク受容層にスルフィン酸化合物とフェノール誘導体をそれぞれ独立して供給を行い、インク受容層中で反応させて一般式(I)、(II)で表される反応生成物を得ることが出来る。スルフィン酸化合物は遊離酸の状態であると不安定であるため、スルフィン酸化合物を含む塗工液はスルフィン酸塩を溶解したもの、または、スルフィン酸と塩の形成が可能な対イオンが存在し、スルフィン酸化合物がイオン解離した状態で存在する塗工液が好ましい。
このような塗工液を用いてスルフィン酸化合物を受容層に添加した場合、受容層内でスルフィン酸化合物は塩またはイオン解離した拡散可能な状態で存在する。拡散可能な状態とは湿度等の外的要因によって、微小多孔質で構成されたインク受容層内を自由拡散できる状態をいう。よって、インク受容層へのスルフィン酸化合物の添加は、インク受容層形成後に前記スルフィン酸化合物を含む塗工液を塗工しても良く、支持体が吸水性のものであればインク受容層形成前の後述の表面処理工程にプレコート液として支持体に塗工しても良く、また、支持体をスルフィン酸化合物の溶液に浸漬しても良い。
前記スルフィン酸化合物を含むインク受容層の形成方法としては、以下の工程を含む方法を好ましいものとして挙げることができる。
工程A:プレコート液(含イオウ有化合物を含有しない)を塗工する表面処理工程
工程B:アルミナ水和物、バインダー及び架橋剤を含む塗工液を塗工する工程
工程C:スルフィン酸化合物及び塩の形成が可能なカチオンを含む塗工液を塗工する工程
工程D:フェノール誘導体又はフェノール誘導体を塗工する工程
乾燥工程:塗工液を乾燥して、受容層を形成する工程。
上記塗工手順は工程A、工程C終了後に工程Bを行い、工程A、Cはどちらを先に塗工しても良く、また、工程Aのプレコート液にスルフィン酸化合物塩を添加して工程A、Cを一つの工程としても良い。工程A、Cを一つの工程した場合及び工程C塗工後に工程Aを塗工してもよく、また、工程A、C及びBは一回塗工で行っても良い。また、塗工液組成が異なる塗工液、又は同一組成の塗工液を複数回に分けて塗工する工程としても良い。また、工程Cの代替として、スルフィン酸化合物を含む塗工液を塗工後、前記スルフィン酸化合物と対イオンをなし、塩の形成が可能なイオンを含む塗工液を塗工しても良い。また、この塩の形成が可能なイオンを含む塗工液は、工程Bより前の工程間及びインク受容層形成後に設けることが出来る。また、塩の形成が可能な塗工液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム溶液等が挙げられるが、これらに限るものではない。
全塗工工程完了後にインク受容層を乾燥するための工程を行う。また、各工程間のいずれにも必要に応じて乾燥工程を挿入可能である。ただし、インク受容層形成のための乾燥工程は、工程Bでの塗工直後に設けた方が、インク受容層の多孔質構造への悪影響を減らせるので好ましい。乾燥温度は80℃以上170℃以下が好ましく、より好ましくは90℃以上150℃以下である。また、表面及び内部pHがスルフィン酸化合物の解離pHより低いインク受容層にスルフィン酸化合物を添加した場合、50℃以上の温度で容易に分解し、黄変防止効果が低下する。このため、上記乾燥条件での黄変防止能力の低下を防止するためにも、インク受容層の表面及び内部pHはスルフィン酸化合物の解離pHより高く、5.0より高い表面及び内部pHにすることが好ましい。前記工程C及び含イオウ化合物塩を含む工程Aの塗工液のpHに制限はないが、4.0〜11.0が好ましい。より好ましくは6.0以上10以下である。
支持体の表面処理工程は、バインダーと架橋反応を起こして硬化する架橋剤を含むプレコート液を塗工する工程Aであり、必要に応じて行なわれる。この架橋剤の付与は、インク受容層におけるアルミナ水和物を主体として形成された多孔質層の所望とするインク受容層としての構造をより強固なものとする上で、この架橋剤の使用が好ましい。また、表面処理工程Aは、バインダーと架橋反応を起こして硬化する架橋剤を含むプレコート液を塗工する工程であり、ホウ酸及びホウ酸塩からなる群より選ばれた1種以上を含有する塗工液であるプレコート液を支持体に塗工する工程である。プレコート液は前記架橋剤を含む水溶液であり、架橋剤を1重量%以上10重量%含むことが好ましい。
工程A、Cを一つの工程した場合及び工程C塗工後に工程Aを塗工すると、工程Aのプレコート液中のホウ酸及びホウ酸塩が浸透し易くなり、インク受容層を形成後のクラック発生を抑制でき、歩留の向上し、生産効率の面で有効である。
表面処理工程では、吸水性支持体に塗工後に基材表面を乾燥せず、基材表面がある程度の湿潤状態(塗布液状態や増粘状態でも良い)を保った状態で、次のインク受容層を形成するための塗工液を塗工する工程である。プレコート液の塗れ性を向上するため、プレコート液に界面活性剤,アルコール等を添加して、表面張力及び吸水度の調整を行っても良い。また、表面処理工程でのプレコート液の塗工量は硼酸及び硼酸塩の固形分換算で0.05g/m2以上3.0g/m2以下である。
また、上記の方法で形成したインク受容層に、更に、スルフィン酸化合物及び塩の形成が可能なカチオンをオーバーコート方式で供給しても良い。その際、オーバーコート液は印字品位に悪影響を与えない濃度に調整したものを塗工するのが好ましい。この場合、スルフィン酸化合物の塩をインク受容層表面に供給することになり、高濃度のスルフィン酸化合物を使用すると、受容層表層のインク定着域でのスルフィン酸化合物の塩類濃度が高くなり、印字濃度低下が起きる等の印字品位の低下が起きやすい。よって、良好な印字濃度を得るためには、スルフィン酸化合物の塩濃度が10重量%以下に調整した塗工液が好ましく、特に好ましくは1重量%以上8重量%以下のものである。
工程Cで用いられる塗工液は、前記スルフィン酸化合物と前記スルフィン酸化合物と塩の形成が可能な物質が共に溶存しており、塗工液中の前記スルフィン酸化合物又はチオスルホン酸化合物に対するカチオンの比は1.0以上が好ましい。前記有機酸及び塩形成可能なカチオンの溶解に使用する溶媒は、前記有機酸塩が溶解可能であれば良く、好ましくはイオン交換水、メタノール、エタノール等であり、より好ましくはイオン交換水であるが、これに限定されるものではない。また、水系と溶剤系の複数の溶媒を組合せた混合溶媒を用いて、前記有機酸塩と後述するヒンダードアミン等のその他の添加剤を同時に溶解した塗工液を使用すると、生産効率の向上の点で好ましい。前記有機酸塩を溶媒に溶解した塗工液のpHに制限はないが、4.0〜11.0が好ましい。より好ましくは6.0以上10以下である。また、フェノール誘導体を溶解する溶媒は、フェノール誘導体が溶解すればよいが、スルフィン酸塩が可溶な溶媒が好ましい。これはインク受容層内でのこれらの混合が均一になりやすいためで、具体的にはメタノール、エタノール等が好ましい。
また、フェノール誘導体を表給する工程Dについて説明を行う。フェノール誘導体は不安定なキノメタン型誘導体より保存安定性が高く、また、フェノール誘導体をインク受容層に供給した場合、前記の好ましいインク受容層の表面及び内部pH5.0から8.5であればインク受容層内でキノメタン型誘導体へ速やかに酸化され、スルフィン酸化合物との反応生成物を生成する。よって、生産時の品質管理の面でキノメタン型誘導体を受容層に添加する代わりにフェノール誘導体を使用することが好ましい。また、前記インク受容層の紙面pH及び内部pHであれば、スルフィン酸化合物は受容層内で、塩またはイオン解離した状態で存在し、湿度などの外的要因により拡散可能である。微細多孔質部位内に拡散可能な状態、即ち塩またはイオン解離した拡散可能な状態でスルフィン酸化合物が存在していることで、フェノール誘導体とスルフィン酸化合物をそれぞれ別に供給しても両者を反応することが出来る。このとき、受容層内では、拡散可能なスルフィン酸化合物を有する受容層にフェノール誘導体を塗工すると、両者が反応して、スルフィン酸化合物が消費され、この消費されたスルフィン酸化合物に代わって、周辺に存在している拡散可能なスルフィン酸化合物が一様分布を形成するように拡散して連続して反応して、反応生成物を生成する。このため、スルフィン酸化合物及びフェノール誘導体を別々に塗工しても、未反応のフェノール誘導体が残留せず、本発明の反応生成物をインク受容層に供給できるのはスルフィン酸の自己拡散効果によるものと推測している。
形成されたインク受容層内にスルフィン酸化合物とフェノール誘導体の反応生成物を含有させるためには、スルフィン酸化合物及びフェノール誘導体を供給後、酸素の存在下で加熱処理を行うことで達成できる。加熱温度は50℃以上であることが好ましい。しかし、フェノール誘導体は高温に晒すと、ガス化してインク受容層中のフェノール誘導体が減量により黄変防止に必要な反応生成物が得られないことがあるため、酸素透過性のあるフィルム容器に密閉した状態で反応させても良い。
好ましいフィルム容器としては酸素透過率が0.05ml/m2・24hr・atm・20℃・65%R.H.以上180ml/m2・24hr・atm・20℃・65%R.H.のものが好ましく、より好ましくは1.0ml/m2・24hr・atm・20℃・65%R.H.以上120ml/m2・24hr・atm・20℃・65%R.H.以下のものである。また、酸素透過率はJIS K7126,7126Bに準じた等圧法及びJIS K7126Aに準じた差圧法によって測定可能である。
好ましいフィルム容器の材質として、PET、ナイロン、ポリオレフィンなどガス透過性のあるフィルムが挙げられ、また、これらの積層させた多層フィルムでも良く、アルミニウム等の金属やシリカ等の酸化物を蒸着させたものも好ましく使用可能である。
また、形成された受容層のスルフィン酸化合物の残留量は、形成後のインク受容層を25℃のイオン交換水に10分間浸漬した抽出液についてHPLCを使用して、定性及び定量することが出来、また、受容層中のフェノール誘導体及びフェノール誘導体の残留量は、エタノール、メタノール等の前記誘導体を溶解可能な溶媒に10分間浸漬した抽出液についてHPLCを使用して、定性及び定量することが出来、また、インク受容層をヘッドスペース−GC/MSを用いても定性及び定量が可能である。また、反応生成物についても、エタノール、メタノール等の前記誘導体を溶解可能な溶媒に10分間浸漬した抽出液についてHPLCを使用して、定性及び定量することが出来る。
また、本発明で好ましく使用されるフェノール誘導体には、室温以上でガス化可能であり、気相を介してインク受容層に供給可能なものがある。このようなフェノール誘導体は気相を介して受容層に吸着する間に、気相内で酸化されてキノメタン型誘導体となるため、気相を介した供給方法は生産効率上有効である。また、気相を介しての供給に適したフェノール誘導体として、本発明ではこれに限定はしないが、低分子量のフェノール誘導体である2,4−ジ−t−ブチルフェノール、2−t−ブチル−4−メトキシフェノール、2−t−ブチル−4,6−ジ−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−t−ブチル−4−ヒドロキシメチルフェノール、が挙げられる。
これらのフェノール誘導体は、ガス透過性がある高分子素材に混練可能であり、この高分子素材を加工したフィルムからなる容器に、スルフィン酸化合物を含む受容層を備えた記録媒体を密封し、加熱保存することで前記フェノール誘導体を気相を介してインク受容層中の微細多孔質層に吸着され、その後、フィルム容器内で酸化されたキノメタン型誘導体とスルフィン酸化合物とを反応させることが可能である。このときの保存温度として25℃程度の室温以上が好ましく、50℃以上であれば諸反応を効率的に行えるため、より好ましい。このとき、スルフィン酸化合物に対して過剰なフェノール誘導体が吸着すると、経時で黄変を引き起こすため、前記高分子素材中のフェノール誘導体に対して過剰量のスルフィン酸化合物をインク受容層に添加することが好ましい。
フェノール誘導体に対するスルフィン酸化合物のモル比は1.0より大きく、より好ましくは10.0以上400以下である。また、前記高分子素材中のフェノール誘導体はヘッドスペースGC/MSを用いて定性及び定量することが出来る。また、スルフィン酸化合物およびスルフィン酸化合物とフェノール誘導体の反応生成物については、前記抽出液のHPLCを用いた分析により、定量分析及び定性分析が出来る。これにより、フェノール誘導体に対するスルフィン酸化合物のモル比及び反応生成物量の定量が出来、また、この抽出液についてNMRを用いた評価を行うことで反応生成物の構造を特定することが出来る。
前記フィルムからなる軟包装容器に前記スルフィン酸化合物を保存することで、インク受容層中にスルフィン酸化合物とフェノール誘導体との反応生成物を得ることが出来る。この保存により、前記反応生成物を含むインク受容層を備えた記録媒体は、その後のBHTに代表されるフェノール系酸化防止剤による黄変防止能力を備える。また、保存するスルフィン酸を含むインク受容層を有する記録媒体は印字後でも印字前でも良い。
また、軟包装容器は気相を介してインク受容層に供給したフェノール誘導体を酸化させる必要があるため、前記記録媒体を密閉保存する場合には酸素透過性のあるものが好ましく、酸素透過率が0.05ml/m2・24hr・atm・20℃・65%R.H.以上180ml/m2・24hr・atm・20℃・65%R.H.のものが好ましく、より好ましくは1.0ml/m2・24hr・atm・20℃・65%R.H.以上120ml/m2・24hr・atm・20℃・65%R.H.以下のものである。また、酸素透過率はJIS K7126,7126Bに準じた等圧法及びJIS K7126Aに準じた差圧法によって測定可能である。
また、インク受容層中のスルフィン酸化合物は、樹脂ファイル単位面積あたりに含まれるフェノール系酸化防止剤等に対して、モル比1以上400以下含有することが好ましく、モル比10以上100以下含有することがより好ましい。樹脂ファイル単位面積当たりのフェノール系酸化防止剤の含有量はヘッドスペースGC−MSを使用して定量可能である。
前記インク受容層に使用する顔料は、インク受容層の顔料にシリカ(一般的にシリカ自体は色材を定着するものではなく、微細多孔質を形成するものである)を使用し、充分なインク定着能力を持たせた場合、シリカ以外に色材定着のためカチオン性ポリマーの添加が必須であり、カチオン性を有するためには、インク受容層pHを4.5付近に設定する必要があるため、前述した理由からスルフィン酸化合物又はチオスルホン酸化合物塩の安定保持の点で好ましくない。逆に、アルミナ水和物を用いてインク受容層とした場合、アルミナ水和物はスルフィン酸化合物又はチオスルホン酸化合物塩の解離pH以上でも有効なインク定着性を示すため、インク受容層にスルフィン酸化合物とフェノール誘導体をそれぞれ添加した場合、スルフィン酸化合物が拡散可能な状態であり、フェノール誘導体のキノメタン型誘導体への酸化反応が速やかに行われ、効率良くフェノール誘導体とスルフィン酸化合物の反応生成物を得ることが出来るため、受容層に使用する顔料としてアルミナ水和物が好ましく、特に擬ベーマイト構造を持つアルミナ水和物が好ましい。
本発明で使用されるアルミナ水和物としては、例えば、下記一般式(X)により表されるものを好適に利用できる。
Figure 0004693782
(上記式中、nは0、1、2又は3の何れかを表し、mは0〜10、好ましくは0〜5の範囲にある値を表す。但し、mとnは同時に0にはならない。mH2Oは、多くの場合、結晶格子の形成に関与しない脱離可能な水相を表すものであるため、mは整数又は整数でない値をとることができる。又、この種の材料を加熱するとmは0の値に達することがあり得る。)。
アルミナ水和物の結晶構造としては、熱処理する温度に応じて、非晶質、キブサイト型、ベーマイト型の水酸化アルミナからγ、σ、η、θ、α型のアルミナ酸化物に転移していくことが知られている。本発明に於いては、これらいずれの結晶構造のものも使用可能である。本発明において好適なアルミナ水和物としては、X線回折法による分析でベーマイト構造若しくは非晶質を示すアルミナ水和物であって、特に、特開平7−232473号公報、特開平8−132731号公報、特開平9−66664号公報、特開平9−76628号公報等に記載されているアルミナ水和物が挙げられる。
前記アルミナ水和物は、製造過程において細孔物性の調整がなされるが、前記インク受容層のBET比表面積、細孔容積を満たすためには、細孔容積が0.3〜1.0ml/gであるアルミナ水和物を用いることが好ましく、より好ましくは0.35〜0.9ml/gである。この範囲の細孔容積を有するアルミナ水和物はインク受容層の細孔容積を前記規定範囲内にする上でより好適である。また、BET比表面積については、50〜350ml/gであるアルミナ水和物を用いることが好ましく、より好ましくは100〜250ml/gである。
この範囲のBET比表面積のアルミナ水和物は、インク受容層の比表面積を前記規定範囲にする上でより好適である。本発明で云うBET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、即ち比表面積を求める方法である。通常吸着気体としては、窒素ガスが多く用いられ、吸着量を被吸着気体の圧、または容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。多分子吸着の等温線を表すのに最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であってBET式と呼ばれ表面積決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて、表面積が得られる。
インク受容層中における、スルホニル基を有するフェノール化合物と、拡散可能なスルフィン酸塩との総量が過剰になると、印字濃度が低下して印字品位を下げるため、多すぎないことが良い。良好な印字濃度を得るためには、インク定着域でのスルホニル基を有するフェノール化合物と、拡散可能なスルフィン酸塩と、の総量を、多孔質部位を構成する無機顔料(例えば、アルミナやシリカ)に対して、13重量%以下含有することが良い。より好ましくは、インク記録濃度の低下がない条件としては、この割合が1.5重量%以上7質量%以下である。また、フェノール誘導体はこのスルフィン酸化合物に対してモル比で1以下を添加することが好ましい。一方、黄変防止効果の面で、スルホニル基を有するフェノール化合物と、拡散可能なスルフィン酸塩との総量は適時定めればよいが、アルミナに換算したアルミナ水和物中のアルミナに対して1.5重量%以上添加することが好ましい。
前記、インク受容層中のインク定着域での、アルミナ水和物中のアルミナに対する反応生成物の重量%は、ミクロトームを用いて作製した断面について、TOF−SIMSを用いた硫黄とアルミナの存在比の測定とスルフィン酸化合物又は反応生成物中の硫黄含有量及びアルミナ水和物中のアルミナ含有量より、インク定着域に拡散可能な状態で存在するスルフィン酸化合物又はチオスルホン酸化合物のアルミナ水和物に対する重量%が定量可能である。
[支持体]
本発明に用いる支持体としては、特に限定されないが、プラスチック等の透明材料よりなる非吸水性支持体、紙等の不透明材料からなる吸水性支持体のいずれをも使用できる。一方、黄変防止機能の持続期間は記録媒体に含有されるスルホニル基を有するフェノール化合物と、拡散可能なスルフィン酸塩(例えば、スルフィン酸化合物又はチオスルホン酸化合物塩)との総和量に依存するため、印字品位に影響を与えずスルホニル基を有するフェノール化合物と拡散可能なスルフィン酸塩(スルフィン酸化合物又はチオスルホン酸化合物)を拡散可能に保持可能である吸水性支持体が好ましい。
染料などの色材を受容してこれを固定するインク受容層の透明性を生かす上では、透明材料からなる非吸水性支持体又は高光沢性の不透明な非吸水性支持体を用いることが好ましい。また、記録媒体の表面にキャスト工程を施し、光沢面を形成する場合は、水や溶剤成分が基材裏面から蒸発するので、繊維状支持体、即ち、紙からなる吸水性支持体が好ましい。紙からなる吸水性支持体には、澱粉、ポリビニルアルコール等でのサイズプレスを原紙上に施したものや、原紙上にコート層を設けた、アート紙、コート紙、キャストコート紙等の塗工紙等も含まれる。
吸水性支持体として紙を用いた場合は、紙(原紙)のセルロースパルプ繊維や地合いが完全に覆われるような厚みのコート層がインク受容層の下塗り層として設けられていることが好ましい。覆われていない場合、インク受容層の塗工時に、その繊維や地合いに起因する塗りムラ(スジ状欠陥等)が生じ易く、インク受容層中、若しくはインク受容層表面近傍や表面にセルロースパルプ繊維が存在していることになるので、記録媒体の表面にキャスト処理を施したとしても、良好且つ均質なキャスト面、即ち、写真調の高光沢面を得ることが困難となる場合がある。紙からなる吸水性支持体のセルロースパルプを覆うためには、コート層の乾燥塗工量が10g/m2以上、更には15g/m2以上であることが好ましい。
紙からなる吸水性支持体を用いる場合には、ステキヒトサイズ度100〜400秒、ベック平滑度100〜500秒とすることが好適である。また銀塩写真同様の質感、高級感のある記録媒体を得るためには、紙からなる吸水性支持体の坪量としては160〜230g/m2、ガーレー剛度(J. Tappi No.40、縦目)が7〜15mNになるようにすることが好ましい。
[インク受容層]
アルミナ水和物を含む塗工液は、少なくともアルミナ水和物、バインダーおよび必要に応じて架橋剤を含む塗工液であり、インク受容層用塗工液の調製においては、ホウ酸及びホウ酸塩からなる群より選ばれた1種以上をアルミナ水和物分散液と混合し、得られた混合液と、バインダーであるポリビニルアルコール水溶液とを塗工の直前で混合して塗工液とするミキシング装置を使用することが好ましい。このようにすれば、製造工程中に生じる塗工液粘度の経時的上昇やゲル化を低減することができるので、生産効率の向上を図ることができる。上記で使用するアルミナ水和物分散液中のアルミナ水和物にかかる固形分濃度は、10〜30重量%であることが好ましい。上記範囲を超える場合は、アルミナ水和物分散液の粘度が高くなり、インク受容層の粘度も高くなるので、塗工性に問題が生じる場合がある。
後述する下塗り層や、上記のインク受容層には、その他の添加剤として、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、浸透剤、着色顔料、着色染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、耐水化剤、染料定着剤等を、必要に応じて適宜に含有させることができる。後述する下塗り層や、上記のインク受容層には、その他の添加剤として、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、浸透剤、着色顔料、着色染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、耐水化剤、染料定着剤等を、必要に応じて適宜に含有させることができる。
本発明において好適なバインダーとして水溶性樹脂が好ましく、特にポリビニルアルコール樹脂が好ましい。好ましいポリビニルアルコールとして、ケン化度70〜100%のポリビニルアルコールが好ましい。また、ポリビニルアルコールの含有量はアルミナ水和物に対して、5〜20重量%になるようにするのが好ましい。
本発明において好適に使用される架橋剤として、前記バインダーと架橋反応を起こして硬化可能なものが好ましい。特にポリビニルアルコールの架橋には、ホウ素化合物が好ましい。該ホウ素化合物としては、例えば、硼砂、硼酸、硼酸塩(例えば、オルト硼酸塩、InBO3、ScBO3、YBO3、LaBO3、Mg3(BO32、Co3(BO32、二硼酸塩(例えば、Mg225、Co225)、メタ硼酸塩(例えば、LiBO2、Ca(BO22、NaBO2、KBO2)、四硼酸塩(例えば、NCB47・10H2O)、五硼酸塩(例えば、KB58・4H2O、CCB611・7H2O、CsB55)等を挙げることができる。中でも、速やかに架橋反応を起こすことができる点で、硼砂、硼酸、硼酸塩が好ましく、塗工液の経時安定性と、クラック発生の抑制効果の点から硼酸を用いることが好ましい。又、その使用量としては、インク受容層中のポリビニルアルコールに対して、硼酸固形分1.0〜15.0重量%の範囲で用いることが好ましい。
支持体上にスルフィン酸化合物又はチオスルホン酸化合物塩を含むインク受容層を形成した後、キャスト法で、インク受容層の表面に光沢面を形成することができる。その製造方法について説明する。キャスト法とは、湿潤状態、又は可塑性を有している状態にあるインク受容層を、加熱された鏡面状のドラム(キャストドラム)面に圧着し、圧着した状態で乾燥し、その鏡面をインク受容層表面に写し取る方法であり、代表的な方法として、直接法、リウェット法(間接法)、凝固法の3つの方法がある。このウエットキャスト法を用いることによってインク受容層表面に高光沢性が得られるので、より好ましい。
インク受容層、表面処理工程などにおける各塗工液の塗工は、適正塗工量が得られるように、例えば、各種ブレードコーター、ロールコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、ロッドブレードコーター、カーテンコーター、グラビアコーター、エクストルージョン方式を用いたコーター、スライドホッパー方式を用いたコーター、サイズプレス等の各種塗工装置を適宜選択して用い、オンマシン、オフマシンで塗工される。塗工時に、塗工液の粘度調製等を目的として、塗工液を加温してもよく、コーターヘッドを加温することも可能である。塗工後の乾燥には、例えば、直線トンネル乾燥機、アーチドライヤー、エアループドライヤー、サインカーブエアフロートドライヤー等の熱風乾燥機、赤外線、加熱ドライヤー、マイクロ波等を利用した乾燥機等を、適宜選択して用いることができる。
高インク吸収性、高定着性等の目的及び効果を達成する上で、その細孔物性が、下記の条件を満足するものであることが好ましい。先ず、インク受容層の細孔容積は、0.1〜1.0cm3/gの範囲内にあることが好ましい。即ち、細孔容積が、上記範囲に満たない場合は、十分なインク吸収性能が得られず、インク吸収性の劣ったインク受容層となり、場合によっては、インクが溢れ、画像に滲みが発生する恐れがある。一方、上記範囲を超える場合は、インク受容層に、クラックや粉落ちが生じ易くなるという傾向がある。又、インク受容層のBET比表面積は、20〜450m2/gであることが好ましい。上記範囲に満たない場合は、十分な光沢性が得られないことがあり、又、ヘイズが増加するため(透明性が低下するため)、画像自体に白もやが見られる恐れがある。更に、この場合には、インク中の染料の吸着性の低下を生じる恐れもあるので好ましくない。一方、上記範囲を超えると、インク受容層にクラックが生じ易くなるので好ましくない。尚、細孔容積、BET比表面積の値は、窒素吸着脱離法により求められる。
又、インク受容層の乾燥塗工量は30〜50g/m2となるようにすることが好ましい。上記範囲に満たない場合は、特に、シアン、マゼンタ、イエローの3色のインクに、ブラックインクの他、複数の淡色インクが加えられているようなプリンターに用いた場合に、十分なインク吸収性が得られず、即ち、インク溢れが生じ、ブリーディングが発生したり、基材にまでインク染料が拡散し、印字濃度が低下する場合があるので好ましくない。一方、上記範囲を超える場合には、クラックの発生を抑え切れないことが生じる恐れがある。更には、30g/m2より多いと、高温高湿環境下においても十分なインク吸収性を示すインク受容層が得られるので好ましく、乾燥塗工量を50g/m2以下とすると、インク受容層の塗工ムラが生じにくくなり、安定した厚みのインク受容層を製造できる。
本発明のインクジェット用記録媒体に色材防止剤を添加してもよい。色材劣化防止材とはインク受容層中に染料とともに存在したさい、ガス及び光などの染料を劣化させる要因より染料を守り、染料の耐候性を向上させる化合物のことを言う。一般的な例を挙げると、ヒンダードアミン系化合物、ヒンダードフェノール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、チオウレア系化合物、チウラム系化合物、ホスファイト系化合物などが挙げられ、特にヒンダードアミン化合物が好ましくもちいられるが、これらのものに限定されるものではない。
上記のインク受容層における、ヒンダードアミンの好ましい含有量としては、顔料固形分に対して0.5〜10重量%の範囲内が好ましい。上記の下限以上にすることで、十分な褪色抑制効果が得られる。また、上記の上限以下とすることで、インク吸収性の低下が起こるのを防ぐことができる。
本発明における色材劣化防止材は溶媒に溶解した調整液を、前記形成後の受容層にオーバーコートにより、受容層内に添加することが好ましい。前記色剤劣化防止剤を溶解する溶剤は、前記色剤劣化防止剤が溶解可能であれば良く、各種溶剤の使用出来る。有機溶剤としては、特に限定されるものではないが、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン類、ジエチルエーテル、エチルメチルエーテル等のエーテル類、イソプロパノール、メタノール、エタノール等のアルコール類が挙げられる。また、前記色材劣化防止材を含むオーバーコート液にスルフィン酸化合物又はチオスルホン酸化合物塩を溶解し、スルフィン酸化合物又はチオスルホン酸化合物をオーバーコート工程で受容層に添加しても良い。前記色材劣化防止材とスルフィン酸化合物又はチオスルホン酸化合物塩の溶解には複数の溶媒を使用した混合溶媒を用いても良い。
以上説明した本発明製造方法によれば、インク受容層中にスルホニル基を有するフェノール化合物と、拡散可能なスルフィン酸塩とを共存させることが可能である。
以下、実施例及び比較例を挙げて,表1に示す関係条件を満足する例示をして本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。先ず、本発明において使用した各種の物性値の測定方法や、評価方法について説明する。
<物流保存>
記録媒体の製造後から商品が販売店に納品されるまでに期間(物流期間)に相当する保存環境と同等の保存条件で保存する方式とした。前記物流保存条件は日本国内で製造後、海上輸送でアムステルダムに輸送したのと同等条件に相当する。保存方法は記録媒体をPETフィルム容器に入れて、50℃、80%R.H.の環境で10日間保存する方式とした。この際に、ファイル保管時の白地部の黄変評価は、前記試験片の白地部で樹脂ファイルから出した50mm×10mmの部分を分光光度計・スペクロトリノ(グレタグマクベス社製)を用いて測定結果と保管前の白地濃度の濃度差を用いて、白地黄変レベルを評価した。
白地黄変レベル(Δb*)=保管前のb*−保管後のb*
A:Δb*≦2目視で黄変が認められず、良好なレベル
B:2<Δb*≦3目視で黄変がまったく気にならないレベル
C:3<Δb*≦6目視で黄変が判るが、実用上可能なレベル。
<BHT暴露時の白地部の黄変評価>
評価方法は25mm×200mmの未印字の試験片を、2,6−ジ−t−ブチル−p−メチルフェノール(BHT)を5g入れたサンプル管瓶(口径27mm、深さ120mm)に、サンプル管瓶から試験片を80mmを出した状態で保管して、50℃、360時間保存を行う方式とした。また、前記保存条件は、樹脂ファイル内での1.5年間保存に相当する加速劣化試験条件である。この際に、ファイル保管時の白地部の黄変評価は、前記試験片の白地部で樹脂ファイルから出した50mm×10mmの部分を分光光度計・スペクロトリノ(グレタグマクベス社製)を用いて測定結果と保管前の白地濃度の濃度差を用いて、白地黄変レベルを評価した。
白地黄変レベル(Δb*)=保管前のb*−保管後のb*
A:Δb*≦1 目視で黄変が認められず、良好なレベル
B:Δb*≦2 目視で黄変がまったく気にならないレベル
C:2<Δb*≦3 目視で黄変が判るが、実用出来ないレベル。
<印字濃度の評価>
インクジェット方式を用いたフォト用プリンタ(商品名:PIXUS 950iキヤノン製)を用いて、上記の各記録媒体の記録面にブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、の100%Dutyのベタバッチを印字し、25℃,50%R.H.環境で3日間保存後、分光光度計・スペクトロリノ(グレタグマクベス社製)を用いて測色を行い、OD値を評価した。
A:OD値が2.20以上であり、高濃度部の階調再現性が非常に良く、実用性が高いもの
B:OD値か2.10以上2.20未満であり、Aより高濃度部の階調再現性が落ちるが、実用上問題がないレベル
C:OD値が2.00以上2.10未満であり、高濃度部の階調再現性が低いが、実用可能なレベル
また、物流保存後黄変した試料及び前記BHT暴露時の白地部の黄変評価で黄変した試料は実用できないレベルであるため、印字濃度の評価を実施しなかった。
[実施例1]
<反応生成物の作製>
三口フラスコに、0.1N硝酸を用いてpH7.0に調整したp−トルエンスルフィン酸ナトリウムをイオン交換水に溶解後、0.1N硝酸を用いてpH7.0に調整した0.22molのp−トルエンスルフィン酸ナトリウム溶液100gと2,6−t−ブチル−4−ヒドロキシメチルフェノールが0.2molになるようにエタノールに溶解した溶液100gを混合して、下記のように調整した溶解液を加えて、ボールフィルターを通した空気を通気しながら80℃で20時間還流を行って、反応生成物を得た。反応生成物をHPLCで分析を行い、2,6−t−ブチル−4−ヒドロキシメチルフェノールのピークが消えて、p−トルエンスルフィン酸と2,6−t−ブチル−4−ヒドロキシメチルフェノールの反応が終了したことを確認した。
<支持体の作製>
先ず、下記のようにして支持体を作製した。濾水度450mlCSF(Canadian Standarad Freeness)の、広葉樹晒しクラフトパルプ(LBKP)80重量部、濾水度480mlCSFの、針葉樹晒しクラフトパルプ(NBKP)20重量部からなるパルプスラリーに、カチオン化澱粉0.60重量部、重質炭酸カルシウム10重量部、軽質炭酸カルシウム15重量部、アルキルケテンダイマー0.10重量部、カチオン性ポリアクリルアミド0.03重量部を外添して紙料を調整後、長網抄紙機で抄造し、3段のウエットプレスを行って、多筒式ドライヤーで乾燥した。その後、サイズプレス装置で、酸化澱粉水溶液を固形分で1.0g/m2となるように含浸し、乾燥後、マシンカレンダー仕上げをし、坪量155g/m2、ステキヒトサイズ度100秒、透気度50秒、ベック平滑度30秒、ガーレー剛度11.0mNの支持体を得た。
次に、上記で得た支持体上に、以下のようにして下塗り層を形成した。先ず、下塗り層の形成に使用する塗工液として、カオリン(ウルトラホワイト90、Engelhard社製)/酸化亜鉛/水酸化アルミナの、重量比65/10/25からなる填量100重量部と、市販のポリアクリル酸系分散剤0.1重量部とからなる固形分濃度70重量%のスラリーに、市販のスチレン−ブタジエン系ラテックス7重量部を添加して、固形分60重量%になるように調整して組成物を得た。次に、この組成物を、乾燥塗工量が15g/m2になるように、ブレードコーターで、支持体の両面に塗工し、乾燥した。その後、マシンカレンダー仕上げをし(線圧150kgf/cm)、坪量185g/m2、ステキヒトサイズ度300秒、透気度3,000秒、ベック平滑度200秒、ガーレー剛度11.5mNの下塗り層付き支持体を得た。下塗り層付き支持体の白色度は、断裁されたA4サイズ5枚のサンプルに対して各々測定し、その平均値として求めた。その結果、L*:95、a*:0、b*:−2であった(JIS Z 8729の色相として求めた)。
(表面処理工程)
上記で得た下塗り層に対して、下記の工程からなる表面処理を行なった。先ず、30℃に加温した下記組成のプレコート液を、エアーナイフコータでウェットの塗工量16g/m2(乾燥させた場合の塗工量は0.8g/m2である)になるよう、毎分30mで塗工した。
(プレコート液)
四硼酸ナトリウム:5g
イソプロパノール:0.15g
イオン交換水を加えて総量100gに調整。
(アルミナ水和物、バインダー及び架橋剤を含む塗工液の塗工工程:工程B)
次に、インク受容層を形成したが、上記の表面処理工程での塗工後、即ち、塗工液が下塗り層に含浸されてすぐに、そのまま下塗り層上にインク受容層を形成した。その際の、インク受容層の形成に用いた塗工液及び塗工方法等は、以下の通りである。
アルミナ水和物AとしてDisperal HP13(サソール社製)を水(好ましくは、アルミナに対するゴミ対策としては純水)に固形分が5重量%になるように分散させ、次いで、これに塩酸を加え、pH値を4に調整してしばらく攪拌した。その後、この分散液を攪拌しながら95℃まで昇温し、その温度で4時間保持した。そして、この温度を保持したまま苛性ソーダによりpH値を10に調整し、10時間攪拌を行ない、その後、分散液の温度を室温に戻し、pH値を7〜8に調整した。更に脱塩処理を行い、続いて酢酸を添加して解膠処理して、コロイダルゾルを得た。このコロイダルゾルを乾燥して得られたアルミナ水和物BをX線回折により測定したところ、ベーマイト構造を示すもの(擬ベーマイト)であった。又、この時のBET比表面積は143g/m2、細孔容積は0.8cm3/gであり、電子顕微鏡での観察では、平板状であった。また、前記アルミナ水和物中のアルミナ含有量は70乃至80重量%のものを使用している。
一方、ポリビニルアルコールPVA17(クラレ(株)製)をイオン交換水に溶解して、固形分9重量%の水溶液を得た。そして、上記で調製したアルミナ水和物Bのコロイダルゾルを濃縮して22.5重量%の分散液を作製し、そこに3%ホウ酸水溶液を、アルミナ水和物Bの固形分に対してホウ酸固形分換算で0.50重量%になるように添加した。その後、得られたホウ酸含有アルミナ水和物分散液と、先に調製したポリビニルアルコール水溶液を、スタティックミキサでアルミナ水和物固形分と、ポリビニルアルコール固形分の比が100:8になるように混合し、その直後に、これをインク受容層用の塗工液とし、これをダイコータで乾燥塗工量で35g/m2になるように毎分30mで塗工した。そして、170℃で乾燥してインク受容層を形成した。
(オーバーコート工程)
次に、下記オーバーコート液をダイコータで塗工をおこない塗工量で26.4g/m2になるように毎分30mで塗工して、反応生成物の作成で得た反応生成物が反応に使用されたフェノール誘導体に換算して2.64mmol/m2になるように塗工した。そして、120℃で乾燥してインク受容層を形成した。その後、0.01N硝酸及び0.01N水酸化ナトリウム溶液を用いて、インク受容層の表面pH及び内部pHを6.2に調整した。
(オーバーコート液処方)
反応生成物 5g
イオン交換水を加えて総量100gに調整。
<裏面の形成>
次に、支持体のインク受容層を設けたとは反対側の面の下塗り層上に、以下のようにして裏面層を形成した。アルミナ水和物としてDisperal HP13/2(サソール社製)を水(好ましくは、アルミナに対するゴミ対策としては純水)に固形分が18重量%になるように分散させ、その後、遠心分離処理を施した。この分散液と、インク受容層の形成に用いたと同様のポリビニルアルコール水溶液とをスタティックミキサで、アルミナ水和物固形分とポリビニルアルコール固形分の比が100:9になるように混合後、すぐにダイコータで乾燥塗工量が23g/m2になるように毎分35mで塗工した。そして、170℃で乾燥し、裏面層を形成して記録媒体を得た。
[実施例2]
実施例1の反応生成物の作製時に、p−トルエンスルフィン酸ナトリウム溶液の濃度を0.24mol/lに変更した以外、実施例1と同様の方法で作製した。
[実施例3]
実施例1の反応生成物の作製時に、p−トルエンスルフィン酸ナトリウム溶液の濃度を0.8mol/lに変更した以外、実施例1と同様の方法で作製した。
[実施例4]
実施例1の反応生成物の作製時に、p−トルエンスルフィン酸ナトリウム溶液の濃度を2.0mol/lに変更した以外、実施例1と同様の方法で作製した。
[実施例5]
実施例1の反応生成物の作製時にp−トルエンスルフィン酸ナトリウム溶液の濃度を0.88mol/lに変更し、2,6−t−ブチル−4−ヒドロキシメチルフェノール溶液の濃度を0.8mol/lに変更した以外、実施例1と同様の方法で作製した。
[実施例6]
実施例1の反応生成物の作製時にp−トルエンスルフィン酸ナトリウム溶液の濃度を2.2mol/lに変更し、2,6−t−ブチル−4−ヒドロキシメチルフェノール溶液の濃度を2mol/lに変更した以外、実施例1と同様の方法で作製した。
[実施例7]
実施例1のオーバーコート工程で0.01規定硝酸を用いてインク受容層の表面及び内部pHを5.0に調整した以外、実施例1と同様の方法で作製した。
[実施例8]
実施例1のオーバーコート工程で0.01規定NaOH溶液を用いてインク受容層の表面及び内部pHを7.5に調整した以外、実施例1と同様の方法で作製した。
[実施例9]
実施例1のオーバーコート工程で0.01規定NaOH溶液を用いてインク受容層の表面及び内部pHを8.5に調整した以外、実施例1と同様の方法で作製した。
[実施例10]
実施例1のp−トルエンスルフィン酸ナトリウムをベンゼンスルフィン酸ナトリウムに変更した以外、同様の方法で作製した。
[実施例11]
実施例1の2,6−t−ブチル−4−ヒドロキシメチルフェノールを2−t−ブチル−4,6−ジ−メチルフェノールに変更した以外同様の方法で作製した。
[実施例12]
実施例1の2,6−t−ブチル−4−ヒドロキシメチルフェノールを2,4−ジ−t−ブチルフェノールに変更した以外同様の方法で作製した。
[実施例13]
実施例3の2,6−t−ブチル−4−ヒドロキシメチルフェノールを2,2’−メチレン−bis−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)に変更した以外同様の方法で作製した。
[実施例14]
実施例1のオーバーコート工程で作成した反応生成物を塗工せず、0.11mol/lのp−トルエンスルフィン酸ナトリウム溶液と0.1mol/lの2,6−t−ブチル−4−ヒドロキシメチルフェノールを共に塗工量で26.4g/m2になるように毎分30mでダイコータを用いて塗工を行い、その後、室温で乾燥後、空気を通気しながらオーブンで50℃で、20hr熱処理を行い、インク受容層を形成した。その後、0.01N硝酸及び0.01N水酸化ナトリウム溶液を用いて、インク受容層の表面pH及び内部pHを6.2に調整した。それ以外は、実施例1と同様の方法で行った。
[実施例15]
実施例14の室温乾燥後の試料をPETフィルムからなる容器に密閉して、オーブンで50℃、20hr熱処理を行った以外、実施例14と同様の方法で行った。
[実施例16]
後述する比較例1で形成したインク受容層に0.11mol/lのp−トルエンスルフィン酸ナトリウム溶液を塗工後、室温で乾燥させた以外、比較例1と同様の方法で作製したもの(試料A)と比較例1で作製した裏面に2,6−t−ブチル−4−ヒドロキシメチルフェノールが0.35mmol/m2存在するように0.1mol/lの2,6−t−ブチル−4−ヒドロキシメチルフェノールのエタノール溶液を塗工後、室温乾燥させたもの(試料B)を作製し、試料Aの表面と試料Bの裏面が重なるように重ね合わせた状態でPETフィルムからなる容器に密封後、空気を通気しながらオーブンで50℃、20hr熱処理を行った。前記評価には、試料Aを使用した。
[実施例17]
後述する比較例1で形成したインク受容層に0.11mol/lのp−トルエンスルフィン酸ナトリウム溶液を塗工後、室温で乾燥させた以外、比較例1と同様の方法で作製したものを、2,6−t−ブチル−4−ヒドロキシメチルフェノールを0.035mmol/m2含有するPETフィルムからなる容器に密封後、空気を通気しながらオーブンを使用して50℃で20hr熱処理を行った。
[実施例18]
比較例1で形成したインク受容層に0.11mol/lのp−トルエンスルフィン酸ナトリウム溶液を塗工後、120℃で乾燥させた以外、比較例1と同様に記録媒体を作製し、A4サイズに仕立てたサンプルをキヤノン製PIXUS950iを用いて白ふちがある画像を印字させたものを、2,6−t−ブチル−4−ヒドロキシメチルフェノールを0.035mmol/m2含有するPETフィルムからなる容器に密封後、空気を通気しながらオーブンを使用して50℃で20hr熱処理を行った。
本サンプルの評価には、非印字部及び白ふち部を使用した。
[比較例1]
実施例1のオーバーコート液を塗工する工程を除いた以外、同様に作製した。
[比較例2]
実施例1のオーバーコート液中の反応生成物の代わりに、0.0022mol/gのp−トルエンスルフィン酸ナトリウムに変更してインク受容層を形成後、0.1N塩酸溶液を渡航して紙面pHを4.0に調整した以外、同様に作製した。
[比較例3]
実施例1のオーバーコート液中の反応生成物の代わりに、0.002mol/gの4−スルフォメチルフェノールに変更した以外、同様に作製した。
以下に、上記実施例及び比較例の結果を示す。
Figure 0004693782
本発明で言う「フェノール誘導体」は、実施例で使用したものと類似の構造をもち、樹脂の安定化剤として使用されている、オルト位とパラ位に電子供与性基を持ったフェノール誘導体であれば、同様の反応と効果を得られる。実施例では前記フェノール誘導体の代表的なものを使用した。また、実施例1乃至実施例18では、インク受容層にスルフィン酸化合物とフェノール誘導体の反応生成物である「スルホニル基を有するフェノール化合物と拡散可能なスルフィン酸塩」が共存しており、これらの黄変防止効果はスルフィン酸化合物と前記反応生成物の相乗効果に起因するものである。
尚、スルフィン酸化合物とフェノール誘導体をそれぞれ別々に添加している場合は、作製直後の記録媒体中にある残留フェノール誘導体成分の存在を測定して、反応生成物の生成有無を判断すればよい。方法としては、作製直後のエタノール溶液に室温で30分浸漬して、受容層中の成分を抽出し、HPLCを用いてフェノール誘導体有無について分析を行う。このとき、前記キノメタン型誘導体及びフェノール誘導体が検出されなければ、スルフィン酸化合物と反応してスルホニル基を有するフェノール化合物を反応生成物として得たものと認定した。また、検出された場合は、反応が起きず、スルフィン酸化合物およびフェノール誘導体がそれぞれ存在しているものとした。上記以外のサンプルについても、評価を実施した。この結果、受容層pH以外同一条件にも関わらず、スルフィン酸化合物とフェノール誘導体の反応生成物は生成されない場合の原因として、インク受容層pHが低過ぎると、フェノール誘導体の反応活性が低くなったり、インク受容層pHが低過ぎるとスルフィン酸化合物が湿気等の外的要因での拡散できない遊離酸として存在してしまい、反応が起きにくくなることが見られたので、上述した条件の範囲内で実施することが好ましい。
また、この抽出液から反応成分の構造について、NMRを用いて構造特定を実施したところ、一般式(I)又は(II)の構造であることを確認できた。つまり、上記実施例中において本発明で言うところの「スルホニル基を有するフェノール化合物と拡散可能なスルフィン酸塩」を共存する構成において、スルフィン酸化合物とフェノール誘導体の反応生成物として、前述した一般式(I)又は(II)の構造を含むことを確認した。
また、上記で得たインク受容層の表面及び内部pHの測定は、日本紙パルプ技術協会(J.TAPPI)の定めた表面及び内部pHの測定の内A法(塗布法)により、測定をおこない、前記A法に相当する株式会社共立理化研究所製の紙面用pH測定キット(形式MPC)を使用して、インク受容層の表面及び内部pHの測定を行った。また、インク受容層の内部pHは、上記方法で表面及び内部pH測定後にミクロトームで作製した断面をマイクロスコープで確認し、検査キットの塗布液がインク受容層に完全に浸透していること及び記録面から支持体までの範囲で、色むらが無く均一に呈色していることより、インク受容層の内部pHは表面及び内部pHと同一であることを確認したものである。
本発明の技術思想からすれば、BHTが吸着されるような微細孔を有する物品に対して、
スルフィン酸化合物とフェノール誘導体の反応生成物を導入することによって、長期の格別な黄変防止効果を得ることができる。この点からすると、本発明の応用は多分野に展開でき、アルミナ水和物以外の微細多孔質体や各種物品にも応用できることは当事者ならば、十分理解できるものである。
本発明は、スルホニル基を有するフェノール化合物と拡散可能なスルフィン酸塩を共存させている物品に代表される構成要件により、従来では得られなかった黄変防止効果を確実に得ることができ、その効能も長期にわたって安定して得ることができた。
従って、上記態様(1)によれば、インク記録される媒体自体の白色維持効果を発揮でき、インク記録された後、樹脂ファイルに長期保存しても白地部の黄変防止効果を維持できる。上記態様(2)によれば、インクジェト用記録媒体を製造後、海上輸送で海外まで輸送するのにかかる物流保存期間内で発生する黄変防止性能の維持が達成出来るほか、印字後の白地部の黄変防止効果を維持できる。上記態様(5)乃至(8)のいずれも、上述した白地黄変防止効果をもつ記録媒体を、効率よく製造できる製造方法を提供することができる。
上記第3課題を解決する態様(3)によれば、上述した長期的且つ高信頼性の黄変防止効果に加えて、印字濃度の低下を抑制する効果があり、上記態様(4)によれば、印字濃度の低下がなく、印字後の印字品質を損なわず、長期にわたる画像保存性とファイル保存時の白地黄変防止ができ、物流保存期間内でも、ファイル保存でも黄変防止効果がある。
この出願は2004年11月19日に出願された日本国特許出願番号第2004−336606号からの優先権を主張するものであり、その内容を引用してこの出願の一部とするものである。

Claims (8)

  1. 支持体上に微細多孔質構造のインク受容層を有するインクジェット用記録媒体であって、
    前記微細多孔質構造のインク受容層、スルホニル基を有するフェノール化合物と、拡散可能なスルフィン酸塩と、を有し、
    前記スルホニル基を有するフェノール化合物は、下記式(I)で表される化合物及び下記式(II)で表される化合物のうち少なくとも1種である
    ことを特徴とするインクジェット用記録媒体。
    Figure 0004693782
    (上記式中、R1、R2は水素、または置換、無置換の直鎖、分岐又は環状のアルキル基(炭素数1〜30)、アルコキシ基(炭素数1〜20)、置換または無置換のアリール基(炭素数6〜30)、1もしくは2置換アミノ基(炭素数1〜20のアルキル基、アシル基、アルケニル基)、スルフィド、ジスルフィド、アミド基、エステル基、アルケニル基、ヒドロキシル基、置換または無置換のウレイド基(炭素数1〜20)であり、またビス体を形成しても良い。R1、R2は両方とも水素であることはなく、水素ではないR1、R2の少なくとも一つはオルト位に位置している。R3は炭素数1〜30の置換又は無置換の飽和又は不飽和アルキレン基、カルボニル基、チオカルボニル基を示し、R4は、飽和アルキル基,アルコキシ基、アルケニル基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換のアリールオキシ基を示し、これらの官能基はヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキル基、で置換されてもよい。)
    Figure 0004693782
    (上記式中、R1、R2は水素、または置換、無置換の直鎖、分岐又は環状のアルキル基(炭素数1〜30)、アルコキシ基(炭素数1〜20)、置換または無置換のアリール基(炭素数6〜30)、1もしくは2置換アミノ基(炭素数1〜20のアルキル基、アシル基、アルケニル基)、スルフィド、ジスルフィド、アミド基、エステル基、アルコキシ基、アルケニル基、ヒドロキシル基、置換または無置換のウレイド基(炭素数1〜20)であり、またビス体を形成しても良い。R1、R2は両方とも水素であることはなく、水素ではないR1、R2の少なくとも一つはオルト位に位置している。R3は、飽和アルキル基,アルコキシ基、アルケニル基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換のアリールオキシ基を示し、これらの官能基はヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキル基、で置換されてもよい。)
  2. 記インク受容層の表面pH及び内部pHが5.0以上8.5以下であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット用記録媒体。
  3. 前記インク受容層は無機顔料を有し、前記無機顔料に対して、前記スルホニル基を有するフェノール化合物と、前記拡散可能なスルフィン酸塩との総和が1.5質量%以上13.0質量%以下である請求項1または2に記載のインクジェット用記録媒体。
  4. 前記インク受容層は無機顔料を有し、前記無機顔料に対して、前記スルホニル基を有するフェノール化合物と、前記拡散可能なスルフィン酸塩との総和が1.5質量%以上7.0質量%以下である請求項1または2に記載のインクジェット用記録媒体。
  5. 支持体上に微細多孔質体であるインク受容層を形成する工程と、
    前記インク受容層に所定モル数のスルフィン酸化合物を含む塗工液を塗工する工程と、
    前記インク受容層に前記スルフィン酸化合物のモル数より少ないモル数のフェノール誘導体を供給する工程と、
    前記インク受容層中で前記スルフィン酸化合物の一部と前記フェノール誘導体とを反応させて下記式(I)で表される化合物及び下記式(II)で表される化合物のうち少なくとも1種と、拡散可能なスルフィン酸塩とを共に存在させる工程と、
    を有することを特徴とするインクジェット用記録媒体の製造方法。
    Figure 0004693782
    (上記式中、R1、R2は水素、または置換、無置換の直鎖、分岐又は環状のアルキル基(炭素数1〜30)、アルコキシ基(炭素数1〜20)、置換または無置換のアリール基(炭素数6〜30)、1もしくは2置換アミノ基(炭素数1〜20のアルキル基、アシル基、アルケニル基)、スルフィド、ジスルフィド、アミド基、エステル基、アルケニル基、ヒドロキシル基、置換または無置換のウレイド基(炭素数1〜20)であり、またビス体を形成しても良い。R1、R2は両方とも水素であることはなく、水素ではないR1、R2の少なくとも一つはオルト位に位置している。R3は炭素数1〜30の置換又は無置換の飽和又は不飽和アルキレン基、カルボニル基、チオカルボニル基を示し、R4は、飽和アルキル基,アルコキシ基、アルケニル基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換のアリールオキシ基を示し、これらの官能基はヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキル基、で置換されてもよい。)
    Figure 0004693782
    (上記式中、R1、R2は水素、または置換、無置換の直鎖、分岐又は環状のアルキル基(炭素数1〜30)、アルコキシ基(炭素数1〜20)、置換または無置換のアリール基(炭素数6〜30)、1もしくは2置換アミノ基(炭素数1〜20のアルキル基、アシル基、アルケニル基)、スルフィド、ジスルフィド、アミド基、エステル基、アルコキシ基、アルケニル基、ヒドロキシル基、置換または無置換のウレイド基(炭素数1〜20)であり、またビス体を形成しても良い。R1、R2は両方とも水素であることはなく、水素ではないR1、R2の少なくとも一つはオルト位に位置している。R3は、飽和アルキル基,アルコキシ基、アルケニル基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換のアリールオキシ基を示し、これらの官能基はヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキル基、で置換されてもよい。)
  6. 前記フェノール誘導体を供給する工程が、フェノール誘導体を塗工後、前記インク受容層内でフェノール誘導体を酸化してキノメタン型酸化体とする酸化工程を含む請求項5に記載のインクジェット用記録媒体の製造方法。
  7. 前記フェノール誘導体を供給する工程が、フェノール誘導体を含む高分子材料からなる密閉可能なフィルム容器に、インク受容層にスルフィン酸化合物を含むインクジェット用記録媒体を密封し、前記フェノール誘導体を該容器内の気相を介してインク受容層に供給後、該インク受容層内に供給されたフェノール誘導体を酸化して前記キノメタン型酸化体を形成することにより行う請求項5に記載のインクジェット用記録媒体の製造方法。
  8. 前記インク受容層は、アルミナ水和物とバインダーを含む塗工液を塗工して形成された擬べーマイト層である請求項5〜7のいずれか1項に記載のインクジェット用記録媒体の製造方法。
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