本発明は、眼鏡レンズのコバ端面に形成されるヤゲンの軌跡を表示させてチルトさせるヤゲンのチルト操作方法及びその装置に関する。
従来から、仕上加工後の眼鏡レンズのレンズ形状やその眼鏡レンズを眼鏡フレームに枠入れするときのシミュレーション、演算処理に関するレンズ形状表示装置、レンズ形状データ処理装置及びそれらを有する眼鏡レンズ周縁加工装置として、種々のものが考案されてきた(例えば、特許文献1〜7参照)。
特開昭61-274859号
特開平2-212059号
特開平3-135710号
特開平4-146067号
特開平5-111866号
特開平8-287139号
特開平10-156685号
また、従来から、眼鏡レンズを眼鏡フレームに枠入れする際に、フレーム溝(ヤゲン溝あるいはリム溝ともいう)に合致するように眼鏡レンズのコバ周縁(コバ端面ともいう)にヤゲン形状が設けられているが、このヤゲン形状(ヤゲン軌跡)を形成する際に、コバ周縁を比率でヤゲンを形成する方式や、フレームカーブに沿ったヤゲンカーブでヤゲンを形成する方式等が採られてきた。
しかしながら、比率ヤゲン方式やヤゲンカーブ方式のいずれであっても、コバ周縁のある限られた数箇所のコバ厚データ、眼鏡フレームの限られた数箇所のフレーム形状データを基にヤゲン軌跡を求めているので、仕上加工後の眼鏡レンズが眼鏡フレームのヤゲン溝に完全に合致することは理論的に困難であるので、このヤゲン軌跡を最小コバ位置の点を基準にして傾斜させることが行われている。
ところが、この最小コバ位置点を基準点としたチルトヤゲン方式では、図34に示したように、ヤゲン軌跡、すなわち眼鏡フレームのヤゲン溝をある球面で作られる曲面上の軌跡として演算処理され、その軌跡を所定傾斜させているので、コバ厚が連続して変化する累進多焦点レンズやコバ厚が断続的に変化するEXレンズ等でヤゲン軌跡がコバ面から外れる虞があり、仕上加工後の眼鏡レンズが眼鏡フレームのフレーム溝(ヤゲン溝)に合致せず、外れることが多かったのである。
そこで、本発明の目的は、最小コバ位置点を基準点としたチルトヤゲン方式ではヤゲン軌跡がコバ面から外れる虞があるようなコバ厚を有する場合でも、ヤゲンがコバから外れることがないように任意のコバ位置のヤゲンを見ながらチルトさせることができるヤゲンのチルト操作方法及びその装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、メガネフレームのレンズ枠のレンズ枠形状データに基づくレンズ枠形状を前記レンズ枠に枠入れされる眼鏡レンズの玉型形状として表示手段に表示させ、前記レンズ枠形状データに基づく前記眼鏡レンズのコバ端のコバ厚の形状および前記コバ端に形成するヤゲンのヤゲンカーブの形状を前記表示手段に重ねて表示させると共に、前記表示された前記ヤゲンのヤゲンカーブが前記コバ厚方向に移動操作されたときに、前記ヤゲンカーブの表示位置を移動させるヤゲンのチルト操作方法であって、前記玉型形状の任意の点をチルト操作点として設定すると共に、前記チルト操作点と前記玉型形状の光軸を通る直線が前記玉型形状と交差する他の点をチルト基準点として、前記チルト操作点の前記コバ厚方向の位置を変更する入力がされたときに、前記ヤゲンカーブを前記チルト基準点を中心に回動させてチルトさせて、前記ヤゲンカーブの前記コバ厚方向の表示位置を移動させるヤゲンのチルト操作方法としたことを特徴とする。
また、上記課題を解決するため、請求項2の発明は、請求項1に記載のヤゲンのチルト操作方法において、前記コバ端の形状は、前記玉型形状の上側及び下側に位置させて前記表示手段にそれぞれ表示させられた前記眼鏡レンズの上側のコバ面の形状および下側のコバ面の形状であることを特徴とする。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2に記載のヤゲンのチルト操作方法において、前記コバ端の形状は、前記チルト操作点における前記コバ端部の断面および前記ヤゲンの断面を含むコバ厚形状であることを特徴とする。
また、請求項4の発明は、メガネフレームのレンズ枠のレンズ枠形状データを入力するレンズ枠形状データ入力手段と、前記レンズ形状データに基づく前記眼鏡レンズのコバ厚形状データを入力するコバ厚形状データ入力手段と、前記眼鏡レンズのコバ端面に形成されるヤゲン形状に関するヤゲン形状データを入力するヤゲン形状データ入力手段と、前記レンズ枠のレンズ枠形状を玉型形状として表示させる表示手段と、前記レンズ枠形状データに基づき前記レンズ枠のレンズ枠形状を前記眼鏡レンズの玉型形状として求めて、前記玉型形状を前記表示手段に表示させる一方、前記コバ厚形状データに基づき前記眼鏡レンズのコバ端のコバ厚を求めると共に、前記コバ端に形成するヤゲンのヤゲンカーブを前記表示手段に表示させる演算制御回路と、を備えると共に、前記演算制御回路は、前記コバ端のコバ厚方向における前記ヤゲンを形成する位置を求めて、前記ヤゲンを前記コバ端の形状と共に前記表示手段に重ねて表示させると共に、前記表示された前記ヤゲンのヤゲンカーブが前記コバ厚方向に移動操作されたときに、前記ヤゲンカーブの表示位置を移動させるヤゲンのチルト操作装置であって、前記演算制御回路は、前記玉型形状の任意の点をチルト操作点として設定したとき、前記チルト操作点と前記玉型形状の光軸を通る直線が前記玉型形状と交差する他の点をチルト基準点とすると共に、前記チルト操作点の前記コバ厚方向の位置を変更させるチルト量が入力されたときに、前記ヤゲンカーブを前記チルト基準点を中心に回動させてチルトさせて、前記ヤゲンカーブの前記コバ厚方向の表示位置を移動させるヤゲンのチルト操作装置としたことを特徴とする。
また、請求項5の発明は、請求項4に記載のヤゲンのチルト操作装置において、前記コバ端の形状は、前記玉型形状の上側及び下側に位置させて前記表示手段にそれぞれ表示させられた前記眼鏡レンズの上側のコバ面の形状および下側のコバ面の形状であることを特徴とする。
また、請求項6の発明は、請求項4又は5に記載のヤゲンのチルト操作装置において、前記コバ端の形状は、前記チルト操作点における前記コバ端部の断面および前記ヤゲンの断面を含むコバ厚形状であることを特徴とする。
この発明によれば、ヤゲンの軌跡をチルトさせたい任意のコバ位置を表示し、操作パネル部によりそのコバ位置でヤゲンを希望位置に調整し、演算手段によりヤゲンの軌跡をチルトさせるようにしているので、最小コバ位置点を基準点としたチルトヤゲン方式ではヤゲン軌跡がコバ面から外れる虞があるようなコバ厚を有する場合でも、ヤゲンがコバから外れることがないように任意のコバ位置のヤゲンを見ながらチルトさせることができる。また、任意のコバ位置のヤゲンは、コバ厚形状を示す線とともに表示されたヤゲン頂点を示す軌跡からなるものであってもいいし、コバ厚形状とともに表示されたヤゲン断面形状からなるものであってもよく、任意のコバ位置のヤゲンを見ながらチルトさせることができる。
以下、この発明にかかる眼鏡レンズの適合判定表示装置の一実施の形態を図面を基に説明する。
図2において、1はフレーム形状測定装置、2はフレーム形状測定装置1からの眼鏡用形状データを基に被加工レンズを眼鏡レンズの形状に研削加工する玉摺機(レンズ周縁加工装置)である。
(1)フレーム形状測定装置1
フレーム形状測定装置(レンズ枠形状データ入力手段)1は、図4に示した様に、上面10aの中央に開口10bを有する測定装置本体10と、測定装置本体10の上面10aに設けられたスイッチ部11を有する。このスイッチ部11には、左右の測定モード切り換え用のモード切換スイッチ12,測定開始用のスタートスイッチ13,及びデータ転送用の転送スイッチ14を有する。
また、フレーム形状測定装置1は、図4に示した様な眼鏡Mの眼鏡枠(メガネフレーム)MFの左右のレンズ枠LF,RFを保持する眼鏡枠(メガネフレーム)保持機構(保持手段)15,15´及びその操作機構16(図5(a)参照)を有すると共に、図7に示した様な測定部移動機構100及びこの測定部移動機構100に支持されたフレーム形状測定部(フレーム形状測定手段)200を有する。
この測定部移動機構100はフレーム形状測定部100を眼鏡枠保持機構15,15´間で移動させるものであり、フレーム形状測定部200は眼鏡枠MF即ち眼鏡枠MFのレンズ枠LF(RF)の形状測定を行わせるものである。そして、これら眼鏡枠保持機構15,15´,操作機構16,測定部移動機構100,フレーム形状測定部200等は測定装置本体10内に設けられている。
尚、図7において、101は測定装置本体10の下部内に配設されたシャーシである。また、図5中、17,18はシャーシ101に図示しない部分で上下に向けて固定され且つ互いに平行に設けられた支持枠、19は支持枠18の外面(支持枠17とは反対側の面)に突設された係止ピン、20は支持枠18の上端部に設けられた円弧状スリット、21,22は支持枠17,18に設けられた取付孔である。この取付孔22は円弧状スリット20と係止ピン19との間に位置させられ、円弧状スリット20は取付孔22と同心に設けられている。
<操作機構16>
操作機構16は、支持枠17,18の取付孔21,22に回転自在に保持された操作軸23と、操作軸23の一端部(支持枠18側の端部)に固定された従動ギヤ24と、支持枠18及び測定装置本体10の正面10cを貫通する回転軸25と、回転軸25の一端部に固定され(又は一体に設けられ)且つ従動ギヤ24に噛合する駆動ギヤ26と、回転軸25の他端部に取り付けられた操作レバー27を有する。図中、23aは操作軸23に設けた偏平部で、この偏平部23aは操作軸23の両端部近傍まで設けられている。
尚、測定装置本体10には上面10a及び正面10cに跨る凹部28が形成され、この凹部28の上面には円弧状の突部29が形成され、上面10aには突部29の左右に位置させて「開」,「閉」が付されている。そして、凹部28の正面に上述した操作レバー27が配設され、操作レバー27の上端部に設けられた折曲部すなわち指示部27aが突部29上を移動するようになっている。
また、従動ギヤ24と係止ピン19との間には、枠保持(上述の「閉」に対応)及び枠保持解除(上述の「開」に対応)を行わせる2位置保持機構(2位置保持手段)30が設けられている。
この2位置保持機構30は、上述の円弧状スリット20と、従動ギヤ24の側面に突設され且つ円弧状スリット20を貫通する可動ピン31と、可動ピン31と係止ピン19との間に介装されたスプリング(引っ張りコイルバネ)32を有する。この円弧状スリット20は、上述の様に取付孔22と同心となっているので、従動ギヤ24,操作軸23とも同心となっている。この為に、可動ピン31は、スプリング32の引張力により円弧状スリット20の両端部20a,20bのいずれか一方に保持されることになる。
更に、操作機構16は、操作軸23の長手方向に移動可能に且つ周方向には僅かに相対回転可能に保持された一対の筒軸33,33を有する。この筒軸33内の切円状挿通孔33aの偏平部33bと操作軸23の偏平部23aとの間には図5(b),(c)に示した様に僅かな間隙Sが形成されている。この筒軸33,33には自己の弾性力により伸縮可能な弾性部を有する紐状体34(図5(a)では一方のみを図示)がそれぞれ取り付けられている。この紐状体34は、筒軸33に一端部が固定されたスプリング(弾性部)35と、スプリング35の他端部に連設されたワイヤ36を有する。
<枠保持機構15,15´>
この枠保持機構15,15´は同じ構造であるので、枠保持機構15についてのみ説明する。
枠保持機構15は、水平方向に移動可能に且つ互いに相対接近・離反可能に測定装置本体10内に保持された一対の可動枠37,37を有する。この各可動枠37は、水平板部38と、この水平板部38の一端部に上下に向けて連設された鉛直板部39からL字状に形成されている。そして、鉛直板部39には筒軸33が回転自在に且つ軸方向には移動不能に保持されている。
また、枠保持機構15は、図6に示した様に可動枠37,37の水平板部38,38間に介装された引っ張りコイルスプリング40と、水平板部38の先端縁部の中央に固定された支持板41と、支持板41の水平板部38上方に突出する部分と鉛直板部39との間に配設されたツメ取付板42を有する。このツメ取付板42は、一側部42aの軸状の支持突部42cを中心に回動可能に支持板41と鉛直部39に保持されている。尚、ツメ取付板42の後部側の軸状の支持突部の図示は省略してある。
このツメ取付板42の他側部42bの先端には軸状で先細りテーパ状の保持ツメ43が突設され、ツメ取付板42の他側部の後端部には軸状の保持ツメ44の後端部が支持軸45で回動可能に保持されている。この保持ツメ44は、基部44aが図5(d)に示した様に方形板状に形成され且つ先端部が先細りテーパ状に形成されていると共に、支持軸45を中心に回動して、保持ツメ43に対して相対接近・離反するようになっている。しかも、保持ツメ44の先端部とツメ取付板42とは、支持軸45に捲回した図示しないトーションスプリングで常時開く方向にバネ付勢されている。
更に、鉛直板部39には、保持ツメ44の上方に位置させて、L字状の係合ツメ46が突設されている。この係合ツメ46の先端部の下方に延びるエッジ状爪部46aは保持ツメ44に係合させられている。これにより、ツメ保持板42の他側部42bが一側部42aを中心に上方に回動させられると、保持ツメ43,44の間隔がトーションスプリング(図示せず)のバネ力に抗して狭められる様になっている。なお、図5(d)に示すように、係合ツメ46のエッジ状爪部46aは、保持ツメ44の略中央部に係合する。また、係合ツメ46と筒軸33との間には、鉛直板部39に回転自在に保持させたアイドルプーリ47が配設されている。このアイドルプーリ47には上述したワイヤ36が支持され、ワイヤ39の端部が両側部42a,42b間に位置させてツメ取付板42に固定されている。
また、各可動枠37,37は対向部側が図4,図6に示したフレームガイド部材48でカバーされている。このフレームガイド部材48は、水平板部38の先端に固定された鉛直板部48aと、鉛直板部39の上端に固定された水平板部48bと、板部48a,48bが連設するコーナに連設され且つ水平板部48b側に傾斜する傾斜ガイド板部48cを有する。そして、鉛直板部48aには保持ツメ43,44に対応して開口48dが形成され、保持ツメ44は開口48dから突出させられている。また、保持ツメ43の先端部は、保持ツメ44,43が図6(a),(b)の如く最大に開いている状態では、開口48d内に位置するようになっている。
この様な構成において、フレームガイド部材48,48の傾斜ガイド板部48c,48cは、上端に向うにしたがって互いに開く方向に傾斜している。従って、眼鏡(メガネ)の眼鏡枠(メガネフレーム)MFを図6(a)の如く傾斜ガイド板部48c,48c間に配設して、眼鏡枠MFをコイルスプリング40のバネ力に抗して上から押し下げると、傾斜ガイド板部48c,48cのガイド作用により、フレームガイド部材48,48の間隔が広げられて、眼鏡枠MF即ち眼鏡枠MFのレンズ枠LF(RF)が保持ツメ43,43上まで移動させられて保持ツメ43,43に係止される。
この様な状態において、操作レバー27を「開」位置から「閉」位置に回動操作すると、この回動が回転軸25,ギヤ26,24,操作軸23を介して筒軸33に伝達されてスプリング35の一部が筒軸33に捲回されることにより、スプリング35に連設されたワイヤ36を介してツメ取付板42が一側部42aを中心に上方に回動させられ、保持ツメ43,44の間隔が図6(c)の如く狭められて、眼鏡枠MF即ち眼鏡枠MFのレンズ枠LF(RF)が図6(c)の如く保持ツメ43,44間に保持される。この位置では、可動ピン31が円弧状スリット20下端部20aにスプリング32のバネ力により保持されることになる。
尚、眼鏡枠MF即ち眼鏡枠MFのレンズ枠LF(RF)を保持ツメ43,44間から取り外す場合には、操作レバー27を上述とは逆に操作することにより、各部材が上述とは逆に動作する。
<測定部移動機構100>
この測定部移動機構100は、枠保持機構15,15´の配設方向に間隔をおいてシャーシ101上に固定した支持板102,103と、支持板102,103間の上部に渡架したガイドレール104を有する。尚、このガイドレール104は2本設けられているが、他方の図示は省略している。また、この2本のガイドレール104,(他方図示せず)は、紙面と直交する方向に間隔をおいて平行に配設されていいる。尚、図7,8は図4の測定部移動機構を概略的に示している。
また、測定部移動機構100は、ガイドレール104の延びる方向に移動自在にガイドレール104,(他方図示せず)に保持されたスライドベース105と、ガイドレール104,(他方図示せず)間の下方に位置させて支持板102,102に回転自在に保持された送りネジ106と、送りネジ106を回転駆動する測定部移動用モータ107を有する。
尚、送りネジ106はガイドレール104と平行に設けられ、測定部移動用モータ107はシャーシ101に固定されている。しかも、スライドベース105には下方に延びる鉛直板部105aが一体に設けられていて、この鉛直板部105aの図示しない雌ネジ部には送りネジ106が螺着されている。これにより、送りネジ106を回転操作することにより、スライドベース105が図7中左右に移動操作されるようになっている。
図7中、108はシャーシ101の左端上に固定された上下に延びる支持板、109は支持板108の上端に左端が固着されたホルダ支持片、110はホルダ支持片109の先端部側面に取り付けられたマイクロスイッチ(センサ)である。このマイクロスイッチ110は、フレーム枠形状(玉型形状)に形成された型板あるいはデモレンズ等の玉型を保持する玉型ホルダ111を検出するために用いられる。尚、マイクロスイッチ110は図5の支持枠17あるいは18に取り付け、保持ツメ43,44が玉型ホルダ111を保持する際に、可動枠37,37が接触することによって、玉型ホルダ111を検出してもよい。
この玉型ホルダ111は、玉型保持板部111aと、この玉型保持板部111aの一端部に下方に向けて連設された玉型フィラー起立用板部111bとから断面形状がL字状に形成されている。そして、玉型保持板部111aには玉型保持ボス部111cが一体に設けられ、玉型保持ボス部111cには玉型112が保持されている。
図7中、113は玉型保持板部111aの他端に保持された固定ネジで、この固定ネジ113により玉型保持板部111aをホルダ支持片109の先端部上に固定すると、玉型保持板部111aがマイクロスイッチ110の感知レバー110aに当って、玉型112の測定可能状態であることが検出される様になっている。
<フレーム形状測定部200>
図7に示したフレーム形状測定部200は、スライドベース105を貫通し且つこのスライドベース105に回転自在に保持された回転軸201と、回転軸201の上端部に取り付けられた回転ベース202と、回転軸201の下端部に固定されたタイミングギヤ203と、回転軸201に隣接してスライドベース105上に固定されたベース回転モータ204と、ベース回転モータ204の出力軸204aに固定されたタイミングギヤ205と、タイミングギヤ203,205間に掛け渡されたタイミングベルト206を有する。尚、出力軸204aは、スライドベース105を貫通して下方に突出している。207,208は回転ベース202の両端部に突設された支持板である。
また、フレーム形状測定部200は、計測部210と、測定子位置決手段250を有する。
(計測部210)
計測部210は、支持板207,208の上部間に渡架した2本のガイドレール211,(他方図示せず)と、このガイドレール211,(他方図示せず)に長手方向に移動自在に保持された上スライダ212と、上スライダ212の移動方向の一端部を上下に貫通する測定軸213と、測定軸213の下端部に保持されたローラ214と、測定軸213の上端部に設けられたL字状部材215と、L字状部材215の上端に設けられた測定子(フィラー)216を有する。この測定子216の先端は測定軸213の軸線と一致させられている。尚、この測定軸213は、上スライダ212に上下動自在且つ軸線回りに回転自在に保持されている。
しかも、計測部210は、上スライダ212のガイドレール211に沿う移動量(動径ρi)を測定して出力する動径測定手段217と、測定軸213の上下方向(Z軸方向)の移動量すなわち測定子216の上下方向の移動量Ziを測定して出力する測定手段218を有する。この測定手段217,218にはマグネスケールやリニアセンサを用いることができ、その構造は周知であるのでその説明は省略する。また、計測部210は、上スライダ212の他端部上に配設され且つ水平断面が蒲鉾状に形成された玉型用測定子219と、玉型用測定子219を上スライダの212の移動方向に起倒自在に上スライダ212の他端部上の突部212aに取り付けている回動軸220を有する。
この玉型用測定子219は、回動軸220の近傍に位置して測定面側とは反対側に突出する起立駆動片219aと、上スライダ212の側方に突出するスイッチ操作片219bとを有する。この上スライダ212の側面と起立駆動片219aの基部側面との間にはスプリング221が介装されている。しかも、スプリング221は、玉型用測定子219が図7(a)のごとく倒伏している状態では、スプリング221が回動軸220の上方に位置して、玉型用測定子219を倒伏位置に保持すると共に、玉型用測定子219が図7(b)のごとく起立している状態では、スプリング221が回動軸220の下方に位置して、玉型用測定子219を起立位置に保持する様に設定されている。
尚、この起立位置では、玉型用測定子219は図示しないストッパで図7中右側に倒れないようになっている。しかも、上スライダ212の側面には、玉型用測定子219が倒伏しているのを検出する手段としてのマイクロスイッチ(センサ)222と、玉型用測定子219が起立しているのを検出する手段としてのマイクロスイッチ(センサ)223が設けられている。
しかも、図7(a)の状態において、測定部移動用モータ107を作動させて、スライドベース105を図7中左方に移動させると、起立駆動片219aの先端が玉型ホルダ111の玉型フィラー起立用板部111bに当って、スプリング221のバネ力に抗して玉型用測定子219が回動軸220を中心に時計回り方向に回動させられる。この回動に伴い、スプリング221が回動軸220を越えて上方に移動すると、このスプリング221のバネ力により玉型用測定子219が起立させられて、この玉型用測定子219が図示しないストッパとスプリング221の作用により起立位置に図7(b)の如く保持される様になっている。
このマイクロスイッチ222は玉型用測定子219の倒伏時に玉型用測定子219の測定面で直接ONさせられ、マイクロスイッチ223は玉型用測定子219の起立時にスイッチ操作片219bでONさせられる様になっている。208aは支持板208に設けられたストッパ、224は支持板208に取り付けられたアーム、225はアーム224の先端部に取り付けられたマイクロスイッチ(センサ)である。このマイクロスイッチ225は、上スライダ212がスライダストッパ208aに当接したときにONして、上スライダ212の初期位置を検出する様になっている。
また、支持板207の上部側面にはプーリ226が回転自在に保持され、上スライダ212の一端部にワイヤ227の一端部が固定され、ワイヤ227の他端部にスプリング228の一端部が係止され、スプリング228の他端部がアーム224の先端部に取り付けられている。尚、ワイヤ227はプーリ226に掛け渡されている。
(測定子位置決手段250)
この測定子位置決手段250は、支持板207,208の下部間に渡架された2本のガイドレール251,(他方図示せず)と、ガイドレール251,(他方図示せず)に長手方向に移動自在に保持された下スライダ252と、下スライダ252の下方に位置させて回転ベース202に固定された駆動モータ253と、駆動モータ253に近接させて回転ベース202の側面の略中央部付近に突設された係止ピン(ストッパ)254を有する。
下スライダ252の下面にはラック歯255が移動方向に配列され、下スライダ252の側面には移動方向に間隔をおいて係止ピン(ストッパ)256,257が突設され、駆動モータ253の出力軸にはラック歯255に噛合するギヤ258が固定されている。しかも、係止ピン256は係止ピン257よりも僅かに上方に位置させられ、下スライダ252の側方には軸昇降操作部材259が配設されている。
この軸昇降操作部材259は、係止ピン256,257間に配設された長片259aと、長辺259aの下端に下方斜めに向けて一体に設けられた短片259bからL字状に形成されている。この軸昇降操作部材259は、折曲部の部分が回動軸260で下スライダ252の側面の上下方向中間部に回動自在に保持されている。また、短片259bの先端部と下スライダ252の側面上部との間にはスプリング261が介装されている。
このスプリング261は、長片259aが係止ピン256に当接している位置では、回動軸260より上方に位置して係止ピン256に長片259aを押し付け、長片259aが係止ピン257に当接している位置では、回動軸260より下方に位置して係止ピン257に長片259aを押し付ける様になっている。
また、下スライダ252の一端部には上方に延びる支持板262が設けられ、この支持板262には上端部を貫通する押圧軸263が下スライダ252の移動方向に進退動可能に保持されている。この押圧軸263の一端部には抜け止め用のリテーナ264が取り付けられ、押圧軸263の他端部には上スライダ212の一端部端面212bに臨む大径の押圧部263aが一体に設けられ、この大径部263aと支持板262との間には押圧軸263に捲回したスプリング265が介装されている。そして、この押圧部263aは上スライダ252の一端部端面212bに、スプリング228,265のバネ力(付勢力)で当接させられている。
この様な構造のフレーム形状測定装置1は、後述するように、眼鏡枠Fまたは玉型形状を角度θiに対する動径ρiとして求めて、即ち極座標形式のレンズ形状情報(θi,ρi)として求めることができるようになっている。
(2)玉摺機2
玉摺機2は、図2に示した様に、被加工レンズの周縁を研削加工する加工部60(詳細図示略)を有する。この加工部60には、キャリッジの一対のレンズ回転軸間に被加工レンズを保持させて、このレンズ回転軸の回動とキャリッジの上下回動を玉型形状情報(θi,ρi)に基づいて制御し、被加工レンズの周縁を回転する研削砥石で研削加工するものである。この構造は、周知であるのでその詳細な説明は省略する。
この玉摺機2は、操作パネル部(キーボード)61をデータ入力手段として有し、液晶表示パネル(表示装置)62を表示手段として有すると共に、加工部60,液晶表示パネル62を制御する制御回路(制御手段)63(図1参照)を有する。
また、玉摺機2は、図9に示した様に、フレーム形状測定装置1により測定されたレンズ形状情報すなわち玉型形状情報(θi,ρi)に基づいて被加工レンズのコバ厚を測定する、レンズ厚測定装置(レンズ厚測定手段)300を有する。このレンズ厚測定装置300の構成・作用は特願平1−9468号に詳述したものと同じである。
<レンズ厚測定手段>
このレンズ厚測定装置はパルスモータ336の駆動により前後動されるステージ331を有し、このステージ331には被加工レンズLを挟持するフィラー332,334が設けられている。このフィラー332,334は、バネ338,338で互いに接近する方向に付勢されて、常にレンズLに前面(前屈折面)及び後面(後屈折面)に当接するようになっている。また、フィラー332,334は図10(A)に示すように回転自在に軸支された半径rの円板332a,334aを有している。
一方、図示しないキャリッジのレンズ回転軸304,304はパルスモータ337により回転駆動可能に設けられていて、このレンズ回転軸304,304にレンズLが挟持されている。この結果、レンズLはパルスモータ337により回転駆動される。尚、レンズLの光軸OLは回転軸304,304の軸線と一致させられている。
パルスモータ337にはメモリ90からの動径情報(ρi,θiの内,角度情報θi´が入力され、その角度に応じてレンズLを基準位置から角度θi回転させる。他方、パルスモータ336には動径長ρiが入力され、ステージ331を介してフィラー332,334の円板332a,334aを前後移動させて、図9に示すように光軸OLから動径長ρiの位置に位置づける。そして、この位置でのフィラー332,334の図10(A)の移動量ai,biをエンコーダ333,335が検出し、このエンコーダ333,335からの検出信号が演算/判定回路91に入力される。
演算/判定回路91は、bi−ai=Di,Di−2r=Δiを計算して、レンズ厚Δiを算出する。
<制御手段等>
操作パネル部61には、図3に示した様に、レンズ周縁及びレンズ周縁のヤゲン研削加工のための「オート」モードとマニュアル操作用の「モニター」モード等の切換を行う加工コース用のスイッチ64、眼鏡枠(フレーム)材質選択のための「フレーム」モード用のスイッチ65、旧レンズを活かして新しいフレームに入れ替える加工のための「枠替え」モード用のスイッチ66、鏡面加工のための「鏡面」モード用のスイッチ67が設けられている。
また、操作パネル部61には、瞳孔間距離PD,フレーム幾何学中心間距離FPD,上寄せ量「UP」等の「入力変更」モード用のスイッチ68,「+」入力設定用のスイッチ69,「−」入力設定用のスイッチ70,カーソル枠71aの移動操作用のカーソルキー71,レンズ材質がガラスを選択するためのスイッチ72、レンズ材質がプラスチックを選択するためのスイッチ73、レンズ材質がポリカーボネイトを選択するためのスイッチ74,レンズ材質がアクリル樹脂を選択するためのスイッチ75が設けられている。
更に、操作パネル部61には、「左」レンズ研削加工用のスイッチ76,「右」レンズ研削加工用のスイッチ77等のスタートスイッチ、「再仕上/試」モード用のスイッチ78,「砥石回転」用のスイッチ79、ストップ用のスイッチ80,データ要求用のスイッチ81、画面用のスイッチ82,加工部60における一対のレンズ回転軸間の開閉用のスイッチ83,84及びレンズ厚さ測定開始用のスイッチ85,設定スイッチ86等が設けられている。
制御回路63は、図1に示した様に、フレーム形状測定装置1からの玉型形状情報(θi,ρi)を記憶するレンズ枠形状メモリ90と、このレンズ枠形状メモリ90からの玉型形状情報(θi,ρi)が入力される演算/判定回路(演算制御回路(演算手段))91と、吸着盤形状メモリ92と、演算/判定回路91からのデータや吸着盤形状メモリ92からのデータを基に画像データを構築して液晶表示パネル(表示手段)62に画像及びデータを表示させる画像形成回路93と、画像形成回路93,操作パネル部(ヤゲン形状データ入力手段)61,警告ブザー62等を演算制御手段である演算/判定回路91からの制御指令により制御する制御回路94と、演算/判定回路91により求められた加工データを記憶する加工データメモリ95と、加工データメモリ95に記憶された加工データに基づいて上述した加工部60の作動制御をする加工制御部96を有する。
次に、この様な構成の装置の演算/判定回路(演算制御回路)91による制御について説明する。
(i)眼鏡枠(眼鏡フレーム)MFのフレーム形状測定装置1への保持
この様な構成により、眼鏡(メガネ)の眼鏡枠(眼鏡フレーム)MFの形状を測定する場合には、図9,10に示した玉型ホルダ111をホルダ支持片109から取り外しておく。尚、この様な構成において、フレームガイド部材48,48の傾斜ガイド板部48c,48cは、上端に向うにしたがって互いに開く方向に傾斜している。
従って、眼鏡(メガネ)の眼鏡枠(メガネフレーム)MFを図6(a)の如く傾斜ガイド板部48c,48c間に配設して、眼鏡枠MFをコイルスプリング40のバネ力に抗して上から押し下げると、傾斜ガイド板部48c,48cのガイド作用により、フレームガイド部材48,48の間隔すなわち可動枠(スライダ)37,37の間隔が広げられて、眼鏡枠MFのリム即ち眼鏡枠MFのレンズ枠LF(RF)が保持ツメ43,43上まで移動させられて保持ツメ43,43に係止される。
この様な状態において、操作レバー27を「開」位置から「閉」位置に回動操作すると、この回動が回転軸25,ギヤ26,24,操作軸23を介して筒軸33に伝達されてスプリング35の一部が筒軸33に捲回されることにより、スプリング35に連設されたワイヤ36を介してツメ取付板42が一側部42aを中心に上方に回動させられ、保持ツメ43,44の間隔が図6(c)の如く狭められて、眼鏡枠MFのリム即ち眼鏡枠MFのレンズ枠LF(RF)が図6(c)の如く保持ツメ43,44間に保持される。この位置では、可動ピン31が円弧状スリット20下端部20aにスプリング32のバネ力により保持されることになる。
尚、眼鏡枠MFのリム即ち眼鏡枠MFのレンズ枠LF(RF)を保持ツメ43,44間から取り外す場合には、操作レバー27を上述とは逆に操作することにより、各部材が上述とは逆に動作する。
(ii)玉型形状測定
<眼鏡フレームのレンズ枠(玉型)の形状測定>
一方、フレーム形状測定装置1の電源をONにすると、フレーム形状測定装置1の図示しない演算手段(演算制御回路)である演算/判断手段(演算/判断制御回路)にマイクロスイッチ110,222,223,225からの信号が入力される。そして、演算手段によりマイクロスイッチ110,222,223,225の検出状態が判断される。尚、図11(a)においては軸昇降操作部材259の長片259aがスプリング261のバネ力により係止ピン257に当接しており、この位置では測定子216が待機位置(イ)に位置している。また、測定は、例えば、眼鏡枠MFのレンズ枠LFを測定した後にレンズ枠RFを測定するように設定しておいた状態で説明する。
上述の様に、眼鏡枠MFのレンズ枠LF(RF)を保持ツメ43,44間に保持させた状態で、スタートスイッチ13をON操作すると、駆動モータ253が作動させられてギヤ258が矢印A1で示した様に時計回りに回転させられて、下スライダ252が図中右方に移動させられ、上スライダ212が押圧軸263により矢印A2で示した様に図中右方に移動させられて、軸昇降操作部材259の長片259bが係止ピン254に当接させられる。
この後、更に下スライダ252が右方に移動させられ、軸昇降操作部材259が回動軸260を中心に矢印A3で示した様に時計回り方向に回動させられ、測定軸213がローラ214を介して軸昇降操作部材259により待機位置(イ)から上方に移動(上昇)させられる。これに伴って、スプリング261が回動軸260の上方に移動すると、軸昇降操作部材259がスプリング260のバネ力により急激に上方に回動させられて、軸昇降操作部材259の長片259aが係止ピン254に衝突し、この際の慣性力により測定軸213が上方に移動させられて、測定子216がレンズ枠LFの略上縁のハネアゲ位置(ロ)まで急激に上昇させられる。この後に、測定軸213及び測定子216が僅かに降下して、ローラ214が短片259bに当接し、測定子216がレンズ枠LFのヤゲン溝の谷部に臨む測定子挿入位置(フィラー挿入位置)(ハ)に位置させられる。
この様な移動に伴って、測定子216が測定子挿入位置(ハ)まで上昇させられると、マイクロスイッチ225が上スライダ212によりONさせられ、駆動モータ253が逆転させられて、ギヤ258が図11(b)に矢印A4で示した様に反時計回り方向に回転させられ、下スライダ252が矢印A5で示した様に左方に移動させられ、測定子213の先端がレンズ枠LFのヤゲン溝51の谷部(中央)に係合させられる。
この後、更に下スライダ252が矢印A5で示した様に左方に移動させられると、押圧軸263の押圧部263aが図8(b)に示した様に上スライダ252から離反させられることになる。この位置では測定子216がスプリング228のバネ力でレンズ枠LFのヤゲン溝51の谷部に付勢される。
この状態で、ベース回転モータ204を回転させることにより、測定子216の先端をレンズ枠LFのヤゲン溝に沿わせて移動させる。この際、上スライダ212がヤゲン溝の形状に応じガイドレール211に沿って移動させられると共に、測定軸213がヤゲン溝の形状に応じて上下方向に移動させられる。
そして、上スライダ212の移動は動径測定手段217で検出されて、測定軸213の上下移動は測定手段218で検出される。尚、この動径測定手段217は、支持板208のストッパ208aに当接した位置からの上スライダ212の移動量を検出する。この測定手段217,218の出力は図示しない演算手段(演算制御回路)に入力される。
この演算制御回路は、測定手段217からの出力を基にレンズ枠LFのヤゲン溝の谷部の動径ρiを求め、この動径ρiをベース回転モータ204の回転角θiに対応させて動径情報である玉型形状情報(θi,ρi)とし、この玉型形状情報(θi,ρi)を図示しないメモリに記憶させる。一方、演算制御回路は、測定手段218からの出力を基に上下方向(Z軸方向)の移動量Ziを求め、この移動量Ziを回転角θiに対応させると共に動径ρiに対応させて玉型形状情報(θi,ρi,Zi)を求め、この玉型形状情報(θi,ρi,Zi)を図示しないメモリに記憶させる。
<型板,デモレンズ等の玉型の形状測定>
また、図7(a)の様に玉型ホルダ111を用いて型板やデモレンズ等の玉型の形状を測定する場合には、測定部移動用モータ107を作動させて、スライドベース105を図7中左方に移動させる。これにより、起立駆動片219aの先端が玉型ホルダ111の玉型フィラー起立用板部111bに当って、スプリング221のバネ力に抗して玉型用測定子219が回動軸220を中心に時計回り方向に回動させられる。これにともなって、マイクロスイッチ222がOFFする。
そして、この回動に伴い、スプリング221が回動軸220を越えて上方に移動すると、このスプリング221のバネ力により玉型用測定子219が起立させられて、この玉型用測定子219が図示しないストッパとスプリング221の作用により起立位置に図7(b)の如く保持される。この起立位置では、マイクロスイッチ223が玉型用測定子219のスイッチ操作片219bによりONさせられ、この信号が図示しない演算制御回路に入力される。
この演算制御回路は、このマイクロスイッチ223からのON信号を受けると、駆動モータ253を作動させて、ギヤ258を反時計回り方向に回転させ、下スライダ252を左方に移動させることにより、押圧軸263の押圧部263aを図7(a)に示した様に上スライダ252から離反させる。この動作にともない、上スライダ212がスプリング228のバネ力により左方に移動させられて、玉型用測定子219の測定面が図8(a)に示した様に玉型112の周縁に当接させられる。
この状態で、ベース回転モータ204を回転させることにより、玉型用測定子219を玉型112の周縁に沿わせて移動させる。そして、上スライダ212の移動を動径測定手段217で検出させて、動径測定手段217の出力を図示しない演算制御回路に入力させる。
この演算制御回路は、測定手段217からの出力を基に玉型112の動径ρiを求め、この動径ρiをベース回転モータ204の回転角θiに対応させて動径情報である玉型形状情報(θi,ρi)とし、この玉型形状情報(θi,ρi)を図示しないメモリに記憶させる。
(iii)玉型形状情報に基づく被加工レンズのレンズ厚測定
そして、玉摺機のデータ要求のスイッチ81がONされると、上述の様にしてフレーム形状測定装置1で求められた型板,デモレンズ等の玉型の玉型形状情報すなわち玉型形状情報(θi,ρi)、或は、レンズ枠(玉型形状)の玉型形状情報(θi,ρi,Zi)が玉摺機2のレンズ枠形状メモリ(玉型形状メモリ)90に転送されて記憶される。
一方、レンズ回転軸304,304間に被加工レンズLを挟持させて、レンズ厚測定用のスイッチ85をONさせる。これにより、演算/判定回路91は、図示しない駆動手段でフィラー332,334間の間隔を大きく広げると共に、336を作動させてフィラー332,334を被加工レンズLの前屈折面と後屈折面に臨ませた後、図示しない駆動手段によるフィラー332,334の拡開力解除して、フィラー332,334を被加工レンズLの前屈折面と後屈折面に当接させる。この後、演算/判定回路91は、玉型形状情報(θi,ρi,Zi)又は玉型形状情報(θi,ρi)に基づいて、パルスモータ337を作動させてレンズ回転軸304,304を回転させて被加工レンズLを回転させると共に、パルスモータ336を作動制御する。この際、演算/判定回路91は、エンコーダ335からの出力を基に玉型形状情報(θi,ρi,Zi)又は動径情報である玉型形状情報(θi,ρi)におけるレンズ厚Δiを求めて加工データメモリ95に記憶させる。
(iv)ヤゲンのチルト処理
次に、スイッチ64をON操作して加工コースを「モニター」のモードにし、図12に示した様なメニュー画面(ヤゲンシミュレーション画面)を演算/判定回路91により液晶パネル62に表示させる。以下、この演算/判定回路91によるヤゲンのチルト処理の制御が行われる。
この液晶パネル62の中央の左右の部分には、右の眼鏡レンズの玉型形状(眼鏡レンズ形状又はレンズ枠形状)LR及び左の眼鏡レンズの玉型形状(眼鏡レンズ形状又はレンズ枠形状)LLが原寸で表示されている。この玉型形状LR,LLは、玉型形状情報(θi,ρi)に基づくもので、眼鏡フレームのレンズ枠形状やリムレスフレームの眼鏡レンズ形状或いはモデルレンズ形状等も含む。
また、液晶パネル62の上部には、メガネフレームMF及びメガネフレームMFの左右のレンズ枠FR,FLと、眼鏡レンズの玉型形状LR,LLの上部コバ端ULL,ULR(レンズ上面図)が表示される。このメガネフレームMFは、フレームの傾きを示すのに用いられる。
更に、液晶パネル62の眼鏡レンズLR,LLの側部には眼鏡レンズの玉型形状LR,LLの耳側コバ端SLL,SLRが表示される。
また、上部コバ端ULL,ULR及び耳側コバ端SLL,SLRにはヤゲンカーブYCR,YCLが破線で示したように表示される。また、OR,OLは玉型形状LR,LLの光軸(左右の眼鏡レンズの光軸)を示し、光軸OR,OL間が瞳孔間距離PDを示す。尚、OGR,OGLは玉型形状LR,LLの幾何学中心を示す。
上部コバ端ULRのヤゲンカーブYCRと光軸ORとの交点を右側のVチルト基準位置(V基準)VR、 上部コバ端ULLのヤゲンカーブYCLと光軸OLとの交点を左側のVチルト基準位置(V基準)VLとなる。
また、液晶パネル62の右側の部分にはモード選択枠MSとレンズフレーム材質選択枠Maが表示されていると共に、モード選択枠MSには「モニター」が選択表示され、レンズフレーム材質選択枠Maにはフレーム材質の「メタル」が選択表示されている。そして、モード選択枠MSの下方には「カーブ」、「Lチルト」、「V基準」、「サイズ」、「フレームカーブ」、「フレーム傾き」、「レンズ傾き」等の項目が表示され、「カーブ」の側方にはカーブ値(図12では4.5)が表示され、「Lチルト」の側方には+、−付のヤゲン形状が表示され、「サイズ」の側方にはサイズ(図では0.00)が表示され、「フレームカーブ」の側方にはカーブ値(図では3.2)が表示され、「フレーム傾き」の側方にはフレームの傾き値(図では2°)が表示され、「レンズ傾き」の側方にはレンズの傾き値(図では1°)が表示されている。また、モード選択枠MSの下方には、「カーブ」、「Lチルト」、「V基準」、「サイズ」、「フレームカーブ」、「フレーム傾き」、「レンズ傾き」等の項目の一つを選択するためのカーソル(選択枠)71aが表示されている。
図13は、玉型形状LR,LLの眼鏡レンズLとメガネフレームMFの左右のレンズ枠LF(RF)の断面形状(左右のレンズ枠のリム断面形状)との関係を示したものである。
ところで、図12のメニュ画面において、ヤゲンカーブYCR,YCRを傾斜操作するには、カーソルキー71の操作でカーソル枠71aを表示されているLチルトの項目に合わせ、Lチルトを選択して、それからV基準かH基準を選ぶ。
ここで、V基準とはVertical Tilt(垂直基準傾斜操作)の基準のことであり、H基準とはHorizontal Tilt(水平基準傾斜操作)の基準のことである。
そして、図12,14の例えばPDを示す位置に、即ち玉型形状LR,LLの光軸OR,OLの位置にVチルト基準線Rv,Lvを移動させて、このVチルト基準線Rv,Lvを中心に光軸OR,OLとを矢印na,nbの如く回転させて、光軸OR,OLと一体にヤゲンカーブ(ヤゲン軌跡)YCR,YCRを矢印nc,ndの如くチルトさせる。このチルトは、眼鏡レンズコバ面の範囲内で傾斜させ、フレーム上面図(フレームの傾きを示す図)のフレーム傾斜態様と比較することにより、よりフィットした仕上加工後の眼鏡レンズの眼鏡フレーム仮想枠入れをシミュレーションすることができる。
また、図15の例えばPDを示す位置に、即ち玉型形状LR,LLの光軸OR,OLの位置にHチルト基準線RLhを移動させて、このHチルト基準線RLhを中心に光軸OR,OLとを矢印na,nbの如く回転させて、光軸OR,OLと一体にヤゲンカーブ(ヤゲン軌跡)YCR,YCRを矢印nc,ndの如くチルトさせる。このチルトは、眼鏡レンズコバ面の範囲内で傾斜させ、フレーム上面図(フレームの傾きを示す図)のフレーム傾斜態様と比較することにより、よりフィットした仕上加工後の眼鏡レンズの眼鏡フレーム仮想枠入れをシミュレーションすることができる。
なお、仮想枠入れの画像表示では、フレーム上面図に仕上加工後の眼鏡レンズのレンズ上面図とを重畳して表示することもできる。
さらに、レンズ耳側側面図として、図13のように仕上加工後の眼鏡レンズLの側面図と眼鏡フレームMFのリム断面図(左右のレンズ枠LF(RF)の断面図)をヤゲン頂点位置YTを基準に合致させ、表示することもできる。
なお、Lチルトの傾斜の大きさを入力するには、Lチルト項目のヤゲン山YMに対して前側か後側に数mm移動させたいときには、Lチルト項目を表示させ、ヤゲン山YMに対して後側に(プラス側)2mmと入力する。
そうすると、図12,図14,15に示したように画面上の仕上加工後の眼鏡レンズのヤゲン軌跡が標準位置から傾斜あるいは位置を変化させた傾斜態様で表示される。この様に、本実施例では、ヤゲン軌跡を傾斜させる際に、基準となる基準軸(図14ではRv(Lv)、図15ではRLh)を最初に決め、ヤゲン軌跡が標準位置(図12のYCR,YCL)から移動する傾斜態様をコバ側側面表示(ヤゲンシミュレーション)を見ながらヤゲン軌跡のチルト量を加減している。
また、仕上加工後の眼鏡レンズの上面図およびレンズ耳側側面図において、仕上加工後眼鏡レンズの光軸と眼鏡装用者眼の瞳孔中心位置との傾斜態様(どのくらいは離れているか矢印で表示される)角度も表示される。
発明の実施の形態2
図16〜図34は、この発明の第2の実施の形態を示したものである。
この発明の実施の形態2においても、発明の実施の形態1の図1〜図12に示した構成が用いられる。しかも、この発明の実施の形態2において、ヤゲンのチルト処理以外の構成・作用は発明の実施の形態1と同じである。従って、以下演算/判定回路91によるヤゲンのチルト処理の制御についてのみ説明する。
(v)ヤゲンのチルト処理の実施例1
図16〜図23は、第2の発明の実施の形態の実施例1(第1の実施例)を示したものである。
1.初期設定
図16(b)に示したように設定変更モードで、カーソル71bを項目「チルト」に合わせ、「+」、「−」スイッチで、チルトモードを選択設定する。
チルトモードに入ったときに、ここで設定したモードが初期表示される。図16(a)の如くチルトの項目では「無」に黒枠(図示の便宜上、図では灰色にして示している。)のカーソル71cがあり、無→有との間で移動できる。また、黒枠は初期値の設定を示している。
2.チルトヤゲン操作方法
2−1.図16(a)のチルトを選択して決定すると、図17(a)のチルトモード画面になる。このモニター画面から図17(a)の説明「・モニター画面で、カーソルを項目「ヤゲン」に合わせ、キーボードの61「入力変更」スイッチ68を押す。
*入力変更スイッチを押す毎に、図17(c)の項目「ヤゲン」、「チルトB」、「チルトT」、「チルトV」が順次切り替わる。」の操作を行う。「+」、「−」のスイッチ69,70の操作で「DF」、「FRONT」、[EX]の選択を行うことができる。「DF」とは、コバ面上のヤゲン位置の比率(比率ヤゲン)を意味する。「FRONT」は、眼鏡レンズの前面カーブに合わせてヤゲンを立てることを意味し、」「EX」は二重焦点レンズ7や累進多焦点レンズ等の特殊なレンズのヤゲン設定を意味する。
[チルトモード]
各チルトモードに入ると、チルトさせたい方向を決めるためのチルト基準軸が自動設定される。各チルトモードのチルト基準軸は次の通り(図18(a)、(b)、(c)参照)
チルトB:鼻側をチルト(耳側が基準)
チルト基準軸は水平方向(0度―180度方向)に自動設定
チルトT:耳側をチルト(鼻側が基準)
チルト基準軸は水平方向(0度―180度方向)に自動設定
チルトV:眉側をチルト(PD直下が基準)
チルト基準軸は垂直方向(90度―270度方向)に自動設定
*チルト基準軸はアイポイントを通る。
図19はチルトモードに入る前とチルトBモードに入った後のモードを左右に示す。
チルトモードを「チルトB」,「チルトT」,「チルトV」に設定すると同時に、一つ下の項目「全体」:(「厚」/「薄」)の表示が、チルト量を入力するための項目「チルト」に自動変更される。
その後は、「入力変更」スイッチを押す毎に、次のように機能が切り替わる。
即ち、図20は、チルトB,T,Vモードにおいて、入力変更スイッチ68を押すと、右側の「チルト」、「全体」との間で切り替わる。ここで、「チルト」、「全体」
チルト :チルト量を入力し、ヤゲンをチルトする。
全体 :ヤゲン全体を一定量移動する。
ことを意味する。尚、「厚」と「薄」のヤゲン位置変更は操作の混乱を防ぐためできないものとする。そのため、カーブ(比率算出)を変更したい場合は、チルトモードに入る前、「厚」・「薄」のヤゲン位置を変更しヤゲンカーブ調整しておく。
一度チルトしたヤゲンを、別のチルトモードで変更しようとすると、チルトしたヤゲンがリセットされチルト前の状態に戻ります。その時、図21に示す画面のようなメッセージが表示されます。
2−2.チルト量の入力
次に、図22(a)の説明のようにカーソルを項目「チルト」に合わせると、液晶パネル62の左側の部分に玉型形状LR(又はLL)が表示され、玉型形状LR(又はLL)の上部側に玉型形状LR(又はLL)の上部コバ端ULR(又はULL)の形状(上部コバ面の形状)が表示され、玉型形状LR(又はLL)の下部側に玉型形状LR(又はLL)の下部コバ端LLR(又はLLL)の形状(下部コバ面の形状)が表示される。また、この際、液晶パネル62の中央部には、上部から玉型形状LR(又はLL)の最小コバ厚形状k2′,最大コバ厚形状k1′,任意の位置のコバ厚形状k3′,チルトさせたいコバ位置のコバ厚形状r1′が表示される。
尚、黒の四角で示したカーソルK1が最大コバ位置を示し、チルトさせたヤゲン位置YC1が破線で示したように表示される。同様に黒の四角で示したカーソルK2が最小コバ位置を示し、チルトさせたヤゲン位置YC2が破線で示したように表示される。同様に十字で示したカーソルK3が任意(中間)コバ位置を示し、チルトさせたヤゲン位置YC3が破線で示したように表示される。
また、Yはコバ厚形状k1′,k2′,k3′のヤゲン、YtはヤゲンYのヤゲン頂点を示す。以下、最小コバ厚形状k2′,最大コバ厚形状k1′,任意の位置のコバ厚形状k3′,チルトさせたいコバ位置のコバ厚形状r1′,ヤゲンY,ヤゲン頂点Yt等の符号は、図23,30,31,32でも同じ意味でカーソルK1,K2,K3,r1に対応しているが、図示の便宜上図23,30,31,32では省略している。また、YCR(YCL)は上述したように右側の玉型形状LR(又は左側の玉型形状LL)のヤゲンカーブを示し、チルト前のヤゲンカーブYCR(YCL)は実線で示し、チルト後のヤゲンカーブYCR(YCL)は破線で示している。
そして、チルト操作したい場合には、図22(b)の様に「チルト」にカーソルが合わせて、「+」、「−」スイッチで、ヤゲンの前後移動量を入力し、ヤゲンを希望位置にチルトさせる。尚、チルトさせたいコバ位置に点線で示した大きな円r1が表示され、チルト基準となるコバ位置に点線で示した小さな円r2が表示される。
尚、玉型形状の上下にコバ面側面(上部コバ面の形状、即ち上部コバ端ULR(又はULL)、下部コバ面の形状即ち下部コバ端LLR(又はLLL))が表示されており、上の線と下の線でコバ厚形状を平面表示し、中央の線(ヤゲンカーブYCR(YCL))がヤゲン頂点の軌跡を表示する。そして、ヤゲン位置がチルトするにつれて、このヤゲン頂点軌跡も移動して表示される。
この様にしてチルトヤゲン操作(ヤゲンのチルト操作)が行われる。尚、チルトヤゲン操作とは、チルトする(傾ける)基準となる位置(基準位置)を予め決めておいて、その基準位置から玉型中心の180°反対位置を見ながらチルト量(傾斜させる量、即ち傾斜量)を加減する操作をいう。
2−3.全体位置の調整
図23において、カーソルを項目「チルト」に合わせている状態で、入力変更スイッチ押し、「全体」に項目変更する。「+」,「−」スイッチで、ヤゲン位置を調整する。尚、図22(b)と同様にチルト操作を行う。
(vi)ヤゲンのチルト処理の具体例2
図24〜図32は、第2の発明の実施の形態の実施例2(第2の実施例)を示したものである。
1.初期設定
・図24(b)に示したように設定変更モードで、カーソル71bを項目「チルト」に合わせ、「+」、「−」スイッチで、チルトモードを選択設定する。
チルトモードに入ったときに、ここで設定したモードが初期表示される。図24(a)の如くチルトの項目では「無」に黒枠のカーソル71cがあり、無→有との間で移動できる。また、黒枠は初期値の設定を示している。
2.チルトヤゲン操作方法
2−1.図24(a)のチルトを選択して決定すると、図25(a)のチルトモード画面になる。このモニター画面から図25(a)の説明「・モニター画面で、カーソルを項目「ヤゲン」に合わせ、キーボードの61「入力変更」スイッチ68を押す。
*入力変更スイッチを押す毎に、図25(c)の項目「ヤゲン」、「チルトA」が順次切り替わる。」の操作を行う。「+」、「−」のスイッチ69,70の操作で「DF」、「FRONT」、[EX]の選択を行うことができる。「DF」とは、コバ面上のヤゲン位置の比率(比率ヤゲン)を意味する。「FRONT」は、眼鏡レンズの前面カーブに合わせてヤゲンを立てることを意味し、」「EX」は二重焦点レンズ7や累進多焦点レンズ等の特殊なレンズのヤゲン設定を意味する。「チルトA」は、図26で示したように「チルトさせたい方向を決めるためのチルト基準軸を全周方向(0度〜360度)に自由設定できる。」モードである。尚、チルト基準軸はアイポイントを通る。
図27はチルトモードに入る前とチルトAモードに入った後のモードを左右に示す。
チルトモードを「チルトA」に設定すると同時に、一つ下の項目「全体」:(「厚」/「薄」)の表示が、チルト量を入力するための項目「チルト軸」に自動変更される。
その後は、「入力変更」スイッチを押す毎に、次のように機能が切り替わる。
即ち、図28は、チルトAモードにおいて、入力変更スイッチ68を押すと、右側の「チルト」、「全体」との間で切り替わる。ここで、「チルト軸」、「チルト」及び「全体」とは、
チルト軸:チルト基準軸を設定する。
チルト :チルト量を入力し、ヤゲンをチルトする。
全体 :ヤゲン全体を一定量移動する。
ことを意味する。尚、「厚」と「薄」のヤゲン位置変更は操作の混乱を防ぐためできないものとする。そのため、カーブ(比率算出)を変更したい場合は、チルトモードに入る前、「厚」・「薄」のヤゲン位置を変更しヤゲンカーブ調整しておく。
一度チルト軸を設定後は、「チルト」→「全体」で切り替わり、それぞれの量を交互に変更できる。チルト軸を再度変更したい場合は、カーソル71aを「チルトA」に合わせ、入力変更スイッチを押し、通常の「ヤゲン」に戻します。チルトしたヤゲンがリセットされチルト前の状態に戻ります。その時、図29の画面の様な確認のメッセージが表示されます。
2−2.チルト基準軸の設定
次に、図30(a)の説明のようにカーソルを項目「チルト軸」に合わせる。この状態で、「+」、「−」スイッチで、角度数値を変え、希望のチルト軸を設定する。全周5度おきにチルト基準軸を設定することができる。
尚、チルトさせたいコバ位置に点線で示した大きな円r1が表示され、チルト基準となるコバ位置に点線で示した小さな円r2が表示される。黒の四角で示したカーソルK1が最大コバ位置を示し、チルトさせたヤゲン位置YC1が破線で示したように表示される。同様に黒の四角で示したカーソルK2が最小コバ位置を示し、チルトさせたヤゲン位置YC2が破線で示したように表示される。同様に十字で示したカーソルK3が任意(中間)コバ位置を示し、チルトさせたヤゲン位置YC3が破線で示したように表示される。
チルト量の入力
チルト操作したい場合には、図31において、図22(a)の説明のように「カーソルを項目「チルト」に合わせ、」とあるように、図22(b)の液晶パネル62の「チルト」にカーソル71aを合わせる。この状態で、「+」、「−」スイッチで、ヤゲンの前後移動量を入力し、ヤゲンを希望位置にチルトさせる。
尚、チルトさせたいコバ位置に点線で示した大きな円r1が表示され、チルト基準となるコバ位置に点線で示した小さな円r2が表示される。黒の四角で示したカーソルK1が最大コバ位置を示し、チルトさせたヤゲン位置YC1が破線で示したように表示される。同様に黒の四角で示したカーソルK2が最小コバ位置を示し、チルトさせたヤゲン位置YC2が破線で示したように表示される。同様に十字で示したカーソルK3が任意(中間)コバ位置を示し、チルトさせたヤゲン位置YC3が破線で示したように表示される。
また、チルトさせたいコバ位置に点線で示した大きな円r1におけるヤゲン位置YC4が破線で示したように表示され、チルト量をヤゲン断面形状を見ながら入力することもできる。また、図23(b),図31(b)に図示したように、液晶パネル62上の円r1の部分のコバ端形状(ヤゲン形状を含む)r1′の側方に位置させて、チルト量を液晶パネル62に数値表示(単位はmm)することもできる。
全体位置の調整
図32においては、カーソルを項目「チルト」に合わせている状態で、入力変更スイッチを押し、「全体」に項目変更する。「+」,「−」スイッチで、ヤゲン位置を調整する。尚、図22(b)、図31と同様にチルト操作を行う。
(vii)チルトヤゲンの原理
図33,図34は、発明の実施の形態2のチルトヤゲン(ヤゲンをチルトさせるため)の原理を示したものである。
図33(a)は玉型形状(眼鏡レンズ形状)Laの概略形状を示し、P0は任意のコバ厚位置におけるチルト基準点を示し、liは点Pi,Qi間の長さを示す。この図において、チルト基準点P0を通り且つ加工中心(瞳中心)Oxを通る直線をgaとすると、点Pcが設定される。この点Pcがチルトされる点である。また、チルト基準点P0を通り且つ直線gaと垂直な直線gが得られる。Piは玉型形状La上の任意の点、Qiは点Piを通り且つ直線gと直交する点である。チルトは直線gを中心に行われる。即ち、直線gはチルト軸となる。図33(b),(c)は直線gを中心にチルト(玉型形状La及び点Pi,Pcを回動又は回転)させたときの状態を示す。図33(c)において、点Piの初期状態における傾斜角度が予めαiとして設定されている。図33(c)には、直線gを中心にチルトさせたときのチルト角度がαとして表示されている。
この図33(a)〜(c)において、チルト角αはP0,Pc,Pc′の3点がわかることから、余弦定理より算出される。
COSα=(|P0Pc|2+|P0Pc'|2―|PcPc'|2)/2|P0Pc||P0Pc'|
チルト基点のZ座標を仮にZ=0とすると、各点のチルト後のZ座標は以下のようになる。
∴ Zi' = li・tan(α+αi ), Zi = li・tanαi
li:点PiとQiを結ぶ直線のXY平面上の2次元距離PcとP0を結ぶ直線に垂直な直線で点P0を通る直線をgとする。
Piから直線PcP0にXY平面から見て平行に降ろし、直線gと交わる点をQiとする。尚、iは[i=1,2,3,・・・n]とする。
(viii)ヤゲンチルトの他の原理
図34は、比率で求めたヤゲン上の4点から、球面カーブを算出する方法を示す。尚、ここで、比率(比率計算)で求めたヤゲンとは、コバ端における眼鏡レンズの前側屈折面からヤゲン頂点までの距離と後側屈折面からヤゲン頂点までの距離との比率を決めて求めたヤゲンを意味する。
P0(Sx,Sy,Sz),O(l,m,n),Pc(Tx,Ty,Tz)で示した3点P0,O,Pcの座標は同一平面上にあるとし、この平面上に点P0,O,Pcで作られる三角形をP0点を基点として、図34の点P0,O',Pc'で作られる三角形のように平面上を角度αだけ回転させる。
この角度αだけ回転後の球の中心O'の座表(x,y,z)を求め、新しい球面カーブに対応したZ座標(ヤゲン位置)を算出する。
(iX)球面カーブ算出方法
1.玉型形状データρからカーブ算出に必要なポイントを多数(複数)決定する。
ポイントの決定方法
玉型形状データからカーブ算出に最も適した玉型形状上のポイントを少なくとも4点以上求める。本例では、カーブ算出に最も適したポイントを4点(4ポイント)として以下に説明する。
2.比率計算で求めたヤゲン頂点位置を、先に決定したカーブ算出に最も適する4ポイントの座標Pi(Xi,Yi,Zi)とする。ここでi=1,2,3,4とする。
3.4ポイントから球の方程式の解を求める。
即ち、4ポイントの座標Pi(Xi,Yi,Zi)と中心座標(l,m,n)から、ヤゲン頂点のカーブの曲率半径rを
球の方程式:(Xi+l)2 +(Yi+m)2 +(Zi+n)2 =r2
から求める。
4.求めた曲率半径rをカーブCVに変換する。
CV=a[mm]/r[mm]
尚、この発明の様に、眼鏡フレームの左右レンズ枠形状データを三次元的に入力するレンズ枠形状データ入力手段と、入力されたレンズ枠形状データに基づいて眼鏡フレームの左眼又は右眼のいずれか一方のレンズ枠形状に対する他方のレンズ枠の傾斜角度を演算する演算手段と、演算結果に基づき、眼鏡フレームの左右レンズ枠の傾斜態様をその眼鏡フレームの上側又は下側からみた側面図として表示する表示手段とを有する構成とした場合、立体的仮想表示(3Dヤゲンシミュレーション)に繋がる、三次元的な眼鏡フレーム形状、眼鏡レンズ形状、レンズのコバ面に形成されるヤゲン軌跡を立体的に把握でき、仮想的枠入れを眼前に表出させることができる。
また、眼鏡フレームの上側又は下側の側面図と同一画面上にその眼鏡フレームのレンズ枠に枠入れされる仕上加工後の眼鏡レンズの側面図を、その眼鏡フレームの左右レンズ枠の傾斜態様に対応して表示する構成とした場合、眼鏡フレームの上側面又は下側面から仮想的な枠入れを事前に予測することができ、眼鏡フレームによりフィットした眼鏡レンズの加工データを得ることができる。
眼鏡装用者の瞳孔間距離(PD)データに基づき、遠用視状態での視線方向を図示する構成とした場合、眼鏡装用者眼の瞳孔間距離(PD)データが現実の湾曲した眼鏡フレームに対してどのくらいの大きさをもつのかを一目で認識することができる。
眼鏡フレームのレンズ枠に枠入れされる眼鏡レンズの光軸方向を図示する構成とした場合、眼鏡装用者眼の瞳孔間距離(PD)データと眼鏡レンズの光軸方向とのずれ角を一目で認識することができ、真のPDデータと見掛け上のPDデータとの差異を確認することができる。
眼鏡フレームのレンズ枠形状データの正面図を同一画面上に表示する構成としたので、眼鏡レンズの横側面の形状を認識することができる。
レンズ形状表示装置において、眼鏡フレームに枠入れされる眼鏡レンズの横側面図を同一画面上に表示する構成とした場合、眼鏡フレームの左右レンズ枠の傾斜の度合いを数量的に認識することができる。
眼鏡フレームのレンズ枠の傾斜角度を表示する構成とした場合、眼鏡装用者眼の瞳孔間距離(PD)データと眼鏡レンズの光軸方向とのずれ角を数量的に認識することができ、真のPDデータと見掛け上のPDデータとの差異を確認することができる。
眼鏡レンズの光軸の、眼鏡装用者眼の瞳孔中心に対する傾斜角度を表示する構成とした場合、眼鏡装用者眼の瞳孔間距離(PD)データと眼鏡レンズの光軸方向とのずれ角を数量的に認識することができ、真のPDデータと見掛け上のPDデータとの差異を確認することができる。
眼鏡フレームのレンズ枠の三次元的に入力するレンズ枠形状データ入力手段と、レンズ枠に枠入れされる眼鏡レンズのコバ厚形状データを入力するコバ厚形状データ入力手段と、眼鏡レンズのコバ端面に形成されるヤゲン形状に関するヤゲン形状データを入力するヤゲン形状データ入力手段とを有し、入力されたコバ厚形状データ及びヤゲン形状データに基づき求められた仕上加工後の眼鏡レンズの光軸の、眼鏡装用者眼の瞳孔中心に対する傾斜角度を求める演算手段とを備えた構成とした場合、立体的仮想表示(3Dヤゲンシミュレーション)に繋がる、三次元的な眼鏡フレーム形状、眼鏡レンズ形状、レンズのコバ面に形成されるヤゲン軌跡を立体的に把握でき、仮想的枠入れを眼前に表出させることができる。
レンズ形状データ処理装置を有し、求められた眼鏡レンズの光軸の、眼鏡装用者眼の瞳孔中心に対する傾斜角度を表示する表示手段を有する構成とした場合、眼鏡装用者眼の瞳孔間距離(PD)データと眼鏡レンズの光軸方向とのずれ角を数量的に認識することができ、真のPDデータと見掛け上のPDデータとの差異を確認することができる。
眼鏡レンズの光軸の、眼鏡装用者眼の瞳孔中心に対する傾斜角度を表示する表示手段を設けた構成とした場合、眼鏡装用者眼の瞳孔間距離(PD)データと眼鏡レンズの光軸方向とのずれ角を数量的に認識することができ、真のPDデータと見掛け上のPDデータとの差異を確認することができる。
レンズ形状データ処理装置を備えた構成とした場合、眼鏡装用者眼の瞳孔間距離(PD)データと眼鏡レンズの光軸方向とのずれ角を数量的に認識することができ、真のPDデータと見掛け上のPDデータとの差異を確認することができるとともに、眼鏡フレームによりフィットした眼鏡レンズの研削加工を実現することができる。
眼鏡フレームのレンズ枠の三次元的に入力するレンズ枠形状データ入力手段と、レンズ枠に枠入れされる眼鏡レンズのコバ厚形状データを入力するコバ厚形状データ入力手段と、眼鏡レンズのコバ端面に形成されるヤゲン形状に関するヤゲン形状データを入力するヤゲン形状データ入力手段とを有し、レンズ枠形状データの任意のコバ位置とその位置の眼鏡装用者眼の瞳孔中心に対して点対称なコバ位置を結ぶ線分に対して直交する直線を所望の傾斜方向の基準線として設定し、基準線を中心に所望傾斜させ、眼鏡レンズのコバ端面に形成される補正したヤゲン形状データを求める演算手段とを有する構成とした場合、演算で求められたヤゲン軌跡を、より眼鏡フレームにフィットさせることができ、高精度なヤゲン形状データを得ることができる。
レンズ枠形状データの任意のコバ位置とその位置の眼鏡装用者眼の瞳孔中心に対して点対称なコバ位置を結ぶ線分をレンズ枠形状データ上に重畳して表示する構成とした場合、どこを基準にしてヤゲン軌跡を傾斜させたのかを知ることができ、眼鏡装用者の好みに応じて見栄えのよい仮想的な枠入れを一目で認識することができる。
レンズ形状データ表示装置を有する構成とした場合、演算で求められたヤゲン軌跡を、眼鏡装用者の好みに応じて見栄え良く傾斜させて調整することができ、そのヤゲン形状データに基づいて眼鏡フレームによりフィットした眼鏡レンズの研削加工を実現することができる。
この発明にかかる眼鏡レンズの適合判定装置の制御回路である。
図1に示した制御回路を有する眼鏡レンズの適合判定装置の概略斜視図である。
図1,図2に示した制御パネルの拡大説明図である。
図2に示したフレーム形状測定装置の拡大斜視図である。
(a)は図2,図4に示したフレーム形状測定装置の要部斜視図、(b),(c)は(a)の筒軸と操作軸との関係を説明するための断面図、(d)は保持ツメの説明図である。
(a)〜(c)は図2,図4,図5に示したフレーム形状測定装置の眼鏡枠保持の動作説明図である。
(a),(b)はフレーム形状測定装置のフレーム形状測定部等の説明図である。
(a),(b)はフレーム形状測定装置のフレーム形状測定部等の説明図である。
図2に示した玉摺機のレンズ厚測定部の説明図である。
(a),(b),(c)は図9に示したフィラーの作用説明図である。
(a)〜(c)はフレーム形状測定装置の測定部の作用説明図である。
図2の玉摺機の液晶パネルの表示説明図である。
ヤゲン位置とメガネフレームのリムとの関係を示す説明図である。
図12液晶パネルの表示説明図である。
図12液晶パネルの表示説明図である。
(a)は(b)の液晶パネルの初期設定変更画面の一部説明図、(b)は液晶パネルの初期設定変更画面の説明図である。
(a)は(b)の液晶パネルのチルト画面の一部説明図、(b)はキーボードの説明図である。
(a),(b),(c)はチルトモードタイプの説明図である。
図12の液晶パネルのチルトモード入力前後の説明図である。
図19の液晶パネルのチルトモード入力後の説明図である。
図20のチルト量変更後の液晶パネルの説明図である。
(a)は(b)の液晶パネルのチルト画面の一部説明図、(b)は液晶パネルのチルト画面の他の例を示す説明図である。
(a)は(b)の液晶パネルのチルト画面の一部説明図、(b)は液晶パネルのチルト画面の他の例を示す説明図である。
(a)は(b)の液晶パネルの初期設定変更画面の一部説明図、(b)は液晶パネルの初期設定変更画面の説明図である。
(a)は液晶パネルの説明図、(b)は入力変更のためのキーボードの一部を示す説明図、(c)は入力変更のための説明図である。
チルト操作の説明図である。
図12の液晶パネルのチルトモード入力前後の他の例を示す説明図である。
図27の液晶パネルのチルトモード入力後の説明図である。
図28のチルト量変更後の液晶パネルの説明図である。
(a)は(b)の液晶パネルのチルト画面の説明図、(b)は液晶パネルのチルト画面の他の例を示す説明図である。
(a)は(b)の液晶パネルのチルト画面の説明図、(b)は液晶パネルのチルト画面の他の例を示す説明図である。
(a)は(b)の液晶パネルのチルト画面の説明図、(b)は液晶パネルのチルト画面の他の例を示す説明図である。
(a),(b),(c)はチルト操作の原理を示す説明図である。
チルト操作の原理を示す説明図である。
符号の説明
61・・・操作パネル部(ヤゲン形状データ入力手段)
62・・・液晶表示パネル(表示手段、表示装置)
LR,LL・・・玉型形状