JP4686676B2 - ステレオ対応多機能型振動アクチュエータ - Google Patents

Description

本発明は、携帯電話等の移動体通信機器及び携帯用電子機器等に搭載される多機能型振動アクチュエータに関する。

近年、着信メロディーや音声再生機能の多様化に伴い、情報携帯端末に対してステレオ音声の再生が要求されている。

上記要求に応えるため、携帯電話等の情報携帯端末には、振動によって着信を知らせるために振動モータを使用した構成として、それとは別にスピーカーを２つ用いる構成とした物が主流である。ステレオ機能を持たない構成における一部の振動発生装置として、振動を発生する機能と着信音等を出力する発音機能とを備えた多機能型振動アクチュエータ（特許文献１参照）が使われているが、この多機能型振動アクチュエータ単体ではステレオ出力に対応出来ないという課題があった。
特願２０００−５５６８８２

前述したように、携帯電話等の情報携帯端末にステレオ機能を持たせるため、現在では小型の振動モーターとスピーカーを２つ用いた構成としている物が主流となっているが、この方法では基板等への取付時に振動アクチュエータと２つのスピーカーの計３つの部品に関して別々に取り付ける必要があり、配置スペースの問題と給電の方法に関して個別に対応する必要がある。

そこで本発明は、一つのハウジングの中に音源となる発音機構を並列配置したことによって機器に実装する際の取付けコストが低く、一つの部品でステレオ出力に対応できる多機能型振動アクチュエータを提供することを目的とする。

前記課題を解決するため、請求項１に記載の多機能型振動アクチュエータでは、マグネットに対してボイスコイルを振動させることで、当該ボイスコイルが固着されたダイアフラムを振動させて音響を発生する発音機構と、
ボイスコイルに対してマグネットを振動させることで、当該マグネットが固定されたヨーク及び弾性体を振動させる振動機構と、でマグネットとボイスコイルとを共有し、前記ボイスコイルに入力する周波数を変えることにより、音と振動の両方を出力することが可能な多機能型振動アクチュエータに於いて、
１つのハウジングの中にダイアフラムとコイルを使用した発音機構を複数備えると同時に、共有する一つのヨーク上に各ダイアフラムとコイルに対応した複数のマグネット、ポールピースを取り付けることにより振動機構を一体化することを特徴としている。

請求項２に記載の発明では、請求項１記載の多機能型振動アクチュエータにおいて発音機構に用いる複数のダイアフラムを一体に成形したことを特徴としている。

請求項３に記載の発明では、請求項１又は２に記載の多機能型振動アクチュエータにおいて、ハウジング側面に空気の移動を目的とした貫通孔を設けたことを特徴としている。

請求項４に記載の発明では、請求項１〜３いずれかに記載の多機能型振動アクチュエータに於いて、振動機構外周とハウジング内壁の隙間を調節することにより空気の流量を制限し、振動機構とダイアフラムの間にある空気と、振動機構とカバーの間の空気をダンパとして使用したエアダンパ構造を備えることを特徴としている。

請求項１の発明によれば、振動モーターと複数のスピーカーを使用することなく、一つの部品でステレオの音声出力と振動出力が可能な多機能型振動アクチュエータを得ることが可能となる。

本発明における多機能型振動アクチュエータの基本的な駆動方法は、ダイアフラムに取り付けたコイルを、マグネットを挟んで配置した磁性材料からなるポールピースとヨークの間に配置し、コイルに駆動電流を印加することにより、ポールピース−ヨーク間の磁束とコイルの磁束が作用して、コイルに流した電流の方向に対して直角の方向に力が発生し、振動する構造となっている。

従って、本発明の多機能型振動アクチュエータではコイルに音声電流を印加することによりコイルが振動し、その振動がダイアフラムに伝搬することでスピーカーとしての機能を成す。

また、弾性体で支持された振動機構の共振周波数付近の交流電流をコイルに入力することによって前記振動機構を振動させ、移動体通信機器の筐体を振動させることが出来る。

本発明ではステレオに対応した多機能型アクチュエータを一つの部品として構成しているので、複数のスピーカーと振動アクチュエータを使用する場合に比べて基板等への取付工数が半分で済み、組立時の基板上でのスペース確保と給電について一回の対応で済む。

さらに、複数のスピーカー若しくは複数の多機能型振動アクチュエータを使用する場合に比べて部品点数が少なくて済み、組立工数も低くなる。

本発明の多機能型振動アクチュエータは振動機構を一体とした構造なので、独立した部品で同じ機能を再現するよりも少ない部品点数で構成することができ、簡単な構造で高い信頼性を保ったステレオ音声対応の多機能型振動アクチュエータとして使用することが可能となる。

請求項２に記載の発明によれば、本発明に於いて発音機構の数だけダイアフラムを取り付けるのではなく、複数のダイアフラムを一体に成形しているので、ダイアフラムを一つずつ取り付ける場合に比べて組立工数及び製造コストを下げることが出来る

請求項３に記載の発明によれば、ハウジングに空気の移動を目的とした貫通孔を設けることでダイアフラムの背面の空気移動を制御し、良好な音響特性が得られると共に、発音時に通気孔として使用することが出来る。

請求項４に記載の発明によれば、振動機構外周とハウジング内壁との間を調整し、空気の流量を調整することによって振動機構駆動時に振動機構とダイアフラムとの間に在る空気と、振動機構とカバーの間にある空気をダンパとして使用し、部品数を増やすことなく共振先鋭度の小さい安定した周波数特性を得ることが出来る。

以下に図面を参照して本発明の実施形態に関わる多機能型振動アクチュエータについて説明する。
図１に本発明に係る第一の実施形態の略断面図（ａ）、（ｂ）、（ｃ）をそれぞれの方向から示す。

図１に示す各断面図から分かるように、本実施例に関わる多機能型振動アクチュエータはダイアフラム４０、コイル２０ａ，２０ｂ、ポールピース６０ａ，６０ｂ、マグネット７０ａ，７０ｂからなる発音機構と、コイル２０ａ，２０ｂ、ポールピース６０ａ，６０ｂ、マグネット７０ａ，７０ｂ、ヨーク８０、スプリング３０ａ，３０ｂからなる振動機構と、それらを収納するハウジング５０、カバー１０及びコイル２０ａ，２０ｂが接続されている端子９０から構成されている。ここで、ポールピース６０ａ，６０ｂとヨーク８０は磁性材料を用いている。

本実施形態では、磁気ギャップＡに配置されたコイル２０ａ，２０ｂに交流電流を流すことにより、電流が磁束に作用してコイルが振動する。したがって印加電流を制御することによってポールピース６０ａ，６０ｂ、マグネット７０ａ，７０ｂ、ヨーク８０からなる振動機構又はダイアフラム４０、若しくは両方を振動、発音させることが出来る。

本発明における多機能型振動アクチュエータは入力する交流電流によって発音機構及び振動機構の動きを制御することが可能である。したがって図１で左右のコイル２０、２１に音声出力用の周波数の交流電流を別々に入力することで、左右の発音機構で独立した音声を出力することが出来る。

また、振動アクチュエータとして使用する場合、コイル２０ａ、２０ｂに振動機構を駆動させる周波数（振動機構の固有振動数付近の周波数）の交流電流を入力することで前記振動機構が振動する。

本実施形態では図２に示すハウジング５０に貫通孔Ｈを設けたことにより、スピーカーとして使用する際に明瞭な音を再生することを可能としている。

また、ヨーク８０とハウジング５０の隙間を調節し、間に流れる空気の移動量を制限することで、振動機構を挟んでダイアフラム４０と振動機構の間の空気と、カバー１０と振動機構との間で起こる空気の移動量を制限し、それぞれの空気をダンパとして使用することで振動機構の共振先鋭度（Ｑ）を小さくした周波数特性を得ることが出来る。

以上のように、本実施形態に係る多機能型振動アクチュエータを用いることにより、ステレオ出力機能を備え、省スペース且つ組立容易なステレオ出力に対応した多機能型振動アクチュエータを作ることが可能となる。

本発明における実施例に関わる断面図 本発明における実施例に関わる多機能型振動アクチュエータにおいて、ハウジングとカバーと端子の位置関係を示した外面図

符号の説明

１０ カバー
２０ａ，２０ｂ コイル
３０ａ，３０ｂ スプリング
４０ ダイアフラム
５０ ハウジング
６０ａ，６０ｂ ポールピース
７０ａ，７０ｂ マグネット
８０ ヨーク
９０ 端子
Ａ 磁気ギャップ
Ｈ 貫通孔

Claims (4)

1. マグネットに対してボイスコイルを振動させることで、当該ボイスコイルが固着されたダイアフラムを振動させて音響を発生する発音機構と、
   ボイスコイルに対してマグネットを振動させることで、当該マグネットが固定されたヨーク及び弾性体を振動させる振動機構と、でマグネットとボイスコイルとを共有し、前記ボイスコイルに入力する周波数を変えることにより、音と振動の両方を出力することが可能な多機能型振動アクチュエータに於いて、
   複数のダイアフラム取付部を有するハウジングを使用し、各取付部毎に前記ボイスコイルを固着したダイアフラムを取り付けて複数の発音機構を構成し、
   前記ハウジング内に配置した単一のヨークに、前記ボイスコイル毎に対応した複数のマグネットとポールピースを固定し、弾性体によって前記ハウジング内壁に支持することで振動機構を構成し、
   前記複数の発音機構と振動機構とを空隙を介して対向配置したことを特徴とする多機能型振動アクチュエータ。
   
2. 前記区画毎に配置されるダイアフラムが、１枚の成形体であることを特徴とする請求項１に記載の多機能型振動アクチュエータ。
3. ハウジング側面に、空気の移動を目的とした貫通孔が設けてあることを特徴とする請求項１又は２に記載の多機能型振動アクチュエータ。
4. ハウジングにカバーを備え、振動機構外周とハウジング内壁の隙間を調節することにより、駆動時に前記振動機構−ダイアフラム間の空気と、振動機構−カバー間の空気による制動効果を利用したエアダンパ構造を有することを特徴とした請求項１〜３に記載の多機能型振動アクチュエータ。