JP4683788B2 - 液圧アクチュエータ制御装置 - Google Patents

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淳一 保坂
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液圧アクチュエータ制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
近年、注目の分野である超高圧下の新物質の合成や物質特性の測定を目的とした高圧プレスでは、最低でも2〜50MN以上になるものもある。
【0003】
この用途の一例として、70MPa以上の油圧による高圧力容器や高油圧シリンダがあり、この高圧力容器や高油圧シリンダの長時間の加減圧プログラム制御は、最近の自動計測機器の発展と共に需要の伸びが大きくなっている。
【0004】
この種の制御では、圧力の上昇は定吐出型油圧ポンプの給液作動を誘導型モータからインバータ型モータにするだけで制御電圧に比例した高精度な圧力または流量制御が可能となる。
【0005】
一方、減圧は、通常、制御弁で行われ、前記ポンプとは異なって作動力が小さくても良い反面、流入側の圧力が制御弁の通過流量に影響を与える。従って、精密な高圧制御を実現する為、従来の制御弁とは異なり、圧力に依存しない流量特性を持つ機器が要望されている。
【0006】
ところで、この要望を達成する為、本発明者らは特開平10−267006号を提案している。
【0007】
この特開平10−267006号は、液圧アクチュエータの圧力の昇圧若しくは減圧制御を給液管路内の給液量若しくは戻液管路内の戻液量により制御するもので、前記給液管路には給液用吐出量可変ポンプを介して該給液管路が所定圧力以上となった際に開く昇圧用逆止弁が設けられ、前記戻液管路には戻液用吐出量可変ポンプを介して該戻液管路が所定圧力以上となった際に開く減圧用逆止弁が設けられ、この戻液用吐出量可変ポンプの吐出量により戻液管路の圧力が昇圧し、この昇圧した戻液管路の圧力により減圧用逆止弁が開き、該戻液管路の液体を吐出せしめる構成である。
【0008】
しかし、この減圧用逆止弁は、前述のように戻液管路の圧力によって開閉せしめられる構成の為、例えば、図1に示すように、戻液用吐出量可変ポンプより上流側の戻液管路3aから分岐された分岐管路10が設けられ、戻液用吐出量可変ポンプより下流側の戻液管路3bには前記分岐管路10の圧力及び付勢機構11(図面はバネ体)の付勢により常時上流側に付勢されて戻液管路3bを閉塞する弁体12が設けられ、この弁体12が前記分岐管路10の圧力及び付勢機構11の付勢に抗して下流側に移動した際、弁体12より下流側の戻液管路3cを開くように構成された減圧用開閉弁7の場合(実施例と同一構成部分には同一符号を付した。)、経年劣化によって前記弁体12が摩耗したり、前記付勢機構11の付勢が弱まったりしてしまい、従って、所期の流出特性よりも多大な液体が流出したり、前記所定圧力以下でも液体が流出したりする問題点がある。
【0009】
更に、経年劣化していない弁体12であっても、液圧アクチュエータの減圧を極めて微速で行う場合、弁体12の弁開閉感度が不十分となり易く、結果的に弁体12が液体を通過させてしまう場合があるという問題点もある。
【0010】
更に、このような所定圧力によって開閉する弁は、弁が開閉する際の圧力のバラツキが大きく(噴き止まり現象)、前記高精度な圧力または流量の制御において不十分であると言わざるを得ない。
【0011】
尚、戻液用吐出量可変ポンプによって戻液管路3bの圧力を昇圧せしめない場合(具体的には戻液管路3から戻液用吐出量可変ポンプを除外し、前記戻液管路3aと前記戻液管路3bを接続した場合)、液圧アクチュエータの圧力がそのまま減圧用逆止弁に作用し、結果として減圧用逆止弁の特性が減圧の制御に直接影響することになり、前記説明のような高精度な戻液制御は行えなくなる。
【0012】
本発明は、上記問題点を解決するもので、減圧過程での戻液管路の戻液量をより一層正確に制御できる実用性に秀れた液圧アクチュエータ制御装置を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0014】
液圧アクチュエータ1の圧力の昇圧若しくは減圧制御を給液管路2内の給液量若しくは戻液管路3内の戻液量により制御する液圧アクチュエータ制御装置であって、前記給液管路2には給液用吐出量可変ポンプ4が設けられ、前記戻液管路3には、戻液用吐出量可変ポンプ6と、この戻液用吐出量可変ポンプ6の作動により前記戻液管路3の圧力が所定圧力以上となった際に開く減圧用開閉弁7が設けられ、前記給液用吐出量可変ポンプ4は通常の場合である前記液圧アクチュエータ1の昇圧過程における給液作動に加え、前記戻液用吐出量可変ポンプ6と前記減圧用開閉弁7の間の前記戻液管路3の戻液圧が設定圧力より低い場合にも給液付加作動するように構成され、更に、前記戻液用吐出量可変ポンプ6は通常の場合である前記液圧アクチュエータ1の減圧過程における戻液作動に加え、前記戻液管路3の戻液圧が設定圧力より低い場合にも前記給液用吐出量可変ポンプ4の給液付加作動に対応して戻液付加作動し該戻液管路3の戻液圧を設定圧力とするように構成されていることを特徴とする液圧アクチュエータ制御装置に係るものである。
【0015】
また、請求項1記載の液圧アクチュエータ制御装置において、前記戻液管路3には、前記戻液用吐出量可変ポンプ6と前記減圧用開閉弁7の間の圧力を検出する戻液管路圧力検出装置15が設けられ、この戻液管路圧力検出装置15により検出された圧力が設定圧力より低い場合に前記給液付加作動及び前記戻液付加作動が行われるように構成されていることを特徴とする液圧アクチュエータ制御装置に係るものである。
【0016】
また、請求項1,2いずれか1項に記載の液圧アクチュエータ制御装置において、前記戻液管路3にして前記戻液用吐出量可変ポンプ6よりも上流側には分岐管路10が設けられ、また、前記戻液管路3には前記分岐管路10の圧力及び適宜な付勢機構11の付勢により常時上流側に付勢されて戻液管路3を閉塞する弁体12が設けられ、この弁体12が前記分岐管路10の圧力及び前記付勢機構11の付勢に抗して下流側に移動した際、前記戻液管路3開くように構成された減圧用開閉弁7が採用されていることを特徴とする液圧アクチュエータ制御装置に係るものである。
【0017】
また、請求項1〜3いずれか1項に記載の液圧アクチュエータ制御装置において、前記給液用吐出量可変ポンプ4には、この給液用吐出量可変ポンプ4が前記給液付加作動する際の吐出量を制限する制限装置が設けられていることを特徴とする液圧アクチュエータ制御装置に係るものである。
【0018】
また、請求項1〜4いずれか1項に記載の液圧アクチュエータ制御装置において、前記戻液用吐出量可変ポンプ6と前記減圧用開閉弁7との間には、液体を溜める液体容器13が設けられていることを特徴とする液圧アクチュエータ制御装置に係るものである。
【0019】
また、請求項1〜5いずれか1項に記載の液圧アクチュエータ制御装置において、前記給液管路2にして前記給液用吐出量可変ポンプ4と前記液圧アクチュエータ1の間には、前記給液用吐出量可変ポンプ4への液体の逆流を防止する給液側逆止弁30が設けられ、前記戻液管路3にして前記戻液用吐出量可変ポンプ6と前記減圧用開閉弁7との間には、前記液圧アクチュエータ1への液体の逆流を防止する戻液側逆止弁31が設けられていることを特徴とする液圧アクチュエータ制御装置に係るものである。
【0020】
また、液圧アクチュエータ1の圧力の昇圧若しくは減圧制御を給液管路2内の給液量若しくは戻液管路3内の戻液量により制御する液圧アクチュエータ制御装置であって、前記給液管路2には給液用吐出量可変ポンプ4が設けられ、前記戻液管路3には、戻液用吐出量可変ポンプ6と、この戻液用吐出量可変ポンプ6の作動により前記戻液管路3の圧力が所定圧力以上となった際に開く減圧用開閉弁7が設けられ、この減圧用開閉弁7は電気制御により開閉度合いが可変するサーボ式開閉弁35が採用され、前記給液用吐出量可変ポンプ4は通常の場合である前記液圧アクチュエータ1の昇圧過程における給液作動に加え、前記戻液用吐出量可変ポンプ6と前記減圧用開閉弁7の間の前記戻液管路3の戻液圧が設定圧力より低い場合にも給液付加作動するように構成され、更に、前記戻液用吐出量可変ポンプ6は通常の場合である前記液圧アクチュエータ1の減圧過程における戻液作動に加え、前記戻液管路3の戻液圧が設定圧力より低い場合にも前記給液用吐出量可変ポンプ4の給液付加作動に対応して戻液付加作動し該戻液管路3の戻液圧を設定圧力とするように構成されていることを特徴とする液圧アクチュエータ制御装置に係るものである。
【0021】
【発明の作用及び効果】
戻液管路3(図面の場合、戻液用吐出量可変ポンプ6と減圧用開閉弁7の間の戻液管路3b)の圧力が所定圧力以上となった際に開く減圧用開閉弁7から流出する液体が設定量より多い場合、この多い分の液体を給液用吐出量可変ポンプ4の給液付加作動及び戻液用吐出量可変ポンプ6の戻液付加作動により前記戻液管路3に補充することにより、戻液管路3内の液体圧力が予め設定した圧力となり、従って、液圧アクチュエータ1からの流出量を予め設定した設定量とすることができる。
【0022】
また、この戻液管路3への液体の補充は、別途の構造,装置を使用せず、液圧アクチュエータ1の圧力を昇圧せしめる為の給液用吐出量可変ポンプ4及び液圧アクチュエータ1の圧力を減圧せしめる為の戻液用吐出量可変ポンプ6によって行われる為、それだけ簡易にしてコスト安で行うことができる。
【0023】
本実施例は上述のように構成したから、簡易な構成により、減圧過程での戻液量を補充することが可能となり、よって、極めて正確に液圧アクチュエータの減圧を制御することが可能となる。
【0024】
【発明の実施の形態】
図面は本発明の一実施例を図示したものであり、以下に説明する。
【0025】
本実施例は、液圧アクチュエータ1の圧力の昇圧若しくは減圧制御を給液管路2内の給液量若しくは戻液管路3内の戻液量により制御する液圧アクチュエータ制御装置であって、前記給液管路2には給液用吐出量可変ポンプ4が設けられ、前記戻液管路3には、戻液用吐出量可変ポンプ6と、この戻液用吐出量可変ポンプ6の作動により該戻液用吐出量可変ポンプ6と後記減圧用開閉弁7の間の戻液管路3bの圧力が所定圧力以上となった際に開く減圧用開閉弁7が設けられ、前記給液用吐出量可変ポンプ4は通常の場合である液圧アクチュエータ1の昇圧過程における給液作動に加え、前記戻液用吐出量可変ポンプ6と前記減圧用開閉弁7の間の前記戻液管路3bの戻液圧が設定圧力より低い場合にも給液付加作動するように構成され、更に、前記戻液用吐出量可変ポンプ6は通常の場合である液圧アクチュエータ1の減圧過程における戻液作動に加え、前記戻液管路3bの戻液圧が設定圧力より低い場合にも前記給液用吐出量可変ポンプ4の給液付加作動に対応して戻液付加作動し該戻液管路3bの戻液圧を設定圧力とするように構成されているものである。
【0026】
給液管路2と戻液管路3とは通液可能に連通せしめられ、この連通部に前記液圧アクチュエータ1が配設されている。
【0027】
給液管路2は、前記給液用吐出量可変ポンプ4を給液作動して該給液管路2の圧力を高めることで液圧アクチュエータ1の圧力を昇圧せしめ得るように構成されている。
【0028】
給液用吐出量可変ポンプ4と液圧アクチュエータ1の間の給液管路2には、液圧アクチュエータ1や戻液管路3から給液用吐出量可変ポンプ4への液体の逆流を防止する給液側逆止弁30が設けられている。
【0029】
また、給液用吐出量可変ポンプ4と給液側逆止弁30の間の給液管路2には、安全弁16が配設されており、給液管路2内で圧力異常等が起こり、圧力調整が必要な場合などには該安全弁16からタンク17に液体を戻すことができるように構成されている。
【0030】
戻液管路3は、前記戻液用吐出量可変ポンプ6の吐出量により前記戻液用吐出量可変ポンプ6と前記減圧用開閉弁7の間の戻液管路3bの圧力が昇圧し、この昇圧した戻液管路3bの圧力により前減圧用開閉弁7を開いて前記戻液管路3bの液体を吐出せしめることで前記液圧アクチュエータ1の圧力を減圧せしめ得るように構成されている。
【0031】
戻液用吐出量可変ポンプ6と減圧用開閉弁7の間の戻液管路3bには、液圧アクチュエータ1への液体の逆流を防止する戻液側逆止弁31が設けられている。
【0032】
また、戻液用吐出量可変ポンプ6と減圧用開閉弁7の間の戻液管路3bには安全弁18が配設され、戻液管路3b内で圧力異常等が起こり、圧力調整が必要な場合等には該安全弁18からタンク19に液体を戻すことができるように構成されている。
【0033】
液圧アクチュエータ1の圧力は、給液管路2側の圧力と戻液管路3側の圧力とのバランスによって決定されるように構成されている。具体的には、液圧アクチュエータ1の圧力は、給液管路2に設けられた給液側逆止弁30と戻液管路3に設けられた戻液用吐出量可変ポンプ6との間、即ち、給液側逆止弁30より液圧アクチュエータ1側(下流側)の給液管路2及び戻液用吐出量可変ポンプ6より液圧アクチュエータ1側(上流側)の戻液管路3(符号3a部分)と同じであり、この圧力は、給液用吐出量可変ポンプ4の給液作動による給液側逆止弁30より下流側の給液管路2の圧力の変化と、戻液用吐出量可変ポンプ6の戻液作動による戻液用吐出量可変ポンプ6より上流側の戻液管路3aの圧力の変化とによって決定されている。
【0034】
戻液管路3bに設けられた減圧用開閉弁7は、所謂オフセット付リリーフ弁と呼ばれる比例圧力制御弁が採用されている。
【0035】
この比例圧力制御弁について図1をもとに詳述すると、前記戻液用吐出量可変ポンプ6より上流側の戻液管路3aには該戻液管路3aから分岐された分岐管路10が設けられ、この分岐管路10の末端と前記戻液用吐出量可変ポンプ6より下流側の戻液管路3bの間には該分岐管路10の圧力及び付勢機構11(図面はバネ体)の付勢により常時戻液管路3bの上流側に付勢されて該戻液管路3bを閉塞する弁体12が設けられ、この弁体12が前記戻液用吐出量可変ポンプ6の戻液作動等に伴う戻液管路3bの圧力上昇により、前記分岐管路10の圧力及び付勢機構11の付勢に抗して下流側に移動した際、戻液管路3bを開くように構成されている。
【0036】
戻液用吐出量可変ポンプ6は、該戻液用吐出量可変ポンプ6の液体吐出により前記戻液用吐出量可変ポンプ6と前記減圧用開閉弁7の間の戻液管路3bの圧力が昇圧し、この昇圧した戻液管路3bの圧力が前記弁体12を分岐管路10側に移動せしめるように構成されている。
【0037】
尚、例えば、減圧用開閉弁7として、バネ体のみによって弁体を該弁体より上流側の戻液管路に付勢する所謂リリーフ弁と呼ばれる圧力制御弁を使用したり、電気制御により開閉度合いが可変するサーボ式開閉弁35を使用したり(この構成は、後記別例にて詳述する。)する構成であっても良い。
【0038】
また、戻液用吐出量可変ポンプ6と減圧用開閉弁7の間の戻液管路3bには液体を溜めて該液体の圧力を蓄積する液体容器13が設けられている。尚、作動油は、70MPaで4乃至5%(体積)の圧縮率を有している。
【0039】
この液体容器13は、単に内部に液体を溜める構成のものや、例えば、図5に示すように、内部にバネ等の弾性体20によって付勢された仕切体21を有し、この弾性体20の付勢によって内部の液体23が圧縮される構成のものが採用される。
【0040】
尚、この液体容器13は、主に戻液管路3bの容積が小さい場合に使用される。
【0041】
給液用吐出ポンプ4の給液作動によって戻液用吐出量可変ポンプ6と減圧用開閉弁7の間の戻液管路3bに液体を供給する制御において、前記給液用吐出量可変ポンプ4と前記戻液用吐出量可変ポンプ6の作動は、戻液用吐出量可変ポンプ6より上流側の戻液管路3aに設けられた第一センサ24と、戻液用吐出量可変ポンプ6と減圧用開閉弁7の間の戻液管路3bに設けられた第二センサ15(請求項のいう戻液管路圧力検出装置)と、該第一センサ24及び第二センサ15が接続されたコントローラ26とにより制御されている。
【0042】
このコントローラ26は、第一センサ24からの入力信号E(検出圧)と第二センサ15からの入力信号F(検出圧)とを比較し、第二センサ15の検出圧が適正な値であれば、給液用吐出量可変ポンプ4を給液付加作動させず、出力信号Bによって戻液用吐出量可変ポンプ6を所定の戻液プログラムにより戻液作動せしめるように構成されている(図4参照)。
【0043】
また、第二センサ15の検出圧が前記弁体12の劣化等によって不適正な値、即ち、適正な値よりも低い値であった場合には(図6中符号P位置)、コントローラ26からの出力信号Aによって給液用吐出量可変ポンプ4を給液付加作動させ、この給液用吐出量可変ポンプ4の給液付加作動により、先ず、給液管路2を経由して戻液用吐出量可変ポンプ6より上流側の戻液管路3aに液体を供給し、更にコントローラ26からの出力信号Bによって前記戻液用吐出量可変ポンプ6を戻液付加作動させ、この戻液用吐出量可変ポンプ6の戻液付加作動により、前記戻液管路3aに供給された分の液体を前記戻液管路3bに供給(補充)し、該戻液管路3bの圧力を適正な値にせしめるように構成されている。
【0044】
また、この給液用吐出量可変ポンプ4の給液付加作動と戻液用吐出量可変ポンプ6の戻液付加作動は、前記液圧アクチュエータ1の圧力の変動(この場合の変動とは、液圧アクチュエータ1の適正な減圧に対する変動を意味する。)を可及的に防止する為、該給液用吐出量可変ポンプ4の給液付加作動によって前記戻液管路3aに供給される液体の量と、該戻液用吐出量可変ポンプ6の戻液付加作動によって前記戻液管路3bに供給される液体の量(この量は、液圧アクチュエータ1の適正な減圧の為の量に上乗せされる量、即ち、通常の戻液作動による量に上乗せされる量を意味する。)とが同じとなるように制御される。更に、この給液用吐出量可変ポンプ4の給液付加作動タイミングと戻液用吐出量可変ポンプ6の戻液付加作動タイミングも同様の理由から可及的に同じとなるように制御される。
【0045】
また、給液用吐出量可変ポンプ4が給液付加作動すると、ポンプの特性(作動から実際に液体を吐出するまでにタイムラグが発生すること。即ち、給液用吐出量可変ポンプ4の作動タイミングと戻液用吐出量可変ポンプ6の作動タイミングが同じであっても、給液用吐出量可変ポンプ4の作動による戻液管路3aの圧力の昇圧タイミングと戻液用吐出量可変ポンプ6の作動による戻液管路3bの圧力の昇圧タイミングがずれてしまう。)から、一時的に前記液圧アクチュエータ1の圧力が上昇してしまう懸念がある。従って、本実施例では、この液圧アクチュエータ1の圧力の上昇を可及的に防止する必要性から、液圧アクチュエータ1の適正な減圧の為の給液用吐出量可変ポンプ4の給液付加作動により前記戻液管路3aに液体を供給する際の該給液用吐出量可変ポンプ4の吐出量を所定量に制限する制限装置を設ける構成が採用されている。
【0046】
この給液用吐出量可変ポンプ4の給液付加作動及び戻液用吐出量可変ポンプ6の戻液付加作動によって第二センサ15の検出圧(戻液管路3bの圧力)が適正な値に戻ったら(図6中符号Q位置)、コントローラ26からの出力信号Aによって給液用吐出量可変ポンプ4の給液付加作動を停止し、戻液用吐出量可変ポンプ6の作動は前記所定の戻液プログラムにより作動せしめる(即ち、戻液付加作動から戻液作動へ変更する。)ように構成されている。
【0047】
尚、図6中、縦軸は圧力、横軸は時間を示し、符号Vで示すグラフは、液圧アクチュエータ1の圧力推移グラフ、符号Wで示すグラフは、前記戻液用吐出量可変ポンプ6と減圧用開閉弁7の間の戻液管路3bの圧力推移グラフである。
【0048】
本実施例は上述のように構成したから、戻液管路3bの圧力が所定圧力以上となった際に開く減圧用開閉弁7から流出する液体が設定量より多くて該戻液管路3bの圧力が制御値より低くなった場合、この過剰に流出した分の液体を給液用吐出量可変ポンプ4の給液付加作動及び戻液用吐出量可変ポンプ6の戻液付加作動によって戻液管路3bに補充することができ、よって、戻液用吐出量可変ポンプ6と減圧用開閉弁7の間の戻液管路3b内の液体が制御より速く減少することを防止して正確な戻液量の制御、即ち、液圧アクチュエータ1の正確な減圧制御を達成できる実用性に秀れた液圧アクチュエータ制御装置となる。
【0049】
また、減圧用開閉弁7に送られる液体の圧力の制御は、給液用吐出量可変ポンプ4の制御と戻液用吐出量可変ポンプ6の制御とにより行う構成であるから、減圧用開閉弁7への液体の供給量を適正に制御でき、よって、減圧用開閉弁7からの液体の流出量を適正な設定量とすることができ、この点においても正確な減圧制御を達成できることになる。
【0050】
また、減圧制御の為の給液用吐出量可変ポンプ4の給液付加作動は、戻液管路3bの圧力が制御値より低くなった場合にのみ行われるから、戻液管路3bの圧力が制御値より高くなったりせず、この点においても正確な減圧制御を達成できることになる。
【0051】
また、正確な減圧制御の為に戻液管路3bに補充する液体は、元々液圧アクチュエータ1に供給される給液用吐出量可変ポンプ4を経由した液体であるから、該補充する液体と戻液管路3bに存在する液体との圧力特性等は同一であり、よって、この混合による液圧特性変化等のデメリットは発生したりせず、この点においても正確な減圧制御を達成できることになる。
【0052】
また、戻液管路3bへの液体の補充は、液圧アクチュエータ1を昇圧せしめる際に使用する給液用吐出量可変ポンプ4,給液管路2,液圧アクチュエータ1を減圧せしめる際に使用する戻液用吐出量可変ポンプ6,戻液管路3を用いて行うから、装置全体の構成は非常に簡略であり(制御の為のコントローラ26等が必要なだけである)、この点においても実用性,生産性等に秀れることになる。
【0053】
また、減圧用開閉弁7として、該減圧用開閉弁7を開閉する弁体12が戻液用吐出量可変ポンプ6よりも上流側の戻液管路3aから分岐された分岐管路10の圧力によって戻液管路3b側に付勢されているものが採用されているから、該弁体12の動きは該分岐管路10の圧力(即ち、戻液用吐出量可変ポンプ6より上流側の戻液管路3aの圧力)と戻液用吐出量可変ポンプ6と減圧用開閉弁7の間の戻液管路3bの圧力との差によることになり、戻液用吐出量可変ポンプ6より上流側の戻液管路3aの圧力の高低に依存せず、高圧から低圧までの巾広い範囲において良好な戻液制御、即ち、減圧制御を達成できることになる。
【0054】
また、このような減圧用開閉弁7においては、弁体12の劣化に伴う開閉特性の変化や前記噴き止まり現象(弁閉鎖圧力のバラツキ)の問題があるが、本実施例では、給液用吐出量可変ポンプ4や戻液用吐出量可変ポンプ6の作動によって該開閉特性の変化や噴き止まり現象を補正することができ、よって、この点においても良好な減圧制御を達成できることになる。
【0055】
特に、2乃至50MN以上の超荷重を集中荷重として作用させ、新物質の合成や物質特性の測定を目的とする超高圧用液圧アクチュエータ制御装置では、試料にショックが加わったり、液圧アクチュエータ1内部の圧力が局所的に急激に低下したりしないように減圧がゆっくりと行われる為、前記噴き止まり現象が起き易かったが、本実施例によれば噴き止まり現象を補正して良好且つ正確な減圧制御を行うことができ、更に、液圧アクチュエータ1内部の圧力が制御以上に低下してしまうことが防止される為、この点においても超高圧用液圧アクチュエータ制御装置として秀れることになる。
【0056】
また、戻液管路3bへの液体補充の為の給液用吐出量可変ポンプ4の給液付加作動を制限する制限装置が設けられているから、戻液管路3bの圧力が異常低下した際に給液用吐出量可変ポンプ4の給液作動が過剰になって液圧アクチュエータ1の圧力が設定通りの減圧制御と異なったりすることが防止され、よって、この点においても、良好な減圧制御を達成できることになる。
【0057】
また、給液用吐出量可変ポンプ4の給液付加作動及び戻液用吐出量可変ポンプ6の戻液付加作動による戻液管路3bへの液体補充は、第一センサ24からの入力信号E(検出圧)と第二センサ15からの入力信号F(検出圧)とをコントローラ26が自動的に比較して行っているから、戻液用吐出量可変ポンプ6と減圧用開閉弁7の間の戻液管路3bの異常な圧力低下を自動的且つ確実に補正することができ、この点においても秀れた液圧アクチュエータ制御装置となる。
【0058】
また、戻液用吐出量可変ポンプ6と減圧用開閉弁7の間の戻液管路3bには液体容器13が設けられているから、該戻液管路3bの圧力が僅かに低下した場合には該液体容器13に溜められていた液体が供給されることになり、よって、若干であれば給液用吐出量可変ポンプ4や戻液用吐出量可変ポンプ6が作動せずとも圧力低下を補正することができ、該給液用吐出量可変ポンプ4や戻液用吐出量可変ポンプ6の作動頻度を少なくできる等、この点においても実用性に秀れることになる。
【0059】
図7,8は本実施例の別例を図示したもので、減圧用開閉弁7として、所謂オフセット付リリーフ弁と呼ばれる比例制御弁ではなく、電気制御により開閉度合いが可変するサーボ式開閉弁35が採用されているものである。
【0060】
このサーボ式開閉弁35は、前記分岐管路10等を必要とせず、液圧アクチュエータ1を減圧する為の制御に基づいて開閉される(戻液量を制御する)ように構成されている。
【0061】
このサーボ式開閉弁35の電気制御は、前記コントローラ26から発生される出力信号Cによって行われる構成が採用されている。
【0062】
この場合、コントローラ26は、設定プログラムに従って出力信号Cによりサーボ式開閉弁35の開閉度合いを調整し、且つ、第一センサ24からの入力信号Eと設定プログラムを比較して液圧アクチュエータ1の減圧が適正に行われているかを確認し、更に、第一センサ24からの入力信号Eと第二センサ15からの入力信号Fを比較して液圧アクチュエータ1の減圧が適正に行われているかを確認し、更に、前記設定プログラムと前記入力信号E及び入力信号Fとを比較しつつ前記液圧アクチュエータ1の減圧を適正に行う為に出力信号Bによって戻液用吐出量可変ポンプ6を作動させたり、出力信号A及びBによって給液用吐出量可変ポンプ4及び戻液用吐出量可変ポンプ6を作動させたりすることになる。
【0063】
この別例によれば、装置全体の制御を電気的に行うことができ、より一層正確に液圧アクチュエータ1の圧力の昇圧や減圧を行えることになる。
【0064】
また、分岐管路10が存在しない分、液体の経路が簡略化されることになり、この点においても実用性,生産性に秀れることになる。
【0065】
更に、コントローラ26によるサーボ式開閉弁35や給液用吐出量可変ポンプ4や戻液用吐出量可変ポンプ6の自動制御により、極めて複雑な昇圧及び降圧制御も行え、この点において実用性,汎用性に秀れることになる。
【0066】
の余は本実施例と同様である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施例の減圧用開閉弁7を示す説明断面図である。
【図2】 本実施例の概略を示す説明図である。
【図3】 本実施例の説明図である。
【図4】 本実施例の制御機構を示す説明図である。
【図5】 本実施例の液体容器13を示す説明断面図である。
【図6】 本実施例の制御グラフを示す説明図である。
【図7】 本実施例の別例の説明図である。
【図8】 本実施例の別例の制御機構を示す説明図である。
【符号の説明】
1 液圧アクチュエータ
2 給液管路
3 戻液管路
4 給液用吐出量可変ポンプ
6 戻液用吐出量可変ポンプ
7 減圧用開閉弁
10 分岐管路
11 付勢機構
12 弁体
13 液体容器
14 連通路開閉弁
15 戻液管路圧力検出装置
31 給液側逆止弁
32 戻液側逆止弁
35 サーボ式開閉弁

Claims (7)

  1. 液圧アクチュエータの圧力の昇圧若しくは減圧制御を給液管路内の給液量若しくは戻液管路内の戻液量により制御する液圧アクチュエータ制御装置であって、前記給液管路には給液用吐出量可変ポンプが設けられ、前記戻液管路には、戻液用吐出量可変ポンプと、この戻液用吐出量可変ポンプの作動により前記戻液管路の圧力が所定圧力以上となった際に開く減圧用開閉弁が設けられ、前記給液用吐出量可変ポンプは通常の場合である前記液圧アクチュエータの昇圧過程における給液作動に加え、前記戻液用吐出量可変ポンプと前記減圧用開閉弁の間の前記戻液管路の戻液圧が設定圧力より低い場合にも給液付加作動するように構成され、更に、前記戻液用吐出量可変ポンプは通常の場合である前記液圧アクチュエータの減圧過程における戻液作動に加え、前記戻液管路の戻液圧が設定圧力より低い場合にも前記給液用吐出量可変ポンプの給液付加作動に対応して戻液付加作動し該戻液管路の戻液圧を設定圧力とするように構成されていることを特徴とする液圧アクチュエータ制御装置。
  2. 請求項1記載の液圧アクチュエータ制御装置において、前記戻液管路には、前記戻液用吐出量可変ポンプと前記減圧用開閉弁の間の圧力を検出する戻液管路圧力検出装置が設けられ、この戻液管路圧力検出装置により検出された圧力が設定圧力より低い場合に前記給液付加作動及び前記戻液付加作動が行われるように構成されていることを特徴とする液圧アクチュエータ制御装置。
  3. 請求項1,2いずれか1項に記載の液圧アクチュエータ制御装置において、前記戻液管路にして前記戻液用吐出量可変ポンプよりも上流側には分岐管路が設けられ、また、前記戻液管路には前記分岐管路の圧力及び適宜な付勢機構の付勢により常時上流側に付勢されて戻液管路を閉塞する弁体が設けられ、この弁体が前記分岐管路の圧力及び前記付勢機構の付勢に抗して下流側に移動した際、前記戻液管路開くように構成された減圧用開閉弁が採用されていることを特徴とする液圧アクチュエータ制御装置。
  4. 請求項1〜3いずれか1項に記載の液圧アクチュエータ制御装置において、前記給液用吐出量可変ポンプには、この給液用吐出量可変ポンプが前記給液付加作動する際の吐出量を制限する制限装置が設けられていることを特徴とする液圧アクチュエータ制御装置。
  5. 請求項1〜4いずれか1項に記載の液圧アクチュエータ制御装置において、前記戻液用吐出量可変ポンプと前記減圧用開閉弁との間には、液体を溜める液体容器が設けられていることを特徴とする液圧アクチュエータ制御装置。
  6. 請求項1〜5いずれか1項に記載の液圧アクチュエータ制御装置において、前記給液管路にして前記給液用吐出量可変ポンプと前記液圧アクチュエータの間には、前記給液用吐出量可変ポンプへの液体の逆流を防止する給液側逆止弁が設けられ、前記戻液管路にして前記戻液用吐出量可変ポンプと前記減圧用開閉弁との間には、前記液圧アクチュエータへの液体の逆流を防止する戻液側逆止弁が設けられていることを特徴とする液圧アクチュエータ制御装置。
  7. 液圧アクチュエータの圧力の昇圧若しくは減圧制御を給液管路内の給液量若しくは戻液管路内の戻液量により制御する液圧アクチュエータ制御装置であって、前記給液管路には給液用吐出量可変ポンプが設けられ、前記戻液管路には、戻液用吐出量可変ポンプと、この戻液用吐出量可変ポンプの作動により前記戻液管路の圧力が所定圧力以上となった際に開く減圧用開閉弁が設けられ、この減圧用開閉弁は電気制御により開閉度合いが可変するサーボ式開閉弁が採用され、前記給液用吐出量可変ポンプは通常の場合である前記液圧アクチュエータの昇圧過程における給液作動に加え、前記戻液用吐出量可変ポンプと前記減圧用開閉弁の間の前記戻液管路の戻液圧が設定圧力より低い場合にも給液付加作動するように構成され、更に、前記戻液用吐出量可変ポンプは通常の場合である前記液圧アクチュエータの減圧過程における戻液作動に加え、前記戻液管路の戻液圧が設定圧力より低い場合にも前記給液用吐出量可変ポンプの給液付加作動に対応して戻液付加作動し該戻液管路の戻液圧を設定圧力とするように構成されていることを特徴とする液圧アクチュエータ制御装置。
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