JP4682188B2 - フィッシャー−トロプッシュ原料流からの汚染物除去方法 - Google Patents

フィッシャー−トロプッシュ原料流からの汚染物除去方法 Download PDF

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Description

本発明はフィッシャー−トロプッシュ原料流からろ過による除去が可能な粒状物質およびろ過による除去が不能な含アルミニウム汚染物の除去方法に関する。
現今の燃料の大半は原油から得られる。原油の供給には限界があり、また原油から得られる燃料は窒素や硫黄を含有する化合物を含有しており、これらの含硫黄化合物は例えば酸性雨のような環境問題を起因すると考えられている。
天然ガスは豊富に存在し、炭化水素燃料、潤滑油、化成品、化成品原料に転化が可能である。天然ガスから上記の製品を生成するための方法の一つは、天然ガスを主として水素と一酸化炭素からなる混合物である合成ガス(シンガス)への転化を包含する。フィッシャー−トロプッシュ・プロセスでは、天然ガス源から生成したシンガスは広範囲にわたる製品を包含する製品流に転化される。これらの製品例として、プロパンやブタンのようなガス;輸送用燃料生成のために処理できる液体コンデンセート;ならびに基油およびディーゼル燃料油のようなより低沸点製品に転化可能なワックスなどが挙げられる。ワックスやコンデンセートを転化する際には、通常は、同原料を下降並流する高濃度の水素を含有するガス流と共に一基あるいは複数基の水素化処理反応器に封入されている触媒層中を通過させる(すなわち、下降流反応器)。同液体炭化水素原料は、水素化処理反応器内の触媒層中を「滴り」落ちて、望ましい品質向上が達成された後同反応器底部から排出される。
同フィッシャー−トロプッシュ反応器から回収されたフィッシャー−トロプッシュ原料流は、触媒から擦られ落ちた粉や装置からの錆やスケールのようなろ過による除去が可能な粒状汚染物を含む可能性がある。更に、場合によっては、ろ過による除去が不能な含アルミニウム汚染物が同流に存在する可能性もある。これらは、通常の粉体回収方法では除去不能である。これらのろ過による除去不能な含アルミニウム汚染物は、水素化反応器内の通常の条件下で合体して粒状となり、固定層滴下流れの水素化反応器内で深刻な運転上の問題を発生する可能性がある。最も頻繁に起こる運転上の問題は圧力損失の増加であり、同触媒ペレットが原料中の粉状物質をろ過分離して保持した結果、最終的には触媒層内の流路を閉塞させる可能性がある。このような圧力損失の増加は、生産の停止や触媒の入れ替えコストにより相当な経済的損失をもたらす。このようなろ過による除去不能な含アルミニウム汚染物は、通常はフィッシャー−トロプッシュ生成物流のより重質留分であるワックス中に蓄積することになろう。米国特許6,359,018はフィッシャー−トロプッシュ原料流の品質向上プロセスを開示しており、同プロセスでは原料流は水素化反応器中を上昇流モードで通過して、次いでろ過により粒状物質を除去する。
本発明の実施のために使用できる上昇流運転方法には固定床(固定層)と沸騰床(沸騰層)という2種類の方法がある。固定層反応器を上昇流モードで運転する場合には、運転期間中に触媒層は殆どあるいは全く膨張しない。反応器は堅牢であるので、触媒層は同層の垂直軸方向のみに膨張することを理解すべきである。このようにして、本明細書で言及される層膨張では、反応器の高さあるいは深さの増加が同膨張を測る適切な尺度であり、これは層容積と直接的に関係する。沸騰層も原料の上昇流を伴うが、同上昇流は触媒を浮遊させ同触媒粒子のランダムな運動を維持するに十分なものである点で上昇流固定層反応器とは異なる。沸騰層は運転中では、水素および原料が触媒層中に流れていないときの反応器内の触媒容積に比べて通常は少なくとも20%膨張する。
固定層および沸騰層の上昇流モードの運転は、本発明の実施には使用されない流動層の運転とは異なる。流動層の運転では、細かい固体触媒粒子がプロセス・ガスの上昇流によって持ち上げられ撹拌される。流動床(流動層)では、固体触媒粒子はプロセス・ガスの上昇流によって浮遊あるいはエントレインされる。流動層は、その様相が沸騰液体に似ているので沸騰層と呼ばれることもある。流動層の層膨張の度合いは沸騰層に比べて相当高い。
フィッシャー−トロプッシュ原料流を、下流側の水素化運転に送る前に、ろ過による除去が可能な汚染物およびろ過による除去が不能な汚染物の両方を除去する効果的なプロセスを提供することは経済的に有利となろう。本発明はこのようなプロセスを提供する。
本明細書内で使用される「包含する(comprise)」との言葉は名前を挙げられた成分の制限されていない範囲を示す過渡的な意味を有しており、名前が挙がっていない他の成分の存在を必ずしも除外するものではない。「本質的には構成される(consist essentially)」との言葉は関連組成での他の本質的な意義のある他の成分を除外する意図がある。「構成される(consist essentially)」との言葉は、少量の不純物のみを含有する列挙された成分を除く全ての成分を除外する過渡的な意味を有している。
(発明の概要)
本発明はフィッシャー−トロプッシュ合成反応生成物からの汚染物除去方法(プロセス)の提供を目的としている。ここでの汚染物は、以下の(i)および(ii)を含有する:(i)有効直径が1ミクロンを超える粒状物質および(ii)有効直径が1ミクロン未満のアルミニウム含有汚染物中に少なくとも5ppm濃度のアルミニウムを含有する。
同方法は以下の工程を包含する:工程(a):フィッシャー−トロプッシュ合成反応生成物を、1ミクロンを超える有効直径を有する粒状物質の除去が可能な第一粒状物質除去ゾーンに通過させる;(b):有効直径が1ミクロン未満のアルミニウム含有汚染物中に5ppm以上の濃度のアルミニウムを含有する、実質的に粒状物質を含有していないフィッシャー−トロプッシュ供給流を同第一粒状物質除去ゾーンから回収する;(c):実質的に粒状物質を含有していない同フィッシャー−トロプッシュ供給流を、ガード床内でアルミニウム活性化条件下で上昇流モードでアルミニウム活性の触媒に接触させ、これにより有効直径が1ミクロン超の含アルミニウム粒子を含有する供給流混合物をフィッシャー−トロプッシュ炭化水素の連続相中に生成させる;(d):同供給流混合物を、工程(c)で生成した含アルミニウム粒子を実質的に全て除去することが可能な第二粒状物質除去ゾーンに通過させる;そして(e):同第二粒状物質除去ゾーンから全アルミニウム濃度が約5ppm未満のフィッシャー−トロプッシュ生成物を回収する。
本明細書で使用される「アルミニウム活性の触媒」とはガード床(ガード層)内での通常の条件下において含アルミニウム汚染物を有効直径が約1ミクロン以上の粒子に合体させる触媒を指す。大半のアルミニウム活性の触媒は少なくとも一種の周期律表6族の活性金属(例えばクロム、モリブデンあるいはタングステン)および少なくとも一種の8族の活性塩基性金属(例えばニッケルあるいはコバルト)を含有する。活性金属とは、周期律表6族あるいは8族の元素(ケミカル・アブストラクト・サービセズ)であって、元素状金属あるいは金属化合物として含アルミニウム粒子の生成に触媒作用を有するものを指す。
ろ過による除去が不能な含アルミニウム汚染物は通常はフィッシャー−トロプッシュ反応生成物流内の分子量がより高い留分中に蓄積することが認められている。フィッシャー−トロプッシュ反応生成物は通常は軽質反応生成物とワックス状の反応生成物を包含する。同軽質反応生成物(ここではコンデンセート留分と呼ぶ)は約700°F未満の温度で沸騰する炭化水素(すなわちテールガス〜中間留分)を包含し、これらは主としてC〜C20の範囲内にあり、また分子量が高くなるに従い割合的には少なくなるが約C30までの留分を包含する。ワックス状の反応生成物(ここではワックス留分と呼ぶ)は約600°F超の温度で沸騰する炭化水素(例えば、減圧ガスオイル〜重質パラフィン)を包含し、これらは主としてC20+の範囲内にあり、また分子量が低くなるに従い割合的には少なくなるが約C10までの留分を包含する。
本発明のプロセスはどのような形式のフィッシャー−トロプッシュ反応器設計に対しても適用可能であるが、スラリー型反応器で実施されるのが特に有利である。同反応器内では、ワックス留分およびコンデンセート留分は別個に回収される。従って、スラリー型反応器からの同ワックス留分はろ過による除去が不能なアルミニウムの大半を含有している。
上述したように、同フィッシャー−トロプッシュ供給(feed;原料)流中に存在する含アルミニウム汚染物の少なくとも一部は、液体から粒状物質の除去に通常使用されるろ過あるいはそれ以外の方法では容易に除去ができない形で存在する。従って、本明細書内で使用される1ミクロン未満の有効直径を有する含アルミニウム汚染物とは、溶解可能なアルミニウム化合物、コロイド状粒子あるいは超微粒の粒状物質といった形で存在していてもよい物質を指す。1ミクロンの有効直径は、含アルミニウム汚染物の特徴的な特性として採用した。なぜならば、直径が1ミクロン未満の粒子は、液状炭化水素への使用に適した通常型の商業規模ろ過方法では普通は除去不能であるからである。従って、同含アルミニウム汚染物は有効細孔が約1ミクロンのろ過器では除去不能な形をしている。ろ過はフィッシャー−トロプッシュ原料流およびガード層から流出する原料流混合物の両方からの粒状物質の除去に適した方法ではあるが、遠心分離や蒸留といった他の方法もそれが望ましいのであれば採用可能である。
同ガード層を上昇流モードで運転することが本発明の重要な態様である。上昇流反応器は、流体が反応器内で上昇しつつ流れる点で典型的な下降流固定層反応器とは異なる。本発明では、反応器を上昇流モードで運転する方が有利である。なぜならば、上昇流反応器は、通常型の下降流反応器に比べて圧力損失が少なく圧力損失の蓄積に対する抵抗性が高いからである。ガード層は上昇流型の固定層あるいは沸騰層いずれの形式でも運転できる。固定層では(すなわち、同層内での触媒粒子の運動は比較的わずかである)、触媒層中を上昇する流体の流動による層容積の膨張は流体の通過がない状態に比べて非常にわずかである。本発明で使用される上昇流型反応器内の触媒層の膨張度合いは通常は5%を超えることはなく、好ましくは2%を超えない。上昇流型固定層反応器は、同一量の触媒が保持される沸騰層と同程度の容積を有することは要求されないので、一般的にはより好ましい。
ガード層内での水素の存在は不可欠であり、通常はろ過処理された後ガード層に流入するフィッシャー−トロプッシュ原料流と混合される。ガード層内で含アルミニウム汚染物を合体させるためには、温度を約550°F以上に維持することが非常に効果的である。約600°F以上の温度が好ましく、約650°F以上の温度が特に好ましい。一般的には、ガード層での空間速度が増加するにつれて、実質的に全ての含アルミニウム汚染物の合体を確保するためには同層温度を上昇する必要がある。上記第二粒状物質除去ゾーンからの回収フィッシャー−トロプッシュ反応生成物中のアルミニウム濃度は金属元素基準で5ppm未満にまで低下する必要があり、好ましくは2ppm未満にまで低下させる。特に好ましくは、フィッシャー−トロプッシュ反応生成物の全アルミニウム濃度は金属元素基準で1ppm以下である。
(図面の簡単な説明)
添付図に本発明の一実施態様でのブロック図を図式的に示す。
(発明の詳細な説明)
本発明は、図を参照することにより更に明確に理解されよう。一酸化炭素と水素の混合物からなるシンガス2はフィッシャー−トロプッシュ反応器4に導入され、そこで一酸化炭素と水素からなる同混合物はフィッシャー−トロプッシュ触媒と接触して、メタン〜C100+の範囲にある炭化水素の混合物を生成する。同図において、フィッシャー−トロプッシュ合成からの生成物は重質生成物6と軽質生成物8からなり、これらは別個に回収されることが示されている。重質生成物6は主として約600°F超の温度で沸騰する炭化水素により構成され、軽質生成物8は主として約700°F未満の温度で沸騰する炭化水素により構成されている。商業運転では、分子量がより低い炭化水素は、更にガス留分と液体コンデンセートに分離される(図示されていない)。重質生成物6(しばしばフィッシャー−トロプッシュ・ワックスと呼ばれる)はろ過による除去が可能な粒状物質とろ過による除去が不能な含アルミニウム汚染物の両方を含有している。同粒状物質は一般的には1ミクロンを超える有効直径を有しており、第一生成物フィルター10により同ワックス流から除去される。同図では、第一生成物フィルターは説明上重質生成物6用配管に設置されているが、他の実施態様では同フィルターはフィッシャー−トロプッシュ反応器4内に設置してよい。更に、第一生成物フィルター10は実際にはいくつかの直列に連結されたフィルターから構成されていてもよく、これらは反応器の内部あるいは外部あるいは両方に設置されてよい。配管12を流れるろ過処理されたワックス流は粒状物質が実質的には存在しない状態にあるが、相当量の含アルミニウム汚染物を依然として含有していることがこれまで観察されている。ろ過処理されたワックス流12は配管11により供給される水素と共に上昇流モードでガード反応器14に送られる。同反応器はアルミニウム活性触媒を保持しており、約550°F以上の温度に維持されている。同ガード反応器内の通常の条件下では含アルミニウム汚染物は約1ミクロンを超える有効直径を有する粒子に合体する。同ガード反応器は上昇流モードで運転されているので、同触媒層はフィッシャー−トロプッシュ・ワックス内に生成した粒子の存在によって閉塞はされない。同フィッシャー−トロプッシュ・ワックス(連続相と含アルミニウム粒子が懸濁した不連続相からなる)を含有する混合物は同ガード反応器頂部から配管16に抜き出され、第二生成物フィルター18に送られる。同第二生成物フィルターはガード反応器内で生成した含アルミニウム粒子をワックス流から除去し、アルミニウムを5ppm未満(金属元素として)含有するワックス原料流に精製する。同精製ワックス原料流は配管20により通常型の下降流水素化反応器(例えば水素化処理あるいは水素化分解ユニット)に送られる。水素化処理生成物流は配管24により同水素化処理反応器から抜き出されることが示されている。
フィッシャー−トロプッシュ反応器あるいはそれの下流側の処理方法のタイプにもよるが、同ワックス留分および液体コンデンセートは単一生成物流としてフィッシャー−トロプッシュ反応器から回収してもよい。図面に示される態様では、同ワックス留分は比較的高粘度であろうから、従って、例えば遠心分離のような他の方法で粒状物質を除去することが有利であるのかもしれない。他の態様では、同コンデンセートの一部あるいは全部を同ワックス留分にブレンドしてより重質のフィッシャー−トロプッシュ生成物6の粘度を低下してろ過工程を楽にすることも可能である。
本発明に使用されるガード層は、背景技術で引用された文献により開示されているガード層とは少なくとも以下の重要な点で異なっている。本発明のプロセスでは、同ガード層は原料中に存在する汚染物を実際に捕捉することを狙っているのではない。更に、例えば米国特許6,359,018に開示されるプロセスとは異なり、本発明のガード層内の反応は品質改善工程として意図されたものでもない。同ガード層の主目的は含アルミニウム汚染物を合体させてろ過可能な粒子に成長させることである。塩基性金属の水素化処理触媒はアルミニウム活性触媒として働くかもしれないが、同ガード層内の触媒および反応条件は、例えば水素化処理あるいは水素化分解といった水素化処理運転に採用されるそれらと必ずしも同じでなくてもよい。例えば、パラジウムは、水素化分解や水素化異性化といった水素化処理運転のための多くの触媒中に活性金属として存在する。しかし、パラジウムは本発明用のガード層触媒に使用した場合には不活性であることが観察されている。本発明の使用に適した触媒は少なくとも一種の周期律表6族の活性金属と少なくとも一種の8族の活性塩基性金属を含有している。好ましい6族の金属はクロム、モリブデンおよびタングステンからなる群から選ばれ、また好ましい8族の塩基性金属はニッケルおよびコバルトからなる群から選ばれる。モリブデン、ニッケルおよびリンを含有する触媒はガード層内の反応の実施に適していることが観察されている。
同触媒の母材(matrix;担体)成分は、アルミナ、シリカあるいは酸性触媒活性を有する物質を含む多くのタイプから選んでよい。活性を有するこれらの物質の例として非晶質シリカアルミナ、あるいはゼオライト系あるいは非ゼオライト系の結晶質モレキュラーシーブが挙げられる。好ましい母材モレキュラーシーブの例としてゼオライトY、ゼオライトXおよびいわゆる超安定化ゼオライトY、ならびに例えば米国特許4,401,556、4,820,402および5,059,567に開示されている高シリカ/アルミナ構造比のゼオライトYが挙げられる。また例えば米国特許5,073,530に開示されている小径結晶のゼオライトYも使用できる。本発明に使用可能な非ゼオライト系モレキュラーシーブの例として、シリコアルミノリン酸塩(SAPO)、フェロアルミノリン酸塩、アルミノリン酸チタン、および米国特許4,913,799に開示および引用されている各種のELAPOモレキュラーシーブが挙げられる。各種の非ゼオライト系モレキュラーシーブ製造の詳細は米国特許5,114,563(SAPO)および4,913,799に開示されており、また4,913,799に引用されている各種の文献内に記載されている。メソ多孔質モレキュラーシーブも使用可能である。これらの例として、M41S類の物質(J.Am.Chem.Soc.1992,114、10834−10843)、MCM−41(米国特許5,246,689、5,198,203および5,334,368)、およびMCM−48(Kresge、Nature、359(1992)、710)が挙げられる。上に引用されている各特許および他の文献の内容は、全体として本明細書に参照されている。
他の適切な母材物質の例として、合成あるいは天然産の物質、更に無機物質が挙げられる。このような無機物質の例として、粘土および/あるいは金属酸化物(例えばシリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、シリカ−ジルコニア、シリカ−トリア、シリカ−ベリリア、シリカ−チタニア)、ならびに三成分物質(例えば、シリカ−アルミナ−トリア、シリカ−アルミナ−ジルコニア、シリカ−アルミナ−マグネシアおよびシリカ−マグネシア−ジルコニア)が挙げられる。これらの無機物質は天然酸、あるいはゼラチン状沈殿物あるいはシリカと金属酸化物の混合物を含有するゲルのいずれであってもよい。同触媒と複合可能な天然酸粘土の例としてモンモリロナイトおよびカオリン類が挙げられる。これらの粘土は採掘された状態あるいは焼成、酸処理あるいは化学変性といった処理後のものでよい。
含アルミニウム汚染物の合体により生じた粒子によるガード層の閉塞を防止すると同時に拡散に対する制約や反応器内の圧力損失を最小にする観点から触媒粒子は適切な寸法を有していなければならない。同触媒粒子の断面直径は一般的には約1/64〜1/2インチであり、好ましくは約1/32〜1/4インチである。換言すれば、同触媒粒子は1/64インチ、好ましくは1/32インチのメッシュに保持され、1/2インチ、好ましくは1/4インチのメッシュを通過する。同触媒粒子は触媒物質に対して有用であることが知られているどのような形状のものでもよい。このような形状の例として、球形、円筒形(すなわち押出形)、溝付き円筒形、小球形、顆粒形などが挙げられる。好ましい触媒粒子の断面直径は少なくとも1/20インチであり(すなわち該粒子は1/20インチのメッシュ上に保持されるサイズであろう)、球形あるいは円筒形状を有する。
1個あるいは複数個の水素化反応器を上昇する液体の見かけの速度は、同液体が上昇する過程で生じる粒状汚染物の沈降速度よりも高くなければならないが、触媒粒子を反応器内で流動させる速度よりも低いことが好ましい。このような流体速度値は粒状汚染物および触媒の寸法、形状および密度を基準として決められ、従って採用された特定の処理形態によって変わる。このような速度値の計算は当業界の熟練者の能力の範囲内にある。一般的には、ガード層での1時間当りの液体空間速度(LHSV)は約1以上が好ましい。しかし、空間速度が増加するに従って、同一の含アルミニウム汚染物の合体効率を達成するためにはガード層内の温度も上昇しなければならない。
一般的には、ガード層内の温度は約550°F以上が好ましく、約600°F以上がより好ましい。LHSVが1を超える場合には、同温度は一般的には650°F超が好ましい。最適温度とは、ガード層が運転される空間速度の下で選択されたアルミニウム活性の触媒を使用して生成物中に存在する含アルミニウム汚染物を実質的に全て合体できる温度のことであろう。同ガード層により処理された生成物は理想的には金属元素基準で5ppm以下、好ましくは2ppm以下、最も好ましくは1ppm以下のアルミニウムを含有する。
第二粒状物質除去ゾーンでの含アルミニウム粒子の除去は通常はろ過により実施される。しかし、遠心分離や蒸留といった他の粒状物質除去方法もそれが望ましいのであれば採用可能である。採用された方法はどうであれ、下流側の水素化処理反応器での閉塞を防止するために実質的に全ての粒子を除去しなければならない。本発明のプロセスの採用により、汚染物による反応器の閉塞という問題を伴うことなく通常型の水素化処理法で容易に品質改善できるフィッシャー−トロプッシュ原料流が得られる。
以下に記載する実施例は本発明のより詳細な説明を目的としたものであるが、本発明の範囲を制限すると考えるべきではない。
コバルト系触媒を使用して処理したフィッシャー−トロプッシュ・ワックスをろ過して約1.2ミクロン以上の有効直径を有する粒子を除去した。同ろ過処理されたワックスのアルミニウム濃度を測定した。同ろ過処理されたフィッシャー−トロプッシュ・ワックスを水素と合流した後、活性触媒を保持したガード層を上昇流により通過させた。同触媒はニッケルを1.6%、モリブデンを6.5%およびリンを1.4%含有しており(いずれもアルミナ担体に対する重量%)、フィッシャー−トロプッシュ原料を導入する前に予備硫化処理された。プロセス条件は、全圧:290PSIG、水素再循環ガス流量:液体原料バレル当り1200SCF、1時間当りの液空間速度:1および2、そして触媒温度:290〜650°Fであった。処理後のフィッシャー−トロプッシュ・ワックスを1.2ミクロンのフィルターにより再度ろ過した。ろ過処理後のワックスのアルミニウム濃度を測定した。結果を以下の表1に示している。
Figure 0004682188

1:ガード層に送られるろ過処理された原料中のアルミニウム濃度(元素金属基準)
2:第二ろ過工程から回収された生成物中のアルミニウム濃度(元素金属基準)
同表に示されるように、1LHSVの空間速度下では、フィッシャー−トロプッシュ生成物中のアルミニウム濃度を5ppm未満にまで低下するためには550°Fの温度が必要であったことが分かるであろう。また同アルミニウム濃度を1ppm未満にまで低下するためには625°Fの温度が必要であった(試験番号2)。2LHSVの空間速度下では、650°Fの温度が必要であった(試験番号6)。空間速度が増加するに従い、生成物中のアルミニウム濃度を許容レベルにまで低下するためには温度も上昇させなければならない。
含アルミニウム汚染物を異なる濃度で含有する5種類のフィッシャー−トロプッシュ・ワックス留分を用いて実施例1の実験を繰り返した。同試験に使用された1時間当りの空間速度は1〜3の範囲内であった。結果を表2に示している。
Figure 0004682188

1:ガード層に送られるろ過処理された原料中のアルミニウム濃度(元素金属基準)
2:第二ろ過工程から回収された生成物中のアルミニウム濃度(元素金属基準)
表2に示される結果は、表1の結果から導かれた結論を概して支持している。LHSVが2以上の場合にアルミニウム濃度を5ppm未満にまで低下するためには675°Fの温度が必要であることに注目されたい。空間速度を更に増加すれば、含アルミニウム汚染物を合体するための触媒効率は低下する。
本発明の一実施態様でのブロック図を図式的に示す。

Claims (21)

  1. (i)有効直径が1ミクロンを超える粒状物質および(ii)有効直径が1ミクロン未満の含アルミニウム汚染物中に少なくとも5ppm濃度のアルミニウムを含有する汚染物をフィッシャー−トロプッシュ合成反応生成物から除去する方法であって、以下の工程を包含する方法:
    (a)フィッシャー−トロプッシュ合成反応生成物を、1ミクロンを超える有効直径を有する粒状物質の除去が可能なろ過、遠心分離又は蒸留による第一粒状物質除去ゾーンに通過させる;
    (b)有効直径が1ミクロン未満のアルミニウム含有汚染物中に5ppm以上の濃度のアルミニウムを含有1ミクロンを超える有効直径を有する粒状物質を0.1重量%以上の濃度で含有していないフィッシャー−トロプッシュ供給流を同第一粒状物質除去ゾーンから回収する;
    (c)1ミクロンを超える有効直径を有する粒状物質を0.1重量%以上の濃度で含有していない同フィッシャー−トロプッシュ供給流を、ガード床内でアルミニウム活性化条件下で上昇流モードでアルミニウム活性の触媒に接触させ、これにより有効直径が1ミクロン超の含アルミニウム粒子を含有する供給流混合物をフィッシャー−トロプッシュ炭化水素の連続相中に生成させる;
    (d)同供給流混合物を、工程(c)で生成した含アルミニウム粒子を実質的に全て除去することが可能なろ過、遠心分離又は蒸留による第二粒状物質除去ゾーンに通過させる;そして
    (e)同第二粒状物質除去ゾーンから全アルミニウム濃度が5ppm未満のフィッシャー−トロプッシュ生成物を回収する。
  2. 該アルミニウム活性の触媒は酸化物母材に担持される少なくとも一種の6族の活性金属および少なくとも一種の8族の活性塩基性金属を含有することを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 該6族の金属はクロム、モリブデンおよびタングステンからなる群から選ばれることを特徴とする請求項2記載の方法。
  4. 該8族の金属はニッケルおよびコバルトからなる群から選ばれることを特徴とする請求項2記載の方法。
  5. 該ガード床は288°C(550°F以上の温度に維持されることを特徴とする請求項1記載の方法。
  6. 該ガード床は316°C(600°F以上の温度に維持されることを特徴とする請求項5記載の方法。
  7. 該ガード床は343°C(650°F以上の温度に維持されることを特徴とする請求項6記載の方法。
  8. 該ガード床でのLHSVは1以上であることを特徴とする請求項1記載の方法。
  9. 該粒状物質はろ過により第一粒状物質除去ゾーン内で除去されることを特徴とする請求項1記載の方法。
  10. 該粒状物質は遠心分離により第一粒状物質除去ゾーン内で除去されることを特徴とする請求項1記載の方法。
  11. 該第二粒状物質除去ゾーンにおいて、1ミクロン以上の有効直径を有する含アルミニウム粒子がろ過により除去されることを特徴とする請求項1記載の方法。
  12. 該第二粒状物質除去ゾーンにおいて、1ミクロン以上の有効直径を有する含アルミニウム粒子が遠心分離により除去されることを特徴とする請求項1記載の方法。
  13. 該第二粒状物質除去ゾーンにおいて、粒状物質は、工程(d)で回収された供給流混合物を、工程(e)でのフィッシャー−トロプッシュ生成物と含アルミニウム粒状物質を含有する塔底留分内とに蒸留することにより、除去されることを特徴とする請求項1記載の方法。
  14. 工程(e)により回収された該フィッシャー−トロプッシュ生成物は2ppm未満の濃度の全アルミニウムを含有していること特徴とする請求項1記載の方法。
  15. 工程(e)により回収された該フィッシャー−トロプッシュ生成物は1ppm未満の濃度の全アルミニウムを含有していること特徴とする請求項1記載の方法。
  16. 工程(b)でのフィッシャー−トロプッシュ供給流はフィッシャー−トロプッシュ・ワックスを含有していることを特徴とする請求項1記載の方法。
  17. 工程(b)でのフィッシャー−トロプッシュ供給流はコンデンセートおよびフィッシャー−トロプッシュ・ワックスを含有していることを特徴とする請求項1記載の方法。
  18. フィッシャー−トロプッシュ合成による該生成物はスラリー型フィッシャー−トロプッシュ反応器により生成されることを特徴とする請求項1記載の方法。
  19. 該ガード床は上昇流型固定床として運転されることを特徴とする請求項1記載の方法。
  20. 該ガード床は沸騰床として運転されることを特徴とする請求項1記載の方法。
  21. (i)有効直径が1ミクロンを超える粒状物質および(ii)有効直径が1ミクロン未満の含アルミニウム汚染物中に少なくとも5ppm濃度のアルミニウムを含有する汚染物をフィッシャー−トロプッシュ合成反応生成物から除去する方法であって、以下の工程を包含する方法:
    (a)フィッシャー−トロプッシュ生成物をワックス留分とコンデンセート留分に分離する;
    (b)同ワックス留分を、1ミクロンを超える有効直径を有する粒状物質の除去が可能なろ過、遠心分離又は蒸留による第一粒状物質除去ゾーンに通過させる;
    (c)有効直径が1ミクロン未満のアルミニウム含有汚染物中に5ppm以上の濃度のアルミニウムを含有1ミクロンを超える有効直径を有する粒状物質を0.1重量%以上の濃度で含有していないフィッシャー−トロプッシュ・ワックス流を第一粒状物質除去ゾーンから回収する;
    (d)1ミクロンを超える有効直径を有する粒状物質を0.1重量%以上の濃度で含有していない同フィッシャー−トロプッシュ・ワックス流を、固定ガード床内で水素の存在下で少なくとも316°C(600°Fの温度及び1.0以上のLHSVの条件下で上昇流モードでアルミニウム活性の触媒に接触させ、これによりフィッシャー−トロプッシュ・ワックス炭化水素の連続層内に有効直径が1ミクロン超の含アルミニウム粒子を含有する混合物を生成させる;
    (e)該混合物を、工程(d)で生成した含アルミニウム粒子を実質的に全て除去することが可能なろ過、遠心分離又は蒸留による第二粒状物質除去ゾーンに通過させる;そして
    (f)該第二粒状物質除去ゾーンから全アルミニウム濃度が1ppm未満のフィッシャー−トロプッシュ生成物を回収する。
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