JPH05132680A - 重質油の分解方法 - Google Patents

重質油の分解方法

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JPH05132680A
JPH05132680A JP32394491A JP32394491A JPH05132680A JP H05132680 A JPH05132680 A JP H05132680A JP 32394491 A JP32394491 A JP 32394491A JP 32394491 A JP32394491 A JP 32394491A JP H05132680 A JPH05132680 A JP H05132680A
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Japan
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fraction
oil
heavy oil
catalyst
boiling point
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JP32394491A
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English (en)
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Osamu Tsumura
修 津村
Tomonori Okano
朝則 岡野
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SEKIYU SANGYO KASSEIKA CENTER
Japan Petroleum Energy Center JPEC
Original Assignee
SEKIYU SANGYO KASSEIKA CENTER
Petroleum Energy Center PEC
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Publication date
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  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 減圧残油等の高沸点の重質油を、懸濁床方式
等による触媒の存在下で水素化分解して、減圧軽油留分
や減圧軽油と原料重質油との中間留分を主成分として含
有する留分等のより軽質で付加価値の高い留分を得るに
際して、高分解率で操業しても、触媒及び反応器内等へ
のコークの発生を十分に抑制し、運転性を著しく安定に
維持することができ、したがって、原料重質油を所望の
軽質留分に高い変換率で効率よく、しかも安定に転換す
ることができる方法を提供する。 【構成】 沸点525℃以上の重質油留分を水素化分解
触媒を用いて反応温度350〜480℃で水素化分解す
るにあたり、初留点が反応温度より高くかつ終点が52
5℃未満の石油留分を添加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、重質油の分解方法に関
し、より詳しく言うと、通常の石油をはじめとするオイ
ルサンド油、オイルシェール油等の各種の鉱油類から得
られる減圧残油等の高沸点の重質油から、減圧軽油留分
や減圧軽油と原料重質油との中間留分を主成分として含
有する留分等のより軽質で付加価値の高い留分を、高収
率で効率よく、しかも操業安定性よく製造するための改
善された重質油の分解方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、通常の石油やこれに代わるオイル
サンド油、オイルシェール油等の有効利用が問われる中
で、特に、それらの減圧残油等の高沸点の重質油をより
有用な軽質留分に効率よく転化する技術の開発が要望さ
れている。そのような技術として、従来から、重質油
を、水素の共存下で、FCC廃触媒や直接脱硫触媒等の
水素化分解触媒に接触させて、より軽質な有用留分を得
るべく水素化分解反応に供するという方法が注目されて
いる。しかしながら、こうした重質油の水素化分解法に
おいては、重質油からの触媒や反応器内等へのコークの
析出が起こりやすく、分解率を上げようとするとコーク
の析出が著しくなり、安定に運転操業することが困難と
なるという問題点がある。
【0003】そこで、この種の問題を緩和すべく、原料
重質油に特定の留分を添加して水素化分解反応に供する
という方法が提案されている。例えば、特公昭59−3
2511号公報及び米国特許第4,411,768号明
細書には沸騰床(膨張床)にて重質油を水素化分解(水
素化精製)するに際して、該反応によって得られた生成
物から分離された留分(蒸留ボトム油で、重質成分を含
み、しかも反応塔中でコークになりやすいコークプレカ
ーサー成分を含む留分)からコークプレカーサー成分を
除いた特定の温度以上の沸点特性を有する留分[留出量
5%点が450゜F(約232℃)以上、望ましくは5
50゜F(約278℃)以上、より望ましくは600゜
F(約316℃)以上で、かつ、留出量25%点が95
0゜F(約510℃)以上の留分]を再循環材料として
用い、反応塔にリサイクルすることによって、その水素
化反応域の操作可能範囲を拡大し、これによって高変換
率で操作しようとする方法が記載されている。しかしな
がら、この従来法では、リサイクルする留分はコークプ
レカーサー成分が除かれているとはいうもののかなりの
高沸点の重質油を多量に含有しているため、コーク析出
の抑制効果は十分に解決されておらず、実際、原料重質
油の転換率を上げて運転すると、やはり反応器内等にお
いてコークがかなり発生し、このため正常な装置運転が
困難になるという問題点を有している。
【0004】一方、文献[Energy Proces
sing 15,July−August (198
7)]には、重質油の水素化分解法において、原料中に
減圧軽油留分を添加(リサイクル)することによって運
転性を向上させるということが記載されている。しかし
ながら、どのような性状の減圧軽油をどのような割合で
添加するのが適切であるかという点については、該文献
中にも記載されていないし、一般にも知られていなかっ
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の事情
を鑑みてなされたものである。本発明の目的は、減圧残
油等の高沸点の重質油を、懸濁床方式等による触媒の存
在下で水素化分解して、減圧軽油留分や減圧軽油と原料
重質油との中間留分を主成分として含有する留分等のよ
り軽質で付加価値の高い留分を得るに際して、高分解率
で操業しても、反応器内等へのコークの発生を十分に抑
制し、運転性を著しく安定に維持することができ、した
がって、原料重質油を所望の軽質留分に高い変換率で効
率よく、しかも安定に転換することができるなどの利点
を有する実用上著しく有利な重質油の分解方法を提供す
ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成すべく、通常の石油、オイルサンド油、オイルシ
ェール油などから得られる減圧残油等の高沸点の重質油
留分を水素化分解によって、減圧軽油やこれと原料重質
油留分との中間留分留等のより付加価値の高い軽質留分
に、高分解率で効率よく、しかも運転安定性よく転化す
る方法について鋭意研究を重ねた。その結果、特定の沸
点以上の高沸点の原料重質油留分を、特定の温度範囲の
反応温度で適当な水素化分解触媒[例えば、FCC廃触
媒やこれと直接脱硫(廃)触媒を組合せた触媒等の少な
くとも水素化と分解反応に活性を有する触媒]に接触さ
せて水素化分解するに際して、初留点が運転反応温度よ
り高くかつ終点が使用原料重質油留分よりも低いという
特定の沸点範囲にある石油留分(例えば、この反応の生
成物から分離回収された減圧軽油留分等の減圧軽油な
ど)を該原料系に添加し、該重質油留分と混合した状態
で前記触媒に接触させて反応させるという特定の方法を
用いることによって、触媒及び反応器内等におけるコー
クを発生を著しく抑制することができ、原料重質油の分
解率(転化率)を十分に高くして運転した場合にも、コ
ークの発生を十分に抑制することができ、運転安定性を
好適に保持しながら該原料重質油留分を所定の軽質留分
に高転化率で効率よく変換できることを見出し、これら
の知見に基づいて、本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明は、沸点525℃以上の
重質油留分を水素化分解触媒を用いて反応温度350〜
480℃で水素化分解するにあたり、初留点が反応温度
より高くかつ終点が525℃未満の石油留分を添加する
ことを特徴とする重質油の分解方法を提供するものであ
る。
【0008】本発明の方法においては、原料油として沸
点525℃以上の重質油留分を使用する。該重質油留分
としては、例えば、通常の石油、オイルサンド油、オイ
ルシェール油等の各種の重質油含有油から得られる減圧
残油(沸点525℃以上の留分)などを好適に使用する
ことができる。もちろん、本発明の方法において得られ
た反応生成物から分離された沸点525℃以上の重質油
留分をリサイクルして前記原料油の成分として使用する
こともできる。また、他の化学的プロセス等の各種のプ
ロセスから分離された沸点525℃以上の重質油留分も
前記原料油そのものとしてあるいはその成分として使用
することもできる。すなわち、この原料油として使用す
る減圧残油等の沸点525℃以上の重質油留分は、単一
の原料もしくは単一のプロセスから得られたもの1種単
独で使用してもよいし、複数原料や複数のプロセスから
得られたもの2種以上を混合するなどして併用すること
もできる。
【0009】本発明の方法においては、前記重質油留分
を適当な水素化分解触媒を用いて、350〜480℃の
範囲にある反応温度で水素化分解するが、その際、初留
点が運転反応温度より高くかつ終点が525℃未満の石
油留分を、原料油として用いる前記重質油留分に添加混
合して反応を行うことが重要である。
【0010】ここで、もし、添加する石油留分の初留点
が実際の運転反応温度以下であると、その低沸点成分が
反応器内で蒸発して重質油留分と(反応中の液状油中に
懸濁している触媒とも)分離してしまうので、反応に関
与しにくくなり、添加効果(コーク析出の抑制効果等)
が低下したり、プロセス全体の効率が低下する。一方、
前記添加石油留分として、終点が525℃以上である高
沸点成分を含有する留分を使用すると、コークの減少効
果が不十分となり、特に高分解率(高転化率)での運転
安定性が保持が困難となるなどの支障を生じやすく、本
発明の目的を十分に達成することができない。
【0011】すなわち、前記添加石油留分の初留点につ
いては、その初留点をTI ℃とし、運転時の反応温度を
R ℃(350≦TR ≦480℃)とすると、少なくと
もT R <TI <525℃の関係を満足していればよい。
したがって、反応温度TR を高くして反応速度(分解
率)をより向上させたい場合には、その分、初留点TI
が高い石油留分を添加すればよい。
【0012】前記添加油として使用する前記特定の沸点
範囲にある石油留分(すなわち、前記原料重質油留分と
混合して反応させる石油留分)は、例えば、通常の石
油、オイルサンド油、オイルシェール油等の石油類の蒸
留、あるいは化学プロセスを経由するなどして得られた
生成油(石油系炭化水素油)の蒸留などによって得るこ
とができるし、また、本発明の方法(反応)で得られた
生成油から所定の留分として分離回収することよっても
得ることができる。このように各種の原料やプロセスか
ら得られた所定の石油留分(減圧軽油留分にあたる留
分)を1種単独で、あるいは2種以上を混合するなどし
て、前記添加石油留分として使用することができる。こ
れらの中でも、通常は、通常の石油、オイルサンド油や
オイルシェール油の蒸留によって得られた前記所定沸点
範囲の減圧軽油留分や本発明の方法(反応)によって得
られた生成油から分離回収された前記所定の留分、ある
いはこれらの混合物が好適に使用され、中でも特に、初
留点TI が440〜520℃にある留分(但し、この場
合も反応温度TR はその初留点TI 未満とする。)が好
適に使用される。このように初留点TI が440℃より
高い留分が添加石油留分として特に好適に使用されるの
は、反応温度TR を少なくとも440℃という高い温度
にして前記反応を行うことができ、したがって、反応速
度(重質油の分解率や反応物全体の転化率)を十分に高
く確保することができるからである。
【0013】前記添加石油留分の添加供給方式として
は、特に制限はなく、この所定の石油留分を、原料重質
油留分に直接添加してから反応器に供給する方式、ある
いは、原料重質油留分とは別途に反応器に供給する方
式、さらには、これらの組合せ方式などによって添加供
給することができる。これらの中でも、通常は、例え
ば、前記原料重質油留分の反応器への供給ラインに添加
するなど、原料重質油留分に直接添加し予め十分に混合
してから反応器に供給する方式が好適に採用される。そ
の際、前記触媒供給あるいは添加方式としても特に制限
はなく、例えば、原料重質油留分と添加石油留分のいず
れか一方に、あるいは、両方に添加して反応器へ供給す
る方式など各種の方式が採用可能であるが、通常は、原
料重質油留分と添加石油留分と触媒とを予め十分に混合
し、該混合物を、反応領域が所定の反応温度に設定され
ている反応器に供給する方式が好適に採用される。
【0014】いずれにしても、原料として用いた重質油
留分と添加した石油留分が十分に均一に混合した状態
(液相状態)で、前記触媒に十分に接触させて、懸濁床
方式で反応を行うのが好ましい。
【0015】前記添加石油留分の添加量(割合)は、原
料重質油留分100重量部に対して、通常、10〜10
0重量部、好ましくは10〜20重量部の範囲に選定す
るのが適当である。ここで、もし、その石油留分の添加
量(割合)が、原料重質油留分100重量部あたり10
重量部未満であると、コーク析出の抑制効果が十分に得
られず、特に高分解率(高変換率)での運転安定性を十
分に保持すること困難となり、本発明の目的を十分に達
成できなくなることがある。一方、前記添加石油留分
を、原料重質油留分100重量部あたり100重量部よ
り多く添加すると、添加成分が多くなりすぎてプロセス
効率が低くなったり、また、その添加量にみあったコー
ク析出の抑制効果の向上が見られなくなり、かえって該
石油留分の添加量当たりのコークの減少率(すなわち、
コーク低減率)が低下するなどの支障を生じることがあ
る。なお、原料重質油留分100重量部あたりの前記石
油留分の添加量(割合)を、前記好ましい範囲(10〜
20重量部)に選定した場合に、コーク低減率が特に大
きくなり、本発明の目的をより一層効果的に達成するこ
とができることが確認されている。
【0016】本発明の方法において、前記反応は、通
常、懸濁床方式によって好適に実施される。反応温度
は、前記したように、350〜480℃の範囲の温度に
選定される。反応温度は、この温度範囲内で適宜変化さ
せることができる(但し、添加する前記石油留分の初留
点TI より低い範囲に保たれる。)。反応温度が350
℃未満では、反応速度が遅すぎて十分な転化率及び分解
率が得られないし、一方、480℃を超えるとコークの
析出量が著しくなり、安定な運転が困難となるなどの支
障が生じ、いずれの場合も本発明の目的を達成すること
ができない。なお、好ましい反応温度の範囲は、一般に
400〜460℃である。例えば、反応温度を440℃
付近に設定し、前記添加石油留分として、初留点TI
440℃よりも数℃から10℃程度高い石油留分を用い
る方法を特に好ましい態様の例として挙げることができ
る。
【0017】反応圧力は、通常、50〜300kg/c
2の範囲に設定するのが好適であり、また、水素分圧
は、通常、35〜200kg/cm2の範囲に設定する
のが好適である。また、前記反応は、液空間速度(LH
SV)を、通常、0.1〜10hr-1の範囲に設定して
好適に実施される。なお、反応時間は、通常、10分間
〜4時間、好ましくは、30分間〜2時間程度で十分で
ある。
【0018】本発明の方法において使用する前記水素化
分解触媒(前記原料重質油留分を前記添加石油留分との
混合状態で水素化分解するための触媒)としては、一般
には特に制限はなく、この種の重質油留分の水素化分解
に用いられる触媒であれば公知のものなど各種の触媒が
使用可能である。例えばアルミナ、シリカ、シリカ−ア
ルミナ、チタニア−アルミナ、アルミナ−ボリア、シリ
カ−アルミナ−マグネシア、シリカ−アルミナ−チタニ
ア、天然及び合成ゼオライト等の無機物質にニッケル、
コバルト等の第VIII族及びモリブデン、タングステ
ン等の第VIA族の金属、金属酸化物並びに硫化物の少
なくとも1種を担持した触媒、あるいは、FCC廃触媒
やFCC廃触媒と直接脱硫触媒等の水素化触媒との混合
物などを挙げることができ、中でも、特に、FCC廃触
媒と直接脱硫触媒からなる混合触媒などが好ましい。な
お、本発明でいう水素化分解は、純粋な水素化分解反応
(HydrogenolysisやHydrocrac
king)そのものに限定しているのではなく、Hyd
rocracking等の少なくとも水素化反応と分解
反応からなる複合反応という広い意味での水素化分解を
指している。したがって、前記水素化分解触媒も同様に
広義の水素化分解触媒と解釈してよく、この意味で例え
ばFCC廃触媒自体も水素化分解触媒と称している。
【0019】前記直接脱硫触媒としては、直接脱硫新触
媒及び直接脱硫廃触媒のいずれか一方若しくは両者を組
合せて用いることができる。ここで、直接脱硫新触媒と
しては特に制限はなく、通常直接脱硫触媒として用いら
れているものが任意に使用できる。具体的には、一般に
アルミナを担体とし、担持金属としてモリブデン、コバ
ルト、ニッケル、タングステンなどを適宜組合せたもの
が用いられる。なお、直接脱硫新触媒としての球状のも
のを選択すると、流動性が良いので懸濁床方式による水
素化処理に好適である。また、直接脱硫廃触媒として
は、常圧蒸留残油や減圧蒸留残油などの残油をそのまま
脱硫する直接脱硫装置から抜き出された廃触媒であっ
て、この廃触媒の基となる直接脱硫に用いられる触媒の
種類については特に制限はなく、前記したものを用いれ
ばよい。この直接脱硫廃触媒は、その表面に付着した炭
素質を燃焼させて除去する再生処理を施してから用いる
ことが望ましく、このような再生処理後の該触媒上に
は、通常バナジウムが0.2〜20重量%及びニッケル
が0.2〜10重量%程度の割合で蓄積しており、その
比表面積は、通常40〜200m2/gの範囲である。
【0020】一方、前記FCC廃触媒は、流動接触分解
(FCC)装置から抜き出された廃触媒であって、この
廃触媒の基となるFCC触媒の種類については特に制限
はなく、通常FCC触媒として用いられているものが任
意に使用できる。具体的には活性白土、シリカ−アルミ
ナ、シリカ−マグネシア、高アルミナのシリカ−アルミ
ナ、ゼオライトなどを用いることができる。ゼオライト
としては通常一般式Na2O・Al23・nSiO2で示
されるホージャサイト型の結晶性アルミノシリケート
で、SiO2/Al23モル比が2.5のX型と4.8
のY型を用いることができる。
【0021】該FCC廃触媒も前記の直接脱硫廃触媒と
同様に、使用に先立ち、裏面に付着した炭素質を燃焼さ
せて除去する再生処理を施すことが望ましい。このFC
C廃触媒は、その裏面に通常バナジウムが0.01〜4
wt%及びニッケルが0.01〜2wt%程度の割合で
蓄積しており、その比面積は、通常60〜180m2
範囲である。このような直接脱硫触媒とFCC廃触媒と
を併用する場合は、重量比で3:97〜80:20(直
接脱硫触媒:FCC廃触媒)の割合で用いることが好ま
しい。
【0022】前記触媒の使用量(割合)は、使用する触
媒の種類(性能)によって異なるので一律に定めること
ができないが、通常は、供給する前記重質油留分100
重量部あたり、通常、0.5〜20重量部、好ましく
は、2〜15重量部の範囲に選定するのが適当である。
【0023】本発明の方法においては、前記原料重質油
留分、添加石油留分及び触媒を、前記したように各種の
混合順序及び方式によって、好ましくは、これらを予め
十分に混合した後に、反応器に供給し、該重質油留分と
添加石油留分とを十分に混合した状態で該触媒に十分に
接触させながら、水素の存在下で前記所定の反応条件で
反応させる。この反応によって、原料重質油留分を高い
分解率(転化率)で効率よく、所定の軽質留分(例え
ば、減圧軽油留分と原料重質油留分と該減圧軽油との中
間留分を主成分とする留分等)に転化することができ
る。しかも、添加石油留分の効果によって反応器内や触
媒等へのコークの発生を十分に抑制することができ、高
分解率で反応を行っても、操業運転性を好適に保持する
ことができる。
【0024】こうして得られた反応生成物は、例えば、
気液分離によって水素と低級炭化水素などを含むガス状
留分を分離した後に、固気分離によって触媒を分離する
ことによって生成油として回収される。こうして得られ
た生成油は、そのまま燃料等の製品として利用すること
も可能であるが、通常は、蒸留塔で各留分に分画され所
望の各種の沸点範囲の炭化水素留分として回収される。
その際、該生成油等から沸点525℃以上の重質油留分
を分離回収し、これを必要に応じてリサイクルして前記
原料重質油留分の成分として使用することもできるし、
また、該生成油等から前記特定の沸点範囲にある減圧軽
油留分を分離回収し、そのうちの所定量をリサイクルし
て前記添加石油留分として利用することもできる。分離
回収した水素も必要に応じて、反応系に適宜リサイクル
してもよい。回収した触媒も、必要に応じて適宜再生
し、繰り返し前記反応用の触媒として有効に利用するこ
ともできる。
【0025】
【実施例】以下に、本発明の実施例及びその比較例を示
し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら
の実施例に限定されるものではない。 実施例1 原料重質油留分としてオイルサンド油(カナダ産ロイド
ミンスター油)の減圧残油(沸点525℃以上の留分
で、その性状は表1に記載してある。)36gを用い、
添加石油留分として、沸点範囲が444〜523℃の減
圧軽油留分(HVGOで、その蒸留性状は表2に記載し
てある。)4g(添加量10wt%に相当)を用い、触
媒としてバナジウム0.4wt%、ニッケル0.2wt
%がシリカ−アルミナ(アルミナ32wt%)に蓄積し
ている平均粒径57μmのFCC廃触媒とバナジウム
0.6wt%、ニッケル0.9wt%、モリブデン1
0.5wt%、コバルト1.2wt%がシリカ−アルミ
ナ(アルミナ87wt%)に蓄積している平均粒径32
μmの直接脱硫廃触媒(重量比80:20)の混合物5
gを用い、これらを内容積150ccのオートクレーブ
に仕込み、反応温度440℃、水素圧(初圧)85kg
/cm2 Gの条件で水素を供給しつつ、反応圧85kg
/cm2Gに保ち1時間反応させた。得られた生成物に
ついて表3に示す各種の評価を行った。結果も表3に示
す。
【0026】
【表1】 ─────────────────────────────────── 原料油性状 オイルサンド油(ロイドミンスター減圧残油) ─────────────────────────────────── 密度(15/4℃) 1.045 動粘度(140℃)(cSt) 2890 硫黄分(%) 5.82 窒素分(ppm) 5570 蒸留性状 初留点 525℃ 5% 541℃ 10% 565℃ 20% 599℃ 30% 628℃ 40% 663℃ 50% 695℃ ───────────────────────────────────
【0027】
【表2】 ─────────────────────────────────── HVGO成分蒸留性状 ─────────────────────────────────── 初留点 444℃ 5% 448℃ 10% 452℃ 20% 458℃ 30% 467℃ 40% 474℃ 50% 482℃ 60% 489℃ 70% 497℃ 80% 506℃ 90% 514℃ 終点 523℃ ───────────────────────────────────
【0028】
【表3】
【0029】ただし、中間留分収率:原料油に対する1
71〜343℃留分の重量割合 減圧軽油収率:原料油に対する343〜525℃留分の
重量割合 コーク収率 :原料油に対する炭素質トルエン不溶分の
重量割合 転化率 :100−(減圧残油収率+析出アスファ
ルテン収率) コーク低減量:減圧残油のコーク収率×原料油中の減圧
残油含有率−コーク収率 コーク低減率:コーク低減量/原料油中の減圧軽油含有
【0030】実施例2〜4 実施例1において、添加石油留分として用いた減圧軽油
留分の添加量を、それぞれ、15、30及び50wt%
に変えた以外は、実施例1と同様にして反応を行い、得
られたそれぞれの生成物について同様の評価を行った。
結果を表3に示す。
【0031】比較例1 実施例1において、添加石油留分の減圧軽油を添加しな
かった以外は、実施例1と全く同様にして反応を行い、
その生成物についても同様の評価を行った。結果を表3
に示す。
【0032】比較例2 実施例1において、添加石油留分の減圧軽油に代えて、
沸点が525℃以上の直脱減圧残油(DSVR)を添加
量50wt%の割合で添加した以外は、実施例1と全く
同様にして反応を行い、その生成物についても同様の評
価を行った。結果を表3に示す。
【0033】比較例3 実施例1において、減圧軽油に代えて、原料油からn−
ヘプタン不溶分を除いた留分(マルテン)を添加量30
wt%の割合で添加した以外は、実施例1と全く同様に
して反応を行い、その生成物についても評価を行った。
結果を表3に示す。
【0034】表3からも明らかなように、本発明の方法
では、特定の沸点範囲の石油留分(減圧軽油留分)を添
加して反応させているので、これを添加しないで反応さ
せた場合(比較例1)に比べてやコークの生成量が著し
く低減している。また、該石油留分(減圧軽油留分)を
添加せずに、沸点が525℃以上という高沸点の留分で
ある直脱減圧残油(DSVR)を添加して反応を行うと
いう従来の方法に比較して、本発明の方法の方がコーク
の低減量がずっと少なく、また、添加油量あたりのコー
ク低減率も大きい。
【0035】なお、本発明の方法においては、表3から
もわかるように、該添加石油留分(減圧軽油留分)の添
加量は、コークの低減率から考えると、10〜15wt
%程度の範囲にするのがより効果的であることも確認さ
れた。
【0036】
【発明の効果】本発明の方法では、このように、高い転
化率でもコークの生成量を十分に低減することができる
ので、運転安定性を著しく向上させることができる。本
発明の方法では、減圧残油等の高沸点の重質油を、懸濁
床方式等による触媒の存在下で水素化分解して、減圧軽
油留分や減圧軽油と原料重質油との中間留分を主成分と
して含有する留分等のより軽質で付加価値の高い留分を
得るに際して、該原料重質油留分に特定の沸点範囲の石
油留分(減圧軽油留分等)を添加混合して反応を行うと
いう特定の方法を用いているので、高分解率で操業して
も、触媒及び反応器内等へのコークの発生を十分に抑制
し、運転性を著しく安定に維持することができ、したが
って、原料重質油を所望の軽質留分に高い変換率で効率
よく、しかも安定に転換することができるなどの効果を
奏することができる。
【0037】すなわち、本発明によると、従来の方法に
比べて操業運転安定性等のプロセス効率が著しく改善さ
れているなどの利点を有する実用上著しく有利な重質油
の分解方法を提供することができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 沸点525℃以上の重質油留分を水素化
    分解触媒を用いて反応温度350〜480℃で水素化分
    解するにあたり、初留点が反応温度より高くかつ終点が
    525℃未満の石油留分を添加することを特徴とする重
    質油の分解方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000018505A1 (fr) * 1998-09-30 2000-04-06 Idemitsu Kosan Co., Ltd. Catalyseur d'hydrogenation regenere et procedes d'hydrogenation de petrole lourd
WO2000039561A1 (en) * 1998-12-28 2000-07-06 Sk Corporation Automatic analysis method of crude petroleum oils using spectroscopy
JP2011084649A (ja) * 2009-10-15 2011-04-28 Kobe Steel Ltd 石油系重質油の水素化分解方法

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