JP4681708B2 - 目盛板を取り付ける方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、移動台が測定方向に移動可能に配置されている機械固定台の取付面に測長システムの目盛板または目盛板ホルダーを向き調整して取り付け、接着剤で接着してこの取り付けを行う方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
工作機械や座標測定装置で位置測定するにはしばしば非常に長い目盛板が必要となる。これ等の目盛板は測定方向に平行に向けて固定されていなければならない。その場合、測定方向は工作機械や測定機械の案内により予め与えられる。
【0003】
目盛板を取り付けるため種々の処置が既に提案されている。欧州特許第 0 388 453号明細書によれば、塗布器により自己接着性の帯状目盛板を工作機械や測定機械の移動台の案内経路に対して揃えて接着する。この種の固定法は走査ヘッドに対して目盛帯板を良好に付属させるが、帯板形状の弾力性の大きい目盛板にしか使用できない。
【0004】
ドイツ特許第 197 00 367 号明細書には、目盛帯板の向きを揃えるため横当接部材を目盛帯板の長手方向に沿って固定し、この長手方向に対して目盛帯板を当てる処置が開示されている。
【0005】
薄い目盛帯板に対して同じように広く固定する方式は、目盛帯板を縦方向に延ばして溝の中に入れることにある。これは、ドクトル・ヨハネス・ハイデンハイン有限会社の出版物「NC測長システム」 1998 年9月、第 58 と 59 頁に開示されている。その場合、連続プレスされたアルミニウムの収納断面外形を両側で接着される接着テープで固定面に固定し、その後、目盛帯板をこの断面外形の収納溝に入れる。ここでも、収納断面外形を測定方向に正確に平行に連続的に向ける問題が生じる。
【0006】
目盛板あるいは目盛板ホルダーを接着固定する場合、一般的に接続すべき面を接触させた後に向きを調整することが最早不可能である程度に接着剤の保持力が大きいという問題がある。向きを調整する今まで周知の処置は特に柔軟な目盛帯板に適している。かなり自己安定な目盛板および目盛板ホルダー、特に収納外形はこれ等の処置でもって向き調整をただ困難に固定できるだけである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
それ故、この発明の課題は、かなり自己安定な目盛板または目盛板ホルダーの向きを簡単に揃えて本体に接着できる方法と装置を提示することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は、この発明により、移動台が測定方向に移動可能に配置されている機械固定台の取付面に測長システムの目盛板または目盛板ホルダーを向き調整して取り付け、この取り付けを接着剤で接着して行う方法において、
−目盛板または目盛板ホルダーを、少なくとも一つのスペーサーで取付面に対して間隔を保って補助的に保持するとともに、この位置において前記取付面の上方で摺動させて向きを調整し、
−向き調整を行った後に前記補助を止め、向き調整した目盛板と取付面あるいは向き調整した目盛板ホルダーと取付面の間で接着剤の保持力を作用させるため、目盛板または目盛板ホルダーを、重力、機械的な押圧力又は磁力によって取付面の方向に移動させる、
ことによって解決されている。
【0010】
この発明による他の有利な構成は特許請求の範囲の従属請求項に記載されている。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1と2には機械固定台1と移動台2を備えた座標測定機械が示してある。移動台2は長手方向Xにリニヤガイド3に沿って摺動する。固定台1に対する移動台2の位置を測定するため目盛板4と走査ヘッド5から成る測長装置を使用する。図示する例では、目盛板4は目盛板ホルダー7の溝6に形状を合わせて固定される金属帯板である。目盛板ホルダー7の下側7.1上には両側で接着する接着箔8が設けてある。接着層8.1と8.2を有する接着箔8を図4に拡大して示す。
【0012】
固定台1に対して移動台2が移動する時、走査ヘッド5が連続的に目盛板4の目盛4.1を無接触で走査するように、目盛板ホルダー7は走査ヘッド5と移動台2の移動方向Xに平行に向きを揃えて固定する必要がある。この向き調整は接着剤8.2の接着力が目盛板ホルダー7と固定台1の取付面1.1の間で未だ接触していない状態でのみ行われる。この状態でそれでも目盛板ホルダー7を簡単に向きを揃えるため、この目盛板ホルダー7をスペーサー9を用いて組付面1.1に載置する。これ等のスペーサー9には、目盛板ホルダー7を組付面1.1に間隔を保って平行に保持し、組付面1.1上に目盛板ホルダー7の周りに簡単に指定して移動できて向きを調整できる機能がある。
【0013】
図3と4には目盛板ホルダー7の最初の組込状態が示してある。かなり自己安定な目盛板ホルダー7は測定方向Xに間隔を置いた多数の個所でスペーサー9で組付面1.1に間隔を保って保持される。目盛板ホルダー7に付けた接着箔8の接着層8.2はどこでも組付面1.1に接触していない。つまり、スペーサー9は目盛板ホルダー7を横に掴むので、測定方向Xに垂直に遊びがなく取付面1.1に狭い間隔で保持されるように構成されている。接着層8.2が取付面1.1に接触しない程度に二つのスペーサー9の間の曲げを小さく維持するようスペーサー9を目盛板ホルダー7の全長にわたり配分する。
【0014】
目盛板ホルダー7を取付面1.1に対して間隔を置いて保持するため、スペーサー9が目盛板ホルダー7をただ挟持して保持してもよく、あるいは図4に示すように、その代わりもしくはそれに加えて、スペーサー9のところに当接部10を設け、この当接部に目盛板ホルダー7がその下側7.1の接着剤のない領域を載せてもよい。図4に示すスペーサー9はH字状に形成されている。両方の脚部の内面は目盛板ホルダー7の側面を遊びなく保持するための着座部を形成する。目盛板ホルダー7が特に長い場合には、スペーサー9の脚部の少なくとも一方が測定方向Xに垂直にバネ付勢されて傾斜可能に形成されていると有利である。図4によれば、右の脚部は継手9.1により傾くので、目盛板ホルダー7を簡単に入れるためスペーサー9のこの脚部を広げることができる。
【0015】
スペーサー9を用いて目盛板ホルダー7を走査ヘッド5の移動方向Xに平行に簡単に調整できるには、以下の処置が助けになる。
【0016】
図5によれば、機械の移動台2(好ましくは走査ヘッド5の代わりに)あるいは走査ヘッド5自体に、先端が目盛板ホルダー7あるいはスペーサー9の正しいエッジ位置を表すようにマークピン11または摩擦針を取り付ける。機械の移動台2が案内部3に沿って移動することにより、測定方向Xに平行な線分12が取付面1.1にマークされる。この線分12のところに目盛板ホルダー7は、あるいはスペーサー9はその上に保持されている目盛板ホルダー7と共に向きを調整され、スペーサー9を除去した後に固定接着される。スペーサー9の除去はこのスペーサーを目盛板ホルダー7の端部に移動させて行われると有利である。この場合、重力により、機械的な押圧によりあるいは磁力により目盛板ホルダー7を移動させて除去したスペーサー9の後で取付面1.1に押し付けるので、接着剤8.2の保持力が作用する。
【0017】
図6によれば、機械の移動台2(好ましくは走査ヘッド5の代わりに)あるいは走査ヘッド5自体に、目盛板ホルダー7の側面を測定方向Xに垂直に正しい位置に決める当接片13を固定する。移動台2は当接片13と共に目盛板ホルダー7に沿って測定方向Xに移動し、目盛板ホルダー7またはスペーサー9が当接片13に当たる。目盛板ホルダー7は一個所で先ず一部向き調整され、この個所でスペーサー9を除去し、目盛板ホルダー7は接着層8.2と共に取付面1.1に部分的に押圧される。この状態では、目盛板ホルダー7が既に接着された個所の周りに傾くので、向き調整と接着は同じ方法で当接片13を移動させた後、測定方向Xに間隔を保った個所で簡単に行える。
【0018】
図7によれば、取付面1.1に先ずストッパーとしての条片14を固定する。目盛板ホルダー7またはスペーサー9をこの条片14に当てる。スペーサー9を目盛板ホルダー7に対して測定方向Xに条片14に沿って移動させて目盛板ホルダー7の向きを調整し、重力、押圧力あるいは磁力により目盛板ホルダー7を支持されていない領域で調整された状態の取付面1.1に接触させてそこに固定接着する。条片14は間隔を保った当接部材でも置き換えできる。条片14や当接部材はドイツ特許第 197 00 367 号明細書に開示されている方法でも取付できる。その場合、当接部材は好ましくは取付面1.1に接着される帯状体である。
【0019】
図8と9によれば、機械の移動台2(好ましくは走査ヘッド5の代わりに)あるいは走査ヘッド5自体に、目盛板ホルダー7を遊びなしに側部エッジで掴む調整部材15が固定されている。目盛板ホルダー7をスペーサー9で取付面1.1上に載せ、フォーク状の調整部材15を一個所で目盛板ホルダー7に係合させ、移動台2を目盛板ホルダー7に対して移動させて調整部材15と共にスペーサー9を測定方向Xに連続的に移動させ、目盛板ホルダー7を取付面1.1上で整列させて調整部材15の後ろに降ろすか、取付面1.1に押圧する。このため、移動台2に押圧部材16を固定する。この部材は、例えば目盛板ホルダー7を接着面8.2と共に取付面1.1にバネ付勢して押し付ける。スペーサー9や調整部材15には目盛板ホルダー7が横方向に遊びなく通されて向きを調整されている。
【0020】
スペーサー9には磁気的な組立面1.1上に移動可能に付着させるため磁石17があってもよく(図4),あるいは真空により組立面1.1に移動可能に付着させるため真空ホースの接続可能性があってもよい。これ等の可能性により目盛板ホルダー7を垂直な取付面のところでも、あるいは懸架して向きを調整できる。
【0021】
更に、目盛板ホルダー7は磁気的あるいは真空でもスペーサー9のところに保持でき、その場合、スペーサー9と目盛板ホルダー7の結合を無くし、目盛板ホルダー7を取付面1.1に接触して接着するため、調整した状態で磁力または真空が狙い通りに低減される。
【0022】
目盛板4を向き調整中に目盛板ホルダー7のところに既に固定するか、あるいは接着後に目盛板ホルダー7の溝6に入れることができる。
【0023】
説明した処置は目盛板4自体の向きを調整したりそれを組み込むためにも使用できる。目盛板4はスチールベルトあるいはスチール条片あるいはガラス薄層体であってもよい。
【0024】
この代わりにあるいはそれに加えて接着箔8を取付面1.1に設けてもよい。接着箔8の代わりに、他の接着層も通しにしてまたは飛び飛びにして設けてもよい。
【0025】
【発明の効果】
以上、説明したように、この発明の装置と方向によりかなり自己安定な目盛板または目盛板ホルダーの向きを簡単に揃えて本体に接着できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 向きを調整した目盛板ホルダーを伴う座標測定機械の原理を示す長手側から見た側面図、
【図2】 図1の配置を II − II から見た横断面図、
【図3】 目盛板ホルダーの組立状態を示す長手側から見た側面図、
【図4】 図3の配置を IV − IV から見た拡大横断面図、
【図5】 目盛板ホルダーの向きを調整する第一の可能性を示す側面図、
【図6】 目盛板ホルダーの向きを調整する第二の可能性を示す側面図、
【図7】 目盛板ホルダーの向きを調整する第三の可能性を示す側面図、
【図8】 目盛板ホルダーの組立状態を示す長手側から見た側面図、
【図9】 図8の配置を IX − IX から見た拡大横断面図である。
【符号の説明】
1 固定台
1.1 取付面
2 移動台
3 リニヤーガイド(案内部)
4 目盛板
4.1 目盛
5 走査ヘッド
6 溝
7 目盛板ホルダー
8 接着箔
8.1,8.2 接着層
9 スペーサー
9.1 継手
10 当接部
11 マークピン
12 線分
13 当接片
14 条片
15 調整部材
16 押圧部材
17 磁石
X 測定方向

Claims (5)

  1. 移動台(2)が測定方向(X)に移動可能に配置されている機械固定台(1)の取付面(1.1)に測長システムの目盛板(4)または目盛板ホルダー(7)を向き調整して取り付け、この取り付けを接着剤(8.2)で接着して行う方法において、
    −目盛板(4)または目盛板ホルダー(7)を、少なくとも一つのスペーサー(9)で取付面(1.1)に対して間隔を保って補助的に保持するとともに、この位置において前記取付面(1.1)の上方で摺動させて向きを調整し、
    −向き調整を行った後に前記補助を止め、向き調整した目盛板(4)と取付面(1.1)あるいは向き調整した目盛板ホルダー(7)と取付面(1.1)の間で接着剤(8.2)の保持力を作用させるため、目盛板(4)または目盛板ホルダー(7)を、重力、機械的な押圧力又は磁力によって取付面(1.1)の方向に移動させる、
    ことを特徴とする方法。
  2. 線分12)を取付面(1.1)上で測定方向(X)に平行に形成するマークピン(11)を移動台(2)に固定し、この線分12において目盛板(4)または目盛板ホルダー(7)を向き調整することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 移動台(2)に少なくとも一つの当接面を有する当接片(13,14)を固定し、向き調整のため目盛板(4),目盛板ホルダー(7)あるいはスペーサー(9)をこの当接面に当てることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 当接片13,14)は目盛板(4)または目盛板ホルダー(7)を測定方向(X)に垂直に案内して向き調整する遊びのない案内部を形成することを特徴とする請求項3に記載の方法。
  5. 当接片13,14)は目盛板(4)または目盛板ホルダー(7)に対して測定方向(X)に移動し、この移動の間に当接片13,14)は少なくとも一つのスペーサー(9)を目盛板(4)または目盛板ホルダー(7)に対して測定方向(X)に摺動させ、これにより補助を止めることを特徴とする請求項4に記載の方法。
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