JP4681024B2 - 眼鏡レンズの研磨方法 - Google Patents

眼鏡レンズの研磨方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4681024B2
JP4681024B2 JP2008117766A JP2008117766A JP4681024B2 JP 4681024 B2 JP4681024 B2 JP 4681024B2 JP 2008117766 A JP2008117766 A JP 2008117766A JP 2008117766 A JP2008117766 A JP 2008117766A JP 4681024 B2 JP4681024 B2 JP 4681024B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polishing
lens
balloon member
jig
dome
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2008117766A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008183714A (ja
Inventor
吉明 豊島
英雄 鳥海
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hoya Corp
Original Assignee
Hoya Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hoya Corp filed Critical Hoya Corp
Priority to JP2008117766A priority Critical patent/JP4681024B2/ja
Publication of JP2008183714A publication Critical patent/JP2008183714A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4681024B2 publication Critical patent/JP4681024B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Grinding And Polishing Of Tertiary Curved Surfaces And Surfaces With Complex Shapes (AREA)
  • Polishing Bodies And Polishing Tools (AREA)

Description

本発明は、各種形状の被研磨面の研磨に用いられる研磨治具に関し、特にプラスチックレンズのトーリック面、非球面、非トーリック面、任意の自由曲面形状等からなる面を研磨する研磨装置に用いて好適な眼鏡レンズの研磨方法に関する。
従来、NC制御のカーブジェネレータで球面やトーリック面形状に切削されたレンズの凹面を研磨装置によって研磨するには、研磨したい凹面の形状に略一致する凸面を有する金属製の研磨治具に研磨パッドを貼付け、これを研磨したい凹面に押し付けた状態で研磨治具とレンズを相対的に摺動させることにより行っていた。しかしながら、このような方法で研磨する場合、研磨したいレンズの凹面の形状毎に異なった研磨治具を用意する必要がある。例えば、乱視矯正用のトーリックレンズの場合、トーリック面(円弧を、その円弧と同一面内にあり円弧の曲率中心を通らない軸の回りに回転させて得られる面の一部)が3000〜4000種類にも及ぶため、その数だけの研磨治具を用意する必要があった。このため、研磨治具の製造コストが嵩むばかりか、保管場所も広い収納スペースを必要とし、その管理が煩雑であった。
また、球面、トーリック面だけではなく、非球面(頂点から周辺にかけて曲率が連続的に変化する回転面の一部)形状、非トーリック面(曲率が異なる互いに垂直な主経線をもつ面で、少なくとも一方の主経線の断面が円ではない面)形状、累進多焦点レンズのような自由曲面形状など複雑な形状の凹面を形成する場合があり、このような場合には従来の研磨治具を用いた研磨方法では、研磨できないという問題があった。
そこで、このような問題を解決するための方法として、弾性材料からなり内部に流体を封入して膨らませた状態で研磨するようにした研磨治具が種々提案されている(例えば、特許文献1〜4参照)。なお、出願人は本明細書に記載した先行技術文献情報で特定される先行技術文献以外には、本発明に密接に関連する先行技術文献を出願時までに発見するには至らなかった。
特開2000−117604号公報 実開昭61−195970号公報 特開平2−9559号公報 特開平9−103951号公報
上記特開2000−117604号公報に記載された研磨装置および研磨治具は、被研磨物を保持する保持具と、流体圧によってドーム状に膨らまされる可撓性シートを有する研磨治具と、前記可撓性シートの表面に貼付けられる研磨パッドとを備え、前記保持具の左右および前後往復運動と、前記研磨治具の首振り旋回運動により研磨の軌跡が1周毎に少しずつずれる無軌道研磨軌跡で前記被研磨物の被研磨面を、前記研磨パッドと前記被研磨面との間に供給される研磨剤とによって研磨するようにしたものである(段落「0030」〜「0038」、図1)。
研磨に当たっては、可撓性シートの内圧を変化させることで、ドームの曲率を変化させるようにしている。また、凹面がトーリック面で互いに直交する方向での曲率が大幅に異なる場合、球面状のドームではこのような凹面に追随できないおそれがあるため、可撓性シートの互いに直交する方向の一方の方向の両端部近傍において、押え治具を可撓性シートに押し付けて流体圧によるシートの膨らみ方を抑制することにより、ドームの曲率を互いに直交する方向で異ならせて被研磨物のトーリック面に近づけるようにしている。
このように、流体圧と押え治具とによってドームの曲率を変化させると、1つの治具で広い範囲の凹面形状に対応できるため、凹面の形状毎に異なった研磨治具を用意する必要がなく、研磨治具の数を大幅に削減することができる利点がある。
しかしながら、上記した特開2000−117604号公報に記載された研磨治具は、円盤状の固定治具本体と、この固定治具本体と同径の平板円形リング状の押圧治具とで可撓性シートの外周部を挟んで固定し、固定治具本体と可撓性シートとの間に密閉空間を形成して流体圧によりドーム状に膨らませ、前記押圧治具の上にシートの膨らみを抑制する一対の押え治具をドームの径方向に移動調整可能に取付けているため、研磨治具とレンズを互いに接触させた状態で相対的に摺動させてレンズの凹面研磨を行なう場合、研磨治具の研磨面の横に押圧治具と押え治具が位置していることから、これらの治具、特に押え治具にレンズが当たらないようにする必要がある。
押圧治具や押え治具にレンズが当たらないようにするために研磨のための摺動距離を短くすると、大きなレンズの場合は研磨できなくなる場合が生じる。十分な摺動距離を確保するには、研磨面の面積をレンズの面積より十分に大きくすればよいわけであるが、その場合は研磨治具の外形が大きくなり大型化する。しかも、研磨面の面積が広い場合にドームの曲率を大きくしようとすると研磨治具の高さがかなり高くなる。また、一つの研磨治具で押え治具を使って多種のレンズ径と凹面形状のレンズを研磨するには、研磨したい最も大きな径のレンズに合わせて研磨治具の大きさを設定しなければならないことからも研磨治具は大型化する。研磨治具が大型化すると、必然的に重量や慣性モーメントが大きくなるため研磨治具の首振り旋回運動に支障をきたすおそれもある。
また、上記したような研磨治具では、治具自体の構造上からドーム表面に研磨パッドを接着剤によって貼着する必要があるため、その取付け取外し作業に長時間を要するといった問題もあった。
本発明は、上記した従来の問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、構造が簡単で被研磨物の凹面の曲率に応じてドームの曲率を変更するために格別な部品や手段をドームの外周に設ける必要がなく、小型・軽量化を可能にするとともに確実に研磨し得るようにした研磨治具を用いる眼鏡レンズの研磨方法を提供することにある。
上記目的を達成するために第1の発明は、表面が扁平または凸曲面からなり内部に導入される流体圧によって所定のドーム状に変形される正面視形状が楕円形のドーム部と、このドーム部の外周より後方に向かって一体に延設された筒部とによって背面側が開放するカップ状に弾性材料によって形成され、表面側に研磨パッドが取付けられるバルーン部材と、前記筒部を保持し前記バルーン部材の背面側開口部を気密に閉塞する固定具と、前記固定具に設けられ前記バルーン部材の密閉空間に流体を導入するバルブとを備えた研磨治具を、前記ドーム部の長軸または短軸の寸法、または長軸と短軸の比率を変えて複数種類形成し、これら複数の研磨治具の中から選択した研磨治具を用いて眼鏡用プラスチックレンズの表面を研磨することを特徴する眼鏡レンズの研磨方法である。
第1の発明において、バルーン部材はカップ状で、密閉空間に供給される流体圧によってドーム部が弾性変形し、その表面の曲率が被研磨面の形状に応じて所定の曲率に調整される。バルーン部材の密閉空間に供給される流体としては、通常圧縮空気が用いられる。ドーム部表面には研磨パッドが取付けられる。
第2の発明は、上記第1の発明において、前記固定具は、前記バルーン部材の筒部を内側と外側から挟持する内側固定具および外側固定具とからなるものである。
第2の発明において、内側固定具と外側固定具はバルーン部材の筒部を内側と外側から挟持する。
上記第2の発明において、バルーン部材が筒部の背面側開口部に設けられた内フランジを有し、内側固定具と外側固定具で前記内フランジを挟持してもよい
上記発明において、内側固定具と外側固定具はバルーン部材の外側と内側から内フランジを挟持することで、バルーン部材の背面側開口部を気密に閉塞してもよい
上記発明において、 バルーン部材の筒部の背面側開口端部をテーパ状筒部とし、内側固定具の外周面と外側固定具の内周面にそれぞれテーパ部を設け、これらのテーパ部で前記テーパ状筒部を挟持してもよい。
上記発明において、内側固定具と外側固定具のテーパ部によってバルーン部材のテーパ状筒部を外側と内側から挟持することで、バルーン部材の背面側開口部を気密に閉塞してもよい。
上記発明において、バルーン部材の筒部の厚さをドーム部より厚くしてもよい
前記バルーン部材は筒部の剛性が増すため形状保持力に優れ、研磨時の筒部の変形や伸縮が低減される。したがって、ドーム部を安定した形状に維持する。
上記発明において、バルーン部材の背面側開口部に環状の係止部を一体に設け、この係止部が嵌着される環状の溝を固定具に設けてもよい
前記係止部は環状の溝に嵌着されることにより、バルーン部材が内側固定具から離脱するのを防止するとともに、密閉性を向上させる。
上記発明に用いる研磨治具に締付部材によって着脱自在に取付けられ被研磨面を研磨する研磨パッドであって、前記研磨パッドは、楕円形に形成された研磨部とこの研磨部の外周から外側に伸びる固定片とからなり、前記研磨部は外周より中心に向かって形成された複数の溝により放射状に分割された複数の花弁片を有し、前記固定片は、前記花弁片のうちの2つ以上の花弁片の外縁を径方向に長くすることにより延設されており、これらの固定片が固定具の外周面に沿って折り曲げられ前記締付部材によって固定されるものである。
前記研磨パッドにおける全ての花弁片によって被研磨面を研磨し、花弁片に形成された固定片は締付部材によって研磨治具の外周に着脱自在に固定される。研磨パッドとしては、例えば発泡ポリウレタン、フェルトあるいは不織布等の繊維性の布や合成樹脂等を材料とする適宜厚さのシート材によって形成される。固定片は、幅が広すぎると柔軟性に欠けて撓み難くなり、狭すぎると強度的に弱くなるため研磨時に破断し易くなる。したがって、固定片の幅は強度と柔軟性を考慮して決められる。好ましくは、固定片の幅を花弁片の幅より狭く形成する。こうすることにより、研磨中のバルーン部材の変形に対し、固定片の方が撓み易くなり、花弁片の変形は小さくてすむ。固定片の数としては2以上で、一定の間隔をおいて配置されることが望ましい。
前記締付部材が線ばねによって両端部が互いに交差するようにリング状に形成され、自然状態で固定具の外径より小さい直径を有するものである
上記研磨方法において、前記バルーン部材は、表面が扁平または緩やかな凸曲面からなるドーム部を備えており、前記ドーム部の中央高さが所定の高さになるまで流体を供給する工程と、この流体が供給された研磨治具を用いてレンズの切削面を研磨する工程とを有してもよい
前記線ばねによってリング状に形成された締付部材は、拡径された状態で研磨治具の外周に嵌着され、元の形状に戻ろうとする復元力で研磨パッドの固定片を締め付け研磨治具の外周に押し付ける。
本発明に係る研磨治具は、弾性材料からなる背面側が開放するカップ状に形成されたバルーン部材を備えており、このバルーン部材が、表面が扁平または緩やかな凸曲面からなるドーム部と、このドーム部の外周より後方に向かって一体に延設された筒部とを有しているため、バルーン部材は柔軟性を有するとともに筒部の形状保持力を有しており、ある程度バルーン部材の形状を保持しつつ被研磨面にドーム部を追随させることができる。
また、バルーン部材の背面側開口部を気密に閉塞する固定具が前記バルーン部材の筒部において保持しているので、研磨治具を小型・軽量化でき、またレンズ研磨時にレンズと固定具とが干渉するのを防止することができる。
また、研磨治具の密閉空間に流体を流入することにより、ドーム部を所望のドーム形状にすることができるため、被研磨面の形状に応じて用意しなければならない研磨治具の数を大幅に削減することができる。また、ドーム部の曲率の変更も容易で、特に、レンズの凹面を研磨する場合には、ドーム部の形状を被研磨面の形状に近い所望の曲率のドーム形状にすることができるため、レンズをドーム部に押し付けて研磨する際に被研磨面とドーム部との間に隙間が生じにくく良好な研磨が可能となる。
バルーン部材に内フランジを設けることにより、固定具によって内フランジを挟持することで、研磨時にバルーン部材が固定具から外れるのを防止することができる。
バルーン部材の筒部の背面側開口端部をテーパ状筒部とし、このテーパ状筒部を内側固定具と外側固定具に設けたテーパ部で挟持するようにしても同様な効果が得られる。
バルーン部材の筒部の厚さをドーム部より厚くすることにより、筒部の形状保持力が増大し、研磨時の筒部の変形や伸縮を軽減することができる。
バルーン部材の背面側開口部側に係止部を設け、この係止部を内側固定具に設けた環状の溝によって係止することにより、バルーン部材を内側固定具に仮固定するができて研磨治具の組立作業が容易である。また、研磨中にバルーン部材が固定具から脱落するのを防止し、しかもバルーン部材の密閉が確実である。
前記研磨パッドは、複数の固定片を一体に有し、この固定片が締付部材によって研磨治具の外周に着脱自在に固定されるので、接着剤を必要とせず研磨パッドの取付け取外し作業が簡単かつ容易で短時間に行うことができる。また、研磨中のバルーン部材の変形に対して固定片部が撓むことで花弁片部の変形が小さくなり、研磨中に被研磨面に無理な力が加わったりすることがなく、良好に研磨することができる。
また、締付部材も線ばねによってリング状に形成されているので、安価に製作することができ、研磨パッドの研磨治具への取付け取外し作業が容易であり、かつ、取付けた状態で幅を取らないため、研磨の邪魔にならない。
以下、本発明を図面に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明に係る研磨治具を用いた研磨装置の概略構成図、図2はレンズにレンズ保持体を取付けた状態を示す断面図、図3はレイアウトブロッカーでレンズにレンズ保持体を取付けるときの状態を示す断面図、図4は研磨治具の平面図、図5は研磨パッドが取付けられた同研磨治具の平面図、図6は同研磨治具の底面図である。図7は図5のVII −VII 線断面図、図8は研磨治具の高さとバルーン部材のドーム部の曲率半径との関係を示す図、図9はバルブの断面図、図10は研磨パッドの平面図、図11は研磨パッドの締付部材の斜視図、図12(a)、(b)はそれぞれ研磨装置の無軌道研磨軌跡を示す概念図である。
本実施の形態においては、被研磨物であるレンズとして乱視矯正用のプラスチックレンズのトーリック面からなる凹面を研磨する研磨装置に適用した例を示す。また、研磨するレンズとしては、ウレタン系またはエピチオ系樹脂からなる凸面だけが仕上げられたセミフィニッシュレンズを使用した。
レンズ5をレンズ保持体7に取付けるには、図3に示すように予めレンズ5の凸面5aに傷防止用の保護フィルム12を密着させておき、その上に例えばLOH社製のレイアウトブロッカーと呼ばれる装置によって前記レンズ保持体7を取付ける。
レンズ5の製造は、最初にレンズ5の凸面5aにレンズ保持体7を取付け、このレンズ保持体7を介してレンズ5をカーブジェネレータに取付け、レンズ5の凹面5bを所定の形状に切削した後、同様にレンズ保持体7を介してレンズ5を研磨装置に取付け、切削された面を研磨することにより行う。
前記レンズ保持体7は、図3に示すレイアウトブロッカーの取付台15に嵌着される工具鋼等からなるヤトイ13と、このヤトイ13と前記レンズ5の凸面5aとの間に介在される接着剤16とで構成されている。接着剤16としては、通常低融点のアロイ(例えば、Bi,Pb,Sn,In,Gaの合金、融点約49℃)が用いられる。レンズ5とヤトイ13をアロイ16を介して固着するには、先ず取付台15の凹陥部15aにヤトイ13を嵌着する。また、取付台15の上面にブロッキングリング14をヤトイ13の外周を取り囲むように載置して位置決めピン17で位置決めするとともに固定具18により固定する。次に、保護フィルム12が密着されたレンズ5をブロッキングリング14の上に凸面5aを下にして載置し、レンズ5、ヤトイ13、ブロッキングリング14および取付台15の上面によって囲まれた空間に溶融したアロイ16を充填して冷却固化させることにより、レンズ5とヤトイ13を接着する。しかる後、レンズ5に取付られたヤトイ13は凹陥部15aから取外されると、図2に示すようなレンズ保持体7が取付けられたレンズ5になる。このレンズ保持体7付きのレンズ5を研磨装置に取付けるには、レンズ保持体7を介して前記アーム4のレンズ取付部6にレンズ5の凹面5bを下にして装着される。なお、ヤトイ13とブロッキングリング14は、レンズ5の度数、外径、凸面5aの曲率に応じて大きさの異なるものが用いられる。
このようにしてレンズ保持体7が取付けられたレンズ5は、3次元NC制御を行うカーブジェネレータに前記レンズ保持体7を介して取付けられ、凹面5bを所定の面形状に切削加工される(加工精度3μm以内:50φ、表面粗さRy0.3〜0.5μm)。
切削加工されたレンズ5は、その切削加工された面が被研磨面として本発明に係る研磨装置によって研磨される。以下、本発明に係る研磨装置の構成等について詳述する。
図1において、全体を符号1で示す眼鏡レンズの研磨装置は、床面に設置された装置本体2と、この装置本体2に紙面において左右方向に移動自在でかつ水平な軸3を中心として紙面と直交する方向に回動自在に配設されたアーム4と、このアーム4を左右方向に往復移動させるとともに紙面と直交する方向に回動させる図示しない駆動装置と、前記アーム4に設けられレンズ5の凸面5aをレンズ保持体7を介して保持するレンズ取付部6と、このレンズ取付部6の下方に位置するように前記装置本体2に配設され、図示しない駆動装置により垂直な軸線Kを中心として首振り旋回運動(自転はしない)を行う揺動装置8等を備えている。また、前記揺動装置8上に着脱自在に設けられた研磨治具9、この研磨治具9に着脱自在に取付けられた研磨パッド10、前記レンズ取付部6を昇降させる昇降装置11等を備えている。このような研磨装置1は研磨治具9および研磨パッド10の構造が新しい点を除いて従来から一般に市販され、レンズ5の球面やトーリック面からなる凹面5bを研磨するために広く使用されているものである(例えば、非特許文献1参照)。
LOH社製 研磨装置(TORO−X2SL)
前記揺動装置8は、垂直な回転軸21に揺動角度α(例えば、5°)で首振り旋回運動するように傾斜して取付けられ、上面に前記研磨治具9が設置されている。
図4〜図7において、前記研磨治具9は、弾性材料である天然ゴム、合成ゴムまたはゴム状樹脂によってカップ状に形成された背面側が開放するバルーン部材25と、このバルーン部材25の背面側開口部を閉塞し内部を気密に保持する固定具26と、前記バルーン部材25の内部に圧縮空気を供給するバルブ27とで構成されている。
前記バルーン部材25は、正面視形状が略楕円形で表面が扁平または緩やかな凸曲面からなるドーム部25Aと、このドーム部25Aの外周より下方に向かって一体に延設された略楕円形の筒部25Bと、筒部25Bの後端に一体に延設された環状の内フランジ25Cとで構成されている。また、内フランジ25Cの内端には、上方に突出した環状の係止部28が一体に設けられている。この係止部28は、後述する内側固定具29と係合することでバルーン部材25と内側固定具29を仮固定し、研磨治具9の組み立てを容易にするとともに、外側固定具30を取付けたときにバルーン部材25が固定具26から外れるのを防止し、かつ内部の密閉を確実にする。
バルーン部材25の材質としては、例えば硬度が20〜50度の天然ゴムに近い合成ゴム(例えば、IIR)または天然ゴムが用いられる。バルーン部材25の厚さTは全体にわたって均一で、約0.5〜2mm(通常1mm程度の等厚)である。バルーン部材25は、研磨するレンズ5の大きさや研磨したい被研磨面の形状に応じて複数種類用意することが好ましい。
前記固定具26は、前記内側固定具29と外側固定具30の2部材からなり、これらによってバルーン部材25の内フランジ25Cと係止部28を内側と外側から挟持することにより、バルーン部材25の背面側開口部を気密に封止している。内側固定具29は、バルーン部材25の筒部25Bの内側の形状と略同一の大きさの楕円板からなり、表面側外周縁が面取りされ、裏面外周部に前記内フランジ25Cが嵌合する環状溝31が形成されている。また、環状溝31の内周には、前記係止部28が嵌合する環状の溝31aが全周にわたって形成されている。環状溝31の深さWは、内フランジ25Cの厚さ(T)より若干小さく設定されている。また、内側固定具29は、高さが筒部25Bの高さより低く設定されることにより、バルーン部材25の内部に前記ドーム部材25とともに密閉空間32を形成している。
前記密閉空間32に圧縮空気を前記バルブ27を介して供給し、前記ドーム部25Aを上方に膨張させると、ドーム部25Aの中心軸を含む断面の曲率半径が楕円の短軸方向で最小となり、長軸方向で最大となるトーリック面に近い形状が形成される。この場合、ドーム部25Aの曲率半径は、図8に示すようにドーム部25Aの中央高さ(頂点高さ)に応じて変化するため、適宜な装置によってドーム中央の高さを測定し調整することにより、ドーム部25Aの曲率半径を所望の曲率半径とすることができる。なお、ドーム部25Aの形状をレンズ5の凹面5bにより近づけるには長軸、短軸の寸法またはその比率を変えたものを複数種用意しておき、レンズ5の凹面形状に近いものを選択して使用することが好ましい。ドーム部25Aの曲率半径を、レンズ5の凹面5bの曲率半径よりも小さく設定すると、レンズ凹面をドーム部25Aに押し付ける際に凹面5bの中央部とドーム部25Aの中央部との間に隙間が生じ難くなるのでより良い。なお、図8はドーム部25Aの長軸が90mmφ、長軸に対する短軸の比率が0.9のバルーン部材を備えた研磨治具における治具高さ(研磨治具底面からドーム部中央までの高さ)とドーム部の曲率半径の関係を示す図である。また、ここで使用した研磨治具の空気注入前の高さ(密閉空間32の気圧が大気圧に等しいときの治具高さ)は30mmである。
本実施の形態においては、凹面5bがトーリック面でレンズ径65φ、70φ、75φ、80φ(mm)、屈折率1.7、凹面5bのベースカーブ0.00〜11.25〔D〕、乱視度数範囲0.00〜4.00〔D〕のレンズの研磨を行うのに、バルーン部材25の短軸の長軸に対する比率が0.9で、長軸の寸法が65φ、70φ、75φ、80φ、85φ、90φ、95φ、100φ(mm)の8種類と、バルーン部材25が略円形で外径が100mmの1種類の計9種類の研磨治具9を用意し、これらをレンズ5に応じて適宜選定し使い分けるようにしている。
研磨治具9の選定は、レンズ径と研磨面の曲率によって適宜選定されるが、同一径のレンズの場合、曲率が大きくなる程長軸が短い研磨治具を使用するとよい。例えば、直径が70mmのトーリックレンズを研磨する場合、ベースカーブ0.00〜1.50〔D〕で乱視度数0.00〜2.00〔D〕の場合は長軸100φ(mm)の研磨治具、同ベースカーブで乱視度数2.25〜4.00〔D〕以上の場合は90φの研磨治具、ベースカーブ1.75〜6.00〔D〕で乱視度数0.00〜4.00〔D〕の場合は長軸90φの研磨治具(ただし、ベースカーブ2.75〜6.00〔D〕でかつ乱視度数が2.25〜4.00〔D〕の場合は80φ)、ベースカーブ6.25〜11.25〔D〕で乱視度数0.00〜4.00〔D〕の場合は長軸80φの研磨治具(ただし、ベースカーブ10.00〜11.25〔D〕でかつ乱視度数が2.25〜4.00〔D〕の場合は除く)を使用し、ドーム部25Aの高さ、圧力、回転速度、研磨時間を適宜設定することで全度数範囲を研磨できることを確認した。
図7において、前記外側固定具30は、上方に開放するカップ状に形成されることにより、円板状の底板30Aと、この底板30Aの上面外周に一体に突設された円筒部30Bとからなり、円筒部30Bの内側が前記内側固定具29が前記バルーン部材25の筒部25Bとともに嵌挿される凹陥部36を形成している。内側固定具29は、前記バルーン部材25の筒部25Bとともに凹陥部36に嵌挿され、外側固定具30の下面側から複数個の止めねじ37によって凹陥部36内に固定され、バルーン部材25の内フランジ25Cを凹陥部36の底面に押し付けることによりバルーン部材25の背面側開口部を外側固定具30とともに気密に封止する。
このような外側固定具30は、底面に設けた係合凹部38および係合溝38’と揺動装置8の上面に設けた図示しない係合部との係合によって位置決め固定される。外側固定具30の凹陥部36は、前記バルーン部材25の筒部25Bの外形と略同一の大きさで、深さが10mm程度で筒部25Bの高さより低い楕円形の凹部を呈する。したがって、バルーン部材25を固定具26に取付けた状態において、筒部25Bは外側固定具30より上方に突出している。このように外側固定具30の高さをドーム部25Aよりも低くしておくと、レンズ5の研磨時に研磨治具9を首振り旋回運動させてもレンズ5と外側固定具30が干渉するのを防止することができる。なお、外側固定具30の外形を円形にしているが、これは後述する締付部材66が締付け時に略円形のリング状の場合、均等に力が加わるようにするためである。
図9において、前記バルブ27は、内側固定具29に形成したねじ孔41に外側固定具30に形成した貫通孔42を通ってねじ込まれた筒状のバルブ本体43を備えている。バルブ本体43は、上端部外周に前記ねじ孔41に螺合する雄ねじ44が形成され、下端部が空気供給装置の注入口45に差込み接続されるように形成されている。バルブ本体43の内部は、仕切壁46によって上下2つの室47a,47bに仕切られており、仕切壁46の中央には両室47a,47bを連通させる小孔48が形成されている。小孔48の上側開口部には、円錐形の着座部49が形成されている。上側の室47aには、通常前記着座部49に着座することにより小孔48を閉塞するボール50と、このボール50を着座部49に圧接する円錐コイルばね51が組み込まれている。
一方、下側の室47bには、排気用ピン52と、この排気用ピン52を下方に付勢する円錐コイルばね53と、前記排気用ピン52を摺動自在に保持する受座55およびこの受座55の脱落を防止するEリング56が組み込まれている。排気用ピン52は、小径部52aおよび大径部52bと、これら両径部52a,52bの間に一体に設けられた鍔52cとで構成されている。小径部52aの上端部は前記小孔48に挿入されてボール50の直下に位置し、大径部52bは前記受座55の中心孔57およびEリング56を貫通し、前記バルブ本体43の下方に突出している。前記受座55は、外周縁に流体通路を形成する複数個の溝58を有し、上面に前記排気用ピン52の鍔52cが前記円錐コイルばね53によって圧接されている。前記Eリング56は、前記バルブ本体43の内部で下端側開口部付近に係着され、前記受座55を受け止め支持している。
前記バルーン部材25の密閉空間32への圧縮空気の供給は、前記バルブ本体43を空気供給装置の注入口45に差込み接続することによって行われる。すなわち、注入口45にバルブ本体43の下端部を差込むと、空気供給装置からの圧縮空気は矢印Aで示すように注入口45−Eリング56の中心孔−受座55の溝58−バルブ本体43の下側室47bに導かれ、下側室47b内の圧力を徐々に上昇させる。これによりボール50が円錐コイルばね51のばね力に抗して押し上げられて小孔48が開き、圧縮空気が上側室47aを通ってバルーン部材25の密閉空間32に供給され、ドーム部25Aを膨張させる。圧縮空気が供給されて密閉空間32内の圧力が高くなりドーム部25Aの中央の高さが所望の高さになると圧縮空気の供給を停止し、バルブ27を注入口45から抜き取る。バルブ27を注入口45から抜き取ると、下側室47bが大気圧に戻るため、ボール50は円錐コイルばね51のばね力によって着座部49に押し付けられ小孔48を閉塞する。なお、密閉空間32内の圧縮空気を排出してドーム部25Aを元の自然な形状に戻すときは、排出用ピン52を手で円錐コイルばね53に抗して押し上げてボール50を突上げ着座部49から離間させればよい。これにより小孔48が開き、密閉空間32を大気開放させる。したがって、ドーム部25Aは自己のもつ復元力により元の形状に復帰する。
前記レンズ5の凹面5bの研磨に用いられる前記研磨パッド10は、例えば発泡ポリウレタン、フェルト、または不織布等の繊維性の布や合成樹脂等を材料とする厚さ1mm程度のシート材によって形成されたもので、図10に示すように前記バルーン部材25のドーム部25Aの正面視形状と略同一の大きさの楕円形に形成された研磨部60と、この研磨部60の周縁から外側に伸びる複数本の固定片61とで構成されている。研磨部60は、外周より中心に向かって形成された複数の溝62により放射状に形成された8個の花弁片63で構成されている。各花弁片63は、中心側の幅が狭く、外周側の幅が広くなるように平面視台形状に形成されている。前記固定片61は、前記8個の花弁片63のうち、長軸方向と短軸方向に位置する合計4つの花弁片63の外縁に径方向にそれぞれ延設されている。固定片61の幅は、花弁片63の外縁の幅より狭く設定されている。これは、研磨中にバルーン部材25の変形や固定片61が後述する締付部材66から引き出された際、固定片61の撓みを容易にするためである。
前記固定片61は、幅が広すぎると柔軟性に欠けて撓み難くなり、狭すぎると強度的に弱くなるため研磨時に破断し易くなる。したがって、固定片61の幅は強度と柔軟性を考慮して決められる。例えば、厚さ1mmのフェルトを使用した場合、幅は5〜15mm程度とすることが望ましい。5mm以下では耐久性が低下し、15mm以上であると柔軟性が低下し、バルーン部材25の変形に追随しずらくなる。固定片61の数としては、2つ以上で一定の間隔をおいて配置されることが望ましい。なお、固定片61の数が多すぎると、固定片61と後述する締付部材66との接触面積が大きくなり、固定片61にかかる締付部材66の圧力が分散して小さくなるため外れ易くなる。反対に少なすぎると研磨パッド10の研磨治具9に対する安定した固定が得られなくなる。したがって、固定片61の数としては3〜5つ程度であると、より望ましい。
このような研磨パッド10は、前記締付部材66によって前記研磨治具9に着脱自在に取付けられる。前記締付部材66は、図11に示すように適宜な太さの線ばね67を円形に折り曲げて端部を互いに交差させたもので、自然状態で前記外側固定具30の外径より小さい直径を有し、両端部67a,67bが外側にそれぞれ略直角に折り曲げられている。締付部材66のリング形状は、締付け時に各固定片61に均等に力が加わるように外側固定具30の外形に合わせて適宜設定する。なお、外側固定具30の外形が円形で、締付部材66の締付け時のリング形状が円形の場合は、向きを合わせる必要がないため望ましい。
前記研磨パッド10を研磨治具9に取付けるには、先ず圧縮空気の供給によってバルーン部材25のドーム部25Aを所定のドーム形状に膨張させた後、その上に研磨パッド10の研磨部60を載置する。次に、締付部材66の両端部67a,67bを指先で挟んでその間隔を狭めることにより締付部材66を拡径化し、この状態で締付部材66を研磨パッド10の固定片61に上方から押しつけてこれらの固定片61を下方に折り曲げ外側固定具30の外周に接触させる。そして、両端部67a,67bから指先を離すと、締付部材66は元の形状に復帰して固定片61を外側固定具30の外周に締付け固定し、もって研磨パッド10の取付けが終了する。したがって、接着剤を必要とせず、取付け取外し作業が簡単である。
このような構造からなる研磨装置1によるレンズ5の研磨は、以下の手順によって行われる。
先ず、アーム4のレンズ取付部6にレンズ5をレンズ保持体7を介して装着する。次に、揺動装置8の上面に研磨パッド10が取付けられた研磨治具9を設置し、昇降装置11によってレンズ5を下降させて凹面5bを研磨パッド10の表面に押し付ける。この状態で研磨剤を研磨パッド10の表面に供給するとともに、アーム4を左右および前後方向に往復運動させながら揺動装置8を首振り旋回運動させる。これらの運動により、研磨の軌跡が図12(a)または(b)に示すように1周毎に少しずつずれる無軌道研磨軌跡でレンズ5の凹面5bを前記研磨パッド10と研磨剤によって研磨し、所望のトーリック面に仕上げる。研磨代は5〜9μm程度である。研磨剤としては、例えば酸化アルミナ、ダイヤモンドパウダー等の研磨材(砥粒)を研磨液に分散させた溶液状のものが用いられる。
研磨に当たっては、カーブジェネレータによって切削されたレンズ5の凹面5bには、NC制御によるバックラッシュのための加工段差が切削痕に含まれているので、この段差を研磨によって除去する必要がある。段差を研磨によって取り除く場合、硬質のパッドとある程度の大きさの粒径の研磨材を使用することで好適な研磨力が得られるが、これのみでは研磨時の粒径が影響して研磨の表面粗さに限界がある。したがって、より精緻に鏡面仕上げして切削痕を取り除くには、研磨条件(研磨材の粒径、研磨時間)を変えて2回研磨することが好ましい。すなわち、一回目の研磨においては、研磨材の平均粒径が1.6〜1.8μmのものを用い、温度を8〜14℃に制御して荒研磨する。研磨時間は2〜6分、研磨圧は5〜400ミリバール、回転スピードは400〜1000rpmである。
次ぎに、二回目の研磨を行う。二回目の研磨においては研磨パッド10を新しいものに交換し、研磨材の平均粒径が0.8μm程度のものを用いて仕上げ研磨する。研磨時間は30秒〜1分程度、研磨圧は5〜400ミリバール、回転スピードは400〜1000rpmである。一回目と二回目の研磨材としては酸化アルミナが用いられる。
二回目の研磨が終了すると、目視による外観検査とレンズメータによる度数検査とジルコンランプの透過光によるレンズ内面の投影検査と非点収差の光学性能検査を行い、もってトーリックレンズの製造を終了する。
本発明に係る研磨治具9においては、バルーン部材25を弾性材料であるゴム材によって正面視形状が楕円形のカップ状に形成し、ドーム部25Aを流体圧によって膨張させ、その曲率半径をレンズ5の凹面5bの曲率半径に応じて調整するだけでよいので、レンズ5の凹面形状に対する自由度が高く、凹面5bの曲率毎に異なった研磨治具を用いる必要がなく、従来の金属製の治具に比べて研磨治具9の数を大幅に削減することができる。また、バルーン部材25のドーム部25Aを平面視楕円形に形成しているので、その長軸と短軸の長さを変更するためにドーム部25Aの流体圧による膨らみを抑制する格別な手段や部品を設ける必要がなく、研磨治具9自体の構造が上記した特開2000−117604号公報に記載された研磨治具に比べて簡単で部品点数が少なく取り扱いが容易で、小型軽量化を可能にする。
また、内側固定具29と外側固定具30は、バルーン部材25の内フランジ25Cを挟持して厚さ方向に圧縮しているため、この内フランジ25Cによってバルーン部材25の内部を気密に保持することができる。また、内フランジ25Cに設けた係止部28を内側固定具29に設けた環状の溝31aに係入させているので、研磨中であってもバルーン部材25が固定具26から外れるおそれがない。さらに、研磨治具9の組み立てに際しては、バルーン部材25を内側固定具29に嵌合して仮止めし、外側固定具30の凹陥部36に嵌挿し、複数個の止めねじ37によって内側固定具29と外側固定具30を締結するだけでよいので、研磨治具9の組み立て作業も容易である。
また、研磨パッド10は、発泡ポリウレタン、フェルト、不織布等の繊維性の布や合成樹脂等を材料とするシート材によって形成され、固定片61が線ばねからなる締付部材66によって研磨治具9の外周に着脱自在に固定されるので、研磨パッド10の研磨治具9への取付け取外し作業もきわめて簡単かつ容易である。さらに、締付部材66も線ばねによってリング状に形成され、小径化方向への復元力によって研磨パッド10の固定片61を締め付けて固定するものであるため、構造が簡単で容易にかつ安価に製作することができるとともに、幅を殆ど取らないため研磨の際に邪魔になることもない。
ここで、研磨時において研磨治具9をレンズ5の凹面5bに押し当てる圧力や、研磨治具9をレンズ5に対して相対的に動かすときの摩擦抵抗などによりバルーン部材25が変形するが、上記のような締付部材66によって研磨パッド10を研磨治具9に取付けておくと、バルーン部材25の変形に伴い固定片61が締付け部材66に対して若干引き出されたとしても、締付部材66から研磨パッド10が外れたりすることはない。また、研磨パッド10の固定片61は、花弁片63の外側端の幅より狭いため、バルーン部材25が変形した際、固定片61の方が撓んで花弁片63側の変形が小さくて済み、したがって、レンズ5の凹面5bの形状を変形させるような好ましくない力が加えられることもなく、良好に研磨することができる。
図13は本発明の他の実施の形態を示す断面図である。
この実施の形態は、バルーン部材25の筒部25Bの板厚Tをドーム部25Aおよび内フランジ25Cの板厚T1 ,T2 より厚く設定したものであり(T>T1 ,T2 )、その他の構造は上記した実施の形態と全く同一である。
このように筒部25Bを板厚がドーム部25Aの板厚より厚い構造においては、筒部25Bの板厚Tが厚く剛性が高くなるため形状保持力に優れており、ドーム部25Aを安定した状態で保持し、レンズ5との摺動摩擦による筒部25Bの変形や伸縮を軽減防止することができる。
図14は本発明のさらに他の実施の形態を示す断面図である。
この実施の形態は、バルーン部材25をドーム部25Aと、筒部25Bとで構成し、筒部25Bの背面側開口端部を内側に傾斜するテーパ状筒部25B-1とし、このテーパ状筒部25B-1の先端に内側に折り曲げられた環状の係止部70を一体に突設することで、図7に示した内フランジ25Cを省略している。また、内側固定具29と外側固定具30の対向壁を前記テーパ状筒部25B-1とそれぞれ同一角度からなるテーパ部71,72とし、これらのテーパ部71,72で前記テーパ状筒部25B-1を内側と外側から挟持し、前記係止部70を内側固定具29のテーパ部71に形成した環状の溝73に係入させることで、バルーン部材25の背面側開口部を気密に閉塞するようにしたものである。その他の構造は図7に示した実施の形態と同一である。
このような構造においても、図7に示した実施の形態と同様な効果が得られることは明らかであろう。
上記した実施の形態では、いずれもバルーン部材25の正面視形状を楕円形とすることで、乱視矯正用眼鏡レンズ5のトーリック面からなる凹面5bを研磨する例について説明したが、本発明はこれに何ら特定されるものではなく、被研磨面が球面、非球面、非トーリック面、自由曲面(例えば、累進多焦点レンズ)等の凹面や凸面さらには平面の研磨にも用いることが可能である。
また、バルーン部材25は正面視形状が楕円形のものに限らず研磨すべきレンズの種類に応じて円形にすることができる。なお、レンズ凹面が非球面、非トーリック面、自由曲面等の複雑な形状であっても上記実施の形態ではバルーン部材25は柔軟性を有しているため、予め所定の形状に膨らませたバルーン部材25にレンズ凹面を押し当てたときにレンズ凹面形状に追随するようにバルーン部材25が変形するため、研磨は可能である。
また、レンズの凸面の研磨に用いる場合もバルーン部材25は柔軟性を有しているため、レンズ凸面をバルーン部材に押し当てた時にレンズ凸面形状に追随するようにバルーン部材が変形する。なお、平面研磨も同様である。
また、上記実施の形態においては、バルーン部材25に供給される流体として空気を用いたが、これに限らず窒素等のガスや水等の液体を用いることも可能である。
また、上記実施の形態においては、バルブ27の一例として、ボール50と排気用ピン52を用いた例を示したが、これに限らず流体の供給、閉塞、排出ができるものであればどのような構造のものであってもよい。
本発明に係る研磨治具を用いた研磨装置の概略構成図である。 レンズにレンズ保持体を取付けた状態を示す断面図である。 レイアウトブロッカーでレンズにレンズ保持体を取付けるときの状態を示す断面図である。 研磨治具の平面図である。 研磨パッドが取付けられた同研磨治具の平面図である。 同研磨治具の底面図である。 図5のVII −VII 線断面図である。 研磨治具の高さと曲率半径の関係を示す図である。 バルブの断面図である。 研磨パッドの平面図である。 締付部材の斜視図である。 (a)、(b)はそれぞれ研磨装置の無軌道研磨軌跡を示す概念図である。 本発明の他の実施の形態を示す断面図である。 本発明のさらに他の実施の形態を示す断面図である。
符号の説明
1…研磨装置、2…装置本体、4…アーム、5…レンズ、5a…凸面、5b…凹面、6…レンズ保持部、7…レンズ保持体、8…揺動装置、9…研磨治具、10…研磨パッド、25…バルーン部材、25A…ドーム部、25B…筒部、25C…内フランジ、26…固定具、27…バルブ、28…係止部、29…内側固定具、30…外側固定具、31…環状溝、31a…溝、32…密閉空間、60…研磨部、61…固定片、62…溝、63…花弁片、66…締付部材、70…係止部、71,72…テーパ部、73…環状の溝。

Claims (2)

  1. 表面が扁平または凸曲面からなり内部に導入される流体圧によって所定のドーム状に変形される正面視形状が楕円形のドーム部と、このドーム部の外周より後方に向かって一体に延設された筒部とによって背面側が開放するカップ状に弾性材料によって形成され、表面側に研磨パッドが取付けられるバルーン部材と、
    前記筒部を保持し前記バルーン部材の背面側開口部を気密に閉塞する固定具と、
    前記固定具に設けられ前記バルーン部材の密閉空間に流体を導入するバルブとを備えた研磨治具を、前記ドーム部の長軸または短軸の寸法、または長軸と短軸の比率を変えて複数種類形成し、
    これら複数の研磨治具の中から選択した研磨治具を用いて眼鏡用プラスチックレンズの表面を研磨することを特徴する眼鏡レンズの研磨方法
  2. 請求項1記載の眼鏡レンズの研磨方法において、
    前記固定具は、前記バルーン部材の筒部を内側と外側から挟持する内側固定具および外側固定具とからなることを特徴とする眼鏡レンズの研磨方法
JP2008117766A 2002-01-09 2008-04-28 眼鏡レンズの研磨方法 Expired - Fee Related JP4681024B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008117766A JP4681024B2 (ja) 2002-01-09 2008-04-28 眼鏡レンズの研磨方法

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002002244 2002-01-09
JP2008117766A JP4681024B2 (ja) 2002-01-09 2008-04-28 眼鏡レンズの研磨方法

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002376496A Division JP2003266287A (ja) 2002-01-09 2002-12-26 研磨治具および研磨パッド

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008183714A JP2008183714A (ja) 2008-08-14
JP4681024B2 true JP4681024B2 (ja) 2011-05-11

Family

ID=39727066

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002376496A Pending JP2003266287A (ja) 2002-01-09 2002-12-26 研磨治具および研磨パッド
JP2008117766A Expired - Fee Related JP4681024B2 (ja) 2002-01-09 2008-04-28 眼鏡レンズの研磨方法

Family Applications Before (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002376496A Pending JP2003266287A (ja) 2002-01-09 2002-12-26 研磨治具および研磨パッド

Country Status (1)

Country Link
JP (2) JP2003266287A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2583789A2 (en) 2011-10-21 2013-04-24 Hoya Corporation Polishing tool for plastic lens, polishing method of plastic lens and method for manufacturing plastic lens

Families Citing this family (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005144621A (ja) * 2003-11-18 2005-06-09 Soc Europeenne De Systemes Optiques 仕上げ研磨方法
US7618306B2 (en) * 2005-09-22 2009-11-17 3M Innovative Properties Company Conformable abrasive articles and methods of making and using the same
JP5026987B2 (ja) 2005-12-22 2012-09-19 Hoya株式会社 眼鏡レンズのレンズ面切削加工装置、レンズ面切削加工方法および眼鏡レンズ
JP5232149B2 (ja) 2007-07-27 2013-07-10 Hoya株式会社 眼鏡レンズの製造方法
JP5567002B2 (ja) 2009-03-31 2014-08-06 Hoya株式会社 フォトクロミックレンズ製造システム、フォトクロミックレンズの製造プログラム、及び、フォトクロミックレンズの製造プログラムが記録された記録媒体
EP2416204A1 (en) 2009-03-31 2012-02-08 Hoya Corporation Photochromic lens manufacturing system, photochromic lens manufacturing device, photochromic lens manufacturing program, recording medium having photochromic lens manufacturing program recorded thereupon, and photochromic lens manufacturing method
JP2011173205A (ja) * 2010-02-24 2011-09-08 Hoya Corp 光学レンズの製造方法
JP5771831B2 (ja) * 2010-06-04 2015-09-02 東海光学株式会社 ブロックリングにおけるセミフィニッシュトブランク支持部の加工方法
JP5649907B2 (ja) * 2010-10-20 2015-01-07 東洋アルミエコープロダクツ株式会社 シート取付構造体
DE102012202534A1 (de) 2011-02-21 2012-11-15 Hoya Corporation Verfahren zur herstellung einer brillenglaslinse
CN113070804B (zh) * 2021-04-20 2022-08-05 重庆星源玻璃器皿有限责任公司 玻璃制品抛光装置
CN114536160B (zh) * 2022-02-25 2023-04-07 燕山大学 一种打磨半封闭型腔的装备

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS55164462A (en) * 1979-06-06 1980-12-22 American Optical Corp Head for polishing lens

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2583789A2 (en) 2011-10-21 2013-04-24 Hoya Corporation Polishing tool for plastic lens, polishing method of plastic lens and method for manufacturing plastic lens

Also Published As

Publication number Publication date
JP2003266287A (ja) 2003-09-24
JP2008183714A (ja) 2008-08-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4681024B2 (ja) 眼鏡レンズの研磨方法
US7144305B2 (en) Polishing apparatus
WO2003059573A1 (en) Polishing method and polishing device
US20070087670A1 (en) Polishing method
US6929534B2 (en) Polisher and polishing method
JP4084081B2 (ja) ヤトイ、レンズ保持方法およびこの保持方法を用いた眼鏡レンズの製造方法
JP4387708B2 (ja) プラスチック製眼鏡レンズの研磨方法および製造方法
JP4199723B2 (ja) 光学レンズの研磨方法
JP4550907B2 (ja) レンズ保持方法および眼鏡レンズの製造方法
JP2002263998A (ja) ポリシャ及び研磨方法
WO2010110271A1 (ja) レンズの製造方法及びレンズ保持具
JP2001353650A (ja) ポリッシャーとこれを用いた光学部品の研磨方法および研磨装置
JP2005224904A (ja) 研磨治具及び研磨装置
JP5466968B2 (ja) 光学レンズの製造方法
JP4186809B2 (ja) 光学レンズの研磨方法
JP2011173205A (ja) 光学レンズの製造方法
JP2003300144A (ja) 研磨治具用曲率設定方法および研磨治具用曲率設定装置
JP2004351574A (ja) 精密研磨工具及び精密研磨方法
JPH1170453A (ja) 研磨工具
JP2012213822A (ja) 眼鏡レンズの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100624

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100629

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100813

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110201

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110203

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4681024

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140210

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees