JP4678353B2 - ハイブリッド式作業機械 - Google Patents

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Description

本発明はエンジン動力と電力を併用するハイブリッド式作業機械に関するものである。
ハイブリッド式作業機械(たとえばショベル)は、エンジン動力と電力の使い方によってパラレル方式とシリーズ方式とに分かれる。
シリーズ方式では、エンジンで発電機を駆動し、この発電機の発電電力で蓄電装置(以下、二次電池であるバッテリの場合で説明する)に充電するとともに、発電機とバッテリとによって旋回電動機等の電気系負荷を駆動する。
一方、パラレル方式では、特許文献1に示されているように、エンジンによって油圧ポンプを含む機械系負荷と、発電機作用と電動機作用を行う動力機(発電電動機を用いる場合と、別個独立した発電機と電動機を併用する場合がある)とをパラレルに駆動する。
また、動力機の発電機作用によってバッテリに充電し、発電電力とバッテリ電力とによって電気系負荷を駆動するとともに、適宜、バッテリ電力で動力機を駆動して電動機作用を行わせ、エンジンをアシストする。
このシリーズ、パラレルいずれの方式においても、電気系負荷が重いときには、発電機電力とバッテリ電力とで負荷を駆動し、負荷が軽いときに発電機電力でバッテリに充電する。また、このバッテリの充電量が一定範囲に保たれるように充放電作用が制御される。
特開2005−237178号公報
そこで、電気系負荷の大きさを検出する負荷検出手段が設けられているが、この検出手段そのものの検出精度や機器損失の影響によって検出誤差が生じ、この検出誤差によってバッテリの充放電制御が正しく行われなくなる。
たとえば検出値が実際の負荷よりも小さい過小検出の場合、バッテリが充電中であれば充電量が狙い値(検出誤差がないときの充電量)よりも減り、放電中であれば放電量が狙い値よりも減る。
逆に、検出値が実際の負荷よりも大きい過大検出の場合、バッテリが充電中であれば充電量が狙い値よりも増え、放電中であれば放電量が狙い値よりも減る。
こうなると、バッテリが過充電または過放電となる可能性があり、バッテリ電圧の異常上昇または異常低下となってバッテリの劣化を招くおそれがある。
また、エンジン動力とバッテリ電力の和によってシステム全体の最大動力が決まるパラレル方式では、特許文献1に示されているようにバッテリ電力(充電量)に応じて電気系負荷に対するエンジンとバッテリのパワー配分を決めるため、上記検出誤差の悪影響としてバッテリ劣化に加えて、パワー配分が狙い通りに行えなくなることでシステム効率が悪化するという問題が生じる。
そこで本発明は、電気系負荷の検出誤差によるバッテリの劣化やパラレル方式におけるシステム効率の悪化を防止することができるハイブリッド式作業機械を提供するものである。
請求項1の発明は、エンジンで発電機を駆動し、この発電機の発電力で蓄電装置に充電するとともに、発電機と蓄電装置とによって電動機等の電気系負荷を駆動するように構成されたハイブリッド式作業機械において、上記蓄電装置の電圧である蓄電電圧を検出する蓄電電圧検出手段と、上記電気系負荷の大きさを検出する負荷検出手段と、制御手段とを具備し、この制御手段は、
(A) 上記蓄電電圧の上限値及び下限値を設定し、
(B) 蓄電電圧の検出値が上記上限値を超える場合に、上記負荷検出手段による電気系負荷の検出値を下げる方向の補正を加え、
(C) 上記蓄電電圧が上記下限値を下回る場合に、上記負荷検出手段による電気系負荷の検出値を上げる方向の補正を加える
ように構成されたものである。
請求項2の発明は、油圧ポンプを含む機械系負荷と、発電機作用及び電動機作用を行う動力機とをエンジンにパラレルに接続し、上記動力機の発電機作用によって蓄電装置に充電するとともに、動力機の発電機作用とこの蓄電装置の放電力とによって電動機等の電気系負荷を駆動し、かつ、蓄電装置の放電力により動力機に電動機作用を行わせてエンジンをアシストするように構成されたハイブリッド式作業機械において、上記蓄電装置の電圧である蓄電電圧を検出する蓄電電圧検出手段と、上記電気系負荷の大きさを検出する負荷検出手段と、制御手段とを具備し、この制御手段は、
(A) 上記蓄電電圧の上限値及び下限値を設定し、
(B) 蓄電電圧の検出値が上記上限値を超える場合に、上記負荷検出手段による電気系負荷の検出値を下げる方向の補正を加え、
(C) 上記蓄電電圧が上記下限値を下回る場合に、上記負荷検出手段による電気系負荷の検出値を上げる方向の補正を加える
ように構成されたものである。
請求項3の発明は、請求項1または2の構成において、制御手段は、蓄電電圧の検出値をVs、蓄電電圧の上限値をVu、同下限値をVdをとして、上記蓄電電圧の検出値が上記上限値を超える場合に、
電気系負荷=電気系負荷の検出値−定数K1×(Vs−Vu)
の補正を加え、蓄電電圧の検出値が上記下限値を下回る場合に、
電気系負荷=電気系負荷の検出値+定数K2×(Vd−Vs)
の補正を加えるように構成されたものである。
本発明によると、蓄電電圧の上限値と下限値を設定し、蓄電電圧がこの上限値または下限値を超える場合に、電気系負荷の検出値が誤差を含んでいるものとして補正を加えるため、誤差を抑えた正しい電気系負荷に基づいて適正な充放電制御を確保し、これによってバッテリの劣化や、パラレル方式(請求項2)におけるシステム効率の悪化を防止することができる。
この場合、請求項3では、上限値または下限値を超える部分に定数を掛けた値を検出値から減算し、または検出値に加算するという手法によって検出値を補正するため、補正処理が簡単ですむ。また、この処理によって、十分、検出誤差による蓄電装置の充電状態やシステム効率に悪影響を与えないようにすることができる。
実施形態ではパラレル方式をとるハイブリッド式ショベルを適用対象として例示している。
図1に示すように、エンジン1にパワーデバイダ2を介して機械系負荷としての油圧ポンプ3と、1台で発電機作用と電動機作用を行なう動力機としての発電電動機4とがパラレルに接続され、これらがエンジン1によって駆動される。
油圧ポンプ3には、制御弁(アクチュエータごとに設けられているが、ここでは複数の制御弁の集合体として示す)5を介して図示しない油圧アクチュエータ(たとえばショベルでいうとブーム、アーム、バケット各シリンダや走行用油圧モータ等)が接続され、油圧ポンプ3から供給される圧油によってこれら油圧アクチュエータが駆動される。なお、図1では油圧ポンプ3が一台のみ接続された場合を示しているが、複数台が直列または並列に接続される場合もある。
一方、発電電動機4には、発電コンバータ6を介して蓄電装置としてのバッテリ7が接続され、発電機作用による発電電力によってバッテリ7が充電されるとともに、発電電動機4とバッテリ7とによって旋回電動機8、作業灯等の補機類の電源となる補機バッテリ9その他の電気系負荷が駆動される。
なお、旋回電動機8及び補機バッテリ9はそれぞれ制御器としての旋回インバータ10、補機バッテリコンバータ11を介してそれぞれバッテリ7及び発電コンバータ6に接続されている。
発電コンバータ6は、制御手段としてのコントローラ12からの指令に基づいて発電電動機4の発電機作用と電動機作用の切換えや、発電機または電動機としてのトルクの制御、それにバッテリ7の充電量を一定範囲に保つためのバッテリ7の充放電制御等を行う。
コントローラ12には、電圧計(蓄電電圧検出手段)13によって検出されるバッテリ電圧Vsと、電気系負荷検出手段を構成する電流計14によって検出される負荷電流I、それにバッテリ充電量(SOC=State of Charge)の各情報が入力される。
このコントローラ12の構成内容を図2に詳しく示す。
コントローラ12には、バッテリ電圧Vsと負荷電流Iから(Vs×I)によって電気系負荷(検出値)を演算する電気系負荷演算手段15と、ここで求められた電気系負荷の検出値に誤差がある場合にバッテリ電圧(検出値)Vsと設定された上、下限値を用いて補正を加える補正手段16と、バッテリ充電量(SOC)からバッテリ7のパワー(充電要求パワー及び放電要求パワー)を設定するバッテリパワー設定手段17と、バッテリ充電量に応じてエンジン1のパワーを設定するエンジンパワー設定手段18と、パワー配分手段19とが設けられている。
バッテリパワー設定手段17は、たとえば予めバッテリ充電量に対して充電要求パワー及び放電要求パワーをテーブル化しておき、バッテリ充電量に対応する数値を選択して設定する。
エンジンパワー設定手段18は、たとえば予めバッテリ充電量に対するエンジンパワーの関係(充電量が低いほどエンジンパワーを高くする)をテーブル化しておき、バッテリ充電量に対応するエンジンパワーを選択・設定する。
補正手段16は、入力されるバッテリ電圧の検出値Vsが、予め設定されたバッテリ電圧の上限値Vuまたは下限値Vdを超える場合に、電気系負荷演算手段15から入力される電気系負荷の検出値が誤差を含んでいるものとしてこれに補正を加え、この補正後の電気系負荷をパワー配分手段19に送る。
この補正に関する制御フローを図3に示す。
まず、ステップS1でバッテリ電圧上限値Vuと下限値Vdが設定されるとともに、ステップS2で電気系負荷が検出(演算)される。
ステップS3ではバッテリ電圧検出値Vsと上限値Vuとが比較され、YES(Vs>Vu)の場合に、ステップS4で、
電気系負荷=電気系負荷の検出値−定数K1×(Vs−Vu)
の補正、すなわち電気系負荷の検出値を下げる方向の補正を加える。
また、ステップS5でバッテリ電圧検出値Vsと下限値Vdが比較され、YES(Vs<Vd)の場合に、ステップS6で、
電気系負荷=電気系負荷の検出値+定数K2×(Vd−Vs)
の補正、すなわち電気系負荷の検出値を上げる方向の補正を加え、この補正後の電気系負荷をパワー配分手段19に向けて出力する(ステップS7)。
なお、バッテリ電圧検出値Vsが上限値Vuを超える場合と下限値Vdを下回る場合とでバッテリ充電状態に対するバッテリ電圧の変化率が異なる場合には定数K1,K2を異ならせ、変化率が異ならない場合は定数K1,K2を同じとする。
また、ステップS3でNO(Vs≦Vu)の場合はそのままステップS5に移行し、ステップS5でNO(Vs≧Vd)の場合はそのままステップS7に移行する。従って、両ステップS3,S5でNOであれば電気系負荷の検出値がそのまま正しい電気系負荷としてパワー配分手段19に向けて出力される。
この補正制御を行うことにより、図4に示すようにバッテリ充電電流(図4上段)、発電機トルク指令値(同中段)、バッテリ電圧(同下段)について、電気系負荷の検出誤差による悪影響を排除し、それぞれ電気系負荷の実際値に合った適正値(バッテリ充電電流については本来の制御目標値)に保つことができる。
パワー配分手段19は、バッテリパワー設定手段17で設定されたバッテリ充電/放電要求パワー、エンジンパワー設定手段18で設定されたエンジンパワー、それに補正手段16からの電気系負荷(補正値または検出値)とに基づいて電気系負荷に対するエンジンパワー(発電電動機4の発電機パワー)とバッテリパワーの配分を決め、この配分に応じて発電電動機4に対する発電機トルク指令を発電コンバータ6に出力する。これにより、発電電動機4が上記指令通りの出力トルクとなるように制御される。
なお、特許文献1に記載されているように、実際には、油圧ポンプ3を含む機械系負荷に対するエンジンパワーとバッテリパワー(発電電動機4の電動機パワー)の配分も行われるが、本発明は電気系負荷の検出誤差のみを問題としているため、ここでは機械系負荷に対するパワー配分のための構成と作用の説明を省略する。
このようなパワー配分制御を行うことにより、バッテリ7の充電量を一定範囲、つまりバッテリ能力を有効利用でき、かつ、過充電、過放電を防止し得る範囲に保つことができる。
この場合、バッテリ電圧の検出値Vsが上限値Vuまたは下限値Vdを超える場合に、電気系負荷の検出値が誤差を含んでいるものとして補正を加えるため、誤差を抑えた正しい電気系負荷を割り出し、これに基づいて適正な充放電作用を確保することができる。これにより、バッテリ7の劣化や、この実施形態で挙げたパラレル方式におけるシステム効率の悪化を防止することができる。
また、バッテリ電圧検出値Vsのうち上限値Vuまたは下限値Vdを超える部分に定数K1,K2を掛けた値を電気系負荷の検出値から減算し、または同検出値に加算するという手法によって補正するため、補正処理が簡単ですむ。また、この処理によって、十分、検出誤差によるバッテリ7の充電状態やシステム効率に悪影響を与えないレベルに抑えることができる。
ところで、蓄電装置として二次電池であるバッテリに代えてキャパシタ(電気二重層コンデンサ)を用いてもよい。この場合でも、上記実施形態と同様の補正処理を加えることによって同様の作用効果を得ることができる。
また、シリーズ方式においても、電気系負荷の大きさによって蓄電装置の充放電作用が左右され、電気系負荷の検出値に誤差があると蓄電装置の劣化を招くという問題がある点でパラレル方式と同じであるため、本発明はシリーズ方式をとる作業機械にも適用することができる。
本発明の実施形態を示すシステム構成図である。 図1のコントローラの構成を示すブロック図である。 コントローラによる補正作用を説明するためのフローチャートである。 補正の成果としてのバッテリ充電電流、発電機トルク指令値、バッテリ電圧の変化状況を示す図である。
符号の説明
1 エンジン
3 油圧ポンプ
4 発電電動機(動力機)
6 発電コンバータ
7 バッテリ(蓄電装置)
8 電気系負荷としての旋回電動機
9 同補機バッテリ
10 旋回インバータ
11 補機バッテリコンバータ
12 制御手段としてのコントローラ
13 バッテリ電圧検出手段と負荷検出手段を兼ねる電圧計
14 負荷検出手段を構成する電流計
15 負荷検出手段を構成するコントローラの電気系負荷演算手段
16 コントローラの補正手段
17 バッテリパワー設定手段
18 エンジンパワー設定手段
19 パワー配分手段
Vs バッテリ電圧(検出値)
Vu バッテリ電圧上限値
Vd バッテリ電圧下限値

Claims (3)

  1. エンジンで発電機を駆動し、この発電機の発電力で蓄電装置に充電するとともに、発電機と蓄電装置とによって電動機等の電気系負荷を駆動するように構成されたハイブリッド式作業機械において、上記蓄電装置の電圧である蓄電電圧を検出する蓄電電圧検出手段と、上記電気系負荷の大きさを検出する負荷検出手段と、制御手段とを具備し、この制御手段は、
    (A) 上記蓄電電圧の上限値及び下限値を設定し、
    (B) 蓄電電圧の検出値が上記上限値を超える場合に、上記負荷検出手段による電気系負荷の検出値を下げる方向の補正を加え、
    (C) 上記蓄電電圧が上記下限値を下回る場合に、上記負荷検出手段による電気系負荷の検出値を上げる方向の補正を加える
    ように構成されたことを特徴とするハイブリッド式作業機械。
  2. 油圧ポンプを含む機械系負荷と、発電機作用及び電動機作用を行う動力機とをエンジンにパラレルに接続し、上記動力機の発電機作用によって蓄電装置に充電するとともに、動力機の発電機作用とこの蓄電装置の放電力とによって電動機等の電気系負荷を駆動し、かつ、蓄電装置の放電力により動力機に電動機作用を行わせてエンジンをアシストするように構成されたハイブリッド式作業機械において、上記蓄電装置の電圧である蓄電電圧を検出する蓄電電圧検出手段と、上記電気系負荷の大きさを検出する負荷検出手段と、制御手段とを具備し、この制御手段は、
    (A) 上記蓄電電圧の上限値及び下限値を設定し、
    (B) 蓄電電圧の検出値が上記上限値を超える場合に、上記負荷検出手段による電気系負荷の検出値を下げる方向の補正を加え、
    (C) 上記蓄電電圧が上記下限値を下回る場合に、上記負荷検出手段による電気系負荷の検出値を上げる方向の補正を加える
    ように構成されたことを特徴とするハイブリッド式作業機械。
  3. 制御手段は、蓄電電圧の検出値をVs、蓄電電圧の上限値をVu、同下限値をVdをとして、上記蓄電電圧の検出値が上記上限値を超える場合に、
    電気系負荷=電気系負荷の検出値−定数K1×(Vs−Vu)
    の補正を加え、蓄電電圧の検出値が上記下限値を下回る場合に、
    電気系負荷=電気系負荷の検出値+定数K2×(Vd−Vs)
    の補正を加えるように構成されたことを特徴とする請求項1または2記載のハイブリッド式作業機械。
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