JP4676811B2 - 推定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電動車の歯車装置の騒音を推定する推定方法に関する。
鉄道車両の走行に伴う騒音は、沿線や乗客に与える影響が大きい。このため、騒音レベルは鉄道車両の重要な設計条件の1つであり、住宅密集地を通過する路線において、騒音レベルが一定値以下となるように走行速度を規制した運転が行われている区間もある。
また実際の運転走行がなされる前には、走行試験において鉄道車両全体の騒音が測定され、JIS(日本工業規格)で規定された主電動機単体の騒音を測定するための定置試験も行われている。
なお、振動の大きさが騒音の大きさと一定の関係にあることに基づいて、振動の大きさを検出することで、車両のデファレンシャルギアの音を判定する技術が知られている(特許文献1参照)が、車両のデファレンシャルギアに着目した技術である。
特開平8−136407号公報
しかしながら、鉄道車両全体の騒音は、複数の要因によって生じる。このため、個々の要因となっている音源それぞれを調査・峻別し、最も大きいものから優先的に対策を施したり、騒音に対する音源の寄与率に応じて対策を施す方法が望まれる。そこで、何よりも先ず、騒音の要因となっている音源それぞれの実態を明らかにすることが望まれる。
ところが、鉄道車両の床下騒音に着目したとしても、主電動機の騒音の他、転動騒音(車輪がレ−ル上を走行する際に生じる騒音)や歯車装置の騒音といった複数の音源がある。従って、主電動機単体の騒音を得るだけでは、他の音源の寄与率を正確に把握することができない。
また、主電動機の定置試験は、無負荷状態の騒音を測定するものであり、走行時の負荷がかかった状態での主電動機の騒音を測定するものではない。即ち、定置試験は実際の主電動機の動作環境と異なる状況で測定を行うものであり、実際の走行中における電動機の騒音を知る上では、無負荷状態における測定結果は余り役に立たなかった。
このように鉄道車両走行時の騒音の要因となっている音源それぞれの実態を明らかにすることは困難であるが、各音源それぞれの実態を1つ1つ明らかにしていかないことには、効果的な騒音低減の対策を施すことができない。
そこで、鉄道車両走行時の騒音として、床下騒音に着目し、中でも騒音の実態が把握し難かった歯車装置の騒音を容易且つ正確に推定することを目的として本発明をなした。
上記課題を解決するために、第1の発明は、
電動車の床下台車近傍騒音の実測値αと、付随車の床下台車近傍騒音の実測値βと、前記電動車の主電動機の定置試験における騒音の実測値γとに基づいて前記電動車の歯車装置の騒音を推定する推定方法であって、
前記主電動機に対し定置試験において回転数を同一に保ちつつ印加電圧を変化させて負荷を掛けた状態を模擬して騒音の音圧レベルを計測した場合に、前記音圧レベルが略一定となる回転数以上を空力音が支配的となる高速域として求めるステップと、
前記空力音が支配的となる高速域において、前記実測値αとβとの差から前記電動車の駆動系騒音を求め、求めた前記駆動系騒音と前記実測値γとの差から前記高速域における前記歯車装置の騒音を推定するステップと、
を含むことを特徴とする推定方法である。
ここでいう空力音が支配的になる高速域とは、主電動機の騒音に含まれる空力音が、主電動機自身に起因する電磁音に対して一定以上の割合を占めることとなる主電動機の回転領域又は当該主電動機により駆動される電動車の速度領域をいう。
また、実装値αとβとの差異から前記M車の駆動系騒音を求め、求めた駆動系騒音と実測値γとの差から当該高速域における歯車装置の騒音を推定する方法は、概念として下記演算式(1)のように端的に示すことができる。
歯車装置の騒音推定値=(α―β)−γ・・・(1)
一方、演算式(1)は、下記演算式(2),(3)と実質的に等価である。
α―(β+γ)・・・(2)
(α―γ)−β・・・(3)
従って、上述した第1の発明の推定方法を、演算式(2),(3)のような等価な方法に置き換えて歯車装置の騒音を推定する方法は、第1の発明の概念・思想に含まれるものであり、少なくとも均等である。
第1の発明によれば、主電動機の騒音として空力音が支配的となる高速域において、実測値αとβとの差から前記電動車の駆動系騒音を求め、求めた駆動系騒音と実測値γとの差から当該高速域における歯車装置の騒音を推定することができる。従って、実測では測定が困難な歯車装置単体の騒音を容易に推定することができる。また、空力音が支配的となる高速域における主電動機の定置試験の実測値γに基づいて、当該歯車装置の騒音を推定することにより、精度の高い推定値を求めることができる。
第2の発明は、第1の発明の推定方法であって、
前記実測値αの測定位置条件と前記実測値γの測定位置条件との位置条件の差異に基づいて前記実測値γを補正した上で、前記求めた駆動系騒音と当該補正済みの実測値γとの差から前記高速域における前記歯車装置の騒音を推定する推定方法である。
第2の発明によれば、実測値αと、実測値γとの測定条件が異なる場合であっても、当該測定条件の差異に基づいて実測値γを補正した上で歯車装置の騒音を推定することができるため、正確な推定値を求めることができる。また、一方の測定条件に拘束されないため、電動車及び付随車の走行試験や主電動機の定置試験を容易に行うことができる。
本発明によれば、歯車装置の騒音を容易かつ正確に算出することができる。これにより、鉄道車両の騒音に対する音源の実態を明らかにすることができ、各音源に応じた有効な騒音対策を講じる端緒とすることができる。
以下、図1〜図8を参照して本発明を実施するための最良の形態を説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
1.歯車装置の速度乗則
一般に、音は速度依存性を持っている。つまり、鉄道車両の騒音であれば、鉄道車両の速度のベキ乗に従うとされ、ベキ乗の指数は音源の性質に依存することが知られている。そこで、走行試験の実測値から歯車装置の速度乗則を騒音特性として求めることを試みた。
まず、走行試験において、車両床下の歯車装置上方近傍位置に測定点を設けて騒音測定を行うことにより、歯車装置近傍の騒音を実測値として求める。しかし、歯車装置は主電動機の近傍に載置される装置であり、歯車装置上方付近を測定点とした実測値が、歯車装置単体の騒音を正確に示しているかどうかは明らかではない。そこで、歯車装置の歯車の噛み合い周波数に一致するピークに着目して、得られた実測値のスペクトル分析を行った。
図1(a)は、等速力行走行時の歯車装置上部近傍騒音の1/3オクターブバンドの解析結果を示すグラフである。図1(a)において、90km/h等速力行走行時周波数のスペクトル(図中、○で示すスペクトル)には、800Hzの周波数バンドにピークが確認できる。このピークは、計算値から求められる歯車噛み合い周波数(907Hz)に一致しており、歯車からの直接騒音と考えられる。また、130km/h等速力行走行時周波数のスペクトル(図中、△で示すスペクトル)には、1.25kHzの周波数バンドにピークが確認できる。このピークは、計算値から求められる歯車噛み合い周波数(1.3kHz)に一致しており、歯車からの直接騒音と考えられる。
そこで、90km/h及び130km/hの等速力行走行時における歯車からの直接騒音を示す騒音レベルから、歯車装置単体の速度乗則を算出した。図1(b)にその結果を示す。図1(b)に示すように、800Hzの周波数バンドにおけるピークの騒音レベルと、1.25kHzの周波数バンドにおけるピークの騒音レベルとの差は、8.15dBである。これらを下記式(4)に代入して、n乗則が得られる。
8.15=n×log(130/90)・・・(4)
上記式(4)から実測値に基づく歯車装置の騒音特性が5乗則として得られた。図1(b)に、5乗則における騒音レベルの理論値「7.98」を示すが、実測値「8.15」と略一致している。以上のことから歯車装置単体の騒音は、鉄道車両の速度の5乗則に従うことがわかった。
2.走行試験時の騒音測定
次に、電動車(駆動装置を搭載した鉄道車両;以下、「M車」と呼ぶ)及び付随車(駆動装置を搭載しない鉄道車両;以下、「T車」と呼ぶ)の走行試験を行い、駆動系騒音(主電動機や歯車装置等の駆動装置から生じる騒音)と転動騒音(車輪がレール上を走行する際に生じる騒音)を求めることを試みた。
ここで、鉄道車両走行時の床下騒音の主なものとして、転動騒音と駆動系騒音とがある。転動騒音は、T車の床下台車近傍騒音を実測することで求められ、駆動系騒音は、M車の床下台車近傍騒音の実測値と転動騒音(即ち、T車の床下台車近傍騒音の実測値)との差分として求められる。そこで、M車、T車の走行試験を行い、各車両の床下台車近傍騒音を実測した。
図2を参照して、走行試験の測定条件について説明する。図2(a)は、M車に搭載された主電動機1の上面図であり、同図(b)は、主電動機1を前方から見た側面図であり、図中のXは、床下台車近傍騒音を測定するためのマイクロホンの概ねの設置位置を示している。なお、同図(b)にM車の床位置を示し他の各部については省略している。図2に示すように、位置Xは、概ね、主電動機1の上方約0.5m離れた位置に設置され、M車の床下に固定されている。また、T車の測定条件としては、M車のマイクロホン設置位置Xに対応するT車の床下位置にマイクロホンを設置した。また、この測定で用いた主電動機には、側面の出力軸側に、周方向に沿って開口された排気口1aが左右に有り、排気口1aの反対側の主電動機上部に吸気ダクト1bが有る。
次に、床下台車近傍騒音の実測値に基づき、駆動系騒音を求める方法について説明する。図3(a)は、走行試験により得られたM車及びT車のデータを説明する図である。図3(a)に示すように、M車の床下台車近傍騒音の実測値は、床下騒音全体、即ち、駆動系騒音と転動騒音のパワー和であり、T車の床下台車近傍騒音の実測値は、転動騒音である。従って、図3(b)に示すように、床下騒音全体(M車走行試験の実測値)と転動騒音(T車走行試験の実測値)との差分から駆動系騒音が演算値として求められる。
4.主電動機1の騒音測定原理
得られた駆動系騒音は、主電動機1の騒音と、歯車装置の騒音とを主に含んだ騒音である。従って、求められた駆動系騒音を、更に主電動機1の騒音と歯車装置の騒音とに分離する必要がある。そこで、定置試験で主電動機1の騒音測定を行うことにより、主電動機1の騒音を実測値として求めることを試みた。
ところで、既述のように、主電動機1の定置試験は、実際の電動機の動作環境と異なる状況で騒音を測定するものであるため、走行時の騒音状況を知る上では余り役に立たないと考えられていた。即ち、実際に鉄道車両に搭載される主電動機1は、出力軸に継ぎ手や車軸が接続され、主電動機1には機械的負荷が加わるため、電磁的な加振力が発生している。しかし、定置試験では、これらの負荷がかからない無負荷状態での測定であるため、測定された騒音の中には機械的負荷による電磁音が含まれず、その分精度が劣る値となっていた。しかしながら、一定の回転速度を保ちつつ、端子電圧として異なる電圧が印加された駆動状態で主電動機1の騒音をそれぞれ測定することにより、定置試験で測定される主電動機1の騒音が、一定の高速域においては、走行時における主電動機1単体の騒音として見なせることを見出した。
4−1.測定条件
まず、定置試験における測定条件について説明する。図4は、主電動機1の騒音測定における騒音測定位置を説明するための図である。図4(a)は、主電動機1の平面図、図4(b)は、主電動機1を前方から見た側面図である。図中の位置A、B、C、D及びEは、主電動機1の騒音を測定するために設置するマイクロホンの位置を示す。また、図4(a)中に示すように、紙面左側を主電動機1の前方、右側を主電動機1の後方、上側を主電動機1の右側方、下側を主電動機1の左側方として以下説明する。また、図1(b)中に示すように、紙面左側を主電動機1の右側方、上側を主電動機1の上方、右側を主電動機1の左側方として以下説明する。なお、図中の位置Xは、比較のために、図2に示した走行試験におけるマイクロホンの設置位置を示すものである。
位置A、B、C及びDは、主電動機1の軸中心線を含む水平面上にあり、位置Aは主電動機1本体の前方端部(軸を含まず)から1m離れた位置、位置Bは主電動機1本体の右側方端部から1m離れた位置である。位置Cは主電動機1本体の後方端部から1m離れた位置、位置Dは主電動機1本体の左側方端部から1m離れた位置である。位置Eは主電動機1本体の上方端部から鉛直方向に1m離れた位置である。このように合計5点の位置において騒音測定を行った。
4−2.測定原理
次に、主電動機騒音測定方法について説明する。主電動機1は、誘導電動機を用いた。主電動機1の定格回転数は2555回毎分であり、その前後の回転速度である1800回毎分及び2940回毎分について騒音測定を行った。また、主電動機1の電源はインバータ電源を用い、主電動機1を1800回毎分で回転させるときはインバータ電源のパルス出力パターンを多パルスモード、2940回毎分で回転させるときは1パルスモードとして電圧供給を行った。更に、インバータ電源に使われるPWM制御のデューティ比は一定とし、主電動機1に対する印加電圧のみを変化させた。
図5(a)は、主電動機1の回転速度を1800回毎分及び2940回毎分としたときのそれぞれの端子電圧と端子電流との関係を示したグラフである。ここで、端子電流とは固定子電流のことである。図5(a)において、何れの回転速度においても、端子電圧が増加すると端子電流が増加することを示している。端子電流が大きいことは、筐体を加振する磁束の大きさが大きいことを表している。端子電圧の増加に対する端子電流の増加の程度は、低回転速度である1800回毎分の方が大きい。即ち、端子電圧を増加することに対する電磁加振力の増加分は、低回転速度の方が大きいと言える。
また、一定の回転速度を保ちつつ、端子電圧として異なる電圧が印加された各駆動状態は、筐体を加振する磁束の大きさを変化させるため、電動機が異なる負荷運動をしている状態に発生する電磁加振力を作り出すことができると言える。即ち、負荷機が接続された状態の電磁加振力を模擬することができる。上述した騒音測定方法の原理によれば、測定端子電圧を変化させて騒音測定したが、測定端子電圧の変化は、負荷による磁束の大きさを変えていることに等しい。従って、本実施形態の騒音測定方法は負荷機を接続せずに主電動機1に電磁加振力を与え、実際の動作環境に近い状況での主電動機1の騒音を測定できるため、負荷機の必要がなく、主電動機1単体の騒音を測定する方法として有効である。
4−3.測定結果
次に、測定結果について説明する。図5(b)は、主電動機1の端子電圧と、主電動機1から発生する騒音の音圧レベルとの関係を示したグラフである。主電動機1を1800回毎分、2940回毎分のそれぞれの回転速度で駆動した時の位置Aと位置Bの音圧レベルについてグラフ化した。尚、位置Aは電動機の出力軸側、即ち負荷機を接続する側の測定位置(以下「負荷側」とする)である。そして、電動機の左右側方、後方及び上方の測定位置(以下、単に「側面側」とする)の代表として位置Bの音圧レベルを示す。
図5(b)に示すように、回転速度1800回毎分では、端子電圧の増加とともに音圧レベルが増加した。また、端子電圧の増加に対して、負荷側である位置Aよりも固定子側である側面側の位置Bの方が、音圧レベルが大きくなる傾向を示した。位置Bでは、端子電圧を増やすほど固定子コイルが加振されて円筒状の筐体表面からの電磁加振による音が放射されるので騒音が大きく、位置Aでは、出力軸側の筐体は、殆ど加振されないので端子電圧を増しても大きな騒音は発生しないと考えられる。
また、1800回毎分は鉄道車両の低い速度域に相当するため、鉄道車両の速度が低いときの騒音が一時的に大きくなる傾向と一致している。
更に、1800回毎分という低回転速度での駆動時は、回転子の回転速度も小さいため、回転子周りで発生する空力音が排気口1aから出力される量は小さい。従って、電動機を1800回毎分で駆動させた時に発生する騒音は電磁音によるものが大きな割合を占めると言える。
一方、図5(a)に示すように、同じ端子電圧を印加しても2940回毎分の方が1800回毎分より端子電流が小さい。すなわち、電圧を増やすほど電磁加振力は大きくなるが、その割合は1800回毎分より小さい。
また、2940回毎分の高速回転時では、回転子の回転速度が上がり、回転子周りから、より多くの風切り音等が発生するため、主電動機1からは大きな空力音が発生する。位置A,B共に排気口1aからの空力音の影響を強く受ける。そして、この風切り音等は、排気口1aから出力されるため、側面側(位置B)より負荷側(位置A)の方が大きくなる。この結果、電圧を上げて電磁加振力を増しても円筒状の筐体表面からの電磁加振による音の放射は、空力音よりも小さいのでマスキングされてしまい変化となって現れない。尚、位置A,B共に空力音が大きいが、排気口1aにより近い位置Aの方がやや大きな騒音レベルを示している。
以上のことから、一定の高速域(例えば、2940回毎分以上)においては、主電動機1から発生する騒音は、空力音による騒音の占める割合が大きく、電磁音による騒音はほとんど無視できる。つまり、主電動機1自身による電磁音が無視できる程度であるならば、機械的負荷により発生する電磁音も無視できる程度に小さいと考えられる。従って、高速域においては、定置試験における主電動機騒音の実測値を、実際の走行時における主電動機1の騒音と見なすことができる。
なお、高速域を主電動機1の回転速度から定まる如く説明したが、主電動機1の回転速度は鉄道車両の速度と等価と考えられるため、走行速度から高速域を定めることとしても良い。
5.歯車装置の騒音推定値の算出原理
以上より得られた駆動系騒音と、主電動機1の騒音とに基づいて、歯車装置の騒音推定値を算出する方法について説明する。図6(a)に示すように、駆動系騒音は、主電動機1の騒音と、歯車装置の騒音とを主に含む騒音である。従って、上記3で得られた駆動系騒音と、上記4で得られた主電動機1の騒音の差分から、歯車装置単体の騒音を推定することができる。
ここで、駆動系騒音の演算子となるM車及びT車の床下台車近傍騒音の測定条件と、主電動機騒音の測定条件とは、異なる測定条件である。従って、定置試験から得られた主電動機1の騒音実測値を測定条件の差異に基づき補正する必要がある。
即ち、図4に示すように、主電動機1とマイクロホンの設置位置間の距離は、定置試験の位置Eの場合に比べて、走行試験の位置Xの場合が2倍の距離となっている。そこで、この倍の距離差を補正するため、主電動機1の騒音実測値に「3dB」を加算する。また、走行試験においては、台車の床下にマイクロホンが設置されるため、床面からの反射音の影響を受けている。従って、この床面からの反射音の影響を補正するため、主電動機1の騒音実測値に「3dB」を加算する。つまり、主電動機1の騒音実測値に、合計6dBの補正値を加算することにより、測定条件の違いによる誤差を補正する。そして、図6(b)に示すように、補正した主電動機1の騒音実測値に基づき、歯車装置単体の騒音の推定値を算出することができる。
図7(a)は、音源として床下騒音全体(実測値α)、転動騒音(実測値β)、駆動系騒音(演算値δ)、主電動機(補正後γ)、歯車装置(推定値ε)の騒音レベルと、鉄道車両の速度との関係を示している。即ち、音源別に見た騒音の速度依存を示している。
また、得られた歯車装置の推定値εに基づき速度乗則を算出したところ、図7(b)に示すように、速度乗則は5乗則として得られた。つまり、上記1において歯車装置単体の実測値から得られた速度乗則と一致しており、歯車装置の騒音推定値εが信頼できる値であるといえる。
尚、図7(a)においては、鉄道車両の走行速度80km/h以上における騒音レベルの値を示しているが、これは当該速度以上の速度が上述の高速域(例えば、主電動機1の電磁音が無視できる速度域)と見なせるためである。
6.処理の流れ
次に、歯車装置の騒音推定方法の処理の流れについて説明する。図8は、歯車装置の騒音推定処理の流れを説明するためのフローチャートである。まず、図8において、M車の床下台車近傍騒音、即ち、M車の走行試験により得られた実測値αを取得する(ステップS2)。次いで、T車の床下台車近傍騒音、即ち、T車の走行試験により得られた実測値βを取得する(ステップS4)。
続いて、主電動機1の定置試験により得られた実測値γを取得する(ステップS6)。そして、得られた実測値γを、走行試験の測定条件と、定置試験の測定条件との差異に基づいて補正する(ステップS8)。具体的には、走行試験の測定条件は、主電動機1から0.5m離れた距離を測定位置とし、主電動機1の上部には床が設けられている。一方、定置試験の測定条件は、主電動機から1m離れた距離を測定位置とし、主電動機1の上部には何も設けられていない。従って、離間距離の比に対する補正として「+3dB」、主電動機1の上部に設けられた床面からの反射音による増幅に対する補正として「+3dB」、を実測値γに加算した値を補正後のγとする。
次に、走行試験の実測値α,βの差分から駆動系騒音δを算出する(ステップS10)。そして、駆動系騒音δと、補正後のγの差分から歯車装置の騒音の推定値εを演算する(ステップS12)。
7.作用・効果
以上のように、M車及びT車の走行試験から、M車の床下台車近傍騒音の実測値αと、T車の床下台車近傍騒音の実測値βとを求め、実測値α,βに基づいて駆動系騒音δを求める。また、主電動機1の騒音として空力音が支配的になる高速域において、主電動機1の定置試験から得られる主電動機騒音の実測値γを、走行試験の測定条件と定置試験の測定条件との差異に基づいて補正する。そして、実測値γの補正値と、駆動系騒音δとの差分から歯車装置単体の推定値εを求めることができる。
これにより、実測では測定が困難な歯車装置単体の騒音を、M車及びT車の走行試験及び主電動機1の定置試験から得られる実測値に基づく演算から容易に推定することができる。また、高速域において、定置試験における主電動機の騒音実測値を、実際の走行中における電動機の騒音状況と見なして、歯車装置単体の騒音を推定することにより、高速域における精度の高い推定値を算出することができる。
さらに、走行試験と定置試験の測定条件の差異に基づき、主電動機1の騒音実測値γを補正するため、測定条件が異なる場合であっても、主電動機1単体の騒音を正確に求めることができる。これにより、歯車装置単体の推定値を精度良く求めることができ、駆動系騒音に対する各音源の寄与率を正確に求めることができるようになる。また、一方の測定条件に拘束されないため、走行試験や定置試験を今まで通りの試験として行うことができる。
以上のことから、鉄道車両の騒音に対する音源の実態を明らかにすることができ、各音源に応じた有効な騒音対策を講じる端緒とすることができる。
8.変形例
以上、本発明を適用した実施の形態を説明したが、本発明は上述の実施の形態についてのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
例えば、本実施形態では、電動機として誘導電動機を用いた場合について説明したが、同期電動機や直流電動機に対して適用してよいことは勿論である。
また、走行試験と定置試験の測定条件の差異に基づき、主電動機の実測値γを補正する場合について説明したが、駆動系騒音δ、或いは、M車の床下台車近傍騒音α及びT車の床下台車近傍騒音βを補正しても良い。
歯車装置近傍騒音から歯車装置騒音の速度乗則を求める方法を説明する図。 鉄道車両の走行試験における主電動機の測定条件の一例を示す図。 鉄道車両の走行試験の実測値から得られる騒音を説明する図。 定置試験における主電動機の測定条件の一例を示す図。 (a)主電動機の回転速度を一定としたときの端子電圧と端子電流の関係を示したグラフ、(b)主電動機の端子電圧と、そのとき主電動機から発生する騒音の音圧レベルの関係を示す図。 主電動機の定置試験から得られる騒音を説明する図。 (a)音源別に見た騒音の速度依存を示す図、(b)音源別の速度乗側を示す図。 歯車装置の騒音推定処理の流れを示すフローチャートである。
符号の説明
1 主電動機
A、B、C、D、E、X 騒音測定位置

Claims (2)

  1. 電動車の床下台車近傍騒音の実測値αと、付随車の床下台車近傍騒音の実測値βと、前記電動車の主電動機の定置試験における騒音の実測値γとに基づいて前記電動車の歯車装置の騒音を推定する推定方法であって、
    前記主電動機に対し定置試験において回転数を同一に保ちつつ印加電圧を変化させて負荷を掛けた状態を模擬して騒音の音圧レベルを計測した場合に、前記音圧レベルが略一定となる回転数以上を空力音が支配的となる高速域として求めるステップと、
    前記空力音が支配的となる高速域において、前記実測値αとβとの差から前記電動車の駆動系騒音を求め、求めた前記駆動系騒音と前記実測値γとの差から前記高速域における前記歯車装置の騒音を推定するステップと、
    を含むことを特徴とする推定方法。
  2. 前記実測値αの測定位置条件と前記実測値γの測定位置条件との位置条件の差異に基づいて前記実測値γを補正した上で、前記求めた駆動系騒音と当該補正済みの実測値γとの差から前記高速域における前記歯車装置の騒音を推定する請求項1に記載の推定方法。
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