JP4676716B2 - 電気泳動表示装置用マイクロカプセル、その製造方法およびその用途 - Google Patents
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Description
近年においては、上記分散液を対向電極基板間の空間にそのまま封入した従来の電気泳動表示装置(例えば、特許文献1参照。)に代わって、壁材となる殻体(カプセル殻体、壁膜とも言う。以下同様。)に上記分散液を封入してなるマイクロカプセルを、対向電極基板間に敷き詰めて配した構造を有する電気泳動表示装置の開発・研究が積極的に行われている。
このようなマイクロカプセルを備えた電気泳動表示装置は、前記従来のそれに比べて、表示の長期安定性、応答性、コントラストおよび表示の書き換え可能回数等の各種性能・機能において大きな向上が図られている。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、電気泳動表示装置を高温高湿条件下に放置した場合であっても、その後のコントラストの低下を抑制することができる電気泳動表示装置用マイクロカプセル、その製造方法およびその用途を提供することにある。
本発明にかかる電気泳動表示装置用マイクロカプセルは、前記製造方法により得られ、その殻体表面に、ポリエチレングリコール鎖およびエポキシ基を併せて有する化合物に由来するポリエチレングリコール鎖が付加されている。
本発明にかかる電気泳動表示装置用シートは、前記マイクロカプセルを備えてなる。
本発明の製造方法は、前述したように、電気泳動性微粒子と溶媒とが殻体に内包されてなる電気泳動表示装置用マイクロカプセルを、水系媒体中においてイオン交換樹脂と共存させる工程(A)を必須とする方法である。詳しくは、上記工程(A)は、芯物質となる電気泳動表示装置用分散液をマイクロカプセル化する工程を経て得られた電気泳動表示装置用マイクロカプセルを水系媒体中においてイオン交換樹脂と共存させる工程である。
一般に、電気泳動表示には、分散液中の溶媒の色と電気泳動性微粒子の色とのコントラストで表示する方法と、分散液中の少なくとも2種の電気泳動性微粒子の互いの色のコントラストで表示する方法がある。
上記分散液に用いる溶媒としては、従来から一般的に電気泳動表示装置用分散液に用いられている溶媒であればよく、限定はされないが、詳しくは、実質的に水に不溶性(疎水性)であり、形成される殻体とその機能を害する程度に相互作用しないものであればよく、例えば、高絶縁性の有機溶媒が好ましい。
溶媒を着色する場合は、電気泳動性微粒子の色(例えば、酸化チタン微粒子であれば白色)に対して十分なコントラストが得られる程度に着色することが好ましい。
酸化チタン微粒子を用いる場合、酸化チタンの種類は、限定されず、一般に白色顔料として使用されるものであればよく、ルチル型でもアナターゼ型でもよいが、酸化チタンの光活性能による着色剤の退色等を考えた場合、光活性能の低いルチル型であることが好ましく、さらに光活性能を低減させるためのSi処理、Al処理、Si−Al処理あるいはZn−Al処理等を施された酸化チタンであればより好ましい。
上記他の粒子としては、限定されないが、例えば、白色系のものでは、上記酸化チタン以外では、硫酸バリウム、酸化亜鉛、亜鉛華等の無機顔料;黄色系のものでは、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、チタンイエロー、クロムイエローおよび黄鉛等の無機顔料や、ファーストイエロー等の不溶性アゾ化合物類、クロモフタルイエロー等の縮合アゾ化合物類、ベンズイミダゾロンアゾイエロー等のアゾ錯塩類、フラバンスイエロー等の縮合多環類、ハンザイエロー、ナフトールイエロー、ニトロ化合物およびピグメントイエロー等の有機顔料;橙色系のものでは、モリブデートオレンジ等の無機顔料や、ベンズイミダゾロンアゾオレンジ等のアゾ錯塩類およびベリノンオレンジン等の縮合多環類等の有機顔料;赤色系のものでは、ベンガラおよびカドミウムレッド等の無機顔料や、マダレーキ等の染色レーキ類、レーキレッド等の溶解性アゾ化合物類、ナフトールレッド等の不溶性アゾ化合物類、クロモフタルスカーレッド等の縮合アゾ化合物類、チオインジゴボルドー等の縮合多環類、シンカシヤレッドYおよびホスタパームレッド等のキナクリドン顔料、パーマネントレッドおよびファーストスローレッド等のアゾ系顔料等の有機顔料;紫色系のものでは、マンガンバイオレット等の無機顔料や、ローダミンレーキ等の染色レーキ類、ジオキサジンバイオレット等の縮合多環類等の有機顔料;青色系のものでは、紺青、群青、コバルトブルーおよびセルリアンブルー等の無機顔料や、フタロシアニンブルー等のフタロシアニン類、インダンスレンブルー等のインダンスレン類、アルカリブルー等の有機顔料;緑色系のものでは、エメラルドグリーン、クロームグリーン、酸化クロムおよびビリジアン等の無機顔料や、ニッケルアゾイエローなどのアゾ錯塩類、ピグメントグリーンおよびナフトールグリーン等のニトロソ化合物類、フタロシアニングリーン等のフタロシアニン類等の有機顔料;黒色系のものでは、上記カーボンブラックやチタンブラック以外では、鉄黒などの無機顔料や、アニリンブラック等の有機顔料;などが好ましく挙げられる。これらは1種のみ用いても2種以上を併用してもよい。
上記分散液中には、上述した溶媒および電気泳動性微粒子以外にも、必要に応じて他の成分を含むことができるが、その種類等は限定されない。上記他の成分としては、例えば、分散剤などが挙げられる。分散剤は、溶媒中に電気泳動性微粒子を分散させる前から含むようにしても、分散させた後に含むようにしてもよく、限定はされない。
上記分散液を調製する場合に、溶媒中に電気泳動性微粒子を分散させる方法としては、通常公知の分散方法であればよく、限定はされないが、例えば、超音波浴槽内に原料成分である電気泳動性微粒子、溶媒およびカップリング剤などを仕込み、攪拌しながら超音波分散させる方法や、ペイントシェーカー、ボールミル、サンドグラインドミルなどの分散能を有する機器を用いて分散させる方法、Vブレンダなどで溶媒および微粒子を強制攪拌しながらカップリング剤を乾燥空気や窒素ガスで噴霧させる乾式法、微粒子を溶媒に適当に分散させスラリー状となったところにカップリング剤を添加する湿式法、予め加温した溶媒および微粒子を激しく攪拌しながらカップリング剤をスプレーするスプレー法などが好ましく挙げられる。
この製造方法においては、一般に、水系媒体中にゼラチンとアラビアゴムとを含む殻体原料を添加し昇温して溶解させた後に、芯物質となる電気泳動表示装置用分散液を攪拌しながら添加して分散液滴を生成させる。この分散液に希酸水溶液を添加してpHを4まで下げた後、冷却し、上記液滴表面に殻体を析出させる。析出させた殻体を架橋剤で硬化させた後、アルカリ性水溶液を添加してpHを9まで上げ、その後常温に戻し、マイクロカプセルを得るようにする。その他の各種具体的条件等については、公知の条件等を適宜採用できるが、以下に述べる条件等についてはそれを好ましく採用することもできる。
本発明の製造方法においては、必要に応じ、前述したマイクロカプセル化工程に引き続き、該工程により調製された電気泳動表示装置用マイクロカプセルを、前記工程(A)に先立ち、単離したり濃縮したりしてもよい。例えば、コアセルベーション法等のように水系媒体中でマイクロカプセル化を行った場合は、吸引ろ過や自然ろ過等によりマイクロカプセルを水系媒体等から分離して、単離したり濃縮したりすることができる。
工程(A)において用い得る水系媒体としては、限定はされず、例えば、水、あるいは、親水性の有機溶剤と水との混合液を用いることができる。親水性の有機溶剤と水とを併用する場合は、水の配合割合を95〜70重量%とすることが好ましく、より好ましくは95〜80重量%である。
上記親水性の有機溶剤としては、限定はされないが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、アリルアルコール等のアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、ジプロピレングリコール等のグリコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン等のケトン類;ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、アセト酢酸メチル等のエステル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類;などが好ましく挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
工程(A)においては、水系媒体中に存在させる電気泳動表示装置用マイクロカプセルの混合割合は、限定はされないが、例えば、水系媒体との混合後の液全体に対し、固形分基準で、5〜50重量%であることが好ましく、より好ましくは10〜40重量%、さらに好ましくは15〜30重量%である。上記マイクロカプセルの量に関し、上記混合割合が5重量%未満であると、多量の排水が生じることになり非経済的となるおそれがあり、50重量%を超えると、粘度が高くなって均一な混合や攪拌ができなくなるおそれがある。
上述したようにイオン交換樹脂として陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂とを併用する場合は、これらの配合比「陰イオン交換樹脂/陽イオン交換樹脂」(容量比)は、限定はされないが、1以下であることが好ましく、より好ましくは0.9以下、さらに好ましくは0.8以下である。上記配合比が1を超えると、陰イオン交換樹脂に付着しているアミン系化合物がマイクロカプセルの殻体に残存しやすくなるおそれがある。また、イオン交換樹脂全体に対する、陽イオン交換樹脂および陰イオン交換樹脂の合計の配合割合は、限定はされないが、固形分基準で、0.2重量%以上であることが好ましく、より好ましくは1重量%以上、さらに好ましくは2重量%以上である。上記配合割合が0.2重量%未満であると、イオンを十分に除去することができないおそれがある。
工程(A)において、マイクロカプセルを水系媒体中においてイオン交換樹脂と共存させる態様としては、限定はされないが、例えば、マイクロカプセルを水系媒体中においてイオン交換樹脂の存在下で攪拌する態様や、マイクロカプセル分散液をイオン交換樹脂を充填したフィルターに通過させる態様が挙げられる。
マイクロカプセルを水系媒体中においてイオン交換樹脂の存在下で攪拌する態様の場合、工程(A)において行うイオン交換樹脂の存在下での攪拌は、公知の各種攪拌手段のいずれを用いて行うようにしてもよく、限定はされない。上記攪拌に要する時間は、限定はされないが、例えば、1〜24時間が好ましく、より好ましくは2〜12時間である。
上記PEG鎖の付加は、具体的には、PEG鎖およびエポキシ基を併せて有する化合物(詳しくは、PEG鎖の一端または両端にエポキシ基を有する化合物)を用い、該化合物と前記マイクロカプセルとを水系媒体中で攪拌することによりなされることが好ましい。
上記PEG鎖およびエポキシ基を併せて有する化合物の使用量については、二次凝集化を所望のレベルで抑制できるPEG鎖の付加量となるよう適宜設定すればよく、限定はされないが、例えば、電気泳動表示装置用マイクロカプセルに対し、固形分基準で、2〜50重量%であることが好ましく、より好ましくは5〜40重量%、さらに好ましくは10〜30重量%である。上記使用量が、2重量%未満であると、マイクロカプセルの二次凝集抑制効果が十分に得られないおそれがあり、50重量%を超えると、使用量に見合う上記効果が得られず非経済的となるおそれがある。
本発明の製造方法においては、マイクロカプセル化工程に続く操作として前述したように、必要に応じ、吸引ろ過や自然ろ過等を行うことで、電気泳動表示装置用マイクロカプセルを含む水系媒体を濃縮したり、該マイクロカプセルを水系媒体等から分離して単離したりすることができる。また、さらに粒度分布のシャープな電気泳動表示装置用マイクロカプセルを得るために分級(湿式分級等)する操作や、不純物を除去し、製品品質を向上させるため、得られた電気泳動表示装置用マイクロカプセルを洗浄する操作を行うこともできる。
本発明の製造方法により得られる電気泳動表示装置用マイクロカプセルは、マイクロカプセル全体中のイオン性物質の量が低減されたものであり、具体的には、マイクロカプセル全体中のナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、塩化物イオン、硫酸イオン、炭酸イオンおよび酢酸イオン等のイオンの量(合計量)が、200ppm以下であることが好ましく、より好ましくは150ppm以下、さらに好ましくは100ppm以下である。上記イオン量が200ppmを超えると、該マイクロカプセルを用いた電気泳動表示装置を高温高湿条件下に放置した場合、コントラストが低下するおそれがある。
また、従来、マイクロカプセルと接する表示電極にTFT電極が使用される電気泳動表示装置においては、イオン性物質がTFTの動作を阻害し、デバイスの正常な制御ができなくなるという問題があったが、上記のようにマイクロカプセル全体中のイオン量(特に、ナトリウムイオン量)を低減させた電気泳動表示装置用マイクロカプセルを用いるようにすれば、このような問題でも一挙に解決できるという効果が得られる。
電気泳動表示装置用マイクロカプセルの粒子径(体積平均粒子径)は、限定されないが、5〜300μmであることが好ましく、より好ましくは10〜200μm、さらに好ましくは15〜150μmである。マイクロカプセルの粒子径が5μm未満である場合は、マイクロカプセルを電気泳動表示装置に用いた場合、表示部分において十分な表示濃度が得られないおそれがあり、300μmを超える場合は、マイクロカプセル自体の機械的強度に問題が生じるおそれがある他、マイクロカプセルを電気泳動表示装置に用いた場合、マイクロカプセル内に封入した分散液中の酸化チタン微粒子などの電気泳動特性が十分発揮されず、表示のための起動電圧も高くなるおそれがある。
電気泳動表示装置用マイクロカプセルの粒子径や、その変動係数(すなわち粒度分布のシャープさ)は、例えばコアセルベーション法等を用いる製造方法を適用した場合であれば、マイクロカプセル化工程において水系媒体に分散させた分散液の粒子径や粒度分布に大きく依存する。よって、分散条件を適宜制御して行うことにより、所望の粒子径やその変動係数を有するマイクロカプセルを得ることができる。
電気泳動表示装置用マイクロカプセルは、電気泳動表示装置が適用可能な各種表示デバイスのすべてに用いることができる。例えば、通常の電気泳動表示パネルのほか、紙のように薄く自在に湾曲させることのできるフレキシブルな表示デバイス、容易に大面積にでき且つ安価である表示デバイス、ペーパーライクディスプレイやリライタブルペーパー等のいわゆるデジタルペーパー(電子ペーパー)、ICカードやICタグ等での表示デバイス、電子ホワイトボード、案内板、公告板、電子新聞、電子ブック、および、携帯端末(例えばPDA)等が挙げられる。
実施例および比較例における、測定方法および評価方法を以下に示す。
<イオン量の測定>
以下の測定方法により、マイクロカプセル全体中のナトリウムイオン(Na+)量について測定した。
測定方法の概略を下記1〜3に示す。
2.超音波照射後の液を、目開き0.45μmのフィルターでろ過する。
3.ろ液中のナトリウムイオン量をICP発光分析装置を用いて測定する。
具体的には、50mLのプラスチック容器(製品名:PPバイアル PV−7、(株)相互理化学硝子製作所製)に、超純水20gとともに、予め乾燥させたマイクロカプセル1gを精秤して入れ、超音波洗浄機(製品名:Bronson5510、ヤマト科学社製、出力:180W、周波数:45kHz)を用いて45分間超音波照射し、イオンの抽出操作を行った。
マイクロカプセル全体中のナトリウムイオン量(ppm)は、ろ液中のナトリウムイオン量(ppm)に、マイクロカプセルの希釈倍率(20倍(超純水20g/マイクロカプセル1g)とする)を乗じた値として求めた。
なお、ナトリウムイオン以外の各種イオンの量や、各種イオンの合計量について測定する場合も、上記ナトリウムイオンの測定方法と同様に、ICP発光分析装置を用いて行うことができる。
エチレンイミン変性アクリルエマルション(日本触媒社製、製品名:ポリメントSK−1000)200部とウレタンエマルション(第一工業製薬社製、製品名:スーパーフレックス107M)30.4部とを混合し、これに強塩基型陰イオン交換樹脂(三菱化学社製、製品名:ダイヤイオンTSA1200)4.6部および強酸型陽イオン交換樹脂(住友化学社製、製品名:デュオライトSC100)4.6部を添加し、室温で12時間攪拌した。攪拌後、100メッシュの金網でろ過し、バインダー分散液(固形分:36wt%)を得た。
上記塗料組成物を、クリアランス100μmのドクターブレードを用いて、厚さ125μmのITO/PETフィルム(東レ社製、製品名:ハイビームNT02)に塗布するようにし、塗布できたものについては、室温で1時間乾燥させた後、90℃の熱風乾燥機中で20分間乾燥させた。乾燥後の塗膜表面の外観(均一であるかムラがあるか)について、目視により観察した。
◎:塗料組成物中にマイクロカプセルの凝集が無く、塗膜表面は均一である。
○:塗料組成物中にマイクロカプセルの凝集は無いが、塗膜表面に少しムラがある。
△:塗料組成物中にマイクロカプセルの凝集が少し有り、塗膜表面にも少しムラがある。
×:塗料組成物中にマイクロカプセルの凝集が多く有り、塗工できなかった。
<リーク電流量の測定>
上記塗工性の評価における説明と同様にして、電気泳動表示装置用マイクロカプセルを含む塗料組成物を得、該塗料組成物をITO付きPETフィルムに塗工して乾燥させ、電気泳動表示装置用シートを得た。
上記電気泳動表示装置を、23℃、65%RHの恒温恒湿室内に1時間放置した後、同温同湿環境下で、その両電極間(ITO−Cu間)にハイレジスタンスメーターを用いて10Vの電圧を2分間印加し、流れる電流量(リーク電流量)を測定した。
次に、この電気泳動表示体を、60℃、90%RHの恒温恒湿器内に2時間入れた(耐湿テスト)。その後、25℃、40%RHの恒温恒湿室内に1時間放置し、同温同湿環境下で、前述と同様にして両電極間に流れる電流量(リーク電流量)を測定した。
〔参考例1〕
メタノール90部にアミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製、製品名:KBM−903)0.5部を混合して均一に溶解させた後、25wt%アンモニア水0.5部を添加した。この溶液に、酸化チタン(石原産業社製、製品名:タイペークCR−90)50部を添加して攪拌しながら50℃に調温し、超音波分散処理を60分間行い、その後、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート(味の素社製、製品名:プレンアクトKR−TTS)1.5部を追加して、同分散処理をさらに60分間行った。得られた分散液を遠心分離して沈降物を回収し、120℃で乾燥して、表面処理された酸化チタン粒子(p)を得た。
ドデシルベンゼン207部に、上記酸化チタン粒子(p)43部および上記分散剤溶液(d)61部を添加して50℃に調温し、超音波分散処理を30分間行い、その後、青色染料(中央合成化学社製、製品名:オイルブルーF)5部を添加して溶解させ、電気泳動表示装置用分散液(D)を得た。
得られた懸濁液に、温水799部およびウレタンエマルション(第一工業製薬社製、製品名:スーパーフレックス700)48部を添加し、次いで、10wt%酢酸水溶液20部を添加した後、10℃まで冷却してコアセルベーションさせた。該冷却後、37wt%ホルマリン水溶液10部および10wt%炭酸ナトリウム水溶液45部を添加し、室温まで昇温させ、90分間熟成させた。その後、アジリジン化合物(日本触媒社製、製品名:ケミタイトPZ−33)を添加し、50℃まで昇温させ、さらに60分間熟成させて、電気泳動表示装置用マイクロカプセル(M)の分散液を得た。
この濃縮液を110℃の熱風で乾燥させて固形分を測定したところ、50wt%であった。また、電気泳動表示装置用マイクロカプセル(M)の粒子径を、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場制作所社製、製品名:LA−910)で測定した結果、体積平均粒子径は70μmであった。
攪拌後、目開き300μmのふるいでろ過した。ろ液を、ろ紙を用いて吸引ろ過し、電気泳動表示装置用マイクロカプセル(M1)の濃縮液を得た。
得られた濃縮液を用い、前述した方法により、電気泳動表示装置用マイクロカプセル(M1)全体中のイオン量の測定、塗工性の評価、リーク電流の測定を行った。その結果を表1に示す。
参考例1において得られた電気泳動表示装置用マイクロカプセル(M)の濃縮液に、脱イオン水を適宜添加し、固形分25wt%となるように調整した。この調整液200部に、10wt%ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製、製品名:デナコールEX−841)水溶液50部を添加して50℃に調温し、90分間攪拌した後、室温まで冷却した。該冷却後、強塩基型陰イオン交換樹脂(三菱化学社製、製品名:ダイヤイオンTSA1200)2.5部および強酸型陽イオン交換樹脂(住友化学社製、製品名:デュオライトSC100)2.5部を添加し、室温で12時間攪拌した。
得られた濃縮液を用い、前述した方法により、電気泳動表示装置用マイクロカプセル(M2)全体中のイオン量の測定、塗工性の評価、リーク電流の測定を行った。その結果を表1に示す。
〔比較例1〕
参考例1において得られた電気泳動表示装置用マイクロカプセル(M)の濃縮液を用い、前述した方法により、電気泳動表示装置用マイクロカプセル(M)全体中のイオン量の測定、塗工性の評価、リーク電流の測定を行った。その結果を表1に示す。
Claims (4)
- 電気泳動性微粒子と溶媒とが殻体に内包されてなるマイクロカプセルを水系媒体中においてイオン交換樹脂と共存させる工程を含み、前記マイクロカプセルはその殻体表面にポリエチレングリコール鎖が付加されたものであり、前記ポリエチレングリコール鎖の付加が、ポリエチレングリコール鎖およびエポキシ基を併せて有する化合物と前記マイクロカプセルとを水系媒体中で攪拌することによりなされている、電気泳動表示装置用マイクロカプセルの製造方法。
- 前記イオン交換樹脂として強酸型陽イオン交換樹脂と強塩基型陰イオン交換樹脂とが併用されている、請求項1に記載の電気泳動表示装置用マイクロカプセルの製造方法。
- 請求項1または2に記載の製造方法により得られ、その殻体表面に、ポリエチレングリコール鎖およびエポキシ基を併せて有する化合物に由来するポリエチレングリコール鎖が付加されている、電気泳動表示装置用マイクロカプセル。
- 請求項3に記載のマイクロカプセルを備えてなる、電気泳動表示装置用シート。
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