JP4209268B2 - 電気泳動表示装置用マイクロカプセル組成物とその製造方法、電気泳動表示装置用マイクロカプセルの取り扱い方法、電気泳動表示装置用シートとその製造方法および電気泳動表示装置とその製造方法 - Google Patents

電気泳動表示装置用マイクロカプセル組成物とその製造方法、電気泳動表示装置用マイクロカプセルの取り扱い方法、電気泳動表示装置用シートとその製造方法および電気泳動表示装置とその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気泳動表示装置用マイクロカプセル組成物とその製造方法、電気泳動表示装置用マイクロカプセルの取り扱い方法、電気泳動表示装置用シートとその製造方法、および、電気泳動表示装置とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電気泳動表示装置は、着色溶媒中に電気泳動性の顔料粒子が分散された分散液における顔料粒子の電気泳動現象を用いた非発光型表示デバイスであり、例えば、広視野角性、電源供給無しでの長時間メモリ性、低消費電力などの多くの優れた特性を有する。なかでも特に、上記分散液を壁材となるカプセル殻体に封入した構造のマイクロカプセル(例えば、特許文献1参照)が、上記特性に加え、さらにフレキシブルな表示デバイスとするために有用であるため注目されており、例えば、ペーパーライクディスプレイおよびリライタブルペーパーなどのいわゆるデジタルペーパー分野へのさらなる技術展開が期待されている。
【0003】
ところで、近年注目されている表示デバイスとして上述したマイクロカプセルを用いた電気泳動表示装置においては、それまでのマイクロカプセルを用いない電気泳動表示装置に比べると、確かに、表示の長期安定性、応答性、コントラスト、表示の書き換え可能回数などの諸機能において飛躍的な向上が見られた。しかし、今後、表示デバイスとして広く一般に各種用途に利用可能なものとし、また様々な応用例も生み出していくためには、上記諸機能のさらなる向上を実現することが要請されている。なかでも特に、画像の鮮明性を大きく左右するコントラストについては、さらにより性能を高めることが強く望まれている。
【0004】
【特許文献1】
特許第2551783号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の解決しようとする課題は、電気泳動表示装置に用いた場合に、従来と同様、表示の長期安定性、表示応答性、コントラスト、表示の書き換え可能回数などの各種性能に優れ、なかでも特に、コントラストについて非常に高い性能を発揮させ得る、電気泳動表示装置用マイクロカプセル組成物とその製造方法、電気泳動表示装置用マイクロカプセルの取り扱い方法、電気泳動表示装置用シートとその製造方法、および、電気泳動表示装置とその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を行った。
その結果、実際にマイクロカプセルを電気泳動表示装置の構成要素として用いるために必要な各種処理の段階で、マイクロカプセル自体にどのような影響があるのかを、得られた表示装置の性能の面などからも考慮し、あらためて検討すべきではないかと考えた。従来、電気泳動表示装置用のマイクロカプセルに関する検討といえば、マイクロカプセルに封入する電気泳動性微粒子およびそれを含む分散液について、または、マイクロカプセルの構成要素および物理的構造についての検討がほとんどであり、分散液の封入カプセル化により一旦調製したマイクロカプセルを、その後実際に電気泳動表示装置の構成要素として用いるにあたり、その間の各種処理が、マイクロカプセル自体ひいてはそれを用いた表示装置の性能にどのような影響を及ぼしているかは特に検討されていなかったからである。
【0007】
そこで実際に種々の実験および検討を繰り返したところ、いくつかの問題点および改良すべき点があることに気づいた。
具体的には、従来は、マイクロカプセルを水系媒体等の液相中でのマイクロカプセル化により調製した場合は、その後、調製後の調製液からマイクロカプセルのみを分離して取り出し、乾燥等を施して微粒子粉末状としたり、調製後の調製液に対して遠心分離等を施すことにより液の大部分を除去してマイクロカプセルを単離したりしていた(例えば、WO00/20922参照)。また、気相中でのマイクロカプセル化により調製した後は、通常はそのまま回収して乾燥等を施し微粒子粉末状としていた。そして、何れにおいても、その後、乾いたような状態にあるマイクロカプセルを、必要に応じて分級等の処理を行った後、所定のバインダー中に混合・分散して塗料化し、電極シート上などに塗布して、マイクロカプセルを配するという処理工程を経ていた。
【0008】
しかしながら、乾いたような状態にある単離したマイクロカプセルを、バインダーに混合分散させるにあたっては、ある程度均一な分散状態が望まれているところ、一旦乾いたような状態にしていることや凝集(2次凝集)が多いこと等が要因となり、実際そのように分散させるには必要以上の動力が必要となる。そしてそれはマイクロカプセルへの過剰な負荷に繋がり、結局のところ、最終的に表示装置に配した段階においてすでに破壊してしまっているマイクロカプセルが、考えてもみなかったほどに多くあることが判った。こういったマイクロカプセルへのダメージは、結果としてすべてコントラストの向上を妨げる原因となっていたのである。
【0009】
かかる知見に基づき、本発明者が検討した結果、乾いたような状態の単離したマイクロカプセルそのものを直接バインダーに混合するような操作をせずに、マイクロカプセルを電気泳動表示装置に使用するために、マイクロカプセルを相当量の水系媒体と共存させてなるマイクロカプセル組成物なるものを考えついた。マイクロカプセル表面を相当量の水系媒体によって十分に濡れた状態にした組成物の形態で塗工液の調製に用いること、および、このような組成物は、実際今までに無かった新規な形態であり、この形態が直接的な解決の糸口になると考えたのである。そして、該組成物中のマイクロカプセルの含有割合を特定範囲内にすればよいことも見出した。このようなマイクロカプセル組成物を塗工液の調製に用いるようにすれば、従来からの課題が一挙に解決できることを見出したのである。
【0010】
また、水系媒体等の液相中でマイクロカプセル化を行いマイクロカプセルを調製した場合においては、従来のように調製後の混合液(調製液)からマイクロカプセルを分離し乾燥した場合、手間やコストがかかる上、一旦乾燥させる際には、もともとある程度の柔軟性を有するように調製されているマイクロカプセルは互いに容易に密着してしまうため、必然的に多くの凝集(2次凝集)を生じていることが判った。そして、その後の乾式での分級装置内においては、静電気の発生等のためマイクロカプセルの凝集化(2次凝集化)がさらに進行しやすく、分級の精度を向上させることは極めて困難となっていた。さらに、乾式の分級では、直接マイクロカプセル表面に摩擦や衝撃が加わるため、ある程度のダメージを受けることは必至である。本発明者は、表示装置に配した段階でのマイクロカプセルの破壊や損傷は、この乾式分級時でのダメージによるものがかなり多いのではないかと考えた。また、マイクロカプセルの分級を乾式分級によって行うと、マイクロカプセルと気体との比重差や、静電気力およびファンデスワールス力などによる凝集力の影響のため、精度の高い分級が達成できない。このような分級精度の低下やマイクロカプセルへのダメージは、結果としてすべてコントラストの向上を妨げる原因となっていたのである。
【0011】
かかる知見に基づき、本発明者は、今回着目したマイクロカプセル組成物を電気泳動表示装置に使用するのにより最適な状態で得る方法として、上記調製後のマイクロカプセルと水系媒体とを含む調製液の状態で分級等の必要な処理を施し、マイクロカプセルと水系媒体とを含むマイクロカプセル組成物を得るようにする方法を考えた。具体的には、上記調製後のマイクロカプセルと水系媒体とを含む調製液そのもの、あるいはこれを希釈等したものに対して、マイクロカプセルの分級処理を施すようにすればよいのではないかと考えたのである。調製液に対して分級処理を施すため、必然的に湿式により分級することとなるわけであるが、従来のようなマイクロカプセルの分離・乾燥などはせず、また乾式分級でもないため精度良くマイクロカプセルの分級を行うことができるとともに、マイクロカプセルへのダメージや損傷を飛躍的に低減することもできる。
【0012】
また、通常、上記調製直後の調製液の状態ではマイクロカプセルの含有割合は非常に低く、そのような調製液を用いて塗工液を調製し、電気泳動表示装置に用いた場合、マイクロカプセルを適度な密度で配することができないばかりか、塗工液中の固形分量が少なすぎて利用困難となるため、従来は、調製液から一旦マイクロカプセルを単離し、所望の濃度となるように乾燥粒子の状態でバインダーに混合していた。しかし、本発明者は、上記調製液に対して水系媒体の量を減ずる処理、いわゆる濃縮処理を施すようにすればそのような問題は解消できると考えたのである。しかも、組成物中のマイクロカプセルの含有割合が特定範囲内となるように濃縮することがよいと考えた。このようにして得られたマイクロカプセル組成物を塗工液の調製に用いるようにすれば、非常に容易かつ均一に混合分散させることができるとともに、上述したようなマイクロカプセルへのダメージを効果的に防止する(損傷を受けたマイクロカプセルを大幅に低減できる)ことができる。また、適度な密度で分散させマイクロカプセルを配することもできるので、電気泳動表示装置への使用の適性という意味でも優れている。結果として、電気泳動表示装置のコントラストや画像品位等の諸性能を大きく向上させることができるのである。以上のように、マイクロカプセル調製後の上記調製液に対し、好ましくは、湿式による分級と水系媒体を減ずる濃縮とを施して、組成物中のマイクロカプセルの含有割合が特定範囲にあるマイクロカプセル組成物とすれば、上記効果をすべて実現し、前述の課題を一挙に解決できると考えたのである。
【0013】
さらに、本発明者は、液相あるいは気相中での各種製法によるマイクロカプセル化により調製したマイクロカプセルを電気泳動表示装置に使用するにあたって、より優れた電気泳動表示装置を得ることができるように、マイクロカプセルを最適な状態で保管、保存および輸送その他の各種取り扱いをする取り扱い方法を見出した。具体的には、調製したマイクロカプセルを、水系媒体とともに存在させてなる組成物の形態で取り扱えばよいと考えたのである。しかも、上述のような組成物において、マイクロカプセルに対する水系媒体の配合量を特定範囲内とすればよいことも見出した。こうして取り扱うことにより、上述した製法により得られるマイクロカプセル組成物と同様の効果を得ることができる。
【0014】
さらに、本発明者は、本発明のマイクロカプセル組成物の使用方法として、電気泳動表示装置用シートの製造方法を完成させた。
すなわち、本発明にかかる電気泳動表示装置用マイクロカプセル組成物は、溶媒中に電気泳動性微粒子を分散させた分散液を殻体に内包してなる電気泳動表示装置用のマイクロカプセルと水系媒体とを含む、塗工液の調製に用いる組成物であって、前記組成物はマイクロカプセルを乾燥させる工程を経ることなく得られたものであり、前記組成物中のマイクロカプセルの含有割合が30〜80重量%である、ことを特徴とする。
【0015】
本発明にかかる電気泳動表示装置用マイクロカプセル組成物において、前記マイクロカプセルは、体積平均粒子径が30〜150μmであり、かつ、体積基準の粒度分布が最大ピーク粒子径を中心としてその前後該最大ピーク粒子径の40%粒子径の粒子径範囲内に80体積%以上が存在する粒度分布であることが好ましい。
本発明にかかる電気泳動表示装置用マイクロカプセル組成物において、前記組成物中のマイクロカプセルと水系媒体との合計の含有割合が90重量%以上であることが好ましい。
【0016】
本発明にかかる電気泳動表示装置用マイクロカプセル組成物の製造方法は、溶媒中に電気泳動性微粒子を分散させた分散液を殻体に内包してなる電気泳動表示装置用のマイクロカプセルと水系媒体とを含む組成物の製造方法であって、電気泳動性微粒子を溶媒中に分散させる分散工程と、水系媒体存在下、前記分散工程で得られた電気泳動性微粒子分散液を殻体で内包することによりマイクロカプセルと水系媒体とを含む調製液を得るマイクロカプセル化工程とを含み、マイクロカプセルを乾燥させる工程を経ることなく、マイクロカプセルの含有割合が30〜80重量%の組成物を得る、ことを特徴とする。
【0017】
本発明にかかる電気泳動表示装置用マイクロカプセル組成物の製造方法において、前記調製液に対して前記マイクロカプセルの分級を施す湿式分級工程と、前記分級後の分散体から水系媒体を減ずる濃縮を施す濃縮工程とを含むことが好ましい。
本発明にかかる電気泳動表示装置用マイクロカプセル組成物の製造方法において、前記湿式分級工程で用いる前記調製液中のマイクロカプセル濃度が15重量%以下であることが好ましい。
本発明にかかる電気泳動表示装置用シートの製造方法は、電気泳動表示装置用マイクロカプセルを含有する塗工液を基材に塗布して乾燥することにより電気泳動表示装置用シートを製造する方法において、前記塗工液は、上記本発明の電気泳動表示装置用マイクロカプセル組成物を用いて、当該塗工液中のマイクロカプセル含有割合が25〜65重量%となるように調製されたものである、ことを特徴とする。
【0018】
本発明にかかる電気泳動表示装置用マイクロカプセルの取り扱い方法は、溶媒中に電気泳動性微粒子を分散させた分散液を殻体に内包してなる電気泳動表示装置用のマイクロカプセルを、水系媒体中に存在させてなり、前記マイクロカプセルの含有割合が30〜80重量%であるマイクロカプセル組成物の形態で取り扱うこと特徴とする。
本発明にかかる電気泳動表示装置用シートは、上記本発明の電気泳動表示装置用マイクロカプセル組成物を用いて作製されている。
本発明にかかる電気泳動表示装置は、溶媒中に電気泳動性微粒子を分散させた分散液を殻体に内包してなる電気泳動表示装置用のマイクロカプセルを含む電気泳動表示装置であって、前記マイクロカプセルが上記本発明の電気泳動表示装置用マイクロカプセル組成物を用いて供給されている、ことを特徴とする。
本発明にかかる電気泳動表示装置において、前記マイクロカプセルが、前記マイクロカプセル組成物を用いてマイクロカプセルの含有割合が25〜65重量%となるよう調製されている塗工液を基材に塗布し乾燥することによりシート化して用いられている、ことが好ましい。
本発明にかかる電気泳動表示装置の製造方法は、溶媒中に電気泳動性微粒子を分散させた分散液を殻体に内包してなる電気泳動表示装置用のマイクロカプセルを含む電気泳動表示装置の製造方法であって、前記マイクロカプセルが上記本発明の電気泳動表示装置用マイクロカプセル組成物を用いて供給されている、ことを特徴とする。
本発明にかかる電気泳動表示装置の製造方法において、前記マイクロカプセル組成物を用いてマイクロカプセルの含有割合が25〜65重量%となるよう塗工液を調製する工程と、該塗工液を基材に塗布して乾燥することにより電気泳動表示装置用シートを製造する工程とを含む、ことが好ましい。
【0019】
【発明の実施形態】
以下、本発明にかかる電気泳動表示装置用マイクロカプセル組成物、電気泳動表示装置用マイクロカプセル組成物の製造方法、電気泳動表示装置用シートの製造方法、および、電気泳動表示装置用マイクロカプセルの取り扱い方法に関する詳細について具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に何ら拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜実施し得る。
本発明にかかる電気泳動表示装置用マイクロカプセル組成物の製造方法(以下、本発明の組成物の製造方法と称することがある。)は、溶媒中に電気泳動性微粒子を分散させた分散液を殻体に内包してなる電気泳動表示装置用のマイクロカプセルと水系媒体とを含む組成物の製造方法であって、後述する分散工程、マイクロカプセル化工程とを含み、マイクロカプセルを乾燥させる工程を経ることなく、マイクロカプセルの含有割合が30〜80重量%の組成物を得る、ことを特徴とする製造方法である。
【0020】
本発明における分散工程とは、溶媒中に電気泳動性微粒子を分散させる工程である。この工程により得られる分散液は、最終的に電気泳動表示装置用マイクロカプセルに内包されるものである。
溶媒としては、従来より、通常一般的に電気泳動表示装置用分散液として用いられている溶媒であればよく、特に限定はされないが、高絶縁性の有機溶媒が好ましい。
高絶縁性の有機溶媒としては、例えば、o−、m−またはp−キシレン、トルエン、ベンゼン、ドデシルベンゼン、ヘキシルベンゼン、フェニルキシリルエタン、ナフテン系炭化水素などの芳香族系炭化水素類;シクロへキサン、n−ヘキサン、ケロシン、パラフィン系炭化水素などの脂肪族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどの各種エステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、オクタノール、メチルセロソルブなどのアルコール系溶剤;クロロブタン、クロロホルム、トリクロロエチレン、トリクロロフルオロエチレン、トリクロロエタン、四塩化炭素、シクロヘキシルクロライド、クロロベンゼン、1,1,2,2−テトラクロロエチレン、三塩化フッ化エタン、四フッ化二臭化エチル、臭化エタン、四フッ化二フッ化エタン、ヨウ化メチレン、トリヨードシラン、ヨウ化メチルなどのハロゲン化炭化水素類;二硫化炭素;などの単独またはそれらの混合物が好ましく挙げられ、なかでも、ドデシルベンゼンおよびヘキシルベンゼン等の長鎖アルキルベンゼンおよびフェニルキシリルエタン等が、沸点および引火点も高く、また毒性もほとんど無いことからより好ましい。これら溶媒は、1種のみ用いても2種以上を併用してもよい。
【0021】
溶媒の使用量は、得られる分散液全体に対し、40〜95重量%となるようにすることが好ましく、より好ましくは50〜92重量%、さらに好ましくは60〜90重量%である。上記使用量が、40重量%未満の場合は、分散液の粘度が高くなり、電気泳動性微粒子の電気泳動性を低下させることとなり、95重量%を超える場合は、電気泳動性微粒子の濃度が低くなり、十分なコントラストが得られないこととなる。
溶媒は、無色透明であるものが好ましく、必要に応じて着色等すればよい。
溶媒が着色されたものである場合、着色に用いられる染料としては、特に限定はされないが、油溶性染料が好ましく、特に使いやすさの点で、アゾ染料およびアントラキノン染料などがより好ましい。具体的には、黄色系染料としては、オイルイエロー3G(オリエント化学社製)等のアゾ化合物類;橙色系染料としては、ファーストオレンジG(BASF社製)等のアゾ化合物類;青色系染料としては、マクロレックスブルーRR(バイエル社製)等のアントラキノン類;緑色系染料としては、スミプラストグリーンG(住友化学社製)等のアントラキノン類;茶色系染料としては、オイルブラウンGR(オリエント化学社製)等のアゾ化合物類;赤色系染料としては、オイルレッド5303(有本化学社製)およびオイルレッド5B(オリエント化学社製)等のアゾ化合物類;紫色系染料としては、オイルバイオレット#730(オリエント化学社製)等のアントラキノン類;黒色系染料としては、スーダンブラックX60(BASF社製)等のアゾ化合物類や、アントラキノン類のマクロレックスブルーFR(バイエル社製)とアゾ化合物類のオイルレッドXO(カントー化学社製)との混合物;などが好ましく挙げられる。これら染料は1種のみ用いても2種以上を併用してもよい。
【0022】
上記染料は、通常、溶媒100重量部に対し、0.1〜10重量部使用することが好ましく、より好ましくは0.5〜10重量部、さらに好ましくは1〜10重量部である。上記染料の使用量が、0.1重量部未満の場合は、着色力が不十分で電気泳動性微粒子に対する十分なコントラストが得られないこととなり、10重量部を超える場合は、必要以上のコストアップにつながることととなる。
電気泳動性微粒子は、電気泳動性のある顔料粒子、つまり、分散液中で正または負の極性を示す着色粒子であればよい。その種類としては、特に限定されるわけではないが、具体的には、酸化チタン等の白色粒子や、カーボンブラックおよびチタンブラック等の黒色粒子などが好ましく用いられ、また後述するような他の粒子を用いてもよい。これらは1種のみ用いても2種以上併用してもよい。
【0023】
酸化チタンの微粒子を用いる場合、酸化チタンの種類は、特に限定されず、一般に白色顔料として使用されるものであればよく、ルチル型でもアナターゼ型でもよいが、酸化チタンの光活性能による着色剤の退色等を考えた場合、光活性能の低いルチル型であることが好ましく、さらに光活性能を低減させるためのSi処理、Al処理、Si−Al処理あるいはZn−Al処理等を施された酸化チタンであればより好ましい。
電気泳動性微粒子としては、上記酸化チタン微粒子、カーボンブラックおよびチタンブラック以外の他の粒子を併用してもよく、また、該他の粒子を酸化チタン等の代わりに使用してもよい。他の粒子は、酸化チタン微粒子等と同様に顔料粒子であることが好ましい。また、他の粒子は、酸化チタン微粒子等と同様に電気泳動性を有する必要性は必ずしも無く、必要であれば、電気泳動性を従来公知の何らかの方法により付与すればよい。
【0024】
上記他の粒子としては、特に限定されるわけではないが、具体的には、例えば、白色系のものでは、上記酸化チタン以外では、硫酸バリウム、酸化亜鉛、亜鉛華等の無機顔料;黄色系のものでは、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、チタンイエロー、黄鉛(クロムイエロー)等の無機顔料や、ファーストイエロー等の不溶性アゾ化合物類、クロモフタルイエロー等の縮合アゾ化合物類、ベンズイミダゾロンアゾイエロー等のアゾ錯塩類、フラバンスイエロー等の縮合多環類、ハンザイエロー、ナフトールイエロー、ニトロ化合物およびピグメントイエロー等の有機顔料;橙色系のものでは、モリブデートオレンジ等の無機顔料や、ベンズイミダゾロンアゾオレンジ等のアゾ錯塩類およびベリノンオレンジン等の縮合多環類等の有機顔料;赤色系のものでは、ベンガラおよびカドミウムレッド等の無機顔料や、マダレーキ等の染色レーキ類、レーキレッド等の溶解性アゾ化合物類、ナフトールレッド等の不溶性アゾ化合物類、クロモフタルスカーレッド等の縮合アゾ化合物類、チオインジゴボルドー等の縮合多環類、シンカシヤレッドYおよびホスタパームレッド等のキナクリドン顔料、パーマネントレッドおよびファーストスローレッド等のアゾ系顔料等の有機顔料;紫色系のものでは、マンガンバイオレット等の無機顔料や、ローダミンレーキ等の染色レーキ類、ジオキサジンバイオレット等の縮合多環類等の有機顔料;青色系のものでは、紺青、群青、コバルトブルーおよびセルリアンブルー等の無機顔料や、フタロシアニンブルー等のフタロシアニン類、インダンスレンブルー等のインダンスレン類、アルカリブルー等の有機顔料;緑色系のものでは、エメラルドグリーン、クロームグリーン、酸化クロムおよびビリジアン等の無機顔料や、ニッケルアゾイエローなどのアゾ錯塩類、ピグメントグリーンおよびナフトールグリーン等のニトロソ化合物類、フタロシアニングリーン等のフタロシアニン類等の有機顔料;黒色系のものでは、上記カーボンブラックやチタンブラック以外では、鉄黒などの無機顔料や、アニリンブラック等の有機顔料;などが好ましく挙げられる。これらは1種のみ用いても2種以上を併用してもよい。
【0025】
電気泳動性微粒子の粒子径は、特に限定されるわけではないが、体積平均粒子径が、0.1〜5μmであることが好ましく、より好ましくは0.2〜3μmである。上記粒子径(体積平均粒子径)が、0.1μm未満の場合は、電気泳動表示装置の表示部分において十分な隠蔽性が得られず着色度が低下し、コントラスト性の高い電気泳動表示装置が得られないおそれがあり、5μmを超える場合は、粒子自体の着色度を必要以上に高くする(顔料濃度を高くする)必要性が生じる他、微粒子のスムースな電気泳動特性が低下するおそれもある。
電気泳動性微粒子の、分散液中における濃度は、5〜60重量%であることが好ましく、より好ましくは5〜50重量%であり、さらに好ましくは5〜40重量%である。上記電気泳動性微粒子の濃度が、5重量%未満の場合は、電気泳動表示装置の表示部分において、電気泳動性微粒子による十分な着色および隠蔽性を発現しないため、十分なコントラストが得られず鮮明な表示が得られないおそれがあり、60重量%を超える場合は、分散処理時の粘度が高くなり分散装置への負荷が大きすぎることとなるほか、電気泳動表示装置の表示部分に高エネルギーを印加すると電気泳動性微粒子を凝集させてしまうおそれや、電圧印加した部分での電気泳動性微粒子の応答速度(表示応答性)が低下するおそれがある。
【0026】
分散工程においては、得られる分散液中に、上記溶媒および電気泳動性微粒子以外にも必要に応じて何らかの他の成分を含むことができるが、その種類などは特に限定されるわけではない。上記他の成分としては、例えば、分散剤などが挙げられる。分散剤は、溶媒中に電気泳動性微粒子を分散させる前から含むようにしても、分散させた後に含むようにしてもよく、特に限定はされない。
上記分散剤としては、特に限定されないが、通常一般的に、溶媒中における粒子の分散を補助するために用いることのできる分散剤であればよく、具体的には、例えば、分散液に溶解可能な陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、フッ素系界面活性剤、ソルビタンセスキオレートなどのソルビタン脂肪酸エステル界面活性剤、ブロック型ポリマーおよびグラフト型ポリマーなどの分散剤や、各種カップリング剤などを好ましく挙げることができ、これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。上記分散剤のなかでも、カップリング剤が電荷を印加した際の分散安定性も良好となるのでより好ましい。微粒子をカップリング剤で処理すれば、微粒子表面にカップリング剤の被覆層が形成される。
【0027】
上記カップリング剤としては、その種類は特に限定されるわけではなく、例えば、▲1▼シランカップリング剤、▲2▼チタネート系カップリング剤、▲3▼アルミニウム系カップリング剤、▲4▼ビニル基を有するカップリング剤、▲5▼アミノ基、第四級アンモニウム塩、カルボキシル基およびリン酸基から選ばれる少なくとも1つの基を有するカップリング剤、▲6▼末端にアミノ基またはグリシジル基を有するカップリング剤、▲7▼オルガノジシラザンなどを好ましく挙げることができ、より好ましくはチタネートカップリング剤およびアルミニウム系カップリング剤であり、さらにより好ましくは上記各種カップリング剤であって長鎖アルキル基をも有するカップリング剤であり、特に好ましくは長鎖アルキル基をも有するチタネートカップリング剤や長鎖アルキル基をも有するアルミニウム系カップリング剤である。上記カップリング剤は、単独で用いても2種以上併用してもよい。
【0028】
上述のように、長鎖アルキル基を有するカップリング剤が好ましい理由としては、安全性の高い溶剤である長鎖アルキルベンゼン等により親和性が高くなるために電気泳動性微粒子の分散安定性を高める効果が高い、ということ等を挙げることができる。
シランカップリング剤としては、特に限定されるわけではないが、例えば、ビニル基、アミノ基、グリシジル基、チオール基を有するシランカップリング剤や、長鎖アルキル基を有するシランカップリング剤などを好ましく挙げることができる。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0029】
チタネート系カップリング剤としては、特に限定されるわけではないが、例えば、下記一般式(1)
(RO)m−Ti−Xa (1)
(但し、Rは炭素数1〜4のアルキル基、Xは炭素数8〜18のアルキル基、脂肪酸残基、ヒドロキシフェニル基または炭化水素残基を表し、mは1〜4の整数、aは1〜3の整数を表す。)
で示される化合物が好ましい。上記一般式(1)で示されるチタネート系カップリング剤としては、具体的には、例えば、イソプロピル・トリイソステアロイルチタネート、イソプロピル・トリデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピル・トリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピル・トリオクタノイルチタネート、イソプロピル・ジメタクリル・イソステアロイルチタネート、イソプロピル・ジアクリル・イソステアロイルチタネート、イソプロピル・トリス(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピル・トリクミルフェニルチタネート、イソプロピル・トリス(N−アミノエチル)チタネート、テトライソプロピル・ビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチル・ビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)・ビス(ジ−トリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ジクミルフェニル・オキシアセテートチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネート、ビス(ジオクチルパイロオホスフェート)エチレンチタネート、などを好ましく挙げることができる。なお、これらは、例えば、味の素株式会社からプレンアクトという商品名で市販されている。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0030】
アルミニウム系カップリング剤としては、特に限定されるわけではないが、例えば、従来公知の各種アルミニウムキレート、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウム・ビスエチルアセテート・ジイソプロピレートなどを好ましく挙げることができる。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ビニル基を有するカップリング剤としては、特に限定されるわけではないが、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ジメチルビニルメトキシシラン等のアルコキシシラン類;ビニルトリクロロシラン、ジメチルクロロシラン等のクロロシラン類;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等のメタクリロキシシラン類;N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等の第四級アンモニウム塩類;イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルジアクリルイソステアロイルチタネート等のチタネート類;などを好ましく挙げることができる。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0031】
アミノ基、第四級アンモニウム塩、カルボキシル基およびリン酸基から選ばれる少なくとも1つの基を有するカップリング剤は、電荷付与剤であり、具体的には、特に限定されるわけではないが、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、オクタデシルジメチル〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕アンモニウムクロライド等のシラン類;イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピル・トリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート等のチタネート類;などを好ましく挙げることができる。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0032】
末端にアミノ基またはグリシジル基を有するカップリング剤としては、特に限定されるわけではないが、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のシラン系カップリング剤;イソプロピル・トリス(N−アミノエチル)チタネート等のチタネート系カップリング剤;などを好ましく挙げることができる。これらは単独で用いても2種以上併用してもよい。
オルガノジシラザンは、特に限定されるわけではないが、従来公知のオルガノジシラザン系の化合物であればよく、例えば、特開昭63−8637号公報に記載の下記式(a)、(b)、(c)で示される化合物などを好ましく挙げることができる。
【0033】
〔(CH33Si〕2NH (a)
〔(C253Si〕2NH (b)
〔(C373Si〕2NH (c)
これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
長鎖アルキル基を有するカップリング剤としては、特に限定されるわけではないが、例えば、プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン類;プロピルドデシルトリクロロシラン、ブチルトリクロロシラン、ヘキシルトリクロロシラン、デシルトリクロロシラン、ドデシルトリクロロシラン、ヘキサデシルトリクロロシラン、オクタデシルトリクロロシラン等のクロロシラン類;トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリクロロシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリクロロシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリクロロシラン等のフルオロシラン類;イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート等のチタネート類;などを好ましく挙げることができ、これら長鎖アルキル基を有するカップリング剤のなかでも、アルコキシシラン類、クロロシラン類、フルオロシラン類などがより好ましい。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0034】
分散工程において、溶媒中に電気泳動性微粒子を分散させる方法としては、特に限定はされないが、通常、何らかの溶媒中に所望の粒子を分散させる際に用いられる方法であればよい。具体的には、例えば、超音波浴槽内に原料成分である酸化チタン微粒子、溶媒およびカップリング剤などを仕込み、攪拌しながら超音波分散する方法や、ペイントシェーカー、ボールミル、サンドグラインドミルなどの分散機を用いて分散する方法、Vブレンダなどで溶媒および微粒子を強制攪拌しながらカップリング剤を乾燥空気や窒素ガスで噴霧させる乾式法、微粒子を溶媒に適当に分散させスラリー状となったところにカップリング剤を添加する湿式法、予め加温した溶媒および微粒子を激しく攪拌しながらカップリング剤をスプレーするスプレー法などを好ましく挙げることができる。
【0035】
本発明におけるマイクロカプセル化工程とは、水系媒体の存在下において、前記分散工程で得られた電気泳動性微粒子分散液を、殻体(カプセル殻体)で内包する工程である。この工程により、マイクロカプセル化により調製されたマイクロカプセルと、水系媒体とを含む調製液が得られる。
上記内包を行う方法としては、特に限定はされず、マイクロカプセル化を行う方法として通常公知の方法から適宜選択して採用すればよいが、具体的には、例えば、コアセルベーション法(相分離法)、融解分解冷却法、および粉床法等のいわゆる界面沈積法や、界面重合法、インサイチュ(in−situ)法、液中硬化被膜(被覆)法(オリフィス法)および界面反応法(無機化学反応法)等のいわゆる界面反応法などを挙げることができる。なかでもコアセルベーション法(相分離法)、インサイチュ(in−situ)法、界面重合法、融解分解冷却法がより好ましい。これら各種製造方法によれば、マイクロカプセル化が水系媒体の存在下で行われ、マイクロカプセルと水系媒体とを含む調製液が得られる。
【0036】
上記各種製造方法において用いることのできる水系媒体としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、水や、水と親水性溶剤(アルコール、ケトン、エステル、グリコールなど)との混合液、水に水溶性高分子(PVA(ポリビニルアルコール)、CMC(カルボキシメチルセルロース)、ゼラチン、アラビアゴムなど)を溶解させた溶液、水に界面活性剤(アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤など)を添加した溶液、または、これら水系媒体を複合した液などを用いることができる。
上記分散工程で得られた分散液を、水系媒体に分散させる量は、特に限定はされないが、具体的には、水系媒体100重量部に対して、この分散液を20〜200重量部用いることが好ましく、より好ましくは30〜150重量部である。20重量部未満であると、粒径分布の広いマイクロカプセルとなり、生産効率の低下を招くおそれがあり、200重量部を超える場合は、逆懸濁液となりマイクロカプセルが製造できなくなるおそれがある。
【0037】
カプセル殻体の原料としては、従来公知のマイクロカプセルにおけるカプセル殻体の原料と同様であればよく、特に限定されるわけではないが、例えば、コアセルベーション法を用いる場合は、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルメチルエーテル−無水マレイン酸共重合体、デンプンのフタル酸エステル、ポリアクリル酸等のアニオン性物質が原料として好ましく使用される。インサイチュ法を用いる場合は、メラミン−ホルマリン樹脂(メラミン−ホルマリンプレポリマー)などが原料として好ましく使用される。界面重合法を用いる場合は、ポリアミン、グリコール、多価フェノールなどの親水性モノマーと、多塩基酸ハライド、ビスハロホルメール、多価イソシアネートなどの疎水性モノマーとを原料として好ましく使用し、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリ尿素などからなるカプセル殻体とする。
【0038】
これらカプセル殻体の原料に、さらに多価アミン等を加えることもでき、耐熱保存性などに優れたカプセル殻体を有するマイクロカプセルを得ることができる。多価アミン等の使用量は、上記カプセル殻体の原料に起因する所望の殻体物性が極端に損なわれない程度であればよい。
上記多価アミンとしては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、1,3−プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族アミン;ポリ(1〜5)アルキレン(C2〜C6)ポリアミン・アルキレン(C2〜C18)オキシド付加物等の脂肪族多価アミンのエポキシ化合物付加物;フェニレンジアミン、ジアミノナフタレン、キシリレンジアミン等の芳香族多価アミン;ピペラジン等の脂環式多価アミン;3,9−ビス−アミノプロピル2,4、8,10−テトラオキサスピロ−〔5,5〕ウンデカン等の複素環式ジアミン;等を好ましく挙げることができる。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0039】
カプセル殻体の原料の使用量は、特に限定はされないが、具体的には、電気泳動性微粒子分散液1重量部に対して、1〜50重量部とすることが好ましく、より好ましくは5〜30重量部である。該使用量が上記範囲外であると、後述する所望のカプセル殻体の厚みが得られないおそれがある。
マイクロカプセル化工程においては、上記水系媒体、カプセル殻体原料、分散工程で得られた分散液の他にも適宜必要に応じて他の成分を用いることができる。
マイクロカプセル化工程で得られるマイクロカプセルの形状は、特に限定されるわけではないが、真球状等の粒子状となるよう適宜条件設定することが好ましい。
【0040】
マイクロカプセル化工程で得られるマイクロカプセルの体積平均粒子径は、特に限定はされないが、具体的には、5〜300μmとなるように、分散液の分散粒径等の条件を適宜設定することが好ましく、より好ましくは10〜200μm、さらに好ましくは15〜150μmである。マイクロカプセルの体積平均粒子径が5μm未満である場合は、マイクロカプセルを電気泳動表示装置に用いた場合、表示部分において十分な表示濃度が得られないおそれがあり、300μmを超える場合は、マイクロカプセル自体の機械的強度に問題が生じるおそれがある他、マイクロカプセルを電気泳動表示装置に用いた場合、マイクロカプセル内に封入した分散液中の酸化チタン微粒子などの電気泳動特性が十分発揮されず、表示のための起動電圧も高くなるおそれがある。
【0041】
マイクロカプセル化工程で得られるマイクロカプセルのカプセル殻体の厚みは、特に限定はされないが、具体的には、0.1〜5μmとなるように、カプセル殻体原料の使用量などの条件を適宜設定することが好ましく、より好ましくは0.1〜4μm、さらに好ましくは0.1〜3μmである。カプセル殻体の厚みが0.1μm未満である場合は、カプセル殻体としての十分な強度が得られないこととなり、5μmを超える場合は、透明性が低下しコントラストの低下の原因となるほか、マイクロカプセル自体の柔軟性が低下し、電極フィルムなどへの密着性が不十分となるおそれがある。
【0042】
本発明の組成物の製造方法においては、得られる組成物中のマイクロカプセルの含有割合を30〜80重量%とすることが重要である。好ましくは35〜80重量%、より好ましくは40〜70重量%である。上記含有割合が30重量%未満の場合は、塗料化した際のマイクロカプセル濃度が低く、塗工面でマイクロカプセル同士が密に一層に並びにくく、空間が発生して表示抜けが生じるため、コントラストの低下や画像欠陥(表示欠陥)の原因となるおそれがある。また、80重量%を超える場合は、マイクロカプセル同士が凝集し、塗料化での分散性が問題となったり、十分分散できない場合は画像欠陥(表示欠陥)が生じたり、また、強力な分散を行うとマイクロカプセルにダメージを与えることとなり対向電極となる電極フィルムをラミネートする際の圧力でマイクロカプセル内の電気泳動性微粒子分散液が漏洩する等のおそれがある。これらのことから、得られた電気泳動表示装置においては、十分なコントラストが得られず、画像欠陥(表示欠陥)の多いものとなる。
【0043】
本発明においては、塗工液の調製に用いるマイクロカプセルを、上記のように、乾いたような状態のマイクロカプセルを単離した形態で製造するのではなく、マイクロカプセル表面を相当量の水系媒体によって十分に濡れた状態にした組成物の形態で製造することが重要である。これにより、従来のようにマイクロカプセルを分離し乾燥する際の手間やコストが低減できるとともに、乾燥に伴うマイクロカプセルへの摩擦や衝撃などによるダメージをも低減できる。そして、得られる組成物は、例えば、後述のように、塗工液の調製にそのまま用いた際にすぐれた効果を発揮できる。なお、本発明においては、マイクロカプセル表面を相当量の水系媒体によって十分に濡れた状態にした組成物の形態で製造すること、および、マイクロカプセルを分離し乾燥する際の手間やコスト、乾燥に伴うマイクロカプセルへの摩擦や衝撃などによるダメージの観点から、マイクロカプセルを乾燥させる工程を経ないで製造することが必要となる。
【0044】
本発明の組成物の製造方法において、得られる組成物中のマイクロカプセルの含有割合を30〜80重量%とするための方法は特に限定されないが、好ましくは、水系媒体を減ずる濃縮工程を行うことによって組成物中のマイクロカプセルの含有割合を30〜80重量%とする。ただし、マイクロカプセル化工程で得られる調製液がすでにマイクロカプセルの含有割合が30〜80重量%の組成物となっている場合は、かかる濃縮工程などを行う必要はない。
上記濃縮工程は、マイクロカプセル化工程で得られる調製液に対して行っても良いし、後述する湿式分級工程における分級で得られる分散体に対して行っても良い。
【0045】
上記濃縮工程とは、マイクロカプセル化工程により得られる調製液(調製されたマイクロカプセルと水系媒体とを含む調製液)に対して、あるいは、後述する湿式分級工程における分級で得られる分散体に対して、水系媒体の量を減ずる処理を施す工程である。つまり、上記調製液あるいは分散体から水系媒体を減ずることによりマイクロカプセルの含有割合を高くする工程である。通常、マイクロカプセルと水系媒体とを含む組成物の電気泳動表示装置への使用用途を考えた場合、上記マイクロカプセル化工程後の調製液のままではマイクロカプセル濃度が低すぎる場合が多い。このような調製液のままでは、例えば、バインダーへ混合して使用に供するものとするにあたり、この混合やマイクロカプセルの分散そのものは容易であっても、結局のところ、十分な密度でマイクロカプセルを配することはできないために製品品質は低下する。上記濃縮により、特定範囲のマイクロカプセル濃度となるよう水系媒体を減ずれば、このような問題を容易に解消することができる。また、例えば、一旦乾燥粉末化したマイクロカプセルをバインダー中に分散させることなどに比べると、上記調製液を濃縮したものをバインダーに混合してマイクロカプセルを分散させる方が、格段にマイクロカプセルへのダメージや損傷が少なく、しかも容易に均一に分散させることができる。
【0046】
好ましくは濃縮を行うことにより、マイクロカプセルと水系媒体とを含む組成物を、マイクロカプセル含有割合を所望の範囲まで高めた状態で得られるため、単位マイクロカプセル量あたりの、該組成物の輸送や保存その他の取り扱いの手間、時間およびコストを削減することができ、ひいては電気泳動表示装置等の最終製品の生産性向上、コストダウンを図ることができる。
濃縮の方法としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、吸引濾過法、加圧濾過法、遠心沈降法、遠心濾過法、フィルタープレス法などを挙げることができる。
【0047】
本発明の組成物の製造方法においては、上記濃縮工程の前に湿式分級工程を行うことが好ましい。この場合、上記濃縮工程は、湿式分級工程における分級後の分散体に対して行うことになる。
上記湿式分級工程とは、マイクロカプセル化工程により得られる調製液、すなわち調製されたマイクロカプセルと水系媒体とを含む調製液に対して、マイクロカプセルの分級を施す処理を行う工程である。上記調製液に対して分級を行うため湿式分級となる。詳しくは、例えば、上記調製液を、そのままで若しくは任意の水系媒体などで希釈して分級処理し、調製液中のマイクロカプセルを所望の粒径や粒度分布を有するものとなるよう分級する工程である。
【0048】
湿式分級は、例えば、ふるい式(フィルター式)、遠心沈降式および自然沈降式等の方式を用いた方法や装置により行うことができる。比較的粒子径の大きいマイクロカプセルに対しては、ふるい式が有効に使用できる。
ふるい式の分級では、振動を当てながら行うのが効率的であり好ましい。
遠心沈降式の分級では、バケット型のような回分式や、サイクロン型のような連続式がある。連続式の分級は、高速回転流によりマイクロカプセルの比重差を利用して分級する方式であり、連続的に分級できるため工業的な量産が可能である。
【0049】
このような湿式分級においては、粒子同士の凝集、目詰まり等の問題を解消するために、調製液中のマイクロカプセルの粒子濃度が低い状態で分級操作を行うのが好ましい。その粒子濃度は、15重量%以下であることが好ましく、より好ましくは10重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下である。
湿式分級の際に調製液中のマイクロカプセルの粒子濃度を上記のように低くするため、必要に応じて、湿式分級前に水系媒体を調製液に添加して希釈してもよい。
本発明の組成物の製造方法においては、上記各種工程以外にも必要に応じて他の工程を含んでいてもよい。例えば、マイクロカプセルを洗浄する工程などが挙げられる。
【0050】
本発明にかかる電気泳動表示装置用マイクロカプセル組成物(以下、本発明のマイクロカプセル組成物、あるいは、本発明の組成物と称することがある。)は、溶媒中に電気泳動性微粒子を分散させた分散液を殻体に内包してなる電気泳動表示装置用のマイクロカプセルと水系媒体とを含む、塗工液の調製に用いる組成物であって、前記組成物はマイクロカプセルを乾燥させる工程を経ることなく得られたものであり、前記組成物中のマイクロカプセルの含有割合が30〜80重量%であることを特徴としている。
本発明のマイクロカプセル組成物でいう電気泳動表示装置用マイクロカプセルは、マイクロカプセルを乾燥させる工程を経ることなく得られたものであれば、通常公知の電気泳動表示装置用のマイクロカプセルであればよく、どのような材料や製造方法により、どのような製造過程を経て得られたものであるかなどは特に限定はされない。また、使用用途を考慮して必要に応じ適宜分級処理などを施しておいてもよい。好ましくは、本発明の製造方法により得られるマイクロカプセル組成物中の電気泳動表示装置用マイクロカプセルである。すなわち、本発明のマイクロカプセル組成物は、本発明の製造方法により得られるマイクロカプセル組成物であることが好ましい。
【0051】
本発明の組成物でいう水系媒体としては、特に限定はされないが、具体的には、本発明の製造方法において用いた水系媒体と同様のものが好ましい。
本発明の組成物においては、水系媒体および電気泳動表示装置用マイクロカプセル以外にも適宜必要に応じて他の成分を含むようにすることができる。
本発明のマイクロカプセル組成物においては、組成物全体中のマイクロカプセルの含有割合が30〜80重量%であることが特徴であるが、より好ましくは35〜80重量%であり、さらに好ましくは40〜80重量%である。上記含有割合が30重量%未満の場合は、塗料化した際のマイクロカプセル濃度が低く、塗工面でマイクロカプセル同士が密に一層に並びにくく、空間が発生して表示抜けが生じるため、コントラストの低下や画像欠陥(表示欠陥)の原因となるおそれがある。また、80重量%を超える場合は、マイクロカプセル同士が凝集し、塗料化での分散性が問題となったり、十分分散できない場合は画像欠陥(表示欠陥)が生じたり、また、強力な分散を行うとマイクロカプセルにダメージを与えることとなり対向電極となる電極フィルムをラミネートする際の圧力でマイクロカプセル内の電気泳動性微粒子分散液が漏洩する等のおそれがある。これらのことから、得られた電気泳動表示装置においては、十分なコントラストが得られず、画像欠陥(表示欠陥)の多いものとなる。
【0052】
本発明のマイクロカプセル組成物においては、組成物中のマイクロカプセルは、体積平均粒子径が30〜150μmであり、かつ、体積基準の粒度分布が、最大ピーク粒子径(粒子の体積を基準とした粒子径頻度分布における最大ピークに対応する粒子径)を中心として、その前後、該最大ピーク粒子径の40%粒子径の粒子径範囲内に80体積%以上が存在する粒度分布であることが好ましい。
上記体積平均粒子径については、より好ましくは50〜150μmである。この体積平均粒子径が30μm未満であると、コントラストの十分な電気泳動表示装置が得られないおそれがあり、150μmを超える場合は、マイクロカプセルの強度において問題が生じるおそれがある。
【0053】
上記体積基準の粒度分布については、粒子の体積を基準とした粒子径頻度分布における最大ピーク粒子径を中心として、その前後「この最大ピーク粒子径の40%に当たる粒子径長さ」の粒子径範囲に、80体積%以上存在する粒度分布であることが好ましく、さらにより好ましくは85体積%以上である。80体積%未満の場合は、塗料化して塗工した際、マイクロカプセルが一層に塗布されず、部分的に2層以上の多層となるおそれがある。
本発明のマイクロカプセル組成物においては、組成物中のマイクロカプセルと水系媒体との合計の含有割合が90重量%以上であることが好ましい。より好ましくは93重量%以上、さらに好ましくは95重量%以上、特に好ましくは98重量%以上である。上記含有割合が90重量%未満の場合は、電気泳動表示装置とした場合に本発明の効果が十分に発揮できないおそれがある。
【0054】
本発明のマイクロカプセル組成物を、そのまま若しくはバインダー等と混合して電気泳動表示装置に用いた場合、表示の長期安定性、応答性、表示の書き換え可能回数などの各種性能に優れ、特に、コントラストや画像の鮮明性に優れた性能を発揮する電気泳動表示装置とすることができる。本発明のマイクロカプセル組成物を用いて電気泳動表示装置を作製する場合は、例えば、該組成物をそのまま若しくはバインダー等と混合して、透明電極を有するフィルムなどに塗工し、その後他のフィルムをもってマイクロカプセルを配した塗工面をラミネートするという方法が好ましく挙げられるが、この方法において上述のマイクロカプセル組成物を用いた場合、上記塗工液を粘度において適度なチキソトロピー性を有するものとすることができ、かつ、上記塗工面を凹凸が少なくマイクロカプセル粒子の局在化や凝集も低減した均質な塗工面とすることができる。
【0055】
本発明のマイクロカプセル組成物の好ましい使用方法として、電気泳動表示装置用シートの製造が挙げられ、具体的には、本発明のマイクロカプセル組成物を特定の割合で含有する塗工液を調製し、基材に塗布して乾燥することにより電気泳動表示装置用シートを製造する。
すなわち、本発明にかかる電気泳動表示装置用シートの製造方法(以下、本発明のシートの製造方法と称することがある。)は、電気泳動表示装置用マイクロカプセル組成物を含有する塗工液を塗布して乾燥することにより電気泳動表示装置用シートを製造する方法において、前記組成物として本発明の電気泳動表示装置用マイクロカプセル組成物を用い、前記塗工液は、当該塗工液中のマイクロカプセル含有割合が25〜65重量%となるように前記組成物を配合して調製することを特徴とする。
【0056】
本発明のシートの製造方法においては、まず、本発明の電気泳動表示装置用マイクロカプセル組成物を含有する塗工液を調整する。具体的には、本発明の電気泳動表示装置用マイクロカプセル組成物に、必要に応じて、バインダー、添加剤、希釈用などの水系媒体などを添加して、塗工液を調製する。
前記バインダーとしては、例えば、水溶性型のバインダーやエマルション型のバインダーが挙げられる。
水溶性型のバインダーとしては、例えば、水溶性アルキド樹脂、水溶性アクリル変性アルキド樹脂、水溶性オイルフリーアルキド樹脂(水溶性ポリエステル樹脂)、水溶性アクリル樹脂、水溶性エポキシエステル樹脂、水溶性メラミン樹脂などが挙げられる。
【0057】
エマルション型のバインダーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキル共重合ディスパージョン、酢酸ビニル樹脂エマルション、酢酸ビニル共重合樹脂エマルション、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂エマルション、アクリル酸エステル(共)重合樹脂エマルション、スチレン−アクリル酸エステル共重合樹脂エマルション、エポキシ樹脂エマルション、ウレタン樹脂エマルション、アクリル−シリコーンエマルション、フッ素樹脂エマルションなどが挙げられる。
前記添加剤としては、例えば、粘度調整剤(増粘剤)、分散剤・湿潤剤、消泡剤、防かび剤・防腐剤などが挙げられる。これらの添加剤を含む場合、その含有割合は、所望の性能を有する塗工液が得られる範囲であれば、特に限定されない。
粘度調整剤(増粘剤)としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系粘度調整剤(増粘剤);ポリアクリル酸ナトリウム、アルカリ可溶性エマルション、会合型アルカリ可溶性エマルション等のポリカルボン酸系粘度調整剤(増粘剤);ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコールアルキルエステル、会合型ポリエチレングリコール誘導体等のポリエチレングリコール系粘度調整剤(増粘剤);ポリビニルアルコール等のその他の水溶性高分子;モンモリロナイト、ヘクトライト、サポナイト等のスメクタイト系粘度調整剤(増粘剤);などが挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
【0058】
分散剤・湿潤剤としては、例えば、ポリアクリル酸塩;スチレン−マレイン酸共重合体塩;ナフタレンスルホン酸塩のホルマリン縮合物;長鎖アルキル有機スルホン酸塩;ポリリン酸塩;長鎖アルキルアミン塩;ポリアルキレンオキサイド;ポリオキシアルキレンアルキルエーテル;ソルビタン脂肪酸エステル;パーフルオロアルキル基含有塩、パーフルオロアルキル基含有エステル、パーフルオロアルキル基含有オリゴマー等のフッ素系界面活性剤;アセチレンジオール;アセチレングリコール;などが挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
【0059】
消泡剤としては、例えば、シリコーン系消泡剤、プロルニック型消泡剤、鉱物油系消泡剤、ポリエステル系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤などが挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
防かび剤・防腐剤としては、例えば、有機窒素硫黄化合物、有機窒素ハロゲン化合物、クロルヘキシジン塩、クレゾール系化合物、ブロム系化合物、アルデヒド系化合物、ベンズイミダゾール系化合物、ハロゲン化環状硫黄化合物、有機砒素化合物、有機銅化合物、塩化イソチアゾロン、イソチアゾロンなどが挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
【0060】
本発明でいう塗工液においては、マイクロカプセルが均一に存在してなる塗工膜を得るために塗工液中にマイクロカプセルを均一に分散させておくことが好ましいが、その手段として、前記の添加剤に挙げたような、分散剤・湿潤剤の添加や、粘度調整剤(増粘剤)の添加などが挙げられる。
前記水系媒体としては、前述と同様のものが挙げられる。
前記塗工液を調整する際には、当該塗工液中のマイクロカプセル含有割合が25〜65重量%となるように前記組成物を配合する。好ましくは30〜60重量%、より好ましくは30〜55重量%、さらに好ましくは35〜50重量%である。塗工液中のマイクロカプセル含有割合が25重量%未満の場合は、マイクロカプセル濃度が低く、塗工面でマイクロカプセル同士が密に一層に並びにくく、空間が発生して表示抜けが生じるため、コントラストの低下や画像欠陥(表示欠陥)の原因となるおそれがある。また、65重量%を超える場合は、マイクロカプセル同士が凝集し、塗工液での分散性が問題となったり、十分分散できない場合は画像欠陥(表示欠陥)が生じたり、また、強力な分散を行うとマイクロカプセルにダメージを与えることとなり対向電極となる電極フィルムをラミネートする際の圧力でマイクロカプセル内の電気泳動性微粒子分散液が漏洩する等のおそれがある。これらのことから、得られた電気泳動表示装置においては、十分なコントラストが得られず、画像欠陥(表示欠陥)の多いものとなる。
【0061】
本発明のシートの製造方法においては、次に、調製した塗工液を基材に塗布して乾燥することにより電気泳動表示装置用シートを製造する。
前記基材としては、例えば、ITO付きPETフィルムのような透明導電性フィルム、銅貼りポリイミドフィルムのような導電層を有したフィルム、アルミニウム箔のような金属箔あるいはポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロールのような導電性ポリマーをコートしたフィルムが挙げられる。
塗工液を基材に塗布する方法としては、特に限定されず、従来公知の方法で塗布すればよい。
【0062】
前記乾燥条件は、特に限定されず、例えば、好ましくは15〜150℃、より好ましくは20〜120℃の温度範囲において、好ましくは1〜60分間、より好ましくは5〜45分間の時間、乾燥させればよい。
本発明にかかる電気泳動表示装置用マイクロカプセルの取り扱い方法(以下、本発明の取り扱い方法と称することがある。)は、溶媒中に電気泳動性微粒子を分散させた分散液を殻体に内包してなる電気泳動表示装置用のマイクロカプセルを、水系媒体中に存在させてなり且つマイクロカプセルの含有割合が30〜80重量%であるマイクロカプセル組成物の形態で、保管、保存および輸送その他の各種取り扱いをする方法である。
【0063】
本発明の取り扱い方法で取り扱う電気泳動表示装置用マイクロカプセルは、通常公知の電気泳動表示装置用のマイクロカプセルであればよく、どのような材料や製造方法により、どのような製造過程を経て得られたものであるかなどは特に限定はされない。また、使用用途を考慮して必要に応じ適宜分級処理などを施しておいてもよい。具体的には、例えば、一旦、マイクロカプセル化によって調製した後、単離・乾燥し、乾式で分級して得られた電気泳動表示装置用マイクロカプセルも、本発明の取り扱い方法でいう電気泳動表示装置用マイクロカプセルとすることができるが、好ましくは、上記本発明の製造方法により得られるマイクロカプセル組成物中の電気泳動表示装置用マイクロカプセルである。
【0064】
本発明でいう取り扱いとしては、上述した保管、保存および輸送の他にも、例えば、容器への充填、容器間での詰め替え、計量などが挙げられる。
本発明の取り扱い方法でいう水系媒体としては、特に限定はされないが、具体的には、上記本発明の製造方法において用いた水系媒体と同様のものが好ましい。
本発明の取り扱い方法においては、電気泳動表示装置用マイクロカプセルを水系媒体の存在下で取り扱うようにするが、水系媒体以外にも適宜必要に応じて他の成分を用いることができる。
【0065】
また、本発明の取り扱い方法においては、水系媒体なども含めた組成物全体中のマイクロカプセルの含有割合が30〜80重量%となるマイクロカプセル組成物の形態で取り扱うようにするが、上記含有割合は、より好ましくは35〜80重量%であり、さらにより好ましくは40〜80重量%である。上記含有割合が30重量%未満の場合は、塗料化した際のマイクロカプセル濃度が低く、塗工面でマイクロカプセル同士が密に一層に並びにくく、空間が発生して表示抜けが生じるため、コントラストの低下や画像欠陥(表示欠陥)の原因となるおそれがある。また、80重量%を超える場合は、マイクロカプセル同士が凝集し、塗料化での分散性が問題となったり、十分分散できない場合は画像欠陥(表示欠陥)が生じたり、また、強力な分散を行うとマイクロカプセルにダメージを与えることとなり対向電極となる電極フィルムをラミネートする際の圧力でマイクロカプセル内の電気泳動性微粒子分散液が漏洩する等のおそれがある。これらのことから、得られた電気泳動表示装置においては、十分なコントラストが得られず、画像欠陥(表示欠陥)の多いものとなる。
【0066】
【実施例】
以下に、実施例および比較例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。なお、以下では、便宜上、「重量部」を単に「部」と、「リットル」を「L」と記すことがある。
−実施例1−
500mLの4つ口フラスコに、酸化チタン(石原産業社製、商品名:タイペークCR−97)30g、ドデシルベンゼン261gにチタネート系カップリング剤(味の素社製、商品名:プレンアクトTTS)2gを仕込み、攪拌混合した後、55℃の超音波浴槽(ヤマト社製、製品名:BRANSON5210)に入れ、攪拌しながら超音波分散を2時間行い、酸化チタン分散液(1)を得た。
【0067】
上記分散液(1)中の酸化チタンの粒子径を測定した結果、体積平均粒子径は0.34μmであった。粒度分布の測定は、島津遠心沈降式粒度分布測定装置SA−CP3(島津製作所社製)で測定した。
この分散液(1)に、アントラキノン系青色オイル染料6gを溶解させ、青色に着色させた電気泳動表示装置用分散液(1)を得た。
予め、水60gにアラビアゴム5.5g、ゼラチン5.5gを溶解して43℃に保持された水溶液に、55℃にした電気泳動表示装置用分散液(1)105gをディスパー(特殊機化工業社製、製品名:ROBOMICS)攪拌下に添加し、攪拌速度を徐々に上げ、1050rpmで60分間攪拌して懸濁液を得た。
【0068】
この懸濁液に43℃の温水300mLを添加しながら、攪拌速度も徐々に下げ、500rpmとした。さらに、10%NaCO3水溶液0.75mLを添加した後、30分間保持した。11mLの10%酢酸溶液を25分間かけて定量添加した後、10℃以下に冷却した。
冷却状態で2時間保持した後、37%ホルマリン溶液3mLを30秒間で定量添加し、さらに10%NaCO3水溶液22mLを25分かけて定量添加した。攪拌をしながら常温に戻し、20時間熟成を行い、電気泳動表示装置用分散液(1)を殻体に内包したマイクロカプセル(1)を調製するとともに、このマイクロカプセル(1)が分散してなるマイクロカプセル分散体(1)を得た。
【0069】
この時点でマイクロカプセル(1)の粒子径を、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA−910(堀場製作所社製)で測定したところ、体積平均粒子径は67μmであった。
得られたマイクロカプセル分散体(1)を、10%NaCO3水溶液1.25mLを添加した水1500gで希釈し、目開き85μmのメッシュ篩をパスさせ、分液ロートに入れて静置した。静置してから7時間後に、上下に分離したうちの下液を抜き取り、残った上液に、10%NaCO3水溶液1.25mLを添加した水1500gを加え、手振りで均一混合して再分散し、その後静置した。この静置、下液の抜き取り、上液の再分散、という一連の操作を3回繰り返して、湿式分級を完了した。
【0070】
上記湿式分級後のマイクロカプセル分散体(1)を吸引濾過して濃縮し、分級されたマイクロカプセル(1)を含む濾過ケーキとしてマイクロカプセル組成物(1)を得た。分級されたマイクロカプセル(1)は、体積平均粒子径が74.6μmであり、最大ピーク粒子径が77.2μmであった(なお、上記最大ピーク粒子径は、体積基準の粒度分布の最大ピークに対応する粒子径である。以下同じ。)。また、上記最大ピーク粒子径を中心としてその40%粒子径の粒子径範囲に85体積%が存在している体積基準の粒度分布であった。さらに、マイクロカプセル(1)は、上記マイクロカプセル組成物(1)中に45重量%の含有割合で存在していた。これらの結果を表1に示す。
【0071】
−実施例2−
実施例1において、ドデシルベンゼンをハイゾールSAS296(日石化学社製)にした以外は同様の操作により、酸化チタン分散液(2)を得た。
上記分散液(2)中の酸化チタンの粒子径を、実施例1と同様の方法により測定したところ、体積平均粒子径は0.27μmであった。
この分散液(2)に、アントラキノン系青色オイル染料6gを溶解させ、青色に着色させた電気泳動表示装置用分散液(2)を得た。
その後、実施例1において、電気泳動表示装置用分散液(1)の代わりに電気泳動表示装置用分散液(2)を用い、ディスパーにより1050rpmで60分間攪拌したところを800rpmで60分間攪拌した以外は、同様の操作により、電気泳動表示装置用分散液(2)を殻体に内包したマイクロカプセル(2)を調製するとともに、このマイクロカプセル(2)が分散してなるマイクロカプセル分散体(2)を得た。
【0072】
この時点でのマイクロカプセル(2)の粒子径を、実施例1と同様の方法で測定したところ、体積平均粒子径は105μmであった。
得られたマイクロカプセル分散体(2)を、10%NaCO3水溶液1.25mLを添加した水1500gで希釈し、目開き130μmのメッシュ篩をパスさせた後、連続式湿式分級器サニタリーサイクロン((株)ニッポー製)を用い、粒径70μm以下のものを除いた。
上記湿式分級後のマイクロカプセル分散体(2)を吸引濾過して濃縮し、分級されたマイクロカプセル(2)を含む濾過ケーキとしてマイクロカプセル組成物(2)を得た。分級されたマイクロカプセル(2)の体積平均粒子径は113.2μmであり、最大ピーク粒子径は118.7μmであった。また、上記最大ピーク粒子径を中心としてその40%粒子径の粒子径範囲に81体積%が存在している体積基準の粒度分布であった。さらに、マイクロカプセル(2)は、上記マイクロカプセル組成物(2)中に58重量%の含有割合で存在していた。これらの結果を表1に示す。
【0073】
−実施例3−
実施例1と同様の方法により、マイクロカプセル(3)を調製するとともに、このマイクロカプセル(3)が分散してなるマイクロカプセル分散体(3)を得た。
この時点でマイクロカプセル(3)の粒子径を、実施例1と同様の方法により測定したところ、体積平均粒子径は65μmであった。
得られたマイクロカプセル分散体(3)を、実施例1と同様の方法により湿式分級した。
【0074】
上記湿式分級後のマイクロカプセル分散体(3)について、実施例1より吸引量を少なくした以外は同様に吸引濾過して濃縮し、分級されたマイクロカプセル(3)を含む濾過ケーキとしてマイクロカプセル組成物(3)を得た。分級されたマイクロカプセル(3)は、体積平均粒子径が70.7μmであり、最大ピーク粒子径が75.5μmであった。また、上記最大ピーク粒子径を中心としてその40%粒子径の粒子径範囲に88体積%が存在している体積基準の粒度分布であった。さらに、マイクロカプセル(3)は、上記マイクロカプセル組成物(3)中に33重量%の含有割合で存在していた。これらの結果を表1に示す。
【0075】
−実施例4−
実施例2と同様の方法により、マイクロカプセル(4)を調製するとともに、このマイクロカプセル(4)が分散してなるマイクロカプセル分散体(4)を得た。
この時点でマイクロカプセル(4)の粒子径を、実施例2と同様の方法により測定したところ、体積平均粒子径は112μmであった。
得られたマイクロカプセル分散体(4)を、目開き140μmのメッシュを用い、また、粒径80μm以下のものを除くようにした以外は、実施例2と同様の方法により湿式分級した。
【0076】
上記湿式分級後のマイクロカプセル分散体(4)について、実施例2より吸引量を多くした以外は同様に吸引濾過して濃縮し、分級されたマイクロカプセル(4)を含む濾過ケーキとしてマイクロカプセル組成物(4)を得た。分級されたマイクロカプセル(4)は、体積平均粒子径が121.8μmであり、最大ピーク粒子径が128.1μmであった。また、上記最大ピーク粒子径を中心としてその40%粒子径の粒子径範囲に80体積%が存在している体積基準の粒度分布であった。さらに、マイクロカプセル(4)は、上記マイクロカプセル組成物(4)中に75重量%の含有割合で存在していた。これらの結果を表1に示す。
【0077】
−比較例1−
実施例1と同様の方法により、マイクロカプセル(c1)を調製するとともに、このマイクロカプセル(c1)が分散してなるマイクロカプセル分散液(c1)を得た。
この時点でマイクロカプセル(c1)の粒子径を、実施例1と同様の方法により測定したところ、体積平均粒子径は67μmであり、最大ピーク粒子径が65.1μmであった。また、上記最大ピーク粒子径を中心としてその40%粒子径の粒子径範囲に51体積%が存在している体積基準の粒度分布であった。
【0078】
得られたマイクロカプセル分散体(c1)を、濾過、乾燥して、マイクロカプセル(c1)の粉体を得た。これらの結果を表1に示す。
−比較例2−
比較例1で得られたマイクロカプセル(c1)の粉体を、目開き85μmのメッシュに通し、比較例2のマイクロカプセル(c2)を得た。目開き85μmのメッシュに通した際、メッシュ上に残る凝集体が多く見られた。
メッシュを通して得たマイクロカプセル(c2)の粉体は、全量の31重量%であった。
【0079】
マイクロカプセル(c2)の粒子径を、実施例1と同様の方法により測定したところ、体積平均粒子径は67μmであり、最大ピーク粒子径が61.9μmであった。また、上記最大ピーク粒子径を中心としてその40%粒子径の粒子径範囲に53体積%が存在している体積基準の粒度分布であった。これらの結果を表1に示す。
以上のようにして得られた、マイクロカプセル組成物(1)〜(4)、および、粉体としてのマイクロカプセル(c1)および(c2)それぞれを用いて、下記手順により電気泳動表示装置(1)〜(4)、(c1)および(c2)を作成した。
【0080】
まず、塗工液を調製した。マイクロカプセル組成物(1)〜(4)のいずれか、あるいは、粉体としてのマイクロカプセル(c1)または(c2)と、バインダー用アクリルエマルション(固形分濃度45重量%)とを、マイクロカプセル/バインダー用アクリルエマルションの重量比が表2の通りとなるように混合し、さらに混合後に水を添加して、塗工液中のマイクロカプセル含有割合が表2の通りとなるようにし、塗工液(1)〜(4)、(c1)、(c2)とした。
次に、調製した塗工液をITO付きPETフィルムにアプリケーターで塗布した後、90℃で10分間乾燥させ、塗布シート(電気泳動表示装置用シート)を作成した。続いて、この塗布シートの塗布面に、別途ITO付きフィルムを重ねてラミネートすることにより、対向電極を有する電気泳動表示装置を作成した。
【0081】
マイクロカプセル組成物中の、マイクロカプセルの含有割合が低すぎる場合、必然的に塗工液の固形分濃度も低くなる。それに伴い、塗工液の粘度も下がり、塗工時のレベリング性が低下する。また、塗工膜も薄くなるため、マイクロカプセルどうしの間隔が開き「疎」の状態となる。塗工面では、マイクロカプセルが密に存在することが、表示物性を高め、なかでもコントラストに顕著に作用する。
得られた電気泳動表示装置(1)〜(4)、(c1)および(c2)それぞれについて、その両電極間に30Vの直流電圧を1秒間印加して、その後のコントラストを測定した。コントラストは、マクベス分光光度濃度計SpectroEye(Gretag Macbeth社製)を用い、青表示と白表示の反射率を測定して、その反射率比(コントラスト)(反射率比(コントラスト)=白反射率/青反射率)で表した。なお、反射率比は、電気泳動表示装置の対向電極に直流電圧を印加した時の表示(例えば青)の反射率を測定し、次に、極を切り替えて印加した時の表示(例えば白)の反射率を測定したうえで、両者の比を算出した値である。反射率は、電気泳動表示装置の片方の面全体について測定することとする。
【0082】
また、塗工面をマイクロスコープ((株)ハイロックス製、製品名:パワーハイスコープKH−2700)で光学的に拡大視して、マイクロカプセルの並び状態、および、マイクロカプセルの破損や欠陥(電気泳動しない)の状態を以下の基準で観察し評価した。
これらの結果を表1に示す。
〈マイクロカプセルの並び状態〉
◎:隙間無く密に充填されており、マイクロカプセルどうしの重なりも殆ど無く、凝集物は皆無。
【0083】
○:全体的に密な状態であるが、若干「疎」の部分あり。少しマイクロカプセルどうしの重なる部分もあるが、凝集物は皆無。
△:密な部分もあるが、「疎」の部分もかなりある。マイクロカプセルどうしの重なりは殆ど無いが、凝集物が見られる。
×:マイクロカプセルがばらけており、密な部分が殆ど無い。凝集物もかなりある。
〈マイクロカプセルの破損、欠損(電気泳動しない)〉
倍率200倍で任意の5視野(1視野あたり200〜400個のマイクロカプセルが存在)中に存在する、破損あるいは欠陥(電気泳動しない)マイクロカプセルの数をカウントした。
【0084】
【表1】
Figure 0004209268
【0085】
【表2】
Figure 0004209268
【0086】
【発明の効果】
電気泳動表示装置に用いた場合に、従来と同様、表示の長期安定性、表示応答性、コントラスト、表示の書き換え可能回数などの各種性能に優れ、なかでも特に、コントラストについて非常に高い性能を発揮させ得るマイクロカプセルを含む電気泳動表示装置用マイクロカプセル組成物、電気泳動表示装置用マイクロカプセル組成物の製造方法、電気泳動表示装置用シートの製造方法、および、電気泳動表示装置用マイクロカプセルの取り扱い方法を提供することができる。

Claims (13)

  1. 溶媒中に電気泳動性微粒子を分散させた分散液を殻体に内包してなる電気泳動表示装置用のマイクロカプセルと水系媒体とを含む、塗工液の調製に用いる組成物であって、
    前記組成物はマイクロカプセルを乾燥させる工程を経ることなく得られたものであり、
    前記組成物中のマイクロカプセルの含有割合が30〜80重量%である、
    ことを特徴とする、電気泳動表示装置用マイクロカプセル組成物。
  2. 前記マイクロカプセルは、体積平均粒子径が30〜150μmであり、かつ、体積基準の粒度分布が最大ピーク粒子径を中心としてその前後該最大ピーク粒子径の40%粒子径の粒子径範囲内に80体積%以上が存在する粒度分布である、請求項1に記載の電気泳動表示装置用マイクロカプセル組成物。
  3. 前記組成物中のマイクロカプセルと水系媒体との合計の含有割合が90重量%以上である、請求項1または2に記載の電気泳動表示装置用マイクロカプセル組成物。
  4. 溶媒中に電気泳動性微粒子を分散させた分散液を殻体に内包してなる電気泳動表示装置用のマイクロカプセルと水系媒体とを含む組成物の製造方法であって、
    電気泳動性微粒子を溶媒中に分散させる分散工程と、水系媒体存在下、前記分散工程で得られた電気泳動性微粒子分散液を殻体で内包することによりマイクロカプセルと水系媒体とを含む調製液を得るマイクロカプセル化工程とを含み、
    マイクロカプセルを乾燥させる工程を経ることなく、
    マイクロカプセルの含有割合が30〜80重量%の組成物を得る、
    ことを特徴とする、電気泳動表示装置用マイクロカプセル組成物の製造方法。
  5. 前記調製液に対して前記マイクロカプセルの分級を施す湿式分級工程と、前記分級後の分散体から水系媒体を減ずる濃縮を施す濃縮工程とを含む、請求項4に記載の電気泳動表示装置用マイクロカプセル組成物の製造方法。
  6. 前記湿式分級工程で用いる前記調製液中のマイクロカプセル濃度が15重量%以下である、請求項5に記載の電気泳動表示装置用マイクロカプセル組成物の製造方法。
  7. 電気泳動表示装置用マイクロカプセルを含有する塗工液を基材に塗布して乾燥することにより電気泳動表示装置用シートを製造する方法において
    記塗工液は、請求項1から3までのいずれかに記載の電気泳動表示装置用マイクロカプセル組成物を用いて、当該塗工液中のマイクロカプセル含有割合が25〜65重量%となるように調製されたものである
    ことを特徴とする、電気泳動表示装置用シートの製造方法。
  8. 溶媒中に電気泳動性微粒子を分散させた分散液を殻体に内包してなる電気泳動表示装置用のマイクロカプセルを、水系媒体中に存在させてなり、前記マイクロカプセルの含有割合が30〜80重量%であるマイクロカプセル組成物の形態で取り扱う、電気泳動表示装置用マイクロカプセルの取り扱い方法。
  9. 請求項1ないし3のいずれかに記載の電気泳動表示装置用マイクロカプセル組成物を用いて作製されている、電気泳動表示装置用シート。
  10. 溶媒中に電気泳動性微粒子を分散させた分散液を殻体に内包してなる電気泳動表示装置用のマイクロカプセルを含む電気泳動表示装置であって、前記マイクロカプセルが請求項1ないし3のいずれかに記載の電気泳動表示装置用マイクロカプセル組成物を用いて供給 されている、ことを特徴とする、電気泳動表示装置。
  11. 前記マイクロカプセルが、前記マイクロカプセル組成物を用いてマイクロカプセルの含有割合が25〜65重量%となるよう調製されている塗工液を基材に塗布し乾燥することによりシート化して用いられている、請求項10に記載の電気泳動表示装置。
  12. 溶媒中に電気泳動性微粒子を分散させた分散液を殻体に内包してなる電気泳動表示装置用のマイクロカプセルを含む電気泳動表示装置の製造方法であって、前記マイクロカプセルが請求項1ないし3のいずれかに記載の電気泳動表示装置用マイクロカプセル組成物を用いて供給されている、ことを特徴とする、電気泳動表示装置の製造方法。
  13. 前記マイクロカプセル組成物を用いてマイクロカプセルの含有割合が25〜65重量%となるよう塗工液を調製する工程と、該塗工液を基材に塗布して乾燥することにより電気泳動表示装置用シートを製造する工程とを含む、請求項12に記載の電気泳動表示装置の製造方法。
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