JP4676045B2 - 常温硬化性塗料組成物 - Google Patents

常温硬化性塗料組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸化硬化型のウレタン変性ビニル系樹脂を用いた、耐候性、耐水性に優れた弾性塗膜を形成し得る常温硬化性塗料組成物に関する。
【0002】
【従来技術及びその課題】
従来、常温硬化性を有し、かつ溶液状態で長期にわたり安定である塗料用樹脂としては、不飽和脂肪酸を用いたアルキド樹脂がよく知られており、建築内外装用塗料に汎用されているが、このアルキド樹脂は紫外線による耐候劣化を起こしやすく、屋外用途に用いるには性能的に不十分であった。この耐候性の問題を解決する手法として、例えば英国特許第793,776号公報に、脂肪酸で変性してなるアクリル樹脂が提案されている。しかしながら脂肪酸変性されたアクリル樹脂は、耐候性は少し改善されるものの、極性の低い軟質成分である脂肪酸を含有しているので、耐候性、耐水性や耐酸・耐アルカリ性などの塗膜性能がまだ十分とはいえないものであった。
【0003】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題を解決すべく鋭意検討した結果、脂肪酸変性されたアクリル樹脂を更にイソシアネート基を有する化合物で変性してなる樹脂を用いることにより、塗膜の耐候性、耐水性が向上し、また下層塗膜のクラック追随性にも優れていることを見出し本発明を完成するに至った。
【0004】
即ち本発明は、エポキシ基含有重合性不飽和モノマーと該モノマーと共重合可能な他の重合性不飽和モノマーとの共重合体であるエポキシ基含有ビニル共重合体(a)と、不飽和脂肪酸を含有する脂肪酸成分(b)との反応物に、さらにポリイソシアネート化合物(c)を有機錫化合物の存在下で反応させてなるウレタン変性ビニル系樹脂を、被膜形成成分として含有することを特徴とする有機溶剤型常温硬化性塗料組成物提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明においてウレタン変性ビニル系樹脂は、エポキシ基含有ビニル共重合体(a)と、不飽和脂肪酸を含有する脂肪酸成分(b)との反応物に、さらにイソシアネート基を有する化合物(c)を反応させてなる酸化硬化型の樹脂である。
【0006】
上記エポキシ基含有ビニル共重合体(a)の共重合成分であるエポキシ基含有重合性不飽和モノマーとしては、例えば(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸β−メチルグリシジル、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルプロピル、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0007】
他の重合性不飽和モノマーとしては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニルなどのアクリル酸又はメタクリル酸の炭素数1〜24のアルキル又はシクロアルキルエステル;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの如きα,β−エチレン性不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル類や、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートの如きアルキレンオキシド鎖と水酸基を有するα,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステルなどの水酸基含有モノマー;(メタ)アクリル酸1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル、(メタ)アクリル酸2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メタクリルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、スチレン、ビニルベンゼン、酢酸ビニル等を挙げることができる。
【0008】
エポキシ基含有ビニル共重合体(a)において、エポキシ基含有重合性不飽和モノマーと、上記他の重合性不飽和モノマーとの共重合比率は、通常、エポキシ基含有重合性不飽和モノマーが、3〜70重量%、好ましくは10〜50重量%の範囲内にあり、上記他の重合性不飽和モノマーが30〜97重量%、好ましくは50〜90重量%の範囲内にあることが、不飽和脂肪酸(b)と反応させる際の付加反応性、得られるエポキシ基含有ビニル共重合体(a)の溶剤への溶解性などの点から適当である。
【0009】
上記エポキシ基含有ビニル共重合体(a)において、水酸基含有モノマーの使用量の決定においては、ポリイソシアネート化合物(c)との反応の際に、ゲル化が起こらぬようにその量を決定すべきである。通常、水酸基含有モノマーの使用量は、ビニル共重合体(a)を構成するモノマー成分中、30重量%以下であることが適当である。
【0010】
上記エポキシ基含有ビニル共重合体(a)を得るための共重合方法は、とくに限定されるものではないが、脂肪酸成分(b)やイソシアネート基を有する化合物(c)との反応のさせやすさなどの面から、有機溶剤中にてラジカル重合開始剤の存在下で行う溶液重合法が好適である。
【0011】
上記エポキシ基含有ビニル共重合体(a)の溶液重合による合成に際して使用されるラジカル重合開始剤としては、例えば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系重合開始剤;ラウリルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド等の過酸化物系重合開始剤等を挙げられる。また溶液重合による合成に際して使用される有機溶剤としては、例えばn−ヘキサン、n−オクタン、2,2,2−トリメチルペンタン、イソオクタン、n−ノナン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤;ミネラルスピリット、「スワゾール1000」(コスモ石油社製品)、石油エーテル、石油ベンジン、石油ナフサ等の石油系溶剤;メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;酢酸イソブチル等のエステル系溶剤;イソプロパノール等のアルコール系溶剤等を単独で、あるいは2種以上を混合して、必要に応じて任意に用いることができる。
【0012】
上記エポキシ基含有ビニル共重合体(a)は、数平均分子量が1,000〜100,000、特に、2,000〜70,000の範囲内にあり、ガラス転移温度(Tg)が0〜100℃の範囲にあることが、得られる塗膜の物性及び速乾性の面から好適である。
【0013】
上記脂肪酸成分(b)は、不飽和脂肪酸を必須に含有し、必要に応じて飽和脂肪酸を含有する脂肪酸成分であり、ヨウ素価が約50〜200の範囲内にあることが適当である。ヨウ素価が約50未満になると塗膜の硬化性が低下し、一方、ヨウ素価が約200を越えると樹脂製造中にゲル化するおそれがあるので好ましくない。
【0014】
脂肪酸成分(b)の必須成分である不飽和脂肪酸の代表例としては、魚油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、大豆油脂肪酸、ゴマ油脂肪酸、ケシ油脂肪酸、エノ油脂肪酸、麻実油脂肪酸、ブドウ核油脂肪酸、トウモロコシ油脂肪酸、トール油脂肪酸、ヒマワリ油脂肪酸、綿実油脂肪酸、クルミ油脂肪酸、ゴム種油脂肪酸等が挙げられる。不飽和脂肪酸は、酸化硬化形の重合性不飽和基をもつ脂肪酸であって、本発明においてウレタン変性ビニル系樹脂に酸化硬化性を付与するものである。
【0015】
脂肪酸成分(b)が上記不飽和脂肪酸に加えて、さらに必要に応じて含有することができる飽和脂肪酸としては、例えば、ヤシ油脂肪酸、水添ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸等の不乾性油脂肪酸;カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等を挙げることができる。
【0016】
脂肪酸成分(b)の使用割合は、上記エポキシ基含有ビニル共重合体(a)の樹脂固形分100重量部に対して1〜60重量部、好ましくは5〜30重量部の範囲内にあることが、得られる塗膜の硬化性及び耐候性などの面から好適である。
【0017】
本発明において、上記エポキシ基含有ビニル共重合体(a)と脂肪酸成分(b)との反応は、共重合体(a)中のエポキシ基と脂肪酸成分(b)中のカルボキシル基とのエステル化反応に基くものであり、この反応によって通常、2級水酸基が生成する。この反応に際しては、必要に応じて、 N,N−ジメチルアミノエタノール等の3級アミン;臭化テトラブチルアンモニウム等の4級アンモニウム塩等の反応触媒を用いることができる。反応触媒を使用する場合には、その使用量は、共重合体(a)と脂肪酸成分(b)との合計100重量部に基いて0.01〜100重量部の範囲内が適当である。
【0018】
共重合体(a)と脂肪酸成分(b)との反応条件は、ゲル化などの反応上の問題を起こすことなく、共重合体(a)中のエポキシ基と脂肪酸成分(b)中のカルボキシル基とが反応できる条件であればよく、通常、約100〜170℃で、約2〜10時間加熱する条件が適当である。
【0019】
上記のようにして得られる脂肪酸変性共重合体に反応させるイソシアネートを有する化合物(c)は、例えばトリレンジイソシアネ−ト、キシリレンジイソシアネ−ト、フェニレンジイソシアネ−ト、ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、ビス(イソシアネ−トメチル)シクロヘキサン、テトラメチレンジイソシアネ−ト、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネ−ト、メチレンジイソシアネ−ト、イソホロンジイソシアネ−トなどの芳香族、脂環族又は脂肪族のポリイソシアネ−ト化合物、及びこれらのポリイソシアネ−ト化合物のイソシアヌレ−ト体やビュウレット体、これらのポリイソシアネ−ト化合物の過剰量にエチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、トリメチロ−ルプロパン、ヘキサントリオ−ル、ヒマシ油などの低分子活性水素含有化合物を反応させて得られる末端イソシアネ−ト含有化合物、リジントリイソシアネ−トなどを挙げることができる。
【0020】
上記イソシアネート基を有する化合物(c)の使用量は、上記脂肪酸変性共重合体中の水酸基に対するイソシアネート基を有する化合物(c)中のイソシアネート基の当量比(NCO/OH)が0.05〜2.0、好ましくは0.1〜1.2の範囲内になるように決定することが、形成される塗膜の耐候性や物性の面から好適である。
【0021】
前記(a)及び(b)の反応による脂肪酸変性共重合体に上記イソシアネート基を有する化合物(c)を反応させる際、その反応の進行程度によって、例えば反応系の粘度が上昇し適性範囲を超える場合には、アルコール類、フェノール類、ラクタム類、オキシム類などを適当量添加し、反応を制御することができる。
【0022】
前記脂肪酸変性共重合体とイソシアネート基を有する化合物(c)との反応は、必要に応じて、反応触媒の存在下において行うことができる。上記反応は、脂肪酸変性共重合体中の水酸基とイソシアネート基を有する化合物(c)中のイソシアネート基との反応によるものである。上記脂肪酸変性共重合体中の水酸基には、共重合体(a)中に初めから存在する水酸基、共重合体(a)と脂肪酸成分(b)との反応によって生成する水酸基がある。
【0023】
上記反応触媒としては、例えばジブチル錫ビス(アセチルアセトネート)、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジ(2−エチルへキシレート)、ジベンジル錫ジ(2−エチルヘキシレート)、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジイソオクチルマレエート、テトラブチルチタネート等の有機金属化合物等が挙げられる。これらの反応触媒は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0024】
上記反応触媒は、脂肪酸変性共重合体とイソシアネート基を有する化合物(c)との合計100重量部に対して、0.001〜5重量部、好ましくは0.005〜1重量部を用いることが反応の促進効果の点から適当である。
本発明の塗料組成物は、上記ウレタン変性ビニル系樹脂を被膜形成成分とするものであり、更に必要に応じて、酸化硬化反応触媒、顔料類、有機溶剤、紫外線吸収剤、光安定剤、表面調整剤、顔料分散剤、レオロジーコントロール剤、塗液皮張り防止剤、防カビ剤、防藻剤、可塑剤、消泡剤等の塗料用添加剤を含有することができる。
【0025】
上記酸化硬化反応触媒としては、例えばオクチル酸コバルト、ナフテン酸コバルト、オクチル酸マンガン、ナフテン酸マンガン、オクチル酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、オクチル酸鉛等の有機金属化合物を挙げることができる。
【0026】
またレオロジーコントロール剤としては、例えば酸化ポリエチレンや脂肪酸アマイドワックスなどの増粘剤、アルコキシシリル化合物又はその縮合物、さらには非水分散型樹脂などが挙げられ、これらは単独で又は併用して使用することができる。
【0027】
本発明組成物によって得られた塗膜は、表面光沢等の外観が非常に良好で、耐候性、耐薬品性、耐アルカリ性に優れており、かつ、酸化硬化反応触媒存在下では、塗装後わずか数時間で硬化でき、優れた常温硬化性を示す。
【0028】
本発明の塗料組成物は、金属、スレート、モルタルなどの素材面、これらの下塗り塗装(シーリング材、下地調整剤、厚付け材など)面、あるいは旧塗膜面などに適用可能であり、特にスレートやモルタルなどの無機建材用として、及びこれらに塗装された弾性を有する塗膜面上に有用である。
【0029】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。「部」及び「%」は、それぞれ「重量部」及び「重量%」を意味する。
【0030】
ウレタン変性ビニル系樹脂溶液の製造
製造例1
フラスコ中にミネラルスピリット100部を仕込み、窒素ガスを通気しながら、115℃まで撹拌を行いながら昇温した。次いで、温度を115℃に保ちながら下記のモノマーなどの混合物を4時間かけて滴下した。
【0031】
スチレン 20部
メタクリル酸n−ブチル 25部
メタクリル酸i−ブチル 10部
アクリル酸2−エチルヘキシル 25部
メタクリル酸グリシジル 20部
2,2′−アゾビスイソブチロニトリル 1部
ついで115℃で2時間熟成した後、140℃に昇温してからアマニ油脂肪酸30部及び反応触媒としてN,N−ジメチルアミノエタノール0.4部を加え、160℃で5時間保持して脂肪酸の付加反応を行った。樹脂酸価をKOH滴定法で追跡し、樹脂酸価が1.0以下になった時点を終点とした。反応終了後、キシレン45部を加えて希釈して不揮発分50%の褐色透明で粘調な脂肪酸変性共重合体溶液(A−1)を得た。
【0032】
該脂肪酸変性共重合体溶液(A−1)を100℃まで冷却し、その中に「デスモジュールH」(住友バイエルウレタン社製、ヘキサメチレンジイソシアネート)5部、ミネラルスピリット14部、キシレン6部及び反応触媒としてのジブチル錫ジラウレート0.05部を加え、同温度で2時間反応させて不揮発分約45%の褐色透明で粘調なウレタン変性ビニル系樹脂溶液▲1▼を得た。
【0033】
製造例2
製造例1において得られた50%脂肪酸変性共重合体溶液(A−1)275部に、「TPA−100」(旭化成社製、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート)12部、キシレン30部及び反応触媒としてのジブチル錫ジラウレート0.05部を加え、温度を100℃に保ちながら1時間反応させた。次いで、n−ブチルアルコール2部を加え、さらに1時間反応させて不揮発分約45%の褐色透明で粘調なウレタン変性ビニル系樹脂溶液▲2▼を得た。
【0034】
製造例3
製造例1において得られた50%脂肪酸変性共重合体溶液(A−1)275部に、「TSE−100」(旭化成社製、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレートを柔軟型に変性したもの)23部、ミネラルスピリット30部、キシレン15部及び反応触媒としてのジブチル錫ジラウレート0.05部を加え、温度を100℃に保ちながら1時間反応させた。次いで、n−ブチルアルコール2部を加え、さらに1時間反応させて不揮発分約45%の褐色透明で粘調なウレタン変性ビニル系樹脂溶液▲3▼を得た。
【0035】
製造例4
フラスコ中にミネラルスピリット100部を仕込み、窒素ガスを通気しながら、115℃まで撹拌を行いながら昇温した。次いで、温度を115℃に保ちながら下記のモノマーなどの混合物を4時間かけて滴下した。
【0036】
スチレン 15部
メタクリル酸n−ブチル 25部
メタクリル酸i−ブチル 10部
アクリル酸2−エチルヘキシル 25部
メタクリル酸グリシジル 20部
「RUVA−093」(注1) 5部
2,2′−アゾビスイソブチロニトリル 1部
ついで115℃で2時間熟成した後、140℃に昇温してからアマニ油脂肪酸30部及び反応触媒としてN,N−ジメチルアミノエタノール0.4部を加え、160℃で5時間保持して脂肪酸の付加反応を行った。樹脂酸価をKOH滴定法で追跡し、樹脂酸価が1.0以下になった時点を終点とした。反応終了後、キシレン45部を加えて希釈して不揮発分50%の褐色透明で粘調な脂肪酸変性共重合体溶液(A−2)を得た。
【0037】
該脂肪酸変性共重合体溶液(A−2)を100℃まで冷却し、その中に「デスモジュールH」(住友バイエルウレタン社製、ヘキサメチレンジイソシアネート)5部、ミネラルスピリット14部、キシレン6部及び反応触媒としてのジブチル錫ジラウレート0.05部を加え、同温度で2時間反応させて不揮発分約45%の褐色透明で粘調なウレタン変性ビニル系樹脂溶液▲4▼を得た。
(注1)「RUVA−093」:大塚カ化学社製、2−(2´−ヒドロキシ−5´−メタクリルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール
塗料組成物の作成
実施例1〜4及び比較例1
上記製造例にて得られた各45%ウレタン変性ビニル系樹脂溶液を用いて、表1に示す配合組成(固形分表示)にて、各成分を直径2mmのガラスビーズ250部と共に容量1リットルのマヨネーズ瓶に添加し、ペイントシェーカーにて2時間攪拌して顔料ペーストとした後、これに上記45%ウレタン変性ビニル系樹脂溶液及び硬化触媒としてナフテン酸コバルト、ナフテン酸鉛を同表に示すように添加し、均一になるまで撹拌を行ってから、ガラスビースを取り除いて各常温硬化性塗料組成物を得た。尚、比較例1では、ウレタン変性ビニル系樹脂溶液の代わりに脂肪酸変性共重合体溶液(A−1)を用いた。
【0038】
性能試験
上記実施例及び比較例で得られた各常温硬化性塗料組成物について、下記試験方法に基づいて各種試験を行った。その試験結果を後記表1に示す。
【0039】
試験方法
(*1)初期乾燥性:ガラス板上に各常温硬化性塗料組成物を300μmのアプリケーターで塗装後、20℃、70%RHで6時間放置後の塗膜の指触乾燥性を調べ下記基準で評価した。
【0040】
◎:全く指紋がつかない
○:わずかに指紋がつく
△:指紋がつく
×:塗膜が指に付着する
(*2)塗膜光沢:ガラス板上に各常温硬化性塗料組成物を300μmのアプリケーターで塗装後、20℃、70%RHの室内で1週間乾燥後の60°鏡面反射率を測定し、下記基準で評価した。
【0041】
◎:90%以上
○:80%以上、90%未満
△:70%以上、80%未満
×:70%未満
(*3)耐候性:「アレスレタン」(関西ペイント社製、白色の艶有り塗料)を塗装してなるスレート板上に、各常温硬化性塗料組成物を300μmのアプリケータで塗装し20℃、70%RHの室内で1週間乾燥後、サンシャイン・ウェザオ・メータにて1500時間曝露したときの光沢保持率で評価した。
【0042】
◎:90%以上
○:80%以上、90%未満
△:70%以上、80%未満
×:70%未満
(*4)耐水性:スレ−ト板上に各常温硬化性塗料組成物を300μmのアプリケーターで塗装し20℃、70%RHの室内で1週間乾燥させた後、該塗板を上水(20℃)に3日間浸漬した後の塗膜の状態を観察し下記基準で評価した。
【0043】
○:異常なし
△:わずかにフクレが認められる
×:著しくフクレが認められる
(*5)耐酸性:(*1)と同様にして得た塗板に、0.1Nの硫酸水溶液0.5ccを滴下し、20℃で24時間放置後、水洗して塗膜の状態を観察した。
【0044】
○:異常なし
△:わずかに白化が認められる
×:著しく白化及び表面のエッチングが認められる
(*6)温冷繰り返し試験:「アレスゴムタイルシーラー」(関西ペイント社製、シーラー)を塗布量150g/m2になるように刷毛塗りし、その上に「アレスゴムタイルラフ」(関西ペイント社製、外装用厚付け用主剤)を2mmブレードで引き塗りして塗り重ねたスレート板を24時間放置後、該塗板上に各常温硬化性塗料組成物を塗布量120g/m2になるように刷毛で塗装し、4時間放置後、さらに同じ常温硬化性塗料組成物を塗布量120g/m2になるように刷毛で塗り重ねて試験塗板を作成した。この試験塗板をJIS A−6909の温冷繰り返し試験に準じて、<水中18時間浸漬〜−20℃恒温器中で3時間冷却〜50℃恒温器中で5時間加温>を1サイクルとして15サイクル試験後の塗膜面の状態を目視で観察した。
【0045】
◎:異常なし
○:わずかにフクレが認められる
△:一部にワレ、フクレが認められる
×:全体に著しいワレ、フクレが認められる
【0046】
【発明の効果】
本発明の塗料組成物は、酸化硬化型ウレタン変性ビニル系樹脂を被膜形成成分とすることによって、得られる塗膜の耐候性、耐水性を向上させ、さらに下層塗膜のクラック追随性を確保したものである。従って本発明の塗料組成物は、建築外装用途、特に無機建材用として非常に有用である。
【0047】
【表1】
Figure 0004676045

Claims (2)

  1. エポキシ基含有重合性不飽和モノマーと該モノマーと共重合可能な他の重合性不飽和モノマーとの共重合体であるエポキシ基含有ビニル共重合体(a)と、不飽和脂肪酸を含有する脂肪酸成分(b)との反応物に、さらにポリイソシアネート化合物(c)を有機錫化合物の存在下で反応させてなるウレタン変性ビニル系樹脂を、被膜形成成分として含有することを特徴とする有機溶剤型常温硬化性塗料組成物。
  2. エポキシ基含有ビニル共重合体(a)が、エポキシ基含有重合性不飽和モノマーを3〜70重量%、他の重合性不飽和モノマーを30〜97重量%の割合で共重合してなる請求項1記載の常温硬化性塗料組成物。
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