JP4674288B2 - 歯科用材料。 - Google Patents

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Description

本発明は、キトサンと遺伝子本体であるDNA分子とから形成された生体親和性、抗菌性および良好な賦形性を有する反応物(DNA/キトサン複合体)を用いたインターカレートおよび/またはグルーブバインディングの歯科用の新しい機能性材料に関する。
遺伝子の本体であるDNA分子は、分子内にアニオン性の結合要素となるリン酸基を多数有しているアニオン性生体高分子である。このようにDNA分子がアニオン性を有する生体高分子であることに着目すると、カチオン性物質に対して静電的な親和性を示し、これらのカチオン性物質と静電的な反応物を形成させることが可能である。
また、アニオン性生体高分子であるDNA分子は、二重螺旋構造を有しており、こうした二重螺旋構造のDNA塩基の間隙に種々の低分子化合物を挟み込むようにインターカレートさせて、こうした低分子化合物を安定に内包させる可能性がある。更に、DNAの持つ2つの溝(主溝、副溝)は同様の低分子化合物をグルーブバインディングする可能性を有する。しかしながら、DNA分子は、賦形性に乏しく、水溶性であるため生体内での代謝拡散速度の調整に難点がある。
こうした技術知見に着目した発明者岡畑は、鋭意研究の結果、「水不溶性、自己支持性透明DNA・脂質複合体フィルムおよびその製造方法」の発明をした(特開平8-239398号)。当該特許公開公報には、「DNAのリン酸アニオン部とカチオン性脂質とを静電的に相互作用させて得られるDNA・脂質複合体であって、該カチオン性脂質が脂質間の会合力の弱い柔軟な脂質であり、該複合体を形成するDNAの二重らせん構造が破壊されずに保持されている前記DNA・脂質複合体からなる、水不溶性、自己支持性透明DNA・脂質複合体フィルムおよびその製造方法」の発明が開示されている。
この公報に開示されている水不溶性、自己支持性透明のDNA・脂質複合体フィルムは、具体的には、長鎖アルキル鎖とアンモニウム親水性成分を有する脂質に、アニオン性を有する生体高分子であるDNAを静電的に相互作用させて得られる水不溶性を有するDNA・脂質複合フィルムであり、また、DNAの二重螺旋構造は、このフィルム内でも保持されていることが示されている。
また、この公報には、このDNA・脂質複合フィルムは、色素等の吸着剤、偏光フィルム、導電性フィルム、分子分離膜、液晶フィルムなどとして使用することができると記載されている。例えば、DNAの二重螺旋構造を利用して、DNAの塩基対間に色素などをインターカレーションして吸着剤として使用すること、電子授受のためのドナーあるいはアクセプターをインターカレーションさせた導電性フィルム、分子分離膜、液晶フィルム、ポリマーとの混合による高分子材料として利用することが具体的に示されている。
更に、DNA分子と人工脂質との反応物そのもの、あるいは、これを不溶化させてフィルム状としたものは、DNAの有する二重螺旋構造の塩基間に他の物質をインターカレーションして安定に保持することが可能である旨示されている。
次に発明者の岡畑、福島らは、このようなDNA分子の有している特性に着目し、この特性を利用すれば、抗生物質などの薬効成分などを長期間にわたって安定に生体に供給し続けることが可能になるのではないかと考えた。
また、近年、有効な薬理作用を確保するとともに薬物の副作用を軽減し効果的な投与を図る目的のために薬物送達システム(DDS)という概念が提唱されている。この薬物送達システム(DDS)のために、上記DNA-結合薬剤の適用は、最も有効な薬物適用手段のひとつとなる可能性がある。たとえば、感染症も抗菌剤耐性菌の出現により複雑な様相を帯びている。特に局所にのみ病原体が生存し続ける慢性持続性感染症では、病原微生物と宿主との状況が複雑に影響していて、抗菌薬が有効量に達していても除菌されない現象に遭遇することも少なくない。一例として慢性気道感染症における上記現象の起因菌のほとんどは緑膿菌であり、そのような起因菌は、粘液物質を分泌してフィルム状の膜(バイオフィルム)を形成する。かかるバイオフィルム内の菌体は、抗菌活性の高い抗菌薬と接触する頻度が激減するため生き残ることができ、慢性化、難治化という結果をもたらす。このような現象は、局所におけるバイオフィルム感染症なる概念により説明されているが、従来の抗菌剤の通常の投与方法ではもはやその効果を充分に発揮し得ないことは明白である。
発明者の岡畑、福島らは、こうした点に着目して、研究した結果、「その成果として医療用または歯科用材料およびその方法」なる発明をした(特開2001-327591号)。当該公報には、その発明内容として「DNA・カチオン性脂質反応物を用いた、良好な賦形性、生体親和性および抗菌性を示すフィルムも含め、長期間使用しても異物に対する生体反応を起こすことがない、薬効成分をインターカレートおよび/またはグルーブバインディングして長期期間にわたって安定に供給することができ、歯牙などの修復も可能な医療用または歯科用の材料とその製造方法」が開示されている。
本発明は、発明者の岡畑、福島らのこうした一連の研究活動「DNAとカチオン性物質の反応物の研究」の中から開発されたものである。それはまず、医療用または歯科用の材料の開発に多数の当該カチオン性物質の中からキトサンを選んだことからはじまる。そして、当該キトサンとDNAの反応物の特性を調べ、その生体親和性など使用可能性や有用性の研究を行って、開発したものである。
更に、本発明の背景技術調査をした結果、近年核酸とカチオン性物質との複合化の研究開発が多方面で進められており、核酸(DNA)とキトサンの反応物(核酸/キトサン複合体)に関する先行発明が存在していることが解った。
その一例が「水不溶性核酸・キトサン複合体及びその製造法」である(特開平10-77235号)。当該特開平10-77235号公報には、「高い核酸の含有率を持ち、結合性が強く安定性も優れた核酸・キトサン複合体およびその製造法が提供されており、その解決手段は、核酸の結合と共にpH5前後に調整されたキトサン水溶液から析出されてなり、水不溶性である核酸・キトサン複合体と、pH5前後に調整したキトサン水溶液と、核酸水溶液とを混合して、析出物を得る製造法。」について開示されている。しかも、当該公報には「本発明の核酸・キトサン複合体は、核酸の抽出、分離、精製や蛋白質の精製など分子生物学の研究補助へと適用され、さらにドラッグデリバリーなど多岐にわたる応用が期待できると思われる。」と当該核酸・キトサン複合体の用途について単なる期待が開示されている。しかし、上記公開公報には、核酸とキトサンの反応物からなる複合体の医療用または歯科用材料として人体に与える影響や生体親和性や医療用材としての作用効果や実施可能性について一切言及されていない。従って、この公知文献からは、DNA/キトサン複合体の医療用または歯科用の材料としての用途やその技術的課題などについては到底想起できるものではない。
別の例として、「核酸含有複合体」という発明がある(特開2001-199903号)。当該公開公報には、「治療を必要とする部位に所望の核酸、DNAを長期にわたり持続し、またマクロファージ等の食細胞に取り込まれ且つ標的部位特異的に送達される、遺伝子分野の治療に特に好適な核酸とキトサン等の正に荷電している水不溶性の生分解性高分子からなる核酸含有複合体」の発明が開示されている。この発明は、核酸含有複合体が遺伝子治療の分野に特に好適であるとされているが、その構成は、核酸と正に荷電している水不溶性の生分解性高分子からなる核酸含有複合体であって、その構成要素は、正に荷電している水不溶性の生分解性高分子であればキトサンに限定されるものではない。すなわち、当該発明の技術的要部は、核酸含有複合体の優れた核酸徐放性という自然法則を利用して治療を必要とする部位に所望の核酸を供給して標的部位に特異的な核酸の機能発現を可能にするものである。これは核酸含有複合体を合成できて、優れた核酸徐放性を実現できる素材であれば良いだけのことである。
これに対し、本発明は、核酸徐放性を必要としていないし、核酸の供給や核酸の機能発現を目的にするものでもない。本発明で用いているDNAは二重螺旋構造を有するDNAとキトサンとの反応物でさえあれば良く、広く歯科用の材料として利用できるものである点で、両者はその基本的技術思想が相違するものである。
更に別の例として、先行発明「上皮細胞への遺伝子の送達に適当な組成物」がある(特表2001-500109号)。当該公報には、「ワクチン、薬剤、酵素、あるいはアンチセンス剤をコードする核酸を、哺乳動物の上皮表面に送達することを特徴とし、かつ表面電荷を有することを特徴とする、キトサンと核酸の粒状複合体」の発明が開示されている。
しかしながら、この公表公報の発明は、核酸が血管内皮細胞増殖因子遺伝子や肝細胞増殖因子遺伝子、あるいは薬剤や酵素をコードする核酸など、遺伝子やコード核酸といった機能発現情報を発現する核酸のキトサンとの複合化による治療技術に関する発明であり、用いられる核酸は機能情報を含み、その発現が可能であることが必須である。
これに対して、本発明で用いているDNAは二重螺旋構造を有するDNAであれば広く利用でき、遺伝子治療などに必須な特定の機能発現情報を持ち、またそれを発現する必要性はなく、本発明のDNAとキトサンの反応物は広く歯科用の材料として利用できるものであり、両者はその基本的技術思想が相違するものである。
特開平8-239398号公報「水不溶性、自己支持性透明DNA・脂質複合体フィルムおよびその製造方法」 特開2001-327591号公報「医療用または歯科用材料およびその製造方法」 特開平10-77235号公報「水不溶性核酸・キトサン複合体及びその製造法」 特開2001-199903号公報「核酸含有複合体」 特表2001-500109号公報「上皮細胞への遺伝子の送達に適当な組成物」
本発明は、前述したように発明者らの先行研究成果である前記特開2001-327591号公報の開示技術「DNA・カチオン性脂質反応物を用いた可能な医療用または歯科用の材料」の基本的発想を更に推し進めて開発したものである。従来技術として核酸とキトサンとの複合体の存在はあるが、全く異なる目的や用途のために当該複合体が存在するもので、本発明とは、その本質的技術思想が相違しており、全く別異の用途発明である。
特に、歯科用の材料として使用可能なDNA複合体というのは、そのDNA複合体自体の物性や構成物質自体の特性だけではなく、使用対象となる人間の生体や生理現象との相対的適合性の方が重要な必須条件になっているからである。すなわち歯科用の材料というのは、常に人体を使用対象とするものであって、生体親和性や細胞毒性や抗菌性など生体に対する安全性の確保が絶対的に必要な条件になるからである。また、DNA複合体の構成物質を用いていたとしても、異なる物性を用い、異なる自然法則を利用する場合は、その技術的思想が異なるので、全く別異な発明になる。
前述した先行発明に対し、本発明者らは、数多くのDNAと反応して複合体を形成できるカチオン物質のなかからキトサンを選定している。しかも当該キトサンには、DNAと反応して複合体を形成できる性質があるというだけでなく、医療用または歯科用に使用した場合でも使用対象となる人間の生体や生理現象との相対的適合性が非常に良好であるとの新たな技術的知見を得た。
そのうえで、本発明は、DNAとキトサンの反応物(以下、DNA/キトサン複合体という)を用いた歯科用の新しい機能性材料を提供せんとするものである。さらに詳しくは、良好な賦形性、生体親和性および抗菌性を示し、歯科用に適した形状を有する賦形物および賦形されていない形態の物からなるもので、長期間使用しても異物に対する生体反応を起こすことがない安全な歯科用の材料を提供せんとしたものである。
本発明は、DNAが有している特性を利用して、薬効成分をインターカレートおよび/またはグルーブバインディングすることができ、このインターカレートおよび/またはグルーブバインディングされた薬効成分を長期期間にわたって安定に生体や患部に送達または供給することができる歯科用の材料を提供せんとするものである。
上記のようにDNA/キトサン複合体は、生体親和性、抗菌性など使用対象となる人間との相対的適合性に優れた安全性の高いものであり、しかも薬効成分や骨形成誘導物質等の幅広い低分子化合物を包接し送達し放出するという有用性を備えており、しかも賦形性や形態・形状の調製が容易にできる取り扱い易さをも有しているものである。このように当該DNA/キトサン複合体は、歯科用の用途として優れた適合性と特性を発揮する物であることが解った。そこで、本発明では、DNA/キトサン複合体を主体とした新しい機能性材料を歯科用材料として提供することと、その調製方法を提供することを目的としているのである。
特許を受けようとする第1発明は、DNA特有の二重螺旋構造が壊されずに保持されており、且つ水に対する溶解性を実質的に有していないDNA/キトサン複合体の賦形物または賦形されていない形態の物分子量が300〜1300Daの範囲の低分子化合物である薬効成分若しくは骨再生誘導因子若しくは線維芽細胞成長因子又は組織再生誘導因子をインターカレートおよび/またはグルーブバインディングして当該薬効成分若しくは骨再生誘導因子若しくは線維芽細胞成長因子又は組織再生誘導因子を患部に送達、供給するようにしたことを特徴とする歯科用材料である。
まず、本発明のDNAとキトサンとの静電的反応物として得られるDNA/キトサン複合体について説明すると、賦形物または賦形されていない形態の物であって、当該複合体を形成するDNAに、DNA特有の二重螺旋構造が保持されたものが残されており、且つ当該複合体が、水に対する溶解性を実質的に有していないものである。
即ち本発明は、DNAと、このDNAと静電的に反応するキトサンとの反応物であるDNA/キトサン複合体を賦形して生成される賦形物または賦形されていない形態の物を歯科用の材料にしたものである。しかも当該DNA/キトサン複合体は、DNA特有の二重螺旋構造が壊されていないで残っていること、また、当該DNA/キトサン複合体が、実質的に水不溶解性になっていることが必要である。なぜなら、二重螺旋構造が壊されている場合には、重要な特性である低分子化合物をインターカレートおよび/またはグルーブバインディングする機能がなくなってしまい、有用性が失われてしまうからである。また、DNA/キトサン複合体が水溶解性を有している場合には、DNA/キトサン複合体そのものの析出と分離ができなくなるからである。このように実質的な実用性を欠く場合を除く意味がある。
本発明の構成要素であるDNA分子は、分子内にアニオン性の結合要素となるリン酸基を多数有しているアニオン性生体高分子である。このようにDNA分子がアニオン性を有する生体高分子であることに着目すると、カチオン性物質に対して静電的な親和性を示し、これらのカチオン性物質と静電的な反応物を形成させることが可能である。
これに対し、本発明において選定された構成要素のキトサンは、カニ甲羅やエビの殻などから得られるキチンをアルカリ処理して得られる脱アセチル化物のポリグルコサミンであって、カチオン性物質である。このため、DNA水溶液とキトサン水溶液とを混合すると、DNAとキトサンとが静電的に反応して溶液中に水不溶性のDNA/キトサン複合体が析出物として沈殿してくる。これを分離すれば簡単にDNA/キトサン複合体を得られる。
なお、DNAに紫外線を照射するとDNA塩基により紫外線が吸収され、DNA分子間に架橋構造が形成されて水に不溶化する。この特質を利用すれば、通常の方法では賦形物を形成できないキトサンからでもDNA/キトサン複合体を生成することができる。
こうして得られたDNAとキトサンとの静電的反応物であるDNA/キトサン複合体の特性を調べたところ、次のように医療用または歯科用の用途に用いた場合、好適な物質であることが解った。
DNA/キトサン複合体は、生体親和性と抗菌性に優れていて、移植により長期間使用しても異物に対する生体反応やアレルギー反応などを起こすことがない。本発明の医療用または歯科用の材料に使用される反応物は、非常に良好な生体親和性を示すため免疫反応、アレルギー、炎症反応、血栓反応などの異物に対する生体反応を惹起することがなく、また、発ガン性または催奇性なども有していない。したがって、上記の本発明の歯科用の材料として使用される賦形物も、可撓性とともに上述のように非常に良好な生体親和性を有している。即ち、本発明の歯科用の材料として使用される賦形物は、生体が異物質として極めて認識しにくいためであると考えられる。さらに生体中で使用された本発明の歯科用の材料は、生体に無害なデオキシリボ核酸とグルコサミンに分解するために高い安全性を有している。したがって本発明に係る反応物は、歯科用の材料物質として好適であり、非常に広範囲に使用することができる。
DNA/キトサン複合体は、良好な賦形性を有しており、歯科用に適した形状を有する賦形物になることができる。本発明の歯科用の材料は、DNAの有するアニオン性基であるリン酸基の一部と、キトサンの有するカチオン性基とが静電的に結合して所望の賦形性を発現させているのである。
DNA/キトサン複合体は、DNAが有している二重螺旋構造を有しており、この二重螺旋構造の塩基の間や溝に他の物質を安定に保持することができる。このDNAが有している特性を利用して、薬効成分や骨形成誘導因子などの低分子化合物をインターカレートおよび/またはグルーブバインディングすることができる。このインターカレートおよび/またはグルーブバインディング作用を活用すれば、薬効成分等を簡単に包接し、送達し、放出供給することができる。特に、インターカレートおよび/またはグルーブバインディングにより保持された薬効成分を生体内患部に移植し、その薬効成分を長期間にわたって生体内患部に安定的に送達供給することができるということは、歯科用の治療行為には極めて有用性の高い好適な機能となる。
DNA/キトサン複合体のDNAが本質的に有するリン酸基を利用して、たとえば歯牙や骨など再生や修復が可能となり、再生医療用の足場材または再生歯科用の足場材となすことができる。本発明のDNA/キトサン複合体は、DNAの有するアニオン性基であるリン酸基の一部と、キトサンの有するカチオン性基とが静電的に結合して所望の賦形性を発現させているが、DNA中には、キトサンに結合してない多数のリン酸基が残存している。このDNA中のリン酸基を活用して骨再生誘導因子(BMP)あるいは線維芽細胞成長因子(FGF)と静電的に結合させて使用することもできるが、DNA分子が内在するこうした因子を直接利用して、例えば歯牙の再生(具体的には、ハイドロキシアパタイト構造物の再構築など)を行うこともできる。
上記DNA/キトサン複合体は、水に対する溶解性を実質的に有していないことを特徴とする。DNAは本来水に溶解することから、このDNAを単独で用いたのでは賦形することはできない。本発明では、上記DNAがアニオン性を有していることを利用して、アニオン性のDNAと、上記カチオン性のキトサンとを静電的に反応させたものであり、実質的に水に溶解しなくなる。なお、DNA/キトサン複合体は有機溶媒には不溶であるからキャスト法での成型は不可能であるが、本発明に係るホウ酸緩衝液処理DNA/キトサン複合体懸濁液は流動性があり、この性質を利用すれば成型は可能である。
また、本発明は、DNAとキトサンとの静電的反応物で得られるDNA/キトサン複合体の賦形されていない形態の物であって、当該複合体を形成するDNAに、DNA特有の二重螺旋構造が保持されたものが残されており、且つ当該複合体が、水に対する溶解性を実質的に有していないものであっても良い。
蓋し、賦形されていない形態の物であっても、当該DNA/キトサン複合体は、前記第1発明の重要な特性は持っており、生体親和性と抗菌性に優れている点や、低分子化合物をインターカレートおよび/またはグルーブバインディング機能を有しており、使い方により充分な有用性を発揮するからである
また、本願発明に係る、前記DNA/キトサン複合体を形成するDNA、天然DNAおよび/または合成DNAであることを含むものであってもよい。
更に、本発明に係るDNAの概念の範囲を明確にすると、本願発明の歯科用の材料を形成するDNAとしては、天然DNAまたは合成DNAのいずれをも使用することができる。本発明で使用される天然DNAの例としては、細菌ウィルスのλファージDNA、大腸菌染色体DNA、仔牛胸腺DNA、サケ精子DNAを挙げることができる。また、合成DNAは、ポリ(dA)、ポリ(dT)、ポリ(dG)、ポリ(dC)、ポリ(dA−dT)、ポリ(dG−dC)などを用いて合成装置によって合成可能な、塩基配列の異なる種々の合成DNA; ポリ(A)、ポリ(T)、ポリ(G)、ポリ(U)、ポリ(A−T)、ポリ(G−U)などを用いて合成装置により合成可能な、塩基配列の異なる種々の合成RNA; ポリ(dG)、ポリ(U)、ポリ(G)、ポリ(dC)ポリ(dA−dT)、ポリ(A−T)などのDNA/RNAハイブリッドを用いて合成装置によって合成可能な、相補的塩基対を有するDNA/RNAハイブリッドを挙げることができる。これらは必要に応じて単独であるいは組み合わせて使用することができる。
このようなDNAは、二重螺旋を形成している四種類の塩基[シトシン(C)、グアニン(G)、アデニン(A)、チミン(T)]に種々の基(例えばリン酸含有基を末端に有する基)などが結合した構造を有しており、このDNA全体としては、例えば上記の末端に結合したリン酸基などに起因してアニオン性を示す。
このようなDNA自体は、二重螺旋構造を有する紐状物であり、また、このDNAは水に溶解することから、このDNAを単独で用いたのでは賦形することはできない。本発明では、上記DNAがアニオン性を有していることを利用して、アニオン性のDNAと、上記カチオン性のキトサンとを静電的に反応させたものであり、実質的に水に溶解しなくなる。
前記DNA/キトサン複合体を形成するキトサンは、分子量320(グルコサミン残基数2)以上である
上記DNAと静電的に反応させるキトサンは、カニやエビの殻、昆虫類、植物、微生物などを原料として調製することができる。本発明において、複合体の形成に使用されるキトサンとしては、分子量320(グルコサミン残基数2)以上のもの、好ましくは分子量1600(グルコサミン残基数10)以上のキトサンを使用することができる。このことは、DNAの水に対する不溶性を発現させるために、分子量1万以上のキトサンであることが望ましい。さらに分子量が小さく塩酸等と塩を形成しているキトサンを使用した場合には、DNAとの反応物が水溶性であり、この反応物をDNAの溶媒である水性媒体から分離することが困難なために複合体を形成する目的の場合には適しないからである。
尚、上述したDNA/キトサン複合体の特性や概念は、すべての本願発明について共通するものである。
第1発明は、DNA/キトサン複合体の大きな特性である、低分子化合物をインターカレートおよび/またはグルーブバインディングする機能を利用する基本発明である。本発明に係る医療用または歯科用の材料を形成する反応物において、DNAの有する二重螺旋構造が維持されていることは、得られた複合体についてX線回折法などの公知の分析法に得られた結果から確認することができた。かかるDNA構造の特徴を以下のように歯科用の材料に利用することができる。本発明に係るDNAとキトサンの反応物にあるDNA塩基の間隙に種々の低分子化合物を挟み込むようにインターカレートさせて、こうした低分子化合物を安定に内包させることができる。また、DNAの持つ二重螺旋構造の2つの溝(主溝、副溝)にも同様の低分子化合物をグルーブバインディングさせることもできる。DNAと良好にインターカレートあるいはグループバインディングする低分子化合物の分子量は、概ね300〜1300Daの範囲に分布しており、したがって、抗生物質を含めて、所望する多くの薬物が、DNAに包接される可能性がある。しかも、両者間の相互作用の内容は、個々のケースで全く別々であるので、具体的な適用方法によっては、インターカレーションやグルーブバインディングを利用できる可能性も大きいと言える。したがって、かかるDNAの特性を利用すれば、これを含むDNAとキトサンの反応物は、薬物送達システムとしての利用が可能である。包接される薬物は、抗生物質、抗菌剤などの抗感染症薬、抗がん剤、抗炎症薬、鎮痛薬、止血薬その他の薬物など極めて多岐にわたるが、これは、静電反応物の利用態様と密接に関係している。
つまり第1発明は歯科用材料に係るDNA/キトサン複合体を薬効成分等の送達システムとして使う場合の発明である。
上記目的に使用できる薬剤を具体的に例示すると、内用抗真菌薬として、アムホテリシンB、ナイスタチン、フルシトシン、ミコナゾール、フルコナゾール、イトラコナゾール、グリセオフルビン、テルビナフィンなど、外用抗真菌薬として、ピマリシン、トリコマイシンなどが挙げられる。また、抗がん剤として、塩酸ナイトロジェンマスタード−N−オキシド、クロラムブシル、メルファラン、シクロホスファミド、イホスファミド、ブスルファン、トシル酸インプロスルファン、カルボコン、チオテパ、タカルパジン、塩酸シムスチン、ラニムスチン、カルムスチン、ロムスチン、セムスチン、ストレプトゾシンなどのアルキル化剤が挙げられる。さらにメトトレキサート、5−フルオロウラシル、カルモフール、テガフール、ドキシフルリジン、フロクスウリジン、シタラビン、塩酸アンシタビン、エノシタビン、メルカプトプリン、チオイノシン−6−メルカプトプリンリボシド、6−チオグアニン、5−アザシチジンなどの代謝拮抗剤が挙げられる。抗がん性抗生物質として、塩酸ドキソルビシン、塩酸ダウノルビシン、塩酸アクラルビシン、塩酸エピルビシン、ピラルビシン、硫酸ペプロマイシン、塩酸プレオマイシン、硫酸ブレオマイシン、マイトマイシンC、アクチノマイシンD、クロモマイシンA3、ネオカルチノスタチンなどが挙げられる。植物由来のエトポシド、テニポシドのほか、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチン、硫酸ビンデシンなどの植物アルカロイドも挙げられる。さらに、免疫療法剤としてOK-432、PSK、レンチナン、シゾフィラン、ウベニメクス、インターフェロン−α、インターフェロン−α−2a、インターフェロン−α−2b、インターフェロン−β、インターフェロン−γなどが挙げられる。他に、クエン酸タモキシフェン、リン酸ジエチルスチルペステロール、酢酸メゲストロール、リン酸エストラムスチンナトリウム、メピチオスタン、エピチオスタノールなどのホルモン、シスプラチン、カルボプラチンなどの白金錯体、L−アスパラギナーゼ、塩酸プロカルバジン、ミトブロニトール、塩酸ミトキサントロン、アセグラトン、ミトタンなども例示できる。
上記のDNAへの薬物のインターカレーションやグルーブバインディングは、通常、水溶液中で行われる。例えば、インターカレーションやグルーブバインディングは、薬物溶液を、DNAを含む溶液へ撹拌しながら滴下していく添加の方法により簡便に行うことができる。薬物とDNA間の結合力および相互作用の様式は、DNAの塩基、糖残基などとの親和性、空間配置の状態などに影響される。したがって、薬物の選択に加えて、好ましくは濃度、pH、イオン強度、温度等の条件、およびリン酸系あるいはトリス系などの緩衝液または等張食塩水などの反応メディウムの種類を適宜、選択しあるいは調整することにより、インターカレーションやグルーブバインディングの最適の方法が見出される。さらに、包接された薬物の具体的な送達の方法や態様、放出条件なども、上記の相互作用を支配する諸条件を調節することにより適切に決定することができる。また、逆にDNAがさまざまな物質と特別の相互作用をし、上記インターカレーションなどにより複合体内に選択的に集積・分離できることを利用し、生体内で選択的吸着剤としての応用もできる。
特許を受けようとする第2発明は、前記DNA/キトサン複合体の賦形されていない形態の物に薬効成分をインターカレートおよび/またはグルーブバインディングしたものを溶液製剤、分散製剤、半固形製剤、粉粒体製剤又は成型製剤のいづれかの剤形に形成したことを特徴とする第1発明の歯科用材料である。
当該第2発明は、DNA/キトサン複合体の賦形されていない形態の物に薬効成分を包接させたものを剤形化した発明である。本発明に係るDNA/キトサン複合体は、賦形されていない形態の物なので、歯科用の材料として利用する態様は多岐にわたり、特定の対象あるいは用途に限定されるものではない。したがって、以下に示すものは具体的な利用の態様の例示であり、また、最良の形態を提示するものである。
本発明に係るDNA/キトサン複合体について賦形されていない形態の物を歯科用の材料として利用する態様は、特に限定されるものではないが、まず通常の薬剤と同様の状態で利用できる。即ち、賦形されていない形態の物とは、DNA/キトサン複合体であって、溶液状、スプレー噴霧液状、油性の半固形状、粉粒体状のものをいう。例えばこれを大きく分類すると、溶液製剤、分散製剤、半固形製剤、粉粒体製剤、成型製剤などの各種剤形が含まれる。さらに剤形の構成、その適用法などについても通常の薬剤と同様である。例えば、溶液製剤の具体例として注射液、経口薬などが考えられ、分散製剤の具体例としては水虫などの治療に用いるスプレー噴霧液剤などが挙げられる。さらに油性の半固形製剤、粉粒体製剤の場合には、例えば、傷薬などの軟膏剤、貼付剤、包帯剤、人工皮膚などに使用できる。また、粉粒体製剤の場合には、添加剤として多様な使い方ができる。その他の利用態様として、創傷被覆剤、止血材、各種衛生用品などが挙げられる。
特許を受けようとする第3発明は、前記DNA/キトサン複合体からなる賦形物に抗菌剤をインターカレートおよび/またはグルーブバインディングして抗菌剤を患部に送達、供給するようにしたことを特徴とする第1発明に記載の歯科用材料(抗菌材)である。
当該第3発明は、DNA/キトサン複合体を抗菌材としても使用する場合の発明である。例えば、所望する場合には水に不溶性の本発明に係るDNA/キトサン複合体を賦形して歯科用の材料として使用することもできる。この賦形物には、DNAに由来する二重螺旋構造や2つの溝が残存していることは既に述べたが、その主溝もしくは副溝に、あるいはこの二重螺旋構造を形成する塩基間に、低分子化合物を包接させることにより、この賦形物は、この低分子化合物を長期間にわたって安定に保持することができる。例えば、薬物である低分子化合物をインターカレーションやグルーブバインディングさせたシートを口腔組織内に埋入させることにより、DNAに包接された低分子化合物は長期間にわたって徐々に放出させることができる。これら薬剤をDNA/キトサン複合体賦形物内のDNAにインターカレートやグルーブバインディングして、感染または炎症を防止するための抗菌材としても使用することもできる。
特許を受けようとする第4発明は、前記抗菌剤が、抗歯周病菌剤であることを特徴とする第3発明に記載の歯科用材料(抗歯周病薬剤)である。
当該第4発明は、歯科領域において、歯周病菌に抗し得る薬液を本発明の歯科用の材料であるDNA/キトサン複合体賦形物にインターカレーションやグルーブバインディングして、このシートを歯茎などの患部近傍に埋入することにより、抗歯周病薬液が長期間にわたって患部に放出されることが実現できる。歯周病は、種々の菌によって引き起こされ、これらの菌に抗する薬剤(抗歯周病薬剤)の例としては、アモキシシリン、オフロキサシン、ミノサイクリン、アムホテリシンB、メトロニダゾールなどを挙げることができる。そして、こうしたフィルムの埋入によっては炎症反応あるいはアレルギー反応は生じない。
特許を受けようとする第5発明は、前記DNA/キトサン複合体からなる賦形物に薬剤や組織再生誘導因子をインターカレートおよび/またはグルーブバインディングしたものを用いて製造されたメンブレン、フィルム、ライニング材またはコーティング材にした歯科用材料であって、当該薬剤や組織再生誘導因子を患部や必要な箇所に送達、供給するようにしたことを特徴とする第1発明に記載の歯科用材料である。
特許を受けようとする第6発明は、前記DNA/キトサン複合体の賦形されていない形態の物に薬効成分をインターカレートおよび/またはグルーブバインディングしたものを溶液製剤、分散製剤、半固形製剤、粉粒体製剤又は成型製剤のうちいづれかの剤形に形成し、これを添加物として原料に加えたもので歯科用材料を製造し、当該歯科用材料を介して薬効成分を患部や必要な箇所に送達、供給するようにしたことを特徴とする第1発明に記載の歯科用材料である。
当該第6発明は、DNA/キトサン複合体の賦形されていない形態の物に薬効成分を包接させ剤形化したものを添加物とし、これを原料に加えたもので製造した医療用材料および/または歯科用材料の発明である。DNA/キトサン複合体を添加物として利用することにより、薬効成分をさまざまな原料に混入することによって、多様な歯科用の部材に薬効成分を保持させ送達供給することが出来るようになる。
特許を受けようとする第7発明は、前記DNA/キトサン複合体の賦形されていない形態の物に薬効成分をインターカレートおよび/またはグルーブバインディングしたものを溶液製剤、分散製剤、半固形製剤、粉粒体製剤又は成型製剤のうちいづれかの剤形に形成し、これを添加物として原料に加えたもので歯科用材料を製造し、当該歯科用材料を介して薬効成分を患部に送達、供給するようにしたことを特徴とする第1発明に記載の歯科用材料である。
当該第7発明は、第6発明の歯科領域におけるDNA/キトサン複合体を添加物として利用する場合の具体的実施態様発明である。この利用態様の場合には、歯科領域で特に有用性が高いものとなる。
本願発明は、第1発明から第7発明に記載の薬効成分若しくは骨再生誘導因子若しくは線維芽細胞成長因子又は組織再生誘導因子が分子量が概ね300〜1300Daの範囲の低分子化合物であることを特徴とする第1発明に記載の歯科用材料である。
DNAと良好にインターカレートあるいはグループバインディングする低分子化合物の分子量は、概ね300〜1300Daの範囲に分布しており、したがって、抗生物質を含めて、所望する多くの薬物が、DNAに包接される可能性がある。しかも、両者間の相互作用の内容は、個々のケースで全く別々であるので、具体的な適用方法によっては、インターカレーションやグルーブバインディングを利用できる可能性も大きいと言える。
以上のように本発明のDNA/キトサン複合体は、生体親和性が非常に良好であり、抗菌性も備えていることから人体を使用対象とする歯科用の材料として好適である。
本発明に係るDNA/キトサン複合体は、賦形物として使用しても、賦形されていない形態の物として使用してもよいが、特に賦形性に優れているので、移植材料として、創傷被覆材料として、再生医療用の足場材(scaffold材)として、移植材料の生体親和性向上材として、その他抗菌剤、止血材、各種衛生用品など医療用または歯科用の材料として多岐に利用することができる。
また本発明の歯科用の材料であるDNA/キトサン複合体の賦形物には、DNA分子が本質的に有している二重螺旋構造により、低分子化合物をインターカレーションやグルーブバインディングすることができるため、組織再生誘導因子(GTR)または薬剤などを保持し、患部など必要な箇所に送達し、供給することのできる送達システム(DDS)機能を有している。具体的には、組織再生誘導因子(GTR)または薬剤の送達機能を有する新たなメンブレン、フィルム、ライニング材またはコーティング材として利用することができる。
特に、本発明は、歯科領域での有用性が高いものである。具体的には、本発明の歯科用材料は、組織再生誘導因子(GTR)または薬剤の送達システム(DDS)機能を利用したフィルム、メンブレン、ライニング材またはコーティング材としての有用性が特に高いと言われている。その具体的理由は次のとおりである。即ち、生体親和性に優れる本発明の歯科用材料であるDNA/キトサン複合体の賦形物には、DNA分子が本質的に有している骨形成に必要なリン酸基が残存しており、これを利用することにより所望する場合に薬効成分など多様な物質を送達する送達システム(DDS)の機能を有している。したがってDNA/キトサン複合体の賦形物にインターカレーションやグルーブバインディングにより種々の薬物を賦形物内に取り込むことが可能である。取り込まれた薬物は、賦形物と共有結合で堅く結合しているのではないので、作用点において取り込まれた薬物を選択的に放出させることができる。また、その放出量、期間などの設定も可能である。例えば、抗生物質や抗菌剤などの抗感染症薬、抗炎症薬、鎮痛薬、止血薬その他の薬物などを賦形物に保持することにより、内服とは別形態の薬剤投与法として、歯肉、歯髄内、あるいは歯周ポケット内に直接に投与する目的に使用できる。一例として、歯周病の治療のための薬剤には、抗菌薬であるアモキシシリン、オフロキサシン、ミノサイクリン、抗真菌薬であるアムホテリシンB、抗原虫薬であるメトロニダゾールを挙げることができる。他の例として、骨再生誘導因子(BMP),線維芽細胞成長因子(FGF)などのサイトカインを組織へ浸透させるキャリヤーとして使用することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<DNA/キトサン複合体の製造>
上記キトサンを用いたサケ精子由来のDNA(300塩基対)の修飾はキトサン水溶液とDNA水溶液を混合して行う。
(a)用いた溶液
・DNA溶液;サケ精子由来DNA(300塩基対、ニチロ社製)を蒸留水に溶解する。(5mg/1ml)
・キトサン溶液;キトサン(分子量13万、ニチロ社製)を0.2N HCl50mlに溶解した。この溶液に0.2N NaOHと蒸留水を徐々に加え、pH5の溶液100mlとした。(5mg/1ml)
(b) キトサン水溶液とDNA水溶液からの合成
撹拌しているキトサン水溶液100mlにDNA水溶液を加え、1時間反応させた。反応後生じた沈殿物を遠心分離した。得られた沈殿物をトリス塩酸緩衝液(10mM, pH7.2)(以下Tris-HCl緩衝液という)60mlで洗浄し、再度遠心分離した。Tris-HCl緩衝液洗浄は2回行った。次に、蒸留水60mlで洗浄した後、遠心分離を行った。蒸留水洗浄は3回行った。得られた白色沈殿物を凍結乾燥した。収量は600mgで、リンの定量よりDNA/キトサン複合体の分子量比率は0.95/1であった。
上記の製造方法の中で反応物の濃度を変えた場合、すなわちDNA水溶液(7.5mg/1ml)とキトサン水溶液(2.5mg/1ml)あるいはDNA水溶液(2.5mg/1ml)とキトサン水溶液(7.5mg/1ml)を用いるとDNA/キトサン複合体の分子量比率は1.28/1と0.88/1で、収量は700mgと300mgであった。
上記の製造方法の中で緩衝液の種類を変えた場合はDNA/キトサン複合体中の気孔率と気孔径が異なる。
例えば、リン酸緩衝液(10mM、pH7.2、0.9%NaCl)(以下PBS緩衝液という)、HEPES緩衝液(10mM、pH7.2)よりTris-HCl緩衝液やホウ酸緩衝液(10mM, pH7.2)で洗浄したDNA/キトサン複合体中の気孔の数は多く、形態も大きい。(図1、図2)
上記の製造方法の中でDNA/キトサンの分子量比率が異なれば、同じ緩衝液で処理してもDNA/キトサン反応物中の気孔率と気孔径が異なる。例えば、Tris-HCl緩衝液で洗浄したDNA/キトサン複合体中のDNA含有量の少ない物の方が気孔率は大きい。(図3)
<DNA/キトサン複合体の細胞毒性>
マウスの線維芽細胞L-929細胞を20,000
cells/mlの濃度になるように調製し、96ウエルの各ウエルに0.1 ml播種した。24時間後に、実施例1で得たDNA/キトサン複合体、出発原料であるDNAおよびキトサン粉末を0.25mg/ml、0.5mg/mlおよび1mg/mlの濃度になるように培養液(EagleのMEM)で調製した後、順次希釈して、液交換を行い細胞に2日間作用させた。2日間後にMTS法にて細胞生存率を対照(試料未添加)群に対する百分率で表した(図4)。 キトサン単独よりDNA/キトサン反応物の方が細胞生存率はどの濃度でも明らかに高く、細胞毒性が無いことが示唆された。
<DNA/キトサン複合体の動物実験>
エーテル麻酔下で、生後7週齢のSD系雄性ラットの背部皮膚をメスで切開後、すみやかに皮下組織に、実施例1で得られたDNA/キトサン複合体を埋入し縫合した。この際、キトサン単体を埋入したもの、背部の皮膚切開のみを加えてそれぞれ縫合した実験を同時に行った。術後1,3,5,10日に背部皮下組織を摘出、10%ホルマリンにて2日浸漬固定後、通法どおりパラフィン包埋し、薄切後HE染色を施し検討した。
術後3日の標本において、DNA/キトサン複合体埋入群とキトサン単体埋入群で明らかな組織反応の違いがみられた。すなわち、DNA/キトサン複合体埋入群では、皮下組織の一部に複合体がわずかに残存するのみで、周囲組織の反応も極めて微弱であった(図5)のに対し、キトサン単体投与群では多量のキトサンがいまだ皮下組織中にみられ、残留キトサンに対し多量の白血球の浸潤も同時に観察され、周囲組織への起炎性も強かった(図6)。
その後、DNA/キトサン複合体埋入群では術後5日には、皮膚切開のみの対照群と同様の状態に回復したのに対し、キトサン単体埋入群では、術後10日にも相当量のキトサンの残留がみられ、同時に周囲組織に対する起炎性を保持していた。
<DNA/キトサン複合体のインターカレーションおよびグルーブバインディング>
抗ガン剤である赤色のドキソルビシンを蒸留水に溶解した。(200mg/ml) この溶液に実施例1で得られたDNA/キトサン複合体 3mgを添加し、3日間反応させた。反応液の吸光度(480nm)を測定して塩酸ドキソルビシンの残量を定量した。その結果、反応液中のドキソルビシンの濃度(8mg/ml)は減少しており、塩酸ドキソルビシンのインターカレーションが示唆された。また、DNA/キトサン複合体の赤色化は肉眼でも確認できた。その他の抗ガン剤(アクチノマイシン、ダウノマイシン、ダウノルビシン、ピラルビシン)も同様の結果が得られた。
<DNA/キトサン複合体による歯科用材料の製造>
医療用材料は治療部位や治療方法によって要求される形態や状態は異なる。DNA/キトサン複合体は治療方針に適合した形態や状態の調整が可能である。例えば、実施例1で得られたDNA/キトサン複合体をフィルター上に置いたテフロン製リング(高さ1mm、内径5mm)に注入し、ろ過後、凍結乾燥すれば円盤状の形態となる。したがって、モールドの形態を調整すればいかなる形態の成形物も得られる。さらに、緩衝液を選択すれば気孔率の調整も可能となる。また、ホウ酸緩衝液やTris-HCl緩衝液で洗浄したDNA/キトサン複合体を蒸留水に入れ、撹拌すれば容易に懸濁し流動性を示す。この懸濁液中のDNA/キトサン複合体は注射針を通る。したがって、注射器による投与も可能である。
本発明の歯科用の材料物質は、DNAとキトサンとの反応物から形成されており生体親和性に非常に優れているため、広範な利用が可能な歯科用の新規材料が提供される。特に、その特性から歯科領域での有用性が高く、再生医療分野での用途に好適であるため、その分野での利用が期待される。
DNA/キトサン複合体を合成中に緩衝液の種類を変えた場合のDNA/キトサン複合体中の気孔率と気孔径が異なる状態を示す写真であり、図中(イ)は、HEPES緩衝液で洗浄した場合の気孔率と気孔径の状態を示す写真で、(ロ)は、リン酸緩衝液(PBS緩衝液)で洗浄した場合の気孔率と気孔径の状態を示す写真である。 DNA/キトサン複合体を合成中に緩衝液の種類を変えた場合のDNA/キトサン複合体中の気孔率と気孔径が異なる状態を示す写真であり、図中(ハ)は、Tris-HCl緩衝液で洗浄した場合の気孔率と気孔径の状態を示す写真で、(ニ)は、ホウ酸緩衝液で洗浄した場合の気孔率と気孔径の状態を示す写真である。 同じ緩衝液(Tris-HCl緩衝液)で洗浄したDNA/キトサン複合体中のDNA含有量による気孔率と気孔径が異なる状態を示す写真である。 DNA/キトサン複合体の細胞毒性試験における細胞生存率の測定値を示すグラフである。 DNA/キトサン複合体の動物実験における組織反応の違いを示す写真である。 キトサン単独投与群の動物実験における組織反応の違いを示す写真である。

Claims (7)

  1. DNA特有の二重螺旋構造が壊されずに保持されており、且つ水に対する溶解性を実質的に有していないDNA/キトサン複合体の賦形物または賦形されていない形態の物分子量が300〜1300Daの範囲の低分子化合物である薬効成分若しくは骨再生誘導因子若しくは線維芽細胞成長因子又は組織再生誘導因子をインターカレートおよび/またはグルーブバインディングして当該薬効成分若しくは骨再生誘導因子若しくは線維芽細胞成長因子又は組織再生誘導因子を患部に送達、供給するようにしたことを特徴とする歯科用材料。
  2. 前記DNA/キトサン複合体の賦形されていない形態の物に薬効成分をインターカレートおよび/またはグルーブバインディングしたものを溶液製剤、分散製剤、半固形製剤、粉粒体製剤又は成型製剤のいづれかの剤形に形成したことを特徴とする請求項1に記載の歯科用材料。
  3. 前記DNA/キトサン複合体からなる賦形物に抗菌剤をインターカレートおよび/またはグルーブバインディングして抗菌剤を患部に送達、供給するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の歯科用材料。
  4. 前記抗菌剤が、抗歯周病菌剤であることを特徴とする請求項3に記載の歯科用材料。
  5. 前記DNA/キトサン複合体からなる賦形物に薬剤や組織再生誘導因子をインターカレートおよび/またはグルーブバインディングしたものを用いて製造されたメンブレン、フィルム、ライニング材またはコーティング材にしたの歯科用材料であって、当該薬剤や組織再生誘導因子を患部や必要な箇所に送達、供給するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の歯科用材料。
  6. 前記DNA/キトサン複合体の賦形されていない形態の物に薬効成分をインターカレートおよび/またはグルーブバインディングしたものを溶液製剤、分散製剤、半固形製剤、粉粒体製剤又は成型製剤のうちいづれかの剤形に形成し、これを添加物として原料に加えたもので医療用材料および/または歯科用材料を製造し、当該歯科用材料を介して薬効成分を患部に送達、供給するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の歯科用材料。
  7. 前記DNA/キトサン複合体の賦形されていない形態の物に薬効成分をインターカレートおよび/またはグルーブバインディングしたものを溶液製剤、分散製剤、半固形製剤、粉粒体製剤又は成型製剤のうちいづれかの剤形に形成し、これを添加物として添加した原料でプライマー、ボンディング剤、コンボジットレジン、仮封材、裏層材、根管充填材、歯周包帯材、合着用セメント、ダイレクトボンディング材、デンチャー、リベース材、デンチャー用抗菌剤といった歯科材料を製造し、当該歯科材料を介して前記薬効成分を患部に薬効成分を送達、供給するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の歯科用材料。
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