JP2001327591A - 医療用または歯科用材料およびその製造方法 - Google Patents

医療用または歯科用材料およびその製造方法

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JP2001327591A JP2000243073A JP2000243073A JP2001327591A JP 2001327591 A JP2001327591 A JP 2001327591A JP 2000243073 A JP2000243073 A JP 2000243073A JP 2000243073 A JP2000243073 A JP 2000243073A JP 2001327591 A JP2001327591 A JP 2001327591A
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Shigeo Okahata
畑 恵 雄 岡
Tadao Fukushima
島 忠 男 福
Yusuke Inoue
上 勇 介 井
Mitsuharu Miyazaki
崎 光 治 宮
Kunihisa Taniguchi
口 邦 久 谷
Toru Hayakawa
川 徹 早
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】本発明の医療用または歯科用の材料は、D
NAとカチオン性人工脂質との静電的反応物からなる。
非フィルムの形態で利用される医療用または歯科用の材
料は、DNAとカチオン性人工脂質との静電的反応物か
らなる。さらにDNAと炭素数9以上のアルキル基を有
するカチオン性人工脂質との静電的反応物をフィルム状
に賦形してなることを特徴としている。 【効果】本発明の医療用または歯科用の材料物質は、D
NAと人工脂質との静電的反応物から形成されており生
体親和性に非常に優れ抗菌性もよく保持されているた
め、広範な利用が可能な医療用または歯科用の新規材料
が提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、カチオン性人工脂質と遺
伝子本体であるDNA分子とから形成された生体親和性
および抗菌性を有する反応物からなる医療用または歯科
用の材料およびその製造方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】遺伝子の本体であるDNA分子
は、分子内にアニオン性の結合要素となるリン酸基を多
数有しているアニオン性生体高分子である。このように
DNA分子がアニオン性を有する生体高分子であること
に着目すると、カチオン性物質に対して静電的な親和性
を示し、これらのカチオン性物質と静電的な反応物を形
成させることが可能である。
【0003】一方、アニオン性生体高分子であるDNA
分子は、二重螺旋構造を有しており、こうした二重螺旋
構造のDNA塩基の間隙に種々の低分子化合物を挟み込
むようにインターカレートさせて、こうした低分子化合
物を安定に内包させる可能性がある。また、DNAの持
つ2つの溝(主溝、副溝)は同様の低分子化合物をグル
ーブバインディングする可能性を有する。しかしなが
ら、DNA分子は、賦形性に乏しく、水溶性であるため
生体内での代謝拡散速度の調整に難点がある。
【0004】こうした点に着目して、特開平8-239398号
公報には、「DNAのリン酸アニオン部とカチオン性脂
質とを静電的に相互作用させて得られるDNA・脂質複
合体であって、該カチオン性脂質が脂質間の会合力の弱
い柔軟な脂質であり、該複合体を形成するDNAの二重
らせん構造が破壊されずに保持されている前記DNA・
脂質複合体からなる、水不溶性、自己支持性透明DNA
・脂質複合体フィルム」の発明が開示されている。
【0005】この公報に開示されている自己支持性透明
のDNA・脂質複合体フィルムは、具体的には、長鎖ア
ルキル鎖とアンモニウム親水性成分を有する脂質に、ア
ニオン性を有する生体高分子であるDNAを静電的に相
互作用させて得られる水不溶性を有するDNA・脂質複
合フィルムであり、また、DNAの二重螺旋構造は、こ
のフィルム内でも保持されていることが示されている。
【0006】そして、この公報には、このDNA・脂質
複合フィルムは、色素等の吸着剤、偏光フィルム、導電
性フィルム、分子分離膜、液晶フィルムなどとして使用
することができると記載されている。例えば、DNAの
二重螺旋構造を利用して、DNAの塩基対間に色素など
をインターカレーションして吸着剤として使用するこ
と、電子授受のためのドナーあるいはアクセプターをイ
ンターカレーションさせた導電性フィルム、分子分離
膜、液晶フィルム、ポリマーとの混合による高分子材料
として利用することが具体的に示されている。
【0007】しかしながら、上記公開公報には、DNA
と、静電的に相互作用させるカチオン性脂質として、具
体的に示されているカチオン性脂質としては、N,N,N-ト
リメチル-N-(3,6,9,12-テトラオキシドコシル)アンモニ
ウム塩、N,N,N-トリメチル-N-(3,6,9,12,15,18,21,24-
オクタオキサテトラトリアコンチン)アンモニウム塩な
どのアンモニウム塩である。DNA・脂質複合フィルム
を製造する際には、この複合体が水に対して不溶性であ
る必要があり、また、気散しやすい有機極性溶媒に対し
て良好に溶解するという特性が必要になるが、上記公開
公報には、DNA・脂質複合体に、水不溶性という特性
を賦与するための構成およびフィルム形成のために有機
極性溶剤に溶解させるための構成が必要かつ充分には特
定されていない。
【0008】また、DNA分子と人工脂質との反応物そ
のものあるいは、これを不溶化させてフィルム状とした
ものは、DNAの有する二重螺旋構造の塩基間に他の物
質をインターカレーションして安定に保持することが可
能である。このようなDNA分子の有している特性を利
用すれば、抗生物質などの薬効成分、骨形成誘導物質な
どを長期間にわたって安定に生体に供給し続けることが
可能になる。
【0009】近年、有効な薬理作用を確保するとともに
薬物の副作用を軽減し効果的な投与を図る目的のために
薬物送達システム(DDS)という概念が提唱されてい
る。このDDSのために、上記DNA-結合薬剤の適用は、
最も有効な薬物適用手段のひとつとなる可能性がある。
たとえば、感染症も抗菌剤耐性菌の出現により複雑な様
相を帯びている。特に局所にのみ病原体が生存し続ける
慢性持続性感染症では、病原微生物と宿主との状況が複
雑に影響していて、抗菌薬が有効量に達していても除菌
されない現象に遭遇することも少なくない。一例として
慢性気道感染症における上記現象の起因菌のほとんどは
緑膿菌であり、そのような起因菌は、粘液物質を分泌し
てフィルム状の膜(バイオフィルム)を形成する。かか
るバイオフィルム内の菌体は、抗菌活性の高い抗菌薬と
接触する頻度が激減するため生き残ることができ、慢性
化、難治化という結果をもたらす。このような現象は、
局所におけるバイオフィルム感染症なる概念により説明
されているが、従来の抗菌剤の通常の投与方法ではもは
やその効果を充分に発揮し得ないことは明白である。
【0010】しかしながら、こうした用途にDNA・カ
チオン性脂質複合体を使用する場合には、この複合体の
生体に対する親和性が問題になる。そして、上記公報に
は、DNA・脂質複合体からなる複合体の生体親和性に
ついては明確には記載されていない。
【0011】
【発明の目的】本発明は、DNA・脂質反応物を用いた
医療用または歯科用の新しい機能性材料を提供すること
を目的としている。さらに詳しくは本発明は、良好な賦
形性、生体親和性および抗菌性を示すフィルムも含め、
長期間使用しても異物に対する生体反応を起こすことが
ない医療用または歯科用の材料を提供することを目的と
している。
【0012】また、本発明は、DNAが有している特性
を利用して、薬効成分をインターカレートおよび/また
はグルーブバインディングすることができ、このインタ
ーカレートおよび/またはグルーブバインディングされ
た薬効成分を長期期間にわたって安定に供給することが
できる医療用または歯科用の材料を提供することを目的
としている。
【0013】さらに、このような薬効成分をインターカ
レートやグルーブバインディングしない場合であって
も、DNAが本質的に有する特性を利用して、たとえば
歯牙などの修復が可能な歯科用の材料を提供することを
目的としている。また、本発明は、上記のようなDNA
・人工脂質静電的反応物の製造方法およびそれからフィ
ルムを製造する方法を提供することを目的としている。
【0014】
【発明の概要】本発明に係る医療用材料は、DNAとカ
チオン性人工脂質との静電的反応物をフィルム状に賦形
してなることを特徴とする。上記カチオン性人工脂質
は、炭素数9以上のアルキル基を有するn-アルキルアル
コールとL-アミノ酸との反応物であることを特徴とし
ている。
【0015】また、上記カチオン性人工脂質は、炭素数
1〜8個のアルキル基を有するn-アルキルアルコールと
L-アミノ酸との反応物であってもよい。上記DNAと
カチオン性人工脂質との静電的反応物は、水に対する溶
解性を実質的に有していないことを特徴としている。さ
らに上記フィルム状に賦形されたDNAとカチオン性人
工脂質との静電的反応物中には、DNAの有する二重螺
旋構造が保持されていることを特徴としている。
【0016】本発明に係る歯科用材料は、 DNAと炭
素数9以上のアルキル基を有するカチオン性人工脂質と
の静電的反応物をフィルム状に賦形してなることを特徴
とする。上記歯科用材料において、上記静電的反応物の
カチオン性人工脂質は、炭素数9以上のアルキル基を有
するn-アルキルアルコールとL-アミノ酸との反応物で
ある。
【0017】上記DNAとカチオン性人工脂質との静電
的反応物は、水に対する溶解性を実質的に有していない
ことを特徴とする。さらに上記歯科用材料である、フィ
ルム状に賦形されたDNAとカチオン性人工脂質との静
電的反応物中には、DNAの有する二重螺旋構造が保持
されていることを特徴としている。
【0018】上記歯科用材料に使用される、DNAとカ
チオン性人工脂質との静電的反応物からなるフィルムに
は、抗歯周病菌剤がインターカレートおよび/またはグ
ルーブバインディングされてもよい。また、上記歯科用
材料に使用される、DNAとカチオン性人工脂質との静
電的反応物からなるフィルムには、骨形成誘導物質がイ
ンターカレートおよび/またはグルーブバインディング
されてもよい。
【0019】上記歯科用材料に使用される、DNAとカ
チオン性人工脂質との静電的反応物からなるフィルムに
含有されるリン酸残基を利用して歯牙にハイドロキシア
パタイト構造を形成させることができる。さらに上記フ
ィルムを用いて歯質表面を被覆することができる。本発
明による医療用材料の製造方法は、p-トルエンスルホン
酸―水和物の存在下に、アルキル基を有するn-アルキル
アルコールとL-アミノ酸とを反応させてカチオン性人工
脂質を調製し、次いで、該カチオン性人工脂質とDNA
とを静電的に反応させて静電的反応物を得、該静電的反
応物を有機極性溶媒に溶解させて静電的反応物を含有す
る有機極性溶液を調製し、該静電的反応物を含有する有
機極性溶液を剥離性基板表面に流涎した後、有機極性溶
媒を除去して該静電的反応物をフィルム状に賦形するこ
とを特徴としている。
【0020】上記のようにして得られたフィルム状医療
用材料は、薬効成分をインターカレートおよび/または
グルーブバインディングさせてもよい。本発明に係る、
非フィルムの形態で用いる医療用材料は、DNAとカチ
オン性人工脂質との静電的反応物からなる。上記DNA
と反応させるカチオン性人工脂質は、アルコールとL-
アミノ酸との反応物であることを特徴とする。
【0021】医療用材料に使用される、上記DNAとカ
チオン性人工脂質との静電的反応物中には、DNAの有
する二重螺旋構造が保持されていることを特徴としてい
る。上記DNAとカチオン性人工脂質との静電的反応物
からなる組成物には薬剤がインターカレートおよび/ま
たはグルーブバインディングされてもよい。
【0022】上記医療用材料の製造方法は、p-トルエン
スルホン酸―水和物の存在下に、アルコールとL-アミノ
酸とを反応させてカチオン性人工脂質を調製し、次い
で、該カチオン性人工脂質とDNAとを静電的に反応さ
せて静電的反応物を得ることを特徴としている。上記の
ようにして得られる医療用材料において、薬剤をインタ
ーカレートおよび/またはグルーブバインディングさせ
てもよい。
【0023】本発明のDNAと特定の炭素数を持つ直鎖
アルキル基を有するカチオン性人工脂質との静電的反応
物は、医療用または歯科用の材料に求められる生体親和
性を示す。また、この医療用または歯科用の材料はDN
Aの有する二重螺旋構造を保持しており、この二重螺旋
構造の塩基の間や溝に他の物質を安定に保持することが
できるが、人工脂質との反応比の調整によってDNA中
のリン酸基の残存数の調整も可能である。したがって、
本発明の医療用または歯科用の材料は、例えば歯周病菌
に抗し得る薬効を示す薬剤をこの静電的反応物にインタ
ーカレーションおよび/またはグルーブバインディング
により保持させて、この生成物を生体内患部に移植する
ことにより、患部に薬剤を長期間にわたって安定に供給
し続けることができる。しかも、この材料は生体親和性
が良いので、その移植に起因したアレルギー反応などを
引き起こすことがない。
【0024】また、本発明の歯科用の材料は、DNAの
有するアニオン性基であるリン酸基の一部と、人工脂質
の有するカチオン性基とが静電的に結合して所望の賦形
性を発現させているのであり、DNA中には、人工脂質
に結合してない多数のリン酸基が残存している。このD
NA中のリン酸基を活用して骨再生誘導因子(BMP)
あるいは繊維芽細胞成長因子(FGF)と静電的に結合
させて使用することもできるが、DNA分子が内在する
こうした因子を直接利用して、例えば歯科の再生(具体
的には、ハイドロキシアパタイト構造物の再構築など)
を行うこともできる。
【0025】
【発明の具体的説明】以下、本発明の医療用または歯科
用の材料およびその製造方法について、具体的に説明す
る。本発明に係る医療用または歯科用の材料において、
非フィルム状の形態のものは、DNAと、このDNAと
静電的に反応する炭素数1以上のアルキル基を有するカ
チオン性人工脂質との静電的反応物であり、そしてフィ
ルム状の形態のものは、DNAと好ましくは炭素数9以
上のアルキル基を有するカチオン性人工脂質との静電的
反応物からフィルムに賦形して生成されるフィルム状物
である。DNA・人工脂質静電的反応物の調製 本発明の医療用または歯科用の材料を形成するDNAと
しては、天然DNAまたは合成DNAのいずれをも使用
することができる。本発明で使用される天然DNAの例
としていは、細菌ウィルスのλファージDNA、大腸菌
染色体DNA、仔牛胸腺DNA、サケ精子DNAを挙げ
ることができる。また、合成DNAは、ポリ(dA)、
ポリ(dT)、ポリ(dG)、ポリ(dC)、ポリ(d
A−dT)、ポリ(dG−dC)などを用いて合成装置
によって合成可能な、塩基配列の異なる種々の合成DN
A; ポリ(A)、ポリ(T)、ポリ(G)、ポリ
(U)、ポリ(A−T)、ポリ(G−U)などを用いて
合成装置により合成可能な、塩基配列の異なる種々の合
成RNA; ポリ(dG)、ポリ(U)、ポリ(G)、ポ
リ(dC)ポリ(dA−dT)、ポリ(A−T)などの
DNA/RNAハイブリッドを用いて合成装置によって
合成可能な、相補的塩基対を有するDNA/RNAハイ
ブリッドを挙げることができる。これらは必要に応じて
単独であるいは組み合わせて使用することができる。
【0026】このようなDNAは、二重螺旋を形成して
いる四種類の塩基[シトシン(C)、グリシン(G)、
アデニン(A)、チミン(T)]に種々の基(例えばリ
ン酸含有基を末端に有する基)などが結合した構造を有
しており、このDNA全体としては、例えば上記の末端
に結合したリン酸基などに起因してアニオン性を示す。
【0027】このようなDNA自体は、二重螺旋構造を
有する紐状物であり、また、このDNAは水に溶解する
ことから、このDNAを単独で用いたのではフィルム状
に賦形することはできない。本発明では、上記DNAが
アニオン性を有していることを利用して、アニオン性の
DNAと、上記カチオン性人工脂質とを静電的に反応さ
せたものであり、特定の炭素数のアルキル基を有するカ
チオン性人工脂質を用いた反応物では実質的に水に溶解
しなくなるとともに、特定の有機極性溶媒には可溶にな
る。そして、本発明では炭素数9以上のカチオン性人工
脂質を静電的に反応させることによるDNAの溶解性の
変化を利用してDNAの基本骨格を保持したまま、フィ
ルム状に賦形しているのである。
【0028】本発明で上記DNAと静電的に反応させる
人工脂質は、カチオン性を示す人工脂質であり、直鎖状
アルコールとL-アミノ酸とを、アニオン性の水和性有
機化合物(例えばp-トルエンスルホン酸水和物等)の
存在下で反応させることにより調製することができる。
本発明において、人工脂質の形成に使用される直鎖状ア
ルコールとしては、炭素数1以上のもの、好ましくは炭
素数8以上、とくに好ましくは炭素数8〜20の直鎖状
アルコールを使用することができる。このことは、抗菌
活性を発揮する中・長鎖脂肪酸(塩)の炭素数とその抗
菌作用との関係との類推から、人工脂質の抗菌性にも影
響することを考慮して、炭素数は8以上あることが望ま
しい。さらに本発明で使用される人工脂質を形成するア
ルコールの炭素数は、DNAの水に対する不溶性を発現
させるために重要であり、炭素数8以下の直鎖状アルコ
ールを使用した場合には、DNAとの静電的反応物が水
溶性であり、この静電的反応物をDNAの溶媒である水
性媒体から分離することが困難なためにフィルムを形成
する目的の場合には適しない。
【0029】また、ここで使用するアルコールは直鎖状
であることが好ましい。即ち、上記フィルムは本発明で
は医療用または歯科用の材料として使用することから良
好な生体親和性を有していることが必要になり、通常の
場合、分岐を有するアルコールよりも直鎖状アルコール
を使用して人工脂質を形成することにより、生体親和性
が向上する。したがって、本発明で使用される直鎖状ア
ルコールは、直鎖状アルキル基の末端の炭素原子に水酸
基が結合している。
【0030】このような炭素数8以上、好ましくは炭素
数8〜20の直鎖状アルコールの例としては、n-ノナノ
ール、n-デカノール、n-ウンデカノール、n-ドデカノ
ール、n-トリデカノール、n-テトラデカノール、n-ペン
タデカノール、n-ヘキサデカノール、n-ヘプタデカノー
ル、n-オクタデカノール、n-ノナデカノールを挙げるこ
とができる。これらの直鎖状アルコールは、上記アルコ
ールは単独であるいは組み合わせて使用することができ
る。特に本発明では、n-デカノール、n-ドデカノー
ル、n-トリデカノール、n-ペンタデカノール、n-ヘキサ
デカノール、n-オクタデカノールが好ましく使用するこ
とができる。
【0031】上記のような直鎖状アルコールは、L-アミ
ノ酸とエステルを形成してカチオン性人工脂質を生成す
る。なお、ここで直鎖状アルコールと反応してカチオン
性人工脂質を形成するL-アミノ酸としては、L-グリシ
ン、L-アラニン、L−グルタミン酸、L-アスパラギン
酸、L-スレオニン、L-セリン、L-バリン、L-ロイシ
ン、L-イソロイシン、L-フェニルアラニン、L-チロ
シン、L-トリプトファン、L-メチオニン、L-システ
イン、L-ヒスチジン、L-リジン、L-アルギニン、L-
プロリンなどをいずれも好適に使用することができる。
このうち特にL-グリシン、L-アラニン、L−グルタミ
ン酸が望ましい。以下本発明では、L-アラニン、L-グ
リシン、L-グルタミン酸を用いて本発明の医療用また
は歯科用の材料について説明する。
【0032】L-アラニンと直鎖状アルコールとの反応は
p-トルエンスルホン酸の水和物のような水和性有機化合
物の存在下に反応させる。なお、この方法で使用される
水和性有機化合物の例としては、p-トルエンスルホン酸
の水和物を挙げることができる。このようにして直鎖状
アルコールと、L-アラニンと、p-トルエンスルホン酸の
水和物から調製されたカチオン性人工脂質の例を下式
(I)で示す。
【0033】
【化1】
【0034】ただし、上記式においてnは7以上の整
数、好ましくは7〜19の整数である。さらに、このよ
うなカチオン性脂質の他の例を以下に示す。n-ドデカノ
ール-L-アラニン p-トルエンスルホン酸塩、n-テトラ
デカノール-L-アラニン p-トルエンスルホン酸塩、n-
ヘキサデカノール-L-アラニン p-トルエンスルホン酸
塩、n-ヘプタデカノール-L-アラニン p-トルエンスル
ホン酸塩。
【0035】なお、上記カチオン性人工脂質が、アニオ
ン性を有するDNAと反応する際には、p-トルエンスル
ホン酸残基が脱離してアニオン性DNAと静電的に結合
して反応性生物を形成することから、この「p-トルエン
スルホン酸残基」を形成する水和物は、このカチオン性
人工脂質を安定に保持できるものであればよく、したが
って、本発明において使用されているp-トルエンスルホ
ン酸の水和物はこれに限定されるものではない。
【0036】上記のようなカチオン性人工脂質とアニオ
ン性DNAとの反応は水溶液中で行われる。即ち、サケ
精子由来のDNAあるいは上述のようにして得られ得る
DNAが含有された水溶液に、攪拌下に、上記のように
して調製したカチオン性人工脂質を滴下する。このとき
のDNAとカチオン性人工脂質とは、通常は、DNA中
のリン酸アニオン1当量に対して、カチオン性合成脂質
を0.5〜5当量、好ましくは1.0〜3当量、特に好
ましくは1.1〜2当量の量で配合する。上記のように
して水性媒体中で、DNAとカチオン性人工脂質とを接
触させると、直ちにDNAとカチオン性人工脂質とが反
応し、通常は沈殿物が生成する。この沈殿を、濾過およ
び/または遠心分離などの分離方法を採用して反応溶媒
から分離し、通常はこうして分離した沈殿を蒸留水で複
数回洗浄する。
【0037】こうして得られたDNAとカチオン性人工
脂質とは、例えば以下に示す式(II)で示される構造で結
合した、水に実質的に不溶の成分であると思われる。
【0038】
【化2】
【0039】ただし、上記式(II)において、式(I)と同
様に、nは7以上の整数、好ましくは7〜19の整数で
ある。また、上記(II)において、「BASE」は、シトシ
ン、グアニン、アデニン、チミンのいずれかの残基であ
る。こうして得られた沈殿物を、好適には乾燥後、有機
極性溶媒に溶解させる。ここで使用される有機極性溶媒
としては、クロロホルム、エタノール、クロロホルム/
エタノール混合溶媒(混合容積比;4/1)などを挙げる
ことができる。
【0040】この溶媒は、DNAと人工脂質との反応物
からなるフィルムを製造する際には除去されることか
ら、DNAと人工脂質との反応物とを良好に溶解するこ
とができるものであるとともに、除去が容易であるもの
であることが好ましい。即ち、この溶媒は、溶液を流涎
した後放置することにより室温で容易に気散することが
できる程度の低沸点溶媒であることが好ましく、この溶
媒の沸点は50〜80℃の範囲内にあることが好ましい。ま
た、上記式(II)で例示される化合物を溶解することか
ら、この溶媒のSP値は9〜13の範囲内にあることが好ま
しい。このようなSP値を有する有機極性溶媒を使用する
ことにより、溶質に対する使用溶媒量が少なくなり、ま
た、沸点が上記のように低いので、溶媒除去が極めて容
易になる。医療用または歯科用DNAフィルムの調製 上記のような有機極性溶媒に溶解されたDNAと人工脂
質との静電的反応物を医療用または歯科用の材料として
利用する態様は、特に限定されるものではなく、広範な
形態で利用される。その一形態としてこの静電的反応物
をフィルム状に賦形する方法があるが、フィルム状に賦
形するには、通常用いられている方法が使用してもよい
が、とくに流涎法を採用するのが有利である。
【0041】この流涎法は、剥離性の基材に上記溶質が
溶解されている溶液を流し涎べ、次いで溶媒を除去し、
溶媒が除去された後、基材表面に形成されたフィルムを
基材から剥離することによりフィルムを得る方法であ
る。この方法において、溶液の流涎と溶剤の気散を繰り
返すことにより、所望の膜厚のフィルムを製造すること
ができる。
【0042】本発明の医療用または歯科用の材料で用い
られるフィルムの厚さは0.001〜1mm程度であり、
上記流涎と気散とを1回以上、好ましくは2〜10回程
度繰り返すことにより上記所期の厚さのフィルムを得る
ことができる。また、ここで使用される剥離性の基材の
例としては、フッ素樹脂板、シリコン樹脂板、ポリオレ
フィン板など極性基を有していない樹脂から形成された
樹脂板を挙げることができる。
【0043】上記のようにして得られたフィルムは、良
好な生体親和性を有しており、例えば、カチオン性人工
脂質としてn-デカノール-L-アラニン p-トルエンスル
ホン酸塩を使用してこのカチオン性人工脂質で修飾され
たDNAを用いて形成された1cm×1cmフィルム(厚
さ;0.01mm)を6週齢のラットの皮下に埋入し、術後3
日、1週、3週の皮下組織を摘出して10%ホルマリン
固定後、常法にしたがって、アルコール脱水処理、パラ
フィン包埋処理し、このパラフィン包埋処理物からパラ
フィン連続切片を作成し、ヘマトキシリン・エオジン染
色を施して顕微鏡により病理組織観察を行ったところ、
この埋入部分に埋入当初から炎症反応は認められない。
また、n-デカノール-L-アラニン p-トルエンスルホン
酸塩の代わりにn-ドデカノール-L-アラニン p-トルエ
ンスルホン酸を用いた以外は同様にして行った生体親和
性試験においても同等の効果が得られており、本発明の
医療用または歯科用の材料を形成するフィルムが優れた
生体親和性を有していることが明らかになった。DNA・人工脂質静電的反応物の特性 本発明の医療用または歯科用の材料に使用される静電的
反応物は、非常に良好な生体親和性を示すため免疫反
応、アレルギー、炎症反応、血栓反応などの異物に対す
る生体反応を惹起することがなく、また、発ガン性また
は催奇性なども有していない。したがって、上記の本発
明の医療用または歯科用の材料として使用されるフィル
ムも、可撓性とともに上述のように非常に良好な生体親
和性を有している。即ち、本発明の医療用または歯科用
の材料として使用されるフィルムは、生体が異物質とし
て極めて認識しにくいためであると考えられる。さらに
生体中で使用された本発明の医療用または歯科用の材料
は、生体に無害な高級アルコールとアミノ酸に分解する
ために高い安全性を有している。したがって本発明に係
る静電的反応物は、後述する抗菌作用も有することから
医療用または歯科用の材料物質として好適であり、非常
に広範囲に使用することができる。
【0044】中・長鎖脂肪酸およびその塩あるいはその
ポリオールエステルが、殺菌・抗菌作用を示すことは良
く知られているが、人工脂質もまた抗菌性を発揮する。
人工脂質の抗菌活性もまた、構成要素の種類により大き
く変動する。本発明に係るDNAと人工脂質との静電的
反応物もまた抗菌性を維持しており、しかも脂肪酸のよ
うな生体組織への刺激性もないことから医療用または歯
科用の材料として好適のものといえる。この抗菌性は、
人工脂質が有する界面活性作用に起因するものであると
考えられる。すなわち、カチオンとアニオンを同時に有
する中性の界面活性剤は洗浄力、殺菌力が強くしかも刺
激性は低いことから、本発明の医療用または歯科用材料
も同様に低刺激性および優れた抗菌性を有する。さらに
フィルムに賦形したDNAフィルム自体も抗菌性を有し
ている。
【0045】本発明に係る医療用または歯科用の材料を
形成する静電的反応物において、DNAの有する二重螺
旋構造が維持されていることは、得られた複合体につい
てX線回折法などの公知の分析法に得られた結果から確
認することができた。かかるDNA構造の特徴を以下の
ように医療用または歯科用の材料に利用することができ
る。本発明に係るDNA・人工脂質静電的反応物にある
DNA塩基の間隙に種々の低分子化合物を挟み込むよう
にインターカレートさせて、こうした低分子化合物を安
定に内包させることができる。また、DNAの持つ二重
螺旋構造の2つの溝(主溝、副溝)にも同様の低分子化
合物をグルーブバインディングさせることもできる。D
NAと良好にインターカレートあるいはグループバイン
ディングする低分子化合物の分子量は、概ね300〜1300D
aの範囲に分布しており、したがって、抗生物質を含め
て、所望する多くの薬物が、DNAに包摂される可能性
がある。しかも、両者間の相互作用の内容は、個々のケ
ースで全く別々であるので、具体的な適用方法によって
は、インターカレーションやグルーブバインディングを
利用できる可能性も大きいと言える。したがって、かか
るDNAの特性を利用すれば、これを含むDNA・人工
脂質の静電的反応物は、薬物送達システムとしての利用
が可能である。包摂される薬物は、抗生物質、抗菌剤な
どの抗感染症薬、抗がん剤、抗炎症薬、鎮痛薬、止血薬
その他の薬物など極めて多岐にわたるが、これは、静電
反応物の利用態様と密接に関係している。
【0046】上記目的に使用できる薬剤を具体的に例示
すると、内用抗真菌薬として、アムホテリシンB、ナイ
スタチン、フルシトシン、ミコナゾール、フルコナゾー
ル、イトラコナゾール、グリセオフルビン、テルビナフ
ィンなど、外用抗真菌薬として、ピマリシン、トリコマ
イシンなどが挙げられる。また、抗がん剤として、塩酸
ナイトロジェンマスタード−N−オキシド、クロラムブ
シル、メルファラン、シクロホスファミド、イホスファ
ミド、ブスルファン、トシル酸インプロスルファン、カ
ルボコン、チオテパ、タカルパジン、塩酸シムスチン、
ラニムスチン、カルムスチン、ロムスチン、セムスチ
ン、ストレプトゾシンなどのアルキル化剤が挙げられ
る。さらにメトトレキサート、5−フルオロウラシル、
カルモフール、テガフール、ドキシフルリジン、フロク
スウリジン、シタラビン、塩酸アンシタビン、エノシタ
ビン、メルカプトプリン、チオイノシン−6−メルカプ
トプリンリボシド、6−チオグアニン、5−アザシチジ
ンなどの代謝拮抗剤が挙げられる。抗がん性抗生物質と
して、塩酸ドキソルビシン、塩酸ダウノルビシン、塩酸
アクラルビシン、塩酸エピルビシン、ピラルビシン、硫
酸ペプロマイシン、塩酸プレオマイシン、硫酸ブレオマ
イシン、マイトマイシンC、アクチノマイシンD、クロ
モマイシンA3、ネオカルチノスタチンなどが挙げられ
る。植物由来のエトポシド、テニポシドのほか、硫酸ビ
ンブラスチン、硫酸ビンクリスチン、硫酸ビンデシンな
どの植物アルカロイドも挙げられる。さらに、免疫療法
剤としてOK-432、PSK、レンチナン、シゾフィラン、ウ
ベニメクス、インターフェロン−α、インターフェロン
−α−2a、インターフェロン−α−2b、インターフ
ェロン−β、インターフェロン−γなどが挙げられる。
他に、クエン酸タモキシフェン、リン酸ジエチルスチル
ペステロール、酢酸メゲストロール、リン酸エストラム
スチンナトリウム、メピチオスタン、エピチオスタノー
ルなどのホルモン、シスプラチン、カルボプラチンなど
の白金錯体、L−アスパラギナーゼ、塩酸プロカルバジ
ン、ミトブロニトール、塩酸ミトキサントロン、アセグ
ラトン、ミトタンなども例示できる。
【0047】上記のDNAへの薬物のインターカレーシ
ョンやグルーブバインディングは、通常、水溶液中で行
われる。例えば、インターカレーションやグルーブバイ
ンディングは、薬物溶液を、DNAを含む溶液へ撹拌し
ながら滴下していく添加の方法により簡便に行なうこと
ができる。薬物とDNA間の結合力および相互作用の様
式は、DNAの塩基、糖残基などとの親和性、空間配置
の状態などに影響される。したがって、薬物の選択に加
えて、好ましくは濃度、pH、イオン強度、温度等の条
件、およびリン酸系あるいはトリス系などの緩衝液また
は等張食塩水などの反応メディウムの種類を適宜、選択
しあるいは調整することにより、インターカレーション
やグルーブバインディングの最適の方法が見出される。
さらに、包摂された薬物の具体的な送達の方法や態様、
放出条件なども、上記の相互作用を支配する諸条件を調
節することにより適切に決定することができる。また、
逆にDNAがさまざまな物質と特別の相互作用をし、上
記インターカレーションなどにより複合体内に選択的に
集積・分離できることを利用し、生体内で選択的吸着剤
としての応用もできる。
【0048】DNAに紫外線を照射するとDNA塩基に
より紫外線が吸収され、DNA分子間に架橋構造が形成
されて水に不溶化する。この特質を利用すれば、通常の
方法ではフィルムを形成できない炭素数8以下の人工脂
質からでもフィルム状のDNA・人工脂質静電的生成物
を生成することができる。DNA・人工脂質静電的反応物の利用態様 本発明に係るDNA・人工脂質静電的反応物について、
医療用または歯科用の材料として利用する態様は多岐に
わたり、特定の対象あるいは用途に限定されるものでは
ない。したがって、以下に示すものは具体的な利用の態
様の例示であり、また、最良の形態を提示するものであ
る。
【0049】本発明に係るDNA・人工脂質静電的反応
物について、その非フィルム状の形態のものを医療用ま
たは歯科用の材料として利用する態様は、特に限定され
るものではないが、まず通常の薬剤と同様の状態で利用
でき、これには、溶液製剤、分散製剤、半固形製剤、粉
粒体製剤、成型製剤などの各種剤形が含まれる。さらに
剤形の構成、その適用法などについても通常の薬剤と同
様である。例えば、溶液製剤の具体例として注射液、経
口薬など、分散製剤の具体例として水虫などの治療にス
プレー噴霧液剤などが挙げられる。さらに油性の上記静
電反応物は、例えば、傷薬などの軟膏剤、貼付剤、包帯
剤、人工皮膚などに使用できる。他の利用態様として、
創傷被覆剤、止血材、各種衛生用品などが挙げられる。
【0050】歯科領域では、殺菌効果を有する洗口剤の
ほか、モノマーに溶解することにより、プライマー、ボ
ンディング剤、コンポジットレジン、仮封材、裏層材、
根管充填材、歯周包帯材、合着用セメント、ダイレクト
ボンディング材、デンチャー、リベース材に添加物とし
て使用できる。さらにデンチャーに噴霧する抗菌剤とし
て、あるいはインプラントの表面処理としての利用もあ
る。
【0051】所望する場合には水に不溶性の本発明に係
るDNA・人工脂質静電的反応物をフィルムに賦形して
医療用または歯科用の材料として使用することもでき
る。このフィルムには、DNAに由来する二重螺旋構造
や2つの溝が残存していることは既に述べたが、その主
溝もしくは副溝に、あるいはこの二重螺旋構造を形成す
る塩基間に、低分子化合物を包摂させることにより、こ
のフィルムは、この低分子化合物を長期間にわたって安
定に保持することができる。例えば、薬物である低分子
化合物をインターカレーションやグルーブバインディン
グさせたフィルムを口腔組織内に埋入させることによ
り、DNAに包摂された低分子化合物は長期間にわたっ
て徐々に放出させることができる。これら薬剤をDNA
フィルム内のDNAにインターカレートやグルーブバイ
ンディングして、感染または炎症を防止するための抗菌
フィルムとしても使用することもできる。
【0052】歯科領域においては、歯周病菌に抗し得る
薬液を本発明の歯科用の材料であるフィルムにインター
カレーションやグルーブバインディングして、このフィ
ルムを歯茎などの患部近傍に埋入することにより、抗歯
周病薬液が長期間にわたって患部に放出されることが実
現できる。歯周病は、種々の菌によって引き起こされ、
例えば抗真菌、抗原虫などによって引き起こされ、これ
らの菌に抗する薬剤(抗収集病薬剤)の例としては、抗
真菌薬であるアムホテリシンB、抗原虫薬であるメトロ
ニダゾール、抗菌薬であるアモキシシリン、オフロキサ
シン、ミノサイクリンなどを挙げることができる。そし
て、こうしたフィルムの埋入によっては炎症反応あるい
はアレルギー反応は生じない。
【0053】上記のように本発明の歯科用の材料である
DNAフィルムは、生体親和性が非常に良好であり、抗
菌性も備えていることから移植材料として使用すること
ができる。さらに、本発明の歯科用の材料であるDNA
フィルムには、DNA分子が本質的に有している骨形成
に必要なリン酸基が残存しており、これを利用すること
により骨形成誘導物質および抗生物質などの薬剤などを
インターカレーションやグルーブバインディングするこ
とができる。
【0054】例えば、喪失された歯周組織の再生を図る
組織再生誘導法(GTR法)では、歯肉弁下にメンブレ
ンが設置される。このメンブレンは、欠損部位において
深行増殖をする上皮組織から遮蔽して、歯槽骨、歯根
膜、セメント質などの再生を図るための環境形成材料で
ある。このメンブレンは、一定期間、生体中に留置され
るので、生体親和性の高い素材で形成されていることが
好ましく、こうしたメンブレンとしては、コラーゲンあ
るいはポリ乳酸を基材とした吸収性のメンブレンとフッ
素樹脂を使用した非吸収性メンブレンが使用されてい
る。本発明の歯科用の材料を形成するDNAフィルムか
らGTRメンブレンを製造することができる。このよう
に本発明の歯科用の材料を用いて製造されたGTRメン
ブレンは、生体親和性が高く、従来のメンブレンよりも
長期間にわたって安定に使用することができる。また、
本発明の歯科用の材料を用いて製造されたGTRメンブ
レンを使用すれば、再生期間を従来の吸収性メンブレン
を用いた場合よりも長く設定することができる。
【0055】また、本発明の歯科用の材料で製造された
メンブレンは、極めて生体親和性が高いので、治療後必
ずしも除去のための二次手術を必要としないとの利点も
ある。さらに、上記GTR法において、本発明のDNA
フィルムから製造されるGTRメンブレンの他の適用態
様として、無細胞セメント質の形成により歯周組織を再
生する可能性を有するエナメル基質由来蛋白質を併用す
る際に、その蛋白質を塗布する際の担体として使用する
こともできる。
【0056】また、本発明のDNAフィルムは、歯表面
に石灰化物を沈積させるためのフィルムを使用した再石
灰促進フィルムとして使用することができる。即ち、D
NA分子にはリン酸基が残存しており、このリン酸基が
残存するDNAフィルムは、カルシウムが存在すること
により、歯牙を形成するハイドロキシアパタイト構造を
再生することができる。したがって、本発明の歯科用の
材料であるDNAフィルムを再石灰が必要な歯牙部分に
配置することにより、周辺のカルシウムを吸収してこの
部分に新たにハイドロキシアパタイト構造体を形成する
ことができる。
【0057】また、その生体親和性および抗菌性を利用
して、歯髄または歯周組織と接触する人工的な歯科部材
の表面をDNAフィルムで形成された本発明の歯科用の
材料で被覆することにより、歯科部材による生物学的反
応の惹起を防止することができる。即ち、本発明の歯科
用の材料は、歯科部材の表面を被覆するコーティング材
あるいはライニング材として使用することができる。
【0058】例えば、インプラント表面処理剤としてイ
ンプラントの表面を本発明の歯科用の材料であるDNA
フィルムで被覆することにより、骨親和性を一層、向上
させることができ、あるいは骨補填材の担体として利用
することができる。また、本発明の歯科用の材料である
DNAフィルムを用いて、歯髄または歯周組織と接触す
る部分を被覆することによりと異物に対する生体反応を
防止することができる。具体的には、歯周包帯材、人工
皮膚などを例示できる。
【0059】そして、本発明の歯科用の材料は、組織再
生誘導因子または薬剤の送達システム(DDS)機能を
利用したフィルム、メンブレン、ライニング材またはコ
ーティング材としての有用性が特に高い。即ち、生体親
和性に優れる本発明の歯科用の材料であるDNAフィル
ムは、所望する場合に薬物送達システム(DDS)の機
能を有している。したがってDNAフィルムにインター
カレーションやグルーブバインディングにより種々の薬
物をフィルム内に取り込むことが可能である。取り込ま
れた薬物は、フィルムと共有結合や静電結合で堅く結合
しているのではないので、作用点において取り込まれた
薬物を選択的に放出させることができる。また、その放
出量、期間などの設定も可能である。例えば、抗生物質
や抗菌剤などの抗感染症薬、抗炎症薬、鎮痛薬、止血薬
その他の薬物などをフィルムに保持することにより、内
服とは別形態の薬剤投与法として、歯肉、歯髄内、ある
いは歯周ポケット内に直接に投与する目的に使用でき
る。一例として、歯周病の治療のための薬剤には、抗真
菌薬であるアムホテリシンB、抗原虫薬であるメトロニ
ダゾール、抗菌薬であるアモキシシリン、オフロキサシ
ン、ミノサイクリンを挙げることができる。他の例とし
て、骨再生誘導因子(BMP),繊維芽細胞成長因子
(FGF)などのサイトカインを組織へ浸透させるキャ
リヤーとして使用することができる。
【0060】
【発明の効果】本発明によれば、生体親和性、賦形性に
優れ、DNAのインターカレーション機能および抗菌性
を有する新規な医療用または歯科用の材料が提供され
る。具体的には、本発明に係るDNA・人工脂質静電的
反応物は、DNAフィルムに賦形するかあるいは非フィ
ルムの形態で、例えば、薬剤、創傷被覆剤、止血材、各
種衛生用品など医療用の材料として多岐に利用できる。
また、歯科の分野では歯周組織再生誘導法において歯肉
弁の下に設置されるメンブレン、再石灰促進フィルム、
歯髄または歯周組織と接触する部分を被覆可能な新たな
歯科用の材料としてDNAフィルムを使用することがで
き、こうした構成を有する本発明の歯科用の材料は、具
体的には組織再生誘導因子または薬剤の送達機能を有す
る新たなメンブレン、フィルム、ライニング材またはコ
ーティング材として利用することができる。
【0061】
【実施例】以下本発明を実施例によりさらに具体的に説
明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものでは
ない。
【0062】
【実施例1】フィルム状DNA・人工脂質静電的反応物
(DNAフィルム)の製造 パラトルエンスルホン酸―水和物の存在下で、n−アル
キルアルコール(n=9、11,13,15,17)と
L−アラニンから、人工脂質を合成した。生成物は、赤
外線分析、核磁気共鳴の機器分析結果および元素分析値
に基づいて同定した。
【0063】上記人工脂質を用いたサケ精子由来のDN
A(300塩基対)の修飾は、DNAのリン酸アニオン
に対して1.1〜2当量の人工脂質を反応させた。即ち、
人工脂質水溶液、100mlをDNA含有水溶液(300mg/100
ml)に滴下した。反応後直ちに反応液中の沈殿物を遠心
分離により回収し、蒸留水で沈殿物を数回洗浄した。再
度遠心分離により回収した白色沈殿物を凍結下で乾燥し
た。合成した人工脂質は、すべてDNAと反応して水不溶
性の沈殿物を生成した。
【0064】生成したDNA・人工脂質複合体の元素分
析を行いこの結果から、炭素含有率および窒素含有率を
算定し、理論値と分析値との対比からDNAと人工脂質
との結合比を求めた。次に、得られたDNA・人工脂質
複合体をフィルム化するため、上記の沈殿物であるDN
A・人工脂質複合体;25mgをクロロホルム/エタノー
ル混合溶媒(4/1)1mlに溶解させた。
【0065】得られた溶液を厚さ0.1cmで縦1cm、横2cm
のフッ素樹脂板(0.1X1X2cm)に滴下し、溶媒飽和蒸
気下のシャーレ中において溶媒が蒸発するまで静置し
た。溶媒が蒸発した後、さらにその上から上記溶液を滴
下して同様の操作を二度繰り返した。そして減圧下で1
時間乾燥して得た乾燥物をフッ素樹脂板からはがして、
無色透明のDNAフィルム(厚さ;0.01mm;縦、横1cm
×1cm)を得た。
【0066】このDNAフィルムを1cm×1cmフィルム
(厚さ;0.01mm)を6週齢のラットの皮下に埋入し、術
後3日、1週、3週の皮下組織を摘出して10%ホルマリ
ン固定後、常法にしたがって、アルコール脱水処理、パ
ラフィン包埋処理し、このパラフィン包埋処理物からパ
ラフィン連続切片を作成し、ヘマトキシリン・エオジン
染色を施して顕微鏡により病理組織観察を行ったとこ
ろ、この埋入部分に埋入当初から炎症反応は認められな
かった。
【0067】
【比較例1】実施例1においてn−アルキルアルコール
とL−アラニンから、人工脂質を合成する際にn-オクチ
ルアルコール(C8)を使用したが、このDNA・人工脂
質静電的反応物は水に可溶であった。溶媒として水を単
独で用いた本例においては有効にDNAフィルムを形成
することができなかった。
【0068】
【実施例2】DNA・人工脂質静電的反応物のインター
カレーション 実施例1の方法によりDNAフィルムを調製する前に、
抗生物質であるテトラサイクリンをインターカレーショ
ンあるいはグルーブバインディングした。薬物溶液を、
予めDNAを溶解した水溶液へ撹拌しながら滴下してい
く添加の方法により行なった。DNAに薬剤が結合してい
る状態および挙動は、水晶発振マイクロバランス(QC
M)法により追跡した。すなわち、基本振動数27MHz
の水晶発振子の金蒸着面上にアビジンを固定化し、さら
にこの固定化されたアビジンにビオチン化DNAを結合さ
せて固定化した。水中で発振している上記水晶発振子上
のDNAに抗生物質がインターカレーションあるいはグル
ーブバインディングにより結合すると、その結合物質の
質量の影響を受けて水晶発振子の振動数が低下した。そ
の振動数の減少状況からDNAに結合した上記抗生物質のD
NAへの結合、遊離などを検出することができた。
【0069】このフィルムは抗菌性を有していることが
わかり、このフィルムを用いて、予備的に歯周病患部に
貼着したところ、とくにアレルギー反応、炎症反応は認
められなかった。
【0070】
【実施例3】実施例1で製造したn-ドデカノールとL-ア
ラニンから人工脂質を形成してこの人工脂質を用いてD
NA・人工脂質の静電的反応物を得、この静電的反応物
を用いて実施例1と同様にしてDNAフィルムを製造し
た。このフィルムを、カルシウムイオンを含有する溶液
中に浸漬放置した。
【0071】3日後、このフィルムを取り出し、DNA
フィルムの表面を観察したところ、ハイドロキシアパタ
イトと思われるカルシウム組織が形成されていた。
【0072】
【実施例4】DNA・人工脂質静電的反応物の製造およ
びその抗菌試験 人工脂質は、p−トルエンスルホン酸(pts)・水和物
存在下でアルキル鎖長の異なる3種のn-アルキルアル
コール(n=7,9,11)とL−アラニン,L−グリ
シン、L−グルタミン酸とで合計9種合成した。サケ精
子由来のDNA(300bp)200mgを100mlの蒸留水中にて
撹拌溶解した。DNAのリン酸アニオンに対して1.1〜
2当量の上記合成脂質を100mlの蒸留水に撹拌溶解した
n-Alkyl-L-glutamate p- toluene- sulfonic acid sal
t(2C8,10,12−L-Glu pts)は水に難溶性であったた
めエタノールを適宜追加して溶解させた。人工脂質溶液
をDNA水溶液に滴下して脂質とDNAを反応させた
後、生成した白色沈殿を遠心分離により分離し蒸留水で
洗浄した。洗浄、遠心分離の工程を数回繰り返した後に
最終的に遠心分離した沈殿物を凍結乾燥により24時間乾
燥して、白色粉末のDNA・人工脂質静電的反応物を得
た。
【0073】上記DNA・人工脂質静電的反応物の抗菌
性試験を普通寒天培養地で、細菌として大腸菌(Escher
ichia coli)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureu
s)、Streptococcus mutans、緑膿菌(Pseudomonas aer
uginosa)、 Porphylomonasgingivalis(ATCC 33277,W8
3)、真菌としてカンジダ菌(Candida albicans JCM9061,
Candida glabrata IFM46861,Candida glabrata IFM402
17, Candida tropicalis IFM5797, Candida tropicalis
IFM46862)を用いて、定法に従い阻止円の有無を調べ、
最小発育阻止濃度(MIC)を決定した。その結果を表
1および表2に示す。
【0074】表1および表2から、人工脂質のみなら
ず、これとDNAとを反応させて得られる静電的反応物
も抗菌性を発揮し、人工脂質の抗菌作用が温存されてい
ることがわかった。とくに炭素数10または12個のア
ラニン、グリシンを含む複合体では有効に抗菌性を発揮
している。注目すべきは、上記静電的反応物が緑膿菌、
黄色ぶどう球菌のみならず真菌類のカンジダにも抗菌性
を示していることである。一般の細菌に対する抗生物質
は次々と開発される中、ヒトと同じ真核細胞である真菌
に有効な抗真菌剤の開発は容易でない現状において、本
発明に係るDNA・人工脂質複合体は、非常に広域のス
ペクトラムを有する新規抗菌性材料といえる。
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // A61K 9/70 A61K 9/70 47/48 47/48 (72)発明者 井 上 勇 介 福岡県福岡市早良区有田2丁目29−27 (72)発明者 宮 崎 光 治 福岡県福岡市城南区友丘6丁目13−36 (72)発明者 谷 口 邦 久 福岡県福岡市早良区田村2−15−1 福岡 歯科大学内 (72)発明者 早 川 徹 東京都江東区東陽町2丁目2番10号 パイ ロットハウス208 Fターム(参考) 4C076 AA71 AA95 BB22 CC26 CC31 EE59 EE60 FF31 FF68 GG01 4C081 AA01 AA13 BA14 CD35 CE01 CE02 DA02 4C089 AA06 BC09 BE13 CA04

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】DNAとカチオン性人工脂質との静電的反
    応物をフィルム状に賦形してなることを特徴とする医療
    用材料。
  2. 【請求項2】上記カチオン性人工脂質が、炭素数9以上
    のアルキル基を有するn-アルキルアルコールとL-アミ
    ノ酸との反応物であることを特徴とする請求項第1項記
    載の医療用材料。
  3. 【請求項3】上記カチオン性人工脂質が、炭素数1〜8
    個のアルキル基を有するn-アルキルアルコールとL-ア
    ミノ酸との反応物であることを特徴とする請求項第1項
    記載の医療用材料。
  4. 【請求項4】上記DNAと、カチオン性人工脂質との静
    電的反応物が、水に対する溶解性を実質的に有していな
    いことを特徴とする請求項第1項記載の医療用材料。
  5. 【請求項5】上記フィルム状に賦形されたDNAとカチ
    オン性人工脂質との静電的反応物中に、DNAの有する
    二重螺旋構造が保持されていることを特徴とする請求項
    第1項記載の医療用材料。
  6. 【請求項6】DNAと炭素数9以上のアルキル基を有す
    るカチオン性人工脂質との静電的反応物をフィルム状に
    賦形してなることを特徴とする歯科用材料。
  7. 【請求項7】上記カチオン性人工脂質が、炭素数9以上
    のアルキル基を有するn-アルキルアルコールとL-アミ
    ノ酸との反応物であることを特徴とする請求項第6項記
    載の歯科用材料。
  8. 【請求項8】上記DNAと、カチオン性人工脂質との静
    電的反応物が、水に対する溶解性を実質的に有していな
    いことを特徴とする請求項第6項記載の歯科用材料。
  9. 【請求項9】上記フィルム状に賦形されたDNAとカチ
    オン性人工脂質との静電的反応物中に、DNAの有する
    二重螺旋構造が保持されていることを特徴とする請求項
    第6項記載の歯科用材料。
  10. 【請求項10】上記DNAとカチオン性人工脂質との静
    電的反応物からなるフィルムに抗歯周病菌剤がインター
    カレートおよび/またはグルーブバインディングされる
    ことを特徴とする請求項第6項記載の歯科用材料。
  11. 【請求項11】上記DNAとカチオン性人工脂質との静
    電的反応物からなるフィルムに骨形成誘導物質がインタ
    ーカレートおよび/またはグルーブバインディングされ
    ることを特徴とすることを特徴とする請求項第6項記載
    の歯科用材料。
  12. 【請求項12】上記DNAとカチオン性人工脂質との静
    電的反応物からなるフィルムに含有されるリン酸残基を
    利用して歯牙にハイドロキシアパタイト構造を形成させ
    ることを特徴とする請求項第6項記載の歯科用材料。
  13. 【請求項13】上記フィルムを用いて歯質表面を被覆す
    ることを特徴とする請求項第6項記載の歯科用材料。
  14. 【請求項14】p-トルエンスルホン酸―水和物の存在下
    に、アルキル基を有するn-アルキルアルコールとL-アミ
    ノ酸とを反応させてカチオン性人工脂質を調製し、次い
    で、該カチオン性人工脂質とDNAとを静電的に反応さ
    せて静電的反応物を得、該静電的反応物を有機極性溶媒
    に溶解させて静電的反応物を含有する有機極性溶液を調
    製し、該静電的反応物を含有する有機極性溶液を剥離性
    基板表面に流涎した後、有機極性溶媒を除去して該静電
    的反応物をフィルム状に賦形することを特徴とする医療
    用材料の製造方法。
  15. 【請求項15】上記のようにして得られたフィルム状医
    療用材料に、薬効成分をインターカレートおよび/また
    はグルーブバインディングさせることを特徴とする請求
    項第14項記載の医療用材料の製造方法。
  16. 【請求項16】DNAとカチオン性人工脂質との静電的
    反応物からなる、非フィルムの形態で用いる医療用材
    料。
  17. 【請求項17】上記カチオン性人工脂質が、アルコール
    とL-アミノ酸との反応物であることを特徴とする請求
    項第16項記載の医療用材料。
  18. 【請求項18】上記DNAとカチオン性人工脂質との静
    電的反応物中に、DNAの有する二重螺旋構造が保持さ
    れていることを特徴とする請求項第16項記載の医療用
    材料。
  19. 【請求項19】上記DNAとカチオン性人工脂質との静
    電的反応物からなる組成物に薬剤がインターカレートお
    よび/またはグルーブバインディングされることを特徴
    とする請求項第16項記載の医療用材料。
  20. 【請求項20】p-トルエンスルホン酸―水和物の存在下
    に、アルコールとL-アミノ酸とを反応させてカチオン性
    人工脂質を調製し、次いで、該カチオン性人工脂質とD
    NAとを静電的に反応させて静電的反応物を得ることを
    特徴とする医療用材料の製造方法。
  21. 【請求項21】上記のようにして得られる医療用材料に
    おいて、薬剤をインターカレートおよび/またはグルー
    ブバインディングさせることを特徴とする請求項第20
    項記載の医療用材料の製造方法。
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