JP4673462B2 - ホログラフィック・ステレオグラム及びその作製方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ホログラフィック・ステレオグラム及びその作製方法に関し、特に、微小ホログラム間のピッチが目立たないホログラフィック・ステレオグラムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、両眼視差によって立体像を表示する1ステップ・リップマン・ホログラフィック・ステレオグラム、あるいは、マルチドット方式によるホログラフィック・ステレオグラム(以下、簡単のため、マルチドットHSと呼ぶ。)が提案されている(第20回画像コンファレンス論文集pp.323〜326(1989);第21回画像コンファレンス論文集pp.243〜246(1990);第23回画像コンファレンス論文集pp.317〜320(1992))。
【0003】
このマルチドットHSの原理を図3を参照にして簡単に説明する。表示したい立体物をOとし、その立体物Oを表示する体積ホログラムをHとする。ホログラムHを撮影する段階での体積ホログラム感光材料もHで示す。体積ホログラムHは微小な要素ホログラムa1 〜aN を並列してなるものである。立体物OとホログラムHの位置関係は固定して考える。
【0004】
ある要素ホログラムan 中心を通りホログラム面に対して角度の異なる光線をB1 〜B5 とする。光線B1 〜B5 と立体物Oの表面が交差する位置を1〜5とすると、要素ホログラムan から回折される異なる角度の光線B1 〜B5 それぞれが立体物O表面の位置1〜5の情報を持つように要素ホログラムan が記録されていると、観察者の左右の目EL 、ER がその要素ホログラムan を見ると、左右の目EL 、ER に、各々の目EL 、ER と要素ホログラムan を結んだ直線と立体物O表面が交差する位置の立体物Oの表面情報が入射する。
【0005】
他の要素ホログラムam にも同様に記録されていると、左右の目EL 、ER がホログラムHのどの位置を観察しても、左右の目EL 、ER にはその位置と各々の目EL 、ER を結んだ直線と立体物O表面が交差する位置の立体物Oの表面情報が入射することになるので、両眼視差の原理で立体像Oが3次元像として観察者に認識される。要素ホログラムa1 〜aN を1次元方向に並べれば、左右方向にのみ両眼視差で3次元像が再生可能なホログラフィック・ステレオグラムが得られ、要素ホログラムa1 〜aN を2次元方向に並べれば、何れの方向にも両眼視差で3次元像が再生可能なホログラフィック・ステレオグラムが得られる。これがマルチドットHSの原理である。
【0006】
このような要素ホログラムan を記録するには、光線B1 〜B5 を観察者と反対側に延長し、表示装置(例えば、液晶表示装置)LCDの表示面とその延長した光線B1 〜B5 との交点1〜5に、立体物O表面の位置1〜5の情報をそれぞれ表示し、その表示位置1〜5を透過して変調された光線B1 〜B5 と所定角度の参照光Aとを体積ホログラム感光材料Hの要素ホログラムan の位置で干渉させれば、上記のようなマルチドットHSが得られる。表示装置LCDの表示面の位置1〜5に表示するこのような情報は、コンピュータグラフィッスにより合成してもよい。
【0007】
また、図3に示すように、表示する立体物Oの観察側にCCDカメラのようなカメラCaを配置して左右に移動させながら立体物Oの観察方向の異なる多くの画像を撮影し、その画像の中、撮影の際の光線B1 〜B5 とフィルム面あるいはCCD面との交差点1〜5の情報を、表示装置LCDの表示面の対応する位置1〜5に表示するようにしてもよい。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このようにして作製した1次元あるいは2次元のマルチドットHSは、要素ホログラム間のギャップが目立ってしまう可能性があり、観察される3次元像に要素ホログラムのストリップ(1次元マルチドットHSの場合)あるいはドット(2次元マルチドットHSの場合)の格子状あるいは網目状の境界が重畳されて見える恐れがある。
【0009】
本発明は従来技術のこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、1ステップ・リップマン・ホログラフィック・ステレオグラム、あるいは、マルチドット方式によるホログラフィック・ステレオグラムの要素ホログラムの境界が目立たないようにすることである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明のホログラフィック・ステレオグラムは、3次元物体の観察方向の異なる表面情報のサンプリング情報が体積ホログラム内に記録されてなる要素ホログラムを1次元あるいは2次元方向に並列配置してなるホログラフィック・ステレオグラムからの回折光と参照光を別の体積ホログラム感光材料中で干渉させて記録されたホログラフィック・ステレオグラムにおいて、要素ホログラム間の不連続部がホログラム面から離間して記録されていることを特徴とするものである。
【0011】
この場合に、その表面情報のサンプリング情報が、その情報が記録された要素ホログラム中心を通りその観察方向に伸びる直線が記録再生される3次元物体の表面と交差する位置近傍の表面情報であることが望ましい。
【0012】
この場合に、再生される3次元物体の像の少なくとも一部がホログラム面に一致するように記録されていること望ましい。
【0013】
本発明のホログラフィック・ステレオグラムの作製方法は、3次元物体の観察方向の異なる表面情報のサンプリング情報が体積ホログラム内に記録されてなる要素ホログラムを1次元あるいは2次元方向に並列配置してなるホログラフィック・ステレオグラム原版に対して体積ホログラム感光材料を離間して配置し、前記ホログラフィック・ステレオグラム原版から回折された光と参照光とを同時に前記体積ホログラム感光材料中に入射させて干渉させることによりホログラム複製することを特徴とする方法である。
【0014】
この場合、参照光はホログラフィック・ステレオグラム原版の再生照明光であることが望ましい。
【0015】
また、ホログラフィック・ステレオグラム原版と体積ホログラム感光材料とを離間させるのにガラス板を用いることができる。
【0016】
本発明においては、要素ホログラム間の不連続部がホログラム面から離間して記録されているので、この体積ホログラムを自然光あるいは環境光の下で観察すると、体積ホログラムの回折条件を満足して回折する光の波長と角度に若干の広がりがあるため、ホログラムの面から離れて再生される要素ホログラム間の不連続部の像はボケてしまい、実質的には目立たなくなる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のホログラフィック・ステレオグラム及びその作製方法を実施例に基づいて説明する。
【0018】
本発明の基本原理は、図3のような要素ホログラムa1 〜aN からなる1ステップ・リップマン・ホログラフィック・ステレオグラム、あるいは、マルチドット方式によるホログラフィック・ステレオグラムHを原版とし、それをホログラム複製方式で複製して得たホログラフィック・ステレオグラムとその複製方法であり、その複製の際に、複製用の体積ホログラム感光材料を、原版に密着しないである程度の距離をおいてホログラム複製するものであり、このような複製を行うと、複製されたホログラムは原版と同様に、自然光あるいは環境光の下で記録された立体物Oの3次元像を両眼視差で再生可能になると共に、原版の要素ホログラムa1 〜aN 間の格子状あるいは網目状の境界がホログラム面から離れた面に再生されるが、自然光あるいは環境光下ではボケてしまうため、実質的には目立たなくなるものである。
【0019】
以下、図面を用いて説明する。図1は、上記のようなホログラム複製のための配置であり、要素ホログラムa1 〜aN からなるホログラフィック・ステレオグラムのホログラム原版Hから距離dだけ離してフォトポリマーのような体積ホログラム感光材料10をホログラム原版Hの前側に配置する。そして、ホログラム原版H記録のときの参照光Aの入射方向と同じ方向から感光材料10を通して再生照明光A’をホログラム原版Hに入射させると、記録された立体物Oの位置に両眼視差により見える再生像O’を再生する回折光B’がホログラム原版Hより回折される。この回折光B’と再生照明光A’とを体積ホログラム感光材料10中で干渉させることにより、ホログラム原版Hがホログラム複製される。この複製されたホログラムをH2とする。
【0020】
なお、ホログラム原版Hと体積ホログラム感光材料10との間を距離dだけ保つ方法としては、ガラス板を用いることができる。このようなガラス板をスペーサーとして用いると、複製のときの安定性、耐擦性に優れる。このガラス板は、ホログラム原版Hにステレオグラムを記録した際に、感光材料を貼り付けたガラス板をそのまま利用してもよく、また、距離dの厚さを稼ぐために、さらに、感光材料又はガラス側にスペーサーとしてのガラス板を追加してもよい。
【0021】
そして、図2に示すように、複製のときの再生照明光A’あるいは原版H記録のときの参照光Aの入射方向と同じ方向から複製ホログラムH2に照明光A”を入射させると、複製ホログラムH2からは、あたかも複製のときの原版Hの位置から回折光が出るような回折光B”が回折され、その回折光B”を観察者の左右の目EL 、ER で見ると、あたかも原版Hに対する再生像O’の位置に同じ立体像Oの3次元像O”が両眼視差により観察できる。
【0022】
この際、複製のときの原版Hの要素ホログラムa1 〜aN の格子状あるいは網目状の境界の像11も、複製のときの原版Hの位置に同時に再生される。照明光A”としてレーザ光のような単色性が高く干渉長の長い光を用いる場合は、この境界の像11も3次元像O”に重畳して見えるが、この体積ホログラム(リップマンホログラム)H2を自然光あるいは環境光の下で観察すると、体積ホログラムH2の回折条件を満足して回折する光の波長と角度に若干の広がりがあるので、ホログラムH2の面から離れて再生される微小な間隔の境界の像11はボケてしまうため、実質的には目立たなくなる。
【0023】
このように原版Hの要素ホログラムa1 〜aN の格子状あるいは網目状の境界の像11がボケて目立たなくするには、複製のときの原版Hと感光材料10の間隔dとしては、可能な限り離れていればよいが、体積ホログラムH2の厚さ、境界の像11のピッチ等に応じてどの程度あればよいかは、実験的、理論的に定まる。なお、複製ホログラムH2とその再生像O”との間の距離が長すぎると、同様の理由で再生像O”もボケてしまうため、複製のときの再生像O’の位置と感光材料10の距離は短い程望ましく、両者の位置が略一致するイメージホログラム化することが望ましい。
【0024】
以上、本発明のホログラフィック・ステレオグラム及びその作製方法を実施例に基づいて説明してきたが、本発明は実施例に限定されず種々の変形が可能である。例えば、体積ホログラムHは、単色の光で再生されるホログラムだけではなく、2色以上の光で再生されるホログラムや、RGBの3色光で再生されるフルカラーホログラムであってもよい。
【0025】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明のホログラフィック・ステレオグラム及びその作製方法によると、要素ホログラム間の不連続部がホログラム面から離間して記録されているので、この体積ホログラムを自然光あるいは環境光の下で観察すると、体積ホログラムの回折条件を満足して回折する光の波長と角度に若干の広がりがあるため、ホログラムの面から離れて再生される要素ホログラム間の不連続部の像はボケてしまい、実質的には目立たなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるホログラフィック・ステレオグラムをホログラム複製法により作製するための配置の1例を示す図である。
【図2】図1の配置で作製された本発明によるホログラフィック・ステレオグラムの3次元像再生の様子を示す図である。
【図3】本発明によるホログラフィック・ステレオグラムを作製するための原版の原理を説明するための図である。
【符号の説明】
H…マルチドットHS(体積ホログラム感光材料)、ホログラム原版
EL 、ER …観察者の左右の目
O…表示したい立体物
O’…再生像
O”…3次元像
A…参照光
A’…再生照明光
A”…照明光
B1 〜B5 …光線
B’…回折光
B”…回折光
LCD…表示装置(液晶表示装置)
Ca…カメラ(CCDカメラ)
H2…複製ホログラム
a1 〜an 〜aN …要素ホログラム
10…体積ホログラム感光材料
11…境界の像
Claims (2)
- 要素ホログラムを1次元あるいは2次元方向に並列配置してなるホログラフィック・ステレオグラム原版であって、前記要素ホログラム各々が、要素ホログラム中心を通りその観察方向に伸びる直線が記録再生される3次元物体の表面と交差する位置近傍の表面情報がサンプリング情報として同時に記録された反射型ホログラムからなるホログラフィック・ステレオグラム原版に対して、体積ホログラム感光材料を離間して配置し、前記体積ホログラム感光材料側から前記ホログラフィック・ステレオグラム原版の再生照明光を入射させて、前記体積ホログラム感光材料を通り前記ホログラフィック・ステレオグラム原版から回折された光と前記再生照明光を干渉させることにより前記体積ホログラム感光材料中にホログラム複製することを特徴とするホログラフィック・ステレオグラムの作製方法。
- 前記ホログラフィック・ステレオグラム原版と前記体積ホログラム感光材料とを離間させるのにガラス板を用いることを特徴とする請求項1記載のホログラフィック・ステレオグラムの作製方法。
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