JP4672908B2 - プラスチックファイバの紡糸装置および紡糸方法 - Google Patents

プラスチックファイバの紡糸装置および紡糸方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はプラスチックファイバの紡糸装置および紡糸方法に関し、長さ方向の直径変動、特に、複数の吐出口を有する場合には吐出口間の直径変動を低減し、均一性に優れたプラスチックファイバを紡糸可能とするものである。
【0002】
【従来の技術】
プラスチックファイバとしては、一般的な糸状のものや、内部に空洞を有する中空糸膜などがある。
プラスチックファイバは、例えば、1層、あるいは同心円状に配置された2層以上の層からなり、2層以上の層からなる場合、通常、中心の層を芯、2層目以上の層を鞘と呼ぶ。
【0003】
1層構造のプラスチックファイバは、例えば以下のような溶融紡糸法によって製造される。まず、原料である熱可塑性樹脂を溶融させる。この溶融樹脂を定量ポンプを用いて紡糸装置の溶融樹脂流路に供給し、吐出口からプラスチックファイバを吐出することによって紡糸を行う。次いで、必要に応じて、機械的強度を向上させるために、熱延伸処理を行ったり、さらに延伸応力緩和のための熱処理を行う。
また、紡糸装置において、溶融樹脂流路を途中で複数に分岐させ、それぞれの分岐流路に対応した複数の吐出口を設けたノズルパックを用いると、紡糸装置の樹脂供給口から流入した溶融樹脂が途中で分岐して、複数の吐出口から吐出され、一つのノズルパックから一度に複数本のプラスチックファイバが吐出される。
【0004】
2層構造以上のプラスチックファイバを製造する場合には、芯材が流下する溶融樹脂流路の周囲に2層目以上の層を構成する鞘材(溶融樹脂)が流下する溶融樹脂流路を配し、芯材の外面を鞘材で被覆した状態で吐出されるように構成される。
また、中空糸膜として用いられるプラスチックファイバは、例えば吐出口に取り付ける金型の端面形状を円環状に変更することによって製造することができる。
【0005】
ところで、プラスチックファイバの製造においては、製品の性能向上の観点から、長さ方向における直径の分布を均一にすることが重要である。直径のばらつき(直径変動)が生じると、次のような不都合が生じる。
すなわち、プラスチックファイバが光学用途の光学繊維(光ファイバ)である場合には、直径変動が光学特性、機械特性の低下の原因となる。具体的には、側面漏光を利用した装飾用に光ファイバを用いる場合、ファイバ側面からの漏光斑を生じる。また、光通信、光センサなどに光ファイバを用いる場合、プラスチックファイバの外径がコネクタの挿入部のサイズと適合しなくなるなどの不都合が発生する。あるいは、コネクタの挿入部の内面とプラスチックファイバの外面との間に隙間が生じてコネクタ内で偏芯が生じ、このために接合面のずれが生じ、伝送損失が増大する場合がある。
また、工業用や家庭用において、浄水器などに用いられている中空糸膜においては、直径変動が液体や気体の透過量のばらつきを引き起こすことになる。
また、種々の用途に対応させるためにプラスチックファイバをさらに加工する際にトラブルが発生したり、歩留まりが低下することがある。
【0006】
さらに、紡糸工程において直径変動が生じたプラスチックファイバに対して、熱延伸処理を施すと、直径変動が増幅されてしまう。すなわち、熱延伸処理においては、直径が小さい部分に、直径が大きい部分よりも大きな引張応力が作用するので、直径の小さい部分はより細くなり、直径の変動幅が増大することになる。
さらにまた、1つの樹脂供給口から流入された溶融樹脂が複数の吐出口から吐出されるように構成された紡糸装置においては、複数の吐出口間における吐出量のばらつき等のために、それぞれの吐出口から得られるプラスチックファイバ間にも直径差が生じ易く、安定な製品特性を維持することが困難となる。
【0007】
また、従来の紡糸装置を長時間連続運転すると、溶融樹脂中に含まれる重合触媒や、モノマ、オリゴマ、または熱分解生成物などが紡糸吐出口周辺に付着し、それらが次第に堆積されることにより吐出障害を発生し、糸切れなどの吐出不良を発生するようになるという問題もある。そして、紡糸吐出口周辺の汚れの堆積量が多くなった場合には、紡糸を中断して吐出口周辺部を清掃するか、もしくは紡糸ヘッドの部品交換をしなければならないが、このような清掃時や部品交換時には生産は中断され、多大の労力を必要とするので、製造コストの悪化を招く。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、従来、直径変動(外径変動)を抑制する手段並びに紡糸安定性を向上させる手段として、以下のような方法が提案されている。
外径変動を抑制する手段として、例えば、特公平2−24923号公報には、計量用ギヤポンプの一次側樹脂圧力を一定にして外径変動を抑制する方法が開示されている。特開平5−11127号公報には、複数のギヤ式定量ポンプを用いて溶融樹脂を吐出量変動周期の位相が異なる複数の原料流に分配し、これら複数の原料流を吐出量変動周期の位相を打ち消すように組み合わせて合流させることによって、吐出量変動を抑制する方法が開示されている。
しかしながら、これらの方法ではプラスチックファイバの長さ方向および複数の吐出口間の直径均一性を十分に制御することはできず、延伸処理後の延伸糸の、設定直径に対する直径の長さ方向における変動率を十分に小さくすることはできなかった。
【0009】
また、紡糸安定性を向上させる手段として、例えば、特開昭58―76512号公報には、紡糸原液導入孔及びこれに連なる原液吐出孔を有するセラミックスよりなるチップを紡糸口金板に押し込んだ、寸法精度が高く品質良好な紡糸口金が、特開昭63−315605号には、紡糸口金の吐出面及びポリマー吐出孔内面のうち少なくとも吐出面に異材質のセラミックコーティングを2層以上被覆することにより仕上げ状態が滑らかになり、ポリマーの濡れを抑え、ポリマーの広がりを抑制し、かつ吐出孔に傷をつけることなく口金面を清掃することができる紡糸口金が開示されている。
しかしながら、これらの方法では、複数の吐出口間の直径変動を十分に抑制し、十分な紡糸安定性を得ることはできなかった。
【0010】
さらに、多層構造のプラスチックファイバにおいては断面形状の偏りが製品性能を著しく低下させるという問題もあった。この原因は、外層を被覆する際の樹脂流動の不均一及び被覆後のファイバ断面方向の温度差により被覆樹脂の流動性に差違が生じ内層樹脂が偏ることによるものである。
【0011】
よって、本発明の課題は、
プラスチックファイバの長さ方向における直径変動を小さくすること、
複数の吐出口を備えた紡糸装置により、複数本のプラスチックファイバを同時に紡糸する際に、複数の吐出口間における直径変動を小さくすること、
多層構造のプラスチックファイバにおける断面形状の偏りを防止すること、
および、長時間安定して連続紡糸ができるようにすることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記課題の少なくとも1つを解決するものであり、本発明のプラスチックファイバの紡糸装置は、樹脂供給口と、樹脂供給口から流入された溶融樹脂の流路となる溶融樹脂流路と、前記溶融樹脂流路を通過した溶融樹脂を吐出する吐出口と、前記溶融樹脂流路内の溶融樹脂の温度を調節する温度調節手段を備え、前記温度調節手段が、前記溶融樹脂流路内に設けられていることを特徴とする。好ましくは、前記吐出口から吐出されたファイバの直径を測定する直径測定装置と、この直径測定装置の測定結果に応じて前記温度調節手段を制御するフィードバック機構を設ける。
【0016】
本発明のプラスチック光ファイバの紡糸方法は、本発明のプラスチックファイバの紡糸装置を用いてプラスチックファイバを紡糸することを特徴とする。本発明の紡糸方法によれば、紡糸後のプラスチックファイバに延伸処理を施して得られる延伸糸の、長さ方向における設定直径に対する直径の変動率を±3%以内とすることができる
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。図1および図2は、本発明の紡糸装置の第1の実施形態を示したもので、図1は紡糸装置の概略構成図、図2は紡糸ヘッドの縦断面図である。また図3は第2の実施形態の紡糸ヘッドを示したもので、図4は第3の実施形態の紡糸ヘッドを示したものである。図3および図4において、図1および図2と同じ構成要素には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0018】
第1の実施形態の紡糸装置は、図1に示すように、芯材押出機1aで溶融された芯成分が芯材定量ポンプ2aにより紡糸ヘッド3へ供給され、また鞘材押出機1bで溶融された鞘成分が鞘材定量ポンプ2bにより紡糸ヘッド3へ供給されるように構成されている。
プラスチックファイバの材料は特に限定されないが、例えば光学用途においてはアクリル系樹脂などの透明性の高い材料が用いられ、工業、家庭用途の中空糸膜においてはポリエチレンなどが用いられる。
【0019】
第1の実施形態の紡糸ヘッド3は、図2に示すように、芯材用の樹脂供給口16から流入した芯材と鞘材用の樹脂供給口17から流入した鞘材が、それぞれ複数に分岐された溶融樹脂流路16a、17a内を流下し、芯材の周囲に鞘材が被覆された状態で、吐出口18から吐出されるように構成されている。
図中符号14はノズルパックであり溶融樹脂流路16a、17aが形成されている。ノズルパック14はパックケース12内に収容されており、パックケース12が紡糸ヘッド3に組み込まれている。また、パックケース12の上部は蓋体13により閉じられている。
そして本実施形態では、芯材が流下する溶融樹脂流路16a内であって、流路が複数に分岐されている分岐点より下流に温度調節手段としての温度調節器15が設けられており、これによって溶融樹脂流路16a内の芯材を加熱または冷却できるように構成されている。このような温度調節器15は、例えば温度計付きのヒーターで構成することができる。
【0020】
紡糸ヘッド3から吐出されたプラスチックファイバ4は、図1に示すように、糸ガイド5を経て、加熱装置11および引き取り装置9により加熱延伸処理が施され、巻き取り装置10により巻き取られる。また紡糸後のプラスチックファイバ4の直径は、直径測定装置6によってオンラインで測定され、検出された信号は、直径変動制御装置(フィードバック機構)7に送信される。
直径変動制御装置7は、検出された直径が予め設定された基準値よりも大きい場合には、温度制御信号線8を経て、芯材が流下している溶融樹脂流路16a内に設けられた温度調節器15を制御し、芯材(溶融樹脂)の温度を低下させるように構成されている。このようにして溶融樹脂の温度が低下すると、溶融樹脂の粘度が増大するので吐出口からの樹脂の吐出量が減少し、したがってプラスチックファイバの直径が小さくなる。
一方、検出された直径が基準値よりも小さい場合には、同様に温度制御信号線8を経て温度調節器15を制御して、芯材の温度を上昇させるように構成されている。これにより、芯材の粘度が低減するので、吐出量が増大して直径が増大し、基準の直径に近づけることができる。
なお、本実施形態では、芯材が流下する溶融樹脂流路16aにのみ温度調節器15を設けたが、鞘材に対しても温度制御できるように構成することが好ましく、鞘材が流下する溶融樹脂流路17aについても同様にして温度制御手段およびフィードバック機構を設けることが好ましい。
【0021】
また、芯材および/または鞘材の溶融樹脂温度の調節は上記第1の実施形態のように樹脂を直接加熱または冷却することにより行ってもよいが、溶融樹脂に対して間接的に温度調節を行うことも可能である。例えば図3(a)、(b)に示す第2の実施形態のように、温度調節器15をパックケース12内に埋め込んでもよく、図4(a)、(b)に示す第3の実施形態のように紡糸ヘッド3の外壁3a内に埋め込んでもよい。あるいは図示していないが、ノズルパック14内であって溶融樹脂流路16a、17a内以外の部位に温度調節器15を埋め込んでもよい。
このように溶融樹脂流路内以外の部位に温度調節器15を設ける場合には、ノズルパック、パックケース、紡糸ヘッドなどの温度調節器15と溶融樹脂流路との間に存在する部材は、金属材などの良好な熱伝導性を有する素材から構成することが好ましい。
【0022】
特に、図3(b)および図4(b)に例示するように、溶融樹脂流路16aのうち、樹脂供給口16から、芯材と鞘材とが同心円状に合流される合流部190に至るまでの部分(隔離部)に対してのみ温度調節を行うように構成することがより好ましい。具体的に図3(b)および図4(b)の例では、パックケース12または紡糸ヘッド3の外壁3a内に温度調節器15を埋め込む際に、紡糸ヘッド3の高さ方向において温度調節器15と合流部190とが離間するように配置するとともに、温度調節器15に接続されている温度制御信号線8の周囲に断熱性を有する制御信号線保護材120を設けている。これにより合流部190から吐出口18に至る部分への温度調節器15からの熱伝導が軽減される。尚、紡糸ヘッド3の高さ方向における温度調節器15と合流部190との距離aの最適値はノズルパック14、パックケース12、紡糸ヘッド外壁3aの材質や流路構成及び温度調節器15の配置、賦型対象樹脂によって異なるが、概ね3〜150mm程度の範囲内とするのが望ましい。
【0023】
上記第1〜第3の実施形態によれば、溶融樹脂流路16a、17aを流下する溶融樹脂の温度を調節することができるので、プラスチックファイバの吐出量の変動を低減して、吐出後のファイバの直径変動を小さく抑えることができる。よって加熱延伸処理後における直径の変動幅も小さく抑えられ、直径の設定値に対する直径変動率が好ましくは±3%以内に低減されたプラスチックファイバを製造することができる。ここで、本明細書における直径変動率は下式により示される。
直径変動率(%)=((糸長1000mあたりの変動直径/平均直径)−1)×100また紡糸後のファイバ4の直径をモニターしながらこれをフィードバックして温度調節器15を制御し、溶融樹脂の温度を制御することによりプラスチックファイバの直径の均一性をより向上させることができる。
また、紡糸ヘッド3に複数の吐出口18を設けて、複数本のプラスチックファイバを同時に紡糸する場合は、各吐出口に連通し、分岐点よりも下流側(吐出口側)の各溶融樹脂流路16aに温度調節器を設け、それぞれの吐出口18から吐出されるファイバの直径をモニターし、これらの直径が予め設定された基準値とほぼ同じとなるように各溶融樹脂流路16aの樹脂の温度を調節することにより、各吐出口から吐出される複数のファイバ間における直径のばらつきも低減される。
【0024】
特に第1の実施形態によれば、溶融樹脂流路16a内の溶融樹脂を直接加熱することができるので精度良く温度調節することができる。また複数の吐出口にそれぞれ対応している溶融樹脂流路16aそれぞれに温度調節器15を設けて、それぞれ独立に温度調節できるようにすれば、複数の吐出口18から吐出される複数のファイバ間における直径のばらつきをより低減させることができる。
また、第2の実施形態によれば溶融樹脂流路16a内の樹脂の流動状態の乱れや滞留などを引き起こすこと無く溶融樹脂温度を調節することができる。第3の実施形態によれば、第2の実施形態の効果に加え、ノズルパック14やパックケース12の分解、組立等の作業を温度調節器15を設置したままで行うことができるため作業性が向上する。
さらに、第1〜第3の実施形態は、芯−鞘構造(多層構造)のプラスチックファイバを製造する際に、一種の溶融樹脂のみ、すなわち芯材についてのみフィードバック機構により温度調節を行うように構成されている。このような場合には、図2、図3(b)、図4(b)に例示するように、芯材と鞘材の合流部から離間するように温度調節器を配置することによって、鞘材への熱伝導を小さく抑えることが好ましく、これによって芯材の周囲に鞘材が被覆された後のプラスチックファイバの断面方向の温度差が小さくなり、芯材の偏りを軽減する効果が得られる。
なお、上記の各実施形態では、芯材と鞘材の2成分を紡糸ヘッド3内で合流させて2層構造のプラスチックファイバを製造する例を示したが、単一成分からなる1層構造のプラスチックファイバを製造できるように溶融樹脂流路の構造を変更してもよく、あるいは3つ以上の成分を合流させて3層構造のプラスチックファイバを製造できるように溶融樹脂流路の構造を変更してもよい。
【0025】
図5(a)および図5(b)は、本発明の紡糸装置の第4の実施形態を示したもので、紡糸ヘッド3の縦断面図である。本実施形態の紡糸装置は単一成分からなる1層のプラスチックファイバを製造するための装置である。図中符号26は樹脂供給口、26aは溶融樹脂流路、27は吐出口、28はセラミックス製の成形体であるチップである。前記図1,2と同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。図5(a)中、符号1は所定の樹脂材料を供給するための樹脂押出機であり、2は定量ポンプである。
本実施形態の紡糸装置は、溶融樹脂材料が、紡糸ヘッド3の上方に開口する樹脂供給口26から流入され、途中で分岐された溶融樹脂流路26aを流下して、吐出口27から吐出されるように構成されている。
そして、紡糸されたプラスチックファイバ4は、前記第1の実施形態と同様にして、それぞれ糸ガイド5を経て加熱装置11および引き取り装置9によって加熱延伸処理が施され、巻き取り装置10にて巻き取られる。
【0026】
本実施形態において、溶融樹脂流路26aは、図5(b)に示すようにセラミックス製のチップ28に流路が形成されており、このセラミックス製チップ28がノズルパック14内に組み込まれている。本実施形態におけるセラミックス製のチップ28は、その内部に、溶融樹脂流路26aのうち、樹脂供給口26から延びた流路の分岐点から水平方向に延びる水平部分と、ここから直角に屈曲して鉛直方向に延びる鉛直部分とを形成したものである。したがって、本実施形態では、溶融樹脂流路26aのうち、分岐点より下流側の前記水平部分と鉛直部分の内壁がセラミックスで形成されている。このように内部に溶融樹脂流路が形成されたセラミックス製チップは公知の方法で製造することができるが、例えばチップの型を製造し、その中にセラミックスを圧入成形することにより製造することができる。
【0027】
セラミックスの材質は、特に限定されず、酸化アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化珪素、炭化タングステン、炭化クロム、炭化珪素、窒化珪素などを用いることができるが、中でも、酸化ジルコニウムがその硬度の高さより、樹脂流路内面や吐出口の摩耗を抑えるという効果が期待でき、最も好ましい。
また、本発明で使用されるセラミックスの粗度は極力小さい方が汚れ発生抑制に対する効果が大きい。理由は明確ではないが、樹脂流路内面の粗度を小さくする、つまり表面を滑らかに仕上げることで、樹脂の濡れが抑えられ、吐出口付近の異物が付着しにくくなると推定される。
【0028】
図6は本発明の紡糸装置の第5の実施形態を示したものである。本実施形態の紡糸装置が前記第4の実施形態と異なる点は、溶融樹脂流路26aの内壁がセラミックスでコーティングされている点である。図中符号29はセラミックスからなるコーティング層を示す。
セラミックス材料は前記第4の実施例と同じ材料を用いることができる。セラミックスのコーティング層29の厚さは、薄すぎると剥離が発生する可能性があるので0.5μm以上とすることが好ましい。また、コーティング層29を形成する部位は、少なくとも溶融樹脂流路26aが分岐する分岐点より下流側の内壁全部がセラミックスからなっていればよい。また、本実施形態においては、吐出口27の周囲の外面にもコーティング層29が形成されている。
なお、上記第4及び第5の実施形態と異なる方法で溶融樹脂流路の内壁をセラミックスから構成することもでき、例えば内壁に対応する形状のセラミックス製の部材を溶融樹脂流路内壁に配設することもできる。
【0029】
上記第4および第5の実施形態の紡糸装置を用いてプラスチックファイバを紡糸する際、原料となる樹脂は特に制限されないが、これらの装置は例えばアクリル系樹脂などからなるプラスチック光ファイバの製造や、ポリエチレン等からなる中空糸膜の製造に好適に用いることができる。
そして第4および第5の実施形態の紡糸装置を用いてプラスチックファイバの紡糸を行えば、溶融樹脂流路26aの内壁がセラミックスからなっているので、ここを流下する溶融樹脂の濡れが抑えられ、流動状態が安定するとともに、吐出口27の周辺に吐出物が付着するのが防止される。したがって、吐出口27からの吐出量が一定化されてファイバの直径変動が低減する。また、溶融樹脂流路26aの分岐点より下流側の内壁全部がセラミックスからなっているので、分岐後の複数の溶融樹脂流路26a間における流動状態のばらつきが低減する。したがって複数の吐出口27からそれぞれ吐出される複数のファイバ間における直径のばらつきが低減する。また、長時間連続して紡糸を行っても、吐出口付近における付着物の堆積が少ないので、紡糸中断などのトラブルが防止され、紡糸安定性が向上する。
また、吐出口27付近の外面もセラミックスで構成することが好ましく、このようにすれば吐出口27付近での異物付着がより抑えられるので好ましい。
【0030】
特に、第4の実施形態によれば異物などの汚れが付着しにくいため、長期間安定に紡糸可能となる。
また、第5の実施形態によれば第4の実施形態の特徴に加え、流路の加工を容易にすることができる。
なお、上記第4および第5の実施形態では、1成分からなる1層構造のプラスチックファイバを紡糸する構成の装置を例に挙げたが、2層構造のプラスチックファイバを製造できる構成に、あるいは3層以上からなるプラスチックファイバを製造構成に変更可能である。また溶融樹脂流路26aを途中で分岐させる数は任意とすることができる。
また、第4および第5の実施形態において、前記第1〜第3の実施形態と同様に溶融樹脂流路内の溶融樹脂の温度を制御する温度調節手段を設けることにより、溶融樹脂の流動状態がさらに安定し、また吐出口からの溶融樹脂の吐出量が一定となるため、ファイバの直径変動をさらに低減させることができ、好ましい。
【0031】
図7および図8は本発明の紡糸装置の第6の実施形態を示したものである。図7は紡糸ヘッドの縦断面図であり、図8は図7の紡糸ヘッドの下面を示した平面図である。本実施形態の紡糸装置の全体構成は図5(a)と同様である。前記図2、図5(b)と同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態において、溶融樹脂流路36は、第1〜第4の流路36a、36b、36c、36d(36b、36cは図示せず、以下同様)の4つの分岐流路に逆T字状に分岐している。これら4つの分岐流路36a、36b、36c、36dは中心角90°の放射状に水平方向に伸びた後、それぞれ鉛直方向に屈曲している。分岐流路36a、36b、36c、36dの鉛直部分は断面円形であり、ここを流下した樹脂が吐出口37a、37b、37c、37dからそれぞれ吐出され、4本のプラスチックファイバが同時に得られるようになっている。
【0032】
本実施形態においては、4つの分岐流路36a、36b、36c、36dそれぞれの流路内の溶融樹脂温度を調節するための4つの温度調節器35a、35b、35c、35dが、パックケース12内に埋め込まれている。4つの温度調節器35a、35b、35c、35dは4つの分岐流路36a、36b、36c、36dの近傍にそれぞれ配されている。またノズルパック14内には平面形状が十字状の断熱壁30が埋め込まれており、これによって各分岐流路36a、36b、36c、36dが互いに隔離されている。
断熱壁30の材質は、分岐流路36a、36b、36c、36d同士の間の熱伝導を遮断し得るものであればよく、特に限定されないが、例えば多孔質のセラミックスやポリイミド等の耐熱性ポリマからなる発泡体、グラスウールやけい酸カルシウム等の断熱材を用いることができる。あるいは、ノズルパック14内に切り欠きを形成して壁状の空気層を形成させ、この空気層を断熱層として使用することも可能である。本実施形態で使用される断熱材の熱伝導率は極力低い方が樹脂流路間同士の熱伝導を遮蔽し、樹脂温度を独立に制御する効果が大きい。
なお、本実施形態では断熱壁30をノズルパック14内だけに設けたが、断熱壁30を設ける部位は、温度調節器35a、35b、35c、35dの配置によって適宜変更されるべきものであり、少なくとも樹脂流路分岐後のノズルパック14内、パックケース12内、紡糸ヘッド外壁3aから選ばれる部位の一つに断熱材が埋め込まれていることが必要である。
【0033】
本実施形態では、4つの吐出口37a、37b、37c、37dから得られる4本のプラスチックファイバそれぞれについて、直径変動測定装置6、直径変動制御装置7、温度制御信号線8、および温度調節器35a、35b、35c、35dによる一連の温度制御機能が独立して作用するように構成されている。
したがって、本実施形態によれば、温度制御機能が働いた際には、溶融樹脂温度を変化させたい分岐流路のみの溶融樹脂温度を変化させ、他の分岐流路については溶融樹脂温度を変化させないように、つまり各流路間の熱伝導を遮断して、分岐流路毎に独立して温度が制御されるので、複数の吐出口間における直径変動がより小さくなり寸法安定性が向上する。
なお、本実施形態では、溶融樹脂流路を4つの分岐流路に分岐させた例を示したが、分岐流路の数は適宜変更可能であり、3つ以下、或いは5つ以上であってもよい。
また、本実施形態では1成分からなる1層構造のプラスチックファイバを紡糸する構成の装置を例に挙げたが、2層構造のプラスチックファイバを製造できる構成に、あるいは3層以上からなるプラスチックファイバを製造構成に変更可能である。
【0034】
【実施例】
以下、本発明を実施例を示して詳しく説明する。
(実施例1)
図1および図2の構成を有する紡糸装置を用いてプラスチックファイバを製造した。紡糸ヘッド3には吐出口を2つ設け、芯材用の溶融樹脂流路16a内に温度調節器15を設けた。オンライン直径測定装置6は、キーエンス(株)製のレーザー外径測定器を用い、温度調節器15は、市販の温度計測機能付きのヒーターを使用した。
芯材原料としてポリメチルメタクリレート、鞘材原料としてフッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン(80/20mol%)の共重合体を用いた。これらの原料をそれぞれ芯材押出機1a、鞘材押出機1bに供給し、紡糸ヘッド3の吐出口18から吐出して設定直径が1mmのプラスチックファイバを製造した。それぞれの吐出口得られた2本のプラスチックファイバについて直径を測定したところ、何れのプラスチックファイバの直径も糸長1000mあたり±0.015mm以内の変動幅で、直径変動率が±1.5%以内であって、長手方向の寸法安定性に優れたものであった。
【0035】
参考例2−1)図3(a)に示す紡糸ヘッドを用いた以外は実施例1と同様にして設定直径が1mmのプラスチックファイバを製造した。すなわち温度調節器15をステンレス鋼(SUS316)製のパックケース12内に設けた。ノズルパック14の材質はステンレス鋼(SUS316)とした。2つの吐出口18からそれぞれ得られた2本のプラスチックファイバの直径を測定したところ、何れのプラスチックファイバも糸長1000mあたり±0.018mm以内の変動幅で、直径変動率が±1.8%以内であり、長手方向の寸法安定性に優れたものであった。
参考例2−2)図3(b)に示すように、温度調節器15を合流部190から離間させて配した以外は参考例2−1と同様にして設定直径が1mmのプラスチックファイバを製造した。合流部190と温度調節器15との距離aは24mmとした。2つの吐出口18からそれぞれ得られた2本のプラスチックファイバの直径を測定したところ、何れのプラスチックファイバも糸長1000mあたり±0.018mm以内の変動幅で、直径変動率が±1.8%以内であり、長手方向の寸法安定性に優れたものであった。また、プラスチックファイバの同一断面での鞘材厚さの変動幅が±0.001mm以内であり、断面形状の偏りのないものであった。
【0036】
参考例3−1)図4(a)に示す紡糸ヘッドを用いた以外は実施例1と同様にして設定直径が1mmのプラスチックファイバを製造した。すなわち、温度調節器15をステンレス鋼(SUS316)からなる紡糸ヘッド3の外壁3a内に設けた。またパックケース12の材質はステンレス鋼(SUS316)とし、ノズルパック14の材質はステンレス鋼(SUS316)とした。2つの吐出口18からそれぞれ得られた2本のプラスチックファイバの直径を測定したところ、何れのプラスチックファイバも糸長1000mあたり±0.022mm以内の変動幅で、直径変動率が±2.2%以内であり、長手方向の寸法安定性に優れたものであった。
参考例3−2)図4(b)に示すように、温度調節器15を合流部190から離間させて配した以外は参考例3−1と同様にして設定直径が1mmのプラスチックファイバを製造した。合流部190と温度調節器15との距離aは20mmとした。2つの吐出口18からそれぞれ得られた2本のプラスチックファイバの直径を測定したところ、何れのプラスチックファイバも糸長1000mあたり±0.022mm以内の変動幅で、直径変動率が±2.2%以内であり、長手方向の寸法安定性に優れたものであった。また、プラスチックファイバの同一断面での鞘材厚さの変動幅が±0.002mm以内であり、断面形状の偏りのないものであった。
【0037】
(比較例1)
直径変動制御装置7並びに紡糸ヘッド3内の温度調節器15を取り外した以外は実施例1と同様にして設定直径が1mmのプラスチックファイバを製造した。
2つの吐出口からそれぞれ得られた2本のプラスチックファイバの直径を測定したところ、糸長1000mあたり最大±0.06mmの変動幅があり、直径変動率は±6%と寸法安定性の悪いものであった。
【0038】
参考例4)図5(a)(b)に示す構成を有する紡糸装置を用いて1層構造のプラスチックファイバを製造した。紡糸ヘッドにおいて、溶融樹脂流路26aは途中で4つに分岐しており、吐出口27は4つ設けられている。溶融樹脂流路26aは、酸化ジルコニウム製のチップ28内に形成されており、このチップ28がノズルパック14内に組み込まれている。樹脂原料としてポリメチルメタクリレートを用いて、設定外径1mmのプラスチックファイバを紡糸した。この紡糸工程を7日間、吐出孔27の周辺を清掃せずに連続して実施したが、断糸などの紡糸時のトラブルは全くなかった。また、4つの吐出口からそれぞれ得られた4本のプラスチックファイバの直径をキーエンス(株)製のレーザー外径測定器で測定したところ、何れのプラスチックファイバも糸長1000mあたり±0.018mm以内の変動幅で、直径変動率が±1.8%以内であり、寸法安定性に優れたものであった。
【0039】
参考例5)図6に示す紡糸ヘッドを用いた以外は参考例4と同様にして設定直径が1mmのプラスチックファイバを紡糸した。溶融樹脂流路26aの内壁および吐出口27の周囲には酸化ジルコニウムからなる厚さ5μmのコーティング層29を形成した。紡糸工程を7日間、吐出孔27の周辺を清掃せず連続的に実施したが、断糸などの紡糸時のトラブルは全くなかった。また、4つの吐出口からそれぞれ得られた4本のプラスチックファイバの直径を参考例4と同様にして測定したところ、何れのプラスチックファイバも糸長1000mあたり±0.02mm以内の変動幅で、直径変動率が±2.0%以内であり、寸法安定性に優れたものであった。
【0040】
(比較例2)紡糸ヘッドにおける溶融樹脂流路26aの内面をセラミックス製とせず、ノズルパック14の材質であるステンレス鋼(SUS316)とした以外は、参考例4と同様にして設定直径1mmのプラスチックファイバを紡糸した。紡糸工程を7日間実施したところ、吐出口周辺に堆積した異物の清掃のため、2回の紡糸中断が発生した。また、4つの吐出口からそれぞれ得られた4本のプラスチックファイバの外径を測定したところ、糸長1000mあたり最大±0.05mmの変動幅があり、直径変動率は±5%であり、寸法安定性が不良であった。
【0041】
参考例6)樹脂原料としてポリメチルメタクリレートを用いて、図7、図8に示すような4つの吐出口を有する紡糸ヘッドを用いて、平均直径が約1mmのプラスチックファイバを製造した。オンライン糸径測定装置、温度調節器は実施例1と同様のものを用いた。ノズルパック14、パックケース12の材質はSUS304(220℃の時の熱伝導率λ=17.8W/mK)を用い、断熱壁30の材質はグラスウール(220℃の時の熱伝導率λ=0.057W/mK)を用いた。4つの吐出口37a、37b、37c、37dからそれぞれ得られた4本のプラスチックファイバの直径を測定したところ、何れも糸長1000mあたり±0.01mm以内の変動幅で、直径変動率が±1%以内の長手方向の寸法安定性に優れたものであった。
【0042】
参考例7)ノズルパック14内の断熱壁30をフッ素樹脂(220℃の時の熱伝導率λ=0.36W/mK)で構成した以外は参考例6と同一条件で、平均直径が約1mmのプラスチックファイバを製造した。得られた4本のプラスチックファイバの直径を測定したところ、何れも糸長1000mあたり±0.02mm以内の変動幅で、直径変動率が±2%以内の長手方向の寸法安定性に優れたものであった。
【0043】
(比較例3)前記参考例6で用いた装置から、直径変動制御装置7、温度制御信号線8、および温度調節器35a、35b、35c、35dを取り外し、さらに断熱壁30が設けられていないノズルパックを使用した以外は参考例6と同様にして、平均直径が約1mmのプラスチックファイバを製造した。得られた4本のプラスチックファイバの直径を測定したところ、糸長1000mあたり最大±0.06mmの変動幅があり、直径変動率は±6%と寸法安定性の悪いものであった。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、プラスチックファイバの紡糸工程において、その直径変動に対して大きな影響を及ぼしている紡糸ヘッド内の樹脂温度を制御することによって、プラスチックファイバの長さ方向における直径変動が大幅に低減されたプラスチックファイバを得ることができる。したがって、プラスチックファイバをさらに高次加工する際のトラブル発生や欠陥のある高次加工品の発生を抑制することができる。
【0045】
また複数の樹脂が積層された構造を有するプラスチックファイバを製造する際に、溶融樹脂流路を、プラスチックファイバの各層をなす複数種の溶融樹脂を前記樹脂供給口から前記吐出口近傍までは互いに隔離した状態で通過させる隔離部と、前記吐出口近傍で同心円状に合流させる合流部とを有する構成とし、前記溶融樹脂流路内の特定の層をなす溶融樹脂の温度を独立して調節する温度調節手段を少なくとも1つ設けるとともに、前記温度調節手段を、前記隔離部内の溶融樹脂の温度を調節するように構成することにより、他の層への熱伝搬の影響を軽減することができ、断面形状の偏りを抑制する効果が得られる。
【0046】
さらに 吐出口を複数個備え、溶融樹脂流路が複数の溶融樹脂流路に分岐し、分岐した前記複数の溶融樹脂流路がそれぞれ異なる吐出口に連通している構成とすれば、複数個の吐出口からの複数本のプラスチックファイバを同時に紡糸することができ、特に分岐した各溶融樹脂流路毎に前記温度調節手段を設け、前記分岐した各溶融樹脂流路間の熱伝導を遮断する断熱材を設けることにより各吐出口での温度の不均一性を効果的に低減させることができるので、各吐出口から吐出された複数のファイバ間における直径のばらつきを低減させることができる。特に、光学繊維や中空繊維膜のように単繊維として利用されるファイバにおいては、ファイバの直径変動はファイバの性能・品質を著しく低下させる傾向があり、このようなファイバを複数個の吐出口から紡糸する場合の各吐出口での温度の不均一性に起因する各吐出口から得られるファイバの径変動を低減することによりファイバの性能・品質の低下を効果的に防止することができる。
【0047】
また本発明によれば、紡糸ヘッド内における溶融樹脂流路の内壁をセラミックスで構成することによって、溶融樹脂の流動状態を安定化させることができ、また付着物も低減させることができる。したがって、プラスチックファイバの長さ方向における直径変動が大幅に低減されたプラスチックファイバを得ることができる。また、複数個の吐出口からの複数本のプラスチックファイバを同時に紡糸する際にも、各吐出口での温度の不均一性を低減させることができる。さらに、溶融樹脂流路の内壁が金属製である場合に比べて、紡糸中断などのトラブルが大幅に低減され、紡糸安定性が向上するので、長時間連続して精密な紡糸をする際にも品質が安定する。
【0048】
よって、本発明の紡糸装置を用いてプラスチックファイバを紡糸すれば、寸法安定性が良好なプラスチックファイバが得られ、紡糸後のプラスチックファイバに延伸処理を施して得られる延伸糸の、設定直径に対する直径の長さ方向における変動率を±3%以内とすることができる。したがって、特にプラスチック光ファイバの紡糸に好適であり、光学特性および機械特性に優れた光ファイバを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のプラスチックファイバの紡糸装置の例を示す概略構成図である。
【図2】 本発明の第1の実施形態に係る紡糸ヘッドを模式的に示す縦断面図である。
【図3】 (a)は本発明の第2の実施形態に係る紡糸ヘッドの一例を模式的に示す縦断面図であり、(b)は他の例を模式的に示す縦断面図である。
【図4】 (a)は本発明の第3の実施形態に係る紡糸ヘッドの一例を模式的に示す縦断面図であり、(b)は他の例を模式的に示す縦断面図である。
【図5】 (a)本発明の第4の実施形態に係るプラスチックファイバの紡糸装置の例を示す概略構成図であり、(b)は紡糸ヘッドを模式的に示す縦断面図である。
【図6】 本発明の第5の実施形態に係る紡糸ヘッドを模式的に示す縦断面図である。
【図7】 本発明の第6の実施形態に係る紡糸ヘッドを模式的に示す縦断面図である。
【図8】 図7の紡糸ヘッドの下面図である。
【符号の説明】
3…紡糸ヘッド、4…プラスチックファイバ、6…直径測定装置、
7…直径変動制御装置(フィードバック機構)、12…パックケース、
13…蓋体、14…ノズルパック、
15、35a、35b、35c、35d…温度調節器(温度調節手段)、
16、17、26…樹脂供給口、
16a、17a、26a、36…溶融樹脂流路、
18、27、37a、37b、37c、37d、…吐出口、
28…セラミックス製チップ(セラミックス製成形体)、
29…コーティング層、
36a、36d…分岐流路、30…断熱壁(断熱材)
190…合流部。

Claims (4)

  1. 樹脂供給口と、樹脂供給口から流入された溶融樹脂の流路となる溶融樹脂流路と、前記溶融樹脂流路を通過した溶融樹脂を吐出する吐出口と、前記溶融樹脂流路内の溶融樹脂の温度を調節する温度調節手段を備え、前記温度調節手段が、前記溶融樹脂流路内に設けられていることを特徴とするプラスチックファイバの紡糸装置。
  2. 前記吐出口から吐出されたファイバの直径を測定する直径測定装置と、この直径測定装置の測定結果に応じて前記温度調節手段を制御するフィードバック機構を備えていることを特徴とする請求項1に記載のプラスチックファイバの紡糸装置。
  3. 請求項1または2に記載のプラスチックファイバの紡糸装置を用いてプラスチックファイバを紡糸することを特徴とするプラスチックファイバの紡糸方法。
  4. 紡糸後のプラスチックファイバに延伸処理を施して得られる延伸糸の、長さ方向における設定直径に対する直径の変動率を±3%以内とすることを特徴とする請求項に記載のプラスチックファイバの紡糸方法。
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