JP4672475B2 - 刺股 - Google Patents

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本発明は、例えば学校その他各種施設の防犯または警備用、或いは警察による犯人制圧用の道具として用いられる刺股に関するものである。
従来、この種の刺股としては、両端側が左右方向に向かって二股状に延びる刺股本体を長い柄の先端に取付け、暴漢や犯人を取り押さえる際、柄を把持して刺股本体を相手の胴体に押し付けることにより、抵抗する相手を制圧するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2001−289593号公報
ところで、前記刺股は、十分な訓練を受けた警察官や警備員等によって使用される場合が多いが、近年では学校等の一般施設に防犯用として配置されるものが増えている。しかしながら、従来の刺股は、重い金属製の刺股本体が用いられるとともに、その使用方法も特殊であるため、取扱いに不慣れな学校の教職員や一般人では、抵抗する相手を効果的に制圧することが困難であった。
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、刺股自体の取扱いに不慣れな場合であっても、相手を効果的に制圧することのできる刺股を提供することにある。
本発明は前記目的を達成するために、両端側が左右方向に向かって延びる刺股本体と、先端に刺股本体が取付けられた柄部とを備えた刺股において、前記刺股本体に設けられたエアバッグと、エアバッグを膨張させる空気充填手段と、空気充填手段を作動させるスイッチとを備えている。
これにより、スイッチによって空気充填手段を作動させると、エアバッグが膨張することから、エアバッグの膨張により相手を威嚇することができるとともに、膨張したエアバッグを相手に押し付けることにより、刺股本体よりも大きなエアバッグで相手の抵抗を阻止することができる。
本発明の刺股によれば、エアバッグの膨張により相手を威嚇することができるとともに、膨張したエアバッグを相手に押し付けることにより、刺股本体よりも大きなエアバッグで相手の抵抗を阻止することができるので、刺股自体の取扱いに不慣れであっても、抵抗する相手を効果的に制圧することができ、例えば学校や一般施設で用いる場合に極めて有利である。
図1乃至図9は本発明の一実施形態を示すもので、図1は刺股の正面図、図2はその側面図、図3はその要部一部断面正面図、図4はその要部左側面図、図5はその要部右側面図、図6は電気系を示す回路構成図、図7は催涙袋の正面図、図8はガスボンベの動作を示す要部正面図、図9はエアバッグの動作を示す要部正面図である。
この刺股は、両端側が左右方向に向かって延びる刺股本体1と、先端に刺股本体1が取付けられた柄部2と、刺股本体1に設けられたエアバッグ3と、エアバッグ3を膨張させる空気充填手段としてのインフレータ4と、手指で操作することによりインフレータ4を作動させるメインスイッチ5と、インフレータ4の作動可能状態を解除するサブスイッチ6と、所定の警報音を発生する警報ブザー7と、インフレータ4及び警報ブザー7用の電源8と、インフレータ4の膨張に連動して催涙性物質を放出する催涙手段としての催涙袋9とから構成されている。
刺股本体1は、左右方向に延びる板状部材からなり、その両端側はそれぞれ斜め前方に向かって屈曲している。
柄部2は、先端を刺股本体1の左右方向中央に連結された中空のパイプ状部材からなり、その内部にはインフレータ4から吐出した空気をエアバッグ3に供給する空気充填手段としての空気流通路2aが形成されている。柄部2の基端側には電源8用の乾電池10を収納する電池収納部2bが設けられ、電池収納部2bは複数の乾電池10を柄部2内に直列に収納するようになっている。また、柄部2の基端には電池収納部2bを開閉するキャップ2cが着脱自在に取付けられ、キャップ2cを取外すことにより乾電池10の出し入れを行うようになっている。
エアバッグ3は、気密性及び耐久性の高い生地(例えば、全芳香族ポリエステル)を縫製または熱融着することによって袋状に形成され、刺股本体1の前面側に収縮状態で取付けられている。この場合、エアバッグ3は、柄部2の先端側に接続された空気流入パイプ3aを介して柄部2の空気流通路2aに連通しており、空気流通路2aから流入する空気によって膨張するようになっている。エアバッグ3は刺股本体1に沿って左右方向に延びるように形成され、空気が充填されると左右方向両端側がそれぞれ中央部よりも前方に突出するように膨出する。
インフレータ4は、圧縮流体を封入したガスボンベ4aと、火薬の爆発によってガスボンベ4aを開封する開放器4bとからなり、ガスボンベ4aから吐出する高圧ガスをエアバッグ3に供給するようになっている。ガスボンベ4aの長手方向一端側には側方に向かって延びる連結部4cが設けられ、連結部4cは柄部2の長手方向やや基端寄りの側面に回動自在に連結されている。即ち、ガスボンベ4aはその長手方向が柄部2の長手方向に対して平行な向き及び垂直な向きにそれぞれ変わるように連結部4cを中心に回動自在に取付けられている。また、連結部4cには柄部2の空気流通路2aに連通する空気吐出口4dが設けられ、ガスボンベ4aから吐出する空気が連結部4c内を介して空気流通路2aに流入するようになっている。また、ガスボンベ4aの一端側にはその両側面を覆う左右一対のカバー4eが設けられている。尚、ガスボンベ4aは、柄部2と平行となる回動位置と垂直となる回動位置でそれぞれ図示しないロック機構により回動を規制可能になっている。
メインスイッチ5は周知のスイッチボタンからなり、一方のカバー4eに取付けられている。
サブスイッチ6は周知のマイクロスイッチからなり、他方のカバー4eの内側に取付けられている。サブスイッチ6は、ガスボンベ4aが柄部2と平行な向きのときにの接触部6aが柄部2の外周面に接触してオフ(接点開放状態)となり、ガスボンベ4aが柄部2と垂直な向きになるように回動されると、接触部6aが柄部2の外周面から離れてオン(接点短絡状態)となる。
警報ブザー7は、例えば防犯用ブザー等に用いられる周知の機器からなり、他方のカバー4eに取付けられている。
電源8は、通電回路8aによってインフレータ4、警報ブザー7、メインスイッチ5及びサブスイッチ6に接続され、メインスイッチ5及びサブスイッチ6は互いに直列に接続されている。即ち、サブスイッチ6がオフのときは、インフレータ4への通電可能状態が解除されるため、メインスイッチ5をオンに操作してもインフレータ4が作動しないようになっている。
催涙袋9は、胡椒や唐辛子等の香辛料からなる粉末状の催涙剤9aを収容した容器からなり、エアバッグ3の左右方向一端側及び他端側にそれぞれ設けられている。催涙袋9は、例えば催涙剤9aを包装したビニールパックからなり、その幅方向両端にはそれぞれ連結紐9bが連結されている。この場合、一方の連結紐9bは一端を催涙袋9に連結され、他端をエアバッグ3の左右方向一端側または他端側に連結されている。また、他方の連結紐9bは一端を催涙袋9に連結され、他端をエアバッグ3の左右方向中央に連結されている。即ち、催涙袋9及び連結紐9bは収縮状態のエアバッグ3と共に刺股本体1に収納されており、図9(a) に示すようにエアバッグ3が膨張すると、各連結紐9bが引張られるとともに、図9(b) に示すように各連結紐9bから催涙袋9に加わる張力によって催涙袋9が破断し、催涙袋9内の催涙剤9aが前方に放出されるようになっている。
以上のように構成された刺股においては、ガスボンベ4aを柄部2と平行な向きから垂直な向きに回動することにより、サブスイッチ6がオンになり、インフレータ4が作動可能な状態となる。この場合、例えば柄部2の基端側を右手で持ち、ガスボンベ4aを左手で把持することにより、柄部2が回転しないように安定して保持することができる。ここで、メインスイッチ5をオンにすると、インフレータ4が作動し、高圧ガスがガスボンベ4aから柄部2の空気流通路2aを介してエアバッグ3に送り込まれ、エアバッグ3が瞬時に膨張する。その際、エアバッグ3の膨張に連動し、催涙袋9から催涙剤9aが放出されるとともに、警報ブザー7が作動して警報音が発せられる。
このように、本実施形態の刺股によれば、刺股本体1にエアバッグ3を設け、メインスイッチ5の操作によりエアバッグ3を膨張させるようにしたので、例えば学校等の施設に侵入した暴漢等を制圧する際、刺股本体1を相手に向けてエアバッグ3を膨張させることにより、エアバッグ3の膨張により相手を威嚇することができる。また、膨張したエアバッグ3を相手に押し付けることにより、刺股本体1よりも大きなエアバッグ3で相手の抵抗を阻止することができる。また、ガスボンベ4aを開封する際に発生する爆発音によっても相手を威嚇することができる。従って、刺股自体の取扱いに不慣れであっても、抵抗する相手を効果的に制圧することができ、学校や一般施設で用いる場合に極めて有利である。
また、エアバッグ3が膨張すると、エアバッグ3の前方に催涙剤9aを放出するようにしたので、催涙剤9aの刺激によって相手を萎縮させることができ、より効果的に制圧することができる。
この場合、催涙剤9aを収容した催涙袋9をエアバッグの膨張に連動して開放することにより催涙剤9aを放出するようにしたので、催涙剤9aを簡単な構成により確実に放出することができる。この場合、催涙剤9aとして香辛料を用いたので、安価で容易に入手可能な催涙剤9aを用いることができ、実用化に際して極めて有利である。
また、エアバッグ3の膨張に連動して作動する警報ブザー7を備えているので、警報ブザー7の警報音によっても相手を威嚇することができ、より効果的に制圧することができる。
また、中空パイプ状に形成した柄部2の内部に空気流通路2aを設けるとともに、ガスボンベ4aの長手方向一端側を柄部2に連結してガスボンベ4aの空気吐出口4dを柄部2内の空気流通路2aに連通させることにより、インフレータ4のガスボンベ4aから吐出される空気を空気流通路2aを介してエアバッグ3に流入させるようにしたので、ガスボンベ4aとエアバッグ3とを接続するための配管部品を別途設ける必要がなく、構造の簡素化を図ることができる。
この場合、ガスボンベ4aをその長手方向が柄部2の長手方向に対して平行な向き及び垂直な向きにそれぞれ変わるように長手方向一端側を中心に回動自在に取付けたので、未使用時はガスボンベ4aを柄部2に平行な向きにして保管することにより、保管スペースを低減することができる。また、使用する際にガスボンベ4aを柄部2に垂直な向きにすることにより、ガスボンベ4aを把持して柄部2が回転しないように安定して保持することができるので、操作性の向上を図ることができる。
また、ガスボンベ4aが柄部2に平行な向きに回動されると、サブスイッチ6がオフになり、インフレータ4の作動可能状態が解除されるようにしたので、未使用時に誤ってメインスイッチ5を押してもインフレータ4が作動することがなく、未使用時のインフレータ4の誤作動を確実に防止することができる。
更に、柄部2の基端側に電源8用の乾電池10を収納する電池収納部2bを設け、電池収納部2bを柄部2内に乾電池10を収納するように形成したので、乾電池10の収納部を柄部2の外部に設ける必要がなく、構造の簡素化を図ることができる。
尚、前記実施形態では、ガスボンベ4aを柄部2に回動自在に取付けたものを示したが、柄部2に平行な向きまたは垂直な向きに固定するようにしてもよい。また、前記実施形態では、催涙剤9aを催涙袋9に収納したものを示したが、催涙剤9aを収納する容器としてはカプセル等の他の形態のものを用いることもでき、催涙剤9aとしては周知の催涙性の化学物質を用いることも可能である。
本発明の一実施形態を示す刺股の正面図 刺股の側面図 刺股の要部一部断面正面図 刺股の要部左側面図 刺股の要部右側面図 電気系を示す回路構成図 催涙袋の正面図 ガスボンベの動作を示す要部正面図 エアバッグの動作を示す要部正面図
符号の説明
1…刺股本体、2…柄部、2a…空気流通路、2b…電池収納部、3…エアバッグ、4…インフレータ、4a…ガスボンベ、5…メインスイッチ、6…サブスイッチ、7…警報ブザー、8…電源、9…催涙袋、9a…催涙剤。

Claims (9)

  1. 両端側が左右方向に向かって延びる刺股本体と、先端に刺股本体が取付けられた柄部とを備えた刺股において、
    前記刺股本体に設けられたエアバッグと、
    エアバッグを膨張させる空気充填手段と、
    空気充填手段を作動させるスイッチとを備えた
    ことを特徴とする刺股。
  2. 前記空気充填手段を、柄部に取付けられたガスボンベと、ガスボンベから吐出するガスをエアバッグに供給する空気流通路とから構成し、
    空気流通路を中空パイプ状の柄部内に設けた
    ことを特徴とする請求項1記載の刺股。
  3. 前記ガスボンベをその長手方向が柄部の長手方向に対して平行な向き及び垂直な向きにそれぞれ変わるように長手方向一端側を中心に回動自在に取付けた
    ことを特徴とする請求項2記載の刺股。
  4. 前記ガスボンベが柄部に平行な向きに回動されると空気充填手段の作動可能状態を解除するスイッチを備えた
    ことを特徴とする請求項3記載の刺股。
  5. 前記エアバッグが膨張するとエアバッグの前方に催涙性物質を放出する催涙手段を備えた
    ことを特徴とする請求項1、2、3、または4記載の刺股。
  6. 前記催涙手段を、催涙性物質が収容された容器をエアバッグの膨張に連動して開放するように構成した
    ことを特徴とする請求項5記載の刺股。
  7. 前記催涙性物質として香辛料を用いた
    ことを特徴とする請求項5または6記載の刺股。
  8. 前記柄部の基端側に電源用の電池を収納する電池収納部を設け、電池収納部を中空パイプ状の柄部内に形成した
    ことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6または7記載の刺股。
  9. 前記エアバッグの膨張に連動して作動する警報ブザーを備えた
    ことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載の刺股。
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